平成20~21年 告示

https://w3id.org/jp-cos/period/H20toH21

詳細情報

名称
Published from 2008 to 2009
平成20~21年 告示
時期開始日
2008-01-01
時期終了日
2009-12-31
学習指導要領コード1桁目
7
学習指導要領コード1桁目に対応するFコード
A7
Type
告示時期

被参照情報

'告示時期'としての参照元:
第1章 総  則
第1 幼稚園教育の基本
 幼児期における教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり,幼稚園教育は,学校教育法第22条に規定する目的を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする。  このため,教師は幼児との信頼関係を十分に築き,幼児と共によりよい教育環境を創...
1 幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して,幼児の主体的な活動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
2 幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して,遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。
3 幼児の発達は,心身の諸側面が相互に関連し合い,多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること,また,幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して,幼児一人一人の特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること。
 その際,教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,教師は,幼児一人一人の活動...
第2 教育課程の編成
 幼稚園は,家庭との連携を図りながら,この章の第1に示す幼稚園教育の基本に基づいて展開される幼稚園生活を通して,生きる力の基礎を育成するよう学校教育法第23条に規定する幼稚園教育の目標の達成に努めなければならない。幼稚園は,このことにより,義務教育及びその後の教育の基礎を培うものと...
1 幼稚園生活の全体を通して第2章に示すねらいが総合的に達成されるよう,教育課程に係る教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織しなければならないこと。この場合においては,特に,自我が芽生え,他者の存在を意識し,自己を抑制しようとする気持ちが生まれ...
2 幼稚園の毎学年の教育課程に係る教育週数は,特別の事情のある場合を除き,39週を下ってはならないこと。
3 幼稚園の1日の教育課程に係る教育時間は,4時間を標準とすること。ただし,幼児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮すること。
第3 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動など
 幼稚園は,地域の実態や保護者の要請により教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動について,学校教育法第22条及び第23条並びにこの章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏まえ実施すること。また,幼稚園の目的の達成に資するため,幼児の生活全体が豊かなものとなるよう...
第2章 ねらい及び内容
 この章に示すねらいは,幼稚園修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情,意欲,態度などであり,内容は,ねらいを達成するために指導する事項である。これらを幼児の発達の側面から,心身の健康に関する領域「健康」,人とのかかわりに関する領域「人間関係」,身近な環境とのかかわり...
健 康 〔健康な心と体を育て,自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。〕
1 ねらい
(1) 明るく伸び伸びと行動し,充実感を味わう。
(2) 自分の体を十分に動かし,進んで運動しようとする。
(3) 健康,安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける。
2 内容
(1) 先生や友達と触れ合い,安定感をもって行動する。
(2) いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
(3) 進んで戸外で遊ぶ。
(4) 様々な活動に親しみ,楽しんで取り組む。
(5) 先生や友達と食べることを楽しむ。
(6) 健康な生活のリズムを身に付ける。
(7) 身の回りを清潔にし,衣服の着脱,食事,排泄などの生活に必要な活動を自分でする。
(8) 幼稚園における生活の仕方を知り,自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する。
(9) 自分の健康に関心をもち,病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
(10) 危険な場所,危険な遊び方,災害時などの行動の仕方が分かり,安全に気を付けて行動する。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 心と体の健康は,相互に密接な関連があるものであることを踏まえ,幼児が教師や他の幼児との温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として,しなやかな心と体の発達を促すこと。特に,十分に体を動かす気持ちよさを体験し,自ら体を動かそうとする意欲が育つようにする...
(2) 様々な遊びの中で,幼児が興味や関心,能力に応じて全身を使って活動することにより,体を動かす楽しさを味わい,安全についての構えを身に付け,自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。
(3) 自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶことにより,体の諸機能の発達が促されることに留意し,幼児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。その際,幼児の動線に配慮した園庭や遊具の配置などを工夫すること。
(4) 健康な心と体を育てるためには食育を通じた望ましい食習慣の形成が大切であることを踏まえ,幼児の食生活の実情に配慮し,和やかな雰囲気の中で教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさを味わったり,様々な食べ物への興味や関心をもったりするなどし,進んで食べようとする気持ちが育つようにするこ...
(5) 基本的な生活習慣の形成に当たっては,家庭での生活経験に配慮し,幼児の自立心を育て,幼児が他の幼児とかかわりながら主体的な活動を展開する中で,生活に必要な習慣を身に付けるようにすること。
人間関係 〔他の人々と親しみ,支え合って生活するために,自立心を育て,人とかかわる力を養う。〕
1 ねらい
(1) 幼稚園生活を楽しみ,自分の力で行動することの充実感を味わう。
(2) 身近な人と親しみ,かかわりを深め,愛情や信頼感をもつ。
(3) 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
2 内容
(1) 先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
(2) 自分で考え,自分で行動する。
(3) 自分でできることは自分でする。
(4) いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
(5) 友達と積極的にかかわりながら喜びや悲しみを共感し合う。
(6) 自分の思ったことを相手に伝え,相手の思っていることに気付く。
(7) 友達のよさに気付き,一緒に活動する楽しさを味わう。
(8) 友達と楽しく活動する中で,共通の目的を見いだし,工夫したり,協力したりなどする。
(9) よいことや悪いことがあることに気付き,考えながら行動する。
(10) 友達とのかかわりを深め,思いやりをもつ。
(11) 友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き,守ろうとする。
(12) 共同の遊具や用具を大切にし,みんなで使う。
(13) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 教師との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人とかかわる基盤となることを考慮し,幼児が自ら周囲に働き掛けることにより多様な感情を体験し,試行錯誤しながら自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう,幼児の行動を見守りながら適切な援助を行うようにするこ...
(2) 幼児の主体的な活動は,他の幼児とのかかわりの中で深まり,豊かになるものであり,幼児はその中で互いに必要な存在であることを認識するようになることを踏まえ,一人一人を生かした集団を形成しながら人とかかわる力を育てていくようにすること。特に,集団の生活の中で,幼児が自己を発揮し,...
(3) 幼児が互いにかかわりを深め,協同して遊ぶようになるため,自ら行動する力を育てるようにするとともに,他の幼児と試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを味わうことができるようにすること。
(4) 道徳性の芽生えを培うに当たっては,基本的な生活習慣の形成を図るとともに,幼児が他の幼児とのかかわりの中で他人の存在に気付き,相手を尊重する気持ちをもって行動できるようにし,また,自然や身近な動植物に親しむことなどを通して豊かな心情が育つようにすること。特に,人に対する信頼感...
(5) 集団の生活を通して,幼児が人とのかかわりを深め,規範意識の芽生えが培われることを考慮し,幼児が教師との信頼関係に支えられて自己を発揮する中で,互いに思いを主張し,折り合いを付ける体験をし,きまりの必要性などに気付き,自分の気持ちを調整する力が育つようにすること。
(6) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人と触れ合い,自分の感情や意志を表現しながら共に楽しみ,共感し合う体験を通して,これらの人々などに親しみをもち,人とかかわることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにすること。また,生活を通して親や...
環 境 〔周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもってかかわり,それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。〕
1 ねらい
(1) 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
(2) 身近な環境に自分からかかわり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようとする。
(3) 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。
2 内容
(1) 自然に触れて生活し,その大きさ,美しさ,不思議さなどに気付く。
(2) 生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
(3) 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
(4) 自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。
(5) 身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。
(6) 身近な物を大切にする。
(7) 身近な物や遊具に興味をもってかかわり,考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。
(8) 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
(9) 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。
(10) 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
(11) 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。
3 内容の取扱い  上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 幼児が,遊びの中で周囲の環境とかかわり,次第に周囲の世界に好奇心を抱き,その意味や操作の仕方に関心をもち,物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。特に,他の幼児の考えなどに触れ,新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自ら考えよう...
(2) 幼児期において自然のもつ意味は大きく,自然の大きさ,美しさ,不思議さなどに直接触れる体験を通して,幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎が培われることを踏まえ,幼児が自然とのかかわりを深めることができるよう工夫すること。
(3) 身近な事象や動植物に対する感動を伝え合い,共感し合うことなどを通して自分からかかわろうとする意欲を育てるとともに,様々なかかわり方を通してそれらに対する親しみや畏敬の念,生命を大切にする気持ち,公共心,探究心などが養われるようにすること。
(4) 数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし,数量や文字などに関する興味や関心,感覚が養われるようにすること。
言 葉 〔経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。〕
1 ねらい
(1) 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
(2) 人の言葉や話などをよく聞き,自分の経験したことや考えたことを話し,伝え合う喜びを味わう。
(3) 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,先生や友達と心を通わせる。
2 内容
(1) 先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち,親しみをもって聞いたり,話したりする。
(2) したり,見たり,聞いたり,感じたり,考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
(3) したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。
(4) 人の話を注意して聞き,相手に分かるように話す。
(5) 生活の中で必要な言葉が分かり,使う。
(6) 親しみをもって日常のあいさつをする。
(7) 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
(8) いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
(9) 絵本や物語などに親しみ,興味をもって聞き,想像をする楽しさを味わう。
(10) 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 言葉は,身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものであることを考慮して,幼児が教師や他の幼児とかかわることにより心を動かすような体験をし,言葉を交わす喜びを味わえるようにすること。
(2) 幼児が自分の思いを言葉で伝えるとともに,教師や他の幼児などの話を興味をもって注意して聞くことを通して次第に話を理解するようになっていき,言葉による伝え合いができるようにすること。
(3) 絵本や物語などで,その内容と自分の経験とを結び付けたり,想像を巡らせたりするなど,楽しみを十分に味わうことによって,次第に豊かなイメージをもち,言葉に対する感覚が養われるようにすること。
(4) 幼児が日常生活の中で,文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい,文字に対する興味や関心をもつようにすること。
表現 〔感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。〕
1 ねらい
(1) いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
(2) 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
(3) 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。
2 内容
(1) 生活の中で様々な音,色,形,手触り,動きなどに気付いたり,感じたりするなどして楽しむ。
(2) 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする。
(3) 様々な出来事の中で,感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
(4) 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。
(5) いろいろな素材に親しみ,工夫して遊ぶ。
(6) 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
(7) かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりなどする。
(8) 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり,演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。
3 内容の取扱い 上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 豊かな感性は,自然などの身近な環境と十分にかかわる中で美しいもの,優れたもの,心を動かす出来事などに出会い,そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して養われるようにすること。
(2) 幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて,幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。
(3) 生活経験や発達に応じ,自ら様々な表現を楽しみ,表現する意欲を十分に発揮させることができるように,遊具や用具などを整えたり,他の幼児の表現に触れられるよう配慮したりし,表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫すること。
第3章 指導計画及び教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
第1 指導計画の作成に当たっての留意事項
 幼稚園教育は,幼児が自ら意欲をもって環境とかかわることによりつくり出される具体的な活動を通して,その目標の達成を図るものである。  幼稚園においてはこのことを踏まえ,幼児期にふさわしい生活が展開され,適切な指導が行われるよう,次の事項に留意して調和のとれた組織的,発展的な指導計画...
1 一般的な留意事項
(1) 指導計画は,幼児の発達に即して一人一人の幼児が幼児期にふさわしい生活を展開し,必要な体験を得られるようにするために,具体的に作成すること。
(2) 指導計画の作成に当たっては,次に示すところにより,具体的なねらい及び内容を明確に設定し,適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにすること。
ア 具体的なねらい及び内容は,幼稚園生活における幼児の発達の過程を見通し,幼児の生活の連続性,季節の変化などを考慮して,幼児の興味や関心,発達の実情などに応じて設定すること。
イ 環境は,具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し,幼児が自らその環境にかかわることにより様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにすること。その際,幼児の生活する姿や発想を大切にし,常にその環境が適切なものとなるようにすること。
ウ 幼児の行う具体的な活動は,生活の流れの中で様々に変化するものであることに留意し,幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をすること。
その際,幼児の実態及び幼児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての反省や評価を適切に行い,常に指導計画の改善を図ること。
(3) 幼児の生活は,入園当初の一人一人の遊びや教師との触れ合いを通して幼稚園生活に親しみ,安定していく時期から,やがて友達同士で目的をもって幼稚園生活を展開し,深めていく時期などに至るまでの過程を様々に経ながら広げられていくものであることを考慮し,活動がそれぞれの時期にふさわしく...
(4) 幼児が様々な人やものとのかかわりを通して,多様な体験をし,心身の調和のとれた発達を促すようにしていくこと。その際,心が動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し,一つ一つの体験が相互に結び付き,幼稚園生活が充実するようにすること。
(5) 長期的に発達を見通した年,学期,月などにわたる長期の指導計画やこれとの関連を保ちながらより具体的な幼児の生活に即した週,日などの短期の指導計画を作成し,適切な指導が行われるようにすること。特に,週,日などの短期の指導計画については,幼児の生活のリズムに配慮し,幼児の意識や興...
(6) 幼児の行う活動は,個人,グループ,学級全体などで多様に展開されるものであるが,いずれの場合にも,幼稚園全体の教師による協力体制をつくりながら,一人一人の幼児が興味や欲求を十分に満足させるよう適切な援助を行うようにすること。
(7) 幼児の主体的な活動を促すためには,教師が多様なかかわりをもつことが重要であることを踏まえ,教師は,理解者,共同作業者など様々な役割を果たし,幼児の発達に必要な豊かな体験が得られるよう,活動の場面に応じて,適切な指導を行うようにすること。
(8) 幼児の生活は,家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりをもつものであることに留意し,家庭との連携を十分に図るなど,幼稚園における生活が家庭や地域社会と連続性を保ちつつ展開されるようにすること。その際,地域の自然,人材,行事や公共施設などの地域の資源を積極的に活用し,幼児...
(9) 幼稚園においては,幼稚園教育が,小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し,幼児期にふさわしい生活を通して,創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。
2 特に留意する事項
(1) 安全に関する指導に当たっては,情緒の安定を図り,遊びを通して状況に応じて機敏に自分の体を動かすことができるようにするとともに,危険な場所や事物などが分かり,安全についての理解を深めるようにすること。また,交通安全の習慣を身に付けるようにするとともに,災害などの緊急時に適切な...
(2) 障害のある幼児の指導に当たっては,集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し,特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉などの業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個...
(3) 幼児の社会性や豊かな人間性をはぐくむため,地域や幼稚園の実態等により,特別支援学校などの障害のある幼児との活動を共にする機会を積極的に設けるよう配慮すること。
(4) 行事の指導に当たっては,幼稚園生活の自然の流れの中で生活に変化や潤いを与え,幼児が主体的に楽しく活動できるようにすること。なお,それぞれの行事についてはその教育的価値を十分検討し,適切なものを精選し,幼児の負担にならないようにすること。
(5) 幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続のため,幼児と児童の交流の機会を設けたり,小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会を設けたりするなど,連携を図るようにすること。
第2 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
1 地域の実態や保護者の要請により,教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動については,幼児の心身の負担に配慮すること。また,以下の点にも留意すること。
(1) 教育課程に基づく活動を考慮し,幼児期にふさわしい無理のないものとなるようにすること。その際,教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図るようにすること。
(2) 家庭や地域での幼児の生活も考慮し,教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画を作成するようにすること。その際,地域の様々な資源を活用しつつ,多様な体験ができるようにすること。
(3) 家庭との緊密な連携を図るようにすること。その際,情報交換の機会を設けたりするなど,保護者が,幼稚園と共に幼児を育てるという意識が高まるようにすること。
(4) 地域の実態や保護者の事情とともに幼児の生活のリズムを踏まえつつ,例えば実施日数や時間などについて,弾力的な運用に配慮すること。
(5) 適切な指導体制を整備した上で,幼稚園の教師の責任と指導の下に行うようにすること。
2 幼稚園の運営に当たっては,子育ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放して,園内体制の整備や関係機関との連携及び協力に配慮しつつ,幼児期の教育に関する相談に応じたり,情報を提供したり,幼児と保護者との登園を受け入れたり,保護者同士の交流の機会を提供したりするなど,地...
第1章 総則
第1 教育課程編成の一般方針
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,児童の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び児童の心身の発達の段階や特性を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものと...
2 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」 という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならな...
3 学校における体育・健康に関する指導は,児童の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科の時間はもとより,家庭科,特別活動な...
第2 内容等の取扱いに関する共通的事項
1 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,全ての児童に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,こ...
3 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動並びに各学年の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
4 学年の目標及び内容を2学年まとめて示した教科及び外国語活動の内容は,2学年間かけて指導する事項を示したものである。各学校においては,これらの事項を地域や学校及び児童の実態に応じ,2学年間を見通して計画的に指導することとし,特に示す場合を除き,いずれかの学年に分けて,又はいずれの...
5 学校において2以上の学年の児童で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。
6 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とする。
第3 授業時数等の取扱い
1 各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,1及び3において,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。)の授業は,年間35週(第1学年については34週)以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が児童...
2 特別活動の授業のうち,児童会活動,クラブ活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
3 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数を確保しつつ,児童の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとする。
4 各学校においては,地域や学校及び児童の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することができる。
5 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
1 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
(2) 学年の目標及び内容を2学年まとめて示した教科及び外国語活動については,当該学年間を見通して,地域や学校及び児童の実態に応じ,児童の発達の段階を考慮しつつ,効果的,段階的に指導するようにすること。
(3) 各教科の各学年の指導内容については,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,効果的な指導ができるようにすること。
(4) 児童の実態等を考慮し,指導の効果を高めるため,合科的・関連的な指導を進めること。
2 各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各教科等の指導に当たっては,児童の思考力,判断力,表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め,言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え,児童の言語活動を充実すること。
(2) 各教科等の指導に当たっては,体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視するとともに,児童の興味・関心を生かし,自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
(3) 日ごろから学級経営の充実を図り,教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間関係を育てるとともに児童理解を深め,生徒指導の充実を図ること。
(4) 各教科等の指導に当たっては,児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること。
(5) 各教科等の指導に当たっては,児童が学習課題や活動を選択したり,自らの将来について考えたりする機会を設けるなど工夫すること。
(6) 各教科等の指導に当たっては,児童が学習内容を確実に身に付けることができるよう,学校や児童の実態に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,学習内容の習熟の程度に応じた指導,児童の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導,教師...
