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Published from 2008 to 2009
https://w3id.org/jp-cos/period/H20toH21
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Details
Name
Published from 2008 to 2009
平成20~21年 告示
Start Date
2008-01-01
End Date
2009-12-31
First Digit Code of Course of Study Item
7
Fcode Correspond to First Digit Code of Course of Study Item
A7
Type
Issued Period
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Referred to as 'Issued Period' from:
第1章 総 則
第1 幼稚園教育の基本
幼児期における教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり,幼稚園教育は,学校教育法第22条に規定する目的を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする。 このため,教師は幼児との信頼関係を十分に築き,幼児と共によりよい教育環境を創...
1 幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して,幼児の主体的な活動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
2 幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して,遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。
3 幼児の発達は,心身の諸側面が相互に関連し合い,多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること,また,幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して,幼児一人一人の特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること。
その際,教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,教師は,幼児一人一人の活動...
第2 教育課程の編成
幼稚園は,家庭との連携を図りながら,この章の第1に示す幼稚園教育の基本に基づいて展開される幼稚園生活を通して,生きる力の基礎を育成するよう学校教育法第23条に規定する幼稚園教育の目標の達成に努めなければならない。幼稚園は,このことにより,義務教育及びその後の教育の基礎を培うものと...
1 幼稚園生活の全体を通して第2章に示すねらいが総合的に達成されるよう,教育課程に係る教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織しなければならないこと。この場合においては,特に,自我が芽生え,他者の存在を意識し,自己を抑制しようとする気持ちが生まれ...
2 幼稚園の毎学年の教育課程に係る教育週数は,特別の事情のある場合を除き,39週を下ってはならないこと。
3 幼稚園の1日の教育課程に係る教育時間は,4時間を標準とすること。ただし,幼児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮すること。
第3 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動など
幼稚園は,地域の実態や保護者の要請により教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動について,学校教育法第22条及び第23条並びにこの章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏まえ実施すること。また,幼稚園の目的の達成に資するため,幼児の生活全体が豊かなものとなるよう...
第2章 ねらい及び内容
この章に示すねらいは,幼稚園修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情,意欲,態度などであり,内容は,ねらいを達成するために指導する事項である。これらを幼児の発達の側面から,心身の健康に関する領域「健康」,人とのかかわりに関する領域「人間関係」,身近な環境とのかかわり...
健 康 〔健康な心と体を育て,自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。〕
1 ねらい
(1) 明るく伸び伸びと行動し,充実感を味わう。
(2) 自分の体を十分に動かし,進んで運動しようとする。
(3) 健康,安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。
2 内容
(1) 先生や友達と触れ合い,安定感をもって行動する。
(2) いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
(3) 進んで戸外で遊ぶ。
(4) 様々な活動に親しみ,楽しんで取り組む。
(5) 先生や友達と食べることを楽しむ。
(6) 健康な生活のリズムを身に付ける。
(7) 身の回りを清潔にし,衣服の着脱,食事,排泄などの生活に必要な活動を自分でする。
(8) 幼稚園における生活の仕方を知り,自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する。
(9) 自分の健康に関心をもち,病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
(10) 危険な場所,危険な遊び方,災害時などの行動の仕方が分かり,安全に気を付けて行動する。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 心と体の健康は,相互に密接な関連があるものであることを踏まえ,幼児が教師や他の幼児との温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として,しなやかな心と体の発達を促すこと。特に,十分に体を動かす気持ちよさを体験し,自ら体を動かそうとする意欲が育つようにする...
(2) 様々な遊びの中で,幼児が興味や関心,能力に応じて全身を使って活動することにより,体を動かす楽しさを味わい,安全についての構えを身に付け,自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。
(3) 自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶことにより,体の諸機能の発達が促されることに留意し,幼児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。その際,幼児の動線に配慮した園庭や遊具の配置などを工夫すること。
(4) 健康な心と体を育てるためには食育を通じた望ましい食習慣の形成が大切であることを踏まえ,幼児の食生活の実情に配慮し,和やかな雰囲気の中で教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさを味わったり,様々な食べ物への興味や関心をもったりするなどし,進んで食べようとする気持ちが育つようにするこ...
(5) 基本的な生活習慣の形成に当たっては,家庭での生活経験に配慮し,幼児の自立心を育て,幼児が他の幼児とかかわりながら主体的な活動を展開する中で,生活に必要な習慣を身に付けるようにすること。
人間関係 〔他の人々と親しみ,支え合って生活するために,自立心を育て,人とかかわる力を養う。〕
1 ねらい
(1) 幼稚園生活を楽しみ,自分の力で行動することの充実感を味わう。
(2) 身近な人と親しみ,かかわりを深め,愛情や信頼感をもつ。
(3) 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
2 内容
(1) 先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
(2) 自分で考え,自分で行動する。
(3) 自分でできることは自分でする。
(4) いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
(5) 友達と積極的にかかわりながら喜びや悲しみを共感し合う。
(6) 自分の思ったことを相手に伝え,相手の思っていることに気付く。
(7) 友達のよさに気付き,一緒に活動する楽しさを味わう。
(8) 友達と楽しく活動する中で,共通の目的を見いだし,工夫したり,協力したりなどする。
(9) よいことや悪いことがあることに気付き,考えながら行動する。
(10) 友達とのかかわりを深め,思いやりをもつ。
(11) 友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き,守ろうとする。
(12) 共同の遊具や用具を大切にし,みんなで使う。
(13) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 教師との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人とかかわる基盤となることを考慮し,幼児が自ら周囲に働き掛けることにより多様な感情を体験し,試行錯誤しながら自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう,幼児の行動を見守りながら適切な援助を行うようにするこ...
(2) 幼児の主体的な活動は,他の幼児とのかかわりの中で深まり,豊かになるものであり,幼児はその中で互いに必要な存在であることを認識するようになることを踏まえ,一人一人を生かした集団を形成しながら人とかかわる力を育てていくようにすること。特に,集団の生活の中で,幼児が自己を発揮し,...
(3) 幼児が互いにかかわりを深め,協同して遊ぶようになるため,自ら行動する力を育てるようにするとともに,他の幼児と試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを味わうことができるようにすること。
(4) 道徳性の芽生えを培うに当たっては,基本的な生活習慣の形成を図るとともに,幼児が他の幼児とのかかわりの中で他人の存在に気付き,相手を尊重する気持ちをもって行動できるようにし,また,自然や身近な動植物に親しむことなどを通して豊かな心情が育つようにすること。特に,人に対する信頼感...
(5) 集団の生活を通して,幼児が人とのかかわりを深め,規範意識の芽生えが培われることを考慮し,幼児が教師との信頼関係に支えられて自己を発揮する中で,互いに思いを主張し,折り合いを付ける体験をし,きまりの必要性などに気付き,自分の気持ちを調整する力が育つようにすること。
(6) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人と触れ合い,自分の感情や意志を表現しながら共に楽しみ,共感し合う体験を通して,これらの人々などに親しみをもち,人とかかわることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにすること。また,生活を通して親や...
環 境 〔周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもってかかわり,それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。〕
1 ねらい
(1) 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
(2) 身近な環境に自分からかかわり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようとする。
(3) 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。
2 内容
(1) 自然に触れて生活し,その大きさ,美しさ,不思議さなどに気付く。
(2) 生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
(3) 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
(4) 自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。
(5) 身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。
(6) 身近な物を大切にする。
(7) 身近な物や遊具に興味をもってかかわり,考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。
(8) 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
(9) 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。
(10) 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
(11) 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 幼児が,遊びの中で周囲の環境とかかわり,次第に周囲の世界に好奇心を抱き,その意味や操作の仕方に関心をもち,物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。特に,他の幼児の考えなどに触れ,新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自ら考えよう...
(2) 幼児期において自然のもつ意味は大きく,自然の大きさ,美しさ,不思議さなどに直接触れる体験を通して,幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎が培われることを踏まえ,幼児が自然とのかかわりを深めることができるよう工夫すること。
(3) 身近な事象や動植物に対する感動を伝え合い,共感し合うことなどを通して自分からかかわろうとする意欲を育てるとともに,様々なかかわり方を通してそれらに対する親しみや畏敬の念,生命を大切にする気持ち,公共心,探究心などが養われるようにすること。
(4) 数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし,数量や文字などに関する興味や関心,感覚が養われるようにすること。
言 葉 〔経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。〕
1 ねらい
(1) 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
(2) 人の言葉や話などをよく聞き,自分の経験したことや考えたことを話し,伝え合う喜びを味わう。
(3) 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,先生や友達と心を通わせる。
2 内容
(1) 先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち,親しみをもって聞いたり,話したりする。
(2) したり,見たり,聞いたり,感じたり,考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
(3) したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。
(4) 人の話を注意して聞き,相手に分かるように話す。
(5) 生活の中で必要な言葉が分かり,使う。
(6) 親しみをもって日常のあいさつをする。
(7) 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
(8) いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
(9) 絵本や物語などに親しみ,興味をもって聞き,想像をする楽しさを味わう。
(10) 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 言葉は,身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものであることを考慮して,幼児が教師や他の幼児とかかわることにより心を動かすような体験をし,言葉を交わす喜びを味わえるようにすること。
(2) 幼児が自分の思いを言葉で伝えるとともに,教師や他の幼児などの話を興味をもって注意して聞くことを通して次第に話を理解するようになっていき,言葉による伝え合いができるようにすること。
(3) 絵本や物語などで,その内容と自分の経験とを結び付けたり,想像を巡らせたりするなど,楽しみを十分に味わうことによって,次第に豊かなイメージをもち,言葉に対する感覚が養われるようにすること。
(4) 幼児が日常生活の中で,文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい,文字に対する興味や関心をもつようにすること。
表現 〔感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。〕
1 ねらい
(1) いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
(2) 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
(3) 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。
2 内容
(1) 生活の中で様々な音,色,形,手触り,動きなどに気付いたり,感じたりするなどして楽しむ。
(2) 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする。
(3) 様々な出来事の中で,感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
(4) 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。
(5) いろいろな素材に親しみ,工夫して遊ぶ。
(6) 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
(7) かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりなどする。
(8) 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり,演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 豊かな感性は,自然などの身近な環境と十分にかかわる中で美しいもの,優れたもの,心を動かす出来事などに出会い,そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して養われるようにすること。
(2) 幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて,幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。
(3) 生活経験や発達に応じ,自ら様々な表現を楽しみ,表現する意欲を十分に発揮させることができるように,遊具や用具などを整えたり,他の幼児の表現に触れられるよう配慮したりし,表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫すること。
第3章 指導計画及び教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
第1 指導計画の作成に当たっての留意事項
幼稚園教育は,幼児が自ら意欲をもって環境とかかわることによりつくり出される具体的な活動を通して,その目標の達成を図るものである。 幼稚園においてはこのことを踏まえ,幼児期にふさわしい生活が展開され,適切な指導が行われるよう,次の事項に留意して調和のとれた組織的,発展的な指導計画...
1 一般的な留意事項
(1) 指導計画は,幼児の発達に即して一人一人の幼児が幼児期にふさわしい生活を展開し,必要な体験を得られるようにするために,具体的に作成すること。
(2) 指導計画の作成に当たっては,次に示すところにより,具体的なねらい及び内容を明確に設定し,適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにすること。
ア 具体的なねらい及び内容は,幼稚園生活における幼児の発達の過程を見通し,幼児の生活の連続性,季節の変化などを考慮して,幼児の興味や関心,発達の実情などに応じて設定すること。
イ 環境は,具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し,幼児が自らその環境にかかわることにより様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにすること。その際,幼児の生活する姿や発想を大切にし,常にその環境が適切なものとなるようにすること。
ウ 幼児の行う具体的な活動は,生活の流れの中で様々に変化するものであることに留意し,幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をすること。
その際,幼児の実態及び幼児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての反省や評価を適切に行い,常に指導計画の改善を図ること。
(3) 幼児の生活は,入園当初の一人一人の遊びや教師との触れ合いを通して幼稚園生活に親しみ,安定していく時期から,やがて友達同士で目的をもって幼稚園生活を展開し,深めていく時期などに至るまでの過程を様々に経ながら広げられていくものであることを考慮し,活動がそれぞれの時期にふさわしく...
(4) 幼児が様々な人やものとのかかわりを通して,多様な体験をし,心身の調和のとれた発達を促すようにしていくこと。その際,心が動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し,一つ一つの体験が相互に結び付き,幼稚園生活が充実するようにすること。
(5) 長期的に発達を見通した年,学期,月などにわたる長期の指導計画やこれとの関連を保ちながらより具体的な幼児の生活に即した週,日などの短期の指導計画を作成し,適切な指導が行われるようにすること。特に,週,日などの短期の指導計画については,幼児の生活のリズムに配慮し,幼児の意識や興...
(6) 幼児の行う活動は,個人,グループ,学級全体などで多様に展開されるものであるが,いずれの場合にも,幼稚園全体の教師による協力体制をつくりながら,一人一人の幼児が興味や欲求を十分に満足させるよう適切な援助を行うようにすること。
(7) 幼児の主体的な活動を促すためには,教師が多様なかかわりをもつことが重要であることを踏まえ,教師は,理解者,共同作業者など様々な役割を果たし,幼児の発達に必要な豊かな体験が得られるよう,活動の場面に応じて,適切な指導を行うようにすること。
(8) 幼児の生活は,家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりをもつものであることに留意し,家庭との連携を十分に図るなど,幼稚園における生活が家庭や地域社会と連続性を保ちつつ展開されるようにすること。その際,地域の自然,人材,行事や公共施設などの地域の資源を積極的に活用し,幼児...
(9) 幼稚園においては,幼稚園教育が,小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し,幼児期にふさわしい生活を通して,創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。
2 特に留意する事項
(1) 安全に関する指導に当たっては,情緒の安定を図り,遊びを通して状況に応じて機敏に自分の体を動かすことができるようにするとともに,危険な場所や事物などが分かり,安全についての理解を深めるようにすること。また,交通安全の習慣を身に付けるようにするとともに,災害などの緊急時に適切な...
(2) 障害のある幼児の指導に当たっては,集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し,特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉などの業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個...
(3) 幼児の社会性や豊かな人間性をはぐくむため,地域や幼稚園の実態等により,特別支援学校などの障害のある幼児との活動を共にする機会を積極的に設けるよう配慮すること。
(4) 行事の指導に当たっては,幼稚園生活の自然の流れの中で生活に変化や潤いを与え,幼児が主体的に楽しく活動できるようにすること。なお,それぞれの行事についてはその教育的価値を十分検討し,適切なものを精選し,幼児の負担にならないようにすること。
(5) 幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続のため,幼児と児童の交流の機会を設けたり,小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会を設けたりするなど,連携を図るようにすること。
第2 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
1 地域の実態や保護者の要請により,教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動については,幼児の心身の負担に配慮すること。また,以下の点にも留意すること。
(1) 教育課程に基づく活動を考慮し,幼児期にふさわしい無理のないものとなるようにすること。その際,教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図るようにすること。
(2) 家庭や地域での幼児の生活も考慮し,教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画を作成するようにすること。その際,地域の様々な資源を活用しつつ,多様な体験ができるようにすること。
(3) 家庭との緊密な連携を図るようにすること。その際,情報交換の機会を設けたりするなど,保護者が,幼稚園と共に幼児を育てるという意識が高まるようにすること。
(4) 地域の実態や保護者の事情とともに幼児の生活のリズムを踏まえつつ,例えば実施日数や時間などについて,弾力的な運用に配慮すること。
(5) 適切な指導体制を整備した上で,幼稚園の教師の責任と指導の下に行うようにすること。
2 幼稚園の運営に当たっては,子育ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放して,園内体制の整備や関係機関との連携及び協力に配慮しつつ,幼児期の教育に関する相談に応じたり,情報を提供したり,幼児と保護者との登園を受け入れたり,保護者同士の交流の機会を提供したりするなど,地...
第1章 総則
第1 教育課程編成の一般方針
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,児童の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び児童の心身の発達の段階や特性を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものと...
2 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」 という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならな...
3 学校における体育・健康に関する指導は,児童の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科の時間はもとより,家庭科,特別活動な...
第2 内容等の取扱いに関する共通的事項
1 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,全ての児童に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,こ...
3 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動並びに各学年の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
4 学年の目標及び内容を2学年まとめて示した教科及び外国語活動の内容は,2学年間かけて指導する事項を示したものである。各学校においては,これらの事項を地域や学校及び児童の実態に応じ,2学年間を見通して計画的に指導することとし,特に示す場合を除き,いずれかの学年に分けて,又はいずれの...
5 学校において2以上の学年の児童で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。
6 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とする。
第3 授業時数等の取扱い
1 各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,1及び3において,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。)の授業は,年間35週(第1学年については34週)以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が児童...
2 特別活動の授業のうち,児童会活動,クラブ活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
3 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数を確保しつつ,児童の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとする。
4 各学校においては,地域や学校及び児童の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することができる。
5 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
1 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
(2) 学年の目標及び内容を2学年まとめて示した教科及び外国語活動については,当該学年間を見通して,地域や学校及び児童の実態に応じ,児童の発達の段階を考慮しつつ,効果的,段階的に指導するようにすること。
(3) 各教科の各学年の指導内容については,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,効果的な指導ができるようにすること。
(4) 児童の実態等を考慮し,指導の効果を高めるため,合科的・関連的な指導を進めること。
2 各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各教科等の指導に当たっては,児童の思考力,判断力,表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め,言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え,児童の言語活動を充実すること。
(2) 各教科等の指導に当たっては,体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視するとともに,児童の興味・関心を生かし,自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
(3) 日ごろから学級経営の充実を図り,教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間関係を育てるとともに児童理解を深め,生徒指導の充実を図ること。
(4) 各教科等の指導に当たっては,児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること。
(5) 各教科等の指導に当たっては,児童が学習課題や活動を選択したり,自らの将来について考えたりする機会を設けるなど工夫すること。
(6) 各教科等の指導に当たっては,児童が学習内容を確実に身に付けることができるよう,学校や児童の実態に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,学習内容の習熟の程度に応じた指導,児童の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導,教師...
(7) 障害のある児童などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行う...
(8) 海外から帰国した児童などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うこと。
(9) 各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの...
(10) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(11) 児童のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(12) 学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,小学校間,幼稚園や保育所,中学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などと...
3 道徳教育を進めるに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校においては,第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」 という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。 なお,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,児童,...
(2) 各学校においては,児童の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,各学年を通じて,自立心や自律性,生命を尊重する心や他者を思いやる心を育てることに留意すること。また,各学年段階においては,次の事項に留意すること。
ア 第1学年及び第2学年においては,挨拶などの基本的な生活習慣を身に付けること,善悪を判断し,してはならないことをしないこと,社会生活上のきまりを守ること。
イ 第3学年及び第4学年においては,善悪を判断し,正しいと判断したことを行うこと,身近な人々と協力し助け合うこと,集団や社会のきまりを守ること。
ウ 第5学年及び第6学年においては,相手の考え方や立場を理解して支え合うこと,法やきまりの意義を理解して進んで守ること,集団生活の充実に努めること,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重すること。
(3) 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,児童の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意...
(4) 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
第2章 各 教 科
第1節 国語
第1 目標 国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力及び言語感覚を養い,国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 相手に応じ,身近なことなどについて,事柄の順序を考えながら話す能力,大事なことを落とさないように聞く能力,話題に沿って話し合う能力を身に付けさせるとともに,進んで話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 経験したことや想像したことなどについて,順序を整理し,簡単な構成を考えて文や文章を書く能力を身に付けさせるとともに,進んで書こうとする態度を育てる。
(3) 書かれている事柄の順序や場面の様子などに気付いたり,想像を広げたりしながら読む能力を身に付けさせるとともに,楽しんで読書しようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 身近なことや経験したことなどから話題を決め,必要な事柄を思い出すこと。
イ 相手に応じて,話す事柄を順序立て,丁寧な言葉と普通の言葉との違いに気を付けて話すこと。
ウ 姿勢や口形,声の大きさや速さなどに注意して,はっきりした発音で話すこと。
エ 大事なことを落とさないようにしながら,興味をもって聞くこと。
オ 互いの話を集中して聞き,話題に沿って話し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 事物の説明や経験の報告をしたり,それらを聞いて感想を述べたりすること。
イ 尋ねたり応答したり,グループで話し合って考えを一つにまとめたりすること。
ウ 場面に合わせてあいさつをしたり,必要なことについて身近な人と連絡をし合ったりすること。
エ 知らせたいことなどについて身近な人に紹介したり,それを聞いたりすること。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 経験したことや想像したことなどから書くことを決め,書こうとする題材に必要な事柄を集めること。
イ 自分の考えが明確になるように,事柄の順序に沿って簡単な構成を考えること。
ウ 語と語や文と文との続き方に注意しながら,つながりのある文や文章を書くこと。
エ 文章を読み返す習慣を付けるとともに,間違いなどに気付き,正すこと。
オ 書いたものを読み合い,よいところを見付けて感想を伝え合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 想像したことなどを文章に書くこと。
イ 経験したことを報告する文章や観察したことを記録する文章などを書くこと。
ウ 身近な事物を簡単に説明する文章などを書くこと。
エ 紹介したいことをメモにまとめたり,文章に書いたりすること。
オ 伝えたいことを簡単な手紙に書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。
イ 時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと。
ウ 場面の様子について,登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。
エ 文章の中の大事な言葉や文を書き抜くこと。
オ 文章の内容と自分の経験とを結び付けて,自分の思いや考えをまとめ,発表し合うこと。
カ 楽しんだり知識を得たりするために,本や文章を選んで読むこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 本や文章を楽しんだり,想像を広げたりしながら読むこと。
イ 物語の読み聞かせを聞いたり,物語を演じたりすること。
ウ 事物の仕組みなどについて説明した本や文章を読むこと。
エ 物語や,科学的なことについて書いた本や文章を読んで,感想を書くこと。
オ 読んだ本について,好きなところを紹介すること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり,発表し合ったりすること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 言葉には,事物の内容を表す働きや,経験したことを伝える働きがあることに気付くこと。
(イ) 音節と文字との関係や,アクセントによる語の意味の違いなどに気付くこと。
(ウ) 言葉には,意味による語句のまとまりがあることに気付くこと。
(エ) 長音,拗《よう》音,促音,撥《はつ》音などの表記ができ,助詞の「は」,「へ」及び「を」を文の中で正しく使うこと。
(オ) 句読点の打ち方や,かぎ(「 」)の使い方を理解して文章の中で使うこと。
(カ) 文の中における主語と述語との関係に注意すること。
(キ) 敬体で書かれた文章に慣れること。
ウ 文字に関する事項
(ア) 平仮名及び片仮名を読み,書くこと。また,片仮名で書く語の種類を知り,文や文章の中で使うこと。
(イ) 第1学年においては,別表の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)の第1学年に配当されている漢字を読み,漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(ウ) 第2学年においては,学年別漢字配当表の第2学年までに配当されている漢字を読むこと。また,第1学年に配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,第2学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 姿勢や筆記具の持ち方を正しくし,文字の形に注意しながら,丁寧に書くこと。
イ 点画の長短や方向,接し方や交わり方などに注意して,筆順に従って文字を正しく書くこと。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 相手や目的に応じ,調べたことなどについて,筋道を立てて話す能力,話の中心に気を付けて聞く能力,進行に沿って話し合う能力を身に付けさせるとともに,工夫をしながら話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 相手や目的に応じ,調べたことなどが伝わるように,段落相互の関係などに注意して文章を書く能力を身に付けさせるとともに,工夫をしながら書こうとする態度を育てる。
(3) 目的に応じ,内容の中心をとらえたり段落相互の関係を考えたりしながら読む能力を身に付けさせるとともに,幅広く読書しようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 関心のあることなどから話題を決め,必要な事柄について調べ,要点をメモすること。
イ 相手や目的に応じて,理由や事例などを挙げながら筋道を立て,丁寧な言葉を用いるなど適切な言葉遣いで話すこと。
ウ 相手を見たり,言葉の抑揚や強弱,間の取り方などに注意したりして話すこと。
エ 話の中心に気を付けて聞き,質問をしたり感想を述べたりすること。
オ 互いの考えの共通点や相違点を考え,司会や提案などの役割を果たしながら,進行に沿って話し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 出来事の説明や調査の報告をしたり,それらを聞いて意見を述べたりすること。
イ 学級全体で話し合って考えをまとめたり,意見を述べ合ったりすること。
ウ 図表や絵,写真などから読み取ったことを基に話したり,聞いたりすること。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 関心のあることなどから書くことを決め,相手や目的に応じて,書く上で必要な事柄を調べること。
イ 文章全体における段落の役割を理解し,自分の考えが明確になるように,段落相互の関係などに注意して文章を構成すること。
ウ 書こうとすることの中心を明確にし,目的や必要に応じて理由や事例を挙げて書くこと。
エ 文章の敬体と常体との違いに注意しながら書くこと。
オ 文章の間違いを正したり,よりよい表現に書き直したりすること。
カ 書いたものを発表し合い,書き手の考えの明確さなどについて意見を述べ合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 身近なこと,想像したことなどを基に,詩をつくったり,物語を書いたりすること。
イ 疑問に思ったことを調べて,報告する文章を書いたり,学級新聞などに表したりすること。
ウ 収集した資料を効果的に使い,説明する文章などを書くこと。
エ 目的に合わせて依頼状,案内状,礼状などの手紙を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 内容の中心や場面の様子がよく分かるように音読すること。
イ 目的に応じて,中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え,文章を読むこと。
ウ 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと。
エ 目的や必要に応じて,文章の要点や細かい点に注意しながら読み,文章などを引用したり要約したりすること。
オ 文章を読んで考えたことを発表し合い,一人一人の感じ方について違いのあることに気付くこと。
カ 目的に応じて,いろいろな本や文章を選んで読むこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 物語や詩を読み,感想を述べ合うこと。
イ 記録や報告の文章,図鑑や事典などを読んで利用すること。
ウ 記録や報告の文章を読んでまとめたものを読み合うこと。
エ 紹介したい本を取り上げて説明すること。
オ 必要な情報を得るために,読んだ内容に関連した他の本や文章などを読むこと。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 易しい文語調の短歌や俳句について,情景を思い浮かべたり,リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。
(イ) 長い間使われてきたことわざや慣用句,故事成語などの意味を知り,使うこと。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 言葉には,考えたことや思ったことを表す働きがあることに気付くこと。
(イ) 漢字と仮名を用いた表記などに関心をもつこと。
(ウ) 送り仮名に注意して書き,また,活用についての意識をもつこと。
(エ) 句読点を適切に打ち,また,段落の始め,会話の部分などの必要な箇所は行を改めて書くこと。
(オ) 表現したり理解したりするために必要な語句を増し,また,語句には性質や役割の上で類別があることを理解すること。
(カ) 表現したり理解したりするために必要な文字や語句について,辞書を利用して調べる方法を理解し,調べる習慣を付けること。
(キ) 修飾と被修飾との関係など,文の構成について初歩的な理解をもつこと。
(ク) 指示語や接続語が文と文との意味のつながりに果たす役割を理解し,使うこと。
ウ 文字に関する事項
(ア) 第3学年においては,日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,また,ローマ字で書くこと。
(イ) 第3学年及び第4学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(ウ) 漢字のへん,つくりなどの構成についての知識をもつこと。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 文字の組立て方を理解し,形を整えて書くこと。
イ 漢字や仮名の大きさ,配列に注意して書くこと。
ウ 点画の種類を理解するとともに,毛筆を使用して筆圧などに注意して書くこと。
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 目的や意図に応じ,考えたことや伝えたいことなどについて,的確に話す能力,相手の意図をつかみながら聞く能力,計画的に話し合う能力を身に付けさせるとともに,適切に話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,考えたことなどを文章全体の構成の効果を考えて文章に書く能力を身に付けさせるとともに,適切に書こうとする態度を育てる。
(3) 目的に応じ,内容や要旨をとらえながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 考えたことや伝えたいことなどから話題を決め,収集した知識や情報を関係付けること。
イ 目的や意図に応じて,事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら,場に応じた適切な言葉遣いで話すこと。
ウ 共通語と方言との違いを理解し,また,必要に応じて共通語で話すこと。
エ 話し手の意図をとらえながら聞き,自分の意見と比べるなどして考えをまとめること。
オ 互いの立場や意図をはっきりさせながら,計画的に話し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 資料を提示しながら説明や報告をしたり,それらを聞いて助言や提案をしたりすること。
イ 調べたことやまとめたことについて,討論などをすること。
ウ 事物や人物を推薦したり,それを聞いたりすること。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 考えたことなどから書くことを決め,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理すること。
イ 自分の考えを明確に表現するため,文章全体の構成の効果を考えること。
ウ 事実と感想,意見などとを区別するとともに,目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりすること。
エ 引用したり,図表やグラフなどを用いたりして,自分の考えが伝わるように書くこと。
オ 表現の効果などについて確かめたり工夫したりすること。
カ 書いたものを発表し合い,表現の仕方に着目して助言し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 経験したこと,想像したことなどを基に,詩や短歌,俳句をつくったり,物語や随筆などを書いたりすること。
イ 自分の課題について調べ,意見を記述した文章や活動を報告した文章などを書いたり編集したりすること。
ウ 事物のよさを多くの人に伝えるための文章を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をすること。
イ 目的に応じて,本や文章を比べて読むなど効果的な読み方を工夫すること。
ウ 目的に応じて,文章の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり,事実と感想,意見などとの関係を押さえ,自分の考えを明確にしながら読んだりすること。
エ 登場人物の相互関係や心情,場面についての描写をとらえ,優れた叙述について自分の考えをまとめること。
オ 本や文章を読んで考えたことを発表し合い,自分の考えを広げたり深めたりすること。
カ 目的に応じて,複数の本や文章などを選んで比べて読むこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 伝記を読み,自分の生き方について考えること。
イ 自分の課題を解決するために,意見を述べた文章や解説の文章などを利用すること。
ウ 編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと。
エ 本を読んで推薦の文章を書くこと。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 親しみやすい古文や漢文,近代以降の文語調の文章について,内容の大体を知り,音読すること。
(イ) 古典について解説した文章を読み,昔の人のものの見方や感じ方を知ること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 話し言葉と書き言葉との違いに気付くこと。
(イ) 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いに気付くこと。
(ウ) 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書くこと。
(エ) 語句の構成,変化などについての理解を深め,また,語句の由来などに関心をもつこと。
(オ) 文章の中での語句と語句との関係を理解すること。
(カ) 語感,言葉の使い方に対する感覚などについて関心をもつこと。
(キ) 文や文章にはいろいろな構成があることについて理解すること。
(ク) 日常よく使われる敬語の使い方に慣れること。
(ケ) 比喩《ゆ》や反復などの表現の工夫に気付くこと。
ウ 文字に関する事項
(ア) 第5学年及び第6学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(イ) 仮名及び漢字の由来,特質などについて理解すること。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 用紙全体との関係に注意し,文字の大きさや配列などを決めるとともに,書く速さを意識して書くこと。
イ 目的に応じて使用する筆記具を選び,その特徴を生かして書くこと。
ウ 毛筆を使用して,穂先の動きと点画のつながりを意識して書くこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり,その後の学年で程度を高めて取り上げたりして,弾力的に指導することができるようにすること。
(2) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕に示す事項については,相互に密接に関連付けて指導するようにするとともに,それぞれの能力が偏りなく養われるようにすること。その際,学校図書館などを計画的...
(3) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」に関する指導については,意図的,計画的に指導する機会が得られるように,第1学年及び第2学年では年間35単位時間程度,第3学年及び第4学年では年間30単位時間程度,第5学年及び第6学年では年間25単位時間程度を配当すること。その際,...
(4) 第2の各学年の内容の「B書くこと」に関する指導については,第1学年及び第2学年では年間100単位時間程度,第3学年及び第4学年では年間85単位時間程度,第5学年及び第6学年では年間55単位時間程度を配当すること。その際,実際に文章を書く活動をなるべく多くすること。
(5) 第2の各学年の内容の「C読むこと」に関する指導については,読書意欲を高め,日常生活において読書活動を活発に行うようにするとともに,他の教科における読書の指導や学校図書館における指導との関連を考えて行うこと。学校図書館の利用に際しては,本の題名や種類などに注目したり,索引を利...
(6) 低学年においては,生活科などとの関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては,幼稚園教育における言葉に関する内容などとの関連を考慮すること。
(7) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の各学年の内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕については,次のとおり取り扱うものとする。
(1) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 特定の事項をまとめて指導したり,繰り返して指導したりすることが必要な場合については,特にそれだけを取り上げて学習させるよう配慮すること。
イ 伝統的な言語文化に関する指導については,各学年で行い,古典に親しめるよう配慮すること。
ウ 漢字の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア) 学年ごとに配当されている漢字は,児童の学習負担に配慮しつつ,必要に応じて,当該学年以前の学年又は当該学年以降の学年において指導することもできること。
(イ) 当該学年より後の学年に配当されている漢字及びそれ以外の漢字については,振り仮名を付けるなど,児童の学習負担に配慮しつつ提示することができること。
(ウ) 漢字の指導においては,学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とすること。
(2) 硬筆を使用する書写の指導は各学年で行い,毛筆を使用する書写の指導は第3学年以上の各学年で行うこと。また,毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導し,文字を正しく整えて書くことができるようにするとともに,各学年年間30単位時間程度を配当すること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 教材は,話すこと・聞くことの能力,書くことの能力及び読むことの能力などを偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成を通して読書習慣を形成することをねらいとし,児童の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,第2の各学年の内容の「A話すこと・聞く...
(2) 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する関心を高め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力及び言語感覚を養うのに役立つこと。
ウ 公正かつ適切に判断する能力や態度を育てるのに役立つこと。
エ 科学的,論理的な見方や考え方をする態度を育て,視野を広げるのに役立つこと。
オ 生活を明るくし,強く正しく生きる意志を育てるのに役立つこと。
カ 生命を尊重し,他人を思いやる心を育てるのに役立つこと。
キ 自然を愛し,美しいものに感動する心を育てるのに役立つこと。
ク 我が国の伝統と文化に対する理解と愛情を育てるのに役立つこと。
ケ 日本人としての自覚をもって国を愛し,国家,社会の発展を願う態度を育てるのに役立つこと。
コ 世界の風土や文化などを理解し,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
(3) 第2の各学年の内容の「C読むこと」の教材については,説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うこと。
別表 学 年 別 漢 字 配 当 表
第一学年(80字)
一
右
雨
円
王
音
下
火
花
貝
学
気
九
休
玉
金
空
月
犬
見
五
口
校
左
三
山
子
四
糸
字
耳
七
車
手
十
出
女
小
上
森
人
水
正
生
青
夕
石
赤
千
川
先
早
草
足
村
大
男
竹
中
虫
町
天
田
土
二
日
入
年
白
八
百
文
木
本
名
目
立
力
林
六
第二学年(160字)
引
羽
雲
園
遠
何
科
夏
家
歌
画
回
会
海
絵
外
角
楽
活
間
丸
岩
顔
汽
記
帰
弓
牛
魚
京
強
教
近
兄
形
計
元
言
原
戸
古
午
後
語
工
公
広
交
光
考
行
高
黄
合
谷
国
黒
今
才
細
作
算
止
市
矢
姉
思
紙
寺
自
時
室
社
弱
首
秋
週
春
書
少
場
色
食
心
新
親
図
数
西
声
星
晴
切
雪
船
線
前
組
走
多
太
体
台
地
池
知
茶
昼
長
鳥
朝
直
通
弟
店
点
電
刀
冬
当
東
答
頭
同
道
読
内
南
肉
馬
売
買
麦
半
番
父
風
分
聞
米
歩
母
方
北
毎
妹
万
明
鳴
毛
門
夜
野
友
用
曜
来
里
理
話
第三学年(200字)
悪
安
暗
医
委
意
育
員
院
飲
運
泳
駅
央
横
屋
温
化
荷
界
開
階
寒
感
漢
館
岸
起
期
客
究
急
級
宮
球
去
橋
業
曲
局
銀
区
苦
具
君
係
軽
血
決
研
県
庫
湖
向
幸
港
号
根
祭
皿
仕
死
使
始
指
歯
詩
次
事
持
式
実
写
者
主
守
取
酒
受
州
拾
終
習
集
住
重
宿
所
暑
助
昭
消
商
章
勝
乗
植
申
身
神
真
深
進
世
整
昔
全
相
送
想
息
速
族
他
打
対
待
代
第
題
炭
短
談
着
注
柱
丁
帳
調
追
定
庭
笛
鉄
転
都
度
投
豆
島
湯
登
等
動
童
農
波
配
倍
箱
畑
発
反
坂
板
皮
悲
美
鼻
筆
氷
表
秒
病
品
負
部
服
福
物
平
返
勉
放
味
命
面
問
役
薬
由
油
有
遊
予
羊
洋
葉
陽
様
落
流
旅
両
緑
礼
列
練
路
和
第四学年(200字)
愛
案
以
衣
位
囲
胃
印
英
栄
塩
億
加
果
貨
課
芽
改
械
害
街
各
覚
完
官
管
関
観
願
希
季
紀
喜
旗
器
機
議
求
泣
救
給
挙
漁
共
協
鏡
競
極
訓
軍
郡
径
型
景
芸
欠
結
建
健
験
固
功
好
候
航
康
告
差
菜
最
材
昨
札
刷
殺
察
参
産
散
残
士
氏
史
司
試
児
治
辞
失
借
種
周
祝
順
初
松
笑
唱
焼
象
照
賞
臣
信
成
省
清
静
席
積
折
節
説
浅
戦
選
然
争
倉
巣
束
側
続
卒
孫
帯
隊
達
単
置
仲
貯
兆
腸
低
底
停
的
典
伝
徒
努
灯
堂
働
特
得
毒
熱
念
敗
梅
博
飯
飛
費
必
票
標
不
夫
付
府
副
粉
兵
別
辺
変
便
包
法
望
牧
末
満
未
脈
民
無
約
勇
要
養
浴
利
陸
良
料
量
輪
類
令
冷
例
歴
連
老
労
録
第五学年(185字)
圧
移
因
永
営
衛
易
益
液
演
応
往
桜
恩
可
仮
価
河
過
賀
快
解
格
確
額
刊
幹
慣
眼
基
寄
規
技
義
逆
久
旧
居
許
境
均
禁
句
群
経
潔
件
券
険
検
限
現
減
故
個
護
効
厚
耕
鉱
構
興
講
混
査
再
災
妻
採
際
在
財
罪
雑
酸
賛
支
志
枝
師
資
飼
示
似
識
質
舎
謝
授
修
述
術
準
序
招
承
証
条
状
常
情
織
職
制
性
政
勢
精
製
税
責
績
接
設
舌
絶
銭
祖
素
総
造
像
増
則
測
属
率
損
退
貸
態
団
断
築
張
提
程
適
敵
統
銅
導
徳
独
任
燃
能
破
犯
判
版
比
肥
非
備
俵
評
貧
布
婦
富
武
復
複
仏
編
弁
保
墓
報
豊
防
貿
暴
務
夢
迷
綿
輸
余
預
容
略
留
領
第六学年(181字)
異
遺
域
宇
映
延
沿
我
灰
拡
革
閣
割
株
干
巻
看
簡
危
机
揮
貴
疑
吸
供
胸
郷
勤
筋
系
敬
警
劇
激
穴
絹
権
憲
源
厳
己
呼
誤
后
孝
皇
紅
降
鋼
刻
穀
骨
困
砂
座
済
裁
策
冊
蚕
至
私
姿
視
詞
誌
磁
射
捨
尺
若
樹
収
宗
就
衆
従
縦
縮
熟
純
処
署
諸
除
将
傷
障
城
蒸
針
仁
垂
推
寸
盛
聖
誠
宣
専
泉
洗
染
善
奏
窓
創
装
層
操
蔵
臓
存
尊
宅
担
探
誕
段
暖
値
宙
忠
著
庁
頂
潮
賃
痛
展
討
党
糖
届
難
乳
認
納
脳
派
拝
背
肺
俳
班
晩
否
批
秘
腹
奮
並
陛
閉
片
補
暮
宝
訪
亡
忘
棒
枚
幕
密
盟
模
訳
郵
優
幼
欲
翌
乱
卵
覧
裏
律
臨
朗
論
第2節 社 会
第1 目標 社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 地域の産業や消費生活の様子,人々の健康な生活や良好な生活環境及び安全を守るための諸活動について理解できるようにし,地域社会の一員としての自覚をもつようにする。
(2) 地域の地理的環境,人々の生活の変化や地域の発展に尽くした先人の働きについて理解できるようにし,地域社会に対する誇りと愛情を育てるようにする。
(3) 地域における社会的事象を観察,調査するとともに,地図や各種の具体的資料を効果的に活用し,地域社会の社会的事象の特色や相互の関連などについて考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。
2 内容
(1) 自分たちの住んでいる身近な地域や市(区,町,村)について,次のことを観察,調査したり白地図にまとめたりして調べ,地域の様子は場所によって違いがあることを考えるようにする。
ア 身近な地域や市(区,町,村)の特色ある地形,土地利用の様子,主な公共施設などの場所と働き,交通の様子,古くから残る建造物など
(2) 地域の人々の生産や販売について,次のことを見学したり調査したりして調べ,それらの仕事に携わっている人々の工夫を考えるようにする。
ア 地域には生産や販売に関する仕事があり,それらは自分たちの生活を支えていること。
イ 地域の人々の生産や販売に見られる仕事の特色及び国内の他地域などとのかかわり
(3) 地域の人々の生活にとって必要な飲料水,電気,ガスの確保や廃棄物の処理について,次のことを見学,調査したり資料を活用したりして調べ,これらの対策や事業は地域の人々の健康な生活や良好な生活環境の維持と向上に役立っていることを考えるようにする。
ア 飲料水,電気,ガスの確保や廃棄物の処理と自分たちの生活や産業とのかかわり
イ これらの対策や事業は計画的,協力的に進められていること。
(4) 地域社会における災害及び事故の防止について,次のことを見学,調査したり資料を活用したりして調べ,人々の安全を守るための関係機関の働きとそこに従事している人々や地域の人々の工夫や努力を考えるようにする。
ア 関係機関は地域の人々と協力して,災害や事故の防止に努めていること。
イ 関係の諸機関が相互に連携して,緊急に対処する体制をとっていること。
(5) 地域の人々の生活について,次のことを見学,調査したり年表にまとめたりして調べ,人々の生活の変化や人々の願い,地域の人々の生活の向上に尽くした先人の働きや苦心を考えるようにする。
ア 古くから残る暮らしにかかわる道具,それらを使っていたころの暮らしの様子
イ 地域の人々が受け継いできた文化財や年中行事
ウ 地域の発展に尽くした先人の具体的事例
(6) 県(都,道,府)の様子について,次のことを資料を活用したり白地図にまとめたりして調べ,県(都,道,府)の特色を考えるようにする。
ア 県(都,道,府)内における自分たちの市(区,町,村)及び我が国における自分たちの県(都,道,府)の地理的位置,47都道府県の名称と位置
イ 県(都,道,府)全体の地形や主な産業の概要,交通網の様子や主な都市の位置
ウ 県(都,道,府)内の特色ある地域の人々の生活
エ 人々の生活や産業と国内の他地域や外国とのかかわり
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)については,方位や主な地図記号について扱うものとする。
(2) 内容の(2)のイについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「生産」については,農家,工場などの中から選択して取り上げること。
イ 「販売」については,商店を取り上げ,販売者の側の工夫を消費者の側の工夫と関連付けて扱うようにすること。
ウ 「国内の他地域など」については,外国とのかかわりにも気付くよう配慮すること。
(3) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「飲料水,電気,ガス」については,それらの中から選択して取り上げ,節水や節電などの資源の有効な利用についても扱うこと。
イ 「廃棄物の処理」については,ごみ,下水のいずれかを選択して取り上げ,廃棄物を資源として活用していることについても扱うこと。
(4) 内容の(4)の「災害」については,火災,風水害,地震などの中から選択して取り上げ,「事故の防止」については,交通事故などの事故防止や防犯を取り上げるものとする。
(5) 内容の(3)及び(4)にかかわって,地域の社会生活を営む上で大切な法やきまりについて扱うものとする。
(6) 内容の(5)のウの「具体的事例」については,開発,教育,文化,産業などの地域の発展に尽くした先人の中から選択して取り上げるものとする。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア ウについては,自然環境,伝統や文化などの地域の資源を保護・活用している地域を取り上げること。その際,伝統的な工業などの地場産業の盛んな地域を含めること。
イ エについては,我が国や外国には国旗があることを理解させ,それを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
〔第5学年〕
1 目標
(1) 我が国の国土の様子,国土の環境と国民生活との関連について理解できるようにし,環境の保全や自然災害の防止の重要性について関心を深め,国土に対する愛情を育てるようにする。
(2) 我が国の産業の様子,産業と国民生活との関連について理解できるようにし,我が国の産業の発展や社会の情報化の進展に関心をもつようにする。
(3) 社会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,統計などの各種の基礎的資料を効果的に活用し,社会的事象の意味について考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。
2 内容
(1) 我が国の国土の自然などの様子について,次のことを地図や地球儀,資料などを活用して調べ,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを考えるようにする。
ア 世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置,我が国の位置と領土
イ 国土の地形や気候の概要,自然条件から見て特色ある地域の人々の生活
ウ 公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さ
エ 国土の保全などのための森林資源の働き及び自然災害の防止
(2) 我が国の農業や水産業について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民の食料を確保する重要な役割を果たしていることや自然環境と深いかかわりをもって営まれていることを考えるようにする。
ア 様々な食料生産が国民の食生活を支えていること,食料の中には外国から輸入しているものがあること。
イ 我が国の主な食料生産物の分布や土地利用の特色など
ウ 食料生産に従事している人々の工夫や努力,生産地と消費地を結ぶ運輸などの働き
(3) 我が国の工業生産について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民生活を支える重要な役割を果たしていることを考えるようにする。
ア 様々な工業製品が国民生活を支えていること。
イ 我が国の各種の工業生産や工業地域の分布など
ウ 工業生産に従事している人々の工夫や努力,工業生産を支える貿易や運輸などの働き
(4) 我が国の情報産業や情報化した社会の様子について,次のことを調査したり資料を活用したりして調べ,情報化の進展は国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用が大切であることを考えるようにする。
ア 放送,新聞などの産業と国民生活とのかかわり
イ 情報化した社会の様子と国民生活とのかかわり
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「主な国」については,近隣の諸国を含めて取り上げるものとすること。その際,我が国や諸外国には国旗があることを理解するとともに,それを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
イ イの「自然条件から見て特色ある地域」については,事例地を選択して取り上げ,自然環境に適応しながら生活している人々の工夫を具体的に扱うこと。
ウ ウについては,大気の汚染,水質の汚濁などの中から具体的事例を選択して取り上げること。
エ エについては,我が国の国土保全等の観点から扱うようにし,森林資源の育成や保護に従事している人々の工夫や努力及び環境保全のための国民一人一人の協力の必要性に気付くよう配慮すること。
(2) 内容の(2)のウについては,農業や水産業の盛んな地域の具体的事例を通して調べることとし,稲作のほか,野菜,果物,畜産物,水産物などの生産の中から一つを取り上げるものとする。
(3) 内容の(3)のウについては,工業の盛んな地域の具体的事例を通して調べることとし,金属工業,機械工業,石油化学工業,食料品工業などの中から一つを取り上げるものとする。
(4) 内容の(2)のウ及び(3)のウにかかわって,価格や費用,交通網について取り扱うものとする。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,放送,新聞などの中から選択して取り上げること。
イ イについては,情報ネットワークを有効に活用して公共サービスの向上に努めている教育,福祉,医療,防災などの中から選択して取り上げること。
〔第6学年〕
1 目標
(1) 国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について興味・関心と理解を深めるようにするとともに,我が国の歴史や伝統を大切にし,国を愛する心情を育てるようにする。
(2) 日常生活における政治の働きと我が国の政治の考え方及び我が国と関係の深い国の生活や国際社会における我が国の役割を理解できるようにし,平和を願う日本人として世界の国々の人々と共に生きていくことが大切であることを自覚できるようにする。
(3) 社会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,年表などの各種の基礎的資料を効果的に活用し,社会的事象の意味をより広い視野から考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。
2 内容
(1) 我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や文化財,資料などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにするとともに,自分たちの生活の歴史的背景,我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにする。
ア 狩猟・採集や農耕の生活,古墳について調べ,大和朝廷による国土の統一の様子が分かること。その際,神話・伝承を調べ,国の形成に関する考え方などに関心をもつこと。
イ 大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子,貴族の生活について調べ,天皇を中心とした政治が確立されたことや日本風の文化が起こったことが分かること。
ウ 源平の戦い,鎌倉《かまくら》幕府の始まり,元との戦いについて調べ,武士による政治が始まったことが分かること。
エ 京都の室町に幕府が置かれたころの代表的な建造物や絵画について調べ,室町文化が生まれたことが分かること。
オ キリスト教の伝来,織田《おだ》・豊臣《とよとみ》の天下統一,江戸幕府の始まり,参勤交代,鎖国について調べ,戦国の世が統一され,身分制度が確立し武士による政治が安定したことが分かること。
カ 歌舞伎《かぶき》や浮世絵,国学や蘭学《らんがく》について調べ,町人の文化が栄え新しい学問が起こったことが分かること。
キ 黒船の来航,明治維新,文明開化などについて調べ,廃藩置県や四民平等などの諸改革を行い,欧米の文化を取り入れつつ近代化を進めたことが分かること。
ク 大日本帝国憲法の発布,日清《にっしん》・日露の戦争,条約改正,科学の発展などについて調べ,我が国の国力が充実し国際的地位が向上したことが分かること。
ケ 日華事変,我が国にかかわる第二次世界大戦,日本国憲法の制定,オリンピックの開催などについて調べ,戦後我が国は民主的な国家として出発し,国民生活が向上し国際社会の中で重要な役割を果たしてきたことが分かること。
(2) 我が国の政治の働きについて,次のことを調査したり資料を活用したりして調べ,国民主権と関連付けて政治は国民生活の安定と向上を図るために大切な働きをしていること,現在の我が国の民主政治は日本国憲法の基本的な考え方に基づいていることを考えるようにする。
ア 国民生活には地方公共団体や国の政治の働きが反映していること。
イ 日本国憲法は,国家の理想,天皇の地位,国民としての権利及び義務など国家や国民生活の基本を定めていること。
(3) 世界の中の日本の役割について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,外国の人々と共に生きていくためには異なる文化や習慣を理解し合うことが大切であること,世界平和の大切さと我が国が世界において重要な役割を果たしていることを考えるようにする。
ア 我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子
イ 我が国の国際交流や国際協力の様子及び平和な国際社会の実現に努力している国際連合の働き
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 児童の興味・関心を重視し,取り上げる人物や文化遺産の重点の置き方に工夫を加えるなど,精選して具体的に理解できるようにすること。その際,ケの指導に当たっては,児童の発達の段階を考慮すること。
イ 歴史学習全体を通して,我が国は長い歴史をもち伝統や文化をはぐくんできたこと,我が国の歴史は政治の中心地や世の中の様子などによって幾つかの時期に分けられることに気付くようにすること。
ウ アの「神話・伝承」については,古事記,日本書紀,風土記などの中から適切なものを取り上げること。
エ アからクまでについては,例えば,次に掲げる人物を取り上げ,人物の働きを通して学習できるように指導すること。
卑弥呼《ひみこ》
聖徳太子《しょうとくたいし》
小野妹子《おののいもこ》
中大兄皇子《なかのおおえのおうじ》
中臣鎌足《なかとみのかまたり》
聖武《しょうむ》天皇
行基《ぎょうき》
鑑真《がんじん》
藤原道長《ふじわらのみちなが》
紫 式部《むらさきしきぶ》
清少納言《せいしょうなごん》
平 清盛《たいらのきよもり》
源 頼朝《みなもとのよりとも》
源 義経《みなもとのよしつね》
北条時宗《ほうじょうときむね》
足利義満《あしかがよしみつ》
足利義政《あしかがよしまさ》
雪舟《せっしゅう》
ザビエル
織田信長《おだのぶなが》
豊臣秀吉《とよとみひでよし》
徳川家康《とくがわいえやす》
徳川家光《とくがわいえみつ》
近松門左衛門《ちかまつもんざえもん》
歌川《うたがわ》(安藤《あんどう》)広重《ひろしげ》
本居宣長《もとおりのりなが》
杉田玄白《すぎたげんぱく》
伊能忠敬《いのうただたか》
ペリー
勝海舟《かつかいしゅう》
西郷隆盛《さいごうたかもり》
大久保利通《おおくぼとしみつ》
木戸孝允《きどたかよし》
明治天皇
福沢諭吉《ふくざわゆきち》
大隈重信《おおくましげのぶ》
板垣退助《いたがきたいすけ》
伊藤博文《いとうひろぶみ》
陸奥宗光《むつむねみつ》
東郷平八郎《とうごうへいはちろう》
小村寿太郎《こむらじゅたろう》
野口英世《のぐちひでよ》
オ アからケまでについては,例えば,国宝,重要文化財に指定されているものや,そのうち世界文化遺産に登録されているものなどを取り上げ,我が国の代表的な文化遺産を通して学習できるように配慮すること。
(2) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 政治の働きと国民生活との関係を具体的に指導する際には,各々の国民の祝日に関心をもち,その意義を考えさせるよう配慮すること。
イ 国会などの議会政治や選挙の意味,国会と内閣と裁判所の三権相互の関連,国民の司法参加,租税の役割などについても扱うようにすること。
ウ アの「地方公共団体や国の政治の働き」については,社会保障,災害復旧の取組,地域の開発などの中から選択して取り上げ,具体的に調べられるようにすること。
エ イの「天皇の地位」については,日本国憲法に定める天皇の国事に関する行為など児童に理解しやすい具体的な事項を取り上げ,歴史に関する学習との関連も図りながら,天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること。また,イの「国民としての権利及び義務」については,参政権,納税の義務など...