(7) 障害のある児童などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行う...
(8) 海外から帰国した児童などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うこと。
(9) 各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの...
(10) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(11) 児童のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(12) 学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,小学校間,幼稚園や保育所,中学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などと...
3 道徳教育を進めるに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校においては,第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」 という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。 なお,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,児童,...
(2) 各学校においては,児童の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,各学年を通じて,自立心や自律性,生命を尊重する心や他者を思いやる心を育てることに留意すること。また,各学年段階においては,次の事項に留意すること。
ア 第1学年及び第2学年においては,挨拶などの基本的な生活習慣を身に付けること,善悪を判断し,してはならないことをしないこと,社会生活上のきまりを守ること。
イ 第3学年及び第4学年においては,善悪を判断し,正しいと判断したことを行うこと,身近な人々と協力し助け合うこと,集団や社会のきまりを守ること。
ウ 第5学年及び第6学年においては,相手の考え方や立場を理解して支え合うこと,法やきまりの意義を理解して進んで守ること,集団生活の充実に努めること,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重すること。
(3) 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,児童の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意...
(4) 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
第2章 各 教 科
第1節 国語
第1 目標  国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力及び言語感覚を養い,国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 相手に応じ,身近なことなどについて,事柄の順序を考えながら話す能力,大事なことを落とさないように聞く能力,話題に沿って話し合う能力を身に付けさせるとともに,進んで話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 経験したことや想像したことなどについて,順序を整理し,簡単な構成を考えて文や文章を書く能力を身に付けさせるとともに,進んで書こうとする態度を育てる。
(3) 書かれている事柄の順序や場面の様子などに気付いたり,想像を広げたりしながら読む能力を身に付けさせるとともに,楽しんで読書しようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 身近なことや経験したことなどから話題を決め,必要な事柄を思い出すこと。
イ 相手に応じて,話す事柄を順序立て,丁寧な言葉と普通の言葉との違いに気を付けて話すこと。
ウ 姿勢や口形,声の大きさや速さなどに注意して,はっきりした発音で話すこと。
エ 大事なことを落とさないようにしながら,興味をもって聞くこと。
オ 互いの話を集中して聞き,話題に沿って話し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 事物の説明や経験の報告をしたり,それらを聞いて感想を述べたりすること。
イ 尋ねたり応答したり,グループで話し合って考えを一つにまとめたりすること。
ウ 場面に合わせてあいさつをしたり,必要なことについて身近な人と連絡をし合ったりすること。
エ 知らせたいことなどについて身近な人に紹介したり,それを聞いたりすること。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 経験したことや想像したことなどから書くことを決め,書こうとする題材に必要な事柄を集めること。
イ 自分の考えが明確になるように,事柄の順序に沿って簡単な構成を考えること。 
ウ 語と語や文と文との続き方に注意しながら,つながりのある文や文章を書くこと。
エ 文章を読み返す習慣を付けるとともに,間違いなどに気付き,正すこと。
オ 書いたものを読み合い,よいところを見付けて感想を伝え合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 想像したことなどを文章に書くこと。
イ 経験したことを報告する文章や観察したことを記録する文章などを書くこと。
ウ 身近な事物を簡単に説明する文章などを書くこと。
エ 紹介したいことをメモにまとめたり,文章に書いたりすること。
オ 伝えたいことを簡単な手紙に書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。
イ 時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと。
ウ 場面の様子について,登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。
エ 文章の中の大事な言葉や文を書き抜くこと。
オ 文章の内容と自分の経験とを結び付けて,自分の思いや考えをまとめ,発表し合うこと。
カ 楽しんだり知識を得たりするために,本や文章を選んで読むこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 本や文章を楽しんだり,想像を広げたりしながら読むこと。
イ 物語の読み聞かせを聞いたり,物語を演じたりすること。
ウ 事物の仕組みなどについて説明した本や文章を読むこと。
エ 物語や,科学的なことについて書いた本や文章を読んで,感想を書くこと。
オ 読んだ本について,好きなところを紹介すること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり,発表し合ったりすること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 言葉には,事物の内容を表す働きや,経験したことを伝える働きがあることに気付くこと。
(イ) 音節と文字との関係や,アクセントによる語の意味の違いなどに気付くこと。
(ウ) 言葉には,意味による語句のまとまりがあることに気付くこと。
(エ) 長音,拗《よう》音,促音,撥《はつ》音などの表記ができ,助詞の「は」,「へ」及び「を」を文の中で正しく使うこと。
(オ) 句読点の打ち方や,かぎ(「 」)の使い方を理解して文章の中で使うこと。
(カ) 文の中における主語と述語との関係に注意すること。
(キ) 敬体で書かれた文章に慣れること。
ウ 文字に関する事項
(ア) 平仮名及び片仮名を読み,書くこと。また,片仮名で書く語の種類を知り,文や文章の中で使うこと。
(イ) 第1学年においては,別表の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)の第1学年に配当されている漢字を読み,漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(ウ) 第2学年においては,学年別漢字配当表の第2学年までに配当されている漢字を読むこと。また,第1学年に配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,第2学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 姿勢や筆記具の持ち方を正しくし,文字の形に注意しながら,丁寧に書くこと。
イ 点画の長短や方向,接し方や交わり方などに注意して,筆順に従って文字を正しく書くこと。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 相手や目的に応じ,調べたことなどについて,筋道を立てて話す能力,話の中心に気を付けて聞く能力,進行に沿って話し合う能力を身に付けさせるとともに,工夫をしながら話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 相手や目的に応じ,調べたことなどが伝わるように,段落相互の関係などに注意して文章を書く能力を身に付けさせるとともに,工夫をしながら書こうとする態度を育てる。
(3) 目的に応じ,内容の中心をとらえたり段落相互の関係を考えたりしながら読む能力を身に付けさせるとともに,幅広く読書しようとする態度を育てる。
2 内容                   
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 関心のあることなどから話題を決め,必要な事柄について調べ,要点をメモすること。
イ 相手や目的に応じて,理由や事例などを挙げながら筋道を立て,丁寧な言葉を用いるなど適切な言葉遣いで話すこと。
ウ 相手を見たり,言葉の抑揚や強弱,間の取り方などに注意したりして話すこと。
エ 話の中心に気を付けて聞き,質問をしたり感想を述べたりすること。
オ 互いの考えの共通点や相違点を考え,司会や提案などの役割を果たしながら,進行に沿って話し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 出来事の説明や調査の報告をしたり,それらを聞いて意見を述べたりすること。
イ 学級全体で話し合って考えをまとめたり,意見を述べ合ったりすること。
ウ 図表や絵,写真などから読み取ったことを基に話したり,聞いたりすること。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 関心のあることなどから書くことを決め,相手や目的に応じて,書く上で必要な事柄を調べること。
イ 文章全体における段落の役割を理解し,自分の考えが明確になるように,段落相互の関係などに注意して文章を構成すること。
ウ 書こうとすることの中心を明確にし,目的や必要に応じて理由や事例を挙げて書くこと。
エ 文章の敬体と常体との違いに注意しながら書くこと。
オ 文章の間違いを正したり,よりよい表現に書き直したりすること。
カ 書いたものを発表し合い,書き手の考えの明確さなどについて意見を述べ合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 身近なこと,想像したことなどを基に,詩をつくったり,物語を書いたりすること。
イ 疑問に思ったことを調べて,報告する文章を書いたり,学級新聞などに表したりすること。
ウ 収集した資料を効果的に使い,説明する文章などを書くこと。
エ 目的に合わせて依頼状,案内状,礼状などの手紙を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 内容の中心や場面の様子がよく分かるように音読すること。
イ 目的に応じて,中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え,文章を読むこと。
ウ 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景などについて,叙述を基に想像して読むこと。
エ 目的や必要に応じて,文章の要点や細かい点に注意しながら読み,文章などを引用したり要約したりすること。 
オ 文章を読んで考えたことを発表し合い,一人一人の感じ方について違いのあることに気付くこと。
カ 目的に応じて,いろいろな本や文章を選んで読むこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 物語や詩を読み,感想を述べ合うこと。
イ 記録や報告の文章,図鑑や事典などを読んで利用すること。
ウ 記録や報告の文章を読んでまとめたものを読み合うこと。
エ 紹介したい本を取り上げて説明すること。
オ 必要な情報を得るために,読んだ内容に関連した他の本や文章などを読むこと。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 易しい文語調の短歌や俳句について,情景を思い浮かべたり,リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。
(イ) 長い間使われてきたことわざや慣用句,故事成語などの意味を知り,使うこと。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 言葉には,考えたことや思ったことを表す働きがあることに気付くこと。
(イ) 漢字と仮名を用いた表記などに関心をもつこと。
(ウ) 送り仮名に注意して書き,また,活用についての意識をもつこと。
(エ) 句読点を適切に打ち,また,段落の始め,会話の部分などの必要な箇所は行を改めて書くこと。
(オ) 表現したり理解したりするために必要な語句を増し,また,語句には性質や役割の上で類別があることを理解すること。
(カ) 表現したり理解したりするために必要な文字や語句について,辞書を利用して調べる方法を理解し,調べる習慣を付けること。
(キ) 修飾と被修飾との関係など,文の構成について初歩的な理解をもつこと。
(ク) 指示語や接続語が文と文との意味のつながりに果たす役割を理解し,使うこと。
ウ 文字に関する事項
(ア) 第3学年においては,日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,また,ローマ字で書くこと。
(イ) 第3学年及び第4学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(ウ) 漢字のへん,つくりなどの構成についての知識をもつこと。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 文字の組立て方を理解し,形を整えて書くこと。
イ 漢字や仮名の大きさ,配列に注意して書くこと。
ウ 点画の種類を理解するとともに,毛筆を使用して筆圧などに注意して書くこと。
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 目的や意図に応じ,考えたことや伝えたいことなどについて,的確に話す能力,相手の意図をつかみながら聞く能力,計画的に話し合う能力を身に付けさせるとともに,適切に話したり聞いたりしようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,考えたことなどを文章全体の構成の効果を考えて文章に書く能力を身に付けさせるとともに,適切に書こうとする態度を育てる。
(3) 目的に応じ,内容や要旨をとらえながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 考えたことや伝えたいことなどから話題を決め,収集した知識や情報を関係付けること。
イ 目的や意図に応じて,事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら,場に応じた適切な言葉遣いで話すこと。
ウ 共通語と方言との違いを理解し,また,必要に応じて共通語で話すこと。 
エ 話し手の意図をとらえながら聞き,自分の意見と比べるなどして考えをまとめること。
オ 互いの立場や意図をはっきりさせながら,計画的に話し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 資料を提示しながら説明や報告をしたり,それらを聞いて助言や提案をしたりすること。
イ 調べたことやまとめたことについて,討論などをすること。
ウ 事物や人物を推薦したり,それを聞いたりすること。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 考えたことなどから書くことを決め,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理すること。
イ 自分の考えを明確に表現するため,文章全体の構成の効果を考えること。
ウ 事実と感想,意見などとを区別するとともに,目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりすること。
エ 引用したり,図表やグラフなどを用いたりして,自分の考えが伝わるように書くこと。
オ 表現の効果などについて確かめたり工夫したりすること。
カ 書いたものを発表し合い,表現の仕方に着目して助言し合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 経験したこと,想像したことなどを基に,詩や短歌,俳句をつくったり,物語や随筆などを書いたりすること。 
イ 自分の課題について調べ,意見を記述した文章や活動を報告した文章などを書いたり編集したりすること。 
ウ 事物のよさを多くの人に伝えるための文章を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 自分の思いや考えが伝わるように音読や朗読をすること。
イ 目的に応じて,本や文章を比べて読むなど効果的な読み方を工夫すること。
ウ 目的に応じて,文章の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり,事実と感想,意見などとの関係を押さえ,自分の考えを明確にしながら読んだりすること。
エ 登場人物の相互関係や心情,場面についての描写をとらえ,優れた叙述について自分の考えをまとめること。
オ 本や文章を読んで考えたことを発表し合い,自分の考えを広げたり深めたりすること。
カ 目的に応じて,複数の本や文章などを選んで比べて読むこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 伝記を読み,自分の生き方について考えること。
イ 自分の課題を解決するために,意見を述べた文章や解説の文章などを利用すること。
ウ 編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと。
エ 本を読んで推薦の文章を書くこと。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 親しみやすい古文や漢文,近代以降の文語調の文章について,内容の大体を知り,音読すること。
(イ) 古典について解説した文章を読み,昔の人のものの見方や感じ方を知ること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 話し言葉と書き言葉との違いに気付くこと。
(イ) 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いに気付くこと。
(ウ) 送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書くこと。
(エ) 語句の構成,変化などについての理解を深め,また,語句の由来などに関心をもつこと。
(オ) 文章の中での語句と語句との関係を理解すること。
(カ) 語感,言葉の使い方に対する感覚などについて関心をもつこと。
(キ) 文や文章にはいろいろな構成があることについて理解すること。
(ク) 日常よく使われる敬語の使い方に慣れること。
(ケ) 比喩《ゆ》や反復などの表現の工夫に気付くこと。
ウ 文字に関する事項
(ア) 第5学年及び第6学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。
(イ) 仮名及び漢字の由来,特質などについて理解すること。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 用紙全体との関係に注意し,文字の大きさや配列などを決めるとともに,書く速さを意識して書くこと。
イ 目的に応じて使用する筆記具を選び,その特徴を生かして書くこと。
ウ 毛筆を使用して,穂先の動きと点画のつながりを意識して書くこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり,その後の学年で程度を高めて取り上げたりして,弾力的に指導することができるようにすること。
(2) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕に示す事項については,相互に密接に関連付けて指導するようにするとともに,それぞれの能力が偏りなく養われるようにすること。その際,学校図書館などを計画的...
(3) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」に関する指導については,意図的,計画的に指導する機会が得られるように,第1学年及び第2学年では年間35単位時間程度,第3学年及び第4学年では年間30単位時間程度,第5学年及び第6学年では年間25単位時間程度を配当すること。その際,...
(4) 第2の各学年の内容の「B書くこと」に関する指導については,第1学年及び第2学年では年間100単位時間程度,第3学年及び第4学年では年間85単位時間程度,第5学年及び第6学年では年間55単位時間程度を配当すること。その際,実際に文章を書く活動をなるべく多くすること。
(5) 第2の各学年の内容の「C読むこと」に関する指導については,読書意欲を高め,日常生活において読書活動を活発に行うようにするとともに,他の教科における読書の指導や学校図書館における指導との関連を考えて行うこと。学校図書館の利用に際しては,本の題名や種類などに注目したり,索引を利...
(6) 低学年においては,生活科などとの関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては,幼稚園教育における言葉に関する内容などとの関連を考慮すること。
(7) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の各学年の内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕については,次のとおり取り扱うものとする。
(1) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 特定の事項をまとめて指導したり,繰り返して指導したりすることが必要な場合については,特にそれだけを取り上げて学習させるよう配慮すること。
イ 伝統的な言語文化に関する指導については,各学年で行い,古典に親しめるよう配慮すること。
ウ 漢字の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア) 学年ごとに配当されている漢字は,児童の学習負担に配慮しつつ,必要に応じて,当該学年以前の学年又は当該学年以降の学年において指導することもできること。
(イ) 当該学年より後の学年に配当されている漢字及びそれ以外の漢字については,振り仮名を付けるなど,児童の学習負担に配慮しつつ提示することができること。
(ウ) 漢字の指導においては,学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とすること。
(2) 硬筆を使用する書写の指導は各学年で行い,毛筆を使用する書写の指導は第3学年以上の各学年で行うこと。また,毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導し,文字を正しく整えて書くことができるようにするとともに,各学年年間30単位時間程度を配当すること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 教材は,話すこと・聞くことの能力,書くことの能力及び読むことの能力などを偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成を通して読書習慣を形成することをねらいとし,児童の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,第2の各学年の内容の「A話すこと・聞く...
(2) 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する関心を高め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力及び言語感覚を養うのに役立つこと。
ウ 公正かつ適切に判断する能力や態度を育てるのに役立つこと。
エ 科学的,論理的な見方や考え方をする態度を育て,視野を広げるのに役立つこと。
オ 生活を明るくし,強く正しく生きる意志を育てるのに役立つこと。
カ 生命を尊重し,他人を思いやる心を育てるのに役立つこと。
キ 自然を愛し,美しいものに感動する心を育てるのに役立つこと。
ク 我が国の伝統と文化に対する理解と愛情を育てるのに役立つこと。
ケ 日本人としての自覚をもって国を愛し,国家,社会の発展を願う態度を育てるのに役立つこと。
コ 世界の風土や文化などを理解し,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
(3) 第2の各学年の内容の「C読むこと」の教材については,説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うこと。
別表 学 年 別 漢 字 配 当 表
第一学年(80字)
第二学年(160字)
西
第三学年(200字)
使
宿
調
第四学年(200字)
便
第五学年(185字)
退
貿
綿
領                   
第六学年(181字)
沿
姿
論                         
第2節 社   会
第1 目標  社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 地域の産業や消費生活の様子,人々の健康な生活や良好な生活環境及び安全を守るための諸活動について理解できるようにし,地域社会の一員としての自覚をもつようにする。
(2) 地域の地理的環境,人々の生活の変化や地域の発展に尽くした先人の働きについて理解できるようにし,地域社会に対する誇りと愛情を育てるようにする。
(3) 地域における社会的事象を観察,調査するとともに,地図や各種の具体的資料を効果的に活用し,地域社会の社会的事象の特色や相互の関連などについて考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。
2 内容
(1) 自分たちの住んでいる身近な地域や市(区,町,村)について,次のことを観察,調査したり白地図にまとめたりして調べ,地域の様子は場所によって違いがあることを考えるようにする。
ア 身近な地域や市(区,町,村)の特色ある地形,土地利用の様子,主な公共施設などの場所と働き,交通の様子,古くから残る建造物など
(2) 地域の人々の生産や販売について,次のことを見学したり調査したりして調べ,それらの仕事に携わっている人々の工夫を考えるようにする。
ア 地域には生産や販売に関する仕事があり,それらは自分たちの生活を支えていること。
イ 地域の人々の生産や販売に見られる仕事の特色及び国内の他地域などとのかかわり
(3) 地域の人々の生活にとって必要な飲料水,電気,ガスの確保や廃棄物の処理について,次のことを見学,調査したり資料を活用したりして調べ,これらの対策や事業は地域の人々の健康な生活や良好な生活環境の維持と向上に役立っていることを考えるようにする。
ア 飲料水,電気,ガスの確保や廃棄物の処理と自分たちの生活や産業とのかかわり
イ これらの対策や事業は計画的,協力的に進められていること。
(4) 地域社会における災害及び事故の防止について,次のことを見学,調査したり資料を活用したりして調べ,人々の安全を守るための関係機関の働きとそこに従事している人々や地域の人々の工夫や努力を考えるようにする。
ア 関係機関は地域の人々と協力して,災害や事故の防止に努めていること。
イ 関係の諸機関が相互に連携して,緊急に対処する体制をとっていること。
(5) 地域の人々の生活について,次のことを見学,調査したり年表にまとめたりして調べ,人々の生活の変化や人々の願い,地域の人々の生活の向上に尽くした先人の働きや苦心を考えるようにする。
ア 古くから残る暮らしにかかわる道具,それらを使っていたころの暮らしの様子
イ 地域の人々が受け継いできた文化財や年中行事
ウ 地域の発展に尽くした先人の具体的事例
(6) 県(都,道,府)の様子について,次のことを資料を活用したり白地図にまとめたりして調べ,県(都,道,府)の特色を考えるようにする。
ア 県(都,道,府)内における自分たちの市(区,町,村)及び我が国における自分たちの県(都,道,府)の地理的位置,47都道府県の名称と位置
イ 県(都,道,府)全体の地形や主な産業の概要,交通網の様子や主な都市の位置
ウ 県(都,道,府)内の特色ある地域の人々の生活
エ 人々の生活や産業と国内の他地域や外国とのかかわり
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)については,方位や主な地図記号について扱うものとする。
(2) 内容の(2)のイについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「生産」については,農家,工場などの中から選択して取り上げること。
イ 「販売」については,商店を取り上げ,販売者の側の工夫を消費者の側の工夫と関連付けて扱うようにすること。
ウ 「国内の他地域など」については,外国とのかかわりにも気付くよう配慮すること。
(3) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「飲料水,電気,ガス」については,それらの中から選択して取り上げ,節水や節電などの資源の有効な利用についても扱うこと。
イ 「廃棄物の処理」については,ごみ,下水のいずれかを選択して取り上げ,廃棄物を資源として活用していることについても扱うこと。
(4) 内容の(4)の「災害」については,火災,風水害,地震などの中から選択して取り上げ,「事故の防止」については,交通事故などの事故防止や防犯を取り上げるものとする。
(5) 内容の(3)及び(4)にかかわって,地域の社会生活を営む上で大切な法やきまりについて扱うものとする。
(6) 内容の(5)のウの「具体的事例」については,開発,教育,文化,産業などの地域の発展に尽くした先人の中から選択して取り上げるものとする。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア ウについては,自然環境,伝統や文化などの地域の資源を保護・活用している地域を取り上げること。その際,伝統的な工業などの地場産業の盛んな地域を含めること。
イ エについては,我が国や外国には国旗があることを理解させ,それを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
〔第5学年〕
1 目標
(1) 我が国の国土の様子,国土の環境と国民生活との関連について理解できるようにし,環境の保全や自然災害の防止の重要性について関心を深め,国土に対する愛情を育てるようにする。
(2) 我が国の産業の様子,産業と国民生活との関連について理解できるようにし,我が国の産業の発展や社会の情報化の進展に関心をもつようにする。
(3) 社会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,統計などの各種の基礎的資料を効果的に活用し,社会的事象の意味について考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。
2 内容
(1) 我が国の国土の自然などの様子について,次のことを地図や地球儀,資料などを活用して調べ,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを考えるようにする。
ア 世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置,我が国の位置と領土
イ 国土の地形や気候の概要,自然条件から見て特色ある地域の人々の生活
ウ 公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さ
エ 国土の保全などのための森林資源の働き及び自然災害の防止
(2) 我が国の農業や水産業について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民の食料を確保する重要な役割を果たしていることや自然環境と深いかかわりをもって営まれていることを考えるようにする。
ア 様々な食料生産が国民の食生活を支えていること,食料の中には外国から輸入しているものがあること。
イ 我が国の主な食料生産物の分布や土地利用の特色など
ウ 食料生産に従事している人々の工夫や努力,生産地と消費地を結ぶ運輸などの働き
(3) 我が国の工業生産について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,それらは国民生活を支える重要な役割を果たしていることを考えるようにする。
ア 様々な工業製品が国民生活を支えていること。
イ 我が国の各種の工業生産や工業地域の分布など
ウ 工業生産に従事している人々の工夫や努力,工業生産を支える貿易や運輸などの働き
(4) 我が国の情報産業や情報化した社会の様子について,次のことを調査したり資料を活用したりして調べ,情報化の進展は国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用が大切であることを考えるようにする。
ア 放送,新聞などの産業と国民生活とのかかわり
イ 情報化した社会の様子と国民生活とのかかわり
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「主な国」については,近隣の諸国を含めて取り上げるものとすること。その際,我が国や諸外国には国旗があることを理解するとともに,それを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
イ イの「自然条件から見て特色ある地域」については,事例地を選択して取り上げ,自然環境に適応しながら生活している人々の工夫を具体的に扱うこと。
ウ ウについては,大気の汚染,水質の汚濁などの中から具体的事例を選択して取り上げること。
エ エについては,我が国の国土保全等の観点から扱うようにし,森林資源の育成や保護に従事している人々の工夫や努力及び環境保全のための国民一人一人の協力の必要性に気付くよう配慮すること。
(2) 内容の(2)のウについては,農業や水産業の盛んな地域の具体的事例を通して調べることとし,稲作のほか,野菜,果物,畜産物,水産物などの生産の中から一つを取り上げるものとする。
(3) 内容の(3)のウについては,工業の盛んな地域の具体的事例を通して調べることとし,金属工業,機械工業,石油化学工業,食料品工業などの中から一つを取り上げるものとする。
(4) 内容の(2)のウ及び(3)のウにかかわって,価格や費用,交通網について取り扱うものとする。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,放送,新聞などの中から選択して取り上げること。
イ イについては,情報ネットワークを有効に活用して公共サービスの向上に努めている教育,福祉,医療,防災などの中から選択して取り上げること。
〔第6学年〕
1 目標
(1) 国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について興味・関心と理解を深めるようにするとともに,我が国の歴史や伝統を大切にし,国を愛する心情を育てるようにする。
(2) 日常生活における政治の働きと我が国の政治の考え方及び我が国と関係の深い国の生活や国際社会における我が国の役割を理解できるようにし,平和を願う日本人として世界の国々の人々と共に生きていくことが大切であることを自覚できるようにする。
(3) 社会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,年表などの各種の基礎的資料を効果的に活用し,社会的事象の意味をより広い視野から考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。
2 内容
(1) 我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や文化財,資料などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにするとともに,自分たちの生活の歴史的背景,我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにする。
ア 狩猟・採集や農耕の生活,古墳について調べ,大和朝廷による国土の統一の様子が分かること。その際,神話・伝承を調べ,国の形成に関する考え方などに関心をもつこと。
イ 大陸文化の摂取,大化の改新,大仏造営の様子,貴族の生活について調べ,天皇を中心とした政治が確立されたことや日本風の文化が起こったことが分かること。
ウ 源平の戦い,鎌倉《かまくら》幕府の始まり,元との戦いについて調べ,武士による政治が始まったことが分かること。
エ 京都の室町に幕府が置かれたころの代表的な建造物や絵画について調べ,室町文化が生まれたことが分かること。
オ キリスト教の伝来,織田《おだ》・豊臣《とよとみ》の天下統一,江戸幕府の始まり,参勤交代,鎖国について調べ,戦国の世が統一され,身分制度が確立し武士による政治が安定したことが分かること。
カ 歌舞伎《かぶき》や浮世絵,国学や蘭学《らんがく》について調べ,町人の文化が栄え新しい学問が起こったことが分かること。
キ 黒船の来航,明治維新,文明開化などについて調べ,廃藩置県や四民平等などの諸改革を行い,欧米の文化を取り入れつつ近代化を進めたことが分かること。
ク 大日本帝国憲法の発布,日清《にっしん》・日露の戦争,条約改正,科学の発展などについて調べ,我が国の国力が充実し国際的地位が向上したことが分かること。
ケ 日華事変,我が国にかかわる第二次世界大戦,日本国憲法の制定,オリンピックの開催などについて調べ,戦後我が国は民主的な国家として出発し,国民生活が向上し国際社会の中で重要な役割を果たしてきたことが分かること。
(2) 我が国の政治の働きについて,次のことを調査したり資料を活用したりして調べ,国民主権と関連付けて政治は国民生活の安定と向上を図るために大切な働きをしていること,現在の我が国の民主政治は日本国憲法の基本的な考え方に基づいていることを考えるようにする。
ア 国民生活には地方公共団体や国の政治の働きが反映していること。 
イ 日本国憲法は,国家の理想,天皇の地位,国民としての権利及び義務など国家や国民生活の基本を定めていること。
(3) 世界の中の日本の役割について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,外国の人々と共に生きていくためには異なる文化や習慣を理解し合うことが大切であること,世界平和の大切さと我が国が世界において重要な役割を果たしていることを考えるようにする。
ア 我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子
イ 我が国の国際交流や国際協力の様子及び平和な国際社会の実現に努力している国際連合の働き
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 児童の興味・関心を重視し,取り上げる人物や文化遺産の重点の置き方に工夫を加えるなど,精選して具体的に理解できるようにすること。その際,ケの指導に当たっては,児童の発達の段階を考慮すること。
イ 歴史学習全体を通して,我が国は長い歴史をもち伝統や文化をはぐくんできたこと,我が国の歴史は政治の中心地や世の中の様子などによって幾つかの時期に分けられることに気付くようにすること。
ウ アの「神話・伝承」については,古事記,日本書紀,風土記などの中から適切なものを取り上げること。
エ アからクまでについては,例えば,次に掲げる人物を取り上げ,人物の働きを通して学習できるように指導すること。
卑弥呼《ひみこ》
聖徳太子《しょうとくたいし》
小野妹子《おののいもこ》
中大兄皇子《なかのおおえのおうじ》
中臣鎌足《なかとみのかまたり》
聖武《しょうむ》天皇
行基《ぎょうき》
鑑真《がんじん》
藤原道長《ふじわらのみちなが》
紫 式部《むらさきしきぶ》
清少納言《せいしょうなごん》
平 清盛《たいらのきよもり》
源 頼朝《みなもとのよりとも》
源 義経《みなもとのよしつね》
北条時宗《ほうじょうときむね》
足利義満《あしかがよしみつ》
足利義政《あしかがよしまさ》
雪舟《せっしゅう》
ザビエル
織田信長《おだのぶなが》
豊臣秀吉《とよとみひでよし》
徳川家康《とくがわいえやす》
徳川家光《とくがわいえみつ》
近松門左衛門《ちかまつもんざえもん》
歌川《うたがわ》(安藤《あんどう》)広重《ひろしげ》
本居宣長《もとおりのりなが》
杉田玄白《すぎたげんぱく》
伊能忠敬《いのうただたか》
ペリー
勝海舟《かつかいしゅう》
西郷隆盛《さいごうたかもり》
大久保利通《おおくぼとしみつ》
木戸孝允《きどたかよし》
明治天皇
福沢諭吉《ふくざわゆきち》
大隈重信《おおくましげのぶ》
板垣退助《いたがきたいすけ》
伊藤博文《いとうひろぶみ》
陸奥宗光《むつむねみつ》
東郷平八郎《とうごうへいはちろう》
小村寿太郎《こむらじゅたろう》
野口英世《のぐちひでよ》
オ アからケまでについては,例えば,国宝,重要文化財に指定されているものや,そのうち世界文化遺産に登録されているものなどを取り上げ,我が国の代表的な文化遺産を通して学習できるように配慮すること。
(2) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 政治の働きと国民生活との関係を具体的に指導する際には,各々の国民の祝日に関心をもち,その意義を考えさせるよう配慮すること。
イ 国会などの議会政治や選挙の意味,国会と内閣と裁判所の三権相互の関連,国民の司法参加,租税の役割などについても扱うようにすること。
ウ アの「地方公共団体や国の政治の働き」については,社会保障,災害復旧の取組,地域の開発などの中から選択して取り上げ,具体的に調べられるようにすること。
エ イの「天皇の地位」については,日本国憲法に定める天皇の国事に関する行為など児童に理解しやすい具体的な事項を取り上げ,歴史に関する学習との関連も図りながら,天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること。また,イの「国民としての権利及び義務」については,参政権,納税の義務など...