(3) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,我が国とつながりが深い国から数か国を取り上げること。その際,それらの中から児童が一か国を選択して調べるよう配慮し,様々な外国の文化を具体的に理解できるようにするとともに,我が国や諸外国の伝統や文化を尊重しようとする態度を養うこと。
イ イの「国際交流」についてはスポーツ,文化の中から,「国際協力」については教育,医学,農業などの分野で世界に貢献している事例の中から,それぞれ選択して取り上げ,国際社会における我が国の役割を具体的に考えるようにすること。
ウ イの「国際連合の働き」については,網羅的,抽象的な扱いにならないよう,ユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げて具体的に調べるようにすること。
エ ア及びイについては,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てるとともに,諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校においては,地域の実態を生かし,児童が興味・関心をもって学習に取り組めるようにするとともに,観察や調査・見学などの体験的な活動やそれに基づく表現活動の一層の充実を図ること。
(2) 博物館や郷土資料館等の施設の活用を図るとともに,身近な地域及び国土の遺跡や文化財などの観察や調査を取り入れるようにすること。
(3) 学校図書館や公共図書館,コンピュータなどを活用して,資料の収集・活用・整理などを行うようにすること。また,第4学年以降においては,教科用図書「地図」を活用すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年の指導については,児童の発達の段階を考慮し社会的事象を公正に判断できるようにするとともに,個々の児童に社会的な見方や考え方が養われるようにすること。
(2) 各学年において,地図や統計資料などを効果的に活用し,我が国の都道府県の名称と位置を身に付けることができるように工夫して指導すること。
第3節 算 数
第1 目標 算数的活動を通して,数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え,表現する能力を育てるとともに,算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方について理解できるようにするとともに,加法及び減法の意味について理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 具体物を用いた活動などを通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を重ね,量の大きさについての感覚を豊かにする。
(3) 具体物を用いた活動などを通して,図形についての理解の基礎となる経験を重ね,図形についての感覚を豊かにする。
(4) 具体物を用いた活動などを通して,数量やその関係を言葉,数,式,図などに表したり読み取ったりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) ものの個数を数えることなどの活動を通して,数の意味について理解し,数を用いることができるようにする。
ア ものとものとを対応させることによって,ものの個数を比べること。
イ 個数や順番を正しく数えたり表したりすること。
ウ 数の大小や順序を考えることによって,数の系列を作ったり,数直線の上に表したりすること。
エ 一つの数をほかの数の和や差としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること。
オ 2位数の表し方について理解すること。
カ 簡単な場合について,3位数の表し方を知ること。
キ 数を十を単位としてみること。
(2) 加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 加法及び減法が用いられる場合について知ること。
イ 1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え,それらの計算が確実にできること。
ウ 簡単な場合について,2位数などの加法及び減法の計算の仕方を考えること。
B 量と測定
(1) 大きさを比較するなどの活動を通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を豊かにする。
ア 長さ,面積,体積を直接比べること。
イ 身の回りにあるものの大きさを単位として,その幾つ分かで大きさを比べること。
(2) 日常生活の中で時刻を読むことができるようにする。
C 図 形
(1) 身の回りにあるものの形についての観察や構成などの活動を通して,図形についての理解の基礎となる経験を豊かにする。
ア ものの形を認めたり,形の特徴をとらえたりすること。
イ 前後,左右,上下など方向や位置に関する言葉を正しく用いて,ものの位置を言い表すこと。
D 数量関係
(1) 加法及び減法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。
(2) ものの個数を絵や図などを用いて表したり読み取ったりすることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 具体物をまとめて数えたり等分したりし,それを整理して表す活動
イ 計算の意味や計算の仕方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして表す活動
ウ 身の回りにあるものの長さ,面積,体積を直接比べたり,他のものを用いて比べたりする活動
エ 身の回りから,いろいろな形を見付けたり,具体物を用いて形を作ったり分解したりする活動
オ 数量についての具体的な場面を式に表したり,式を具体的な場面に結び付けたりする活動
〔用語・記号〕
一の位
十の位
+
−
=
〔第2学年〕
1 目標
(1) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方についての理解を深めるとともに,加法及び減法についての理解を深め,用いることができるようにする。また,乗法の意味について理解し,その計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 具体物を用いた活動などを通して,長さや体積などの単位と測定について理解できるようにし,量の大きさについての感覚を豊かにする。
(3) 具体物を用いた活動などを通して,三角形や四角形などの図形について理解できるようにし,図形についての感覚を豊かにする。
(4) 具体物を用いた活動などを通して,数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり読み取ったりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 数の意味や表し方について理解し,数を用いる能力を伸ばす。
ア 同じ大きさの集まりにまとめて数えたり,分類して数えたりすること。
イ 4位数までについて,十進位取り記数法による数の表し方及び数の大小や順序について理解すること。
ウ 数を十や百を単位としてみるなど,数の相対的な大きさについて理解すること。
エ 一つの数をほかの数の積としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること。
オ 1/2,1/4など簡単な分数について知ること。
(2) 加法及び減法についての理解を深め,それらを用いる能力を伸ばす。
ア 2位数の加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え,それらの計算が1位数などについての基本的な計算を基にしてできることを理解し,それらの計算が確実にできること。また,それらの筆算の仕方について理解すること。
イ 簡単な場合について,3位数などの加法及び減法の計算の仕方を考えること。
ウ 加法及び減法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
(3) 乗法の意味について理解し,それを用いることができるようにする。
ア 乗法が用いられる場合について知ること。
イ 乗法に関して成り立つ簡単な性質を調べ,それを乗法九九を構成したり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
ウ 乗法九九について知り,1位数と1位数との乗法の計算が確実にできること。
エ 簡単な場合について,2位数と1位数との乗法の計算の仕方を考えること。
B 量と測定
(1) 長さについて単位と測定の意味を理解し,長さの測定ができるようにする。
ア 長さの単位(ミリメートル(mm),センチメートル(cm),メートル(m))について知ること。
(2) 体積について単位と測定の意味を理解し,体積の測定ができるようにする。
ア 体積の単位(ミリリットル(ml),デシリットル(dl),リットル(l))について知ること。
(3) 時間について理解し,それを用いることができるようにする。
ア 日,時,分について知り,それらの関係を理解すること。
C 図 形
(1) ものの形についての観察や構成などの活動を通して,図形を構成する要素に着目し,図形について理解できるようにする。
ア 三角形,四角形について知ること。
イ 正方形,長方形,直角三角形について知ること。
ウ 箱の形をしたものについて知ること。
D 数量関係
(1) 加法と減法の相互関係について理解し,式を用いて説明できるようにする。
(2) 乗法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。
(3) 身の回りにある数量を分類整理し,簡単な表やグラフを用いて表したり読み取ったりすることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 身の回りから,整数が使われている場面を見付ける活動
イ 乗法九九の表を構成したり観察したりして,計算の性質やきまりを見付ける活動
ウ 身の回りにあるものの長さや体積について,およその見当を付けたり,単位を用いて測定したりする活動
エ 正方形,長方形,直角三角形をかいたり,作ったり,それらで平面を敷き詰めたりする活動
オ 加法と減法の相互関係を図や式に表し,説明する活動
〔用語・記号〕
単位
直線
直角
頂点
辺
面
×
>
<
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,1万についても取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と計算」の(2)及び「D数量関係」の(1)については,必要な場合には,( )や□などを用いることができる。
(3) 内容の「A数と計算」の(2)のウについては,交換法則や結合法則を取り扱うものとする。
(4) 内容の「A数と計算」の(3)のイについては,乗数が1ずつ増えるときの積の増え方や交換法則を取り扱うものとする。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 加法及び減法を適切に用いることができるようにするとともに,乗法についての理解を深め,適切に用いることができるようにする。また,除法の意味について理解し,その計算の仕方を考え,用いることができるようにする。さらに,小数及び分数の意味や表し方について理解できるようにする。
(2) 長さ,重さ及び時間の単位と測定について理解できるようにする。
(3) 図形を構成する要素に着目して,二等辺三角形や正三角形などの図形について理解できるようにする。
(4) 数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり読み取ったりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 整数の表し方についての理解を深め,数を用いる能力を伸ばす。
ア 万の単位について知ること。
イ 10倍,100倍,1/10の大きさの数及びその表し方について知ること。
ウ 数の相対的な大きさについての理解を深めること。
(2) 加法及び減法の計算が確実にできるようにし,それらを適切に用いる能力を伸ばす。
ア 3位数や4位数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算が2位数などについての基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,それらの筆算の仕方について理解すること。
イ 加法及び減法の計算が確実にでき,それらを適切に用いること。
ウ 加法及び減法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
(3) 乗法についての理解を深め,その計算が確実にできるようにし,それを適切に用いる能力を伸ばす。
ア 2位数や3位数に1位数や2位数をかける乗法の計算の仕方を考え,それらの計算が乗法九九などの基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,その筆算の仕方について理解すること。
イ 乗法の計算が確実にでき,それを適切に用いること。
ウ 乗法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
(4) 除法の意味について理解し,それを用いることができるようにする。
ア 除法が用いられる場合について知ること。また,余りについて知ること。
イ 除法と乗法や減法との関係について理解すること。
ウ 除数と商が共に1位数である除法の計算が確実にできること。
エ 簡単な場合について,除数が1位数で商が2位数の除法の計算の仕方を考えること。
(5) 小数の意味や表し方について理解できるようにする。
ア 端数部分の大きさを表すのに小数を用いること。また,小数の表し方及び1/10の位について知ること。
イ 1/10の位までの小数の加法及び減法の意味について理解し,計算のの仕方を考え,それらの計算ができること。
(6) 分数の意味や表し方について理解できるようにする。
ア 等分してできる部分の大きさや端数部分の大きさを表すのに分数を用いること。また,分数の表し方について知ること。
イ 分数は,単位分数の幾つ分かで表せることを知ること。
ウ 簡単な場合について,分数の加法及び減法の意味について理解し,計算の仕方を考えること。
(7) そろばんによる数の表し方について知り,そろばんを用いて簡単な加法及び減法の計算ができるようにする。
ア そろばんによる数の表し方について知ること。
イ 加法及び減法の計算の仕方について知ること。
B 量と測定
(1) 長さについての理解を深めるとともに,重さについて単位と測定の意味を理解し,重さの測定ができるようにする。
ア 長さの単位(キロメートル(km))について知ること。
イ 重さの単位(グラム(g),キログラム(kg))について知ること。
(2) 長さや重さについて,およその見当を付けたり,目的に応じて単位や計器を適切に選んで測定したりできるようにする。
(3) 時間について理解できるようにする。
ア 秒について知ること。
イ 日常生活の中で必要となる時刻や時間を求めること。
C 図 形
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,図形を構成する要素に着目し,図形について理解できるようにする。
ア 二等辺三角形,正三角形について知ること。
イ 角について知ること。
ウ 円,球について知ること。また,それらの中心,半径,直径について知ること。
D 数量関係
(1) 除法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。
(2) 数量の関係を表す式について理解し,式を用いることができるようにする。
ア 数量の関係を式に表したり,式と図を関連付けたりすること。
イ 数量を□などを用いて表し,その関係を式に表したり,□などに数を当てはめて調べたりすること。
(3) 資料を分類整理し,表やグラフを用いて分かりやすく表したり読み取ったりすることができるようにする。
ア 棒グラフの読み方やかき方について知ること。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 整数,小数及び分数についての計算の意味や計算の仕方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして考え,説明する活動
イ 小数や分数を具体物,図,数直線を用いて表し,大きさを比べる活動
ウ 長さ,体積,重さのそれぞれについて単位の関係を調べる活動
エ 二等辺三角形や正三角形を定規とコンパスを用いて作図する活動
オ 日時や場所などの観点から資料を分類整理し,表を用いて表す活動
〔用語・記号〕
等号
不等号
小数点
1/10の位
数直線
分母
分子
÷
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,1億についても取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と計算」の(2)及び(3)については,簡単な計算は暗算でできるよう配慮するものとする。
(3) 内容の「A数と計算」の(2)のウについては,交換法則や結合法則を取り扱うものとする。
(4) 内容の「A数と計算」の(3)については,乗数又は被乗数が0の場合の計算についても取り扱うものとする。
(5) 内容の「A数と計算」の(3)のウについては,交換法則,結合法則や分配法則を取り扱うものとする。
(6) 内容の「A数と計算」の(5)及び(6)については,小数の0.1と分数の1/10などを数直線を用いて関連付けて取り扱うものとする。
(7) 内容の「B量と測定」の(1)のイについては,トン(t)の単位についても触れるものとする。
〔第4学年〕
1 目標
(1) 除法についての理解を深め,適切に用いることができるようにする。また,小数及び分数の意味や表し方についての理解を深め,小数及び分数についての加法及び減法の意味を理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。さらに,概数について理解し,目的に応じて用いることが...
(2) 面積の単位と測定について理解し,図形の面積を求めることができるようにするとともに,角の大きさの単位と測定について理解できるようにする。
(3) 図形を構成要素及びそれらの位置関係に着目して考察し,平行四辺形やひし形などの平面図形及び直方体などの立体図形について理解できるようにする。
(4) 数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり調べたりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 整数が十進位取り記数法によって表されていることについての理解を深める。
ア 億,兆の単位について知り,十進位取り記数法についてまとめること。
(2) 概数について理解し,目的に応じて用いることができるようにする。
ア 概数が用いられる場合について知ること。
イ 四捨五入について知ること。
ウ 目的に応じて四則計算の結果の見積りをすること。
(3) 整数の除法についての理解を深め,その計算が確実にできるようにし,それを適切に用いる能力を伸ばす。
ア 除数が1位数や2位数で被除数が2位数や3位数の場合の計算の仕方を考え,それらの計算が基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,その筆算の仕方について理解すること。
イ 除法の計算が確実にでき,それを適切に用いること。
ウ 除法について,被除数,除数,商及び余りの間の関係を調べ,次の式にまとめること。 (被除数)=(除数)×(商)+(余り)
エ 除法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
(4) 整数の計算の能力を定着させ,それを用いる能力を伸ばす。
(5) 小数とその加法及び減法についての理解を深めるとともに,小数の乗法及び除法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 小数が整数と同じ仕組みで表されていることを知るとともに,数の相対的な大きさについての理解を深めること。
イ 小数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
ウ 乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
(6) 分数についての理解を深めるとともに,同分母の分数の加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 簡単な場合について,大きさの等しい分数があることに着目すること。
イ 同分母の分数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
(7) そろばんを用いて,加法及び減法の計算ができるようにする。
B 量と測定
(1) 面積について単位と測定の意味を理解し,面積を計算によって求めることができるようにする。
ア 面積の単位(平方センチメートル(cm2),平方メートル(m2),平方キロメートル(km2))について知ること。
イ 正方形及び長方形の面積の求め方を考えること。
(2) 角の大きさについて単位と測定の意味を理解し,角の大きさの測定ができるようにする。
ア 角の大きさを回転の大きさとしてとらえること。
イ 角の大きさの単位(度(°))について知ること。
C 図 形
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,図形の構成要素及びそれらの位置関係に着目し,図形についての理解を深める。
ア 直線の平行や垂直の関係について理解すること。
イ 平行四辺形,ひし形,台形について知ること。
(2) 図形についての観察や構成などの活動を通して,立体図形について理解できるようにする。
ア 立方体,直方体について知ること。
イ 直方体に関連して,直線や平面の平行や垂直の関係について理解すること。
(3) ものの位置の表し方について理解できるようにする。
D 数量関係
(1) 伴って変わる二つの数量の関係を表したり調べたりすることができるようにする。
ア 変化の様子を折れ線グラフを用いて表したり,変化の特徴を読み取ったりすること。
(2) 数量の関係を表す式について理解し,式を用いることができるようにする。
ア 四則の混合した式や( )を用いた式について理解し,正しく計算すること。
イ 公式についての考え方を理解し,公式を用いること。
ウ 数量を□,△などを用いて表し,その関係を式に表したり,□,△などに数を当てはめて調べたりすること。
(3) 四則に関して成り立つ性質についての理解を深める。
ア 交換法則,結合法則,分配法則についてまとめること。
(4) 目的に応じて資料を集めて分類整理し,表やグラフを用いて分かりやすく表したり,特徴を調べたりすることができるようにする。
ア 資料を二つの観点から分類整理して特徴を調べること。
イ 折れ線グラフの読み方やかき方について知ること。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 目的に応じて計算の結果の見積りをし,計算の仕方や結果について適切に判断する活動
イ 長方形を組み合わせた図形の面積の求め方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして考え,説明する活動
ウ 身の回りにあるものの面積を実際に測定する活動
エ 平行四辺形,ひし形,台形で平面を敷き詰めて,図形の性質を調べる活動
オ 身の回りから,伴って変わる二つの数量を見付け,数量の関係を表やグラフを用いて表し,調べる活動
〔用語・記号〕
和
差
積
商
以上
以下
未満
真分数
仮分数
帯分数
平行
垂直
対角線
平面
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,大きな数を表す際に,3桁《けた》ごとに区切りを用いる場合があることに触れるものとする。
(2) 内容の「A数と計算」の(2)のウ,(3),(4)については,簡単な計算は暗算でできるよう配慮するものとする。また,暗算を筆算や見積りに生かすよう配慮するものとする。
(3) 内容の「A数と計算」の(3)のエについては,除数及び被除数に同じ数をかけても,同じ数で割っても商は変わらないという性質を取り扱うものとする。
(4) 内容の「A数と計算」の(5)のウについては,整数を整数で割って商が小数になる場合も含めるものとする。
(5) 内容の「B量と測定」の(1)のアについては,アール(a),ヘクタール(ha)の単位についても触れるものとする。
(6) 内容の「C図形」の(2)のアについては,見取図や展開図をかくことを取り扱うものとする。
(7) 内容の「D数量関係」の(4)のアについては,資料を調べるときに,落ちや重なりがないようにすることを取り扱うものとする。
〔第5学年〕
1 目標
(1) 整数の性質についての理解を深める。また,小数の乗法及び除法や分数の加法及び減法の意味についての理解を深め,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 三角形や平行四辺形などの面積及び直方体などの体積を求めることができるようにする。また,測定値の平均及び異種の二つの量の割合について理解できるようにする。
(3) 平面図形についての理解を深めるとともに,角柱などの立体図形について理解できるようにする。
(4) 数量の関係を考察するとともに,百分率や円グラフなどを用いて資料の特徴を調べることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 整数の性質についての理解を深める。
ア 整数は,観点を決めると偶数,奇数に類別されることを知ること。
イ 約数,倍数について知ること。
(2) 記数法の考えを通して整数及び小数についての理解を深め,それを計算などに有効に用いることができるようにする。
ア 10倍,100倍,1/10,1/100などの大きさの数をつくり,それらの関係を調べること。
(3) 小数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらを用いることができるようにする。
ア 乗数や除数が整数である場合の計算の考え方を基にして,乗数や除数が小数である場合の乗法及び除法の意味について理解すること。
イ 小数の乗法及び除法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。また,余りの大きさについて理解すること。
ウ 小数の乗法及び除法についても,整数の場合と同じ関係や法則が成り立つことを理解すること。
(4) 分数についての理解を深めるとともに,異分母の分数の加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 整数及び小数を分数の形に直したり,分数を小数で表したりすること。
イ 整数の除法の結果は,分数を用いると常に一つの数として表すことができることを理解すること。
ウ 一つの分数の分子及び分母に同じ数を乗除してできる分数は,元の分数と同じ大きさを表すことを理解すること。
エ 分数の相等及び大小について考え,大小の比べ方をまとめること。
オ 異分母の分数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
カ 乗数や除数が整数である場合の分数の乗法及び除法の意味について理解し,計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
B 量と測定
(1) 図形の面積を計算によって求めることができるようにする。
ア 三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を考えること。
(2) 体積について単位と測定の意味を理解し,体積を計算によって求めることができるようにする。
ア 体積の単位(立方センチメートル(cm3),立方メートル(m3))について知ること。
イ 立方体及び直方体の体積の求め方を考えること。
(3) 量の大きさの測定値について理解できるようにする。
ア 測定値の平均について知ること。
(4) 異種の二つの量の割合としてとらえられる数量について,その比べ方や表し方を理解できるようにする。
ア 単位量当たりの大きさについて知ること。
C 図 形
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,平面図形についての理解を深める。
ア 多角形や正多角形について知ること。
イ 図形の合同について理解すること。
ウ 図形の性質を見いだし,それを用いて図形を調べたり構成したりすること。
エ 円周率について理解すること。
(2) 図形についての観察や構成などの活動を通して,立体図形について理解できるようにする。
ア 角柱や円柱について知ること。
D 数量関係
(1) 表を用いて,伴って変わる二つの数量の関係を考察できるようにする。
ア 簡単な場合について,比例の関係があることを知ること。
(2) 数量の関係を表す式についての理解を深め,簡単な式で表されている関係について,二つの数量の対応や変わり方に着目できるようにする。
(3) 百分率について理解できるようにする。
(4) 目的に応じて資料を集めて分類整理し,円グラフや帯グラフを用いて表したり,特徴を調べたりすることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 小数についての計算の意味や計算の仕方を,言葉,数,式,図,数直線を用いて考え,説明する活動
イ 三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして考え,説明する活動
ウ 合同な図形をかいたり,作ったりする活動
エ 三角形の三つの角の大きさの和が180°になることを帰納的に考え,説明する活動。四角形の四つの角の大きさの和が360°になることを演繹《えき》的に考え,説明する活動
オ 目的に応じて表やグラフを選び,活用する活動
〔用語・記号〕
最大公約数
最小公倍数
通分
約分
底面
側面
比例
%
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)のイについては,最大公約数や最小公倍数を形式的に求めることに偏ることなく,具体的な場面に即して取り扱うものとする。また,約数を調べる過程で素数について触れるものとする。
(2) 内容の「C図形」の(1)のエについては,円周率は3.14を用いるものとする。
(3) 内容の「C図形」の(2)のアについては,見取図や展開図をかくことを取り扱うものとする。
(4) 内容の「D数量関係」の(3)については,歩合の表し方について触れるものとする。
〔第6学年〕
1 目標
(1) 分数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 円の面積及び角柱などの体積を求めることができるようにするとともに,速さについて理解し,求めることができるようにする。
(3) 縮図や拡大図,対称な図形について理解し,図形についての理解を深める。
(4) 比や比例について理解し,数量の関係の考察に関数の考えを用いることができるようにするとともに,文字を用いて式に表すことができるようにする。また,資料の散らばりを調べ統計的に考察することができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 分数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらを用いることができるようにする。
ア 乗数や除数が整数や小数である場合の計算の考え方を基にして,乗数や除数が分数である場合の乗法及び除法の意味について理解すること。
イ 分数の乗法及び除法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
ウ 分数の乗法及び除法についても,整数の場合と同じ関係や法則が成り立つことを理解すること。
(2) 小数及び分数の計算の能力を定着させ,それらを用いる能力を伸ばす。
B 量と測定
(1) 身の回りにある形について,その概形をとらえ,およその面積などを求めることができるようにする。
(2) 図形の面積を計算によって求めることができるようにする。
ア 円の面積の求め方を考えること。
(3) 図形の体積を計算によって求めることができるようにする。
ア 角柱及び円柱の体積の求め方を考えること。
(4) 速さについて理解し,求めることができるようにする。
(5) メートル法の単位の仕組みについて理解できるようにする。
C 図 形
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,平面図形についての理解を深める。
ア 縮図や拡大図について理解すること。
イ 対称な図形について理解すること。
D 数量関係
(1) 比について理解できるようにする。
(2) 伴って変わる二つの数量の関係を考察することができるようにする。
ア 比例の関係について理解すること。また,式,表,グラフを用いてその特徴を調べること。
イ 比例の関係を用いて,問題を解決すること。
ウ 反比例の関係について知ること。
(3) 数量の関係を表す式についての理解を深め,式を用いることができるようにする。
ア 数量を表す言葉や□,△などの代わりに,a,xなどの文字を用いて式に表したり,文字に数を当てはめて調べたりすること。
(4) 資料の平均や散らばりを調べ,統計的に考察したり表現したりすることができるようにする。
ア 資料の平均について知ること。
イ 度数分布を表す表やグラフについて知ること。
(5) 具体的な事柄について,起こり得る場合を順序よく整理して調べることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 分数についての計算の意味や計算の仕方を,言葉,数,式,図,数直線を用いて考え,説明する活動
イ 身の回りで使われている量の単位を見付けたり,それがこれまでに学習した単位とどのような関係にあるかを調べたりする活動
ウ 身の回りから,縮図や拡大図,対称な図形を見付ける活動
エ 身の回りから,比例の関係にある二つの数量を見付けたり,比例の関係を用いて問題を解決したりする活動
〔用語・記号〕
線対称
点対称
:
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,逆数を用いて除法を乗法の計算としてみることや,整数や小数の乗法や除法を分数の場合の計算にまとめることも取り扱うものとする。
(2) 内容の「B量と測定」の(2)のアについては,円周率は3.14を用いるものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容は,次の学年以降においても必要に応じて継続して指導すること。数量や図形についての基礎的な能力の習熟や維持を図るため,適宜練習の機会を設けて計画的に指導すること。また,学年間の指導内容を円滑に接続させるため,適切な反復による学習指導を進めるようにすること。
(2) 第2の各学年の内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」の間の指導の関連を図ること。
(3) 算数的活動は,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に身に付けたり,思考力,判断力,表現力等を高めたり,算数を学ぶことの楽しさや意義を実感したりするために,重要な役割を果たすものであることから,各学年の内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項...
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,算数科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 数量や図形についての豊かな感覚を育てるとともに,およその大きさや形をとらえ,それらに基づいて適切に判断したり,能率的な処理の仕方を考え出したりすることができるようにすること。
(2) 思考力,判断力,表現力等を育成するため,各学年の内容の指導に当たっては,言葉,数,式,図,表,グラフを用いて考えたり,説明したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりするなどの学習活動を積極的に取り入れるようにすること。
(3) 各学年の内容に示す〔用語・記号〕は,当該学年で取り上げる内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり,その指導に当たっては,各学年の内容と密接に関連させて取り上げるようにし,それらを用いて表したり考えたりすることのよさが分かるようにすること。
(4) 筆算による計算の技能を確実に身に付けることを重視するとともに,目的に応じて計算の結果の見積りをして,計算の仕方や結果について適切に判断できるようにすること。また,低学年の「A数と計算」の指導に当たっては,そろばんや具体物などの教具を適宜用いて,数と計算についての意味の理解を...
(5) 数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため,必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。
第4節 理科
第1 目標 自然に親しみ,見通しをもって観察,実験などを行い,問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに,自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り,科学的な見方や考え方を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第3学年〕
1 目標
(1) 物の重さ,風やゴムの力並びに光,磁石及び電気を働かせたときの現象を比較しながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して,それらの性質や働きについての見方や考え方を養う。
(2) 身近に見られる動物や植物,日なたと日陰の地面を比較しながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究する活動を通して,生物を愛護する態度を育てるとともに,生物の成長のきまりや体のつくり,生物と環境とのかかわり,太陽と地面の様子との関係についての見方や考え方を養う。
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 物と重さ 粘土などを使い,物の重さや体積を調べ,物の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 物は,形が変わっても重さは変わらないこと。
イ 物は,体積が同じでも重さは違うことがあること。
(2) 風やゴムの働き 風やゴムで物が動く様子を調べ,風やゴムの働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 風の力は,物を動かすことができること。
イ ゴムの力は,物を動かすことができること。
(3) 光の性質 鏡などを使い,光の進み方や物に光が当たったときの明るさや暖かさを調べ,光の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 日光は集めたり反射させたりできること。
イ 物に日光を当てると,物の明るさや暖かさが変わること。
(4) 磁石の性質 磁石に付く物や磁石の働きを調べ,磁石の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 物には,磁石に引き付けられる物と引き付けられない物があること。また,磁石に引き付けられる物には,磁石に付けると磁石になる物があること。
イ 磁石の異極は引き合い,同極は退け合うこと。
(5) 電気の通り道 乾電池に豆電球などをつなぎ,電気を通すつなぎ方や電気を通す物を調べ,電気の回路についての考えをもつことができるようにする。
ア 電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること。
イ 電気を通す物と通さない物があること。
B 生命・地球
(1) 昆虫と植物 身近な昆虫や植物を探したり育てたりして,成長の過程や体のつくりを調べ,それらの成長のきまりや体のつくりについての考えをもつことができるようにする。
ア 昆虫の育ち方には一定の順序があり,成虫の体は頭,胸及び腹からできていること。
イ 植物の育ち方には一定の順序があり,その体は根,茎及び葉からできていること。
(2) 身近な自然の観察 身の回りの生物の様子を調べ,生物とその周辺の環境との関係についての考えをもつことができるようにする。
ア 生物は,色,形,大きさなどの姿が違うこと。
イ 生物は,その周辺の環境とかかわって生きていること。
(3) 太陽と地面の様子 日陰の位置の変化や,日なたと日陰の地面の様子を調べ,太陽と地面の様子との関係についての考えをもつことができるようにする。
ア 日陰は太陽の光を遮るとでき,日陰の位置は太陽の動きによって変わること。
イ 地面は太陽によって暖められ,日なたと日陰では地面の暖かさや湿り気に違いがあること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,3種類以上のものづくりを行うものとする。
(2) 内容の「B生命・地球」の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア ア及びイについては,飼育,栽培を通して行うこと。
イ イの「植物の育ち方」については,夏生一年生の双子葉植物を扱うこと。
(3) 内容の「B生命・地球」の(3)のアの「太陽の動き」については,太陽が東から南を通って西に動くことを取り扱うものとする。また,太陽の動きを調べるときの方位は東,西,南,北を扱うものとする。
〔第4学年〕
1 目標
(1) 空気や水,物の状態の変化,電気による現象を力,熱,電気の働きと関係付けながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して,それらの性質や働きについての見方や考え方を養う。
(2) 人の体のつくり,動物の活動や植物の成長,天気の様子,月や星の位置の変化を運動,季節,気温,時間などと関係付けながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究する活動を通して,生物を愛護する態度を育てるとともに,人の体のつくりと運動,動物の活動や植物の成長と環境とのかかわり...
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 空気と水の性質 閉じ込めた空気及び水に力を加え,その体積や圧《お》し返す力の変化を調べ,空気及び水の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 閉じ込めた空気を圧《お》すと,体積は小さくなるが,圧《お》し返す力は大きくなること。
イ 閉じ込めた空気は圧《お》し縮められるが,水は圧《お》し縮められないこと。
(2) 金属,水,空気と温度 金属,水及び空気を温めたり冷やしたりして,それらの変化の様子を調べ,金属,水及び空気の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 金属,水及び空気は,温めたり冷やしたりすると,その体積が変わること。
イ 金属は熱せられた部分から順に温まるが,水や空気は熱せられた部分が移動して全体が温まること。
ウ 水は,温度によって水蒸気や氷に変わること。また,水が氷になると体積が増えること。
(3) 電気の働き 乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを調べ,電気の働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 乾電池の数やつなぎ方を変えると,豆電球の明るさやモーターの回り方が変わること。
イ 光電池を使ってモーターを回すことなどができること。
B 生命・地球
(1) 人の体のつくりと運動 人や他の動物の体の動きを観察したり資料を活用したりして,骨や筋肉の動きを調べ,人の体のつくりと運動とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。
ア 人の体には骨と筋肉があること。
イ 人が体を動かすことができるのは,骨,筋肉の働きによること。
(2) 季節と生物 身近な動物や植物を探したり育てたりして,季節ごとの動物の活動や植物の成長を調べ,それらの活動や成長と環境とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。
ア 動物の活動は,暖かい季節,寒い季節などによって違いがあること。
イ 植物の成長は,暖かい季節,寒い季節などによって違いがあること。
(3) 天気の様子 1日の気温の変化や水が蒸発する様子などを観察し,天気や気温の変化,水と水蒸気との関係を調べ,天気の様子や自然界の水の変化についての考えをもつことができるようにする。
ア 天気によって1日の気温の変化の仕方に違いがあること。
イ 水は,水面や地面などから蒸発し,水蒸気になって空気中に含まれていくこと。また,空気中の水蒸気は,結露して再び水になって現れることがあること。
(4) 月と星 月や星を観察し,月の位置と星の明るさや色及び位置を調べ,月や星の特徴や動きについての考えをもつことができるようにする。
ア 月は日によって形が変わって見え,1日のうちでも時刻によって位置が変わること。
イ 空には,明るさや色の違う星があること。
ウ 星の集まりは,1日のうちでも時刻によって,並び方は変わらないが,位置が変わること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の(3)のアについては,直列つなぎと並列つなぎを扱うものとする。
(2) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,2種類以上のものづくりを行うものとする。
(3) 内容の「B生命・地球」の(1)のイについては,関節の働きを扱うものとする。
(4) 内容の「B生命・地球」の(2)については,1年を通して動物の活動や植物の成長をそれぞれ2種類以上観察するものとする。
〔第5学年〕
1 目標
(1) 物の溶け方,振り子の運動,電磁石の変化や働きをそれらにかかわる条件に目を向けながら調べ,見いだした問題を計画的に追究したりものづくりをしたりする活動を通して,物の変化の規則性についての見方や考え方を養う。
(2) 植物の発芽から結実までの過程,動物の発生や成長,流水の様子,天気の変化を条件,時間,水量,自然災害などに目を向けながら調べ,見いだした問題を計画的に追究する活動を通して,生命を尊重する態度を育てるとともに,生命の連続性,流水の働き,気象現象の規則性についての見方や考え方を養...
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 物の溶け方 物を水に溶かし,水の温度や量による溶け方の違いを調べ,物の溶け方の規則性についての考えをもつことができるようにする。
ア 物が水に溶ける量には限度があること。
イ 物が水に溶ける量は水の温度や量,溶ける物によって違うこと。また,この性質を利用して,溶けている物を取り出すことができること。
ウ 物が水に溶けても,水と物とを合わせた重さは変わらないこと。
(2) 振り子の運動 おもりを使い,おもりの重さや糸の長さなどを変えて振り子の動く様子を調べ,振り子の運動の規則性についての考えをもつことができるようにする。
ア 糸につるしたおもりが1往復する時間は,おもりの重さなどによっては変わらないが,糸の長さによって変わること。
(3) 電流の働き 電磁石の導線に電流を流し,電磁石の強さの変化を調べ,電流の働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 電流の流れているコイルは,鉄心を磁化する働きがあり,電流の向きが変わると,電磁石の極が変わること。
イ 電磁石の強さは,電流の強さや導線の巻数によって変わること。
B 生命・地球
(1) 植物の発芽,成長,結実 植物を育て,植物の発芽,成長及び結実の様子を調べ,植物の発芽,成長及び結実とその条件についての考えをもつことができるようにする。
ア 植物は,種子の中の養分を基にして発芽すること。
イ 植物の発芽には,水,空気及び温度が関係していること。
ウ 植物の成長には,日光や肥料などが関係していること。
エ 花にはおしべやめしべなどがあり,花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり,実の中に種子ができること。
(2) 動物の誕生 魚を育てたり人の発生についての資料を活用したりして,卵の変化の様子や水中の小さな生物を調べ,動物の発生や成長についての考えをもつことができるようにする。
ア 魚には雌雄があり,生まれた卵は日がたつにつれて中の様子が変化してかえること。
イ 魚は,水中の小さな生物を食べ物にして生きていること。
ウ 人は,母体内で成長して生まれること。
(3) 流水の働き 地面を流れる水や川の様子を観察し,流れる水の速さや量による働きの違いを調べ,流れる水の働きと土地の変化の関係についての考えをもつことができるようにする。
ア 流れる水には,土地を侵食したり,石や土などを運搬したり堆《たい》積させたりする働きがあること。
イ 川の上流と下流によって,川原の石の大きさや形に違いがあること。
ウ 雨の降り方によって,流れる水の速さや水の量が変わり,増水により土地の様子が大きく変化する場合があること。
(4) 天気の変化 1日の雲の様子を観測したり,映像などの情報を活用したりして,雲の動きなどを調べ,天気の変化の仕方についての考えをもつことができるようにする。
ア 雲の量や動きは,天気の変化と関係があること。
イ 天気の変化は,映像などの気象情報を用いて予想できること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,2種類以上のものづくりを行うものとする。
(2) 内容の「B生命・地球」の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「種子の中の養分」については,でんぷんを扱うこと。
イ エについては,おしべ,めしべ,がく及び花びらを扱うこと。また,受粉については,風や昆虫などが関係していることにも触れること。
(3) 内容の「B生命・地球」の(2)のウについては,受精に至る過程は取り扱わないものとする。
(4) 内容の「B生命・地球」の(4)のイについては,台風の進路による天気の変化や台風と降雨との関係についても触れるものとする。
〔第6学年〕
1 目標
(1) 燃焼,水溶液,てこ及び電気による現象についての要因や規則性を推論しながら調べ,見いだした問題を計画的に追究したりものづくりをしたりする活動を通して,物の性質や規則性についての見方や考え方を養う。
(2) 生物の体のつくりと働き,生物と環境,土地のつくりと変化の様子,月と太陽の関係を推論しながら調べ,見いだした問題を計画的に追究する活動を通して,生命を尊重する態度を育てるとともに,生物の体の働き,生物と環境とのかかわり,土地のつくりと変化のきまり,月の位置や特徴についての見方...