(3) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,我が国とつながりが深い国から数か国を取り上げること。その際,それらの中から児童が一か国を選択して調べるよう配慮し,様々な外国の文化を具体的に理解できるようにするとともに,我が国や諸外国の伝統や文化を尊重しようとする態度を養うこと。 
イ イの「国際交流」についてはスポーツ,文化の中から,「国際協力」については教育,医学,農業などの分野で世界に貢献している事例の中から,それぞれ選択して取り上げ,国際社会における我が国の役割を具体的に考えるようにすること。
ウ イの「国際連合の働き」については,網羅的,抽象的な扱いにならないよう,ユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げて具体的に調べるようにすること。
エ ア及びイについては,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てるとともに,諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校においては,地域の実態を生かし,児童が興味・関心をもって学習に取り組めるようにするとともに,観察や調査・見学などの体験的な活動やそれに基づく表現活動の一層の充実を図ること。
(2) 博物館や郷土資料館等の施設の活用を図るとともに,身近な地域及び国土の遺跡や文化財などの観察や調査を取り入れるようにすること。
(3) 学校図書館や公共図書館,コンピュータなどを活用して,資料の収集・活用・整理などを行うようにすること。また,第4学年以降においては,教科用図書「地図」を活用すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年の指導については,児童の発達の段階を考慮し社会的事象を公正に判断できるようにするとともに,個々の児童に社会的な見方や考え方が養われるようにすること。
(2) 各学年において,地図や統計資料などを効果的に活用し,我が国の都道府県の名称と位置を身に付けることができるように工夫して指導すること。
第3節 算   数
第1 目標  算数的活動を通して,数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え,表現する能力を育てるとともに,算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方について理解できるようにするとともに,加法及び減法の意味について理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 具体物を用いた活動などを通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を重ね,量の大きさについての感覚を豊かにする。
(3) 具体物を用いた活動などを通して,図形についての理解の基礎となる経験を重ね,図形についての感覚を豊かにする。
(4) 具体物を用いた活動などを通して,数量やその関係を言葉,数,式,図などに表したり読み取ったりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) ものの個数を数えることなどの活動を通して,数の意味について理解し,数を用いることができるようにする。
ア ものとものとを対応させることによって,ものの個数を比べること。
イ 個数や順番を正しく数えたり表したりすること。
ウ 数の大小や順序を考えることによって,数の系列を作ったり,数直線の上に表したりすること。
エ 一つの数をほかの数の和や差としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること。
オ 2位数の表し方について理解すること。
カ 簡単な場合について,3位数の表し方を知ること。
キ 数を十を単位としてみること。
(2) 加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 加法及び減法が用いられる場合について知ること。
イ 1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え,それらの計算が確実にできること。
ウ 簡単な場合について,2位数などの加法及び減法の計算の仕方を考えること。
B 量と測定
(1) 大きさを比較するなどの活動を通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を豊かにする。
ア 長さ,面積,体積を直接比べること。
イ 身の回りにあるものの大きさを単位として,その幾つ分かで大きさを比べること。
(2) 日常生活の中で時刻を読むことができるようにする。
C 図 形
(1) 身の回りにあるものの形についての観察や構成などの活動を通して,図形についての理解の基礎となる経験を豊かにする。
ア ものの形を認めたり,形の特徴をとらえたりすること。
イ 前後,左右,上下など方向や位置に関する言葉を正しく用いて,ものの位置を言い表すこと。
D 数量関係
(1) 加法及び減法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。
(2) ものの個数を絵や図などを用いて表したり読み取ったりすることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 具体物をまとめて数えたり等分したりし,それを整理して表す活動
イ 計算の意味や計算の仕方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして表す活動
ウ 身の回りにあるものの長さ,面積,体積を直接比べたり,他のものを用いて比べたりする活動
エ 身の回りから,いろいろな形を見付けたり,具体物を用いて形を作ったり分解したりする活動
オ 数量についての具体的な場面を式に表したり,式を具体的な場面に結び付けたりする活動
〔用語・記号〕
一の位 
十の位 
〔第2学年〕
1 目標
(1) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方についての理解を深めるとともに,加法及び減法についての理解を深め,用いることができるようにする。また,乗法の意味について理解し,その計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 具体物を用いた活動などを通して,長さや体積などの単位と測定について理解できるようにし,量の大きさについての感覚を豊かにする。
(3) 具体物を用いた活動などを通して,三角形や四角形などの図形について理解できるようにし,図形についての感覚を豊かにする。
(4) 具体物を用いた活動などを通して,数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり読み取ったりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 数の意味や表し方について理解し,数を用いる能力を伸ばす。
ア 同じ大きさの集まりにまとめて数えたり,分類して数えたりすること。
イ 4位数までについて,十進位取り記数法による数の表し方及び数の大小や順序について理解すること。
ウ 数を十や百を単位としてみるなど,数の相対的な大きさについて理解すること。
エ 一つの数をほかの数の積としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること。
オ 1/2,1/4など簡単な分数について知ること。
(2) 加法及び減法についての理解を深め,それらを用いる能力を伸ばす。
ア 2位数の加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え,それらの計算が1位数などについての基本的な計算を基にしてできることを理解し,それらの計算が確実にできること。また,それらの筆算の仕方について理解すること。
イ 簡単な場合について,3位数などの加法及び減法の計算の仕方を考えること。
ウ 加法及び減法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
(3) 乗法の意味について理解し,それを用いることができるようにする。
ア 乗法が用いられる場合について知ること。
イ 乗法に関して成り立つ簡単な性質を調べ,それを乗法九九を構成したり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。        
ウ 乗法九九について知り,1位数と1位数との乗法の計算が確実にできること。
エ 簡単な場合について,2位数と1位数との乗法の計算の仕方を考えること。
B 量と測定                            
(1) 長さについて単位と測定の意味を理解し,長さの測定ができるようにする。
ア 長さの単位(ミリメートル(mm),センチメートル(cm),メートル(m))について知ること。
(2) 体積について単位と測定の意味を理解し,体積の測定ができるようにする。
ア 体積の単位(ミリリットル(ml),デシリットル(dl),リットル(l))について知ること。
(3) 時間について理解し,それを用いることができるようにする。
ア 日,時,分について知り,それらの関係を理解すること。
C 図 形
(1) ものの形についての観察や構成などの活動を通して,図形を構成する要素に着目し,図形について理解できるようにする。
ア 三角形,四角形について知ること。
イ 正方形,長方形,直角三角形について知ること。
ウ 箱の形をしたものについて知ること。
D 数量関係
(1) 加法と減法の相互関係について理解し,式を用いて説明できるようにする。
(2) 乗法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。
(3) 身の回りにある数量を分類整理し,簡単な表やグラフを用いて表したり読み取ったりすることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 身の回りから,整数が使われている場面を見付ける活動
イ 乗法九九の表を構成したり観察したりして,計算の性質やきまりを見付ける活動
ウ 身の回りにあるものの長さや体積について,およその見当を付けたり,単位を用いて測定したりする活動
エ 正方形,長方形,直角三角形をかいたり,作ったり,それらで平面を敷き詰めたりする活動
オ 加法と減法の相互関係を図や式に表し,説明する活動
〔用語・記号〕
単位 
直線 
直角 
頂点 
辺 
面 
× 
> 
< 
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,1万についても取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と計算」の(2)及び「D数量関係」の(1)については,必要な場合には,( )や□などを用いることができる。
(3) 内容の「A数と計算」の(2)のウについては,交換法則や結合法則を取り扱うものとする。
(4) 内容の「A数と計算」の(3)のイについては,乗数が1ずつ増えるときの積の増え方や交換法則を取り扱うものとする。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 加法及び減法を適切に用いることができるようにするとともに,乗法についての理解を深め,適切に用いることができるようにする。また,除法の意味について理解し,その計算の仕方を考え,用いることができるようにする。さらに,小数及び分数の意味や表し方について理解できるようにする。
(2) 長さ,重さ及び時間の単位と測定について理解できるようにする。
(3) 図形を構成する要素に着目して,二等辺三角形や正三角形などの図形について理解できるようにする。
(4) 数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり読み取ったりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 整数の表し方についての理解を深め,数を用いる能力を伸ばす。
ア 万の単位について知ること。
イ 10倍,100倍,1/10の大きさの数及びその表し方について知ること。
ウ 数の相対的な大きさについての理解を深めること。
(2) 加法及び減法の計算が確実にできるようにし,それらを適切に用いる能力を伸ばす。
ア 3位数や4位数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算が2位数などについての基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,それらの筆算の仕方について理解すること。
イ 加法及び減法の計算が確実にでき,それらを適切に用いること。 
ウ 加法及び減法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
(3) 乗法についての理解を深め,その計算が確実にできるようにし,それを適切に用いる能力を伸ばす。
ア 2位数や3位数に1位数や2位数をかける乗法の計算の仕方を考え,それらの計算が乗法九九などの基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,その筆算の仕方について理解すること。
イ 乗法の計算が確実にでき,それを適切に用いること。     
ウ 乗法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。          
(4) 除法の意味について理解し,それを用いることができるようにする。
ア 除法が用いられる場合について知ること。また,余りについて知ること。
イ 除法と乗法や減法との関係について理解すること。
ウ 除数と商が共に1位数である除法の計算が確実にできること。
エ 簡単な場合について,除数が1位数で商が2位数の除法の計算の仕方を考えること。 
(5) 小数の意味や表し方について理解できるようにする。
ア 端数部分の大きさを表すのに小数を用いること。また,小数の表し方及び1/10の位について知ること。
イ 1/10の位までの小数の加法及び減法の意味について理解し,計算のの仕方を考え,それらの計算ができること。
(6) 分数の意味や表し方について理解できるようにする。
ア 等分してできる部分の大きさや端数部分の大きさを表すのに分数を用いること。また,分数の表し方について知ること。
イ 分数は,単位分数の幾つ分かで表せることを知ること。
ウ 簡単な場合について,分数の加法及び減法の意味について理解し,計算の仕方を考えること。
(7) そろばんによる数の表し方について知り,そろばんを用いて簡単な加法及び減法の計算ができるようにする。
ア そろばんによる数の表し方について知ること。         
イ 加法及び減法の計算の仕方について知ること。
B 量と測定
(1) 長さについての理解を深めるとともに,重さについて単位と測定の意味を理解し,重さの測定ができるようにする。
ア 長さの単位(キロメートル(km))について知ること。
イ 重さの単位(グラム(g),キログラム(kg))について知ること。
(2) 長さや重さについて,およその見当を付けたり,目的に応じて単位や計器を適切に選んで測定したりできるようにする。
(3) 時間について理解できるようにする。
ア 秒について知ること。
イ 日常生活の中で必要となる時刻や時間を求めること。
C 図 形                             
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,図形を構成する要素に着目し,図形について理解できるようにする。
ア 二等辺三角形,正三角形について知ること。
イ 角について知ること。
ウ 円,球について知ること。また,それらの中心,半径,直径について知ること。
D 数量関係
(1) 除法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。
(2) 数量の関係を表す式について理解し,式を用いることができるようにする。
ア 数量の関係を式に表したり,式と図を関連付けたりすること。
イ 数量を□などを用いて表し,その関係を式に表したり,□などに数を当てはめて調べたりすること。
(3) 資料を分類整理し,表やグラフを用いて分かりやすく表したり読み取ったりすることができるようにする。 
ア 棒グラフの読み方やかき方について知ること。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。                 
ア 整数,小数及び分数についての計算の意味や計算の仕方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして考え,説明する活動
イ 小数や分数を具体物,図,数直線を用いて表し,大きさを比べる活動
ウ 長さ,体積,重さのそれぞれについて単位の関係を調べる活動
エ 二等辺三角形や正三角形を定規とコンパスを用いて作図する活動
オ 日時や場所などの観点から資料を分類整理し,表を用いて表す活動
〔用語・記号〕
等号
不等号
小数点 
1/10の位  
数直線
分母 
分子 
÷ 
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,1億についても取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と計算」の(2)及び(3)については,簡単な計算は暗算でできるよう配慮するものとする。                   
(3) 内容の「A数と計算」の(2)のウについては,交換法則や結合法則を取り扱うものとする。
(4) 内容の「A数と計算」の(3)については,乗数又は被乗数が0の場合の計算についても取り扱うものとする。
(5) 内容の「A数と計算」の(3)のウについては,交換法則,結合法則や分配法則を取り扱うものとする。
(6) 内容の「A数と計算」の(5)及び(6)については,小数の0.1と分数の1/10などを数直線を用いて関連付けて取り扱うものとする。
(7) 内容の「B量と測定」の(1)のイについては,トン(t)の単位についても触れるものとする。
〔第4学年〕
1 目標
(1) 除法についての理解を深め,適切に用いることができるようにする。また,小数及び分数の意味や表し方についての理解を深め,小数及び分数についての加法及び減法の意味を理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。さらに,概数について理解し,目的に応じて用いることが...
(2) 面積の単位と測定について理解し,図形の面積を求めることができるようにするとともに,角の大きさの単位と測定について理解できるようにする。
(3) 図形を構成要素及びそれらの位置関係に着目して考察し,平行四辺形やひし形などの平面図形及び直方体などの立体図形について理解できるようにする。
(4) 数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり調べたりすることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 整数が十進位取り記数法によって表されていることについての理解を深める。 
ア 億,兆の単位について知り,十進位取り記数法についてまとめること。
(2) 概数について理解し,目的に応じて用いることができるようにする。
ア 概数が用いられる場合について知ること。
イ 四捨五入について知ること。
ウ 目的に応じて四則計算の結果の見積りをすること。
(3) 整数の除法についての理解を深め,その計算が確実にできるようにし,それを適切に用いる能力を伸ばす。
ア 除数が1位数や2位数で被除数が2位数や3位数の場合の計算の仕方を考え,それらの計算が基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,その筆算の仕方について理解すること。
イ 除法の計算が確実にでき,それを適切に用いること。
ウ 除法について,被除数,除数,商及び余りの間の関係を調べ,次の式にまとめること。 (被除数)=(除数)×(商)+(余り)
エ 除法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたりすることに生かすこと。
(4) 整数の計算の能力を定着させ,それを用いる能力を伸ばす。
(5) 小数とその加法及び減法についての理解を深めるとともに,小数の乗法及び除法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 小数が整数と同じ仕組みで表されていることを知るとともに,数の相対的な大きさについての理解を深めること。
イ 小数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
ウ 乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
(6) 分数についての理解を深めるとともに,同分母の分数の加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 簡単な場合について,大きさの等しい分数があることに着目すること。
イ 同分母の分数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
(7) そろばんを用いて,加法及び減法の計算ができるようにする。
B 量と測定
(1) 面積について単位と測定の意味を理解し,面積を計算によって求めることができるようにする。
ア 面積の単位(平方センチメートル(cm2),平方メートル(m2),平方キロメートル(km2))について知ること。
イ 正方形及び長方形の面積の求め方を考えること。
(2) 角の大きさについて単位と測定の意味を理解し,角の大きさの測定ができるようにする。
ア 角の大きさを回転の大きさとしてとらえること。
イ 角の大きさの単位(度(°))について知ること。
C 図 形                             
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,図形の構成要素及びそれらの位置関係に着目し,図形についての理解を深める。
ア 直線の平行や垂直の関係について理解すること。
イ 平行四辺形,ひし形,台形について知ること。
(2) 図形についての観察や構成などの活動を通して,立体図形について理解できるようにする。
ア 立方体,直方体について知ること。
イ 直方体に関連して,直線や平面の平行や垂直の関係について理解すること。
(3) ものの位置の表し方について理解できるようにする。
D 数量関係
(1) 伴って変わる二つの数量の関係を表したり調べたりすることができるようにする。
ア 変化の様子を折れ線グラフを用いて表したり,変化の特徴を読み取ったりすること。
(2) 数量の関係を表す式について理解し,式を用いることができるようにする。
ア 四則の混合した式や( )を用いた式について理解し,正しく計算すること。
イ 公式についての考え方を理解し,公式を用いること。
ウ 数量を□,△などを用いて表し,その関係を式に表したり,□,△などに数を当てはめて調べたりすること。
(3) 四則に関して成り立つ性質についての理解を深める。
ア 交換法則,結合法則,分配法則についてまとめること。
(4) 目的に応じて資料を集めて分類整理し,表やグラフを用いて分かりやすく表したり,特徴を調べたりすることができるようにする。
ア 資料を二つの観点から分類整理して特徴を調べること。
イ 折れ線グラフの読み方やかき方について知ること。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 目的に応じて計算の結果の見積りをし,計算の仕方や結果について適切に判断する活動
イ 長方形を組み合わせた図形の面積の求め方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして考え,説明する活動
ウ 身の回りにあるものの面積を実際に測定する活動
エ 平行四辺形,ひし形,台形で平面を敷き詰めて,図形の性質を調べる活動
オ 身の回りから,伴って変わる二つの数量を見付け,数量の関係を表やグラフを用いて表し,調べる活動
〔用語・記号〕
和 
差 
積 
商 
以上 
以下 
未満 
真分数 
仮分数 
帯分数 
平行 
垂直 
対角線 
平面
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,大きな数を表す際に,3桁《けた》ごとに区切りを用いる場合があることに触れるものとする。
(2) 内容の「A数と計算」の(2)のウ,(3),(4)については,簡単な計算は暗算でできるよう配慮するものとする。また,暗算を筆算や見積りに生かすよう配慮するものとする。
(3) 内容の「A数と計算」の(3)のエについては,除数及び被除数に同じ数をかけても,同じ数で割っても商は変わらないという性質を取り扱うものとする。
(4) 内容の「A数と計算」の(5)のウについては,整数を整数で割って商が小数になる場合も含めるものとする。
(5) 内容の「B量と測定」の(1)のアについては,アール(a),ヘクタール(ha)の単位についても触れるものとする。
(6) 内容の「C図形」の(2)のアについては,見取図や展開図をかくことを取り扱うものとする。
(7) 内容の「D数量関係」の(4)のアについては,資料を調べるときに,落ちや重なりがないようにすることを取り扱うものとする。
〔第5学年〕
1 目標
(1) 整数の性質についての理解を深める。また,小数の乗法及び除法や分数の加法及び減法の意味についての理解を深め,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 三角形や平行四辺形などの面積及び直方体などの体積を求めることができるようにする。また,測定値の平均及び異種の二つの量の割合について理解できるようにする。
(3) 平面図形についての理解を深めるとともに,角柱などの立体図形について理解できるようにする。
(4) 数量の関係を考察するとともに,百分率や円グラフなどを用いて資料の特徴を調べることができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 整数の性質についての理解を深める。
ア 整数は,観点を決めると偶数,奇数に類別されることを知ること。
イ 約数,倍数について知ること。
(2) 記数法の考えを通して整数及び小数についての理解を深め,それを計算などに有効に用いることができるようにする。
ア 10倍,100倍,1/10,1/100などの大きさの数をつくり,それらの関係を調べること。
(3) 小数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらを用いることができるようにする。
ア 乗数や除数が整数である場合の計算の考え方を基にして,乗数や除数が小数である場合の乗法及び除法の意味について理解すること。
イ 小数の乗法及び除法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。また,余りの大きさについて理解すること。
ウ 小数の乗法及び除法についても,整数の場合と同じ関係や法則が成り立つことを理解すること。
(4) 分数についての理解を深めるとともに,異分母の分数の加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。
ア 整数及び小数を分数の形に直したり,分数を小数で表したりすること。
イ 整数の除法の結果は,分数を用いると常に一つの数として表すことができることを理解すること。
ウ 一つの分数の分子及び分母に同じ数を乗除してできる分数は,元の分数と同じ大きさを表すことを理解すること。
エ 分数の相等及び大小について考え,大小の比べ方をまとめること。
オ 異分母の分数の加法及び減法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
カ 乗数や除数が整数である場合の分数の乗法及び除法の意味について理解し,計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
B 量と測定
(1) 図形の面積を計算によって求めることができるようにする。
ア 三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を考えること。
(2) 体積について単位と測定の意味を理解し,体積を計算によって求めることができるようにする。
ア 体積の単位(立方センチメートル(cm3),立方メートル(m3))について知ること。
イ 立方体及び直方体の体積の求め方を考えること。
(3) 量の大きさの測定値について理解できるようにする。
ア 測定値の平均について知ること。
(4) 異種の二つの量の割合としてとらえられる数量について,その比べ方や表し方を理解できるようにする。
ア 単位量当たりの大きさについて知ること。
C 図 形
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,平面図形についての理解を深める。
ア 多角形や正多角形について知ること。
イ 図形の合同について理解すること。
ウ 図形の性質を見いだし,それを用いて図形を調べたり構成したりすること。
エ 円周率について理解すること。
(2) 図形についての観察や構成などの活動を通して,立体図形について理解できるようにする。
ア 角柱や円柱について知ること。
D 数量関係
(1) 表を用いて,伴って変わる二つの数量の関係を考察できるようにする。
ア 簡単な場合について,比例の関係があることを知ること。
(2) 数量の関係を表す式についての理解を深め,簡単な式で表されている関係について,二つの数量の対応や変わり方に着目できるようにする。
(3) 百分率について理解できるようにする。
(4) 目的に応じて資料を集めて分類整理し,円グラフや帯グラフを用いて表したり,特徴を調べたりすることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 小数についての計算の意味や計算の仕方を,言葉,数,式,図,数直線を用いて考え,説明する活動
イ 三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして考え,説明する活動
ウ 合同な図形をかいたり,作ったりする活動
エ 三角形の三つの角の大きさの和が180°になることを帰納的に考え,説明する活動。四角形の四つの角の大きさの和が360°になることを演繹《えき》的に考え,説明する活動
オ 目的に応じて表やグラフを選び,活用する活動
〔用語・記号〕
最大公約数  
最小公倍数 
通分 
約分 
底面 
側面 
比例 
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)のイについては,最大公約数や最小公倍数を形式的に求めることに偏ることなく,具体的な場面に即して取り扱うものとする。また,約数を調べる過程で素数について触れるものとする。
(2) 内容の「C図形」の(1)のエについては,円周率は3.14を用いるものとする。
(3) 内容の「C図形」の(2)のアについては,見取図や展開図をかくことを取り扱うものとする。
(4) 内容の「D数量関係」の(3)については,歩合の表し方について触れるものとする。
〔第6学年〕
1 目標
(1) 分数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。
(2) 円の面積及び角柱などの体積を求めることができるようにするとともに,速さについて理解し,求めることができるようにする。
(3) 縮図や拡大図,対称な図形について理解し,図形についての理解を深める。
(4) 比や比例について理解し,数量の関係の考察に関数の考えを用いることができるようにするとともに,文字を用いて式に表すことができるようにする。また,資料の散らばりを調べ統計的に考察することができるようにする。
2 内容
A 数と計算
(1) 分数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらを用いることができるようにする。
ア 乗数や除数が整数や小数である場合の計算の考え方を基にして,乗数や除数が分数である場合の乗法及び除法の意味について理解すること。
イ 分数の乗法及び除法の計算の仕方を考え,それらの計算ができること。
ウ 分数の乗法及び除法についても,整数の場合と同じ関係や法則が成り立つことを理解すること。
(2) 小数及び分数の計算の能力を定着させ,それらを用いる能力を伸ばす。
B 量と測定                            
(1) 身の回りにある形について,その概形をとらえ,およその面積などを求めることができるようにする。
(2) 図形の面積を計算によって求めることができるようにする。
ア 円の面積の求め方を考えること。
(3) 図形の体積を計算によって求めることができるようにする。
ア 角柱及び円柱の体積の求め方を考えること。
(4) 速さについて理解し,求めることができるようにする。
(5) メートル法の単位の仕組みについて理解できるようにする。
C 図 形                             
(1) 図形についての観察や構成などの活動を通して,平面図形についての理解を深める。
ア 縮図や拡大図について理解すること。
イ 対称な図形について理解すること。
D 数量関係
(1) 比について理解できるようにする。
(2) 伴って変わる二つの数量の関係を考察することができるようにする。
ア 比例の関係について理解すること。また,式,表,グラフを用いてその特徴を調べること。
イ 比例の関係を用いて,問題を解決すること。
ウ 反比例の関係について知ること。
(3) 数量の関係を表す式についての理解を深め,式を用いることができるようにする。
ア 数量を表す言葉や□,△などの代わりに,a,xなどの文字を用いて式に表したり,文字に数を当てはめて調べたりすること。
(4) 資料の平均や散らばりを調べ,統計的に考察したり表現したりすることができるようにする。
ア 資料の平均について知ること。
イ 度数分布を表す表やグラフについて知ること。 
(5) 具体的な事柄について,起こり得る場合を順序よく整理して調べることができるようにする。
〔算数的活動〕
(1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。
ア 分数についての計算の意味や計算の仕方を,言葉,数,式,図,数直線を用いて考え,説明する活動
イ 身の回りで使われている量の単位を見付けたり,それがこれまでに学習した単位とどのような関係にあるかを調べたりする活動
ウ 身の回りから,縮図や拡大図,対称な図形を見付ける活動
エ 身の回りから,比例の関係にある二つの数量を見付けたり,比例の関係を用いて問題を解決したりする活動
〔用語・記号〕
線対称 
点対称 
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と計算」の(1)については,逆数を用いて除法を乗法の計算としてみることや,整数や小数の乗法や除法を分数の場合の計算にまとめることも取り扱うものとする。
(2) 内容の「B量と測定」の(2)のアについては,円周率は3.14を用いるものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容は,次の学年以降においても必要に応じて継続して指導すること。数量や図形についての基礎的な能力の習熟や維持を図るため,適宜練習の機会を設けて計画的に指導すること。また,学年間の指導内容を円滑に接続させるため,適切な反復による学習指導を進めるようにすること。
(2) 第2の各学年の内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」の間の指導の関連を図ること。
(3) 算数的活動は,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に身に付けたり,思考力,判断力,表現力等を高めたり,算数を学ぶことの楽しさや意義を実感したりするために,重要な役割を果たすものであることから,各学年の内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項...
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,算数科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 数量や図形についての豊かな感覚を育てるとともに,およその大きさや形をとらえ,それらに基づいて適切に判断したり,能率的な処理の仕方を考え出したりすることができるようにすること。
(2) 思考力,判断力,表現力等を育成するため,各学年の内容の指導に当たっては,言葉,数,式,図,表,グラフを用いて考えたり,説明したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりするなどの学習活動を積極的に取り入れるようにすること。
(3) 各学年の内容に示す〔用語・記号〕は,当該学年で取り上げる内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり,その指導に当たっては,各学年の内容と密接に関連させて取り上げるようにし,それらを用いて表したり考えたりすることのよさが分かるようにすること。
(4) 筆算による計算の技能を確実に身に付けることを重視するとともに,目的に応じて計算の結果の見積りをして,計算の仕方や結果について適切に判断できるようにすること。また,低学年の「A数と計算」の指導に当たっては,そろばんや具体物などの教具を適宜用いて,数と計算についての意味の理解を...
(5) 数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため,必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。
第4節 理科
第1 目標 自然に親しみ,見通しをもって観察,実験などを行い,問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに,自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り,科学的な見方や考え方を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第3学年〕
1 目標
(1) 物の重さ,風やゴムの力並びに光,磁石及び電気を働かせたときの現象を比較しながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して,それらの性質や働きについての見方や考え方を養う。
(2) 身近に見られる動物や植物,日なたと日陰の地面を比較しながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究する活動を通して,生物を愛護する態度を育てるとともに,生物の成長のきまりや体のつくり,生物と環境とのかかわり,太陽と地面の様子との関係についての見方や考え方を養う。
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 物と重さ  粘土などを使い,物の重さや体積を調べ,物の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 物は,形が変わっても重さは変わらないこと。
イ 物は,体積が同じでも重さは違うことがあること。
(2) 風やゴムの働き  風やゴムで物が動く様子を調べ,風やゴムの働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 風の力は,物を動かすことができること。
イ ゴムの力は,物を動かすことができること。
(3) 光の性質  鏡などを使い,光の進み方や物に光が当たったときの明るさや暖かさを調べ,光の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 日光は集めたり反射させたりできること。
イ 物に日光を当てると,物の明るさや暖かさが変わること。
(4) 磁石の性質  磁石に付く物や磁石の働きを調べ,磁石の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 物には,磁石に引き付けられる物と引き付けられない物があること。また,磁石に引き付けられる物には,磁石に付けると磁石になる物があること。
イ 磁石の異極は引き合い,同極は退け合うこと。
(5) 電気の通り道  乾電池に豆電球などをつなぎ,電気を通すつなぎ方や電気を通す物を調べ,電気の回路についての考えをもつことができるようにする。
ア 電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること。
イ 電気を通す物と通さない物があること。
B 生命・地球
(1) 昆虫と植物  身近な昆虫や植物を探したり育てたりして,成長の過程や体のつくりを調べ,それらの成長のきまりや体のつくりについての考えをもつことができるようにする。
ア 昆虫の育ち方には一定の順序があり,成虫の体は頭,胸及び腹からできていること。
イ 植物の育ち方には一定の順序があり,その体は根,茎及び葉からできていること。
(2) 身近な自然の観察  身の回りの生物の様子を調べ,生物とその周辺の環境との関係についての考えをもつことができるようにする。
ア 生物は,色,形,大きさなどの姿が違うこと。
イ 生物は,その周辺の環境とかかわって生きていること。
(3) 太陽と地面の様子  日陰の位置の変化や,日なたと日陰の地面の様子を調べ,太陽と地面の様子との関係についての考えをもつことができるようにする。
ア 日陰は太陽の光を遮るとでき,日陰の位置は太陽の動きによって変わること。
イ 地面は太陽によって暖められ,日なたと日陰では地面の暖かさや湿り気に違いがあること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,3種類以上のものづくりを行うものとする。
(2) 内容の「B生命・地球」の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア ア及びイについては,飼育,栽培を通して行うこと。
イ イの「植物の育ち方」については,夏生一年生の双子葉植物を扱うこと。
(3) 内容の「B生命・地球」の(3)のアの「太陽の動き」については,太陽が東から南を通って西に動くことを取り扱うものとする。また,太陽の動きを調べるときの方位は東,西,南,北を扱うものとする。
〔第4学年〕
1 目標
(1) 空気や水,物の状態の変化,電気による現象を力,熱,電気の働きと関係付けながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究したりものづくりをしたりする活動を通して,それらの性質や働きについての見方や考え方を養う。
(2) 人の体のつくり,動物の活動や植物の成長,天気の様子,月や星の位置の変化を運動,季節,気温,時間などと関係付けながら調べ,見いだした問題を興味・関心をもって追究する活動を通して,生物を愛護する態度を育てるとともに,人の体のつくりと運動,動物の活動や植物の成長と環境とのかかわり...
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 空気と水の性質  閉じ込めた空気及び水に力を加え,その体積や圧《お》し返す力の変化を調べ,空気及び水の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 閉じ込めた空気を圧《お》すと,体積は小さくなるが,圧《お》し返す力は大きくなること。
イ 閉じ込めた空気は圧《お》し縮められるが,水は圧《お》し縮められないこと。
(2) 金属,水,空気と温度  金属,水及び空気を温めたり冷やしたりして,それらの変化の様子を調べ,金属,水及び空気の性質についての考えをもつことができるようにする。
ア 金属,水及び空気は,温めたり冷やしたりすると,その体積が変わること。
イ 金属は熱せられた部分から順に温まるが,水や空気は熱せられた部分が移動して全体が温まること。
ウ 水は,温度によって水蒸気や氷に変わること。また,水が氷になると体積が増えること。
(3) 電気の働き  乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを調べ,電気の働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 乾電池の数やつなぎ方を変えると,豆電球の明るさやモーターの回り方が変わること。
イ 光電池を使ってモーターを回すことなどができること。
B 生命・地球
(1) 人の体のつくりと運動  人や他の動物の体の動きを観察したり資料を活用したりして,骨や筋肉の動きを調べ,人の体のつくりと運動とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。
ア 人の体には骨と筋肉があること。
イ 人が体を動かすことができるのは,骨,筋肉の働きによること。
(2) 季節と生物 身近な動物や植物を探したり育てたりして,季節ごとの動物の活動や植物の成長を調べ,それらの活動や成長と環境とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。
ア 動物の活動は,暖かい季節,寒い季節などによって違いがあること。
イ 植物の成長は,暖かい季節,寒い季節などによって違いがあること。
(3) 天気の様子  1日の気温の変化や水が蒸発する様子などを観察し,天気や気温の変化,水と水蒸気との関係を調べ,天気の様子や自然界の水の変化についての考えをもつことができるようにする。
ア 天気によって1日の気温の変化の仕方に違いがあること。
イ 水は,水面や地面などから蒸発し,水蒸気になって空気中に含まれていくこと。また,空気中の水蒸気は,結露して再び水になって現れることがあること。
(4) 月と星  月や星を観察し,月の位置と星の明るさや色及び位置を調べ,月や星の特徴や動きについての考えをもつことができるようにする。
ア 月は日によって形が変わって見え,1日のうちでも時刻によって位置が変わること。
イ 空には,明るさや色の違う星があること。
ウ 星の集まりは,1日のうちでも時刻によって,並び方は変わらないが,位置が変わること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の(3)のアについては,直列つなぎと並列つなぎを扱うものとする。
(2) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,2種類以上のものづくりを行うものとする。
(3) 内容の「B生命・地球」の(1)のイについては,関節の働きを扱うものとする。
(4) 内容の「B生命・地球」の(2)については,1年を通して動物の活動や植物の成長をそれぞれ2種類以上観察するものとする。
〔第5学年〕
1 目標
(1) 物の溶け方,振り子の運動,電磁石の変化や働きをそれらにかかわる条件に目を向けながら調べ,見いだした問題を計画的に追究したりものづくりをしたりする活動を通して,物の変化の規則性についての見方や考え方を養う。
(2) 植物の発芽から結実までの過程,動物の発生や成長,流水の様子,天気の変化を条件,時間,水量,自然災害などに目を向けながら調べ,見いだした問題を計画的に追究する活動を通して,生命を尊重する態度を育てるとともに,生命の連続性,流水の働き,気象現象の規則性についての見方や考え方を養...
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 物の溶け方  物を水に溶かし,水の温度や量による溶け方の違いを調べ,物の溶け方の規則性についての考えをもつことができるようにする。
ア 物が水に溶ける量には限度があること。
イ 物が水に溶ける量は水の温度や量,溶ける物によって違うこと。また,この性質を利用して,溶けている物を取り出すことができること。
ウ 物が水に溶けても,水と物とを合わせた重さは変わらないこと。
(2) 振り子の運動  おもりを使い,おもりの重さや糸の長さなどを変えて振り子の動く様子を調べ,振り子の運動の規則性についての考えをもつことができるようにする。
ア 糸につるしたおもりが1往復する時間は,おもりの重さなどによっては変わらないが,糸の長さによって変わること。
(3) 電流の働き  電磁石の導線に電流を流し,電磁石の強さの変化を調べ,電流の働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 電流の流れているコイルは,鉄心を磁化する働きがあり,電流の向きが変わると,電磁石の極が変わること。
イ 電磁石の強さは,電流の強さや導線の巻数によって変わること。
B 生命・地球
(1) 植物の発芽,成長,結実  植物を育て,植物の発芽,成長及び結実の様子を調べ,植物の発芽,成長及び結実とその条件についての考えをもつことができるようにする。
ア 植物は,種子の中の養分を基にして発芽すること。
イ 植物の発芽には,水,空気及び温度が関係していること。
ウ 植物の成長には,日光や肥料などが関係していること。
エ 花にはおしべやめしべなどがあり,花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり,実の中に種子ができること。
(2) 動物の誕生  魚を育てたり人の発生についての資料を活用したりして,卵の変化の様子や水中の小さな生物を調べ,動物の発生や成長についての考えをもつことができるようにする。
ア 魚には雌雄があり,生まれた卵は日がたつにつれて中の様子が変化してかえること。
イ 魚は,水中の小さな生物を食べ物にして生きていること。
ウ 人は,母体内で成長して生まれること。
(3) 流水の働き  地面を流れる水や川の様子を観察し,流れる水の速さや量による働きの違いを調べ,流れる水の働きと土地の変化の関係についての考えをもつことができるようにする。
ア 流れる水には,土地を侵食したり,石や土などを運搬したり堆《たい》積させたりする働きがあること。
イ 川の上流と下流によって,川原の石の大きさや形に違いがあること。
ウ 雨の降り方によって,流れる水の速さや水の量が変わり,増水により土地の様子が大きく変化する場合があること。
(4) 天気の変化  1日の雲の様子を観測したり,映像などの情報を活用したりして,雲の動きなどを調べ,天気の変化の仕方についての考えをもつことができるようにする。
ア 雲の量や動きは,天気の変化と関係があること。
イ 天気の変化は,映像などの気象情報を用いて予想できること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,2種類以上のものづくりを行うものとする。
(2) 内容の「B生命・地球」の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「種子の中の養分」については,でんぷんを扱うこと。
イ エについては,おしべ,めしべ,がく及び花びらを扱うこと。また,受粉については,風や昆虫などが関係していることにも触れること。
(3) 内容の「B生命・地球」の(2)のウについては,受精に至る過程は取り扱わないものとする。
(4) 内容の「B生命・地球」の(4)のイについては,台風の進路による天気の変化や台風と降雨との関係についても触れるものとする。
〔第6学年〕
1 目標
(1) 燃焼,水溶液,てこ及び電気による現象についての要因や規則性を推論しながら調べ,見いだした問題を計画的に追究したりものづくりをしたりする活動を通して,物の性質や規則性についての見方や考え方を養う。
(2) 生物の体のつくりと働き,生物と環境,土地のつくりと変化の様子,月と太陽の関係を推論しながら調べ,見いだした問題を計画的に追究する活動を通して,生命を尊重する態度を育てるとともに,生物の体の働き,生物と環境とのかかわり,土地のつくりと変化のきまり,月の位置や特徴についての見方...