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 燃焼の仕組み 物を燃やし,物や空気の変化を調べ,燃焼の仕組みについての考えをもつことができるようにする。
ア 植物体が燃えるときには,空気中の酸素が使われて二酸化炭素ができること。
(2) 水溶液の性質 いろいろな水溶液を使い,その性質や金属を変化させる様子を調べ,水溶液の性質や働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 水溶液には,酸性,アルカリ性及び中性のものがあること。
イ 水溶液には,気体が溶けているものがあること。
ウ 水溶液には,金属を変化させるものがあること。
(3) てこの規則性 てこを使い,力の加わる位置や大きさを変えて,てこの仕組みや働きを調べ,てこの規則性についての考えをもつことができるようにする。
ア 水平につり合った棒の支点から等距離に物をつるして棒が水平になったとき,物の重さは等しいこと。
イ 力を加える位置や力の大きさを変えると,てこを傾ける働きが変わり,てこがつり合うときにはそれらの間に規則性があること。
ウ 身の回りには,てこの規則性を利用した道具があること。
(4) 電気の利用 手回し発電機などを使い,電気の利用の仕方を調べ,電気の性質や働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 電気は,つくりだしたり蓄えたりすることができること。
イ 電気は,光,音,熱などに変えることができること。
ウ 電熱線の発熱は,その太さによって変わること。
エ 身の回りには,電気の性質や働きを利用した道具があること。
B 生命・地球
(1) 人の体のつくりと働き 人や他の動物を観察したり資料を活用したりして,呼吸,消化,排出及び循環の働きを調べ,人や他の動物の体のつくりと働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 体内に酸素が取り入れられ,体外に二酸化炭素などが出されていること。
イ 食べ物は,口,胃,腸などを通る間に消化,吸収され,吸収されなかった物は排出されること。
ウ 血液は,心臓の働きで体内を巡り,養分,酸素及び二酸化炭素などを運んでいること。
エ 体内には,生命活動を維持するための様々な臓器があること。
(2) 植物の養分と水の通り道 植物を観察し,植物の体内の水などの行方や葉で養分をつくる働きを調べ,植物の体のつくりと働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 植物の葉に日光が当たるとでんぷんができること。
イ 根,茎及び葉には,水の通り道があり,根から吸い上げられた水は主に葉から蒸散していること。
(3) 生物と環境 動物や植物の生活を観察したり,資料を活用したりして調べ,生物と環境とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。
ア 生物は,水及び空気を通して周囲の環境とかかわって生きていること。
イ 生物の間には,食う食われるという関係があること。
(4) 土地のつくりと変化 土地やその中に含まれる物を観察し,土地のつくりや土地のでき方を調べ,土地のつくりと変化についての考えをもつことができるようにする。
ア 土地は,礫《れき》,砂,泥,火山灰及び岩石からできており,層をつくって広がっているものがあること。
イ 地層は,流れる水の働きや火山の噴火によってでき,化石が含まれているものがあること。
ウ 土地は,火山の噴火や地震によって変化すること。
(5) 月と太陽 月と太陽を観察し,月の位置や形と太陽の位置を調べ,月の形の見え方や表面の様子についての考えをもつことができるようにする。
ア 月の輝いている側に太陽があること。また,月の形の見え方は,太陽と月の位置関係によって変わること。
イ 月の表面の様子は,太陽と違いがあること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,2種類以上のものづくりを行うものとする。
(2) 内容の「B生命・地球」の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア ウについては,心臓の拍動と脈拍が関係することにも触れること。
イ エについては,主な臓器として,肺,胃,小腸,大腸,肝臓,腎《じん》臓,心臓を扱うこと。
(3) 内容の「B生命・地球」の(3)のアについては,水が循環していることにも触れるものとする。
(4) 内容の「B生命・地球」の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,岩石として礫《れき》岩,砂岩及び泥岩を扱うこと。
イ イの「化石」については,地層が流れる水の働きによって堆《たい》積したことを示す証拠として扱うこと。
(5) 内容の「B生命・地球」の(5)のアについては,地球から見た太陽と月の位置関係で扱うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容を通じて観察,実験や自然体験,科学的な体験を充実させることによって,科学的な知識や概念の定着を図り,科学的な見方や考え方を育成するよう配慮すること。
(2) 観察,実験の結果を整理し考察する学習活動や,科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮すること。
(3) 博物館や科学学習センターなどと連携,協力を図りながら,それらを積極的に活用するよう配慮すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,栽培,飼育及びものづくりの指導については,指導内容に応じてコンピュータ,視聴覚機器などを適切に活用できるようにすること。また,事故の防止に十分留意すること。
(2) 生物,天気,川,土地などの指導については,野外に出掛け地域の自然に親しむ活動や体験的な活動を多く取り入れるとともに,自然環境を大切にし,その保全に寄与しようとする態度を育成するようにすること。
(3) 個々の児童が主体的に問題解決活動を進めるとともに,学習の成果と日常生活との関連を図り,自然の事物・現象について実感を伴って理解できるようにすること。
第5節 生活
第1 目標 具体的な活動や体験を通して,自分と身近な人々,社会及び自然とのかかわりに関心をもち,自分自身や自分の生活について考えさせるとともに,その過程において生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ,自立への基礎を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 自分と身近な人々及び地域の様々な場所,公共物などとのかかわりに関心をもち,地域のよさに気付き,愛着をもつことができるようにするとともに,集団や社会の一員として自分の役割や行動の仕方について考え,安全で適切な行動ができるようにする。
(2) 自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち,自然のすばらしさに気付き,自然を大切にしたり,自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。
(3) 身近な人々,社会及び自然とのかかわりを深めることを通して,自分のよさや可能性に気付き,意欲と自信をもって生活することができるようにする。
(4) 身近な人々,社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに,それらを通して気付いたことや楽しかったことなどについて,言葉,絵,動作,劇化などの方法により表現し,考えることができるようにする。
2 内容
(1) 学校の施設の様子及び先生など学校生活を支えている人々や友達のことが分かり,楽しく安心して遊びや生活ができるようにするとともに,通学路の様子やその安全を守っている人々などに関心をもち,安全な登下校ができるようにする。
(2) 家庭生活を支えている家族のことや自分でできることなどについて考え,自分の役割を積極的に果たすとともに,規則正しく健康に気を付けて生活することができるようにする。
(3) 自分たちの生活は地域で生活したり働いたりしている人々や様々な場所とかかわっていることが分かり,それらに親しみや愛着をもち,人々と適切に接することや安全に生活することができるようにする。
(4) 公共物や公共施設を利用し,身の回りにはみんなで使うものがあることやそれを支えている人々がいることなどが分かり,それらを大切にし,安全に気を付けて正しく利用することができるようにする。
(5) 身近な自然を観察したり,季節や地域の行事にかかわる活動を行ったりなどして,四季の変化や季節によって生活の様子が変わることに気付き,自分たちの生活を工夫したり楽しくしたりできるようにする。
(6) 身近な自然を利用したり,身近にある物を使ったりなどして,遊びや遊びに使う物を工夫してつくり,その面白さや自然の不思議さに気付き,みんなで遊びを楽しむことができるようにする。
(7) 動物を飼ったり植物を育てたりして,それらの育つ場所,変化や成長の様子に関心をもち,また,それらは生命をもっていることや成長していることに気付き,生き物への親しみをもち,大切にすることができるようにする。
(8) 自分たちの生活や地域の出来事を身近な人々と伝え合う活動を行い,身近な人々とかかわることの楽しさが分かり,進んで交流することができるようにする。
(9) 自分自身の成長を振り返り,多くの人々の支えにより自分が大きくなったこと,自分でできるようになったこと,役割が増えたことなどが分かり,これまでの生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもつとともに,これからの成長への願いをもって,意欲的に生活することができるようにする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 自分と地域の人々,社会及び自然とのかかわりが具体的に把握できるような学習活動を行うこととし,校外での活動を積極的に取り入れること。
(2) 第2の内容の(7)については,2学年にわたって取り扱うものとし,動物や植物へのかかわり方が深まるよう継続的な飼育,栽培を行うようにすること。
(3) 国語科,音楽科,図画工作科など他教科等との関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に,第1学年入学当初においては,生活科を中心とした合科的な指導を行うなどの工夫をすること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,生活科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 地域の人々,社会及び自然を生かすとともに,それらを一体的に扱うよう学習活動を工夫すること。
(2) 具体的な活動や体験を通して気付いたことを基に考えさせるため,見付ける,比べる,たとえるなどの多様な学習活動を工夫すること。
(3) 具体的な活動や体験を行うに当たっては,身近な幼児や高齢者,障害のある児童生徒などの多様な人々と触れ合うことができるようにすること。
(4) 生活上必要な習慣や技能の指導については,人,社会,自然及び自分自身にかかわる学習活動の展開に即して行うようにすること。
第6節 音楽
第1 目標 表現及び鑑賞の活動を通して,音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てるとともに,音楽活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 楽しく音楽にかかわり,音楽に対する興味・関心をもち,音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。
(2) 基礎的な表現の能力を育て,音楽表現の楽しさに気付くようにする。
(3) 様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を育て,音楽を味わって聴くようにする。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範唱を聴いて歌ったり,階名で模唱したり暗唱したりすること。
イ 歌詞の表す情景や気持ちを想像したり,楽曲の気分を感じ取ったりし,思いをもって歌うこと。
ウ 自分の歌声及び発音に気を付けて歌うこと。
エ 互いの歌声や伴奏を聴いて,声を合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範奏を聴いたり,リズム譜などを見たりして演奏すること。
イ 楽曲の気分を感じ取り,思いをもって演奏すること。
ウ 身近な楽器に親しみ,音色に気を付けて簡単なリズムや旋律を演奏すること。
エ 互いの楽器の音や伴奏を聴いて,音を合わせて演奏すること。
(3) 音楽づくりの活動を通して,次の事項を指導する。
ア 声や身の回りの音の面白さに気付いて音遊びをすること。
イ 音を音楽にしていくことを楽しみながら,音楽の仕組みを生かし,思いをもって簡単な音楽をつくること。
(4) 表現教材は次に示すものを取り扱う。
ア 主となる歌唱教材については,各学年ともウの共通教材を含めて,斉唱及び輪唱で歌う楽曲
イ 主となる器楽教材については,既習の歌唱教材を含めて,主旋律に簡単なリズム伴奏や低声部などを加えた楽曲
ウ 共通教材
〔第1学年〕
「うみ」 (文部省唱歌)林 柳波《はやしりゅうは》作詞 井上武士《いのうえたけし》作曲
「かたつむり」 (文部省唱歌)
「日のまる」 (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「ひらいたひらいた」 (わらべうた)
〔第2学年〕
「かくれんぼ」 (文部省唱歌)林 柳波《はやしりゅうは》作詞 下総皖一《しもふさかんいち》作曲
「春がきた」 (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「虫のこえ」 (文部省唱歌)
「夕やけこやけ」 中村雨紅《なかむらうこう》作詞 草川信《くさかわしん》作曲
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 楽曲の気分を感じ取って聴くこと。
イ 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取って聴くこと。
ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして,楽曲や演奏の楽しさに気付くこと。
(2) 鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。
ア 我が国及び諸外国のわらべうたや遊びうた,行進曲や踊りの音楽など身体反応の快さを感じ取りやすい音楽,日常の生活に関連して情景を思い浮かべやすい楽曲
イ 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく,親しみやすい楽曲
ウ 楽器の音色や人の声の特徴を感じ取りやすく親しみやすい,いろいろな演奏形態による楽曲
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素のうち次の(ア)及び(イ)を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さ,美しさを感じ取ること。
(ア) 音色,リズム,速度,旋律,強弱,拍の流れやフレーズなどの音楽を特徴付けている要素
(イ) 反復,問いと答えなどの音楽の仕組み
イ 身近な音符,休符,記号や音楽にかかわる用語について,音楽活動を通して理解すること。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 進んで音楽にかかわり,音楽活動への意欲を高め,音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。
(2) 基礎的な表現の能力を伸ばし,音楽表現の楽しさを感じ取るようにする。
(3) 様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を伸ばし,音楽を味わって聴くようにする。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範唱を聴いたり,ハ長調の楽譜を見たりして歌うこと。
イ 歌詞の内容,曲想にふさわしい表現を工夫し,思いや意図をもって歌うこと。
ウ 呼吸及び発音の仕方に気を付けて,自然で無理のない歌い方で歌うこと。
エ 互いの歌声や副次的な旋律,伴奏を聴いて,声を合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範奏を聴いたり,ハ長調の楽譜を見たりして演奏すること。
イ 曲想にふさわしい表現を工夫し,思いや意図をもって演奏すること。
ウ 音色に気を付けて旋律楽器及び打楽器を演奏すること。
エ 互いの楽器の音や副次的な旋律,伴奏を聴いて,音を合わせて演奏すること。
(3) 音楽づくりの活動を通して,次の事項を指導する。
ア いろいろな音の響きやその組合せを楽しみ,様々な発想をもって即興的に表現すること。
イ 音を音楽に構成する過程を大切にしながら,音楽の仕組みを生かし,思いや意図をもって音楽をつくること。
(4) 表現教材は次に示すものを取り扱う。
ア 主となる歌唱教材については,各学年ともウの共通教材を含めて,斉唱及び簡単な合唱で歌う楽曲
イ 主となる器楽教材については,既習の歌唱教材を含めて,簡単な重奏や合奏にした楽曲
ウ 共通教材
〔第3学年〕
「うさぎ」 (日本古謡)
「茶つみ」 (文部省唱歌)
「春の小川」 (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「ふじ山」 (文部省唱歌)巌谷小波《いわやさざなみ》作詞
〔第4学年〕
「さくらさくら」 (日本古謡)
「とんび」 葛原《くずはら》しげる作詞 簗田貞《やなだただし》作曲
「まきばの朝」 (文部省唱歌)船橋栄吉《ふなばしえいきち》作曲
「もみじ」 (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想とその変化を感じ取って聴くこと。
イ 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取り,楽曲の構造に気を付けて聴くこと。
ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして,楽曲の特徴や演奏のよさに気付くこと。
(2) 鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。
ア 和楽器の音楽を含めた我が国の音楽,郷土の音楽,諸外国に伝わる民謡など生活とのかかわりを感じ取りやすい音楽,劇の音楽,人々に長く親しまれている音楽など,いろいろな種類の楽曲
イ 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく,聴く楽しさを得やすい楽曲
ウ 楽器や人の声による演奏表現の違いを感じ取りやすい,独奏,重奏,独唱,重唱を含めたいろいろな演奏形態による楽曲
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素のうち次の(ア)及び(イ)を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さ,美しさを感じ取ること。
(ア) 音色,リズム,速度,旋律,強弱,音の重なり,音階や調,拍の流れやフレーズなどの音楽を特徴付けている要素
(イ) 反復,問いと答え,変化などの音楽の仕組み
イ 音符,休符,記号や音楽にかかわる用語について,音楽活動を通して理解すること。
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 創造的に音楽にかかわり,音楽活動への意欲を高め,音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。
(2) 基礎的な表現の能力を高め,音楽表現の喜びを味わうようにする。
(3) 様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を高め,音楽を味わって聴くようにする。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範唱を聴いたり,ハ長調及びイ短調の楽譜を見たりして歌うこと。
イ 歌詞の内容,曲想を生かした表現を工夫し,思いや意図をもって歌うこと。
ウ 呼吸及び発音の仕方を工夫して,自然で無理のない,響きのある歌い方で歌うこと。
エ 各声部の歌声や全体の響き,伴奏を聴いて,声を合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範奏を聴いたり,ハ長調及びイ短調の楽譜を見たりして演奏すること。
イ 曲想を生かした表現を工夫し,思いや意図をもって演奏すること。
ウ 楽器の特徴を生かして旋律楽器及び打楽器を演奏すること。
エ 各声部の楽器の音や全体の響き,伴奏を聴いて,音を合わせて演奏すること。
(3) 音楽づくりの活動を通して,次の事項を指導する。
ア いろいろな音楽表現を生かし,様々な発想をもって即興的に表現すること。
イ 音を音楽に構成する過程を大切にしながら,音楽の仕組みを生かし,見通しをもって音楽をつくること。
(4) 表現教材は次に示すものを取り扱う。
ア 主となる歌唱教材については,各学年ともウの共通教材の中の3曲を含めて,斉唱及び合唱で歌う楽曲
イ 主となる器楽教材については,楽器の演奏効果を考慮し,簡単な重奏や合奏にした楽曲
ウ 共通教材
〔第5学年〕
「こいのぼり」 (文部省唱歌)
「子もり歌」 (日本古謡)
「スキーの歌」 (文部省唱歌) 林柳波《はやしりゅうは》作詞 橋本国彦《はしもとくにひこ》作曲
「冬げしき」 (文部省唱歌)
〔第6学年〕
「越天楽今様《えてんらくいまよう》(歌詞は第2節まで)」(日本古謡) 慈鎮《じちん》和尚作歌
「おぼろ月夜」 (文部省唱歌) 高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「ふるさと」 (文部省唱歌) 高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「われは海の子(歌詞は第3節まで)」(文部省唱歌)
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想とその変化などの特徴を感じ取って聴くこと。
イ 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取り,楽曲の構造を理解して聴くこと。
ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして,楽曲の特徴や演奏のよさを理解すること。
(2) 鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。
ア 和楽器の音楽を含めた我が国の音楽や諸外国の音楽など文化とのかかわりを感じ取りやすい音楽,人々に長く親しまれている音楽など,いろいろな種類の楽曲
イ 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく,聴く喜びを深めやすい楽曲
ウ 楽器の音や人の声が重なり合う響きを味わうことができる,合奏,合唱を含めたいろいろな演奏形態による楽曲
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素のうち次の(ア)及び(イ)を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さ,美しさを感じ取ること。
(ア) 音色,リズム,速度,旋律,強弱,音の重なりや和声の響き,音階や調,拍の流れやフレーズなどの音楽を特徴付けている要素
(イ) 反復,問いと答え,変化,音楽の縦と横の関係などの音楽の仕組み
イ 音符,休符,記号や音楽にかかわる用語について,音楽活動を通して理解すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(2) 第2の第5学年及び第6学年の内容の「A表現」の指導に当たっては,学校や児童の実態等に応じて,合唱や合奏,重唱や重奏などの表現形態を選んで学習できるようにすること。
(3) 国歌「君が代」は,いずれの学年においても歌えるよう指導すること。
(4) 低学年においては,生活科などとの関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては,幼稚園教育における表現に関する内容などとの関連を考慮すること。
(5) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年の「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,音楽との一体感を味わい,想像力を働かせて音楽とかかわることができるよう,指導のねらいに即して体を動かす活動を取り入れること。
(2) 和音及び和声の指導については,合唱や合奏の活動を通して和音のもつ表情を感じ取ることができるようにすること。また,長調及び短調の楽曲においては,Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ及びⅤ7などの和音を中心に指導すること。
(3) 歌唱の指導については,次のとおり取り扱うこと。
ア 相対的な音程感覚を育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。
イ 歌唱教材については,共通教材のほか,長い間親しまれてきた唱歌,それぞれの地方に伝承されているわらべうたや民謡など日本のうたを含めて取り上げるようにすること。
ウ 変声以前から自分の声の特徴に関心をもたせるとともに,変声期の児童に対して適切に配慮すること。
(4) 各学年の「A表現」の(2)の楽器については,次のとおり取り扱うこと。
ア 各学年で取り上げる打楽器は,木琴,鉄琴,和楽器,諸外国に伝わる様々な楽器を含めて,演奏の効果,学校や児童の実態を考慮して選択すること。
イ 第1学年及び第2学年で取り上げる身近な楽器は,様々な打楽器,オルガン,ハーモニカなどの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
ウ 第3学年及び第4学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,リコーダーや鍵《けん》盤楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
エ 第5学年及び第6学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,電子楽器,和楽器,諸外国に伝わる楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
(5) 音楽づくりの指導については,次のとおり取り扱うこと。
ア 音遊びや即興的な表現では,リズムや旋律を模倣したり,身近なものから多様な音を探したりして,音楽づくりのための様々な発想ができるように指導すること。
イ つくった音楽の記譜の仕方について,必要に応じて指導すること。
ウ 拍節的でないリズム,我が国の音楽に使われている音階や調性にとらわれない音階などを児童の実態に応じて取り上げるようにすること。
(6) 各学年の〔共通事項〕のイの「音符,休符,記号や音楽にかかわる用語」については,児童の学習状況を考慮して,次に示すものを取り扱うこと。
全音符
付点二分音符
二分音符
付点四分音符
四分音符
付点八分音符
八分音符
十六分音符
付点八分音符と十六分音符
四分休符
八分休符
ト音記号
へ音記号
五線と加線
縦線
終止線
シャープ
フラット
ナチュラル
フォルテ
メッゾ・フォルテ
ピアノ
メッゾ・ピアノ
ブレス
四分の二拍子
四分の三拍子
四分の四拍子
八分の六拍子
クレシェンド
デクレシェンド
反復記号
反復記号(1番かっこ・2番かっこ)
タイ
スラー
アクセント
スタッカート
速度記号
第7節 図画工作
第1 目標 表現及び鑑賞の活動を通して,感性を働かせながら,つくりだす喜びを味わうようにするとともに,造形的な創造活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 進んで表したり見たりする態度を育てるとともに,つくりだす喜びを味わうようにする。
(2) 造形活動を楽しみ,豊かな発想をするなどして,体全体の感覚や技能などを働かせるようにする。
(3) 身の回りの作品などから,面白さや楽しさを感じ取るようにする。
2 内容
A 表現
(1) 材料を基に造形遊びをする活動を通して,次の事項を指導する。
ア 身近な自然物や人工の材料の形や色などを基に思い付いてつくること。
イ 感覚や気持ちを生かしながら楽しくつくること。
ウ 並べたり,つないだり,積んだりするなど体全体を働かせてつくること。
(2) 感じたことや想像したことを絵や立体,工作に表す活動を通して,次の事項を指導する。
ア 感じたことや想像したことから,表したいことを見付けて表すこと。
イ 好きな色を選んだり,いろいろな形をつくって楽しんだりしながら表すこと。
ウ 身近な材料や扱いやすい用具を手を働かせて使うとともに,表し方を考えて表すこと。
B 鑑賞
(1) 身の回りの作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
ア 自分たちの作品や身近な材料などを楽しく見ること。
イ 感じたことを話したり,友人の話を聞いたりするなどして,形や色,表し方の面白さ,材料の感じなどに気付くこと。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 自分の感覚や活動を通して,形や色などをとらえること。
イ 形や色などを基に,自分のイメージをもつこと。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 進んで表現したり鑑賞したりする態度を育てるとともに,つくりだす喜びを味わうようにする。
(2) 材料などから豊かな発想をし,手や体全体を十分に働かせ,表し方を工夫し,造形的な能力を伸ばすようにする。
(3) 身近にある作品などから,よさや面白さを感じ取るようにする。
2 内容
A 表現
(1) 材料や場所などを基に造形遊びをする活動を通して,次の事項を指導する。
ア 身近な材料や場所などを基に発想してつくること。
イ 新しい形をつくるとともに,その形から発想したりみんなで話し合って考えたりしながらつくること。
ウ 前学年までの材料や用具についての経験を生かし,組み合わせたり,切ってつないだり,形を変えたりするなどしてつくること。
(2) 感じたこと,想像したこと,見たことを絵や立体,工作に表す活動を通して,次の事項を指導する。
ア 感じたこと,想像したこと,見たことから,表したいことを見付けて表すこと。
イ 表したいことや用途などを考えながら,形や色,材料などを生かし,計画を立てるなどして表すこと。
ウ 表したいことに合わせて,材料や用具の特徴を生かして使うとともに,表し方を考えて表すこと。
B 鑑賞
(1) 身近にある作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
ア 自分たちの作品や身近な美術作品や製作の過程などを鑑賞して,よさや面白さを感じ取ること。
イ 感じたことや思ったことを話したり,友人と話し合ったりするなどして,いろいろな表し方や材料による感じの違いなどが分かること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 自分の感覚や活動を通して,形や色,組合せなどの感じをとらえること。
イ 形や色などの感じを基に,自分のイメージをもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 創造的に表現したり鑑賞したりする態度を育てるとともに,つくりだす喜びを味わうようにする。
(2) 材料などの特徴をとらえ,想像力を働かせて発想し,主題の表し方を構想するとともに,様々な表し方を工夫し,造形的な能力を高めるようにする。
(3) 親しみのある作品などから,よさや美しさを感じ取るとともに,それらを大切にするようにする。
2 内容
A 表現
(1) 材料や場所などの特徴を基に造形遊びをする活動を通して,次の事項を指導する。
ア 材料や場所などの特徴を基に発想し想像力を働かせてつくること。
イ 材料や場所などに進んでかかわり合い,それらを基に構成したり周囲の様子を考え合わせたりしながらつくること。
ウ 前学年までの材料や用具などについての経験や技能を総合的に生かしてつくること。
(2) 感じたこと,想像したこと,見たこと,伝え合いたいことを絵や立体,工作に表す活動を通して,次の事項を指導する。
ア 感じたこと,想像したこと,見たこと,伝え合いたいことから,表したいことを見付けて表すこと。
イ 形や色,材料の特徴や構成の美しさなどの感じ,用途などを考えながら,表し方を構想して表すこと。
ウ 表したいことに合わせて,材料や用具の特徴を生かして使うとともに,表現に適した方法などを組み合わせて表すこと。
B 鑑賞
(1) 親しみのある作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
ア 自分たちの作品,我が国や諸外国の親しみのある美術作品,暮らしの中の作品などを鑑賞して,よさや美しさを感じ取ること。
イ 感じたことや思ったことを話したり,友人と話し合ったりするなどして,表し方の変化,表現の意図や特徴などをとらえること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 自分の感覚や活動を通して,形や色,動きや奥行きなどの造形的な特徴をとらえること。
イ 形や色などの造形的な特徴を基に,自分のイメージをもつこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(2) 第2の各学年の内容の「A表現」の(2)の指導に配当する授業時数については,工作に表すことの内容に配当する授業時数が,絵や立体に表すことの内容に配当する授業時数とおよそ等しくなるように計画すること。
(3) 第2の各学年の内容の「B鑑賞」の指導については,「A表現」との関連を図るようにすること。ただし,指導の効果を高めるため必要がある場合には,児童や学校の実態に応じて,独立して行うようにすること。
(4) 第2の各学年の内容の「A表現」の指導については,適宜共同してつくりだす活動を取り上げるようにすること。
(5) 低学年においては,生活科などとの関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては,幼稚園教育における表現に関する内容などとの関連を考慮すること。
(6) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,図画工作科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 個々の児童が特性を生かした活動ができるようにするため,学習活動や表現方法などに幅をもたせるようにすること。
(2) 各学年の「A表現」の(2)については,児童や学校の実態に応じて,児童が工夫して楽しめる程度の版に表す経験や焼成する経験ができるようにすること。
(3) 材料や用具については,次のとおり取り扱うこととし,必要に応じて,当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり,その後の学年で繰り返し取り上げたりすること。
ア 第1学年及び第2学年においては,土,粘土,木,紙,クレヨン,パス,はさみ,のり,簡単な小刀類など身近で扱いやすいものを用いることとし,児童がこれらに十分に慣れることができるようにすること。
イ 第3学年及び第4学年においては,木切れ,板材,釘《くぎ》,水彩絵の具,小刀,使いやすいのこぎり,金づちなどを用いることとし,児童がこれらを適切に扱うことができるようにすること。
ウ 第5学年及び第6学年においては,針金,糸のこぎりなどを用いることとし,児童が表現方法に応じてこれらを活用できるようにすること。
(4) 事故防止に留意すること。
(5) 各学年の「B鑑賞」の指導に当たっては,児童や学校の実態に応じて,地域の美術館などを利用したり,連携を図ったりすること。
3 校内の適切な場所に作品を展示するなどし,平素の学校生活においてそれを鑑賞できるよう配慮するものとする。
第8節 家 庭
第1 目標 衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して,日常生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付けるとともに,家庭生活を大切にする心情をはぐくみ,家族の一員として生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 衣食住や家族の生活などに関する実践的・体験的な活動を通して,自分の成長を自覚するとともに,家庭生活への関心を高め,その大切さに気付くようにする。
(2) 日常生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,身近な生活に活用できるようにする。
(3) 自分と家族などとのかかわりを考えて実践する喜びを味わい,家庭生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる。
2 内容
A 家庭生活と家族
(1) 自分の成長と家族について,次の事項を指導する。
ア 自分の成長を自覚することを通して,家庭生活と家族の大切さに気付くこと。
(2) 家庭生活と仕事について,次の事項を指導する。
ア 家庭には自分や家族の生活を支える仕事があることが分かり,自分の分担する仕事ができること。
イ 生活時間の有効な使い方を工夫し,家族に協力すること。
(3) 家族や近隣の人々とのかかわりについて,次の事項を指導する。
ア 家族との触れ合いや団らんを楽しくする工夫をすること。
イ 近隣の人々とのかかわりを考え,自分の家庭生活を工夫すること。
B 日常の食事と調理の基礎
(1) 食事の役割について,次の事項を指導する。
ア 食事の役割を知り,日常の食事の大切さに気付くこと。
イ 楽しく食事をするための工夫をすること。
(2) 栄養を考えた食事について,次の事項を指導する。
ア 体に必要な栄養素の種類と働きについて知ること。
イ 食品の栄養的な特徴を知り,食品を組み合わせてとる必要があることが分かること。
ウ 1食分の献立を考えること。
(3) 調理の基礎について,次の事項を指導する。
ア 調理に関心をもち,必要な材料の分量や手順を考えて,調理計画を立てること。
イ 材料の洗い方,切り方,味の付け方,盛り付け,配膳《ぜん》及び後片付けが適切にできること。
ウ ゆでたり,いためたりして調理ができること。
エ 米飯及びみそ汁の調理ができること。
オ 調理に必要な用具や食器の安全で衛生的な取扱い及びこんろの安全な取扱いができること。
C 快適な衣服と住まい
(1) 衣服の着用と手入れについて,次の事項を指導する。
ア 衣服の働きが分かり,衣服に関心をもって日常着の快適な着方を工夫できること。
イ 日常着の手入れが必要であることが分かり,ボタン付けや洗濯ができること。
(2) 快適な住まい方について,次の事項を指導する。
ア 住まい方に関心をもって,整理・整頓《とん》や清掃の仕方が分かり工夫できること。
イ 季節の変化に合わせた生活の大切さが分かり,快適な住まい方を工夫できること。
(3) 生活に役立つ物の製作について,次の事項を指導する。
ア 布を用いて製作する物を考え,形などを工夫し,製作計画を立てること。
イ 手縫いや,ミシンを用いた直線縫いにより目的に応じた縫い方を考えて製作し,活用できること。
ウ 製作に必要な用具の安全な取扱いができること。
D 身近な消費生活と環境
(1) 物や金銭の使い方と買物について,次の事項を指導する。
ア 物や金銭の大切さに気付き,計画的な使い方を考えること。
イ 身近な物の選び方,買い方を考え,適切に購入できること。
(2) 環境に配慮した生活の工夫について,次の事項を指導する。
ア 自分の生活と身近な環境とのかかわりに気付き,物の使い方などを工夫できること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 題材の構成に当たっては,児童の実態を的確にとらえるとともに,内容相互の関連を図り,指導の効果を高めるようにすること。
(2) 「A家庭生活と家族」の(1)のアについては,第4学年までの学習を踏まえ2学年間の学習の見通しを立てさせるために,第5学年の最初に履修させるとともに,「A家庭生活と家族」から「D身近な消費生活と環境」までの学習と関連させるようにすること。
(3) 「B日常の食事と調理の基礎」の(3)及び「C快適な衣服と住まい」の(3)については,学習の効果を高めるため,2学年にわたって取り扱い,平易なものから段階的に学習できるよう計画すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「B日常の食事と調理の基礎」については,次のとおり取り扱うこと。
ア (2)のア及びイについては,五大栄養素と食品の体内での主な働きを中心に扱うこと。
イ (3)のエについては,米飯やみそ汁が我が国の伝統的な日常食であることにも触れること。
ウ 食に関する指導については,家庭科の特質に応じて,食育の充実に資するよう配慮すること。
(2) 「C快適な衣服と住まい」の(2)のイについては,主として暑さ・寒さ,通風・換気及び採光を取り上げること。
(3) 「D身近な消費生活と環境」については,次のとおり取り扱うこと。
ア (1)のイについては,「A家庭生活と家族」の(3),「B日常の食事と調理の基礎」の(3)並びに「C快適な衣服と住まい」の(2)及び(3)で扱う用具や実習材料などの身近な物を取り上げること。
イ (2)については,「B日常の食事と調理の基礎」又は「C快適な衣服と住まい」との関連を図り,実践的に学習できるようにすること。
3 実習の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 服装を整え,用具の手入れや保管を適切に行うこと。
(2) 事故の防止に留意して,熱源や用具,機械などを取り扱うこと。
(3) 調理に用いる食品については,生の魚や肉は扱わないなど,安全・衛生に留意すること。
4 家庭との連携を図り,児童が身に付けた知識及び技能などを日常生活に活用するよう配慮するものとする。
5 各内容の指導に当たっては,衣食住など生活の中の様々な言葉を実感を伴って理解する学習活動や,自分の生活における課題を解決するために言葉や図表などを用いて生活をよりよくする方法を考えたり,説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮するものとする。
第9節 体 育
第1 目標 心と体を一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営む態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 簡単なきまりや活動を工夫して各種の運動を楽しくできるようにするとともに,その基本的な動きを身に付け,体力を養う。
(2) だれとでも仲よくし,健康・安全に留意して意欲的に運動をする態度を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を行い,体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,体の基本的な動きができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の変化に気付いたり,体の調子を整えたり,みんなでかかわり合ったりするための手軽な運動や律動的な運動をすること。
イ 多様な動きをつくる運動遊びでは,体のバランスをとったり移動をしたりするとともに,用具の操作などをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 体つくりのための簡単な運動の行い方を工夫できるようにする。
B 器械・器具を使っての運動遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 固定施設を使った運動遊びでは,登り下りや懸垂移行,渡り歩きや跳び下りをすること。
イ マットを使った運動遊びでは,いろいろな方向への転がり,手で支えての体の保持や回転をすること。
ウ 鉄棒を使った運動遊びでは,支持しての上がり下り,ぶら下がりや易しい回転をすること。
エ 跳び箱を使った運動遊びでは,跳び乗りや跳び下り,手を着いてのまたぎ乗りや跳び乗りをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 器械・器具を用いた簡単な遊び方を工夫できるようにする。
C 走・跳の運動遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 走の運動遊びでは,いろいろな方向に走ったり,低い障害物を走り越えたりすること。
イ 跳の運動遊びでは,前方や上方に跳んだり,連続して跳んだりすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 走ったり跳んだりする簡単な遊び方を工夫できるようにする。
D 水遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 水に慣れる遊びでは,水につかったり移動したりすること。
イ 浮く・もぐる遊びでは,水に浮いたりもぐったり,水中で息を吐いたりすること。
(2) 運動に進んで取り組み,仲よく運動をしたり,水遊びの心得を守って安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 水中での簡単な遊び方を工夫できるようにする。
E ゲーム
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア ボールゲームでは,簡単なボール操作やボールを持たないときの動きによって,的に当てるゲームや攻めと守りのあるゲームをすること。
イ 鬼遊びでは,一定の区域で,逃げる,追いかける,陣地を取り合うなどをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 簡単な規則を工夫したり,攻め方を決めたりすることができるようにする。
F 表現リズム遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,題材になりきったりリズムに乗ったりして踊ることができるようにする。
ア 表現遊びでは,身近な題材の特徴をとらえ全身で踊ること。
イ リズム遊びでは,軽快なリズムに乗って踊ること。
(2) 運動に進んで取り組み,だれとでも仲よく踊ったり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 簡単な踊り方を工夫できるようにする。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A体つくり運動」については,2学年にわたって指導するものとする。
(2) 内容の「F表現リズム遊び」の(1)のイについては,簡単なフォークダンスを含めて指導することができる。
(3) 地域や学校の実態に応じて歌や運動を伴う伝承遊び及び自然の中での運動遊びを加えて指導することができる。
(4) 各領域の各内容については,運動と健康がかかわっていることの具体的な考えがもてるよう指導すること。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 活動を工夫して各種の運動を楽しくできるようにするとともに,その基本的な動きや技能を身に付け,体力を養う。
(2) 協力,公正などの態度を育てるとともに,健康・安全に留意し,最後まで努力して運動をする態度を育てる。
(3) 健康な生活及び体の発育・発達について理解できるようにし,身近な生活において健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を行い,体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,体の基本的な動きができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の変化に気付いたり,体の調子を整えたり,みんなでかかわり合ったりするための手軽な運動や律動的な運動をすること。
イ 多様な動きをつくる運動では,体のバランスや移動,用具の操作などとともに,それらを組み合わせること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 体つくりのための運動の行い方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技ができるようにする。
ア マット運動では,基本的な回転技や倒立技をすること。
イ 鉄棒運動では,基本的な上がり技や支持回転技,下り技をすること。
ウ 跳び箱運動では,基本的な支持跳び越し技をすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場や器械・器具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題をもち,技ができるようにするための活動を工夫できるようにする。
C 走・跳の運動
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア かけっこ・リレーでは,調子よく走ること。
イ 小型ハードル走では,小型ハードルを調子よく走り越えること。
ウ 幅跳びでは,短い助走から踏み切って跳ぶこと。
エ 高跳びでは,短い助走から踏み切って跳ぶこと。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題をもち,動きを身に付けるための活動や競争の仕方を工夫できるようにする。
D 浮く・泳ぐ運動
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 浮く運動では,いろいろな浮き方やけ伸びをすること。
イ 泳ぐ運動では,補助具を使ってのキックやストローク,呼吸をしながらの初歩的な泳ぎをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,仲よく運動をしたり,浮く・泳ぐ運動の心得を守って安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題をもち,動きを身に付けるための活動を工夫できるようにする。
E ゲーム
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア ゴール型ゲームでは,基本的なボール操作やボールを持たないときの動きによって,易しいゲームをすること。
イ ネット型ゲームでは,ラリーを続けたり,ボールをつないだりして易しいゲームをすること。
ウ ベースボール型ゲームでは,蹴《け》る,打つ,捕る,投げるなどの動きによって,易しいゲームをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,規則を守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 規則を工夫したり,ゲームの型に応じた簡単な作戦を立てたりすることができるようにする。
F 表現運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,表したい感じを表現したりリズムの特徴をとらえたりして踊ることができるようにする。
ア 表現では,身近な生活などの題材からその主な特徴をとらえ,対比する動きを組み合わせたり繰り返したりして踊ること。
イ リズムダンスでは,軽快なリズムに乗って全身で踊ること。
(2) 運動に進んで取り組み,だれとでも仲よく練習や発表をしたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題を見付け,練習や発表の仕方を工夫できるようにする。
G 保 健
(1) 健康の大切さを認識するとともに,健康によい生活について理解できるようにする。
ア 心や体の調子がよいなどの健康の状態は,主体の要因や周囲の環境の要因がかかわっていること。
イ 毎日を健康に過ごすには,食事,運動,休養及び睡眠の調和のとれた生活を続けること,また,体の清潔を保つことなどが必要であること。
ウ 毎日を健康に過ごすには,明るさの調節,換気などの生活環境を整えることなどが必要であること。
(2) 体の発育・発達について理解できるようにする。
ア 体は,年齢に伴って変化すること。また,体の発育・発達には,個人差があること。
イ 体は,思春期になると次第に大人の体に近づき,体つきが変わったり,初経,精通などが起こったりすること。また,異性への関心が芽生えること。
ウ 体をよりよく発育・発達させるには,調和のとれた食事,適切な運動,休養及び睡眠が必要であること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A体つくり運動」については,2学年にわたって指導するものとする。
(2) 内容の「F表現運動」の(1)については,地域や学校の実態に応じてフォークダンスを加えて指導することができる。
(3) 内容の「G保健」については,(1)を第3学年,(2)を第4学年で指導するものとする。
(4) 内容の「G保健」の(1)については,学校でも,健康診断や学校給食など様々な活動が行われていることについて触れるものとする。
(5) 内容の「G保健」の(2)については,自分と他の人では発育・発達などに違いがあることに気付き,それらを肯定的に受け止めることが大切であることについて触れるものとする。
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 活動を工夫して各種の運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに,その特性に応じた基本的な技能を身に付け,体力を高める。
(2) 協力,公正などの態度を育てるとともに,健康・安全に留意し,自己の最善を尽くして運動をする態度を育てる。
(3) 心の健康,けがの防止及び病気の予防について理解できるようにし,健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を行い,体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,体力を高めることができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の関係に気付いたり,体の調子を整えたり,仲間と交流したりするための手軽な運動や律動的な運動をすること。
イ 体力を高める運動では,ねらいに応じて,体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるための運動,力強い動き及び動きを持続する能力を高めるための運動をすること。
(2) 運動に進んで取り組み,助け合って運動をしたり,場や用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の体の状態や体力に応じて,運動の行い方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技ができるようにする。
ア マット運動では,基本的な回転技や倒立技を安定して行うとともに,その発展技を行ったり,それらを繰り返したり組み合わせたりすること。
イ 鉄棒運動では,基本的な上がり技や支持回転技,下り技を安定して行うとともに,その発展技を行ったり,それらを繰り返したり組み合わせたりすること。
ウ 跳び箱運動では,基本的な支持跳び越し技を安定して行うとともに,その発展技を行うこと。
(2) 運動に進んで取り組み,約束を守り助け合って運動をしたり,場や器械・器具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題の解決の仕方や技の組み合わせ方を工夫できるようにする。
C 陸上運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技能を身に付けることができるようにする。
ア 短距離走・リレーでは,一定の距離を全力で走ること。
イ ハードル走では,ハードルをリズミカルに走り越えること。
ウ 走り幅跳びでは,リズミカルな助走から踏み切って跳ぶこと。
エ 走り高跳びでは,リズミカルな助走から踏み切って跳ぶこと。
(2) 運動に進んで取り組み,約束を守り助け合って運動をしたり,場や用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題の解決の仕方,競争や記録への挑戦の仕方を工夫できるようにする。
D 水 泳
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技能を身に付けることができるようにする。
ア クロールでは,続けて長く泳ぐこと。
イ 平泳ぎでは,続けて長く泳ぐこと。
(2) 運動に進んで取り組み,助け合って水泳をしたり,水泳の心得を守って安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題の解決の仕方や記録への挑戦の仕方を工夫できるようにする。
E ボール運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技能を身に付けることができるようにする。
ア ゴール型では,簡易化されたゲームで,ボール操作やボールを受けるための動きによって,攻防をすること。
イ ネット型では,簡易化されたゲームで,チームの連係による攻撃や守備によって,攻防をすること。
ウ ベースボール型では,簡易化されたゲームで,ボールを打ち返す攻撃や隊形をとった守備によって,攻防をすること。
(2) 運動に進んで取り組み,ルールを守り助け合って運動をしたり,場や用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) ルールを工夫したり,自分のチームの特徴に応じた作戦を立てたりすることができるようにする。
F 表現運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,表したい感じを表現したり踊りの特徴をとらえたりして踊ることができるようにする。
ア 表現では,いろいろな題材から表したいイメージをとらえ,即興的な表現や簡単なひとまとまりの表現で踊ること。
イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて簡単なステップや動きで踊ること。
(2) 運動に進んで取り組み,互いのよさを認め合い助け合って練習や発表をしたり,場の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自分やグループの課題の解決に向けて,練習や発表の仕方を工夫できるようにする。
G 保 健
(1) 心の発達及び不安,悩みへの対処について理解できるようにする。
ア 心は,いろいろな生活経験を通して,年齢に伴って発達すること。
イ 心と体は,相互に影響し合うこと。
ウ 不安や悩みへの対処には,大人や友達に相談する,仲間と遊ぶ,運動をするなどいろいろな方法があること。
(2) けがの防止について理解するとともに,けがなどの簡単な手当ができるようにする。
ア 交通事故や身の回りの生活の危険が原因となって起こるけがの防止には,周囲の危険に気付くこと,的確な判断の下に安全に行動すること,環境を安全に整えることが必要であること。
イ けがの簡単な手当は,速やかに行う必要があること。
(3) 病気の予防について理解できるようにする。
ア 病気は,病原体,体の抵抗力,生活行動,環境がかかわり合って起こること。
イ 病原体が主な要因となって起こる病気の予防には,病原体が体に入るのを防ぐことや病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であること。
ウ 生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防には,栄養の偏りのない食事をとること,口腔《くう》の衛生を保つことなど,望ましい生活習慣を身に付ける必要があること。
エ 喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,健康を損なう原因となること。
オ 地域では,保健にかかわる様々な活動が行われていること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A体つくり運動」については,2学年にわたって指導するものとする。また,(1)のイについては,体の柔らかさ及び巧みな動きを高めることに重点を置いて指導するものとする。
(2) 内容の「D水泳」の(1)については,水中からのスタートを指導するものとする。また,学校の実態に応じて背泳ぎを加えて指導することができる。
(3) 内容の「Eボール運動」の(1)については,アはバスケットボール及びサッカーを,イはソフトバレーボールを,ウはソフトボールを主として取り扱うものとするが,これらに替えてそれぞれの型に応じたハンドボールなどのその他のボール運動を指導することもできるものとする。なお,学校の実態に...
(4) 内容の「F表現運動」の(1)については,地域や学校の実態に応じてリズムダンスを加えて指導することができる。
(5) 内容の「G保健」については,(1)及び(2)を第5学年,(3)を第6学年で指導するものとする。
(6) 内容の「A体つくり運動」の(1)のアと「G保健」の(1)のウについては,相互の関連を図って指導するものとする。
(7) 内容の「G保健」の(3)のエの薬物については,有機溶剤の心身への影響を中心に取り扱うものとする。また,覚せい剤等についても触れるものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 地域や学校の実態を考慮するとともに,個々の児童の運動経験や技能の程度などに応じた指導や児童自らが運動の課題の解決を目指す活動を行えるよう工夫すること。
(2) 一部の領域の指導に偏ることのないよう授業時数を配当すること。
(3) 第2の第3学年及び第4学年の内容の「G保健」に配当する授業時数は,2学年間で8単位時間程度,また,第2の第5学年及び第6学年の内容の「G保健」に配当する授業時数は,2学年間で16単位時間程度とすること。
(4) 第2の第3学年及び第4学年の内容の「G保健」並びに第5学年及び第6学年の内容の「G保健」(以下「保健」という。)については,効果的な学習が行われるよう適切な時期に,ある程度まとまった時間を配当すること。
(5) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「A体つくり運動」の(1)のアについては,各学年の各領域においてもその趣旨を生かした指導ができること。
(2) 「D水遊び」,「D浮く・泳ぐ運動」及び「D水泳」の指導については,適切な水泳場の確保が困難な場合にはこれらを取り扱わないことができるが,これらの心得については,必ず取り上げること。
(3) 集合,整頓《とん》,列の増減などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団としての行動ができるようにするための指導については,「A体つくり運動」をはじめとして,各学年の各領域(保健を除く。)において適切に行うこと。
(4) 自然とのかかわりの深い雪遊び,氷上遊び,スキー,スケート,水辺活動などの指導については,地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意すること。
(5) 保健の内容のうち食事,運動,休養及び睡眠については,食育の観点も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結び付くよう配慮するとともに,保健を除く第3学年以上の各領域及び学校給食に関する指導においても関連した指導を行うよう配慮すること。
(6) 保健の指導に当たっては,知識を活用する学習活動を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うこと。
第3章 特別の教科 道徳
第1 目標 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。...
第2 内容 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては,以下に示す項目について扱う。
A 主として自分自身に関すること
[善悪の判断,自律,自由と責任]
〔第1学年及び第2学年〕 よいことと悪いこととの区別をし,よいと思うことを進んで行うこと。
〔第3学年及び第4学年〕 正しいと判断したことは,自信をもって行うこと。
〔第5学年及び第6学年〕 自由を大切にし,自律的に判断し,責任のある行動をすること。
[正直,誠実]
〔第1学年及び第2学年〕 うそをついたりごまかしをしたりしないで,素直に伸び伸びと生活すること。
〔第3学年及び第4学年〕 過ちは素直に改め,正直に明るい心で生活すること。
〔第5学年及び第6学年〕 誠実に,明るい心で生活すること。
[節度,節制]
〔第1学年及び第2学年〕 健康や安全に気を付け,物や金銭を大切にし,身の回りを整え,わがままをしないで,規則正しい生活をすること。
〔第3学年及び第4学年〕 自分でできることは自分でやり,安全に気を付け,よく考えて行動し,節度のある生活をすること。
〔第5学年及び第6学年〕 安全に気を付けることや,生活習慣の大切さについて理解し,自分の生活を見直し,節度を守り節制に心掛けること。
[個性の伸長]
〔第1学年及び第2学年〕 自分の特徴に気付くこと。
〔第3学年及び第4学年〕 自分の特徴に気付き,長所を伸ばすこと。
〔第5学年及び第6学年〕 自分の特徴を知って,短所を改め長所を伸ばすこと。
[希望と勇気, 努力と強い意志]
〔第1学年及び第2学年〕 自分のやるべき勉強や仕事をしっかりと行うこと。
〔第3学年及び第4学年〕 自分でやろうと決めた目標に向かって,強い意志をもち,粘り強くやり抜くこと。
〔第5学年及び第6学年〕 より高い目標を立て,希望と勇気をもち,困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。
[真理の探究] 〔第5学年及び第6学年〕 真理を大切にし,物事を探究しようとする心をもつこと。
B 主として人との関わりに関すること
[親切,思いやり]
〔第1学年及び第2学年〕 身近にいる人に温かい心で接し,親切にすること。
〔第3学年及び第4学年〕 相手のことを思いやり,進んで親切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕 誰に対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にすること。
[感謝]
〔第1学年及び第2学年〕 家族など日頃世話になっている人々に感謝すること。
〔第3学年及び第4学年〕 家族など生活を支えてくれている人々や現在の生活を築いてくれた高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接すること。
〔第5学年及び第6学年〕 日々の生活が家族や過去からの多くの人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それに応えること。
[礼儀]
〔第1学年及び第2学年〕 気持ちのよい挨拶,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接すること。
〔第3学年及び第4学年〕 礼儀の大切さを知り,誰に対しても真心をもって接すること。
〔第5学年及び第6学年〕 時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接すること。
[友情,信頼]
〔第1学年及び第2学年〕 友達と仲よくし,助け合うこと。
〔第3学年及び第4学年〕 友達と互いに理解し,信頼し,助け合うこと。
〔第5学年及び第6学年〕 友達と互いに信頼し,学び合って友情を深め,異性についても理解しながら,人間関係を築いていくこと。
[相互理解,寛容]
〔第3学年及び第4学年〕 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,相手のことを理解し,自分と異なる意見も大切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を尊重すること。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
[規則の尊重]
〔第1学年及び第2学年〕 約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にすること。
〔第3学年及び第4学年〕 約束や社会のきまりの意義を理解し,それらを守ること。
〔第5学年及び第6学年〕 法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り,自他の権利を大切にし,義務を果たすこと。
[公正,公平,社会正義]
〔第1学年及び第2学年〕 自分の好き嫌いにとらわれないで接すること。
〔第3学年及び第4学年〕 誰に対しても分け隔てをせず,公正,公平な態度で接すること。
〔第5学年及び第6学年〕 誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく,公正,公平な態度で接し,正義の実現に努めること。
[勤労,公共の精神]
〔第1学年及び第2学年〕 働くことのよさを知り,みんなのために働くこと。
〔第3学年及び第4学年〕 働くことの大切さを知り,進んでみんなのために働くこと。
〔第5学年及び第6学年〕 働くことや社会に奉仕することの充実感を味わうとともに,その意義を理解し,公共のために役に立つことをすること。
[家族愛,家庭生活の充実]
〔第1学年及び第2学年〕 父母,祖父母を敬愛し,進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つこと。
〔第3学年及び第4学年〕 父母,祖父母を敬愛し,家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。
〔第5学年及び第6学年〕 父母,祖父母を敬愛し,家族の幸せを求めて,進んで役に立つことをすること。
[よりよい学校生活,集団生活の充実]
〔第1学年及び第2学年〕 先生を敬愛し,学校の人々に親しんで,学級や学校の生活を楽しくすること。
〔第3学年及び第4学年〕 先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合って楽しい学級や学校をつくること。
〔第5学年及び第6学年〕 先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合ってよりよい学級や学校をつくるとともに,様々な集団の中での自分の役割を自覚して集団生活の充実に努めること。
[伝統と文化の尊重, 国や郷土を愛する態度]
〔第1学年及び第2学年〕 我が国や郷土の文化と生活に親しみ,愛着をもつこと。
〔第3学年及び第4学年〕 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,国や郷土を愛する心をもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕 我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を愛する心をもつこと。
[国際理解,国際親善]
〔第1学年及び第2学年〕 他国の人々や文化に親しむこと。
〔第3学年及び第4学年〕 他国の人々や文化に親しみ,関心をもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕 他国の人々や文化について理解し,日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。
D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
[生命の尊さ]
〔第1学年及び第2学年〕 生きることのすばらしさを知り,生命を大切にすること。
〔第3学年及び第4学年〕 生命の尊さを知り,生命あるものを大切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕 生命が多くの生命のつながりの中にあるかけがえのないものであることを理解し,生命を尊重すること。
[自然愛護]
〔第1学年及び第2学年〕 身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接すること。
〔第3学年及び第4学年〕 自然のすばらしさや不思議さを感じ取り,自然や動植物を大切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕 自然の偉大さを知り,自然環境を大切にすること。
[感動,畏敬の念]
〔第1学年及び第2学年〕 美しいものに触れ,すがすがしい心をもつこと。
〔第3学年及び第4学年〕 美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕 美しいものや気高いものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつこと。
[よりよく生きる喜び] 〔第5学年及び第6学年〕 よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し,人間として生きる喜びを感じること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 各学校においては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら, 道徳科の年間指導計画を作成するものとする。 なお, 作成に当たっては, 第2に示す各学年段階の内容項目について, 相当する各学年において全て取り上げることと...
2 第2の内容の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2) 道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう,計画的・発展的な指導を行うこと。特に,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや,児童や学校の実態...
(3) 児童が自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。その際,道徳性を養うことの意義について,児童自らが考え,理解し,主体的に学習に取り組むことができるようにすること。
(4) 児童が多様な感じ方や考え方に接する中で,考えを深め,判断し,表現する力などを育むことができるよう,自分の考えを基に話し合ったり書いたりするなどの言語活動を充実すること。
(5) 児童の発達の段階や特性等を考慮し,指導のねらいに即して,問題解決的な学習,道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど,指導方法を工夫すること。その際,それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また,特別活動等における多様な...
(6) 児童の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連を踏まえつつ,情報モラルに関する指導を充実すること。また,児童の発達の段階や特性等を考慮し,例えば,社会の持続可能な発展などの現代的な課題の取扱いにも留意し,身近な社会的課題を自分との関係において考え,それらの解決に寄...
(7) 道徳科の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々,各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 児童の発達の段階や特性,地域の実情等を考慮し,多様な教材の活用に努めること。特に,生命の尊厳,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし,児童が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり,感動を覚えたりするような充実した教材の開発や活...
(2) 教材については,教育基本法や学校教育法その他の法令に従い,次の観点に照らし適切と判断されるものであること。
ア 児童の発達の段階に即し,ねらいを達成するのにふさわしいものであること。
イ 人間尊重の精神にかなうものであって,悩みや葛藤等の心の揺れ,人間関係の理解等の課題も含め,児童が深く考えることができ,人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること。
ウ 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には,特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること。
4 児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとする。
第4章 外国語活動
第1 目標 外国語を通じて,言語や文化について体験的に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。
第2 内容
〔第5学年及び第6学年〕
1 外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることができるよう,次の事項について指導する。
(1) 外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験すること。
(2) 積極的に外国語を聞いたり,話したりすること。
(3) 言語を用いてコミュニケーションを図ることの大切さを知ること。
2 日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深めることができるよう,次の事項について指導する。
(1) 外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと。
(2) 日本と外国との生活,習慣,行事などの違いを知り,多様なものの見方や考え方があることに気付くこと。
(3) 異なる文化をもつ人々との交流等を体験し,文化等に対する理解を深めること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 外国語活動においては,英語を取り扱うことを原則とすること。
(2) 各学校においては,児童や地域の実態に応じて,学年ごとの目標を適切に定め,2学年間を通して外国語活動の目標の実現を図るようにすること。
(3) 第2の内容のうち,主として言語や文化に関する2の内容の指導については,主としてコミュニケーションに関する1の内容との関連を図るようにすること。その際,言語や文化については体験的な理解を図ることとし,指導内容が必要以上に細部にわたったり,形式的になったりしないようにすること。...
(4) 指導内容や活動については,児童の興味・関心にあったものとし,国語科,音楽科,図画工作科などの他教科等で児童が学習したことを活用するなどの工夫により,指導の効果を高めるようにすること。
(5) 指導計画の作成や授業の実施については,学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師が行うこととし,授業の実施に当たっては,ネイティブ・スピーカーの活用に努めるとともに,地域の実態に応じて,外国語に堪《たん》能な地域の人々の協力を得るなど,指導体制を充実すること。
(6) 音声を取り扱う場合には,CD,DVDなどの視聴覚教材を積極的に活用すること。その際,使用する視聴覚教材は,児童,学校及び地域の実態を考慮して適切なものとすること。
(7) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,外国語活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 2学年間を通じ指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
ア 外国語でのコミュニケーションを体験させる際には,児童の発達の段階を考慮した表現を用い,児童にとって身近なコミュニケーションの場面を設定すること。
イ 外国語でのコミュニケーションを体験させる際には,音声面を中心とし,アルファベットなどの文字や単語の取扱いについては,児童の学習負担に配慮しつつ,音声によるコミュニケーションを補助するものとして用いること。
ウ 言葉によらないコミュニケーションの手段もコミュニケーションを支えるものであることを踏まえ,ジェスチャーなどを取り上げ,その役割を理解させるようにすること。
エ 外国語活動を通して,外国語や外国の文化のみならず,国語や我が国の文化についても併せて理解を深めることができるようにすること。
オ 外国語でのコミュニケーションを体験させるに当たり,主として次に示すようなコミュニケーションの場面やコミュニケーションの働きを取り上げるようにすること。
〔コミュニケーションの場面の例〕
(ア) 特有の表現がよく使われる場面
・ あいさつ
・ 自己紹介
・ 買物
・ 食事
・ 道案内
など
(イ) 児童の身近な暮らしにかかわる場面
・ 家庭での生活
・ 学校での学習や活動
・ 地域の行事
・ 子どもの遊び
など
〔コミュニケーションの働きの例〕
(ア) 相手との関係を円滑にする
(イ) 気持ちを伝える
(ウ) 事実を伝える
(エ) 考えや意図を伝える
(オ) 相手の行動を促す
(2) 児童の学習段階を考慮して各学年の指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
ア 第5学年における活動 外国語を初めて学習することに配慮し,児童に身近で基本的な表現を使いながら,外国語に慣れ親しむ活動や児童の日常生活や学校生活にかかわる活動を中心に,友達とのかかわりを大切にした体験的なコミュニケーション活動を行うようにすること。
イ 第6学年における活動 第5学年の学習を基礎として,友達とのかかわりを大切にしながら,児童の日常生活や学校生活に加え,国際理解にかかわる交流等を含んだ体験的なコミュニケーション活動を行うようにすること。
第5章 総合的な学習の時間
第1 目標 横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考える...
第2 各学校において定める目標及び内容
1 目標 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。
2 内容 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。
(2) 地域や学校,児童の実態等に応じて,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習,探究的な学習,児童の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うこと。
(3) 第2の各学校において定める目標及び内容については,日常生活や社会とのかかわりを重視すること。
(4) 育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
(5) 学習活動については,学校の実態に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,児童の興味・関心に基づく課題についての学習活動,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題についての学習活動などを行うこと。
(6) 各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
(7) 各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(8) 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めること。
(9) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学校において定める目標及び内容に基づき,児童の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。
(2) 問題の解決や探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。
(3) 自然体験やボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。
(4) 体験活動については,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえ,問題の解決や探究活動の過程に適切に位置付けること。
(5) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。
(6) 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
(7) 国際理解に関する学習を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,諸外国の生活や文化などを体験したり調査したりするなどの学習活動が行われるようにすること。
(8) 情報に関する学習を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。
第6章 特別活動
第1 目標 望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,自己の生き方についての考えを深め,自己を生かす能力を養う。
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
〔学級活動〕
1 目標 学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。
2 内容
〔第1学年及び第2学年〕 学級を単位として,仲良く助け合い学級生活を楽しくするとともに,日常の生活や学習に進んで取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。
〔第3学年及び第4学年〕 学級を単位として,協力し合って楽しい学級生活をつくるとともに,日常の生活や学習に意欲的に取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。
〔第5学年及び第6学年〕 学級を単位として,信頼し支え合って楽しく豊かな学級や学校の生活をつくるとともに,日常の生活や学習に自主的に取り組もうとする態度の向上に資する活動を行うこと。
〔共通事項〕
(1) 学級や学校の生活づくり
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理
ウ 学校における多様な集団の生活の向上
(2) 日常の生活や学習への適応及び健康安全
ア 希望や目標をもって生きる態度の形成
イ 基本的な生活習慣の形成
ウ 望ましい人間関係の形成
エ 清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義の理解
オ 学校図書館の利用
カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成
キ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
〔児童会活動〕
1 目標 児童会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容 学校の全児童をもって組織する児童会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。
(1) 児童会の計画や運営
(2) 異年齢集団による交流
(3) 学校行事への協力
〔クラブ活動〕
1 目標 クラブ活動を通して,望ましい人間関係を形成し,個性の伸長を図り,集団の一員として協力してよりよいクラブづくりに参画しようとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容 学年や学級の所属を離れ,主として第4学年以上の同好の児童をもって組織するクラブにおいて,異年齢集団の交流を深め,共通の興味・関心を追求する活動を行うこと。
(1) クラブの計画や運営
(2) クラブを楽しむ活動
(3) クラブの成果の発表
〔学校行事〕
1 目標 学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容 全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
(1) 儀式的行事 学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。
(2) 文化的行事 平素の学習活動の成果を発表し,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。
(3) 健康安全・体育的行事 心身の健全な発達や健康の保持増進などについての関心を高め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵《かん》養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
(4) 遠足・集団宿泊的行事 自然の中での集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,人間関係などの集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。
(5) 勤労生産・奉仕的行事 勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学級や学校の実態や児童の発達の段階などを考慮し,児童による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳科,外国語活動及び総合的な学習の時間などの指導と...
(2) 〔学級活動〕などにおいて,児童が自ら現在及び将来の生き方を考えることができるよう工夫すること。
(3) 〔クラブ活動〕については,学校や地域の実態等を考慮しつつ児童の興味・関心を踏まえて計画し実施できるようにすること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 〔学級活動〕,〔児童会活動〕及び〔クラブ活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,児童の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるな...
(2) 〔学級活動〕については,学級,学校及び児童の実態,学級集団の育成上の課題や発達の課題及び第1章総則の第4の3の(2)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年段階において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりす...
(3) 〔児童会活動〕の運営は,主として高学年の児童が行うこと。
(4) 〔学校行事〕については,学校や地域及び児童の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,異年齢集団による交流,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体験など...
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
第1章 総則
第1 教育課程編成の一般方針
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うもの...
2 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。 道徳教育...
3 学校における体育・健康に関する指導は,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科の時間はもとより,技術・家庭科,...
第2 内容等の取扱いに関する共通的事項
1 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,全ての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,こ...
3 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動並びに各学年,各分野又は各言語の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
4 学校において2以上の学年の生徒で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。
5 各学校においては,選択教科を開設し,生徒に履修させることができる。その場合にあっては,地域や学校,生徒の実態を考慮し,すべての生徒に指導すべき内容との関連を図りつつ,選択教科の授業時数及び内容を適切に定め選択教科の指導計画を作成するものとする。
6 選択教科の内容については,課題学習,補充的な学習や発展的な学習など,生徒の特性等に応じた多様な学習活動が行えるよう各学校において適切に定めるものとする。その際,生徒の負担過重となることのないようにしなければならない。
7 各学校においては,第2章に示す各教科を選択教科として設けることができるほか,地域や学校,生徒の実態を考慮して,特に必要がある場合には,その他特に必要な教科を選択教科として設けることができる。その他特に必要な教科の名称,目標,内容などについては,各学校が適切に定めるものとする。
8 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とする。
第3 授業時数等の取扱い
1 各教科,道徳科,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」 という。ただし,1及び3において,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。)の授業は,年間35週以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が生徒の負担過重にならないようにするものとす...
2 特別活動の授業のうち,生徒会活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
3 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数を確保しつつ,生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとする。なお,10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において,当該教科を担当する教師がその指導...
4 各学校においては,地域や学校及び生徒の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することができる。
5 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
1 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
(2) 各教科の各学年,各分野又は各言語の指導内容については,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加えるなど,効果的な指導ができるようにすること。
2 各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各教科等の指導に当たっては,生徒の思考力,判断力,表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め,言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え,生徒の言語活動を充実すること。
(2) 各教科等の指導に当たっては,体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視するとともに,生徒の興味・関心を生かし,自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
(3) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め,生徒が自主的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう,生徒指導の充実を図ること。
(4) 生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行うこと。
(5) 生徒が学校や学級での生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,ガイダンスの機能の充実を図ること。
(6) 各教科等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること。
(7) 各教科等の指導に当たっては,生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう,学校や生徒の実態に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,学習内容の習熟の程度に応じた指導,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導,教師...
(8) 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行う...
(9) 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うこと。
(10) 各教科等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
(11) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(12) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(13) 生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵《かん》養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,地域や学校の実態に応じ,地域の人々の協...
(14) 学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,中学校間や小学校,高等学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などとの交流...
3 道徳教育を進めるに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校においては,第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」 という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。 なお, 道徳教育の全体計画の作成に当たっては,生徒...
(2) 各学校においては,生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,小学校における道徳教育の指導内容を更に発展させ,自立心や自律性を高め,規律ある生活をすること,生命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること,法やきまりの意義に...
(3) 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意...
(4) 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
第2章 各教科
第1節 国語
第1 目標 国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 目的や場面に応じ,日常生活にかかわることなどについて構成を工夫して話す能力,話し手の意図を考えながら聞く能力,話題や方向をとらえて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えをまとめようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,日常生活にかかわることなどについて,構成を考えて的確に書く能力を身に付けさせるとともに,進んで文章を書いて考えをまとめようとする態度を育てる。
(3) 目的や意図に応じ,様々な本や文章などを読み,内容や要旨を的確にとらえる能力を身に付けさせるとともに,読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 日常生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を人との交流を通して集め整理すること。
イ 全体と部分,事実と意見との関係に注意して話を構成し,相手の反応を踏まえながら話すこと。
ウ 話す速度や音量,言葉の調子や間の取り方,相手に分かりやすい語句の選択,相手や場に応じた言葉遣いなどについての知識を生かして話すこと。
エ 必要に応じて質問しながら聞き取り,自分の考えとの共通点や相違点を整理すること。
オ 話合いの話題や方向をとらえて的確に話したり,相手の発言を注意して聞いたりして,自分の考えをまとめること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 日常生活の中の話題について報告や紹介をしたり,それらを聞いて質問や助言をしたりすること。
イ 日常生活の中の話題について対話や討論などを行うこと。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 日常生活の中から課題を決め,材料を集めながら自分の考えをまとめること。
イ 集めた材料を分類するなどして整理するとともに,段落の役割を考えて文章を構成すること。
ウ 伝えたい事実や事柄について,自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書くこと。
エ 書いた文章を読み返し,表記や語句の用法,叙述の仕方などを確かめて,読みやすく分かりやすい文章にすること。
オ 書いた文章を互いに読み合い,題材のとらえ方や材料の用い方,根拠の明確さなどについて意見を述べたり,自分の表現の参考にしたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある芸術的な作品などについて,鑑賞したことを文章に書くこと。
イ 図表などを用いた説明や記録の文章を書くこと。
ウ 行事等の案内や報告をする文章を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 文脈の中における語句の意味を的確にとらえ,理解すること。
イ 文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見などとを読み分け,目的や必要に応じて要約したり要旨をとらえたりすること。
ウ 場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み,内容の理解に役立てること。
エ 文章の構成や展開,表現の特徴について,自分の考えをもつこと。
オ 文章に表れているものの見方や考え方をとらえ,自分のものの見方や考え方を広くすること。
カ 本や文章などから必要な情報を集めるための方法を身に付け,目的に応じて必要な情報を読み取ること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 様々な種類の文章を音読したり朗読したりすること。
イ 文章と図表などとの関連を考えながら,説明や記録の文章を読むこと。
ウ 課題に沿って本を読み,必要に応じて引用して紹介すること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 文語のきまりや訓読の仕方を知り,古文や漢文を音読して,古典特有のリズムを味わいながら,古典の世界に触れること。
(イ) 古典には様々な種類の作品があることを知ること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 音声の働きや仕組みについて関心をもち,理解を深めること。
(イ) 語句の辞書的な意味と文脈上の意味との関係に注意し,語感を磨くこと。
(ウ) 事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるとともに,話や文章の中の語彙《い》について関心をもつこと。
(エ) 単語の類別について理解し,指示語や接続詞及びこれらと同じような働きをもつ語句などに注意すること。
(オ) 比喩《ゆ》や反復などの表現の技法について理解すること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち300字程度から400字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表の漢字のうち900字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して,楷《かい》書で書くこと。
イ 漢字の行書の基礎的な書き方を理解して書くこと。
〔第2学年〕
1 目標
(1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて立場や考えの違いを踏まえて話す能力,考えを比べながら聞く能力,相手の立場を尊重して話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを広げようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,構成を工夫して分かりやすく書く能力を身に付けさせるとともに,文章を書いて考えを広げようとする態度を育てる。
(3) 目的や意図に応じ,文章の内容や表現の仕方に注意して読む能力,広い範囲から情報を集め効果的に活用する能力を身に付けさせるとともに,読書を生活に役立てようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を多様な方法で集め整理すること。
イ 異なる立場や考えを想定して自分の考えをまとめ,話の中心的な部分と付加的な部分などに注意し,論理的な構成や展開を考えて話すこと。
ウ 目的や状況に応じて,資料や機器などを効果的に活用して話すこと。
エ 話の論理的な構成や展開などに注意して聞き,自分の考えと比較すること。
オ 相手の立場や考えを尊重し,目的に沿って話し合い,互いの発言を検討して自分の考えを広げること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 調べて分かったことや考えたことなどに基づいて説明や発表をしたり,それらを聞いて意見を述べたりすること。
イ 社会生活の中の話題について,司会や提案者などを立てて討論を行うこと。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から課題を決め,多様な方法で材料を集めながら自分の考えをまとめること。
イ 自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして,文章の構成を工夫すること。
ウ 事実や事柄,意見や心情が相手に効果的に伝わるように,説明や具体例を加えたり,描写を工夫したりして書くこと。
エ 書いた文章を読み返し,語句や文の使い方,段落相互の関係などに注意して,読みやすく分かりやすい文章にすること。
オ 書いた文章を互いに読み合い,文章の構成や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり助言をしたりして,自分の考えを広げること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 表現の仕方を工夫して,詩歌をつくったり物語などを書いたりすること。
イ 多様な考えができる事柄について,立場を決めて意見を述べる文章を書くこと。
ウ 社会生活に必要な手紙を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。
イ 文章全体と部分との関係,例示や描写の効果,登場人物の言動の意味などを考え,内容の理解に役立てること。
ウ 文章の構成や展開,表現の仕方について,根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
エ 文章に表れているものの見方や考え方について,知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと。
オ 多様な方法で選んだ本や文章などから適切な情報を得て,自分の考えをまとめること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 詩歌や物語などを読み,内容や表現の仕方について感想を交流すること。
イ 説明や評論などの文章を読み,内容や表現の仕方について自分の考えを述べること。
ウ 新聞やインターネット,学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較すること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界を楽しむこと。
(イ) 古典に表れたものの見方や考え方に触れ,登場人物や作者の思いなどを想像すること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 話し言葉と書き言葉との違い,共通語と方言の果たす役割,敬語の働きなどについて理解すること。
(イ) 抽象的な概念を表す語句,類義語と対義語,同音異義語や多義的な意味を表す語句などについて理解し,語感を磨き語彙《い》を豊かにすること。
(ウ) 文の中の文の成分の順序や照応,文の構成などについて考えること。
(エ) 単語の活用について理解し,助詞や助動詞などの働きに注意すること。
(オ) 相手や目的に応じて,話や文章の形態や展開に違いがあることを理解すること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち350字程度から450字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して,読みやすく速く書くこと。
イ 目的や必要に応じて,楷《かい》書又は行書を選んで書くこと。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて相手や場に応じて話す能力,表現の工夫を評価して聞く能力,課題の解決に向けて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを深めようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,論理の展開を工夫して書く能力を身に付けさせるとともに,文章を書いて考えを深めようとする態度を育てる。
(3) 目的や意図に応じ,文章の展開や表現の仕方などを評価しながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して自己を向上させようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から話題を決め,自分の経験や知識を整理して考えをまとめ,語句や文を効果的に使い,資料などを活用して説得力のある話をすること。
イ 場の状況や相手の様子に応じて話すとともに,敬語を適切に使うこと。
ウ 聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分のものの見方や考え方を深めたり,表現に生かしたりすること。
エ 話合いが効果的に展開するように進行の仕方を工夫し,課題の解決に向けて互いの考えを生かし合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 時間や場の条件に合わせてスピーチをしたり,それを聞いて自分の表現の参考にしたりすること。
イ 社会生活の中の話題について,相手を説得するために意見を述べ合うこと。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から課題を決め,取材を繰り返しながら自分の考えを深めるとともに,文章の形態を選択して適切な構成を工夫すること。
イ 論理の展開を工夫し,資料を適切に引用するなどして,説得力のある文章を書くこと。
ウ 書いた文章を読み返し,文章全体を整えること。
エ 書いた文章を互いに読み合い,論理の展開の仕方や表現の仕方などについて評価して自分の表現に役立てるとともに,ものの見方や考え方を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある事柄について批評する文章を書くこと。
イ 目的に応じて様々な文章などを集め,工夫して編集すること。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 文脈の中における語句の効果的な使い方など,表現上の工夫に注意して読むこと。
イ 文章の論理の展開の仕方,場面や登場人物の設定の仕方をとらえ,内容の理解に役立てること。
ウ 文章を読み比べるなどして,構成や展開,表現の仕方について評価すること。
エ 文章を読んで人間,社会,自然などについて考え,自分の意見をもつこと。
オ 目的に応じて本や文章などを読み,知識を広げたり,自分の考えを深めたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 物語や小説などを読んで批評すること。
イ 論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと。
ウ 自分の読書生活を振り返り,本の選び方や読み方について考えること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 歴史的背景などに注意して古典を読み,その世界に親しむこと。
(イ) 古典の一節を引用するなどして,古典に関する簡単な文章を書くこと。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いを理解するとともに,敬語を社会生活の中で適切に使うこと。
(イ) 慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ,和語・漢語・外来語などの使い分けに注意し,語感を磨き語を豊かにすること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 身の回りの多様な文字に関心をもち,効果的に文字を書くこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年の前後の学年で取り上げることもできること。
(2) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕について相互に密接な関連を図り,効果的に指導すること。その際,学校図書館などを計画的に利用しその機能の活用を図るようにすること。また,生徒が情報機器を...
(3) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間15~25単位時間程度,第3学年では年間10~20単位時間程度とすること。また,音声言語のための教材を積極的に活用するなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
(4) 第2の各学年の内容の「B書くこと」の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間30~40単位時間程度,第3学年では年間20~30単位時間程度とすること。
(5) 第2の各学年の内容の「C読むこと」に関する指導については,様々な文章を読んで,自分の表現に役立てられるようにすること。
(6) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の各学年の内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕については,次のとおり取り扱うものとする。
(1) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 知識をまとめて指導したり,繰り返して指導したりすることが必要なものについては,特にそれだけを取り上げて学習させることにも配慮すること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項については,日常の言語活動を振り返り,言葉の特徴やきまりについて気付かせ,言語生活の向上に役立てることを重視すること。
(2) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(2)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 文字を正しく整えて速く書くことができるようにするとともに,書写の能力を学習や生活に役立てる態度を育てるよう配慮すること。
イ 硬筆及び毛筆を使用する書写の指導は各学年で行い,毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うようにすること。
ウ 書写の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間20単位時間程度,第3学年では年間10単位時間程度とすること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 教材は,話すこと・聞くことの能力,書くことの能力,読むことの能力などを偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成をねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読...
(2) 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する認識を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにするのに役立つこと。
ウ 公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
エ 科学的,論理的な見方や考え方を養い,視野を広げるのに役立つこと。
オ 人生について考えを深め,豊かな人間性を養い,たくましく生きる意志を育てるのに役立つこと。
カ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
キ 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ク 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
(3) 第2の各学年の内容の「C読むこと」の教材については,各学年で説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うこと。
(4) 我が国の言語文化に親しむことができるよう,近代以降の代表的な作家の作品を,いずれかの学年で取り上げること。
(5) 古典に関する教材については,古典の原文に加え,古典の現代語訳,古典について解説した文章などを取り上げること。
第2節 社会
第1 目標 広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔地理的分野〕
1 目標
(1) 日本や世界の地理的事象に対する関心を高め,広い視野に立って我が国の国土及び世界の諸地域の地域的特色を考察し理解させ,地理的な見方や考え方の基礎を培い,我が国の国土及び世界の諸地域に関する地理的認識を養う。
(2) 日本や世界の地域の諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ,それを地域の規模に応じて環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し,地域的特色や地域の課題をとらえさせる。
(3) 大小様々な地域から成り立っている日本や世界の諸地域を比較し関連付けて考察し,それらの地域は相互に関係し合っていることや各地域の特色には地方的特殊性と一般的共通性があること,また,それらは諸条件の変化などに伴って変容していることを理解させる。
(4) 地域調査など具体的な活動を通して地理的事象に対する関心を高め,様々な資料を適切に選択,活用して地理的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力や態度を育てる。
2 内容
(1) 世界の様々な地域
ア 世界の地域構成 地球儀や世界地図を活用し,緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置,地域区分などを取り上げ,世界の地域構成を大観させる。
イ 世界各地の人々の生活と環境 世界各地における人々の生活の様子とその変容について,自然及び社会的条件と関連付けて考察させ,世界の人々の生活や環境の多様性を理解させる。
ウ 世界の諸地域 世界の諸地域について,以下の(ア)から(カ)の各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,それを基に主題を設けて,それぞれの州の地域的特色を理解させる。
(ア) アジア
(イ) ヨーロッパ
(ウ) アフリカ
(エ) 北アメリカ
(オ) 南アメリカ
(カ) オセアニア
エ 世界の様々な地域の調査 世界の諸地域に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,様々な地域又は国の地域的特色をとらえる適切な主題を設けて追究し,世界の地理的認識を深めさせるとともに,世界の様々な地域又は国の調査を行う際の視点や方法を身に付けさせる。
(2) 日本の様々な地域
ア 日本の地域構成 地球儀や地図を活用し,我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の特色と変化,地域区分などを取り上げ,日本の地域構成を大観させる。
イ 世界と比べた日本の地域的特色 世界的視野や日本全体の視野から見た日本の地域的特色を取り上げ,我が国の国土の特色を様々な面から大観させる。
(ア) 自然環境 世界的視野から日本の地形や気候の特色,海洋に囲まれた日本の国土の特色を理解させるとともに,国内の地形や気候の特色,自然災害と防災への努力を取り上げ,日本の自然環境に関する特色を大観させる。
(イ) 人口 世界的視野から日本の人口と人口密度,少子高齢化の課題を理解させるとともに,国内の人口分布,過疎・過密問題を取り上げ,日本の人口に関する特色を大観させる。
(ウ) 資源・エネルギーと産業 世界的視野から日本の資源・エネルギーの消費の現状を理解させるとともに,国内の産業の動向,環境やエネルギーに関する課題を取り上げ,日本の資源・エネルギーと産業に関する特色を大観させる。
(エ) 地域間の結び付き 世界的視野から日本と世界との交通・通信網の発達の様子や物流を理解させるとともに,国内の交通・通信網の整備状況を取り上げ,日本と世界の結び付きや国内各地の結び付きの特色を大観させる。
ウ 日本の諸地域 日本を幾つかの地域に区分し,それぞれの地域について,以下の(ア)から(キ)で示した考察の仕方を基にして,地域的特色をとらえさせる。
(ア) 自然環境を中核とした考察 地域の地形や気候などの自然環境に関する特色ある事象を中核として,それを人々の生活や産業などと関連付け,自然環境が地域の人々の生活や産業などと深い関係をもっていることや,地域の自然災害に応じた防災対策が大切であることなどについて考える。
(イ) 歴史的背景を中核とした考察 地域の産業,文化の歴史的背景や開発の歴史に関する特色ある事柄を中核として,それを国内外の他地域との結び付きや自然環境などと関連付け,地域の地理的事象の形成や特色に歴史的背景がかかわっていることなどについて考える。
(ウ) 産業を中核とした考察 地域の農業や工業などの産業に関する特色ある事象を中核として,それを成立させている地理的諸条件と関連付け,地域に果たす産業の役割やその動向は他の事象との関連で変化するものであることなどについて考える。
(エ) 環境問題や環境保全を中核とした考察 地域の環境問題や環境保全の取組を中核として,それを産業や地域開発の動向,人々の生活などと関連付け,持続可能な社会の構築のためには地域における環境保全の取組が大切であることなどについて考える。
(オ) 人口や都市・村落を中核とした考察 地域の人口の分布や動態,都市・村落の立地や機能に関する特色ある事象を中核として,それを人々の生活や産業などと関連付け,過疎・過密問題の解決が地域の課題となっていることなどについて考える。
(カ) 生活・文化を中核とした考察 地域の伝統的な生活・文化に関する特色ある事象を中核として,それを自然環境や歴史的背景,他地域との交流などと関連付け,近年の都市化や国際化によって地域の伝統的な生活・文化が変容していることなどについて考える。
(キ) 他地域との結び付きを中核とした考察 地域の交通・通信網に関する特色ある事象を中核として,それを物資や人々の移動の特色や変化などと関連付け,世界や日本の他の地域との結び付きの影響を受けながら地域は変容していることなどについて考える。
エ 身近な地域の調査 身近な地域における諸事象を取り上げ,観察や調査などの活動を行い,生徒が生活している土地に対する理解と関心を深めて地域の課題を見いだし,地域社会の形成に参画しその発展に努力しようとする態度を養うとともに,市町村規模の地域の調査を行う際の視点や方法,地理的なまと...
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)及び(2)については,この順序で取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用すること。 また,地域に関する情報の収集,処理に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークな...
イ 学習で取り上げる地域や国については,各項目間の調整を図り,一部の地域に偏ることのないようにすること。
ウ 地域の特色や変化をとらえるに当たっては,歴史的分野との連携を踏まえ,歴史的背景に留意して地域的特色を追究するよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
エ 地域的特色を追究する過程で生物や地学的な事象などを取り上げる際には,地域的特色をとらえる上で必要な範囲にとどめること。
(3) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,学習全体を通して,大まかに世界地図を描けるようにすること。
イ イについては,世界各地の人々の生活の様子を考察するに当たって,衣食住の特色や,生活と宗教とのかかわりなどに着目させるようにすること。その際,世界の主な宗教の分布について理解させるようにすること。
ウ ウについては,州ごとに様々な面から地域的特色を大観させ,その上で主題を設けて地域的特色を理解させるようにすること。その際,主題については,州の地域的特色が明確となり,かつ我が国の国土の認識を深める上で効果的であるという観点から設定すること。また,州ごとに異なるものとなるようにす...
エ エについては,様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの作業的な学習活動を取り入れること。また,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること。
(4) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 「領域の特色と変化」については,我が国の海洋国家としての特色を取り上げるとともに,北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること。
(イ) 日本の地域区分を扱う際には,都道府県の名称と位置のほかに都道府県庁所在地名も取り上げること。
(ウ) 学習全体を通して,大まかに日本地図を描けるようにすること。
イ イの(ア)から(エ)で示した日本の地域的特色については,指導に当たって内容の(1)の学習成果を生かすとともに,日本の諸地域の特色について理解を深めるための基本的な事柄で構成すること。
ウ ウについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 地域区分については,指導の観点や学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること。
(イ) 指導に当たっては,地域の特色ある事象や事柄を中核として,それを他の事象と有機的に関連付けて,地域的特色を追究するようにすること。
(ウ) (ア)から(キ)の考察の仕方については,学習する地域ごとに一つ選択すること。また,ウの学習全体を通してすべて取り扱うこと。
エ エについては,学校所在地の事情を踏まえて観察や調査を指導計画に位置付け実施すること。その際,縮尺の大きな地図や統計その他の資料に親しませ,それらの活用の技能を高めるようにすること。また,観察や調査の結果をまとめる際には,地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論...
〔歴史的分野〕
1 目標
(1) 歴史的事象に対する関心を高め,我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解させ,それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに,我が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てる。
(2) 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を,その時代や地域との関連において理解させ,尊重する態度を育てる。
(3) 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ,我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに,他民族の文化,生活などに関心をもたせ,国際協調の精神を養う。
(4) 身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味・関心を高め,様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 歴史のとらえ方
ア 我が国の歴史上の人物や出来事などについて調べたり考えたりするなどの活動を通して,時代の区分やその移り変わりに気付かせ,歴史を学ぶ意欲を高めるとともに,年代の表し方や時代区分についての基本的な内容を理解させる。
イ 身近な地域の歴史を調べる活動を通して,地域への関心を高め,地域の具体的な事柄とのかかわりの中で我が国の歴史を理解させるとともに,受け継がれてきた伝統や文化への関心を高め,歴史の学び方を身に付けさせる。
ウ 学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動を通して,各時代の特色をとらえさせる。
(2) 古代までの日本
ア 世界の古代文明や宗教のおこり,日本列島における農耕の広まりと生活の変化や当時の人々の信仰,大和朝廷による統一と東アジアとのかかわりなどを通して,世界の各地で文明が築かれ,東アジアの文明の影響を受けながら我が国で国家が形成されていったことを理解させる。
イ 律令《りつりょう》国家の確立に至るまでの過程,摂関政治などを通して,大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ,その後,天皇や貴族の政治が展開したことを理解させる。
ウ 仏教の伝来とその影響,仮名文字の成立などを通して,国際的な要素をもった文化が栄え,後に文化の国風化が進んだことを理解させる。
(3) 中世の日本
ア 鎌倉《かまくら》幕府の成立,南北朝の争乱と室町幕府,東アジアの国際関係,応仁《おうにん》の乱後の社会的な変動などを通して,武家政治の特色を考えさせ,武士が台頭して武家政権が成立し,その支配が次第に全国に広まるとともに,東アジア世界との密接なかかわりがみられたことを理解させる。...
イ 農業など諸産業の発達,畿内《きない》を中心とした都市や農村における自治的な仕組みの成立,禅宗の文化的な影響などを通して,武家政治の展開や民衆の成長を背景とした社会や文化が生まれたことを理解させる。
(4) 近世の日本
ア 戦国の動乱,ヨーロッパ人来航の背景とその影響,織田《おだ》・豊臣《とよとみ》による統一事業とその当時の対外関係,武将や豪商などの生活文化の展開などを通して,近世社会の基礎がつくられていったことを理解させる。
イ 江戸幕府の成立と大名統制,鎖国政策,身分制度の確立及び農村の様子,鎖国下の対外関係などを通して,江戸幕府の政治の特色を考えさせ,幕府と藩による支配が確立したことを理解させる。
ウ 産業や交通の発達,教育の普及と文化の広がりなどを通して,町人文化が都市を中心に形成されたことや,各地方の生活文化が生まれたことを理解させる。
エ 社会の変動や欧米諸国の接近,幕府の政治改革,新しい学問・思想の動きなどを通して,幕府の政治が次第に行き詰まりをみせたことを理解させる。
(5) 近代の日本と世界
ア 欧米諸国における市民革命や産業革命,アジア諸国の動きなどを通して,欧米諸国が近代社会を成立させてアジアへ進出したことを理解させる。
イ 開国とその影響,富国強兵・殖産興業政策,文明開化などを通して,新政府による改革の特色を考えさせ,明治維新によって近代国家の基礎が整えられて,人々の生活が大きく変化したことを理解させる。
ウ 自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,日清《にっしん》・日露戦争,条約改正などを通して,立憲制の国家が成立して議会政治が始まるとともに,我が国の国際的地位が向上したことを理解させる。
エ 我が国の産業革命,この時期の国民生活の変化,学問・教育・科学・芸術の発展などを通して,我が国で近代産業が発展し,近代文化が形成されたことを理解させる。
オ 第一次世界大戦の背景とその影響,民族運動の高まりと国際協調の動き,我が国の国民の政治的自覚の高まりと文化の大衆化などを通して,第一次世界大戦前後の国際情勢及び我が国の動きと,大戦後に国際平和への努力がなされたことを理解させる。
カ 経済の世界的な混乱と社会問題の発生,昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が国の政治・外交の動き,中国などアジア諸国との関係,欧米諸国の動き,戦時下の国民の生活などを通して,軍部の台頭から戦争までの経過と,大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させる。
(6) 現代の日本と世界
ア 冷戦,我が国の民主化と再建の過程,国際社会への復帰などを通して,第二次世界大戦後の諸改革の特色を考えさせ,世界の動きの中で新しい日本の建設が進められたことを理解させる。
イ 高度経済成長,国際社会とのかかわり,冷戦の終結などを通して,我が国の経済や科学技術が急速に発展して国民の生活が向上し,国際社会において我が国の役割が大きくなってきたことを理解させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の発達の段階を考慮して,各時代の特色や時代の転換にかかわる基礎的・基本的な歴史的事象を重点的に選んで指導内容を構成すること。
イ 歴史的事象の意味・意義や特色,事象間の関連を説明したり,課題を設けて追究したり,意見交換したりするなどの学習を重視して,思考力,判断力,表現力等を養うとともに,学習内容の確かな理解と定着を図ること。
ウ 各時代の文化については,代表的な事例を取り上げてその特色を考えさせるようにすること。
エ 歴史的事象の指導に当たっては,地理的分野との連携を踏まえ,地理的条件にも着目して取り扱うよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
オ 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物に対する生徒の興味・関心を育てる指導に努めるとともに,それぞれの人物が果たした役割や生き方などについて時代的背景と関連付けて考察させるようにすること。その際,身近な地域の歴史上の人物を取り上げることにも留意すること...