2 内容
A 物質・エネルギー
(1) 燃焼の仕組み  物を燃やし,物や空気の変化を調べ,燃焼の仕組みについての考えをもつことができるようにする。
ア 植物体が燃えるときには,空気中の酸素が使われて二酸化炭素ができること。
(2) 水溶液の性質  いろいろな水溶液を使い,その性質や金属を変化させる様子を調べ,水溶液の性質や働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 水溶液には,酸性,アルカリ性及び中性のものがあること。
イ 水溶液には,気体が溶けているものがあること。
ウ 水溶液には,金属を変化させるものがあること。
(3) てこの規則性  てこを使い,力の加わる位置や大きさを変えて,てこの仕組みや働きを調べ,てこの規則性についての考えをもつことができるようにする。
ア 水平につり合った棒の支点から等距離に物をつるして棒が水平になったとき,物の重さは等しいこと。
イ 力を加える位置や力の大きさを変えると,てこを傾ける働きが変わり,てこがつり合うときにはそれらの間に規則性があること。
ウ 身の回りには,てこの規則性を利用した道具があること。
(4) 電気の利用  手回し発電機などを使い,電気の利用の仕方を調べ,電気の性質や働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 電気は,つくりだしたり蓄えたりすることができること。
イ 電気は,光,音,熱などに変えることができること。
ウ 電熱線の発熱は,その太さによって変わること。
エ 身の回りには,電気の性質や働きを利用した道具があること。
B 生命・地球
(1) 人の体のつくりと働き  人や他の動物を観察したり資料を活用したりして,呼吸,消化,排出及び循環の働きを調べ,人や他の動物の体のつくりと働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 体内に酸素が取り入れられ,体外に二酸化炭素などが出されていること。
イ 食べ物は,口,胃,腸などを通る間に消化,吸収され,吸収されなかった物は排出されること。
ウ 血液は,心臓の働きで体内を巡り,養分,酸素及び二酸化炭素などを運んでいること。
エ 体内には,生命活動を維持するための様々な臓器があること。
(2) 植物の養分と水の通り道  植物を観察し,植物の体内の水などの行方や葉で養分をつくる働きを調べ,植物の体のつくりと働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 植物の葉に日光が当たるとでんぷんができること。
イ 根,茎及び葉には,水の通り道があり,根から吸い上げられた水は主に葉から蒸散していること。
(3) 生物と環境  動物や植物の生活を観察したり,資料を活用したりして調べ,生物と環境とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。
ア 生物は,水及び空気を通して周囲の環境とかかわって生きていること。
イ 生物の間には,食う食われるという関係があること。
(4) 土地のつくりと変化  土地やその中に含まれる物を観察し,土地のつくりや土地のでき方を調べ,土地のつくりと変化についての考えをもつことができるようにする。
ア 土地は,礫《れき》,砂,泥,火山灰及び岩石からできており,層をつくって広がっているものがあること。
イ 地層は,流れる水の働きや火山の噴火によってでき,化石が含まれているものがあること。
ウ 土地は,火山の噴火や地震によって変化すること。
(5) 月と太陽  月と太陽を観察し,月の位置や形と太陽の位置を調べ,月の形の見え方や表面の様子についての考えをもつことができるようにする。
ア 月の輝いている側に太陽があること。また,月の形の見え方は,太陽と月の位置関係によって変わること。
イ 月の表面の様子は,太陽と違いがあること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A物質・エネルギー」の指導に当たっては,2種類以上のものづくりを行うものとする。
(2) 内容の「B生命・地球」の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア ウについては,心臓の拍動と脈拍が関係することにも触れること。
イ エについては,主な臓器として,肺,胃,小腸,大腸,肝臓,腎《じん》臓,心臓を扱うこと。
(3) 内容の「B生命・地球」の(3)のアについては,水が循環していることにも触れるものとする。
(4) 内容の「B生命・地球」の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,岩石として礫《れき》岩,砂岩及び泥岩を扱うこと。
イ イの「化石」については,地層が流れる水の働きによって堆《たい》積したことを示す証拠として扱うこと。
(5) 内容の「B生命・地球」の(5)のアについては,地球から見た太陽と月の位置関係で扱うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容を通じて観察,実験や自然体験,科学的な体験を充実させることによって,科学的な知識や概念の定着を図り,科学的な見方や考え方を育成するよう配慮すること。
(2) 観察,実験の結果を整理し考察する学習活動や,科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮すること。
(3) 博物館や科学学習センターなどと連携,協力を図りながら,それらを積極的に活用するよう配慮すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,栽培,飼育及びものづくりの指導については,指導内容に応じてコンピュータ,視聴覚機器などを適切に活用できるようにすること。また,事故の防止に十分留意すること。
(2) 生物,天気,川,土地などの指導については,野外に出掛け地域の自然に親しむ活動や体験的な活動を多く取り入れるとともに,自然環境を大切にし,その保全に寄与しようとする態度を育成するようにすること。
(3) 個々の児童が主体的に問題解決活動を進めるとともに,学習の成果と日常生活との関連を図り,自然の事物・現象について実感を伴って理解できるようにすること。
第5節 生活
第1 目標  具体的な活動や体験を通して,自分と身近な人々,社会及び自然とのかかわりに関心をもち,自分自身や自分の生活について考えさせるとともに,その過程において生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ,自立への基礎を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 自分と身近な人々及び地域の様々な場所,公共物などとのかかわりに関心をもち,地域のよさに気付き,愛着をもつことができるようにするとともに,集団や社会の一員として自分の役割や行動の仕方について考え,安全で適切な行動ができるようにする。
(2) 自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち,自然のすばらしさに気付き,自然を大切にしたり,自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。
(3) 身近な人々,社会及び自然とのかかわりを深めることを通して,自分のよさや可能性に気付き,意欲と自信をもって生活することができるようにする。
(4) 身近な人々,社会及び自然に関する活動の楽しさを味わうとともに,それらを通して気付いたことや楽しかったことなどについて,言葉,絵,動作,劇化などの方法により表現し,考えることができるようにする。
2 内容
(1) 学校の施設の様子及び先生など学校生活を支えている人々や友達のことが分かり,楽しく安心して遊びや生活ができるようにするとともに,通学路の様子やその安全を守っている人々などに関心をもち,安全な登下校ができるようにする。
(2) 家庭生活を支えている家族のことや自分でできることなどについて考え,自分の役割を積極的に果たすとともに,規則正しく健康に気を付けて生活することができるようにする。
(3) 自分たちの生活は地域で生活したり働いたりしている人々や様々な場所とかかわっていることが分かり,それらに親しみや愛着をもち,人々と適切に接することや安全に生活することができるようにする。 
(4) 公共物や公共施設を利用し,身の回りにはみんなで使うものがあることやそれを支えている人々がいることなどが分かり,それらを大切にし,安全に気を付けて正しく利用することができるようにする。
(5) 身近な自然を観察したり,季節や地域の行事にかかわる活動を行ったりなどして,四季の変化や季節によって生活の様子が変わることに気付き,自分たちの生活を工夫したり楽しくしたりできるようにする。
(6) 身近な自然を利用したり,身近にある物を使ったりなどして,遊びや遊びに使う物を工夫してつくり,その面白さや自然の不思議さに気付き,みんなで遊びを楽しむことができるようにする。
(7) 動物を飼ったり植物を育てたりして,それらの育つ場所,変化や成長の様子に関心をもち,また,それらは生命をもっていることや成長していることに気付き,生き物への親しみをもち,大切にすることができるようにする。
(8) 自分たちの生活や地域の出来事を身近な人々と伝え合う活動を行い,身近な人々とかかわることの楽しさが分かり,進んで交流することができるようにする。
(9) 自分自身の成長を振り返り,多くの人々の支えにより自分が大きくなったこと,自分でできるようになったこと,役割が増えたことなどが分かり,これまでの生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもつとともに,これからの成長への願いをもって,意欲的に生活することができるようにする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 自分と地域の人々,社会及び自然とのかかわりが具体的に把握できるような学習活動を行うこととし,校外での活動を積極的に取り入れること。
(2) 第2の内容の(7)については,2学年にわたって取り扱うものとし,動物や植物へのかかわり方が深まるよう継続的な飼育,栽培を行うようにすること。
(3) 国語科,音楽科,図画工作科など他教科等との関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に,第1学年入学当初においては,生活科を中心とした合科的な指導を行うなどの工夫をすること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,生活科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 地域の人々,社会及び自然を生かすとともに,それらを一体的に扱うよう学習活動を工夫すること。
(2) 具体的な活動や体験を通して気付いたことを基に考えさせるため,見付ける,比べる,たとえるなどの多様な学習活動を工夫すること。
(3) 具体的な活動や体験を行うに当たっては,身近な幼児や高齢者,障害のある児童生徒などの多様な人々と触れ合うことができるようにすること。
(4) 生活上必要な習慣や技能の指導については,人,社会,自然及び自分自身にかかわる学習活動の展開に即して行うようにすること。
第6節 音楽
第1 目標  表現及び鑑賞の活動を通して,音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てるとともに,音楽活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 楽しく音楽にかかわり,音楽に対する興味・関心をもち,音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。
(2) 基礎的な表現の能力を育て,音楽表現の楽しさに気付くようにする。
(3) 様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を育て,音楽を味わって聴くようにする。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範唱を聴いて歌ったり,階名で模唱したり暗唱したりすること。
イ 歌詞の表す情景や気持ちを想像したり,楽曲の気分を感じ取ったりし,思いをもって歌うこと。
ウ 自分の歌声及び発音に気を付けて歌うこと。
エ 互いの歌声や伴奏を聴いて,声を合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範奏を聴いたり,リズム譜などを見たりして演奏すること。
イ 楽曲の気分を感じ取り,思いをもって演奏すること。
ウ 身近な楽器に親しみ,音色に気を付けて簡単なリズムや旋律を演奏すること。
エ 互いの楽器の音や伴奏を聴いて,音を合わせて演奏すること。
(3) 音楽づくりの活動を通して,次の事項を指導する。
ア 声や身の回りの音の面白さに気付いて音遊びをすること。
イ 音を音楽にしていくことを楽しみながら,音楽の仕組みを生かし,思いをもって簡単な音楽をつくること。 
(4) 表現教材は次に示すものを取り扱う。
ア 主となる歌唱教材については,各学年ともウの共通教材を含めて,斉唱及び輪唱で歌う楽曲
イ 主となる器楽教材については,既習の歌唱教材を含めて,主旋律に簡単なリズム伴奏や低声部などを加えた楽曲
ウ 共通教材
〔第1学年〕
「うみ」       (文部省唱歌)林 柳波《はやしりゅうは》作詞 井上武士《いのうえたけし》作曲
「かたつむり」    (文部省唱歌)
「日のまる」     (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「ひらいたひらいた」 (わらべうた)
〔第2学年〕
「かくれんぼ」    (文部省唱歌)林 柳波《はやしりゅうは》作詞 下総皖一《しもふさかんいち》作曲
「春がきた」     (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「虫のこえ」     (文部省唱歌)
「夕やけこやけ」   中村雨紅《なかむらうこう》作詞 草川信《くさかわしん》作曲
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 楽曲の気分を感じ取って聴くこと。
イ 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取って聴くこと。
ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして,楽曲や演奏の楽しさに気付くこと。
(2) 鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。
ア 我が国及び諸外国のわらべうたや遊びうた,行進曲や踊りの音楽など身体反応の快さを感じ取りやすい音楽,日常の生活に関連して情景を思い浮かべやすい楽曲
イ 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく,親しみやすい楽曲
ウ 楽器の音色や人の声の特徴を感じ取りやすく親しみやすい,いろいろな演奏形態による楽曲
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素のうち次の(ア)及び(イ)を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さ,美しさを感じ取ること。
(ア) 音色,リズム,速度,旋律,強弱,拍の流れやフレーズなどの音楽を特徴付けている要素
(イ) 反復,問いと答えなどの音楽の仕組み
イ 身近な音符,休符,記号や音楽にかかわる用語について,音楽活動を通して理解すること。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 進んで音楽にかかわり,音楽活動への意欲を高め,音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。
(2) 基礎的な表現の能力を伸ばし,音楽表現の楽しさを感じ取るようにする。
(3) 様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を伸ばし,音楽を味わって聴くようにする。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範唱を聴いたり,ハ長調の楽譜を見たりして歌うこと。
イ 歌詞の内容,曲想にふさわしい表現を工夫し,思いや意図をもって歌うこと。
ウ 呼吸及び発音の仕方に気を付けて,自然で無理のない歌い方で歌うこと。
エ 互いの歌声や副次的な旋律,伴奏を聴いて,声を合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。 
ア 範奏を聴いたり,ハ長調の楽譜を見たりして演奏すること。
イ 曲想にふさわしい表現を工夫し,思いや意図をもって演奏すること。
ウ 音色に気を付けて旋律楽器及び打楽器を演奏すること。
エ 互いの楽器の音や副次的な旋律,伴奏を聴いて,音を合わせて演奏すること。
(3) 音楽づくりの活動を通して,次の事項を指導する。
ア いろいろな音の響きやその組合せを楽しみ,様々な発想をもって即興的に表現すること。
イ 音を音楽に構成する過程を大切にしながら,音楽の仕組みを生かし,思いや意図をもって音楽をつくること。
(4) 表現教材は次に示すものを取り扱う。 
ア 主となる歌唱教材については,各学年ともウの共通教材を含めて,斉唱及び簡単な合唱で歌う楽曲
イ 主となる器楽教材については,既習の歌唱教材を含めて,簡単な重奏や合奏にした楽曲
ウ 共通教材
〔第3学年〕
「うさぎ」     (日本古謡)
「茶つみ」     (文部省唱歌)
「春の小川」    (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「ふじ山」     (文部省唱歌)巌谷小波《いわやさざなみ》作詞
〔第4学年〕
「さくらさくら」  (日本古謡)
「とんび」     葛原《くずはら》しげる作詞 簗田貞《やなだただし》作曲
「まきばの朝」   (文部省唱歌)船橋栄吉《ふなばしえいきち》作曲
「もみじ」     (文部省唱歌)高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想とその変化を感じ取って聴くこと。
イ 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取り,楽曲の構造に気を付けて聴くこと。
ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして,楽曲の特徴や演奏のよさに気付くこと。
(2) 鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。
ア 和楽器の音楽を含めた我が国の音楽,郷土の音楽,諸外国に伝わる民謡など生活とのかかわりを感じ取りやすい音楽,劇の音楽,人々に長く親しまれている音楽など,いろいろな種類の楽曲
イ 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく,聴く楽しさを得やすい楽曲
ウ 楽器や人の声による演奏表現の違いを感じ取りやすい,独奏,重奏,独唱,重唱を含めたいろいろな演奏形態による楽曲
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素のうち次の(ア)及び(イ)を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さ,美しさを感じ取ること。
(ア) 音色,リズム,速度,旋律,強弱,音の重なり,音階や調,拍の流れやフレーズなどの音楽を特徴付けている要素
(イ) 反復,問いと答え,変化などの音楽の仕組み
イ 音符,休符,記号や音楽にかかわる用語について,音楽活動を通して理解すること。
〔第5学年及び第6学年〕 
1 目標
(1) 創造的に音楽にかかわり,音楽活動への意欲を高め,音楽経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにする態度と習慣を育てる。
(2) 基礎的な表現の能力を高め,音楽表現の喜びを味わうようにする。
(3) 様々な音楽に親しむようにし,基礎的な鑑賞の能力を高め,音楽を味わって聴くようにする。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範唱を聴いたり,ハ長調及びイ短調の楽譜を見たりして歌うこと。
イ 歌詞の内容,曲想を生かした表現を工夫し,思いや意図をもって歌うこと。
ウ 呼吸及び発音の仕方を工夫して,自然で無理のない,響きのある歌い方で歌うこと。
エ 各声部の歌声や全体の響き,伴奏を聴いて,声を合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 範奏を聴いたり,ハ長調及びイ短調の楽譜を見たりして演奏すること。
イ 曲想を生かした表現を工夫し,思いや意図をもって演奏すること。
ウ 楽器の特徴を生かして旋律楽器及び打楽器を演奏すること。
エ 各声部の楽器の音や全体の響き,伴奏を聴いて,音を合わせて演奏すること。
(3) 音楽づくりの活動を通して,次の事項を指導する。
ア いろいろな音楽表現を生かし,様々な発想をもって即興的に表現すること。
イ 音を音楽に構成する過程を大切にしながら,音楽の仕組みを生かし,見通しをもって音楽をつくること。
(4) 表現教材は次に示すものを取り扱う。
ア 主となる歌唱教材については,各学年ともウの共通教材の中の3曲を含めて,斉唱及び合唱で歌う楽曲
イ 主となる器楽教材については,楽器の演奏効果を考慮し,簡単な重奏や合奏にした楽曲
ウ 共通教材
〔第5学年〕
「こいのぼり」 (文部省唱歌)
「子もり歌」  (日本古謡)
「スキーの歌」 (文部省唱歌) 林柳波《はやしりゅうは》作詞 橋本国彦《はしもとくにひこ》作曲
「冬げしき」  (文部省唱歌)
〔第6学年〕
「越天楽今様《えてんらくいまよう》(歌詞は第2節まで)」(日本古謡) 慈鎮《じちん》和尚作歌
「おぼろ月夜」 (文部省唱歌) 高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「ふるさと」  (文部省唱歌) 高野辰之《たかのたつゆき》作詞 岡野貞一《おかのていいち》作曲
「われは海の子(歌詞は第3節まで)」(文部省唱歌)
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想とその変化などの特徴を感じ取って聴くこと。
イ 音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取り,楽曲の構造を理解して聴くこと。
ウ 楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことを言葉で表すなどして,楽曲の特徴や演奏のよさを理解すること。
(2) 鑑賞教材は次に示すものを取り扱う。
ア 和楽器の音楽を含めた我が国の音楽や諸外国の音楽など文化とのかかわりを感じ取りやすい音楽,人々に長く親しまれている音楽など,いろいろな種類の楽曲
イ 音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく,聴く喜びを深めやすい楽曲
ウ 楽器の音や人の声が重なり合う響きを味わうことができる,合奏,合唱を含めたいろいろな演奏形態による楽曲
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素のうち次の(ア)及び(イ)を聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さ,美しさを感じ取ること。