カ 日本人の生活や生活に根ざした文化については,政治の動き,社会の動き,各地域の地理的条件,身近な地域の歴史とも関連付けて指導したり,民俗学や考古学などの成果の活用や博物館,郷土資料館などの施設を見学・調査したりするなどして具体的に学ぶことができるようにすること。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。小学校での学習を踏まえ,扱う内容や活動の仕方を工夫して,「時代の区分やその移り変わり」に気付かせるようにすること。「年代の表し方や時代区分」の学習については,導入における学習内容を基盤にし,内容の(2)以下...
イ イについては,内容の(2)以下とかかわらせて計画的に実施し,地域の特性に応じた時代を取り上げるようにするとともに,人々の生活や生活に根ざした伝統や文化に着目した取扱いを工夫すること。その際,博物館,郷土資料館などの施設の活用や地域の人々の協力も考慮すること。
ウ ウについては,内容の(2)以下の各時代の学習のまとめとして実施することを原則とすること。その際,各時代の学習の初めにその特色の究明に向けた課題意識を育成した上で,他の時代との共通点や相違点に着目しながら,大観や表現の仕方を工夫して,各時代の特色をとらえさせるようにすること。
エ ア,イ及びウについては,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「世界の古代文明」については,中国の文明を中心に諸文明の特色を取り扱い,生活技術の発達,文字の使用,国家のおこりと発展などの共通する特色に気付かせるようにすること。また,人類の出現にも触れること。「宗教のおこり」については,仏教,キリスト教,イスラム教などを取り上げ,世界の...
イ イの「律令《りつりょう》国家の確立に至るまでの過程」については,聖徳太子《しょうとくたいし》の政治,大化の改新から律令《りつりょう》国家の確立に至るまでの過程を,小学校での学習内容を活用して大きくとらえさせるようにすること。
ウ ウについては,文化を担った人々などに着目して取り扱うようにすること。
エ 考古学などの成果を活用するとともに,神話・伝承などの学習を通して,当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう留意すること。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「東アジアの国際関係」については,元寇《げんこう》,日明貿易《にちみんぼうえき》,琉球《りゅうきゅう》の国際的な役割などを取り扱うようにすること。「武家政治の特色」については,主従の結び付きや武力を背景にして次第にその支配を広げていったことなど,それ以前の時代との違いに着...
イ イの「武家政治の展開や民衆の成長を背景とした社会や文化」については,この時代の文化の中に現在に結び付くものがみられることに気付かせるようにすること。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「ヨーロッパ人来航の背景」については,新航路の開拓を中心に取り扱い,宗教改革についても触れること。「織田《おだ》・豊臣《とよとみ》による統一事業」については,検地・刀狩などの政策を取り扱うようにすること。
イ イの「鎖国下の対外関係」については,オランダ,中国との交易のほか,朝鮮との交流や琉球《りゅうきゅう》の役割,北方との交易をしていたアイヌについて取り扱うようにすること。「江戸幕府の政治の特色」については,その支配の下に大きな戦乱のない時期を迎えたことなど,それ以前の時代との違い...
ウ ウの「産業や交通の発達」については,身近な地域の特色を生かすようにすること。「各地方の生活文化」については,身近な地域の事例を取り上げるように配慮し,藩校や寺子屋などによる「教育の普及」や社会的な「文化の広がり」と関連させて,現在との結び付きに気付かせるようにすること。
エ エの「幕府の政治改革」については,百姓一揆《いっき》などに結び付く農村の変化や商業の発達などへの対応という観点から,代表的な事例を取り上げるようにすること。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「市民革命」については欧米諸国における近代社会の成立という観点から,「産業革命」については工業化による社会の変化という観点から,「アジア諸国の動き」については欧米諸国の進出に対するアジア諸国の対応と変容という観点から,それぞれ代表的な事例を取り上げるようにすること。
イ イの「開国とその影響」については,アの欧米諸国のアジア進出と関連付けて取り扱うようにすること。「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。「新政府による改革の特色...
ウ ウの「日清《にっしん》・日露戦争」については,このころの大陸との関係に着目させること。「条約改正」については,欧米諸国と対等の外交関係を樹立するための人々の努力に気付かせるようにすること。「立憲制の国家が成立して議会政治が始まる」については,その歴史上の意義や現代の政治とのつ...
エ エの「我が国の産業革命」については,イの「富国強兵・殖産興業政策」の下で近代産業が進展したことと関連させて取り扱い,都市や農山漁村の生活に大きな変化が生じたことに気付かせるようにすること。「近代文化」については,伝統的な文化の上に欧米文化を受容して形成されたものであることに気...
オ オの「第一次世界大戦」については,日本の参戦,ロシア革命なども取り上げて,世界の動きと我が国との関連に着目して取り扱うようにすること。「我が国の国民の政治的自覚の高まり」については,大正デモクラシーの時期の政党政治の発達,民主主義思想の普及,社会運動の展開を取り扱うようにするこ...
カ カについては,世界の動きと我が国との関連に着目して取り扱うとともに,国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに気付かせるようにすること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,国民が苦難を乗り越えて新しい日本の建設に努力したことに気付かせるようにすること。「第二次世界大戦後の諸改革の特色」については,新たな制度が生まれたことなどに着目して考えさせるようにすること。
イ イについては,沖縄返還,日中国交正常化,石油危機などの節目となる歴史的事象を取り扱うようにすること。
〔公民的分野〕
1 目標
(1) 個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務の関係を広い視野から正しく認識させ,民主主義に関する理解を深めるとともに,国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を培う。
(2) 民主政治の意義,国民の生活の向上と経済活動とのかかわり及び現代の社会生活などについて,個人と社会とのかかわりを中心に理解を深め,現代社会についての見方や考え方の基礎を養うとともに,社会の諸問題に着目させ,自ら考えようとする態度を育てる。
(3) 国際的な相互依存関係の深まりの中で,世界平和の実現と人類の福祉の増大のために,各国が相互に主権を尊重し,各国民が協力し合うことが重要であることを認識させるとともに,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることが大切であることを自覚させる。
(4) 現代の社会的事象に対する関心を高め,様々な資料を適切に収集,選択して多面的・多角的に考察し,事実を正確にとらえ,公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 私たちと現代社会
ア 私たちが生きる現代社会と文化 現代日本の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などがみられることを理解させるとともに,それらが政治,経済,国際関係に影響を与えていることに気付かせる。また,現代社会における文化の意義や影響を理解させるとともに,我が国の伝統と文化に関心をもたせ...
イ 現代社会をとらえる見方や考え方 人間は本来社会的存在であることに着目させ,社会生活における物事の決定の仕方,きまりの意義について考えさせ,現代社会をとらえる見方や考え方の基礎として,対立と合意,効率と公正などについて理解させる。その際,個人の尊厳と両性の本質的平等,契約の...
(2) 私たちと経済
ア 市場の働きと経済 身近な消費生活を中心に経済活動の意義を理解させるとともに,価格の働きに着目させて市場経済の基本的な考え方について理解させる。また,現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解させるとともに,社会における企業の役割と責任について考えさせる。その際,社会生活におけ...
イ 国民の生活と政府の役割 国民の生活と福祉の向上を図るために,社会資本の整備,公害の防止など環境の保全,社会保障の充実,消費者の保護など,市場の働きにゆだねることが難しい諸問題に関して,国や地方公共団体が果たしている役割について考えさせる。また,財源の確保と配分という観点から財...
(3) 私たちと政治
ア 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 人間の尊重についての考え方を,基本的人権を中心に深めさせ,法の意義を理解させるとともに,民主的な社会生活を営むためには,法に基づく政治が大切であることを理解させ,我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義について考えさせる。...
イ 民主政治と政治参加 地方自治の基本的な考え方について理解させる。その際,地方公共団体の政治の仕組みについて理解させるとともに,住民の権利や義務に関連させて,地方自治の発展に寄与しようとする住民としての自治意識の基礎を育てる。また,国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みのあ...
(4)私たちと国際社会の諸課題
ア 世界平和と人類の福祉の増大 世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切であることを認識させ,国際社会における我が国の役割について考えさせる。その際,日...
イ よりよい社会を目指して 持続可能な社会を形成するという観点から,私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を探究させ,自分の考えをまとめさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的分野及び歴史的分野の学習の成果を活用するとともに,これらの分野で育成された能力や態度が,更に高まり発展するようにすること。また,社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,特定の内容に偏ることなく,分野全体として見通しをもったまとまりのある学習が展開できるようにする...
イ 生徒が内容の基本的な意味を理解できるように配慮し,日常の社会生活と関連付けながら具体的事例を通して政治や経済などについての見方や考え方の基礎が養えるようにすること。その際,制度や仕組みの意義や働きについて理解を深めさせるようにすること。
ウ 分野全体を通して,習得した知識を活用して,社会的事象について考えたことを説明させたり,自分の意見をまとめさせたりすることにより,思考力,判断力,表現力等を養うこと。また,考えさせる場合には,資料を読み取らせて解釈させたり,議論などを行って考えを深めさせたりするなどの工夫をするこ...
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 地理的分野,歴史的分野との関連を図り,現代社会の特色をとらえさせるようにすること。
(イ)「現代社会における文化の意義や影響」については,科学,芸術,宗教などを取り上げ,社会生活とのかかわりなどについて学習できるように工夫すること。「我が国の伝統と文化」については,歴史的分野における学習の成果を生かして特色あるものを扱うこと。
イ (1)については公民的分野の導入部として位置付け,ア,イの順で行うものとし,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,身近で具体的な事例を取り上げ,個人や企業の経済活動が様々な条件の中での選択を通じて行われるという点に着目させるとともに,市場における価格の決まり方や資源の配分について理解させること。その際,市場における取引が貨幣を通して行われていることに気付かせること。
イ イの「消費者の保護」については,消費者の自立の支援なども含めた消費者行政を取り扱うこと。「財政」については,少子高齢社会など現代社会の特色を踏まえて考えさせること。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,日常の具体的な事例を取り上げ,日本国憲法の基本的な考え方を理解させること。
イ イについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 調査や見学などを通して具体的に理解させること。
(イ) 「法に基づく公正な裁判の保障」に関連させて,裁判員制度についても触れること。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 地理的分野,歴史的分野との関連を図り,その学習の成果を生かす工夫を行うこと。
(イ) 「世界平和の実現」については,領土(領海,領空を含む),国家主権,主権の相互尊重,国際連合の働きなど基本的な事項を踏まえて理解させるように留意すること。
(ウ)「国家間の相互の主権の尊重と協力」との関連で,国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ,それらを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
(エ) 国際社会における文化や宗教の多様性についても触れること。
イ イについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 身近な地域の生活や我が国の取組との関連性に着目させ,世界的な視野と地域的な視点に立って探究させること。
(イ) イについては,社会科のまとめとして位置付け,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 小学校社会科の内容との関連及び各分野相互の有機的な関連を図るとともに,地理的分野及び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して,全体として教科の目標が達成できるようにする必要があること。
(2) 各分野の履修については,第1,第2学年を通じて地理的分野と歴史的分野を並行して学習させることを原則とし,第3学年において歴史的分野及び公民的分野を学習させること。各分野に配当する授業時数は,地理的分野120単位時間,歴史的分野130単位時間,公民的分野100単位時間とするこ...
(3) 知識に偏り過ぎた指導にならないようにするため,基本的な事項・事柄を厳選して指導内容を構成するものとし,基本的な内容が確実に身に付くよう指導すること。また,生徒の主体的な学習を促し,課題を解決する能力を一層培うため,各分野において,第2の内容の範囲や程度に十分配慮しつつ事項を...
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 指導の全般にわたって,資料を選択し活用する学習活動を重視するとともに作業的,体験的な学習の充実を図るようにする。その際,地図や年表を読みかつ作成すること,新聞,読み物,統計その他の資料に平素から親しみ適切に活用すること,観察や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめ,発表する...
3 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第3節 数学
第1 目標 数学的活動を通して,数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則についての理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習得し,事象を数理的に考察し表現する能力を高めるとともに,数学的活動の楽しさや数学のよさを実感し,それらを活用して考えたり判断したりしようとする態度を育て...
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 数を正の数と負の数まで拡張し,数の概念についての理解を深める。また,文字を用いることや方程式の必要性と意味を理解するとともに,数量の関係や法則などを一般的にかつ簡潔に表現して処理したり,一元一次方程式を用いたりする能力を培う。
(2) 平面図形や空間図形についての観察,操作や実験などの活動を通して,図形に対する直観的な見方や考え方を深めるとともに,論理的に考察し表現する能力を培う。
(3) 具体的な事象を調べることを通して,比例,反比例についての理解を深めるとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う。
(4) 目的に応じて資料を収集して整理し,その資料の傾向を読み取る能力を培う。
2 内容
A 数と式
(1) 具体的な場面を通して正の数と負の数について理解し,その四則計算ができるようにするとともに,正の数と負の数を用いて表現し考察することができるようにする。
ア 正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。
イ 小学校で学習した数の四則計算と関連付けて,正の数と負の数の四則計算の意味を理解すること。
ウ 正の数と負の数の四則計算をすること。
エ 具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。
(2) 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うとともに,文字を用いた式の計算ができるようにする。
ア 文字を用いることの必要性と意味を理解すること。
イ 文字を用いた式における乗法と除法の表し方を知ること。
ウ 簡単な一次式の加法と減法の計算をすること。
エ 数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し,式を用いて表したり読み取ったりすること。
(3) 方程式について理解し,一元一次方程式を用いて考察することができるようにする。
ア 方程式の必要性と意味及び方程式の中の文字や解の意味を理解すること。
イ 等式の性質を基にして,方程式が解けることを知ること。
ウ 簡単な一元一次方程式を解くこと及びそれを具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
自然数
符号
絶対値
項
係数
移項
≦
≧
B 図形
(1) 観察,操作や実験などの活動を通して,見通しをもって作図したり図形の関係について調べたりして平面図形についての理解を深めるとともに,論理的に考察し表現する能力を培う。
ア 角の二等分線,線分の垂直二等分線,垂線などの基本的な作図の方法を理解し,それを具体的な場面で活用すること。
イ 平行移動,対称移動及び回転移動について理解し,二つの図形の関係について調べること。
(2) 観察,操作や実験などの活動を通して,空間図形についての理解を深めるとともに,図形の計量についての能力を伸ばす。
ア 空間における直線や平面の位置関係を知ること。
イ 空間図形を直線や平面図形の運動によって構成されるものととらえたり,空間図形を平面上に表現して平面上の表現から空間図形の性質を読み取ったりすること。
ウ 扇形の弧の長さと面積並びに基本的な柱体,錐《すい》体及び球の表面積と体積を求めること。
〔用語・記号〕
弧
弦
回転体
ねじれの位置
π
//
⊥
∠
△
C 関数
(1) 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,比例,反比例の関係についての理解を深めるとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う。
ア 関数関係の意味を理解すること。
イ 比例,反比例の意味を理解すること。
ウ 座標の意味を理解すること。
エ 比例,反比例を表,式,グラフなどで表し,それらの特徴を理解すること。
オ 比例,反比例を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
関数
変数
変域
D 資料の活用
(1) 目的に応じて資料を収集し,コンピュータを用いたりするなどして表やグラフに整理し,代表値や資料の散らばりに着目してその資料の傾向を読み取ることができるようにする。
ア ヒストグラムや代表値の必要性と意味を理解すること。
イ ヒストグラムや代表値を用いて資料の傾向をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
平均値
中央値
最頻値
相対度数
範囲
階級
〔数学的活動〕
(1) 「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「D資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
ア 既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだす活動
イ 日常生活で数学を利用する活動
ウ 数学的な表現を用いて,自分なりに説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と式」の(1)に関連して,数の集合と四則計算の可能性を取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と式」の(2)のエに関連して,大小関係を不等式を用いて表すことを取り扱うものとする。
(3) 内容の「A数と式」の(3)のウに関連して,簡単な比例式を解くことを取り扱うものとする。
(4) 内容の「B図形」の(1)のアに関連して,円の接線はその接点を通る半径に垂直であることを取り扱うものとする。
(5) 内容の「B図形」の(2)のイについては,見取図,展開図や投影図を取り扱うものとする。
(6) 内容の「D資料の活用」の(1)に関連して,誤差や近似値,a×10nの形の表現を取り扱うものとする。
〔第2学年〕
1 目標
(1) 文字を用いた式について,目的に応じて計算したり変形したりする能力を養うとともに,連立二元一次方程式について理解し用いる能力を培う。
(2) 基本的な平面図形の性質について,観察,操作や実験などの活動を通して理解を深めるとともに,図形の性質の考察における数学的な推論の必要性と意味及びその方法を理解し,論理的に考察し表現する能力を養う。
(3) 具体的な事象を調べることを通して,一次関数について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を養う。
(4) 不確定な事象を調べることを通して,確率について理解し用いる能力を培う。
2 内容
A 数と式
(1) 具体的な事象の中に数量の関係を見いだし,それを文字を用いて式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を養うとともに,文字を用いた式の四則計算ができるようにする。
ア 簡単な整式の加法,減法及び単項式の乗法,除法の計算をすること。
イ 文字を用いた式で数量及び数量の関係をとらえ説明できることを理解すること。
ウ 目的に応じて,簡単な式を変形すること。
(2) 連立二元一次方程式について理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 二元一次方程式とその解の意味を理解すること。
イ 連立二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
ウ 簡単な連立二元一次方程式を解くこと及びそれを具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
同類項
B 図形
(1) 観察,操作や実験などの活動を通して,基本的な平面図形の性質を見いだし,平行線の性質を基にしてそれらを確かめることができるようにする。
ア 平行線や角の性質を理解し,それに基づいて図形の性質を確かめ説明すること。
イ 平行線の性質や三角形の角についての性質を基にして,多角形の角についての性質が見いだせることを知ること。
(2) 図形の合同について理解し図形についての見方を深めるとともに,図形の性質を三角形の合同条件などを基にして確かめ,論理的に考察し表現する能力を養う。
ア 平面図形の合同の意味及び三角形の合同条件について理解すること。
イ 証明の必要性と意味及びその方法について理解すること。
ウ 三角形の合同条件などを基にして三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめたり,図形の性質の証明を読んで新たな性質を見いだしたりすること。
〔用語・記号〕
対頂角
内角
外角
定義
証明
逆
≡
C 関数
(1) 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,一次関数について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を養う。
ア 事象の中には一次関数としてとらえられるものがあることを知ること。
イ 一次関数について,表,式,グラフを相互に関連付けて理解すること。
ウ 二元一次方程式を関数を表す式とみること。
エ 一次関数を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
変化の割合
傾き
D 資料の活用
(1) 不確定な事象についての観察や実験などの活動を通して,確率について理解し,それを用いて考察し表現することができるようにする。
ア 確率の必要性と意味を理解し,簡単な場合について確率を求めること。
イ 確率を用いて不確定な事象をとらえ説明すること。
〔数学的活動〕
(1)「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「D資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
ア 既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだし,発展させる活動
イ 日常生活や社会で数学を利用する活動
ウ 数学的な表現を用いて,根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「B図形」の(2)のウに関連して,正方形,ひし形,長方形が平行四辺形の特別な形であることを取り扱うものとする。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 数の平方根について理解し,数の概念についての理解を深める。また,目的に応じて計算したり式を変形したりする能力を伸ばすとともに,二次方程式について理解し用いる能力を培う。
(2) 図形の相似,円周角と中心角の関係や三平方の定理について,観察,操作や実験などの活動を通して理解し,それらを図形の性質の考察や計量に用いる能力を伸ばすとともに,図形について見通しをもって論理的に考察し表現する能力を伸ばす。
(3) 具体的な事象を調べることを通して,関数y=ax2について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を伸ばす。
(4) 母集団から標本を取り出し,その傾向を調べることで,母集団の傾向を読み取る能力を培う。
2 内容
A 数と式
(1) 正の数の平方根について理解し,それを用いて表現し考察することができるようにする。
ア 数の平方根の必要性と意味を理解すること。
イ 数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。
ウ 具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。
(2) 文字を用いた簡単な多項式について,式の展開や因数分解ができるようにするとともに,目的に応じて式を変形したりその意味を読み取ったりする能力を伸ばす。
ア 単項式と多項式の乗法及び多項式を単項式で割る除法の計算をすること。
イ 簡単な一次式の乗法の計算及び次の公式を用いる簡単な式の展開や因数分解をすること。
(a+b)2=a2+2ab+b2
(a−b)2=a2−2ab+b2
(a+b)(a−b)=a2−b2
(x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab
ウ 文字を用いた式で数量及び数量の関係をとらえ説明すること。
(3) 二次方程式について理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
イ 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くこと。
ウ 解の公式を知り,それを用いて二次方程式を解くこと。
エ 二次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
根号
有理数
無理数
因数
√
B 図形
(1) 図形の性質を三角形の相似条件などを基にして確かめ,論理的に考察し表現する能力を伸ばし,相似な図形の性質を用いて考察することができるようにする。
ア 平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること。
イ 三角形の相似条件などを基にして図形の基本的な性質を論理的に確かめること。
ウ 平行線と線分の比についての性質を見いだし,それらを確かめること。
エ 基本的な立体の相似の意味と,相似な図形の相似比と面積比及び体積比の関係について理解すること。
オ 相似な図形の性質を具体的な場面で活用すること。
(2) 観察,操作や実験などの活動を通して,円周角と中心角の関係を見いだして理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 円周角と中心角の関係の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 円周角と中心角の関係を具体的な場面で活用すること。
(3) 観察,操作や実験などの活動を通して,三平方の定理を見いだして理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 三平方の定理の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 三平方の定理を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
∽
C 関数
(1) 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,関数y=ax2について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を伸ばす。
ア 事象の中には関数y=ax2としてとらえられるものがあることを知ること。
イ 関数y=ax2について,表,式,グラフを相互に関連付けて理解すること。
ウ 関数 y=ax2を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
エ いろいろな事象の中に,関数関係があることを理解すること。
D 資料の活用
(1) コンピュータを用いたりするなどして,母集団から標本を取り出し,標本の傾向を調べることで,母集団の傾向が読み取れることを理解できるようにする。
ア 標本調査の必要性と意味を理解すること。
イ 簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
全数調査
〔数学的活動〕
(1)「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「D資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
ア 既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだし,発展させる活動
イ 日常生活や社会で数学を利用する活動
ウ 数学的な表現を用いて,根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と式」の(2)などに関連して,自然数を素因数に分解することを取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と式」の(3)については,実数の解をもつ二次方程式を取り扱うものとする。
(3) 内容の「A数と式」の(3)のイについては,ax2=b(a,bは有理数)の二次方程式及びx2+px+q=0 (p,qは整数)の二次方程式を取り扱うものとする。因数分解して解くことの指導においては,内容の「A数と式」の(2)のイに示した公式を用いることができるものを中心に取り扱...
(4) 内容の「B図形」の(2)に関連して,円周角の定理の逆を取り扱うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の目標の達成に支障のない範囲内で,当該学年の内容の一部を軽く取り扱い,それを後の学年で指導することができる。また,学年の目標を逸脱しない範囲内で,後の学年の内容の一部を加えて指導することもできる。
(2) 生徒の学習を確実なものにするために,新たな内容を指導する際には,既に指導した関連する内容を意図的に再度取り上げ,学び直しの機会を設定することに配慮するものとする。
(3) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,数学科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容に示す〔用語・記号〕は,当該学年で取り扱う内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり,その指導に当たっては,各学年の内容と密接に関連させて取り上げるよう配慮するものとする。
(2) 各領域の指導に当たっては,必要に応じ,そろばん,電卓,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。特に,数値計算にかかわる内容の指導や,観察,操作や実験などの活動を通した指導を行う際にはこのことに配慮するものとする。
3 数学的活動の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 数学的活動を楽しめるようにするとともに,数学を学習することの意義や数学の必要性などを実感する機会を設けること。
(2) 自ら課題を見いだし,解決するための構想を立て,実践し,その結果を評価・改善する機会を設けること。
(3) 数学的活動の過程を振り返り,レポートにまとめ発表することなどを通して,その成果を共有する機会を設けること。
4 課題学習とは,生徒の数学的活動への取組を促し思考力,判断力,表現力等の育成を図るため,各領域の内容を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした課題を解決する学習であり,この実施に当たっては各学年で指導計画に適切に位置付けるものとする。
第4節 理科
第1 目標 自然の事物・現象に進んでかかわり,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔第1分野〕
1 目標
(1) 物質やエネルギーに関する事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2) 物理的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギーなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3) 化学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4) 物質やエネルギーに関する事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め,科学的に考える態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) 身近な物理現象 身近な事物・現象についての観察,実験を通して,光や音の規則性,力の性質について理解させるとともに,これらの事物・現象を日常生活や社会と関連付けて科学的にみる見方や考え方を養う。
ア 光と音
(ア) 光の反射・屈折 光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだすこと。
(イ) 凸レンズの働き 凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像の位置及び像の大きさの関係を見いだすこと。
(ウ) 音の性質 音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだすこと。
イ 力と圧力
(ア) 力の働き 物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだすとともに,力は大きさと向きによって表されることを知ること。
(イ) 圧力 圧力についての実験を行い,圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだすこと。また,水圧や大気圧の実験を行い,その結果を水や空気の重さと関連付けてとらえること。
(2) 身の回りの物質 身の回りの物質についての観察,実験を通して,固体や液体,気体の性質,物質の状態変化について理解させるとともに,物質の性質や変化の調べ方の基礎を身に付けさせる。
ア 物質のすがた
(ア) 身の回りの物質とその性質 身の回りの物質の性質を様々な方法で調べ,物質には密度や加熱したときの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだすとともに,実験器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。
(イ) 気体の発生と性質 気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を見いだすとともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。
イ 水溶液
(ア) 物質の溶解 物質が水に溶ける様子の観察を行い,水溶液の中では溶質が均一に分散していることを見いだすこと。
(イ) 溶解度と再結晶 水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けてとらえること。
ウ 状態変化
(ア) 状態変化と熱 物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いだすこと。
(イ) 物質の融点と沸点 物質の状態が変化するときの温度の測定を行い,物質は融点や沸点を境に状態が変化することや沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだすこと。
(3) 電流とその利用 電流回路についての観察,実験を通して,電流と電圧との関係及び電流の働きについて理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて電流と磁界についての初歩的な見方や考え方を養う。
ア 電流
(ア) 回路と電流・電圧 回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を流れる電流や各部に加わる電圧についての規則性を見いだすこと。
(イ) 電流・電圧と抵抗 金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだすとともに金属線には電気抵抗があることを見いだすこと。
(ウ) 電気とそのエネルギー 電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,電流から熱や光などが取り出せること及び電力の違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだすこと。
(エ) 静電気と電流 異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流は関係があることを見いだすこと。
イ 電流と磁界
(ア) 電流がつくる磁界 磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,コイルの回りに磁界ができることを知ること。
(イ) 磁界中の電流が受ける力 磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くことを見いだすこと。
(ウ) 電磁誘導と発電 磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流が得られることを見いだすとともに,直流と交流の違いを理解すること。
(4) 化学変化と原子・分子 化学変化についての観察,実験を通して,化合,分解などにおける物質の変化やその量的な関係について理解させるとともに,これらの事物・現象を原子や分子のモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 物質の成り立ち
(ア) 物質の分解 物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質から元の物質の成分が推定できることを見いだすこと。
(イ) 原子・分子 物質は原子や分子からできていることを理解し,原子は記号で表されることを知ること。
イ 化学変化
(ア) 化合 2種類の物質を化合させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見いだすとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の組成は化学式で表されること及び化学変化は化学反応式で表されることを理解すること。
(イ) 酸化と還元 酸化や還元の実験を行い,酸化や還元が酸素の関係する反応であることを見いだすこと。
(ウ) 化学変化と熱 化学変化によって熱を取り出す実験を行い,化学変化には熱の出入りが伴うことを見いだすこと。
ウ 化学変化と物質の質量
(ア) 化学変化と質量の保存 化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い,反応物の質量の総和と生成物の質量の総和が等しいことを見いだすこと。
(イ) 質量変化の規則性 化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の間には一定の関係があることを見いだすこと。
(5) 運動とエネルギー 物体の運動やエネルギーに関する観察,実験を通して,物体の運動の規則性やエネルギーの基礎について理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて運動とエネルギーの初歩的な見方や考え方を養う。
ア 運動の規則性
(ア) 力のつり合い 物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだすこと。また,力の合成と分解についての実験を行い,合力や分力の規則性を理解すること。
(イ) 運動の速さと向き 物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知ること。
(ウ) 力と運動 物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運動では運動の向きや時間の経過に伴って物体の速さが変わること及び力が働かない運動では物体は等速直線運動することを見いだすこと。
イ 力学的エネルギー
(ア) 仕事とエネルギー 仕事に関する実験を行い,仕事と仕事率について理解すること。また,衝突の実験を行い,物体のもつエネルギーの量は物体が他の物体になしうる仕事で測れることを理解すること。
(イ) 力学的エネルギーの保存 力学的エネルギーに関する実験を行い,運動エネルギーと位置エネルギーが相互に移り変わることを見いだし,力学的エネルギーの総量が保存されることを理解すること。
(6) 化学変化とイオン 化学変化についての観察,実験を通して,水溶液の電気伝導性や中和反応について理解させるとともに,これらの事物・現象をイオンのモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 水溶液とイオン
(ア) 水溶液の電気伝導性 水溶液に電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものとがあることを見いだすこと。
(イ) 原子の成り立ちとイオン 電気分解の実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知ること。また,イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知ること。
(ウ) 化学変化と電池 電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電流が取り出せることを見いだすとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
イ 酸・アルカリとイオン
(ア) 酸・アルカリ 酸とアルカリの性質を調べる実験を行い,酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオンと水酸化物イオンによることを知ること。
(イ) 中和と塩 中和反応の実験を行い,酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解すること。
(7) 科学技術と人間 エネルギー資源の利用や科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。
ア エネルギー
(ア) 様々なエネルギーとその変換 エネルギーに関する観察,実験を通して,日常生活や社会では様々なエネルギーの変換を利用していることを理解すること。
(イ) エネルギー資源 人間は,水力,火力,原子力などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギーの有効な利用が大切であることを認識すること。
イ 科学技術の発展
(ア) 科学技術の発展 科学技術の発展の過程を知るとともに,科学技術が人間の生活を豊かで便利にしてきたことを認識すること。
ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
(ア) 自然環境の保全と科学技術の利用 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までのうち,内容の(1)及び(2)は第1学年,内容の(3)及び(4)は第2学年,内容の(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,全反射も扱うこと。また,光の屈折で入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。
イ アの(イ)については,光源の位置と像の位置,像の大きさの定性的な関係を調べること。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの(ウ)については,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さを扱うこと。
エ イの(ア)については,ばねに加える力の大きさとばねの伸びの関係も扱うこと。また,重さと質量の違いにも触れること。力の単位としては「ニュートン」を用いること。
オ イの(イ)については,水中にある物体にはあらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。また,水中では物体に浮力が働くことにも触れること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。また,代表的なプラスチックの性質にも触れること。
イ アの(イ)については,異なる方法を用いても同一の気体が得られることも扱うこと。
ウ イの(ア)については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。また,質量パーセント濃度にも触れること。
エ イの(イ)については,溶解度曲線にも触れること。
オ ウの(ア)については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。その際,粒子の運動にも触れること。
カ ウの(イ)については,純粋な物質の状態変化を中心に扱うこと。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「回路」については,直列及び並列の回路を取り上げ,それぞれについて二つの抵抗のつなぎ方を中心に扱うこと。
イ アの(イ)の「電気抵抗」については,物質の種類によって抵抗の値が異なることを扱うこと。また,二つの抵抗をつなぐ場合の合成抵抗にも触れること。
ウ アの(ウ)については,電力量も扱うこと。その際,熱量にも触れること。
エ アの(エ)については,電流が電子の流れであることを扱うこと。
オ イの(イ)については,電流の向きや磁界の向きを変えたときに力の向きが変わることを扱うこと。
カ イの(ウ)については,コイルや磁石を動かす向きを変えたときに電流の向きが変わることを扱うこと。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「原子」については,周期表を用いて多くの種類が存在することにも触れること。また,「記号」については,基礎的なものを扱うこと。
イ イの(ア)の「化学式」及び「化学反応式」については,簡単なものを扱うこと。
ウ イの(イ)の「酸化や還元」については,簡単なものを扱うこと。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)については,物体に力が働くとき反対向きにも力が働くことにも触れること。
イ アの(ウ)の「力が働く運動」のうち,落下運動については斜面に沿った運動を中心に扱うこと。その際,斜面の角度が90度になったときに自由落下になることにも触れること。「物体の速さが変わること」については,定性的に扱うこと。
ウ イの(ア)については,仕事の原理にも触れること。
エ イの(イ)については,摩擦にも触れること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「原子の成り立ち」については,原子が電子と原子核からできていることを扱うこと。その際,原子核が陽子と中性子でできていることにも触れること。また,「イオン」については,イオン式で表されることにも触れること。
イ アの(ウ)の「電池」については,電極で起こる反応を中心に扱うこと。また,日常生活や社会で利用されている代表的な電池にも触れること。
ウ イの(ア)については,pHにも触れること。
エ イの(イ)については,水に溶ける塩と水に溶けない塩があることにも触れること。
(8) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,熱の伝わり方も扱うこと。また,「エネルギーの変換」については,その総量が保存されること及びエネルギーを利用する際の効率も扱うこと。
イ アの(イ)については,放射線の性質と利用にも触れること。
ウ ウの(ア)については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第2分野(7)のウの(ア)と関連付けて総合的に扱うこと。
〔第2分野〕
1 目標
(1) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,多様性や規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2) 生物や生物現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,生物の生活と種類,生命の連続性などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3) 地学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を育て,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) 植物の生活と種類 身近な植物などについての観察,実験を通して,生物の調べ方の基礎を身に付けさせるとともに,植物の体のつくりと働きを理解させ,植物の生活と種類についての認識を深める。
ア 生物の観察
(ア) 生物の観察 校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだすとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付け,生物の調べ方の基礎を習得すること。
イ 植物の体のつくりと働き
(ア) 花のつくりと働き いろいろな植物の花のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,花のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを花の働きと関連付けてとらえること。
(イ) 葉・茎・根のつくりと働き いろいろな植物の葉,茎,根のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,葉,茎,根のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを光合成,呼吸,蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。
ウ 植物の仲間
(ア) 種子植物の仲間 花や葉,茎,根の観察記録に基づいて,それらを相互に関連付けて考察し,植物が体のつくりの特徴に基づいて分類できることを見いだすとともに,植物の種類を知る方法を身に付けること。
(イ) 種子をつくらない植物の仲間 シダ植物やコケ植物の観察を行い,これらと種子植物の違いを知ること。
(2) 大地の成り立ちと変化 大地の活動の様子や身近な岩石,地層,地形などの観察を通して,地表に見られる様々な事物・現象を大地の変化と関連付けて理解させ,大地の変化についての認識を深める。
ア 火山と地震
(ア) 火山活動と火成岩 火山の形,活動の様子及びその噴出物を調べ,それらを地下のマグマの性質と関連付けてとらえるとともに,火山岩と深成岩の観察を行い,それらの組織の違いを成因と関連付けてとらえること。
(イ) 地震の伝わり方と地球内部の働き 地震の体験や記録を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に気付くとともに,地震の原因を地球内部の働きと関連付けてとらえ,地震に伴う土地の変化の様子を理解すること。
イ 地層の重なりと過去の様子
(ア) 地層の重なりと過去の様子 野外観察などを行い,観察記録を基に,地層のでき方を考察し,重なり方や広がり方についての規則性を見いだすとともに,地層とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と地質年代を推定すること。
(3) 動物の生活と生物の変遷 生物の体は細胞からできていることを観察を通して理解させる。また,動物などについての観察,実験を通して,動物の体のつくりと働きを理解させ,動物の生活と種類についての認識を深めるとともに,生物の変遷について理解させる。
ア 生物と細胞
(ア) 生物と細胞 生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだすこと。
イ 動物の体のつくりと働き
(ア) 生命を維持する働き 消化や呼吸,血液の循環についての観察,実験を行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察,実験の結果と関連付けてとらえること。また,不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解すること。
(イ) 刺激と反応 動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けてとらえること。
ウ 脊椎《せきつい》動物の仲間
(ア) 脊椎《せきつい》動物の仲間 脊椎《せきつい》動物の観察記録に基づいて,体のつくりや子の生まれ方などの特徴を比較,整理し,脊椎《せきつい》動物が幾つかの仲間に分類できることを見いだすこと。
(イ) 無脊椎《せきつい》動物の仲間 無脊椎《せきつい》動物の観察などを行い,その観察記録に基づいて,それらの動物の特徴を見いだすこと。
エ 生物の変遷と進化
(ア) 生物の変遷と進化 現存の生物や化石の比較などを基に,現存の生物は過去の生物が変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けてとらえること。
(4) 気象とその変化 身近な気象の観察,観測を通して,気象要素と天気の変化の関係を見いださせるとともに,気象現象についてそれが起こる仕組みと規則性についての認識を深める。
ア 気象観測
(ア) 気象観測 校庭などで気象観測を行い,観測方法や記録の仕方を身に付けるとともに,その観測記録などに基づいて,気温,湿度,気圧,風向などの変化と天気との関係を見いだすこと。
イ 天気の変化
(ア) 霧や雲の発生 霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び湿度の変化と関連付けてとらえること。
(イ) 前線の通過と天気の変化 前線の通過に伴う天気の変化の観測結果などに基づいて,その変化を暖気,寒気と関連付けてとらえること。
ウ 日本の気象
(ア) 日本の天気の特徴 天気図や気象衛星画像などから,日本の天気の特徴を気団と関連付けてとらえること。
(イ) 大気の動きと海洋の影響 気象衛星画像や調査記録などから,日本の気象を日本付近の大気の動きや海洋の影響に関連付けてとらえること。
(5) 生命の連続性 身近な生物についての観察,実験を通して,生物の成長と殖え方,遺伝現象について理解させるとともに,生命の連続性について認識を深める。
ア 生物の成長と殖え方
(ア) 細胞分裂と生物の成長 体細胞分裂の観察を行い,その過程を確かめるとともに,細胞の分裂を生物の成長と関連付けてとらえること。
(イ) 生物の殖え方 身近な生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだすとともに,生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだすこと。
イ 遺伝の規則性と遺伝子
(ア) 遺伝の規則性と遺伝子 交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだすこと。
(6) 地球と宇宙 身近な天体の観察を通して,地球の運動について考察させるとともに,太陽や惑星の特徴及び月の運動と見え方を理解させ,太陽系や恒星など宇宙についての認識を深める。
ア 天体の動きと地球の自転・公転
(ア) 日周運動と自転 天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けてとらえること。
(イ) 年周運動と公転 星座の年周運動や太陽の南中高度の変化などの観察を行い,その観察記録を地球の公転や地軸の傾きと関連付けてとらえること。
イ 太陽系と恒星
(ア) 太陽の様子 太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだすこと。
(イ) 月の運動と見え方 月の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,月の公転と見え方を関連付けてとらえること。
(ウ) 惑星と恒星 観測資料などを基に,惑星と恒星などの特徴を理解するとともに,惑星の見え方を太陽系の構造と関連付けてとらえること。
(7) 自然と人間 自然環境を調べ,自然界における生物相互の関係や自然界のつり合いについて理解させるとともに,自然と人間のかかわり方について認識を深め,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。
ア 生物と環境
(ア) 自然界のつり合い 微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けてとらえるとともに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだすこと。
(イ) 自然環境の調査と環境保全 身近な自然環境について調べ,様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解するとともに,自然環境を保全することの重要性を認識すること。
イ 自然の恵みと災害
(ア) 自然の恵みと災害 自然がもたらす恵みと災害などについて調べ,これらを多面的,総合的にとらえて,自然と人間のかかわり方について考察すること。
ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
(ア) 自然環境の保全と科学技術の利用 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までのうち,内容の(1)及び(2)は第1学年,内容の(3)及び(4)は第2学年,内容の(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「生物」については,植物を中心に取り上げ,水中の微小な生物の存在にも触れること。
イ イの(ア)については,被子植物を中心に取り上げること。「花の働き」については,受粉後に胚《はい》珠が種子になることを中心に扱うこと。
ウ イの(イ)については,光合成における葉緑体の働きにも触れること。また,葉,茎,根の働きを相互に関連付けて全体の働きとしてとらえること。
エ ウの(イ)については,シダ植物やコケ植物が胞子をつくることにも触れること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「火山」については,粘性と関係付けながら代表的な火山を扱うこと。「マグマの性質」については,粘性を扱うこと。「火山岩」及び「深成岩」については,代表的な岩石を扱うこと。また,代表的な造岩鉱物も扱うこと。
イ アの(イ)については,地震の現象面を中心に取り扱い,初期微動継続時間と震源までの距離との定性的な関係にも触れること。また,「地球内部の働き」については,日本付近のプレートの動きを扱うこと。
ウ イの(ア)については,地層を形成している代表的な堆《たい》積岩も取り上げること。「野外観察」については,学校内外の地層を観察する活動とすること。「地層」については,断層,褶《しゅう》曲にも触れること。「化石」については,示相化石及び示準化石を取り上げること。「地質年代」の区分は...
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イの(ア)については,各器官の働きを中心に扱うこと。「消化」については,代表的な消化酵素の働きを取り上げること。また,摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になることにも触れること。「呼吸」については,細胞の呼吸にも触れること。「血液の循環」に関連して,血液成分...
イ イの(イ)については,各器官の働きを中心に扱うこと。
ウ ウの(ア)については,脊椎《せきつい》動物の体の表面の様子や呼吸の仕方,運動・感覚器官の発達,食物のとり方の違いに気付かせること。
エ ウの(イ)については,節足動物や軟体動物の観察を行い,それらの動物と脊椎《せきつい》動物の体のつくりの特徴を比較することを中心に扱うこと。
オ エの(ア)については,進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について取り上げること。その際,生物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れること。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イの(ア)については,気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結にかかわりがあることを扱うこと。また,水の循環も扱うこと。
イ イの(イ)については,風の吹き方にも触れること。
ウ ウの(イ)については,地球を取り巻く大気の動きにも触れること。また,地球の大きさや大気の厚さにも触れること。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,染色体が複製されることにも触れること。
イ アの(イ)については,有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱うこと。「無性生殖」については,単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れること。
ウ イの(ア) については,分離の法則を扱うこと。また,遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることや遺伝子の本体がDNAであることにも触れること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「太陽の南中高度の変化」については,季節による昼夜の長さや気温の変化にも触れること。
イ イの(ア)の「太陽の特徴」については,形,大きさ,表面の様子などを扱うこと。その際,放出された多量の光などのエネルギーによる地表への影響にも触れること。
ウ イの(イ)については,日食や月食にも触れること。
エ イの(ウ)の「惑星」については,大きさ,大気組成,表面温度,衛星の存在などを取り上げること。その際,地球には生命を支える条件が備わっていることにも触れること。「恒星」については,自ら光を放つことや太陽もその一つであることを扱うこと。その際,恒星の集団としての銀河系の存在にも触れ...
(8) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,生態系における生産者,消費者及び分解者の関連を扱うこと。その際,土壌動物にも触れること。
イ アの(イ)については,生物や大気,水などの自然環境を直接調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。また,地球温暖化や外来種にも触れること。
ウ イの(ア)については,地球規模でのプレートの動きも扱うこと。また,「災害」については,記録や資料などを用いて調べ,地域の災害について触れること。
エ ウの(ア)については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第1分野(7)のウの(ア)と関連付けて総合的に扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年においては,年間を通して,各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際,各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方や考え方が互いに補い合って育成されるようにすること。
(2) 学校や生徒の実態に応じ,十分な観察や実験の時間,課題解決のために探究する時間などを設けるようにすること。その際,問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮...