(ア) 音色,リズム,速度,旋律,強弱,音の重なりや和声の響き,音階や調,拍の流れやフレーズなどの音楽を特徴付けている要素
(イ) 反復,問いと答え,変化,音楽の縦と横の関係などの音楽の仕組み
イ 音符,休符,記号や音楽にかかわる用語について,音楽活動を通して理解すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
(1) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(2) 第2の第5学年及び第6学年の内容の「A表現」の指導に当たっては,学校や児童の実態等に応じて,合唱や合奏,重唱や重奏などの表現形態を選んで学習できるようにすること。
(3) 国歌「君が代」は,いずれの学年においても歌えるよう指導すること。
(4) 低学年においては,生活科などとの関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては,幼稚園教育における表現に関する内容などとの関連を考慮すること。
(5) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年の「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,音楽との一体感を味わい,想像力を働かせて音楽とかかわることができるよう,指導のねらいに即して体を動かす活動を取り入れること。
(2) 和音及び和声の指導については,合唱や合奏の活動を通して和音のもつ表情を感じ取ることができるようにすること。また,長調及び短調の楽曲においては,Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ及びⅤ7などの和音を中心に指導すること。
(3) 歌唱の指導については,次のとおり取り扱うこと。
ア 相対的な音程感覚を育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。
イ 歌唱教材については,共通教材のほか,長い間親しまれてきた唱歌,それぞれの地方に伝承されているわらべうたや民謡など日本のうたを含めて取り上げるようにすること。
ウ 変声以前から自分の声の特徴に関心をもたせるとともに,変声期の児童に対して適切に配慮すること。
(4) 各学年の「A表現」の(2)の楽器については,次のとおり取り扱うこと。
ア 各学年で取り上げる打楽器は,木琴,鉄琴,和楽器,諸外国に伝わる様々な楽器を含めて,演奏の効果,学校や児童の実態を考慮して選択すること。
イ 第1学年及び第2学年で取り上げる身近な楽器は,様々な打楽器,オルガン,ハーモニカなどの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
ウ 第3学年及び第4学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,リコーダーや鍵《けん》盤楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
エ 第5学年及び第6学年で取り上げる旋律楽器は,既習の楽器を含めて,電子楽器,和楽器,諸外国に伝わる楽器などの中から学校や児童の実態を考慮して選択すること。
(5) 音楽づくりの指導については,次のとおり取り扱うこと。 
ア 音遊びや即興的な表現では,リズムや旋律を模倣したり,身近なものから多様な音を探したりして,音楽づくりのための様々な発想ができるように指導すること。
イ つくった音楽の記譜の仕方について,必要に応じて指導すること。
ウ 拍節的でないリズム,我が国の音楽に使われている音階や調性にとらわれない音階などを児童の実態に応じて取り上げるようにすること。
(6) 各学年の〔共通事項〕のイの「音符,休符,記号や音楽にかかわる用語」については,児童の学習状況を考慮して,次に示すものを取り扱うこと。
全音符
付点二分音符
二分音符
付点四分音符
四分音符
付点八分音符
八分音符
十六分音符
付点八分音符と十六分音符
四分休符
八分休符
ト音記号
へ音記号
五線と加線
縦線
終止線
シャープ
フラット
ナチュラル
フォルテ
メッゾ・フォルテ
ピアノ
メッゾ・ピアノ
ブレス
四分の二拍子
四分の三拍子
四分の四拍子
八分の六拍子
クレシェンド
デクレシェンド
反復記号
反復記号(1番かっこ・2番かっこ)
タイ
スラー
アクセント
スタッカート
速度記号
第7節 図画工作
第1 目標  表現及び鑑賞の活動を通して,感性を働かせながら,つくりだす喜びを味わうようにするとともに,造形的な創造活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 進んで表したり見たりする態度を育てるとともに,つくりだす喜びを味わうようにする。
(2) 造形活動を楽しみ,豊かな発想をするなどして,体全体の感覚や技能などを働かせるようにする。
(3) 身の回りの作品などから,面白さや楽しさを感じ取るようにする。
2 内容
A 表現
(1) 材料を基に造形遊びをする活動を通して,次の事項を指導する。
ア 身近な自然物や人工の材料の形や色などを基に思い付いてつくること。
イ 感覚や気持ちを生かしながら楽しくつくること。
ウ 並べたり,つないだり,積んだりするなど体全体を働かせてつくること。
(2) 感じたことや想像したことを絵や立体,工作に表す活動を通して,次の事項を指導する。
ア 感じたことや想像したことから,表したいことを見付けて表すこと。
イ 好きな色を選んだり,いろいろな形をつくって楽しんだりしながら表すこと。
ウ 身近な材料や扱いやすい用具を手を働かせて使うとともに,表し方を考えて表すこと。
B 鑑賞
(1) 身の回りの作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
ア 自分たちの作品や身近な材料などを楽しく見ること。
イ 感じたことを話したり,友人の話を聞いたりするなどして,形や色,表し方の面白さ,材料の感じなどに気付くこと。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 自分の感覚や活動を通して,形や色などをとらえること。
イ 形や色などを基に,自分のイメージをもつこと。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 進んで表現したり鑑賞したりする態度を育てるとともに,つくりだす喜びを味わうようにする。
(2) 材料などから豊かな発想をし,手や体全体を十分に働かせ,表し方を工夫し,造形的な能力を伸ばすようにする。
(3) 身近にある作品などから,よさや面白さを感じ取るようにする。
2 内容
A 表現
(1) 材料や場所などを基に造形遊びをする活動を通して,次の事項を指導する。
ア 身近な材料や場所などを基に発想してつくること。
イ 新しい形をつくるとともに,その形から発想したりみんなで話し合って考えたりしながらつくること。
ウ 前学年までの材料や用具についての経験を生かし,組み合わせたり,切ってつないだり,形を変えたりするなどしてつくること。
(2) 感じたこと,想像したこと,見たことを絵や立体,工作に表す活動を通して,次の事項を指導する。
ア 感じたこと,想像したこと,見たことから,表したいことを見付けて表すこと。
イ 表したいことや用途などを考えながら,形や色,材料などを生かし,計画を立てるなどして表すこと。
ウ 表したいことに合わせて,材料や用具の特徴を生かして使うとともに,表し方を考えて表すこと。
B 鑑賞
(1) 身近にある作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
ア 自分たちの作品や身近な美術作品や製作の過程などを鑑賞して,よさや面白さを感じ取ること。
イ 感じたことや思ったことを話したり,友人と話し合ったりするなどして,いろいろな表し方や材料による感じの違いなどが分かること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 自分の感覚や活動を通して,形や色,組合せなどの感じをとらえること。
イ 形や色などの感じを基に,自分のイメージをもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 創造的に表現したり鑑賞したりする態度を育てるとともに,つくりだす喜びを味わうようにする。
(2) 材料などの特徴をとらえ,想像力を働かせて発想し,主題の表し方を構想するとともに,様々な表し方を工夫し,造形的な能力を高めるようにする。
(3) 親しみのある作品などから,よさや美しさを感じ取るとともに,それらを大切にするようにする。
2 内容
A 表現
(1) 材料や場所などの特徴を基に造形遊びをする活動を通して,次の事項を指導する。
ア 材料や場所などの特徴を基に発想し想像力を働かせてつくること。
イ 材料や場所などに進んでかかわり合い,それらを基に構成したり周囲の様子を考え合わせたりしながらつくること。
ウ 前学年までの材料や用具などについての経験や技能を総合的に生かしてつくること。
(2) 感じたこと,想像したこと,見たこと,伝え合いたいことを絵や立体,工作に表す活動を通して,次の事項を指導する。
ア 感じたこと,想像したこと,見たこと,伝え合いたいことから,表したいことを見付けて表すこと。
イ 形や色,材料の特徴や構成の美しさなどの感じ,用途などを考えながら,表し方を構想して表すこと。
ウ 表したいことに合わせて,材料や用具の特徴を生かして使うとともに,表現に適した方法などを組み合わせて表すこと。
B 鑑賞
(1) 親しみのある作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
ア 自分たちの作品,我が国や諸外国の親しみのある美術作品,暮らしの中の作品などを鑑賞して,よさや美しさを感じ取ること。
イ 感じたことや思ったことを話したり,友人と話し合ったりするなどして,表し方の変化,表現の意図や特徴などをとらえること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 自分の感覚や活動を通して,形や色,動きや奥行きなどの造形的な特徴をとらえること。
イ 形や色などの造形的な特徴を基に,自分のイメージをもつこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(2) 第2の各学年の内容の「A表現」の(2)の指導に配当する授業時数については,工作に表すことの内容に配当する授業時数が,絵や立体に表すことの内容に配当する授業時数とおよそ等しくなるように計画すること。
(3) 第2の各学年の内容の「B鑑賞」の指導については,「A表現」との関連を図るようにすること。ただし,指導の効果を高めるため必要がある場合には,児童や学校の実態に応じて,独立して行うようにすること。
(4) 第2の各学年の内容の「A表現」の指導については,適宜共同してつくりだす活動を取り上げるようにすること。
(5) 低学年においては,生活科などとの関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。特に第1学年においては,幼稚園教育における表現に関する内容などとの関連を考慮すること。
(6) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,図画工作科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 個々の児童が特性を生かした活動ができるようにするため,学習活動や表現方法などに幅をもたせるようにすること。
(2) 各学年の「A表現」の(2)については,児童や学校の実態に応じて,児童が工夫して楽しめる程度の版に表す経験や焼成する経験ができるようにすること。
(3) 材料や用具については,次のとおり取り扱うこととし,必要に応じて,当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり,その後の学年で繰り返し取り上げたりすること。
ア 第1学年及び第2学年においては,土,粘土,木,紙,クレヨン,パス,はさみ,のり,簡単な小刀類など身近で扱いやすいものを用いることとし,児童がこれらに十分に慣れることができるようにすること。
イ 第3学年及び第4学年においては,木切れ,板材,釘《くぎ》,水彩絵の具,小刀,使いやすいのこぎり,金づちなどを用いることとし,児童がこれらを適切に扱うことができるようにすること。
ウ 第5学年及び第6学年においては,針金,糸のこぎりなどを用いることとし,児童が表現方法に応じてこれらを活用できるようにすること。
(4) 事故防止に留意すること。
(5) 各学年の「B鑑賞」の指導に当たっては,児童や学校の実態に応じて,地域の美術館などを利用したり,連携を図ったりすること。
3 校内の適切な場所に作品を展示するなどし,平素の学校生活においてそれを鑑賞できるよう配慮するものとする。
第8節 家   庭
第1 目標  衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して,日常生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付けるとともに,家庭生活を大切にする心情をはぐくみ,家族の一員として生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第5学年及び第6学年〕
1  目標
(1) 衣食住や家族の生活などに関する実践的・体験的な活動を通して,自分の成長を自覚するとともに,家庭生活への関心を高め,その大切さに気付くようにする。
(2) 日常生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,身近な生活に活用できるようにする。
(3) 自分と家族などとのかかわりを考えて実践する喜びを味わい,家庭生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる。
2 内容
A 家庭生活と家族 
(1) 自分の成長と家族について,次の事項を指導する。
ア 自分の成長を自覚することを通して,家庭生活と家族の大切さに気付くこと。
(2) 家庭生活と仕事について,次の事項を指導する。
ア 家庭には自分や家族の生活を支える仕事があることが分かり,自分の分担する仕事ができること。
イ 生活時間の有効な使い方を工夫し,家族に協力すること。
(3) 家族や近隣の人々とのかかわりについて,次の事項を指導する。
ア 家族との触れ合いや団らんを楽しくする工夫をすること。
イ 近隣の人々とのかかわりを考え,自分の家庭生活を工夫すること。
B 日常の食事と調理の基礎
(1) 食事の役割について,次の事項を指導する。
ア 食事の役割を知り,日常の食事の大切さに気付くこと。
イ 楽しく食事をするための工夫をすること。 
(2) 栄養を考えた食事について,次の事項を指導する。
ア 体に必要な栄養素の種類と働きについて知ること。
イ 食品の栄養的な特徴を知り,食品を組み合わせてとる必要があることが分かること。
ウ 1食分の献立を考えること。
(3) 調理の基礎について,次の事項を指導する。
ア 調理に関心をもち,必要な材料の分量や手順を考えて,調理計画を立てること。
イ 材料の洗い方,切り方,味の付け方,盛り付け,配膳《ぜん》及び後片付けが適切にできること。
ウ ゆでたり,いためたりして調理ができること。
エ 米飯及びみそ汁の調理ができること。
オ 調理に必要な用具や食器の安全で衛生的な取扱い及びこんろの安全な取扱いができること。
C 快適な衣服と住まい
(1) 衣服の着用と手入れについて,次の事項を指導する。
ア 衣服の働きが分かり,衣服に関心をもって日常着の快適な着方を工夫できること。
イ 日常着の手入れが必要であることが分かり,ボタン付けや洗濯ができること。
(2) 快適な住まい方について,次の事項を指導する。
ア 住まい方に関心をもって,整理・整頓《とん》や清掃の仕方が分かり工夫できること。
イ 季節の変化に合わせた生活の大切さが分かり,快適な住まい方を工夫できること。
(3) 生活に役立つ物の製作について,次の事項を指導する。
ア 布を用いて製作する物を考え,形などを工夫し,製作計画を立てること。                
イ 手縫いや,ミシンを用いた直線縫いにより目的に応じた縫い方を考えて製作し,活用できること。
ウ 製作に必要な用具の安全な取扱いができること。
D 身近な消費生活と環境
(1) 物や金銭の使い方と買物について,次の事項を指導する。
ア 物や金銭の大切さに気付き,計画的な使い方を考えること。
イ 身近な物の選び方,買い方を考え,適切に購入できること。
(2) 環境に配慮した生活の工夫について,次の事項を指導する。
ア 自分の生活と身近な環境とのかかわりに気付き,物の使い方などを工夫できること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 題材の構成に当たっては,児童の実態を的確にとらえるとともに,内容相互の関連を図り,指導の効果を高めるようにすること。
(2) 「A家庭生活と家族」の(1)のアについては,第4学年までの学習を踏まえ2学年間の学習の見通しを立てさせるために,第5学年の最初に履修させるとともに,「A家庭生活と家族」から「D身近な消費生活と環境」までの学習と関連させるようにすること。
(3) 「B日常の食事と調理の基礎」の(3)及び「C快適な衣服と住まい」の(3)については,学習の効果を高めるため,2学年にわたって取り扱い,平易なものから段階的に学習できるよう計画すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「B日常の食事と調理の基礎」については,次のとおり取り扱うこと。
ア (2)のア及びイについては,五大栄養素と食品の体内での主な働きを中心に扱うこと。
イ (3)のエについては,米飯やみそ汁が我が国の伝統的な日常食であることにも触れること。
ウ 食に関する指導については,家庭科の特質に応じて,食育の充実に資するよう配慮すること。
(2) 「C快適な衣服と住まい」の(2)のイについては,主として暑さ・寒さ,通風・換気及び採光を取り上げること。
(3) 「D身近な消費生活と環境」については,次のとおり取り扱うこと。
ア (1)のイについては,「A家庭生活と家族」の(3),「B日常の食事と調理の基礎」の(3)並びに「C快適な衣服と住まい」の(2)及び(3)で扱う用具や実習材料などの身近な物を取り上げること。
イ (2)については,「B日常の食事と調理の基礎」又は「C快適な衣服と住まい」との関連を図り,実践的に学習できるようにすること。
3 実習の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 服装を整え,用具の手入れや保管を適切に行うこと。
(2) 事故の防止に留意して,熱源や用具,機械などを取り扱うこと。
(3) 調理に用いる食品については,生の魚や肉は扱わないなど,安全・衛生に留意すること。
4 家庭との連携を図り,児童が身に付けた知識及び技能などを日常生活に活用するよう配慮するものとする。
5 各内容の指導に当たっては,衣食住など生活の中の様々な言葉を実感を伴って理解する学習活動や,自分の生活における課題を解決するために言葉や図表などを用いて生活をよりよくする方法を考えたり,説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮するものとする。
第9節 体   育
第1 目標  心と体を一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営む態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 簡単なきまりや活動を工夫して各種の運動を楽しくできるようにするとともに,その基本的な動きを身に付け,体力を養う。
(2) だれとでも仲よくし,健康・安全に留意して意欲的に運動をする態度を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を行い,体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,体の基本的な動きができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の変化に気付いたり,体の調子を整えたり,みんなでかかわり合ったりするための手軽な運動や律動的な運動をすること。
イ 多様な動きをつくる運動遊びでは,体のバランスをとったり移動をしたりするとともに,用具の操作などをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 体つくりのための簡単な運動の行い方を工夫できるようにする。
B 器械・器具を使っての運動遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 固定施設を使った運動遊びでは,登り下りや懸垂移行,渡り歩きや跳び下りをすること。
イ マットを使った運動遊びでは,いろいろな方向への転がり,手で支えての体の保持や回転をすること。
ウ 鉄棒を使った運動遊びでは,支持しての上がり下り,ぶら下がりや易しい回転をすること。
エ 跳び箱を使った運動遊びでは,跳び乗りや跳び下り,手を着いてのまたぎ乗りや跳び乗りをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 器械・器具を用いた簡単な遊び方を工夫できるようにする。
C 走・跳の運動遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 走の運動遊びでは,いろいろな方向に走ったり,低い障害物を走り越えたりすること。
イ 跳の運動遊びでは,前方や上方に跳んだり,連続して跳んだりすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 走ったり跳んだりする簡単な遊び方を工夫できるようにする。
D 水遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 水に慣れる遊びでは,水につかったり移動したりすること。
イ 浮く・もぐる遊びでは,水に浮いたりもぐったり,水中で息を吐いたりすること。
(2) 運動に進んで取り組み,仲よく運動をしたり,水遊びの心得を守って安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 水中での簡単な遊び方を工夫できるようにする。
E ゲーム
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア ボールゲームでは,簡単なボール操作やボールを持たないときの動きによって,的に当てるゲームや攻めと守りのあるゲームをすること。
イ 鬼遊びでは,一定の区域で,逃げる,追いかける,陣地を取り合うなどをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 簡単な規則を工夫したり,攻め方を決めたりすることができるようにする。
F 表現リズム遊び
(1) 次の運動を楽しく行い,題材になりきったりリズムに乗ったりして踊ることができるようにする。
ア 表現遊びでは,身近な題材の特徴をとらえ全身で踊ること。
イ リズム遊びでは,軽快なリズムに乗って踊ること。
(2) 運動に進んで取り組み,だれとでも仲よく踊ったり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 簡単な踊り方を工夫できるようにする。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A体つくり運動」については,2学年にわたって指導するものとする。