(3) 原理や法則の理解を深めるためのものづくりを,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(4) 継続的な観察や季節を変えての定点観測を,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(5) 博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るよう配慮すること。
(6) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 各分野の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,野外観察を重視するとともに,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象を科学的に探究する能力の基礎と態度の育成及び基本的な概念の形成が段階的に無理なく行えるようにすること。
(2) 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度が育成されるようにすること。
(3) 科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れること。また,理科で学習することが様々な職業などと関係していることにも触れること。
3 観察,実験,野外観察の指導においては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮するものとする。
4 各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するよう配慮するものとする。
第5節 音楽
第1 目標 表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,音楽を愛好する心情を育てるとともに,音楽に対する感性を豊かにし,音楽活動の基礎的な能力を伸ばし,音楽文化についての理解を深め,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 音楽活動の楽しさを体験することを通して,音や音楽への興味・関心を養い,音楽によって生活を明るく豊かなものにする態度を育てる。
(2) 多様な音楽表現の豊かさや美しさを感じ取り,基礎的な表現の技能を身に付け,創意工夫して表現する能力を育てる。
(3) 多様な音楽のよさや美しさを味わい,幅広く主体的に鑑賞する能力を育てる。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 歌詞の内容や曲想を感じ取り,表現を工夫して歌うこと。
イ 曲種に応じた発声により,言葉の特性を生かして歌うこと。
ウ 声部の役割や全体の響きを感じ取り,表現を工夫しながら合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想を感じ取り,表現を工夫して演奏すること。
イ 楽器の特徴をとらえ,基礎的な奏法を身に付けて演奏すること。
ウ 声部の役割や全体の響きを感じ取り,表現を工夫しながら合わせて演奏すること。
(3) 創作の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 言葉や音階などの特徴を感じ取り,表現を工夫して簡単な旋律をつくること。
イ 表現したいイメージをもち,音素材の特徴を感じ取り,反復,変化,対照などの構成を工夫しながら音楽をつくること。
(4) 表現教材は,次に示すものを取り扱う。
ア 我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切で,生徒にとって平易で親しみのもてるものであること。
イ 歌唱教材には,次の観点から取り上げたものを含めること。
(ア) 我が国で長く歌われ親しまれている歌曲のうち,我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの又は我が国の文化や日本語のもつ美しさを味わえるもの
(イ) 民謡,長唄《ながうた》などの我が国の伝統的な歌唱のうち,地域や学校,生徒の実態を考慮して,伝統的な声の特徴を感じ取れるもの
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や構造と曲想とのかかわりを感じ取って聴き,言葉で説明するなどして,音楽のよさや美しさを味わうこと。
イ 音楽の特徴をその背景となる文化・歴史や他の芸術と関連付けて,鑑賞すること。
ウ 我が国や郷土の伝統音楽及びアジア地域の諸民族の音楽の特徴から音楽の多様性を感じ取り,鑑賞すること。
(2) 鑑賞教材は,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切なものを取り扱う。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音色,リズム,速度,旋律,テクスチュア,強弱,形式,構成などの音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受すること。
イ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを表す用語や記号などについて,音楽活動を通して理解すること。
〔第2学年及び第3学年〕
1 目標
(1) 音楽活動の楽しさを体験することを通して,音や音楽への興味・関心を高め,音楽によって生活を明るく豊かなものにし,生涯にわたって音楽に親しんでいく態度を育てる。
(2) 多様な音楽表現の豊かさや美しさを感じ取り,表現の技能を伸ばし,創意工夫して表現する能力を高める。
(3) 多様な音楽に対する理解を深め,幅広く主体的に鑑賞する能力を高める。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 歌詞の内容や曲想を味わい,曲にふさわしい表現を工夫して歌うこと。
イ 曲種に応じた発声や言葉の特性を理解して,それらを生かして歌うこと。
ウ 声部の役割と全体の響きとのかかわりを理解して,表現を工夫しながら合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想を味わい,曲にふさわしい表現を工夫して演奏すること。
イ 楽器の特徴を理解し,基礎的な奏法を生かして演奏すること。
ウ 声部の役割と全体の響きとのかかわりを理解して,表現を工夫しながら合わせて演奏すること。
(3) 創作の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 言葉や音階などの特徴を生かし,表現を工夫して旋律をつくること。
イ 表現したいイメージをもち,音素材の特徴を生かし,反復,変化,対照などの構成や全体のまとまりを工夫しながら音楽をつくること。
(4) 表現教材は,次に示すものを取り扱う。
ア 我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切で,生徒の意欲を高め親しみのもてるものであること。
イ 歌唱教材には,次の観点から取り上げたものを含めること。
(ア) 我が国で長く歌われ親しまれている歌曲のうち,我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの又は我が国の文化や日本語のもつ美しさを味わえるもの
(イ) 民謡,長唄《ながうた》などの我が国の伝統的な歌唱のうち,地域や学校,生徒の実態を考慮して,伝統的な声の特徴を感じ取れるもの
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や構造と曲想とのかかわりを理解して聴き,根拠をもって批評するなどして,音楽のよさや美しさを味わうこと。
イ 音楽の特徴をその背景となる文化・歴史や他の芸術と関連付けて理解して,鑑賞すること。
ウ 我が国や郷土の伝統音楽及び諸外国の様々な音楽の特徴から音楽の多様性を理解して,鑑賞すること。
(2) 鑑賞教材は,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切なものを取り扱う。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音色,リズム,速度,旋律,テクスチュア,強弱,形式,構成などの音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受すること。
イ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを表す用語や記号などについて,音楽活動を通して理解すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(2) 第2の各学年の内容の「A表現」の(1),(2),(3)及び「B鑑賞」の(1)の指導については,それぞれ特定の活動のみに偏らないようにすること。
(3) 第2の各学年の内容については,生徒がより個性を生かした音楽活動を展開できるようにするため,表現方法や表現形態を選択できるようにするなど,学校や生徒の実態に応じ,効果的な指導ができるよう工夫すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 歌唱の指導については,次のとおり取り扱うこと。
ア 各学年の「A表現」の(4)のイの(ア)の歌唱教材については,以下の共通教材の中から各学年ごとに1曲以上を含めること。
「赤とんぼ」 三木露風《みきろふう》作詞 山田耕筰《やまだこうさく》作曲
「荒城の月」 土井晩翠《どいばんすい》作詞 滝廉太郎《たきれんたろう》作曲
「早春賦」 吉丸一昌《よしまるかずまさ》作詞 中田章《なかだあきら》作曲
「夏の思い出」 江間章子《えましょうこ》作詞 中田喜直《なかだよしなお》作曲
「花」 武島羽衣《たけしまはごろも》作詞 滝廉太郎《たきれんたろう》作曲
「花の街」 江間章子《えましょうこ》作詞 團伊玖磨《だんいくま》作曲
「浜辺の歌」 林古溪《はやしこけい》作詞 成田為三《なりたためぞう》作曲
イ 変声期について気付かせるとともに,変声期の生徒に対しては心理的な面についても配慮し,適切な声域と声量によって歌わせるようにすること。
ウ 相対的な音程感覚などを育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。
(2) 器楽の指導については,指導上の必要に応じて和楽器,弦楽器,管楽器,打楽器,鍵《けん》盤楽器,電子楽器及び世界の諸民族の楽器を適宜用いること。なお,和楽器の指導については,3学年間を通じて1種類以上の楽器の表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わうことができ...
(3) 我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導については,言葉と音楽との関係,姿勢や身体の使い方についても配慮すること。
(4) 読譜の指導については,小学校における学習を踏まえ,♯や♭の調号としての意味を理解させるとともに,3学年間を通じて,1♯,1♭程度をもった調号の楽譜の視唱や視奏に慣れさせるようにすること。
(5) 創作の指導については,即興的に音を出しながら音のつながり方を試すなど,音を音楽へと構成していく体験を重視すること。その際,理論に偏らないようにするとともに,必要に応じて作品を記録する方法を工夫させること。
(6) 各学年の「A表現」の指導に当たっては,指揮などの身体的表現活動も取り上げるようにすること。
(7) 各学年の「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 生徒が自己のイメージや思いを伝え合ったり,他者の意図に共感したりできるようにするなどコミュニケーションを図る指導を工夫すること。
イ 適宜,自然音や環境音などについても取り扱い,音環境への関心を高めたり,音や音楽が生活に果たす役割を考えさせたりするなど,生徒が音や音楽と生活や社会とのかかわりを実感できるような指導を工夫すること。また,コンピュータや教育機器の活用も工夫すること。
ウ 音楽に関する知的財産権について,必要に応じて触れるようにすること。
(8) 各学年の〔共通事項〕のイの用語や記号などは,小学校学習指導要領第2章第6節音楽の第3の2の(6)に示すものに加え,生徒の学習状況を考慮して,次に示すものを取り扱うこと。
拍
拍子
間《ま》
序破急
フレーズ
音階
調
和音
動機
アンダンテ
モデラート
アレグロ
リタルダンド
ア・テンポ
アッチェレランド
レガート
ピアニッシモ
フォルティッシモ
ディミヌエンド
ダ・カーポ
ダル・セーニョ
フェルマータ
テヌート
三連符
二分休符
全休符
十六分休符
第6節 美術
第1 目標 表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,美術の創造活動の喜びを味わい美術を愛好する心情を育てるとともに,感性を豊かにし,美術の基礎的な能力を伸ばし,美術文化についての理解を深め,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 楽しく美術の活動に取り組み美術を愛好する心情を培い,心豊かな生活を創造していく意欲と態度を育てる。
(2) 対象を見つめ感じ取る力や想像力を高め,豊かに発想し構想する能力や形や色彩などによる表現の技能を身に付け,意図に応じて創意工夫し美しく表現する能力を育てる。
(3) 自然の造形や美術作品などについての基礎的な理解や見方を広げ,美術文化に対する関心を高め,よさや美しさなどを味わう鑑賞の能力を育てる。
2 内容
A 表現
(1) 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 対象を見つめ感じ取った形や色彩の特徴や美しさ,想像したことなどを基に主題を生み出すこと。
イ 主題などを基に,全体と部分との関係などを考えて創造的な構成を工夫し,心豊かに表現する構想を練ること。
(2) 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 目的や条件などを基に,美的感覚を働かせて,構成や装飾を考え,表現の構想を練ること。
イ 他者の立場に立って,伝えたい内容について分かりやすさや美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
ウ 用途や機能,使用する者の気持ち,材料などから美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
(3) 発想や構想をしたことなどを基に表現する活動を通して,技能に関する次の事項を指導する。
ア 形や色彩などの表し方を身に付け,意図に応じて材料や用具の生かし方などを考え,創意工夫して表現すること。
イ 材料や用具の特性などから制作の順序などを考えながら,見通しをもって表現すること。
B 鑑賞
(1) 美術作品などのよさや美しさを感じ取り味わう活動を通して,鑑賞に関する次の事項を指導する。
ア 造形的なよさや美しさ,作者の心情や意図と表現の工夫,美と機能性の調和,生活における美術の働きなどを感じ取り,作品などに対する思いや考えを説明し合うなどして,対象の見方や感じ方を広げること。
イ 身近な地域や日本及び諸外国の美術の文化遺産などを鑑賞し,そのよさや美しさなどを感じ取り,美術文化に対する関心を高めること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらがもたらす感情を理解すること。
イ 形や色彩の特徴などを基に,対象のイメージをとらえること。
〔第2学年及び第3学年〕
1 目標
(1) 主体的に美術の活動に取り組み美術を愛好する心情を深め,心豊かな生活を創造していく意欲と態度を高める。
(2) 対象を深く見つめ感じ取る力や想像力を一層高め,独創的・総合的な見方や考え方を培い,豊かに発想し構想する能力や自分の表現方法を創意工夫し,創造的に表現する能力を伸ばす。
(3) 自然の造形,美術作品や文化遺産などについての理解や見方を深め,心豊かに生きることと美術とのかかわりに関心をもち,よさや美しさなどを味わう鑑賞の能力を高める。
2 内容
A 表現
(1) 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 対象を深く見つめ感じ取ったこと,考えたこと,夢,想像や感情などの心の世界などを基に,主題を生み出すこと。
イ 主題などを基に想像力を働かせ,単純化や省略,強調,材料の組合せなどを考え,創造的な構成を工夫し,心豊かな表現の構想を練ること。
(2) 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 目的や条件などを基に,美的感覚を働かせて形や色彩,図柄,材料,光などの組合せを簡潔にしたり総合化したりするなどして構成や装飾を考え,表現の構想を練ること。
イ 伝えたい内容を多くの人々に伝えるために,形や色彩などの効果を生かして分かりやすさや美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
ウ 使用する者の気持ちや機能,夢や想像,造形的な美しさなどを総合的に考え,表現の構想を練ること。
(3) 発想や構想をしたことなどを基に表現する活動を通して,技能に関する次の事項を指導する。
ア 材料や用具の特性を生かし,自分の表現意図に合う新たな表現方法を工夫するなどして創造的に表現すること。
イ 材料や用具,表現方法の特性などから制作の順序などを総合的に考えながら,見通しをもって表現すること。
B 鑑賞
(1) 美術作品などのよさや美しさを感じ取り味わう活動を通して,鑑賞に関する次の事項を指導する。
ア 造形的なよさや美しさ,作者の心情や意図と創造的な表現の工夫,目的や機能との調和のとれた洗練された美しさなどを感じ取り見方を深め,作品などに対する自分の価値意識をもって批評し合うなどして,美意識を高め幅広く味わうこと。
イ 美術作品などに取り入れられている自然のよさや,自然や身近な環境の中に見られる造形的な美しさなどを感じ取り,安らぎや自然との共生などの視点から,生活を美しく豊かにする美術の働きについて理解すること。
ウ 日本の美術の概括的な変遷や作品の特質を調べたり,それらの作品を鑑賞したりして,日本の美術や伝統と文化に対する理解と愛情を深めるとともに,諸外国の美術や文化との相違と共通性に気付き,それぞれのよさや美しさなどを味わい,美術を通した国際理解を深め,美術文化の継承と創造への関心を高め...
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらがもたらす感情を理解すること。
イ 形や色彩の特徴などを基に,対象のイメージをとらえること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の「A表現」及び「B鑑賞」の指導については相互の関連を図るようにすること。
(2) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(3) 第2の各学年の内容の「A表現」については,(1)及び(2)と,(3)は原則として関連付けて行い,(1)及び(2)それぞれにおいて描く活動とつくる活動のいずれも経験させるようにすること。その際,第2学年及び第3学年の各学年においては,(1)及び(2)それぞれにおいて,描く活動...
(4) 第2の内容の「B鑑賞」の指導については,各学年とも適切かつ十分な授業時数を確保すること。
(5) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,美術科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年の「A表現」の指導に当たっては,生徒の学習経験や能力,発達特性等の実態を踏まえ,生徒が自分の表現意図に合う表現形式や技法,材料などを選択し創意工夫して表現できるように,次の事項に配慮すること。
ア 見る力や感じ取る力,考える力,描く力などを育成するために,スケッチの学習を効果的に取り入れるようにすること。
イ 美術の表現の可能性を広げるために,写真・ビデオ・コンピュータ等の映像メディアの積極的な活用を図るようにすること。
ウ 日本及び諸外国の作品の独特な表現形式,漫画やイラストレーション,図などの多様な表現方法を活用できるようにすること。
エ 表現の材料や題材などについては,地域の身近なものや伝統的なものも取り上げるようにすること。
(2) 各学年の「B鑑賞」の題材については,日本及び諸外国の児童生徒の作品,アジアの文化遺産についても取り上げるとともに,美術館・博物館等の施設や文化財などを積極的に活用するようにすること。
(3) 主題を生み出すことから表現の確認及び完成に至る全過程を通して,生徒が夢と目標をもち,自分のよさを発見し喜びをもって自己実現を果たしていく態度の形成を図るようにすること。
(4) 互いの個性を生かし合い協力して創造する喜びを味わわせるため,適切な機会を選び共同で行う創造活動を経験させること。また,各表現の完成段階で作品を発表し合い,互いの表現のよさや個性などを認め尊重し合う活動をするようにすること。
(5) 美術に関する知的財産権や肖像権などについて配慮し,自己や他者の創造物等を尊重する態度の形成を図るようにすること。
3 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導などを徹底するものとする。
4 生徒が随時鑑賞に親しむことができるよう,校内の適切な場所に鑑賞作品などを展示するとともに,生徒や学校の実態に応じて,学校図書館等における鑑賞用図書,映像資料などの活用を図るものとする。
第7節 保健体育
第1 目標 心と体を一体としてとらえ,運動や健康・安全についての理解と運動の合理的な実践を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てる。
第2 各分野の目標及び内容
〔体育分野 第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに,知識や技能を身に付け,運動を豊かに実践することができるようにする。
(2) 運動を適切に行うことによって,体力を高め,心身の調和的発達を図る。
(3) 運動における競争や協同の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の役割を果たすなどの意欲を育てるとともに,健康・安全に留意し,自己の最善を尽くして運動をする態度を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,体力を高め,目的に適した運動を身に付け,組み合わせることができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の関係に気付き,体の調子を整え,仲間と交流するための手軽な運動や律動的な運動を行うこと。
イ 体力を高める運動では,ねらいに応じて,体の柔らかさ,巧みな動き,力強い動き,動きを持続する能力を高めるための運動を行うとともに,それらを組み合わせて運動の計画に取り組むこと。
(2) 体つくり運動に積極的に取り組むとともに,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 体つくり運動の意義と行い方,運動の計画の立て方などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,その技がよりよくできるようにする。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを組み合わせること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを組み合わせること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを組み合わせること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと。
(2) 器械運動に積極的に取り組むとともに,よい演技を認めようとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 器械運動の特性や成り立ち,技の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
C 陸上競技
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,基本的な動きや効率のよい動きを身に付けることができるようにする。
ア 短距離走・リレーでは,滑らかな動きで速く走ること,長距離走では,ペースを守り一定の距離を走ること,ハードル走では,リズミカルな走りから滑らかにハードルを越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から素早く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズミカルな助走から力強く踏み切って大きな動作で跳ぶこと。
(2) 陸上競技に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 陸上競技の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
D 水泳
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,泳法を身に付けることができるようにする。
ア クロールでは,手と足,呼吸のバランスをとり速く泳ぐこと。
イ 平泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスをとり長く泳ぐこと。
ウ 背泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
(2) 水泳に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,水泳の事故防止に関する心得など健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 水泳の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
E 球技
(1) 次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,基本的な技能や仲間と連携した動きでゲームが展開できるようにする。
ア ゴール型では,ボール操作と空間に走り込むなどの動きによってゴール前での攻防を展開すること。
イ ネット型では,ボールや用具の操作と定位置に戻るなどの動きによって空いた場所をめぐる攻防を展開すること。
ウ ベースボール型では,基本的なバット操作と走塁での攻撃,ボール操作と定位置での守備などによって攻防を展開すること。
(2) 球技に積極的に取り組むとともに,フェアなプレイを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすること,作戦などについての話合いに参加しようとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 球技の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
F 武道
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,基本動作や基本となる技ができるようにする。
ア 柔道では,相手の動きに応じた基本動作から,基本となる技を用いて,投げたり抑えたりするなどの攻防を展開すること。
イ 剣道では,相手の動きに応じた基本動作から,基本となる技を用いて,打ったり受けたりするなどの攻防を展開すること。
ウ 相撲では,相手の動きに応じた基本動作から,基本となる技を用いて,押したり寄ったりするなどの攻防を展開すること。
(2) 武道に積極的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,禁じ技を用いないなど健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 武道の特性や成り立ち,伝統的な考え方,技の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
G ダンス
(1) 次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージをとらえた表現や踊りを通した交流ができるようにする。
ア 創作ダンスでは,多様なテーマから表したいイメージをとらえ,動きに変化を付けて即興的に表現したり,変化のあるひとまとまりの表現にしたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて特徴的なステップや動きで踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴をとらえ,変化のある動きを組み合わせて,リズムに乗って全身で踊ること。
(2) ダンスに積極的に取り組むとともに,よさを認め合おうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) ダンスの特性,踊りの由来と表現の仕方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
H 体育理論
(1) 運動やスポーツが多様であることについて理解できるようにする。
ア 運動やスポーツは,体を動かしたり,健康を維持したりするなどの必要性や,競技に応じた力を試すなどの楽しさから生みだされ発展してきたこと。
イ 運動やスポーツには,行うこと,見ること,支えることなどの多様なかかわり方があること。
ウ 運動やスポーツには,特有の技術や戦術があり,その学び方には一定の方法があること。
(2) 運動やスポーツの意義や効果などについて理解できるようにする。
ア 運動やスポーツは,身体の発達やその機能の維持,体力の向上などの効果や自信の獲得,ストレスの解消などの心理的効果が期待できること。
イ 運動やスポーツは,ルールやマナーについて合意したり,適切な人間関係を築いたりするなどの社会性を高める効果が期待できること。
ウ 運動やスポーツを行う際は,その特性や目的,発達の段階や体調などを踏まえて運動を選ぶなど,健康・安全に留意する必要があること。
〔体育分野 第3学年〕
1 目標
(1) 運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わうとともに,知識や技能を高め,生涯にわたって運動を豊かに実践することができるようにする。
(2) 運動を適切に行うことによって,自己の状況に応じて体力の向上を図る能力を育て,心身の調和的発達を図る。
(3) 運動における競争や協同の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の責任を果たす,参画するなどの意欲を育てるとともに,健康・安全を確保して,生涯にわたって運動に親しむ態度を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,健康の保持増進や体力の向上を図り,目的に適した運動の計画を立て取り組むことができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体は互いに影響し変化することに気付き,体の状態に応じて体の調子を整え,仲間と積極的に交流するための手軽な運動や律動的な運動を行うこと。
イ 体力を高める運動では,ねらいに応じて,健康の保持増進や調和のとれた体力の向上を図るための運動の計画を立て取り組むこと。
(2) 体つくり運動に自主的に取り組むとともに,体力の違いに配慮しようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 運動を継続する意義,体の構造,運動の原則などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,自己に適した技で演技することができるようにする。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを構成し演技すること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを構成し演技すること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを構成し演技すること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと。
(2) 器械運動に自主的に取り組むとともに,よい演技を讃《たた》えようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
C 陸上競技
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,各種目特有の技能を身に付けることができるようにする。
ア 短距離走・リレーでは,中間走へのつなぎを滑らかにするなどして速く走ること,長距離走では,自己に適したペースを維持して走ること,ハードル走では,スピードを維持した走りからハードルを低く越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から力強く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズミカルな助走から力強く踏み切り滑らかな空間動作で跳ぶこと。
(2) 陸上競技に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
D 水泳
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,効率的に泳ぐことができるようにする。
ア クロールでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
イ 平泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
ウ 背泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
オ 複数の泳法で泳ぐこと,又はリレーをすること。
(2) 水泳に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,水泳の事故防止に関する心得など健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
E 球技
(1) 次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,作戦に応じた技能で仲間と連携しゲームが展開できるようにする。
ア ゴール型では,安定したボール操作と空間を作りだすなどの動きによってゴール前への侵入などから攻防を展開すること。
イ ネット型では,役割に応じたボール操作や安定した用具の操作と連携した動きによって空いた場所をめぐる攻防を展開すること。
ウ ベースボール型では,安定したバット操作と走塁での攻撃,ボール操作,連携した守備などによって攻防を展開すること。
(2) 球技に自主的に取り組むとともに,フェアなプレイを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすること,作戦などについての話合いに貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
F 武道
(1) 次の運動について,技を高め勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,得意技を身に付けることができるようにする。
ア 柔道では,相手の動きの変化に応じた基本動作から,基本となる技,得意技や連絡技を用いて,相手を崩して投げたり,抑えたりするなどの攻防を展開すること。
イ 剣道では,相手の動きの変化に応じた基本動作から,基本となる技や得意技を用いて,相手の構えを崩し,しかけたり応じたりするなどの攻防を展開すること。
ウ 相撲では,相手の動きの変化に応じた基本動作から,基本となる技や得意技を用いて,相手を崩し,投げたりひねったりするなどの攻防を展開すること。
(2) 武道に自主的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 伝統的な考え方,技の名称や見取り稽《けい》古の仕方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
G ダンス
(1) 次の運動について,感じを込めて踊ったり,みんなで自由に踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージを深めた表現や踊りを通した交流や発表ができるようにする。
ア 創作ダンスでは,表したいテーマにふさわしいイメージをとらえ,個や群で,緩急強弱のある動きや空間の使い方で変化をつけて即興的に表現したり,簡単な作品にまとめたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて特徴的なステップや動きと組み方で踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴をとらえ,変化とまとまりを付けて,リズムに乗って全身で踊ること。
(2) ダンスに自主的に取り組むとともに,互いの違いやよさを認め合おうとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) ダンスの名称や用語,踊りの特徴と表現の仕方,体力の高め方,交流や発表の仕方などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
H 体育理論
(1) 文化としてのスポーツの意義について理解できるようにする。
ア スポーツは文化的な生活を営み,よりよく生きていくために重要であること。
イ オリンピックや国際的なスポーツ大会などは,国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていること。
ウ スポーツは,民族や国,人種や性,障害の違いなどを超えて人々を結び付けていること。
〔内容の取扱い〕
(1) 内容の各領域については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 第1学年及び第2学年においては,「A体つくり運動」から「H体育理論」までについては,すべての生徒に履修させること。その際,「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,2学年にわたって履修させること。
イ 第3学年においては,「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,すべての生徒に履修させること。「B器械運動」,「C 陸上競技」,「D水泳」及び「Gダンス」についてはこれらの中から一以上を,「E球技」及び「F武道」についてはこれらの中から一以上をそれぞれ選択して履修できるよう...
(2) 内容の「A体つくり運動」から「H体育理論」までに示す事項については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「A体つくり運動」の(1)のアの運動については,「B器械運動」から「Gダンス」までにおいても関連を図って指導することができるとともに,心の健康など保健分野との関連を図ること。また,「A体つくり運動」の(1)のイの運動については,第1学年及び第2学年においては,動きを持続する能力...
イ 「B器械運動」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からアを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからエまでの中から選択して履修できるようにすること。
ウ 「C陸上競技」の(1)の運動については,ア及びイに示すそれぞれの運動の中から選択して履修できるようにすること。
エ 「D水泳」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からア又はイのいずれかを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからオまでの中から選択して履修できるようにすること。また,泳法との関連において水中からのスタート及びターン...
オ 「E球技」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからウまでをすべての生徒に履修させること。第3学年においては,アからウまでの中から二を選択して履修できるようにすること。また,アについては,バスケットボール,ハンドボール,サッカーの中から,イについては,バレ...
カ 「F武道」の(1)の運動については,アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,なぎなたなどのその他の武道についても履修させることができること。また,武道場などの確保が難しい場合は指導方法を工夫して行うとともに,学習段階や個人差を踏...
キ 「Gダンス」の(1)の運動については,アからウまでの中から選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,その他のダンスについても履修させることができること。
ク 第1学年及び第2学年の内容の「H体育理論」については,(1)は第1学年,(2)は第2学年で取り上げること。
(3) 内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域及び運動の選択並びにその指導に当たっては,地域や学校の実態及び生徒の特性等を考慮するものとする。その際,指導に当たっては,内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域については,それぞれの運動の特性に触れるために必要な体力...
(4) 自然とのかかわりの深いスキー,スケートや水辺活動などの指導については,地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとする。
(5) 集合,整頓《とん》,列の増減,方向変換などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団としての行動ができるようにするための指導については,内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域において適切に行うものとする。
〔保健分野〕
1 目標 個人生活における健康・安全に関する理解を通して,生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 心身の機能の発達と心の健康について理解できるようにする。
ア 身体には,多くの器官が発育し,それに伴い,様々な機能が発達する時期があること。また,発育・発達の時期やその程度には,個人差があること。
イ 思春期には,内分泌の働きによって生殖にかかわる機能が成熟すること。また,成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となること。
ウ 知的機能,情意機能,社会性などの精神機能は,生活経験などの影響を受けて発達すること。また,思春期においては,自己の認識が深まり,自己形成がなされること。
エ 精神と身体は,相互に影響を与え,かかわっていること。 欲求やストレスは,心身に影響を与えることがあること。また,心の健康を保つには,欲求やストレスに適切に対処する必要があること。
(2) 健康と環境について理解できるようにする。
ア 身体には,環境に対してある程度まで適応能力があること。身体の適応能力を超えた環境は,健康に影響を及ぼすことがあること。また,快適で能率のよい生活を送るための温度,湿度や明るさには一定の範囲があること。
イ 飲料水や空気は,健康と密接なかかわりがあること。また,飲料水や空気を衛生的に保つには,基準に適合するよう管理する必要があること。
ウ 人間の生活によって生じた廃棄物は,環境の保全に十分配慮し,環境を汚染しないように衛生的に処理する必要があること。
(3) 傷害の防止について理解を深めることができるようにする。
ア 交通事故や自然災害などによる傷害は,人的要因や環境要因などがかかわって発生すること。
イ 交通事故などによる傷害の多くは,安全な行動,環境の改善によって防止できること。
ウ 自然災害による傷害は,災害発生時だけでなく,二次災害によっても生じること。また,自然災害による傷害の多くは,災害に備えておくこと,安全に避難することによって防止できること。
エ 応急手当を適切に行うことによって,傷害の悪化を防止することができること。また,応急手当には,心肺蘇《そ》生等があること。
(4) 健康な生活と疾病の予防について理解を深めることができるようにする。
ア 健康は,主体と環境の相互作用の下に成り立っていること。また,疾病は,主体の要因と環境の要因がかかわり合って発生すること。
イ 健康の保持増進には,年齢,生活環境等に応じた食事,運動,休養及び睡眠の調和のとれた生活を続ける必要があること。また,食事の量や質の偏り,運動不足,休養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れは,生活習慣病などの要因となること。
ウ 喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,心身に様々な影響を与え,健康を損なう原因となること。また,これらの行為には,個人の心理状態や人間関係,社会環境が影響することから,それぞれの要因に適切に対処する必要があること。
エ 感染症は,病原体が主な要因となって発生すること。また,感染症の多くは,発生源をなくすこと,感染経路を遮断すること,主体の抵抗力を高めることによって予防できること。
オ 健康の保持増進や疾病の予防には,保健・医療機関を有効に利用することがあること。また,医薬品は,正しく使用すること。
カ 個人の健康は,健康を保持増進するための社会の取組と密接なかかわりがあること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)は第1学年,内容の(2)及び(3)は第2学年,内容の(4)は第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)のアについては,呼吸器,循環器を中心に取り扱うものとする。
(3) 内容の(1)のイについては,妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から,受精・妊娠までを取り扱うものとし,妊娠の経過は取り扱わないものとする。また,身体の機能の成熟とともに,性衝動が生じたり,異性への関心が高まったりすることなどから,異性の尊重,情報への適切な対...
(4) 内容の(1)のエについては,体育分野の内容の「A体つくり運動」の(1)のアの指導との関連を図って指導するものとする。
(5) 内容の(2)については,地域の実態に即して公害と健康との関係を取り扱うことも配慮するものとする。また,生態系については,取り扱わないものとする。
(6) 内容の(3)のエについては,包帯法,止血法など傷害時の応急手当も取り扱い,実習を行うものとする。また,効果的な指導を行うため,水泳など体育分野の内容との関連を図るものとする。
(7) 内容の(4)のイについては,食育の観点も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結び付くよう配慮するとともに,必要に応じて,コンピュータなどの情報機器の使用と健康とのかかわりについて取り扱うことも配慮するものとする。
(8) 内容の(4)のウについては,心身への急性影響及び依存性について取り扱うこと。また,薬物は,覚せい剤や大麻等を取り扱うものとする。
(9) 内容の(4)のエについては,後天性免疫不全症候群(エイズ)及び性感染症についても取り扱うものとする。
(10) 保健分野の指導に際しては,知識を活用する学習活動を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 授業時数の配当については,次のとおり取り扱うこと。
ア 保健分野の授業時数は,3学年間で,48単位時間程度を配当すること。
イ 体育分野の授業時数は,各学年にわたって適切に配当すること。その際,体育分野の内容の「A体つくり運動」については,各学年で7単位時間以上を,「H体育理論」については,各学年で3単位時間以上を配当すること。
ウ 体育分野の内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域の授業時数は,その内容の習熟を図ることができるよう考慮して配当すること。
エ 保健分野の授業時数は,3学年間を通して適切に配当し,各学年において効果的な学習が行われるよう適切な時期にある程度まとまった時間を配当すること。
(2) 第1章総則第1の3に示す学校における体育・健康に関する指導の趣旨を生かし,特別活動,運動部の活動などとの関連を図り,日常生活における体育・健康に関する活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意すること。なお,体力の測定については,計画的に実施し,運動の指導及び体力の向上に活用...
(3) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,保健体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
第8節 技術・家庭
第1 目標 生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技術の習得を通して,生活と技術とのかかわりについて理解を深め,進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。
第2 各分野の目標及び内容
〔技術分野〕
1 目標 ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して,材料と加工,エネルギー変換,生物育成及び情報に関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに,技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め,技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる。
2 内容
A 材料と加工に関する技術
(1) 生活や産業の中で利用されている技術について,次の事項を指導する。
ア 技術が生活の向上や産業の継承と発展に果たしている役割について考えること。
イ 技術の進展と環境との関係について考えること。
(2) 材料と加工法について,次の事項を指導する。
ア 材料の特徴と利用方法を知ること。
イ 材料に適した加工法を知り,工具や機器を安全に使用できること。
ウ 材料と加工に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(3) 材料と加工に関する技術を利用した製作品の設計・製作について,次の事項を指導する。
ア 使用目的や使用条件に即した機能と構造について考えること。
イ 構想の表示方法を知り,製作図をかくことができること。
ウ 部品加工,組立て及び仕上げができること。
B エネルギー変換に関する技術
(1) エネルギー変換機器の仕組みと保守点検について,次の事項を指導する。
ア エネルギーの変換方法や力の伝達の仕組みを知ること。
イ 機器の基本的な仕組みを知り,保守点検と事故防止ができること。
ウ エネルギー変換に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2) エネルギー変換に関する技術を利用した製作品の設計・製作について,次の事項を指導する。
ア 製作品に必要な機能と構造を選択し,設計ができること。
イ 製作品の組立て・調整や電気回路の配線・点検ができること。
C 生物育成に関する技術
(1) 生物の生育環境と育成技術について,次の事項を指導する。
ア 生物の育成に適する条件と生物の育成環境を管理する方法を知ること。
イ 生物育成に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2) 生物育成に関する技術を利用した栽培又は飼育について,次の事項を指導する。
ア 目的とする生物の育成計画を立て,生物の栽培又は飼育ができること。
D 情報に関する技術
(1) 情報通信ネットワークと情報モラルについて,次の事項を指導する。
ア コンピュータの構成と基本的な情報処理の仕組みを知ること。
イ 情報通信ネットワークにおける基本的な情報利用の仕組みを知ること。
ウ 著作権や発信した情報に対する責任を知り,情報モラルについて考えること。
エ 情報に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2) ディジタル作品の設計・制作について,次の事項を指導する。
ア メディアの特徴と利用方法を知り,制作品の設計ができること。
イ 多様なメディアを複合し,表現や発信ができること。
(3) プログラムによる計測・制御について,次の事項を指導する。
ア コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。
イ 情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A材料と加工に関する技術」の(1)については,技術の進展が資源やエネルギーの有効利用,自然環境の保全に貢献していることや,ものづくりの技術が我が国の伝統や文化を支えてきたことについても扱うものとする。
(2) 内容の「Bエネルギー変換に関する技術」の(1)のイについては,漏電・感電等についても扱うものとする。
(3) 内容の「C生物育成に関する技術」の(2)については,地域固有の生態系に影響を及ぼすことのないよう留意するものとする。
(4) 内容の「D情報に関する技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のアについては,情報のディジタル化の方法と情報の量についても扱うこと。(1)のウについては,情報通信ネットワークにおける知的財産の保護の必要性についても扱うこと。
イ (2)については,使用するメディアに応じて,個人情報の保護の必要性についても扱うこと。
(5) すべての内容において,技術にかかわる倫理観や新しい発想を生み出し活用しようとする態度が育成されるようにするものとする。
〔家庭分野〕
1 目標 衣食住などに関する実践的・体験的な学習活動を通して,生活の自立に必要な基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに,家庭の機能について理解を深め,これからの生活を展望して,課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる。
2 内容
A 家族・家庭と子どもの成長
(1) 自分の成長と家族について,次の事項を指導する。
ア 自分の成長と家族や家庭生活とのかかわりについて考えること。
(2) 家庭と家族関係について,次の事項を指導する。
ア 家庭や家族の基本的な機能と,家庭生活と地域とのかかわりについて理解すること。
イ これからの自分と家族とのかかわりに関心をもち,家族関係をよりよくする方法を考えること。
(3) 幼児の生活と家族について,次の事項を指導する。
ア 幼児の発達と生活の特徴を知り,子どもが育つ環境としての家族の役割について理解すること。
イ 幼児の観察や遊び道具の製作などの活動を通して,幼児の遊びの意義について理解すること。
ウ 幼児と触れ合うなどの活動を通して,幼児への関心を深め,かかわり方を工夫できること。
エ 家族又は幼児の生活に関心をもち,課題をもって家族関係又は幼児の生活について工夫し,計画を立てて実践できること。
B 食生活と自立
(1) 中学生の食生活と栄養について,次の事項を指導する。
ア 自分の食生活に関心をもち,生活の中で食事が果たす役割を理解し,健康によい食習慣について考えること。
イ 栄養素の種類と働きを知り,中学生に必要な栄養の特徴について考えること。
(2) 日常食の献立と食品の選び方について,次の事項を指導する。
ア 食品の栄養的特質や中学生の1日に必要な食品の種類と概量について知ること。
イ 中学生の1日分の献立を考えること。
ウ 食品の品質を見分け,用途に応じて選択できること。
(3) 日常食の調理と地域の食文化について,次の事項を指導する。
ア 基礎的な日常食の調理ができること。また,安全と衛生に留意し,食品や調理用具等の適切な管理ができること。
イ 地域の食材を生かすなどの調理を通して,地域の食文化について理解すること。
ウ 食生活に関心をもち,課題をもって日常食又は地域の食材を生かした調理などの活動について工夫し,計画を立てて実践できること。
C 衣生活・住生活と自立
(1) 衣服の選択と手入れについて,次の事項を指導する。
ア 衣服と社会生活とのかかわりを理解し,目的に応じた着用や個性を生かす着用を工夫できること。
イ 衣服の計画的な活用の必要性を理解し,適切な選択ができること。
ウ 衣服の材料や状態に応じた日常着の手入れができること。
(2) 住居の機能と住まい方について,次の事項を指導する。
ア 家族の住空間について考え,住居の基本的な機能について知ること。
イ 家族の安全を考えた室内環境の整え方を知り,快適な住まい方を工夫できること。
(3) 衣生活,住生活などの生活の工夫について,次の事項を指導する。
ア 布を用いた物の製作を通して,生活を豊かにするための工夫ができること。
イ 衣服又は住まいに関心をもち,課題をもって衣生活又は住生活について工夫し,計画を立てて実践できること。
D 身近な消費生活と環境
(1) 家庭生活と消費について,次の事項を指導する。
ア 自分や家族の消費生活に関心をもち,消費者の基本的な権利と責任について理解すること。
イ 販売方法の特徴について知り,生活に必要な物資・サービスの適切な選択,購入及び活用ができること。
(2) 家庭生活と環境について,次の事項を指導する。
ア 自分や家族の消費生活が環境に与える影響について考え,環境に配慮した消費生活について工夫し,実践できること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A家族・家庭と子どもの成長」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1),(2)及び(3)については,相互に関連を図り,実習や観察,ロールプレイングなどの学習活動を中心とするよう留意すること。
イ (2)のアについては,高齢者などの地域の人々とのかかわりについても触れるよう留意すること。
ウ (3)のアについては,幼児期における周囲との基本的な信頼関係や生活習慣の形成の重要性についても扱うこと。(3)のウについては,幼稚園や保育所等の幼児との触れ合いができるよう留意すること。
(2) 内容の「B食生活と自立」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のイについては,水の働きや食物繊維についても触れること。
イ (2)のウについては,主として調理実習で用いる生鮮食品と加工食品の良否や表示を扱うこと。
ウ (3)のアについては,魚,肉,野菜を中心として扱い,基礎的な題材を取り上げること。(3)のイについては,調理実習を中心とし,主として地域又は季節の食材を利用することの意義について扱うこと。また,地域の伝統的な行事食や郷土料理を扱うこともできること。
エ 食に関する指導については,技術・家庭科の特質に応じて,食育の充実に資するよう配慮すること。
(3) 内容の「C衣生活・住生活と自立」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のアについては,和服の基本的な着装を扱うこともできること。(1)のイについては,既製服の表示と選択に当たっての留意事項を扱うこと。(1)のウについては,日常着の手入れは主として洗濯と補修を扱うこと。
イ (2)のアについては,簡単な図などによる住空間の構想を扱うこと。
ウ (3)のアについては, (1)のウとの関連を図り,主として補修の技術を生かしてできる製作品を扱うこと。
(4) 内容の「D身近な消費生活と環境」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 内容の「A家族・家庭と子どもの成長」,「B食生活と自立」又は「C衣生活・住生活と自立」の学習との関連を図り,実践的に学習できるようにすること。
イ (1)については,中学生の身近な消費行動と関連させて扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 技術分野及び家庭分野の授業時数については,3学年間を見通した全体的な指導計画に基づき,いずれかの分野に偏ることなく配当して履修させること。その際,家庭分野の内容の「A家族・家庭と子どもの成長」の(3)のエ,「B食生活と自立」の(3)のウ及び「C衣生活・住生活と自立」の(3)...
(2) 技術分野の内容の「A材料と加工に関する技術」から「D情報に関する技術」並びに家庭分野の内容の「A家族・家庭と子どもの成長」から「D身近な消費生活と環境」の各項目に配当する授業時数及び履修学年については,地域,学校及び生徒の実態等に応じて,各学校において適切に定めること。その...
(3) 各項目及び各項目に示す事項については,相互に有機的な関連を図り,総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。その際,小学校における学習を踏まえ,他教科等との関連を明確にして,系統的・発展的に指導ができるよう配慮すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,技術・家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 各分野の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 基礎的・基本的な知識及び技術を習得し,基本的な概念などの理解を深めるとともに,仕事の楽しさや完成の喜びを体得させるよう,実践的・体験的な学習活動を充実すること。
(2) 生徒が学習した知識及び技術を生活に活用できるよう,問題解決的な学習を充実するとともに,家庭や地域社会との連携を図るようにすること。
3 実習の指導に当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整備するとともに,火気,用具,材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
4 各分野の指導については,衣食住やものづくりなどに関する実習等の結果を整理し考察する学習活動や,生活における課題を解決するために言葉や図表,概念などを用いて考えたり,説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮するものとする。
第9節 外国語
第1 目標 外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う。
第2 各言語の目標及び内容等
英語
1 目標
(1) 初歩的な英語を聞いて話し手の意向などを理解できるようにする。
(2) 初歩的な英語を用いて自分の考えなどを話すことができるようにする。
(3) 英語を読むことに慣れ親しみ,初歩的な英語を読んで書き手の意向などを理解できるようにする。
(4) 英語で書くことに慣れ親しみ,初歩的な英語を用いて自分の考えなどを書くことができるようにする。
2 内容
(1) 言語活動 英語を理解し,英語で表現できる実践的な運用能力を養うため,次の言語活動を3学年間を通して行わせる。
ア 聞くこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 強勢,イントネーション,区切りなど基本的な英語の音声の特徴をとらえ,正しく聞き取ること。
(イ) 自然な口調で話されたり読まれたりする英語を聞いて,情報を正確に聞き取ること。
(ウ) 質問や依頼などを聞いて適切に応じること。
(エ) 話し手に聞き返すなどして内容を確認しながら理解すること。
(オ) まとまりのある英語を聞いて,概要や要点を適切に聞き取ること。
イ 話すこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 強勢,イントネーション,区切りなど基本的な英語の音声の特徴をとらえ,正しく発音すること。
(イ) 自分の考えや気持ち,事実などを聞き手に正しく伝えること。
(ウ) 聞いたり読んだりしたことなどについて,問答したり意見を述べ合ったりなどすること。
(エ) つなぎ言葉を用いるなどのいろいろな工夫をして話を続けること。
(オ) 与えられたテーマについて簡単なスピーチをすること。
ウ 読むこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 文字や符号を識別し,正しく読むこと。
(イ) 書かれた内容を考えながら黙読したり,その内容が表現されるように音読すること。
(ウ) 物語のあらすじや説明文の大切な部分などを正確に読み取ること。
(エ) 伝言や手紙などの文章から書き手の意向を理解し,適切に応じること。
(オ) 話の内容や書き手の意見などに対して感想を述べたり賛否やその理由を示したりなどすることができるよう,書かれた内容や考え方などをとらえること。
エ 書くこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 文字や符号を識別し,語と語の区切りなどに注意して正しく書くこと。
(イ) 語と語のつながりなどに注意して正しく文を書くこと。
(ウ) 聞いたり読んだりしたことについてメモをとったり,感想,賛否やその理由を書いたりなどすること。
(エ) 身近な場面における出来事や体験したことなどについて,自分の考えや気持ちなどを書くこと。
(オ) 自分の考えや気持ちなどが読み手に正しく伝わるように,文と文のつながりなどに注意して文章を書くこと。
(2) 言語活動の取扱い
ア 3学年間を通じ指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
(ア) 実際に言語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの活動を行うとともに,(3)に示す言語材料について理解したり練習したりする活動を行うようにすること。
(イ) 実際に言語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの活動においては,具体的な場面や状況に合った適切な表現を自ら考えて言語活動ができるようにすること。
(ウ) 言語活動を行うに当たり,主として次に示すような言語の使用場面や言語の働きを取り上げるようにすること。
〔言語の使用場面の例〕
a 特有の表現がよく使われる場面
・ あいさつ
・ 自己紹介
・ 電話での応答
・ 買物
・ 道案内
・ 旅行
・ 食事
など
b 生徒の身近な暮らしにかかわる場面
・ 家庭での生活
・ 学校での学習や活動
・ 地域の行事
など
〔言語の働きの例〕
a コミュニケーションを円滑にする
・ 呼び掛ける
・ 相づちをうつ
・ 聞き直す
・ 繰り返す
など
b 気持ちを伝える
・ 礼を言う
・ 苦情を言う
・ 褒める
・ 謝る
など
c 情報を伝える
・ 説明する
・ 報告する
・ 発表する
・ 描写する
など
d 考えや意図を伝える
・ 申し出る
・ 約束する
・ 意見を言う
・ 賛成する
・ 反対する
・ 承諾する
・ 断る
など
e 相手の行動を促す
・ 質問する
・ 依頼する
・ 招待する
など
イ 生徒の学習段階を考慮して各学年の指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
(ア) 第1学年における言語活動 小学校における外国語活動を通じて音声面を中心としたコミュニケーションに対する積極的な態度などの一定の素地が育成されることを踏まえ,身近な言語の使用場面や言語の働きに配慮した言語活動を行わせること。その際,自分の気持ちや身の回りの出来事などの中から簡...
(イ) 第2学年における言語活動 第1学年の学習を基礎として,言語の使用場面や言語の働きを更に広げた言語活動を行わせること。その際,第1学年における学習内容を繰り返して指導し定着を図るとともに,事実関係を伝えたり,物事について判断したりした内容などの中からコミュニケーションを図れる...
(ウ) 第3学年における言語活動 第2学年までの学習を基礎として,言語の使用場面や言語の働きを一層広げた言語活動を行わせること。その際,第1学年及び第2学年における学習内容を繰り返して指導し定着を図るとともに,様々な考えや意見などの中からコミュニケーションが図れるような話題を取り上...
(3) 言語材料 (1)の言語活動は,以下に示す言語材料の中から,1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。
ア 音声
(ア) 現代の標準的な発音
(イ) 語と語の連結による音変化
(ウ) 語,句,文における基本的な強勢
(エ) 文における基本的なイントネーション
(オ) 文における基本的な区切り
イ 文字及び符号
(ア) アルファベットの活字体の大文字及び小文字
(イ) 終止符,疑問符,コンマ,引用符,感嘆符など基本的な符号
ウ 語,連語及び慣用表現
(ア) 1200語程度の語
(イ) in front of,a lot of,get up,look for などの連語
(ウ) excuse me,I see,I'm sorry,thank you,you're welcome,for exampleなどの慣用表現
エ 文法事項
(ア) 文
a 単文,重文及び複文
b 肯定及び否定の平叙文
c 肯定及び否定の命令文
d 疑問文のうち,動詞で始まるもの,助動詞(can,do,mayなど)で始まるもの,orを含むもの及び疑問詞(how,what,when,where,which,who,whose,why)で始まるもの
(イ) 文構造
a [主語+動詞]
b [主語+動詞+補語]のうち,
(a) 主語+be動詞+{名詞‖代名詞‖形容詞}
(b) 主語+be動詞以外の動詞+{名詞‖形容詞}
c [主語+動詞+目的語]のうち,
(a) 主語+動詞+{名詞‖代名詞‖動名詞‖to不定詞‖how(など)to不定詞‖thatで始まる節}
(b) 主語+動詞+whatなどで始まる節
d [主語+動詞+間接目的語+直接目的語]のうち,
(a) 主語+動詞+間接目的語+{名詞‖代名詞}
(b) 主語+動詞+間接目的語+how(など)to不定詞
e [主語+動詞+目的語+補語]のうち,
(a) 主語+動詞+目的語+{名詞‖形容詞}
f その他
(a) There+be動詞+~
(b) It+be動詞+~(+for~)+to不定詞
(c) 主語+tell,wantなど+目的語+to不定詞
(ウ) 代名詞
a 人称,指示,疑問,数量を表すもの
b 関係代名詞のうち,主格のthat,which,who及び目的格のthat,whichの制限的用法
(エ) 動詞の時制など 現在形,過去形,現在進行形,過去進行形,現在完了形及び助動詞などを用いた未来表現
(オ) 形容詞及び副詞の比較変化
(カ) to不定詞
(キ) 動名詞
(ク) 現在分詞及び過去分詞の形容詞としての用法
(ケ) 受け身
(4) 言語材料の取扱い
ア 発音と綴《つづ》りとを関連付けて指導すること。
イ 文法については,コミュニケーションを支えるものであることを踏まえ,言語活動と効果的に関連付けて指導すること。
ウ (3)のエの文法事項の取扱いについては,用語や用法の区別などの指導が中心とならないよう配慮し,実際に活用できるように指導すること。また,語順や修飾関係などにおける日本語との違いに留意して指導すること。
エ 英語の特質を理解させるために,関連のある文法事項はまとまりをもって整理するなど,効果的な指導ができるよう工夫すること。
3 指導計画の作成と内容の取扱い
(1) 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 各学校においては,生徒や地域の実態に応じて,学年ごとの目標を適切に定め,3学年間を通して英語の目標の実現を図るようにすること。
イ 2の(3)の言語材料については,学習段階に応じて平易なものから難しいものへと段階的に指導すること。
ウ 音声指導に当たっては,日本語との違いに留意しながら,発音練習などを通して2の(3)のアに示された言語材料を継続して指導すること。 また,音声指導の補助として,必要に応じて発音表記を用いて指導することもできること。
エ 文字指導に当たっては,生徒の学習負担に配慮し筆記体を指導することもできること。
オ 語,連語及び慣用表現については,運用度の高いものを用い,活用することを通して定着を図るようにすること。
カ 辞書の使い方に慣れ,活用できるようにすること。
キ 生徒の実態や教材の内容などに応じて,コンピュータや情報通信ネットワーク,教育機器などを有効活用したり,ネイティブ・スピーカーなどの協力を得たりなどすること。 また,ペアワーク,グループワークなどの学習形態を適宜工夫すること。
(2) 教材は,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどのコミュニケーション能力を総合的に育成するため,実際の言語の使用場面や言語の働きに十分配慮したものを取り上げるものとする。その際,英語を使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史,...
ア 多様なものの見方や考え方を理解し,公正な判断力を養い豊かな心情を育てるのに役立つこと。
イ 外国や我が国の生活や文化についての理解を深めるとともに,言語や文化に対する関心を高め,これらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ウ 広い視野から国際理解を深め,国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
その他の外国語 その他の外国語については,英語の目標及び内容等に準じて行うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 小学校における外国語活動との関連に留意して,指導計画を適切に作成するものとする。
2 外国語科においては,英語を履修させることを原則とする。
3 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,外国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
第3章 特別の教科 道徳
第1 目標 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意...
第2 内容 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては,以下に示す項目について扱う。
A 主として自分自身に関すること
[自主,自律,自由と責任] 自律の精神を重んじ,自主的に考え,判断し,誠実に実行してその結果に責任をもつこと。
[節度,節制] 望ましい生活習慣を身に付け,心身の健康の増進を図り,節度を守り節制に心掛け,安全で調和のある生活をすること。
[向上心,個性の伸長] 自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
[希望と勇気,克己と強い意志] より高い目標を設定し,その達成を目指し,希望と勇気をもち,困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
[真理の探究,創造] 真実を大切にし,真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。
B 主として人との関わりに関すること
[思いやり,感謝] 思いやりの心をもって人と接するとともに,家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んでそれに応え,人間愛の精神を深めること。
[礼儀] 礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとること。
[友情,信頼] 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合うとともに,異性についての理解を深め,悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
[相互理解,寛容] 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解し,寛容の心をもって謙虚に他に学び,自らを高めていくこと。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
[遵法精神,公徳心] 法やきまりの意義を理解し,それらを進んで守るとともに,そのよりよい在り方について考え,自他の権利を大切にし,義務を果たして,規律ある安定した社会の実現に努めること。
[公正,公平,社会正義] 正義と公正さを重んじ,誰に対しても公平に接し,差別や偏見のない社会の実現に努めること。
[社会参画,公共の精神] 社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め,公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。
[勤労] 勤労の尊さや意義を理解し,将来の生き方について考えを深め,勤労を通じて社会に貢献すること。
[家族愛,家庭生活の充実] 父母,祖父母を敬愛し,家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。
[よりよい学校生活,集団生活の充実] 教師や学校の人々を敬愛し,学級や学校の一員としての自覚をもち,協力し合ってよりよい校風をつくるとともに,様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。
[郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛する態度] 郷土の伝統と文化を大切にし,社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め,地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し,進んで郷土の発展に努めること。
[我が国の伝統と文化の尊重,国を愛する態度] 優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに,日本人としての自覚をもって国を愛し,国家及び社会の形成者として,その発展に努めること。
[国際理解,国際貢献] 世界の中の日本人としての自覚をもち,他国を尊重し,国際的視野に立って,世界の平和と人類の発展に寄与すること。
D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
[生命の尊さ] 生命の尊さについて,その連続性や有限性なども含めて理解し,かけがえのない生命を尊重すること。
[自然愛護] 自然の崇高さを知り,自然環境を大切にすることの意義を理解し,進んで自然の愛護に努めること。
[感動,畏敬の念] 美しいものや気高いものに感動する心をもち,人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。
[よりよく生きる喜び] 人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生きようとする心があることを理解し,人間として生きることに喜びを見いだすこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 各学校においては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら,道徳科の年間指導計画を作成するものとする。なお,作成に当たっては,第2に示す内容項目について,各学年において全て取り上げることとする。その際,生徒や学校の実態に応じ,3学...
2 第2の内容の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学級担任の教師が行うことを原則とするが,校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2) 道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう,計画的・発展的な指導を行うこと。特に,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや,生徒や学校の実態等を踏まえて...
(3) 生徒が自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。その際,道徳性を養うことの意義について,生徒自らが考え,理解し,主体的に学習に取り組むことができるようにすること。また,発達の段階を考慮し,人間と...
(4) 生徒が多様な感じ方や考え方に接する中で,考えを深め,判断し,表現する力などを育むことができるよう,自分の考えを基に討論したり書いたりするなどの言語活動を充実すること。その際,様々な価値観について多面的・多角的な視点から振り返って考える機会を設けるとともに,生徒が多様な見方や...
(5) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,指導のねらいに即して,問題解決的な学習,道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど,指導方法を工夫すること。その際,それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また,特別活動等における多様な...
(6) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連を踏まえつつ,情報モラルに関する指導を充実すること。また,例えば,科学技術の発展と生命倫理との関係や社会の持続可能な発展などの現代的な課題の取扱いにも留意し,身近な社会的課題を自分との関係において考え,その解決に向けて...
(7) 道徳科の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々,各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 生徒の発達の段階や特性,地域の実情等を考慮し,多様な教材の活用に努めること。特に,生命の尊厳,社会参画,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし,生徒が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり, 感動を覚えたりするような充実した教...
(2) 教材については,教育基本法や学校教育法その他の法令に従い,次の観点に照らし適切と判断されるものであること
ア 生徒の発達の段階に即し,ねらいを達成するのにふさわしいものであること。
イ 人間尊重の精神にかなうものであって,悩みや葛藤等の心の揺れ,人間関係の理解等の課題も含め,生徒が深く考えることができ,人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること。
ウ 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には,特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること。
4 生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとする。
第4章 総合的な学習の時間
第1 目標 横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考える...
第2 各学校において定める目標及び内容
1 目標 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。
2 内容 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。その際,小学校における総合的な学習の時間の取組を踏まえること。
(2) 地域や学校,生徒の実態等に応じて,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習,探究的な学習,生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うこと。
(3) 第2の各学校において定める目標及び内容については,日常生活や社会とのかかわりを重視すること。
(4) 育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
(5) 学習活動については,学校の実態に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,生徒の興味・関心に基づく課題についての学習活動,地域や学校の特色に応じた課題についての学習活動,職業や自己の将来に関する学習活動などを行うこと。
(6) 各教科,道徳科及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
(7) 各教科,道徳科及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(8) 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めること。
(9) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら, 第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学校において定める目標及び内容に基づき,生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。
(2) 問題の解決や探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。
(3) 自然体験や職場体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。
(4) 体験活動については,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえ,問題の解決や探究活動の過程に適切に位置付けること。
(5) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。
(6) 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
(7) 職業や自己の将来に関する学習を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,自己を理解し,将来の生き方を考えるなどの学習活動が行われるようにすること。
第5章 特別活動
第1 目標 望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,人間としての生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う。
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
〔学級活動〕
1 目標 学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。
2 内容 学級を単位として,学級や学校の生活の充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応に資する活動を行うこと。
(1) 学級や学校の生活づくり
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理
ウ 学校における多様な集団の生活の向上
(2) 適応と成長及び健康安全
ア 思春期の不安や悩みとその解決
イ 自己及び他者の個性の理解と尊重
ウ 社会の一員としての自覚と責任
エ 男女相互の理解と協力
オ 望ましい人間関係の確立
カ ボランティア活動の意義の理解と参加
キ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成
ク 性的な発達への適応
ケ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
(3) 学業と進路
ア 学ぶことと働くことの意義の理解
イ 自主的な学習態度の形成と学校図書館の利用
ウ 進路適性の吟味と進路情報の活用
エ 望ましい勤労観・職業観の形成
オ 主体的な進路の選択と将来設計
〔生徒会活動〕
1 目標 生徒会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団や社会の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容 学校の全生徒をもって組織する生徒会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。
(1) 生徒会の計画や運営
(2) 異年齢集団による交流
(3) 生徒の諸活動についての連絡調整
(4) 学校行事への協力
(5) ボランティア活動などの社会参加
〔学校行事〕
1 目標 学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容 全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
(1) 儀式的行事 学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。
(2)文化的行事 平素の学習活動の成果を発表し,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。
(3) 健康安全・体育的行事 心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵(かん)養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
(4) 旅行・集団宿泊的行事 平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。
(5) 勤労生産・奉仕的行事 勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,職場体験などの職業や進路にかかわる啓発的な体験が得られるようにするとともに,共に助け合って生きることの喜びを体得し,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達の段階などを考慮し,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳科及び総合的な学習の時間などの指導との関連を図るととも...
(2) 生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を密にし,適切に実施できるようにすること。
(3) 学校生活への適応や人間関係の形成,進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を充実するよう〔学級活動〕等の指導を工夫すること。特に,中学校入学当初においては,個々の生徒が学校生活に適応するとともに,希望と目標をもって生活をできるよう工夫すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 〔学級活動〕及び〔生徒会活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,生徒の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるなどの話合い活動や...
(2) 〔学級活動〕については,学校,生徒の実態及び第1章総則の第4の3の(2)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。また,個々の生徒についての理...
(3) 〔学校行事〕については,学校や地域及び生徒の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体験などの体験活動を充実すると...
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
第1章 総則
第1款 教育課程編成の一般方針
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態,課程や学科の特色,生徒の心身の発達の段階及び特性等を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成する...
2 学校における道徳教育は,生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達の段階にあることを考慮し人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより,その充実を図るものとし,各教科に属する科目,総合的な学習の時間及び特別...
3 学校における体育・健康に関する指導は,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科はもとより,家庭科,特別活動など...
4 学校においては,地域や学校の実態等に応じて,就業やボランティアにかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし,勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神の涵《かん》養に資するものとする。
第2款 各教科・科目及び単位数等
1 卒業までに履修させる単位数等 各学校においては,卒業までに履修させる下記2から5までに示す各教科に属する科目及びその単位数,総合的な学習の時間の単位数並びに特別活動及びその授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)及び...
2 各学科に共通する各教科・科目及び総合的な学習の時間並びに標準単位数 各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる各教科・科目及び総合的な学習の時間並びにそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及び総合的な学習の時間並びにそれらの単位数について適...
【摘要】教科等(科目:標準単位数) 国語(国語総合:4,国語表現:3,現代文A:2,現代文B:4,古典A:2,古典B:4) 地理歴史(世界史A:2,世界史B:4,日本史A:2,日本史B:4,地理A:2,地理B:4) 公民(現代社会:2,倫理:2,政治・経済:2) 数学(数学Ⅰ:3,...
3 主として専門学科において開設される各教科・科目 各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる主として専門学科(専門教育を主とする学科をいう。以下同じ。)において開設される各教科・科目及び設置者の定めるそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及び...
農業(農業と環境,課題研究,総合実習,農業情報処理,作物,野菜,果樹,草花,畜産,農業経営,農業機械,食品製造,食品化学,微生物利用,植物バイオテクノロジー,動物バイオテクノロジー,農業経済,食品流通,森林科学,森林経営,林産物利用,農業土木設計,農業土木施工,水循環,造園計画,造...
工業(工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業数理基礎,情報技術基礎,材料技術基礎,生産システム技術,工業技術英語,工業管理技術,環境工学基礎,機械工作,機械設計,原動機,電子機械,電子機械応用,自動車工学,自動車整備,電気基礎,電気機器,電力技術,電子技術,電子回路,電子計測制御...
商業(ビジネス基礎,課題研究,総合実践,ビジネス実務,マーケティング,商品開発,広告販売促進,ビジネス経済,ビジネス経済応用,経済活動と法,簿記,財務会計Ⅰ,財務会計Ⅱ,原価計算,管理会計,情報処理,ビジネス情報,電子商取引,プログラミング,ビジネス情報管理)
水産(水産海洋基礎,課題研究,総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作,電気理論,移動体通信工学,海洋通信技術,資源増殖,海洋生物,海洋環境,小型船舶,食品製造,食品管理,水産流通,ダイビング,マリンスポーツ)
家庭(生活産業基礎,課題研究,生活産業情報,消費生活,子どもの発達と保育,子ども文化,生活と福祉,リビングデザイン,服飾文化,ファッション造形基礎,ファッション造形,ファッションデザイン,服飾手芸,フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品,食品衛生,公衆衛生)
看護(基礎看護,人体と看護,疾病と看護,生活と看護,成人看護,老年看護,精神看護,在宅看護,母性看護,小児看護,看護の統合と実践,看護臨地実習,看護情報活用)
情報(情報産業と社会,課題研究,情報の表現と管理,情報と問題解決,情報テクノロジー,アルゴリズムとプログラム,ネットワークシステム,データベース,情報システム実習,情報メディア,情報デザイン,表現メディアの編集と表現,情報コンテンツ実習)
福祉(社会福祉基礎,介護福祉基礎,コミュニケーション技術,生活支援技術,介護過程,介護総合演習,介護実習,こころとからだの理解,福祉情報活用)
理数(理数数学Ⅰ,理数数学Ⅱ,理数数学特論,理数物理,理数化学,理数生物,理数地学,課題研究)
体育(スポーツ概論,スポーツⅠ,スポーツⅡ,スポーツⅢ,スポーツⅣ,スポーツⅤ,スポーツⅥ,スポーツ総合演習)
音楽(音楽理論,音楽史,演奏研究,ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,鑑賞研究)
美術(美術概論,美術史,素描,構成,絵画,版画,彫刻,ビジュアルデザイン,クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環境造形,鑑賞研究)
英語(総合英語,英語理解,英語表現,異文化理解,時事英語)
4 学校設定科目 学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科について,これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」という。)を設けることができる。この場合において,学校設定科目の名称,目標,...
5 学校設定教科
(1) 学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科以外の教科(以下「学校設定教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において,学校設定教科及び当該教科に関する科目の名称...
(2) 学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標,内容,単位数等を各学校において定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとと...
ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観,職業観の育成
イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成
第3款 各教科・科目の履修等
1 各学科に共通する必履修教科・科目及び総合的な学習の時間
(1) すべての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,第2款の2に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,「国語総合」については3単位又は2...
ア 国語のうち「国語総合」
イ 地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」,「日本史B」,「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
ウ 公民のうち「現代社会」又は「倫理」・「政治・経済」
エ 数学のうち「数学Ⅰ」
オ 理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目(うち1科目は「科学と人間生活」とする。)又は「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから3科目
カ 保健体育のうち「体育」及び「保健」
キ 芸術のうち「音楽Ⅰ」,「美術Ⅰ」,「工芸Ⅰ」及び「書道Ⅰ」のうちから1科目
ク 外国語のうち「コミュニケーション英語Ⅰ」(英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。)
ケ 家庭のうち「家庭基礎」,「家庭総合」及び「生活デザイン」のうちから1科目
コ 情報のうち「社会と情報」及び「情報の科学」のうちから1科目
(2) 総合的な学習の時間については,すべての生徒に履修させるものとし,その単位数は,第2款の2に標準単位数として示された単位数の下限を下らないものとする。ただし,特に必要がある場合には,その単位数を2単位とすることができる。
2 専門学科における各教科・科目の履修 専門学科における各教科・科目の履修については,上記1のほか次のとおりとする。
(1) 専門学科においては,専門教科・科目(第2款の3の表に掲げる各教科・科目,同表の教科に属する学校設定科目及び専門教育に関する学校設定教科に関する科目をいう。以下同じ。)について,すべての生徒に履修させる単位数は,25単位を下らないこと。ただし,商業に関する学科においては,上記...
(2) 専門教科・科目の履修によって,上記1の必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目の履修をもって,必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。
(3) 職業教育を主とする専門学科においては,総合的な学習の時間の履修により,農業,工業,商業,水産,家庭若しくは情報の各教科に属する「課題研究」,「看護臨地実習」又は「介護総合演習」(以下この項において「課題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な...
3 総合学科における各教科・科目の履修等 総合学科における各教科・科目の履修等については,上記1のほか次のとおりとする。
(1) 総合学科においては,第2款の5の(2)に掲げる「産業社会と人間」をすべての生徒に原則として入学年次に履修させるものとし,標準単位数は2~4単位とすること。
(2) 総合学科においては,学年による教育課程の区分を設けない課程(以下「単位制による課程」という。)とすることを原則とするとともに,「産業社会と人間」及び専門教科・科目を合わせて25単位以上設け,生徒が多様な各教科・科目から主体的に選択履修できるようにすること。その際,生徒が選択...
第4款 各教科・科目,総合的な学習の時間及び特別活動の授業時数等
1 全日制の課程における各教科・科目及びホームルーム活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科・科目の授業を特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。)に行うことができる。
2 全日制の課程における週当たりの授業時数は,30単位時間を標準とする。ただし,必要がある場合には,これを増加することができる。
3 定時制の課程における授業日数の季節的配分又は週若しくは1日当たりの授業時数については,生徒の勤労状況と地域の諸事情等を考慮して,適切に定めるものとする。
4 ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間以上とするものとする。
5 生徒会活動及び学校行事については,学校の実態に応じて,それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。
6 定時制の課程において,特別の事情がある場合には,ホームルーム活動の授業時数の一部を減じ,又はホームルーム活動及び生徒会活動の内容の一部を行わないものとすることができる。
7 各教科・科目,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科・科目等」という。)のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科・科目等の授業時数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。なお,10分間程度の短い時間を単位として特定の...
8 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第5款 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項
1 選択履修の趣旨を生かした適切な教育課程編成 教育課程の編成に当たっては,生徒の特性,進路等に応じた適切な各教科・科目の履修ができるようにし,このため,多様な各教科・科目を設け生徒が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また,教育課程の類型を設け,そのいずれかの...
2 各教科・科目等の内容等の取扱い
(1) 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において必要がある場合には,こ...
(2) 第2章以下に示す各教科・科目及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
(3) 学校においては,あらかじめ計画して,各教科・科目の内容及び総合的な学習の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して指導することができる。
(4) 学校においては,特に必要がある場合には,第2章及び第3章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で,各教科・科目の内容に関する事項について,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。
3 指導計画の作成に当たって配慮すべき事項 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科・科目等について相互の関連を図り,発展的,系統的な指導ができるようにすること。
(2) 各教科・科目の指導内容については,各事項のまとめ方及び重点の置き方に適切な工夫を加えて,効果的な指導ができるようにすること。
(3) 学校や生徒の実態等に応じ,必要がある場合には,例えば次のような工夫を行い,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るようにすること。
ア 各教科・科目の指導に当たり,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けること。
イ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図りながら,必履修教科・科目の内容を十分に習得させることができるよう,その単位数を標準単位数の標準の限度を超えて増加して配当すること。
ウ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることを目標とした学校設定科目等を履修させた後に,必履修教科・科目を履修させるようにすること。
(4) 全教師が協力して道徳教育を展開するため,第1款の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,指導の方針や重点を明確にして,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について,その全体計画を作成すること。
4 職業教育に関して配慮すべき事項
(1) 普通科においては,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,必要に応じて,適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。
(2) 職業教育を主とする専門学科においては,次の事項に配慮するものとする。
ア 職業に関する各教科・科目については,実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。
イ 生徒の実態を考慮し,職業に関する各教科・科目の履修を容易にするため特別な配慮が必要な場合には,各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し,その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように取り扱い,また,主として実験・実習によって指導するなどの工夫をこらすよ...
(3) 学校においては,キャリア教育を推進するために,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,地域や産業界等との連携を図り,産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験の機会を積極的に設けるとともに,地域や産業界等の人々の協力を積極的に得るよう配慮するものとする。...
(4) 職業に関する各教科・科目については,次の事項に配慮するものとする。
ア 職業に関する各教科・科目については,就業体験をもって実習に替えることができること。この場合,就業体験は,その各教科・科目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画されるものであることを要すること。
イ 農業,水産及び家庭に関する各教科・科目の指導に当たっては,ホームプロジェクト並びに学校家庭クラブ及び学校農業クラブなどの活動を活用して,学習の効果を上げるよう留意すること。この場合,ホームプロジェクトについては,その各教科・科目の授業時数の10分の2以内をこれに充てることができ...
ウ 定時制及び通信制の課程において,職業に関する各教科・科目を履修する生徒が,現にその各教科・科目と密接な関係を有する職業(家事を含む。)に従事している場合で,その職業における実務等が,その各教科・科目の一部を履修した場合と同様の成果があると認められるときは,その実務等をもってその...
5 教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項 以上のほか,次の事項について配慮するものとする。
(1) 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒の思考力,判断力,表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め,言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え,生徒の言語活動を充実すること。
(2) 学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸長を図ること。また,生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,ガイダンスの機能の...
(3) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め,生徒が主体的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう,生徒指導の充実を図ること。
(4) 生徒が自己の在り方生き方を考え,主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行い,キャリア教育を推進すること。
(5) 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること。
(6) 各教科・科目等の指導に当たっては,教師間の連携協力を密にするなど指導体制を確立するとともに,学校や生徒の実態に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,教師間の協力的な指導,生徒の学習内容の習熟の程度等に応じた弾力的な学級の編成など指導方法や指導体制を工夫改善し,個に応...
(7) 学習の遅れがちな生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い,生徒の実態に応じ,例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど,指導内容や指導方法を工夫すること。
(8) 障害のある生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行うとともに,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉,労働等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどによ...
(9) 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなど適切な指導を行うこと。
(10) 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ実践的,主体的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。...
(11) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(12) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(13) 生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵《かん》養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,地域や学校の実態に応じ,地域の人々の協...
(14) 学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,高等学校間や中学校,特別支援学校及び大学などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒などとの交流及び共同学習や高齢者などとの交...
第6款 単位の修得及び卒業の認定
1 各教科・科目及び総合的な学習の時間の単位の修得の認定
(1) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(2) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な学習の時間を履修し,その成果が第4章に定める目標からみて満足できると認められる場合には,総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(3) 学校においては,生徒が1科目又は総合的な学習の時間を2以上の年次にわたって分割履修したときは,各年次ごとにその各教科・科目又は総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定することを原則とする。また,単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。
2 卒業までに修得させる単位数 学校においては,卒業までに修得させる単位数を定め,校長は,当該単位数を修得した者で,特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて,高等学校の全課程の修了を認定するものとする。この場合,卒業までに修得させる単位数は,74単位以上...
3 各学年の課程の修了の認定 学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする。
第7款 通信制の課程における教育課程の特例 通信制の課程における教育課程については,第1款から第6款まで(第4款,第5款の1並びに第5款の4の(4)のア及びイを除く。)に定めるところによるほか,次に定めるところによる。
1 各教科・科目の添削指導の回数及び面接指導の単位時間(1単位時間は,50分として計算するものとする。以下同じ。)数の標準は,1単位につき次の表のとおりとするほか,学校設定教科に関する科目のうち専門教科・科目以外のものについては,各学校が定めるものとする。
国語,地理歴史,公民及び数学に属する科目(添削指導3回,面接指導1(単位時間)) 理科に属する科目(添削指導3回,面接指導4(単位時間)) 保健体育に属する科目のうち「体育」(添削指導1回,面接指導5(単位時間)) 保健体育に属する科目のうち「保健」(添削指導3回,面接指導1(単位...
2 総合的な学習の時間の添削指導の回数及び面接指導の単位時間数については,各学校において,学習活動に応じ適切に定めるものとする。
3 面接指導の授業の1単位時間は,各学校において,各教科・科目の面接指導の単位時間数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。
4 学校が,その指導計画に,各教科・科目又は特別活動について計画的かつ継続的に行われるラジオ放送,テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習を取り入れた場合で,生徒がこれらの方法により学習し,報告課題の作成等により,その成果が満足できると認められるときは,その生徒について,...
5 特別活動については,ホームルーム活動を含めて,各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導するものとする。なお,特別の事情がある場合には,ホームルーム活動及び生徒会活動の内容の一部を行わないものとすることができる。
第2章 各学科に共通する各教科
第1節 国語
第1款 目標 国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を深め,国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 国語総合
1 目標 国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を深め,国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 次の事項について指導する。
ア 話題について様々な角度から検討して自分の考えをもち,根拠を明確にするなど論理の構成や展開を工夫して意見を述べること。
イ 目的や場に応じて,効果的に話したり的確に聞き取ったりすること。
ウ 課題を解決したり考えを深めたりするために,相手の立場や考えを尊重し,表現の仕方や進行の仕方などを工夫して話し合うこと。
エ 話したり聞いたり話し合ったりしたことの内容や表現の仕方について自己評価や相互評価を行い,自分の話し方や言葉遣いに役立てるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 状況に応じた話題を選んでスピーチしたり,資料に基づいて説明したりすること。
イ 調査したことなどをまとめて報告や発表をしたり,内容や表現の仕方を吟味しながらそれらを聞いたりすること。
ウ 反論を想定して発言したり疑問点を質問したりしながら,課題に応じた話合いや討論などを行うこと。
B 書くこと
(1) 次の事項について指導する。
ア 相手や目的に応じて題材を選び,文章の形態や文体,語句などを工夫して書くこと。
イ 論理の構成や展開を工夫し,論拠に基づいて自分の考えを文章にまとめること。
ウ 対象を的確に説明したり描写したりするなど,適切な表現の仕方を考えて書くこと。
エ 優れた表現に接してその条件を考えたり,書いた文章について自己評価や相互評価を行ったりして,自分の表現に役立てるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 情景や心情の描写を取り入れて,詩歌をつくったり随筆などを書いたりすること。
イ 出典を明示して文章や図表などを引用し,説明や意見などを書くこと。
ウ 相手や目的に応じた語句を用い,手紙や通知などを書くこと。
C 読むこと
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章の内容や形態に応じた表現の特色に注意して読むこと。
イ 文章の内容を叙述に即して的確に読み取ったり,必要に応じて要約や詳述をしたりすること。
ウ 文章に描かれた人物,情景,心情などを表現に即して読み味わうこと。
エ 文章の構成や展開を確かめ,内容や表現の仕方について評価したり,書き手の意図をとらえたりすること。
オ 幅広く本や文章を読み,情報を得て用いたり,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにしたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 文章を読んで脚本にしたり,古典を現代の物語に書き換えたりすること。
イ 文字,音声,画像などのメディアによって表現された情報を,課題に応じて読み取り,取捨選択してまとめること。
ウ 現代の社会生活で必要とされている実用的な文章を読んで内容を理解し,自分の考えをもって話し合うこと。
エ 様々な文章を読み比べ,内容や表現の仕方について,感想を述べたり批評する文章を書いたりすること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 言語文化の特質や我が国の文化と外国の文化との関係について気付き,伝統的な言語文化への興味・関心を広げること。
(イ) 文語のきまり,訓読のきまりなどを理解すること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 国語における言葉の成り立ち,表現の特色及び言語の役割などを理解すること。
(イ) 文や文章の組立て,語句の意味,用法及び表記の仕方などを理解し,語彙《い》を豊かにすること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 常用漢字の読みに慣れ,主な常用漢字が書けるようになること。
3 内容の取扱い
(1) 総合的な言語能力を養うため,内容のA,B,C及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕について相互に密接な関連を図り,効果的に指導するようにする。
(2) 内容のAに関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 話すこと・聞くことを主とする指導には15~25単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
イ 口語のきまり,言葉遣い,敬語の用法などについて,必要に応じて扱うこと。
(3) 内容のBに関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 書くことを主とする指導には30~40単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
(4) 内容のCに関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 古典を教材とした授業時数と近代以降の文章を教材とした授業時数との割合は,おおむね同等とすることを目安として,生徒の実態に応じて適切に定めること。なお,古典における古文と漢文との割合は,一方に偏らないようにすること。
イ 文章を読み深めるため,音読,朗読,暗唱などを取り入れること。
ウ 自分の読書生活を振り返り,読書の幅を広げ,読書の習慣を養うこと。
(5) 内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕については,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校の指導の上に立って,内容のA,B及びCの指導の中で深めること。
イ (1)のアの(イ)については,読むことの指導に即して行うこと。
(6) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,話すこと・聞くことの能力,書くことの能力,読むことの能力などを偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成をねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,内容のA,B及びCのそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材...
イ 古典の教材については,表記を工夫し,注釈,傍注,解説,現代語訳などを適切に用い,特に漢文については訓点を付け,必要に応じて書き下し文を用いるなど理解しやすいようにすること。また,古典に関連する近代以降の文章を含めること。
ウ 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
(ア) 言語文化に対する関心や理解を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
(イ) 日常の言葉遣いなど言語生活に関心をもち,伝え合う力を高めるのに役立つこと。
(ウ) 思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨くのに役立つこと。
(エ) 情報を活用して,公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
(オ) 科学的,論理的な見方や考え方を養い,視野を広げるのに役立つこと。
(カ) 生活や人生について考えを深め,人間性を豊かにし,たくましく生きる意志を培うのに役立つこと。
(キ) 人間,社会,自然などに広く目を向け,考えを深めるのに役立つこと。
(ク) 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
(ケ) 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を高めるのに役立つこと。
第2 国語表現
1 目標 国語で適切かつ効果的に表現する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を伸ばし,言語感覚を磨き,進んで表現することによって国語の向上や社会生活の充実を図る態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 話題や題材に応じて情報を収集し,分析して,自分の考えをまとめたり深めたりすること。
イ 相手の立場や異なる考えを尊重して課題を解決するために,論拠の妥当性を判断しながら話し合うこと。
ウ 主張や感動などが効果的に伝わるように,論理の構成や描写の仕方などを工夫して書くこと。
エ 目的や場に応じて,言葉遣いや文体など表現を工夫して効果的に話したり書いたりすること。
オ 様々な表現についてその効果を吟味したり,書いた文章を互いに読み合って批評したりして,自分の表現や推敲《こう》に役立てるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
カ 国語における言葉の成り立ち,表現の特色及び言語の役割などについて理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 様々な考え方ができる事柄について,幅広い情報を基に自分の考えをまとめ,発表したり討論したりすること。
イ 詩歌をつくったり小説などを書いたり,鑑賞したことをまとめたりすること。
ウ 関心をもった事柄について調査したことを整理して,解説や論文などにまとめること。
エ 相手や目的に応じて,紹介,連絡,依頼などのための話をしたり文章を書いたりすること。
オ 話題や題材などについて調べてまとめたことや考えたことを伝えるための資料を,図表や画像なども用いて編集すること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の実態等に応じて,話すこと・聞くこと又は書くことのいずれかに重点を置いて指導することができる。
(2) 内容の(1)のエについては,発声や発音の仕方,話す速度,文章の形式なども必要に応じて扱うようにする。
(3) 内容の(1)のカについては,文や文章,語句,語彙《い》及び文語の表現法なども必要に応じて関連的に扱うようにする。また,現代社会における言語生活の在り方について考えさせるようにする。
(4) 教材は,思考力や想像力を伸ばす学習活動に役立つもの,情報を活用して表現する学習活動に役立つもの,歴史的,国際的な視野から現代の国語を考える学習活動に役立つものを取り上げるようにする。
第3 現代文A
1 目標 近代以降の様々な文章を読むことによって,我が国の言語文化に対する理解を深め,生涯にわたって読書に親しみ,国語の向上や社会生活の充実を図る態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章に表れたものの見方,感じ方,考え方を読み取り,人間,社会,自然などについて考察すること。
イ 文章特有の表現を味わったり,語句の用いられ方について理解を深めたりすること。
ウ 文章を読んで,言語文化の特質や我が国の文化と外国の文化との関係について理解すること。
エ 近代以降の言語文化についての課題を設定し,様々な資料を読んで探究して,言語文化について理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 文章の調子などを味わいながら音読や朗読をしたり,印象に残った内容や場面について文章中の表現を根拠にして説明したりすること。
イ 外国の文化との関係なども視野に入れて,文章の内容や表現の特色を調べ,発表したり論文にまとめたりすること。
ウ 図書館を利用して同じ作者や同じテーマの文章を読み比べ,それについて話し合ったり批評したりすること。
3 内容の取扱い
(1) 文章を読む楽しさを味わったり,近代以降の言語文化に触れることの意義を理解したりすることを重視し,読書への関心を高め,読書の習慣を付けるようにする。
(2) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,特定の文章や作品,文種や形態などについて,まとまりのあるものを中心として適切に取り上げること。
イ 教材は,近代以降の様々な種類の文章とすること。また,必要に応じて実用的な文章,翻訳の文章,近代以降の文語文及び演劇や映画の作品などを用いることができること。
第4 現代文B
1 目標 近代以降の様々な文章を的確に理解し,適切に表現する能力を高めるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を深め,進んで読書することによって,国語の向上を図り人生を豊かにする態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章を読んで,構成,展開,要旨などを的確にとらえ,その論理性を評価すること。
イ 文章を読んで,書き手の意図や,人物,情景,心情の描写などを的確にとらえ,表現を味わうこと。
ウ 文章を読んで批評することを通して,人間,社会,自然などについて自分の考えを深めたり発展させたりすること。
エ 目的や課題に応じて,収集した様々な情報を分析,整理して資料を作成し,自分の考えを効果的に表現すること。
オ 語句の意味,用法を的確に理解し,語彙《い》を豊かにするとともに,文体や修辞などの表現上の特色をとらえ,自分の表現や推敲《こう》に役立てること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 文学的な文章を読んで,人物の生き方やその表現の仕方などについて話し合うこと。
イ 論理的な文章を読んで,書き手の考えやその展開の仕方などについて意見を書くこと。
ウ 伝えたい情報を表現するためのメディアとしての文字,音声,画像などの特色をとらえて,目的に応じた表現の仕方を考えたり創作的な活動を行ったりすること。
エ 文章を読んで関心をもった事柄などについて課題を設定し,様々な資料を調べ,その成果をまとめて発表したり報告書や論文集などに編集したりすること。
3 内容の取扱い
(1) 総合的な言語能力を養うため,話すこと・聞くこと,書くこと及び読むことについて相互に密接な関連を図り,効果的に指導するようにする。
(2) 生徒の読書意欲を喚起し,読書の幅を一層広げ,文字・活字文化に対する理解が深まるようにする。
(3) 近代以降の文章や文学の変遷について,必要に応じて扱うようにする。
(4) 教材は,近代以降の様々な種類の文章とする。その際,現代の社会生活で必要とされている実用的な文章を含めるものとする。また,必要に応じて翻訳の文章や近代以降の文語文などを用いることができる。
第5 古典A
1 目標 古典としての古文と漢文,古典に関連する文章を読むことによって,我が国の伝統と文化に対する理解を深め,生涯にわたって古典に親しむ態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 古典などに表れた思想や感情を読み取り,人間,社会,自然などについて考察すること。
イ 古典特有の表現を味わったり,古典の言葉と現代の言葉とのつながりについて理解したりすること。
ウ 古典などを読んで,言語文化の特質や我が国の文化と中国の文化との関係について理解すること。
エ 伝統的な言語文化についての課題を設定し,様々な資料を読んで探究して,我が国の伝統と文化について理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 古文や漢文の調子などを味わいながら音読,朗読,暗唱をすること。
イ 日常の言語生活の中から我が国の伝統と文化に関連する表現を集め,その意味や特色,由来などについて調べたことを報告すること。
ウ 図書館を利用して古典などを読み比べ,そこに描かれた人物,情景,心情などについて,感じたことや考えたことを文章にまとめたり話し合ったりすること。
3 内容の取扱い
(1) 古文と漢文の両方又はいずれか一方を取り上げることができる。
(2) 古典を読む楽しさを味わったり,伝統的な言語文化に触れることの意義を理解したりすることを重視し,古典などへの関心を高めるようにする。
(3) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,特定の文章や作品,文種や形態などについて,まとまりのあるものを中心として適切に取り上げること。
イ 教材には,古典に関連する近代以降の文章を含めること。また,必要に応じて日本漢文,近代以降の文語文や漢詩文などを用いることができること。
ウ 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
(ア) 古典を進んで学習する意欲や態度を養うのに役立つこと。
(イ) 人間,社会,自然などに対する様々な時代の人々のものの見方,感じ方,考え方について理解を深めるのに役立つこと。
(ウ) 様々な時代の人々の生き方や自分の生き方について考えたり,我が国の伝統と文化について理解を深めたりするのに役立つこと。
(エ) 古典を読むのに必要な知識を身に付けるのに役立つこと。
(オ) 現代の国語について考えたり,言語感覚を豊かにしたりするのに役立つこと。
(カ) 中国など外国の文化との関係について理解を深めるのに役立つこと。
第6 古典B
1 目標 古典としての古文と漢文を読む能力を養うとともに,ものの見方,感じ方,考え方を広くし,古典についての理解や関心を深めることによって人生を豊かにする態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 古典に用いられている語句の意味,用法及び文の構造を理解すること。
イ 古典を読んで,内容を構成や展開に即して的確にとらえること。
ウ 古典を読んで,人間,社会,自然などに対する思想や感情を的確にとらえ,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
エ 古典の内容や表現の特色を理解して読み味わい,作品の価値について考察すること。
オ 古典を読んで,我が国の文化の特質や我が国の文化と中国の文化との関係について理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 辞書などを用いて古典の言葉と現代の言葉とを比較し,その変遷などについて分かったことを報告すること。
イ 同じ題材を取り上げた文章や同じ時代の文章などを読み比べ,共通点や相違点などについて説明すること。
ウ 古典に表れた人間の生き方や考え方などについて,文章中の表現を根拠にして話し合うこと。
エ 古典を読んで関心をもった事柄などについて課題を設定し,様々な資料を調べ,その成果を発表したり文章にまとめたりすること。
3 内容の取扱い
(1) 古文及び漢文の両方を取り上げるものとし,一方に偏らないようにする。
(2) 古典を読み深めるため,音読,朗読,暗唱などを取り入れるようにする。
(3) 文語文法の指導は読むことの学習に即して行い,必要に応じてある程度まとまった学習もできるようにする。
(4) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,言語文化の変遷について理解を深める学習に資するよう,文種や形態,長短や難易などに配慮して適当な部分を取り上げること。
イ 教材には,日本漢文を含めること。また,必要に応じて近代以降の文語文や漢詩文,古典についての評論文などを用いることができること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,「国語表現」,「現代文A」,「現代文B」,「古典A」及び「古典B」の各科目については,原則として,「国語総合」を履修した後に履修させるものとする。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 教材については,各科目の3の内容の取扱いに示す事項のほか,「国語表現」及び「現代文A」は「国語総合」の3の(6)のウに示す事項について,「現代文B」は「国語総合」の3の(6)のア及びウに示す事項について,「古典A」及び「古典B」は「国語総合」の3の(6)のイに示す事項につい...
(2) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図ることなどを通して,読書意欲を喚起し幅広く読書する態度を育成するとともに,情報を適切に用いて,思考し,表現する能力を高めるようにすること。
(3) 音声言語や画像による教材,コンピュータや情報通信ネットワークなども適切に活用し,学習の効果を高めるようにすること。
第2節 地 理 歴 史
第1款 目標 我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を深め,国際社会に主体的に生き平和で民主的な国家・社会を形成する日本国民として必要な自覚と資質を養う。
第2款 各 科 目
第1 世界史A
1 目標 近現代史を中心とする世界の歴史を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ,現代の諸課題を歴史的観点から考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 世界史へのいざない 自然環境と歴史,日本の歴史と世界の歴史のつながりにかかわる適切な主題を設定し考察する活動を通して,世界史学習の基本的技能に触れさせるとともに,地理と歴史への関心を高め,世界史学習の意義に気付かせる。
ア 自然環境と歴史 歴史の舞台としての自然環境について,河川,海洋,草原,オアシス,森林などから適切な事例を取り上げ,地図や写真などを読み取る活動を通して,自然環境と人類の活動が相互に作用し合っていることに気付かせる。
イ 日本列島の中の世界の歴史 日本列島の中に見られる世界との関係や交流について,人,もの,技術,文化,宗教,生活などから適切な事例を取り上げ,年表や地図などに表す活動を通して,日本の歴史が世界の歴史とつながっていることに気付かせる。
(2) 世界の一体化と日本 近現代世界を理解するための前提として,ユーラシアの諸文明の特質に触れるとともに,16世紀以降の世界商業の進展及び資本主義の確立を中心に,世界が一体化に向かう過程を理解させる。その際,世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。
ア ユーラシアの諸文明 自然環境,生活,宗教などに着目させながら,東アジア,南アジア,西アジア,ヨーロッパに形成された諸文明の特質とユーラシアの海,陸における交流を概観させる。
イ 結び付く世界と近世の日本 大航海時代のヨーロッパとアフリカ,アメリカ,アジアの接触と交流,アジアの諸帝国とヨーロッパの主権国家体制,大西洋世界の展開とアフリカ・アメリカ社会の変容を扱い,16世紀から18世紀までの世界の一体化の動きと近世の日本の対応を把握させる。
ウ ヨーロッパ・アメリカの工業化と国民形成 産業革命と資本主義の確立,フランス革命とアメリカ諸国の独立,自由主義と国民主義の進展を扱い,ヨーロッパ・アメリカにおける工業化と国民形成を理解させる。
エ アジア諸国の変貌《ぼう》と近代の日本 ヨーロッパの進出期におけるアジア諸国の状況,植民地化や従属化の過程での抵抗と挫《ざ》折,伝統文化の変容,その中での日本の動向を扱い,19世紀の世界の一体化と日本の近代化を理解させる。
(3) 地球社会と日本 地球規模で一体化した構造をもつ現代世界の特質と展開過程を理解させ,人類の課題について歴史的観点から考察させる。その際,世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。
ア 急変する人類社会 科学技術の発達,企業や国家の巨大化,公教育の普及と国民統合,国際的な移民の増加,マスメディアの発達,社会の大衆化と政治や文化の変容などを理解させ,19世紀後期から20世紀前半までの社会の変化について,人類史的視野から考察させる。
イ 世界戦争と平和 帝国主義諸国の抗争とアジア・アフリカの対応,二つの世界大戦の原因と総力戦としての性格,それらが世界と日本に及ぼした影響を理解させ,19世紀後期から20世紀前半までの世界の動向と平和の意義について考察させる。
ウ 三つの世界と日本の動向 第二次世界大戦後の米ソ両陣営の対立と日本の動向,アジア・アフリカの民族運動と植民地支配からの独立を理解させ,核兵器問題やアジア・アフリカ諸国が抱える問題などについて考察させる。
エ 地球社会への歩みと課題 1970年代以降の市場経済のグローバル化,冷戦の終結,地域統合の進展,知識基盤社会への移行,地域紛争の頻発,環境や資源・エネルギーをめぐる問題などを理解させ,地球社会への歩みと地球規模で深刻化する課題について考察させる。
オ 持続可能な社会への展望 現代世界の特質や課題に関する適切な主題を設定させ,歴史的観点から資料を活用して探究し,その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して,世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について展望させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するとともに,各時代において世界と日本を関連付けて扱うこと。また,地理的条件とも関連付けるようにすること。
イ 年表,地図その他の資料を積極的に活用したり,文化遺産,博物館や資料館の調査・見学を取り入れたりするなどして,具体的に学ばせるように工夫すること。
(2) 各項目については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては,近現代史を中心とするこの科目の特質を踏まえ,ユーラシアの諸文明を大観させるようにすること。
イ 内容の(3)については,単に知識を与えるだけでなく,現代世界が当面する課題について考察させること。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な世界を実現することが重要な課題であることを認識させること。
(3) 主題を設定して行う学習については,次の事項に配慮するものとする。
ア 学習の実施に当たっては,適切な時間を確保し,年間指導計画の中に位置付けて指導すること。また,主題の設定や資料の選択に際しては,生徒の興味・関心や学校,地域の実態等に十分配慮して行うこと。
イ 内容の(1)については,中学校社会科の内容との連続性に配慮して,主題を設定すること。その際,アについては,この科目の導入として位置付け,内容の(2)のアと関連付けて指導すること。イについては,適切な時期に実施するようにすること。
ウ 内容の(3)のオについては,内容の(3)のアからエまでに示された事項を参考にして主題を設定させること。
(4) 近現代史の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
イ 政治,経済,社会,文化,宗教,生活など様々な観点から歴史的事象を取り上げ,近現代世界に対する多角的で柔軟な見方を養うこと。
第2 世界史B
1 目標 世界の歴史の大きな枠組みと展開を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ,文化の多様性・複合性と現代世界の特質を広い視野から考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 世界史への扉 自然環境と人類のかかわり,日本の歴史と世界の歴史のつながり,日常生活にみる世界の歴史にかかわる適切な主題を設定し考察する活動を通して,地理と歴史への関心を高め,世界史学習の意義に気付かせる。
ア 自然環境と人類のかかわり 自然環境と人類のかかわりについて,生業や暮らし,交通手段,資源,災害などから適切な歴史的事例を取り上げて考察させ,世界史学習における地理的視点の重要性に気付かせる。
イ 日本の歴史と世界の歴史のつながり 日本と世界の諸地域の接触・交流について,人,もの,技術,文化,宗教,生活などから適切な歴史的事例を取り上げて考察させ,日本の歴史と世界の歴史のつながりに気付かせる。
ウ 日常生活にみる世界の歴史 日常生活にみる世界の歴史について,衣食住,家族,余暇,スポーツなどから適切な事例を取り上げて,その変遷を考察させ,日常生活からも世界の歴史がとらえられることに気付かせる。
(2) 諸地域世界の形成 人類は各地の自然環境に適応しながら農耕や牧畜を基礎とする諸文明を築き上げ,やがてそれらを基により大きな地域世界を形成したことを把握させる。
ア 西アジア世界・地中海世界 西アジアと地中海一帯の地理的特質,オリエント文明,イラン人の活動,ギリシア・ローマ文明に触れ,西アジア世界と地中海世界の形成過程を把握させる。
イ 南アジア世界・東南アジア世界 南アジアと東南アジアの地理的特質,インダス文明,アーリヤ人の進入以後の南アジアの文化,社会,国家の発展,東南アジアの国家形成に触れ,南アジア世界と東南アジア世界の形成過程を把握させる。
ウ 東アジア世界・内陸アジア世界 東アジアと内陸アジアの地理的特質,中華文明の起源と秦《しん》・漢帝国,遊牧国家の動向,唐帝国と東アジア諸民族の活動に触れ,日本を含む東アジア世界と内陸アジア世界の形成過程を把握させる。
エ 時間軸からみる諸地域世界 主題を設定し,それに関連する事項を年代順に並べたり,因果関係で結び付けたり,地域世界ごとに比較したりするなどの活動を通して,世界史を時間的なつながりに着目して整理し,表現する技能を習得させる。
(3) 諸地域世界の交流と再編 ユーラシアの海域及び内陸のネットワークを背景に,諸地域世界の交流が一段と活発化し,新たな地域世界の形成や再編を促したことを把握させる。
ア イスラーム世界の形成と拡大 アラブ人とイスラーム帝国の発展,トルコ系民族の活動,アフリカ・南アジアのイスラーム化に触れ,イスラーム世界の形成と拡大の過程を把握させる。
イ ヨーロッパ世界の形成と展開 ビザンツ帝国と東ヨーロッパの動向,西ヨーロッパの封建社会の成立と変動に触れ,キリスト教とヨーロッパ世界の形成と展開の過程を把握させる。
ウ 内陸アジアの動向と諸地域世界 内陸アジア諸民族と宋《そう》の抗争,モンゴル帝国の興亡とユーラシアの諸地域世界や日本の変動に触れ,内陸アジア諸民族が諸地域世界の交流と再編に果たした役割を把握させる。
エ 空間軸からみる諸地域世界 同時代性に着目して主題を設定し,諸地域世界の接触や交流などを地図上に表したり,世紀ごとに比較したりするなどの活動を通して,世界史を空間的なつながりに着目して整理し,表現する技能を習得させる。
(4) 諸地域世界の結合と変容 アジアの繁栄とヨーロッパの拡大を背景に,諸地域世界の結合が一層進展したこととともに,主権国家体制を整え工業化を達成したヨーロッパの進出により,世界の構造化が進み,社会の変容が促されたことを理解させる。
ア アジア諸地域の繁栄と日本 西アジア・南アジアのイスラーム諸帝国や東南アジア海域の動向,明《みん》・清《しん》帝国と日本や朝鮮などとの関係を扱い,16世紀から18世紀までのアジア諸地域の特質とその中での日本の位置付けを理解させる。
イ ヨーロッパの拡大と大西洋世界 ルネサンス,宗教改革,主権国家体制の成立,世界各地への進出と大西洋世界の形成を扱い,16世紀から18世紀までのヨーロッパ世界の特質とアメリカ・アフリカとの関係を理解させる。
ウ 産業社会と国民国家の形成 産業革命,フランス革命,アメリカ諸国の独立など,18世紀後半から19世紀までのヨーロッパ・アメリカの経済的,政治的変革を扱い,産業社会と国民国家の形成を理解させる。
エ 世界市場の形成と日本 世界市場の形成,ヨーロッパ諸国のアジア進出,オスマン,ムガル,清《しん》帝国及び日本などアジア諸国の動揺と改革を扱い,19世紀のアジアの特質とその中での日本の位置付けを理解させる。
オ 資料からよみとく歴史の世界 主題を設定し,その時代の資料を選択して,資料の内容をまとめたり,その意図やねらいを推測したり,資料への疑問を提起したりするなどの活動を通して,資料を多面的・多角的に考察し,よみとく技能を習得させる。
(5) 地球世界の到来 科学技術の発達や生産力の著しい発展を背景に,世界は地球規模で一体化し,二度の世界大戦や冷戦を経て相互依存を一層強めたことを理解させる。また,今日の人類が直面する課題を歴史的観点から考察させ,21世紀の世界について展望させる。
ア 帝国主義と社会の変容 科学技術の発達,企業・国家の巨大化,国民統合の進展,帝国主義諸国の抗争とアジア・アフリカの対応,国際的な移民の増加などを理解させ,19世紀後期から20世紀初期までの世界の動向と社会の特質について考察させる。
イ 二つの世界大戦と大衆社会の出現 総力戦としての二つの世界大戦,ロシア革命とソヴィエト連邦の成立,大衆社会の出現とファシズム,世界恐慌と資本主義の変容,アジア・アフリカの民族運動などを理解させ,20世紀前半の世界の動向と社会の特質について考察させる。
ウ 米ソ冷戦と第三世界 米ソ両陣営による冷戦の展開,戦後の復興と経済発展,アジア・アフリカ諸国の独立とその後の課題,平和共存の模索などを理解させ,第二次世界大戦後から1960年代までの世界の動向について考察させる。
エ グローバル化した世界と日本 市場経済のグローバル化とアジア経済の成長,冷戦の終結とソヴィエト連邦の解体,地域統合の進展,知識基盤社会への移行,地域紛争の頻発,環境や資源・エネルギーをめぐる問題などを理解させ,1970年代以降の世界と日本の動向及び社会の特質について考察させる。...
オ 資料を活用して探究する地球世界の課題 地球世界の課題に関する適切な主題を設定させ,歴史的観点から資料を活用して探究し,その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して,資料を活用し表現する技能を習得させるとともに,これからの世界と日本の在り方や世界の人々が協調し共存できる...
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するとともに,各時代における世界と日本を関連付けて扱うこと。また,地理的条件とも関連付けるようにすること。
イ 年表,地図その他の資料を積極的に活用したり,文化遺産,博物館や資料館の調査・見学を取り入れたりするなどして,具体的に学ばせるように工夫すること。
(2) 各項目については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,各地域世界の人々の生活,宗教,意識などを具体的に把握できるようにし,政治史のみの学習にならないようにすること。
イ 内容の(5)については,単に知識を与えるだけでなく,地球世界の課題について考察させること。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な世界を実現させることが重要な課題であることを認識させること。
(3) 主題を設定して行う学習については,次の事項に配慮するものとする。
ア 学習の実施に当たっては,適切な時間を確保し,年間指導計画の中に位置付けて段階的・継続的に指導すること。また,主題の設定や資料の選択に際しては,生徒の興味・関心や学校,地域の実態等に十分配慮して行うこと。
イ 内容の(1)については,中学校社会科の内容との連続性に配慮して,主題を設定すること。その際,アについては,この科目の導入として位置付けること。イ及びウについては,適切な時期に実施するようにすること。
ウ 内容の(2)のエ,(3)のエ及び(4)のオについては,次の事項に留意すること。
(ア) それぞれの項目の内容に示された事項を参考にして主題を設定し,生徒の主体的な追究を通して,歴史的思考力を培うようにすること。
(イ) 内容の(2)のエ及び(3)のエについては,年表や地図その他の資料を活用して説明するなどの活動を取り入れること。
(ウ) 内容の(4)のオについては,文字資料に加えて,絵画,風刺画,写真などの図像資料を取り入れるよう工夫すること。
エ 内容の(5)のオについては,内容の(5)のアからエまでに示された事項を参考にして主題を設定させること。
(4) 近現代史の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
イ 各国史別の扱いにならないよう,広い視野から世界の動きをとらえさせるようにすること。
ウ 政治,経済,社会,文化,宗教,生活など様々な観点から歴史的事象を取り上げ,近現代世界に対する多角的で柔軟な見方を養うこと。
エ 日本と関連する諸国の歴史については,当該国の歴史から見た日本などにも着目させ,世界の歴史における日本の位置付けを明確にすること。
第3 日本史A
1 目標 我が国の近現代の歴史の展開を諸資料に基づき地理的条件や世界の歴史と関連付け,現代の諸課題に着目して考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 私たちの時代と歴史 現代の社会やその諸課題が歴史的に形成されたものであるという観点から,近現代の歴史的事象と現在との結び付きを考える活動を通して,歴史への関心を高め,歴史を学ぶ意義に気付かせる。
(2) 近代の日本と世界 開国前後から第二次世界大戦終結までの政治や経済,国際環境,国民生活や文化の動向について,相互の関連を重視して考察させる。
ア 近代国家の形成と国際関係の推移
(ア) 近代の萌《ほう》芽や欧米諸国のアジア進出,文明開化などに見られる欧米文化の導入と明治政府による諸改革に伴う社会や文化の変容,自由民権運動と立憲体制の成立に着目して,開国から明治維新を経て近代国家が形成される過程について考察させる。
(イ) 条約改正や日清《にっしん》・日露戦争前後の対外関係の変化,政党の役割と社会的な基盤に着目して,国際環境や政党政治の推移について考察させる。
イ 近代産業の発展と両大戦をめぐる国際情勢
(ア) 産業革命の進行,都市や村落の生活の変化と社会問題の発生,学問・文化の進展と教育の普及,大衆社会と大衆文化の形成に着目して,近代産業の発展と国民生活の変化について考察させる。
(イ) 諸国家間の対立や協調関係と日本の立場,国内の経済・社会の動向,アジア近隣諸国との関係に着目して,二つの世界大戦とその間の内外情勢の変化について考察させる。
ウ 近代の追究 近代における政治や経済,国際環境,国民生活や文化の動向が相互に深くかかわっているという観点から,産業と生活,国際情勢と国民,地域社会の変化などについて,具体的な歴史的事象と関連させた適切な主題を設定して追究し表現する活動を通して,歴史的な見方や考え方を育てる。
(3) 現代の日本と世界 第二次世界大戦後の政治や経済,国際環境,国民生活や文化の動向について,現代の諸課題と近現代の歴史との関連を重視して考察させる。
ア 現代日本の政治と国際社会 占領政策と諸改革,新憲法の成立,平和条約と独立,国際交流や国際貢献の拡大などに着目して,我が国の再出発及びその後の政治や対外関係の推移について考察させる。
イ 経済の発展と国民生活の変化 戦後の経済復興,高度経済成長と科学技術の発達,経済の国際化,生活意識や価値観の変化などに着目して,日本経済の発展と国民生活の変化について考察させる。
ウ 現代からの探究 現代の社会やその諸課題が歴史的に形成されたものであるという観点から,近現代の歴史にかかわる身の回りの社会的事象と関連させた適切な主題を設定させ,資料を活用して探究し,その解決に向けた考えを表現する活動を通して,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 我が国の近現代の歴史の展開について国際環境や地理的条件などと関連付け,世界の中の日本という視点から考察させること。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
ウ 年表,地図その他の資料を一層活用させるとともに,地域の文化遺産,博物館や資料館の調査・見学などを取り入れるよう工夫すること。
エ 国民生活や文化の動向については,地域社会の様子などと関連付けるとともに,衣食住や風習・信仰などの生活文化についても扱うようにすること。
(2) この科目の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くようにするとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成するようにする。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な国際社会を実現することが重要な課題であることを...
(3) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,この科目の導入として位置付けること。また,近代,現代などの時代区分の持つ意味,近現代の歴史の考察に有効な諸資料についても扱うこと。
イ 内容の(2)のウ及び(3)のウについては,資料を活用して歴史を考察したりその結果を表現したりする技能を高めること。内容の(3)のウについては,この科目のまとめとして位置付けること。
第4 日本史B
1 目標 我が国の歴史の展開を諸資料に基づき地理的条件や世界の歴史と関連付けて総合的に考察させ,我が国の伝統と文化の特色についての認識を深めさせることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 原始・古代の日本と東アジア 原始社会の特色及び古代国家と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 歴史と資料 遺跡や遺物,文書など様々な歴史資料の特性に着目し,資料に基づいて歴史が叙述されていることなど歴史を考察する基本的な方法を理解させ,歴史への関心を高めるとともに,文化財保護の重要性に気付かせる。
イ 日本文化の黎《れい》明と古代国家の形成 旧石器文化,縄文文化及び弥生《やよい》文化の時代を経て,我が国において国家が形成され律令《りつりょう》体制が確立する過程,隋《ずい》・唐など東アジア世界との関係,古墳文化,天平《てんぴょう》文化に着目して,古代国家の形成と展開,文化の特...
ウ 古代国家の推移と社会の変化 東アジア世界との関係の変化,荘園《しょうえん》・公領の動きや武士の台頭など諸地域の動向に着目して,古代国家の推移,文化の特色とその成立の背景及び中世社会の萌《ほう》芽について考察させる。
(2) 中世の日本と東アジア 中世国家と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 歴史の解釈 歴史資料を含む諸資料を活用して,歴史的事象の推移や変化,相互の因果関係を考察するなどの活動を通して,歴史の展開における諸事象の意味や意義を解釈させる。
イ 中世国家の形成 武士の土地支配と公武関係,宋《そう》・元などとの関係,仏教の動向に着目して,中世国家の形成過程や社会の仕組み,文化の特色とその成立の背景について考察させる。
ウ 中世社会の展開 日本の諸地域の動向,日明《にちみん》貿易など東アジア世界との関係,産業経済の発展,庶民の台頭と下剋上《げこくじょう》,武家文化と公家《くげ》文化のかかわりや庶民文化の萌《ほう》芽に着目して,中世社会の多様な展開,文化の特色とその成立の背景について考察させる。
(3) 近世の日本と世界 近世国家と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 歴史の説明 歴史的事象には複数の歴史的解釈が成り立つことに気付かせ,それぞれの根拠や論理を踏まえて,筋道立てて考えを説明させる。
イ 近世国家の形成 ヨーロッパ世界との接触やアジア各地との関係,織豊政権と幕藩体制下の政治・経済基盤,身分制度の形成や儒学の役割,文化の特色に着目して,近世国家の形成過程とその特色や社会の仕組みについて考察させる。
ウ 産業経済の発展と幕藩体制の変容 幕藩体制下の農業など諸産業や交通・技術の発展,町人文化の形成,欧米諸国のアジアへの進出,学問・思想の動きに着目して,近世の都市や農山漁村における生活や文化の特色とその成立の背景,幕藩体制の変容と近代化の基盤の形成について考察させる。
(4) 近代日本の形成と世界 近代国家の形成と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 明治維新と立憲体制の成立 開国と幕府の滅亡,文明開化など欧米の文化・思想の影響や国際環境の変化,自由民権運動と立憲体制の成立に着目して,明治維新以降の我が国の近代化の推進過程について考察させる。
イ 国際関係の推移と立憲国家の展開 条約改正,日清《にっしん》・日露戦争とその前後のアジア及び欧米諸国との関係の推移に着目して,我が国の立憲国家としての展開について考察させる。
ウ 近代産業の発展と近代文化 国民生活の向上と社会問題の発生,学問の発展や教育制度の拡充に着目して,近代産業の発展の経緯や近代文化の特色とその成立の背景について考察させる。
(5) 両世界大戦期の日本と世界 近代国家の展開と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 政党政治の発展と大衆社会の形成 政治や社会運動の動向,都市の発達と農山漁村の変化及び文化の大衆化に着目して,政党政治の発展,大衆社会の特色とその成立の背景について考察させる。
イ 第一次世界大戦と日本の経済・社会 国際社会の中の日本の立場に着目して,第一次世界大戦前後の対外政策の推移や大戦が国内の経済・社会に及ぼした影響について考察させる。
ウ 第二次世界大戦と日本 国際社会の動向,国内政治と経済の動揺,アジア近隣諸国との関係に着目して,対外政策の推移と戦時体制の強化など日本の動向と第二次世界大戦とのかかわりについて考察させる。
(6) 現代の日本と世界 現代の社会や国民生活の特色について,国際環境と関連付けて考察させ,世界の中での日本の立場について認識させる。
ア 現代日本の政治と国際社会 占領政策と諸改革,新憲法の成立,平和条約と独立,国際交流や国際貢献の拡大などに着目して,我が国の再出発及びその後の政治や対外関係の推移について考察させる。
イ 経済の発展と国民生活の変化 戦後の経済復興,高度経済成長と科学技術の発達,経済の国際化,生活意識や価値観の変化などに着目して,日本経済の発展と国民生活の変化について考察させる。
ウ 歴史の論述 社会と個人,世界の中の日本,地域社会の歴史と生活などについて,適切な主題を設定させ,資料を活用して探究し,考えを論述する活動を通して,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 我が国の歴史と文化について各時代の国際環境や地理的条件などと関連付け,世界の中の日本という視点から考察させること。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。その際,各時代の特色を総合的に考察する学習及び前後の時代を比較してその移り変わりを考察する学習それぞれの充実を図ること。
ウ 年表,地図その他の資料を一層活用させるとともに,地域の文化遺産,博物館や資料館の調査・見学などを取り入れるよう工夫すること。
エ 文化に関する指導に当たっては,各時代の文化とそれを生み出した時代的背景との関連,外来の文化などとの接触や交流による文化の変容や発展の過程などに着目させ,我が国の伝統と文化の特色とそれを形成した様々な要因を総合的に考察させるようにすること。衣食住や風習・信仰などの生活文化について...
オ 地域社会の歴史と文化について扱うようにするとともに,祖先が地域社会の向上と文化の創造や発展に努力したことを具体的に理解させ,それらを尊重する態度を育てるようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のア,(2)のア,(3)のア,(6)のウを通じて,資料を活用して歴史を考察したりその結果を表現したりする技能を段階的に高めていくこと。様々な資料の特性に着目させ複数の資料の活用を図って,資料に対する批判的な見方を養うとともに,因果関係を考察させたり解釈の多様性に気付...
イ 内容の(1)のアについては,この科目の導入として位置付けること。内容の(2)のア及び(3)のアについては,原則として各時代の学習内容と関連させて適切な時期に実施すること。内容の(6)のウについては,この科目のまとめとして位置付けること。
(3) 近現代史の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くようにするとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成するようにする。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な国際社会を実現することが重要な課題であることを...
第5 地理A
1 目標 現代世界の地理的な諸課題を地域性や歴史的背景,日常生活との関連を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 現代世界の特色と諸課題の地理的考察 世界諸地域の生活・文化及び地球的課題について,地域性や歴史的背景を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を深めるとともに,地理的技能及び地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 地球儀や地図からとらえる現代世界 地球儀と世界地図との比較,様々な世界地図の読図などを通して,地理的技能を身に付けさせるとともに,方位や時差,日本の位置と領域,国家間の結び付きなどについてとらえさせる。
イ 世界の生活・文化の多様性 世界諸地域の生活・文化を地理的環境や民族性と関連付けてとらえ,その多様性について理解させるとともに,異文化を理解し尊重することの重要性について考察させる。
ウ 地球的課題の地理的考察 環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題を地球的及び地域的視野からとらえ,地球的課題は地域を越えた課題であるとともに地域によって現れ方が異なっていることを理解させ,それらの課題の解決には持続可能な社会の実現を目指した各国の取組や国際協力が必...
(2) 生活圏の諸課題の地理的考察 生活圏の諸課題について,地域性や歴史的背景を踏まえて考察し,地理的技能及び地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 日常生活と結び付いた地図 身の回りにある様々な地図の収集や地形図の読図,目的や用途に適した地図の作成などを通して,地理的技能を身に付けさせる。
イ 自然環境と防災 我が国の自然環境の特色と自然災害とのかかわりについて理解させるとともに,国内にみられる自然災害の事例を取り上げ,地域性を踏まえた対応が大切であることなどについて考察させる。
ウ 生活圏の地理的な諸課題と地域調査 生活圏の地理的な諸課題を地域調査やその結果の地図化などによってとらえ,その解決に向けた取組などについて探究する活動を通して,日常生活と結び付いた地理的技能及び地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
イ 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,衛星画像や空中写真,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用するとともに,地図や統計などの地理情報の収集・分析には,情報通信ネットワークや地...
ウ 地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,討論したりするなどの活動を充実させること。
エ 学習過程で政治,経済,生物,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは空間的な傾向性や諸地域の特色を理解するのに必要な程度とすること。
オ 各項目の内容に応じて日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) アについては,球面上の世界のとらえ方に慣れ親しませるよう工夫すること。日本の位置と領域については,世界的視野から日本の位置をとらえるとともに,日本の領域をめぐる問題にも触れること。また,国家間の結び付きについては,世界の国家群,貿易,交通・通信,観光の現状と動向に関する諸事...
(イ) イについては,世界諸地域の生活・文化について世界を広く大観する学習と事例地域を通して考察する学習を組み合わせて扱うこと。その際,生活と宗教のかかわりなどについて考察させるとともに,日本との共通性や異質性に着目させ,異なる習慣や価値観などをもっている人々と共存していくことの意...
(ウ) ウについては,地球的課題ごとに世界を広く大観する学習と具体例を通して考察する学習を組み合わせて扱うこと。その際,環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題は,それぞれ相互に関連し合っていることに留意して取扱いを工夫すること。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) アからウまでの項目については,地図の読図や作図などを主とした作業的,体験的な学習を取り入れるとともに,各項目を関連付けて地理的技能が身に付くよう工夫すること。
(イ) アについては,日常生活の中でみられる様々な地図を取り上げ,目的や用途に適した地図表現の工夫などについて理解させ,日常生活と結び付いた地図の役割とその有用性について認識させるよう工夫すること。
(ウ) イについては,日本では様々な自然災害が多発することから,早くから自然災害への対応に努めてきたことなどを具体例を通して取り扱うこと。その際,地形図やハザードマップなどの主題図の読図など,日常生活と結び付いた地理的技能を身に付けさせるとともに,防災意識を高めるよう工夫すること。...
(エ) ウについては,生徒の特性や学校所在地の事情等を考慮し,地域調査を実施し,その方法が身に付くよう工夫すること。その際,これまでの学習成果を活用すること。
第6 地理B
1 目標 現代世界の地理的事象を系統地理的に,現代世界の諸地域を歴史的背景を踏まえて地誌的に考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 様々な地図と地理的技能 地球儀や様々な地図の活用及び地域調査などの活動を通して,地図の有用性に気付かせるとともに,地理的技能を身に付けさせる。
ア 地理情報と地図 地球儀の活用,様々な時代や種類の世界地図の読図,地理情報の地図化などの活動を通して,各時代の人々の世界観をとらえさせるとともに,地図の有用性に気付かせ,現代世界の地理的事象をとらえる地理的技能を身に付けさせる。
イ 地図の活用と地域調査 直接的に調査できる地域を地図を活用して多面的・多角的に調査し,生活圏の地域的特色をとらえる地理的技能を身に付けさせる。
(2) 現代世界の系統地理的考察 世界の自然環境,資源,産業,人口,都市・村落,生活文化,民族・宗教に関する諸事象の空間的な規則性,傾向性やそれらの要因などを系統地理的に考察させるとともに,現代世界の諸課題について地球的視野から理解させる。
ア 自然環境 世界の地形,気候,植生などに関する諸事象を取り上げ,それらの分布や人間生活とのかかわりなどについて考察させるとともに,現代世界の環境問題を大観させる。
イ 資源,産業 世界の資源・エネルギーや農業,工業,流通,消費などに関する諸事象を取り上げ,それらの分布や動向などについて考察させるとともに,現代世界の資源・エネルギー,食料問題を大観させる。
ウ 人口,都市・村落 世界の人口,都市・村落などに関する諸事象を取り上げ,それらの分布や動向などについて考察させるとともに,現代世界の人口,居住・都市問題を大観させる。
エ 生活文化,民族・宗教 世界の生活文化,民族・宗教に関する諸事象を取り上げ,それらの分布や民族と国家の関係などについて考察させるとともに,現代世界の民族,領土問題を大観させる。
(3) 現代世界の地誌的考察 現代世界の諸地域を多面的・多角的に考察し,各地域の多様な特色や課題を理解させるとともに,現代世界を地誌的に考察する方法を身に付けさせる。
ア 現代世界の地域区分 現代世界を幾つかの地域に区分する方法や地域の概念,地域区分の意義を理解させるとともに,その有用性に気付かせる。
イ 現代世界の諸地域 現代世界の諸地域を取り上げ,歴史的背景を踏まえて多面的・多角的に地域の変容や構造を考察し,それらの地域にみられる地域的特色や地球的課題について理解させるとともに,地誌的に考察する方法を身に付けさせる。
ウ 現代世界と日本 現代世界における日本の国土の特色について多面的・多角的に考察し,我が国が抱える地理的な諸課題を探究する活動を通して,その解決の方向性や将来の国土の在り方などについて展望させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
イ 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,衛星画像や空中写真,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用するとともに,地図や統計などの地理情報の収集・分析には,情報通信ネットワークや地...
ウ 地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,討論したりするなどの活動を充実させること。
エ 学習過程で政治,経済,生物,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは空間的な傾向性や諸地域の特色を理解するのに必要な程度とすること。
オ 各項目の内容に応じて日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) 地球儀や地図の活用,観察や調査,統計,画像,文献などの地理情報の収集,選択,処理,諸資料の地理情報化や地図化などの作業的,体験的な学習を取り入れるとともに,各項目を関連付けて地理的技能が身に付くよう工夫すること。
(イ) アについては,地理的認識を深める上で地図を活用することが大切であることを理解させるとともに,地図に関する基礎的・基本的な知識や技能を習得することができるよう工夫すること。
(ウ) イについては,生徒の特性や学校所在地の事情等を考慮し,地域調査を実施し,その方法が身に付くよう工夫すること。
イ 内容の(2)については,分析,考察の過程を重視し,現代世界を系統地理的にとらえる視点や考察方法が身に付くよう工夫すること。エについては,領土問題の現状や動向を扱う際に日本の領土問題にも触れること。
ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) ア及びイについては,内容の(1)及び(2)の学習成果を活用するよう工夫すること。
(イ) アについては,現代世界が自然,政治,経済,文化などの指標によって様々に地域区分できることに着目させ,それらを比較対照させることによって,地域の概念,地域区分の意義などを理解させるようにすること。
(ウ) イについては,アで学習した地域区分を踏まえるとともに,様々な規模の地域を世界全体から偏りなく取り上げるようにすること。また,取り上げた地域の多様な事象を項目ごとに整理して考察する地誌,取り上げた地域の特色ある事象と他の事象を有機的に関連付けて考察する地誌,対照的又は類似的な...
(エ) ウについては,この科目のまとめとして位置付けること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 地理歴史科の目標を達成するため,教科全体として調和のとれた指導が行われるよう,適切に留意すること。
(2) 中学校社会科及び公民科との関連並びに地理歴史科に属する科目相互の関連に留意すること。
2 各科目の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに,作業的,体験的な学習を取り入れるよう配慮すること。そのため,地図や年表を読みかつ作成すること,各種の統計,年鑑,白書,画像,新聞,読み物その他の資料を収集・選択し,それらを読み取り解釈すること,観察,見学及び調査・研究したこ...
(2) 資料の収集,処理や発表などに当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するとともに,生徒が主体的に情報手段を活用できるようにすること。その際,情報モラルの指導にも留意すること。
3 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第3節 公 民
第1款 目標 広い視野に立って,現代の社会について主体的に考察させ,理解を深めさせるとともに,人間としての在り方生き方についての自覚を育て,平和で民主的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う。
第2款 各 科 目
第1 現代社会
1 目標 人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて,広い視野に立って,現代の社会と人間についての理解を深めさせ,現代社会の基本的な問題について主体的に考察し公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方について考察する力の基礎を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる...
2 内容
(1) 私たちの生きる社会 現代社会における諸課題を扱う中で,社会の在り方を考察する基盤として,幸福,正義,公正などについて理解させるとともに,現代社会に対する関心を高め,いかに生きるかを主体的に考察することの大切さを自覚させる。
(2) 現代社会と人間としての在り方生き方 現代社会について,倫理,社会,文化,政治,法,経済,国際社会など多様な角度から理解させるとともに,自己とのかかわりに着目して,現代社会に生きる人間としての在り方生き方について考察させる。
ア 青年期と自己の形成 生涯における青年期の意義を理解させ,自己実現と職業生活,社会参加,伝統や文化に触れながら自己形成の課題を考察させ,現代社会における青年の生き方について自覚を深めさせる。
イ 現代の民主政治と政治参加の意義 基本的人権の保障,国民主権,平和主義と我が国の安全について理解を深めさせ,天皇の地位と役割,議会制民主主義と権力分立など日本国憲法に定める政治の在り方について国民生活とのかかわりから認識を深めさせるとともに,民主政治における個人と国家について考...
ウ 個人の尊重と法の支配 個人の尊重を基礎として,国民の権利の保障,法の支配と法や規範の意義及び役割,司法制度の在り方について日本国憲法と関連させながら理解を深めさせるとともに,生命の尊重,自由・権利と責任・義務,人間の尊厳と平等などについて考察させ,他者と共に生きる倫理について...
エ 現代の経済社会と経済活動の在り方 現代の経済社会の変容などに触れながら,市場経済の機能と限界,政府の役割と財政・租税,金融について理解を深めさせ,経済成長や景気変動と国民福祉の向上の関連について考察させる。また,雇用,労働問題,社会保障について理解を深めさせるとともに,個人や...
オ 国際社会の動向と日本の果たすべき役割 グローバル化が進展する国際社会における政治や経済の動向に触れながら,人権,国家主権,領土に関する国際法の意義,人種・民族問題,核兵器と軍縮問題,我が国の安全保障と防衛及び国際貢献,経済における相互依存関係の深まり,地域的経済統合,南北問題...
(3) 共に生きる社会を目指して 持続可能な社会の形成に参画するという観点から課題を探究する活動を通して,現代社会に対する理解を深めさせるとともに,現代に生きる人間としての在り方生き方について考察を深めさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科,情報科及び特別活動などとの関連を図るとともに,項目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,社会的事象に対する関心をもって多様な角度から考察させるとともに,できるだけ総合的にとらえることができるようにすること。また,生徒が自己の生き方にかかわって主体的に考察できるよう学習指導の展開を工夫すること。
ウ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
エ 的確な資料に基づいて,社会的事象に対する客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成するとともに,学び方の習得を図ること。その際,統計などの資料の見方やその意味,情報の検索や処理の仕方,簡単な社会調査の方法などについて指導するよう留意すること。また,学習の過程で考察したことや学習の...
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) 内容の(1)は,この科目の導入として位置付けること。
(イ) 「現代社会における諸課題」としては,生命,情報,環境などを扱うこと。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) 項目ごとに課題を設定し,内容の(1)で取り上げた幸福,正義,公正などを用いて考察させること。
(イ) アの「生涯における青年期の意義」と「自己形成の課題」については,生涯にわたる学習の意義についても考察させること。また,男女が共同して社会に参画することの重要性にも触れること。
(ウ) イについては,地方自治に触れながら政治と生活との関連について認識を深めさせること。「政治参加の重要性」については,世論の形成の意義についても理解させること。また,「民主社会において自ら生きる倫理」については,個人と社会との関係に着目して考察させること。
(エ) ウについては,法に関する基本的な見方や考え方を身に付けさせるとともに裁判員制度についても扱うこと。
(オ) エの「市場経済の機能と限界」については,経済活動を支える私法に関する基本的な考え方についても触れること。「金融」については,金融制度や資金の流れの変化などにも触れること。また,「個人や企業の経済活動における役割と責任」については,公害の防止と環境保全,消費者に関する問題など...
(カ) オの「人種・民族問題」については,文化や宗教の多様性についても触れ,それぞれの固有の文化などを尊重する寛容の態度を養うこと。
ウ 内容の(3)については,この科目のまとめとして位置付け,内容の(1)及び(2)で学習した成果を活用させること。地域や学校,生徒の実態等に応じて課題を設定し,個人と社会の関係,社会と社会の関係,現役世代と将来世代の関係のいずれかに着目させること。
第2 倫 理
1 目標 人間尊重の精神と生命に対する畏《い》敬の念に基づいて,青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深めさせるとともに,人格の形成に努める実践的意欲を高め,他者と共に生きる主体としての自己の確立を促し,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 現代に生きる自己の課題 自らの体験や悩みを振り返ることを通して,青年期の意義と課題を理解させ,豊かな自己形成に向けて,他者と共に生きる自己の生き方について考えさせるとともに,自己の生き方が現代の倫理的課題と結び付いていることをとらえさせる。
(2) 人間としての在り方生き方 自己の生きる課題とのかかわりにおいて,先哲の基本的な考え方を手掛かりとして,人間の存在や価値について思索を深めさせる。
ア 人間としての自覚 人生における哲学,宗教,芸術のもつ意義などについて理解させ,人間の存在や価値にかかわる基本的な課題について思索させることを通して,人間としての在り方生き方について考えを深めさせる。
イ 国際社会に生きる日本人としての自覚 日本人にみられる人間観,自然観,宗教観などの特質について,我が国の風土や伝統,外来思想の受容に触れながら,自己とのかかわりにおいて理解させ,国際社会に生きる主体性のある日本人としての在り方生き方について自覚を深めさせる。
(3) 現代と倫理 現代に生きる人間の倫理的課題について思索を深めさせ,自己の生き方の確立を促すとともに,よりよい国家・社会を形成し,国際社会に主体的に貢献しようとする人間としての在り方生き方について自覚を深めさせる。
ア 現代に生きる人間の倫理 人間の尊厳と生命への畏《い》敬,自然や科学技術と人間とのかかわり,民主社会における人間の在り方,社会参加と奉仕,自己実現と幸福などについて,倫理的な見方や考え方を身に付けさせ,他者と共に生きる自己の生き方にかかわる課題として考えを深めさせる。
イ 現代の諸課題と倫理 生命,環境,家族,地域社会,情報社会,文化と宗教,国際平和と人類の福祉などにおける倫理的課題を自己の課題とつなげて探究する活動を通して,論理的思考力や表現力を身に付けさせるとともに,現代に生きる人間としての在り方生き方について自覚を深めさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科,情報科及び特別活動などとの関連を図るとともに,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 先哲の基本的な考え方を取り上げるに当たっては,内容と関連が深く生徒の発達や学習段階に適した代表的な先哲の言説等を精選すること。また,生徒自らが人生観,世界観を確立するための手掛かりを得させるよう様々な工夫を行うこと。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,この科目の導入として位置付け,生徒自身の課題を他者,集団や社会,生命や自然などとのかかわりを視点として考えさせ,以後の学習への意欲を喚起すること。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) アについては,ギリシアの思想,キリスト教,イスラム教,仏教,儒教などの基本的な考え方を代表する先哲の思想,芸術家とその作品を,倫理的な観点を明確にして取り上げるなど工夫すること。
(イ) イについては,古来の日本人の考え方や代表的な日本の先哲の思想を手掛かりにして,自己の課題として学習させること。
ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) アについては,倫理的な見方や考え方を身に付けさせ,自己の課題として考えを深めていく主体的な学習への意欲を喚起すること。
(イ) イについては,アの学習を基礎として,学校や生徒の実態等に応じて課題を選択し,主体的に探究する学習を行うよう工夫すること。その際,イに示された倫理的課題が相互に関連していることを踏まえて,学習が効果的に展開するよう留意するとともに,論述したり討論したりするなどの活動を通して,...
第3 政治・経済
1 目標 広い視野に立って,民主主義の本質に関する理解を深めさせ,現代における政治,経済,国際関係などについて客観的に理解させるとともに,それらに関する諸課題について主体的に考察させ,公正な判断力を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 現代の政治 現代の日本の政治及び国際政治の動向について関心を高め,基本的人権と議会制民主主義を尊重し擁護することの意義を理解させるとともに,民主政治の本質について把握させ,政治についての基本的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 民主政治の基本原理と日本国憲法 日本国憲法における基本的人権の尊重,国民主権,天皇の地位と役割,国会,内閣,裁判所などの政治機構を概観させるとともに,政治と法の意義と機能,基本的人権の保障と法の支配,権利と義務の関係,議会制民主主義,地方自治などについて理解させ,民主政治の本...
イ 現代の国際政治 国際社会の変遷,人権,国家主権,領土などに関する国際法の意義,国際連合をはじめとする国際機構の役割,我が国の安全保障と防衛及び国際貢献について理解させ,国際政治の特質や国際紛争の諸要因について把握させ,国際平和と人類の福祉に寄与する日本の役割について考察させる...
(2) 現代の経済 現代の日本経済及び世界経済の動向について関心を高め,日本経済のグローバル化をはじめとする経済生活の変化,現代経済の仕組みや機能について理解させるとともに,その特質を把握させ,経済についての基本的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 現代経済の仕組みと特質 経済活動の意義,国民経済における家計,企業,政府の役割,市場経済の機能と限界,物価の動き,経済成長と景気変動,財政の仕組みと働き及び租税の意義と役割,金融の仕組みと働きについて理解させ,現代経済の特質について把握させ,経済活動の在り方と福祉の向上との関...
イ 国民経済と国際経済 貿易の意義,為替相場や国際収支の仕組み,国際協調の必要性や国際経済機関の役割について理解させ,グローバル化が進む国際経済の特質について把握させ,国際経済における日本の役割について考察させる。
(3) 現代社会の諸課題 政治や経済などに関する基本的な理解を踏まえ,持続可能な社会の形成が求められる現代社会の諸課題を探究する活動を通して,望ましい解決の在り方について考察を深めさせる。
ア 現代日本の政治や経済の諸課題 少子高齢社会と社会保障,地域社会の変貌《ぼう》と住民生活,雇用と労働を巡る問題,産業構造の変化と中小企業,農業と食料問題などについて,政治と経済とを関連させて探究させる。
イ 国際社会の政治や経済の諸課題 地球環境と資源・エネルギー問題,国際経済格差の是正と国際協力,人種・民族問題と地域紛争,国際社会における日本の立場と役割などについて,政治と経済とを関連させて探究させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科,公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科及び情報科などとの関連を図るとともに,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。また,客観的な資料と関連させて政治や経済の諸課題を考察させるとともに,政治や経済についての公正かつ客観的な見方や考え方を深めさせること。
ウ 政治や経済について考察した過程や結果について適切に表現する能力と態度を育てるようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) アの「法の意義と機能」,「基本的人権の保障と法の支配」,「権利と義務の関係」については,法に関する基本的な見方や考え方を身に付けさせるとともに,裁判員制度を扱うこと。「民主政治の本質」については,世界の主な政治体制と関連させて扱うこと。また,「現代政治の特質」については,世...
(イ) イについては,文化や宗教の多様性についても理解させること。また,「国際紛争の諸要因」については,多様な角度から考察させるとともに,軍縮や核兵器廃絶などに関する国際的な取組についても扱うこと。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。 アについては,マクロ経済の観点を中心に扱うこと。「市場経済の機能と限界」については,公害防止と環境保全,消費者に関する問題も扱うこと。また,「金融の仕組みと働き」については,金融に関する環境の変化にも触れること。
ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) 内容の(3)については,この科目のまとめとして位置付け,内容の(1)及び(2)で学習した成果を生かし,地域や学校,生徒の実態等に応じて,ア及びイのそれぞれにおいて課題を選択させること。その際,政治や経済の基本的な概念や理論の理解の上に立って,事実に基づいて多様な角度から探究...
(イ) アについては,