(2) 内容の「F表現リズム遊び」の(1)のイについては,簡単なフォークダンスを含めて指導することができる。
(3) 地域や学校の実態に応じて歌や運動を伴う伝承遊び及び自然の中での運動遊びを加えて指導することができる。
(4) 各領域の各内容については,運動と健康がかかわっていることの具体的な考えがもてるよう指導すること。
〔第3学年及び第4学年〕
1 目標
(1) 活動を工夫して各種の運動を楽しくできるようにするとともに,その基本的な動きや技能を身に付け,体力を養う。
(2) 協力,公正などの態度を育てるとともに,健康・安全に留意し,最後まで努力して運動をする態度を育てる。
(3) 健康な生活及び体の発育・発達について理解できるようにし,身近な生活において健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を行い,体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,体の基本的な動きができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の変化に気付いたり,体の調子を整えたり,みんなでかかわり合ったりするための手軽な運動や律動的な運動をすること。
イ 多様な動きをつくる運動では,体のバランスや移動,用具の操作などとともに,それらを組み合わせること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 体つくりのための運動の行い方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技ができるようにする。
ア マット運動では,基本的な回転技や倒立技をすること。
イ 鉄棒運動では,基本的な上がり技や支持回転技,下り技をすること。
ウ 跳び箱運動では,基本的な支持跳び越し技をすること。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,場や器械・器具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題をもち,技ができるようにするための活動を工夫できるようにする。
C 走・跳の運動
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア かけっこ・リレーでは,調子よく走ること。
イ 小型ハードル走では,小型ハードルを調子よく走り越えること。
ウ 幅跳びでは,短い助走から踏み切って跳ぶこと。
エ 高跳びでは,短い助走から踏み切って跳ぶこと。
(2) 運動に進んで取り組み,きまりを守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題をもち,動きを身に付けるための活動や競争の仕方を工夫できるようにする。
D 浮く・泳ぐ運動
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア 浮く運動では,いろいろな浮き方やけ伸びをすること。
イ 泳ぐ運動では,補助具を使ってのキックやストローク,呼吸をしながらの初歩的な泳ぎをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,仲よく運動をしたり,浮く・泳ぐ運動の心得を守って安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題をもち,動きを身に付けるための活動を工夫できるようにする。
E ゲーム
(1) 次の運動を楽しく行い,その動きができるようにする。
ア ゴール型ゲームでは,基本的なボール操作やボールを持たないときの動きによって,易しいゲームをすること。
イ ネット型ゲームでは,ラリーを続けたり,ボールをつないだりして易しいゲームをすること。
ウ ベースボール型ゲームでは,蹴《け》る,打つ,捕る,投げるなどの動きによって,易しいゲームをすること。
(2) 運動に進んで取り組み,規則を守り仲よく運動をしたり,勝敗を受け入れたり,場や用具の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 規則を工夫したり,ゲームの型に応じた簡単な作戦を立てたりすることができるようにする。
F 表現運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,表したい感じを表現したりリズムの特徴をとらえたりして踊ることができるようにする。
ア 表現では,身近な生活などの題材からその主な特徴をとらえ,対比する動きを組み合わせたり繰り返したりして踊ること。
イ リズムダンスでは,軽快なリズムに乗って全身で踊ること。
(2) 運動に進んで取り組み,だれとでも仲よく練習や発表をしたり,場の安全に気を付けたりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題を見付け,練習や発表の仕方を工夫できるようにする。
G 保 健
(1) 健康の大切さを認識するとともに,健康によい生活について理解できるようにする。
ア 心や体の調子がよいなどの健康の状態は,主体の要因や周囲の環境の要因がかかわっていること。
イ 毎日を健康に過ごすには,食事,運動,休養及び睡眠の調和のとれた生活を続けること,また,体の清潔を保つことなどが必要であること。
ウ 毎日を健康に過ごすには,明るさの調節,換気などの生活環境を整えることなどが必要であること。
(2) 体の発育・発達について理解できるようにする。
ア 体は,年齢に伴って変化すること。また,体の発育・発達には,個人差があること。
イ 体は,思春期になると次第に大人の体に近づき,体つきが変わったり,初経,精通などが起こったりすること。また,異性への関心が芽生えること。
ウ 体をよりよく発育・発達させるには,調和のとれた食事,適切な運動,休養及び睡眠が必要であること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A体つくり運動」については,2学年にわたって指導するものとする。
(2) 内容の「F表現運動」の(1)については,地域や学校の実態に応じてフォークダンスを加えて指導することができる。
(3) 内容の「G保健」については,(1)を第3学年,(2)を第4学年で指導するものとする。
(4) 内容の「G保健」の(1)については,学校でも,健康診断や学校給食など様々な活動が行われていることについて触れるものとする。
(5) 内容の「G保健」の(2)については,自分と他の人では発育・発達などに違いがあることに気付き,それらを肯定的に受け止めることが大切であることについて触れるものとする。
〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
(1) 活動を工夫して各種の運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに,その特性に応じた基本的な技能を身に付け,体力を高める。
(2) 協力,公正などの態度を育てるとともに,健康・安全に留意し,自己の最善を尽くして運動をする態度を育てる。
(3) 心の健康,けがの防止及び病気の予防について理解できるようにし,健康で安全な生活を営む資質や能力を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を行い,体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに,体力を高めることができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の関係に気付いたり,体の調子を整えたり,仲間と交流したりするための手軽な運動や律動的な運動をすること。
イ 体力を高める運動では,ねらいに応じて,体の柔らかさ及び巧みな動きを高めるための運動,力強い動き及び動きを持続する能力を高めるための運動をすること。
(2) 運動に進んで取り組み,助け合って運動をしたり,場や用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の体の状態や体力に応じて,運動の行い方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技ができるようにする。
ア マット運動では,基本的な回転技や倒立技を安定して行うとともに,その発展技を行ったり,それらを繰り返したり組み合わせたりすること。
イ 鉄棒運動では,基本的な上がり技や支持回転技,下り技を安定して行うとともに,その発展技を行ったり,それらを繰り返したり組み合わせたりすること。
ウ 跳び箱運動では,基本的な支持跳び越し技を安定して行うとともに,その発展技を行うこと。
(2) 運動に進んで取り組み,約束を守り助け合って運動をしたり,場や器械・器具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題の解決の仕方や技の組み合わせ方を工夫できるようにする。
C 陸上運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技能を身に付けることができるようにする。
ア 短距離走・リレーでは,一定の距離を全力で走ること。
イ ハードル走では,ハードルをリズミカルに走り越えること。
ウ 走り幅跳びでは,リズミカルな助走から踏み切って跳ぶこと。
エ 走り高跳びでは,リズミカルな助走から踏み切って跳ぶこと。
(2) 運動に進んで取り組み,約束を守り助け合って運動をしたり,場や用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題の解決の仕方,競争や記録への挑戦の仕方を工夫できるようにする。
D 水 泳
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技能を身に付けることができるようにする。
ア クロールでは,続けて長く泳ぐこと。
イ 平泳ぎでは,続けて長く泳ぐこと。
(2) 運動に進んで取り組み,助け合って水泳をしたり,水泳の心得を守って安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自己の能力に適した課題の解決の仕方や記録への挑戦の仕方を工夫できるようにする。
E ボール運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,その技能を身に付けることができるようにする。
ア ゴール型では,簡易化されたゲームで,ボール操作やボールを受けるための動きによって,攻防をすること。
イ ネット型では,簡易化されたゲームで,チームの連係による攻撃や守備によって,攻防をすること。
ウ ベースボール型では,簡易化されたゲームで,ボールを打ち返す攻撃や隊形をとった守備によって,攻防をすること。
(2) 運動に進んで取り組み,ルールを守り助け合って運動をしたり,場や用具の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) ルールを工夫したり,自分のチームの特徴に応じた作戦を立てたりすることができるようにする。
F 表現運動
(1) 次の運動の楽しさや喜びに触れ,表したい感じを表現したり踊りの特徴をとらえたりして踊ることができるようにする。
ア 表現では,いろいろな題材から表したいイメージをとらえ,即興的な表現や簡単なひとまとまりの表現で踊ること。
イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて簡単なステップや動きで踊ること。
(2) 運動に進んで取り組み,互いのよさを認め合い助け合って練習や発表をしたり,場の安全に気を配ったりすることができるようにする。
(3) 自分やグループの課題の解決に向けて,練習や発表の仕方を工夫できるようにする。
G 保 健
(1) 心の発達及び不安,悩みへの対処について理解できるようにする。
ア 心は,いろいろな生活経験を通して,年齢に伴って発達すること。
イ 心と体は,相互に影響し合うこと。
ウ 不安や悩みへの対処には,大人や友達に相談する,仲間と遊ぶ,運動をするなどいろいろな方法があること。
(2) けがの防止について理解するとともに,けがなどの簡単な手当ができるようにする。 
ア 交通事故や身の回りの生活の危険が原因となって起こるけがの防止には,周囲の危険に気付くこと,的確な判断の下に安全に行動すること,環境を安全に整えることが必要であること。
イ けがの簡単な手当は,速やかに行う必要があること。
(3) 病気の予防について理解できるようにする。
ア 病気は,病原体,体の抵抗力,生活行動,環境がかかわり合って起こること。
イ 病原体が主な要因となって起こる病気の予防には,病原体が体に入るのを防ぐことや病原体に対する体の抵抗力を高めることが必要であること。
ウ 生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防には,栄養の偏りのない食事をとること,口腔《くう》の衛生を保つことなど,望ましい生活習慣を身に付ける必要があること。
エ 喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,健康を損なう原因となること。
オ 地域では,保健にかかわる様々な活動が行われていること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A体つくり運動」については,2学年にわたって指導するものとする。また,(1)のイについては,体の柔らかさ及び巧みな動きを高めることに重点を置いて指導するものとする。
(2) 内容の「D水泳」の(1)については,水中からのスタートを指導するものとする。また,学校の実態に応じて背泳ぎを加えて指導することができる。
(3) 内容の「Eボール運動」の(1)については,アはバスケットボール及びサッカーを,イはソフトバレーボールを,ウはソフトボールを主として取り扱うものとするが,これらに替えてそれぞれの型に応じたハンドボールなどのその他のボール運動を指導することもできるものとする。なお,学校の実態に...
(4) 内容の「F表現運動」の(1)については,地域や学校の実態に応じてリズムダンスを加えて指導することができる。
(5) 内容の「G保健」については,(1)及び(2)を第5学年,(3)を第6学年で指導するものとする。
(6) 内容の「A体つくり運動」の(1)のアと「G保健」の(1)のウについては,相互の関連を図って指導するものとする。
(7) 内容の「G保健」の(3)のエの薬物については,有機溶剤の心身への影響を中心に取り扱うものとする。また,覚せい剤等についても触れるものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 地域や学校の実態を考慮するとともに,個々の児童の運動経験や技能の程度などに応じた指導や児童自らが運動の課題の解決を目指す活動を行えるよう工夫すること。
(2) 一部の領域の指導に偏ることのないよう授業時数を配当すること。
(3) 第2の第3学年及び第4学年の内容の「G保健」に配当する授業時数は,2学年間で8単位時間程度,また,第2の第5学年及び第6学年の内容の「G保健」に配当する授業時数は,2学年間で16単位時間程度とすること。
(4) 第2の第3学年及び第4学年の内容の「G保健」並びに第5学年及び第6学年の内容の「G保健」(以下「保健」という。)については,効果的な学習が行われるよう適切な時期に,ある程度まとまった時間を配当すること。
(5) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「A体つくり運動」の(1)のアについては,各学年の各領域においてもその趣旨を生かした指導ができること。
(2) 「D水遊び」,「D浮く・泳ぐ運動」及び「D水泳」の指導については,適切な水泳場の確保が困難な場合にはこれらを取り扱わないことができるが,これらの心得については,必ず取り上げること。
(3) 集合,整頓《とん》,列の増減などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団としての行動ができるようにするための指導については,「A体つくり運動」をはじめとして,各学年の各領域(保健を除く。)において適切に行うこと。
(4) 自然とのかかわりの深い雪遊び,氷上遊び,スキー,スケート,水辺活動などの指導については,地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意すること。
(5) 保健の内容のうち食事,運動,休養及び睡眠については,食育の観点も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結び付くよう配慮するとともに,保健を除く第3学年以上の各領域及び学校給食に関する指導においても関連した指導を行うよう配慮すること。
(6) 保健の指導に当たっては,知識を活用する学習活動を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うこと。
第3章 特別の教科 道徳
第1 目標  第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。...
第2 内容  学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては,以下に示す項目について扱う。
A 主として自分自身に関すること
[善悪の判断,自律,自由と責任]
〔第1学年及び第2学年〕  よいことと悪いこととの区別をし,よいと思うことを進んで行うこと。
〔第3学年及び第4学年〕  正しいと判断したことは,自信をもって行うこと。
〔第5学年及び第6学年〕  自由を大切にし,自律的に判断し,責任のある行動をすること。
[正直,誠実]
〔第1学年及び第2学年〕  うそをついたりごまかしをしたりしないで,素直に伸び伸びと生活すること。
〔第3学年及び第4学年〕  過ちは素直に改め,正直に明るい心で生活すること。
〔第5学年及び第6学年〕  誠実に,明るい心で生活すること。
[節度,節制]
〔第1学年及び第2学年〕  健康や安全に気を付け,物や金銭を大切にし,身の回りを整え,わがままをしないで,規則正しい生活をすること。
〔第3学年及び第4学年〕  自分でできることは自分でやり,安全に気を付け,よく考えて行動し,節度のある生活をすること。
〔第5学年及び第6学年〕  安全に気を付けることや,生活習慣の大切さについて理解し,自分の生活を見直し,節度を守り節制に心掛けること。
[個性の伸長]
〔第1学年及び第2学年〕  自分の特徴に気付くこと。
〔第3学年及び第4学年〕  自分の特徴に気付き,長所を伸ばすこと。
〔第5学年及び第6学年〕  自分の特徴を知って,短所を改め長所を伸ばすこと。
[希望と勇気, 努力と強い意志]
〔第1学年及び第2学年〕  自分のやるべき勉強や仕事をしっかりと行うこと。
〔第3学年及び第4学年〕  自分でやろうと決めた目標に向かって,強い意志をもち,粘り強くやり抜くこと。
〔第5学年及び第6学年〕  より高い目標を立て,希望と勇気をもち,困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。
[真理の探究] 〔第5学年及び第6学年〕  真理を大切にし,物事を探究しようとする心をもつこと。
B 主として人との関わりに関すること
[親切,思いやり]
〔第1学年及び第2学年〕  身近にいる人に温かい心で接し,親切にすること。
〔第3学年及び第4学年〕  相手のことを思いやり,進んで親切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕  誰に対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にすること。
[感謝]
〔第1学年及び第2学年〕  家族など日頃世話になっている人々に感謝すること。
〔第3学年及び第4学年〕  家族など生活を支えてくれている人々や現在の生活を築いてくれた高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接すること。
〔第5学年及び第6学年〕  日々の生活が家族や過去からの多くの人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それに応えること。
[礼儀]
〔第1学年及び第2学年〕  気持ちのよい挨拶,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接すること。
〔第3学年及び第4学年〕  礼儀の大切さを知り,誰に対しても真心をもって接すること。
〔第5学年及び第6学年〕  時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接すること。
[友情,信頼]
〔第1学年及び第2学年〕  友達と仲よくし,助け合うこと。
〔第3学年及び第4学年〕  友達と互いに理解し,信頼し,助け合うこと。
〔第5学年及び第6学年〕  友達と互いに信頼し,学び合って友情を深め,異性についても理解しながら,人間関係を築いていくこと。
[相互理解,寛容]
〔第3学年及び第4学年〕  自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,相手のことを理解し,自分と異なる意見も大切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕  自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を尊重すること。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
[規則の尊重]
〔第1学年及び第2学年〕  約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にすること。
〔第3学年及び第4学年〕  約束や社会のきまりの意義を理解し,それらを守ること。
〔第5学年及び第6学年〕  法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り,自他の権利を大切にし,義務を果たすこと。
[公正,公平,社会正義]
〔第1学年及び第2学年〕  自分の好き嫌いにとらわれないで接すること。
〔第3学年及び第4学年〕  誰に対しても分け隔てをせず,公正,公平な態度で接すること。
〔第5学年及び第6学年〕  誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく,公正,公平な態度で接し,正義の実現に努めること。
[勤労,公共の精神]
〔第1学年及び第2学年〕  働くことのよさを知り,みんなのために働くこと。
〔第3学年及び第4学年〕  働くことの大切さを知り,進んでみんなのために働くこと。
〔第5学年及び第6学年〕  働くことや社会に奉仕することの充実感を味わうとともに,その意義を理解し,公共のために役に立つことをすること。
[家族愛,家庭生活の充実]
〔第1学年及び第2学年〕  父母,祖父母を敬愛し,進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つこと。
〔第3学年及び第4学年〕  父母,祖父母を敬愛し,家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。
〔第5学年及び第6学年〕  父母,祖父母を敬愛し,家族の幸せを求めて,進んで役に立つことをすること。
[よりよい学校生活,集団生活の充実]
〔第1学年及び第2学年〕  先生を敬愛し,学校の人々に親しんで,学級や学校の生活を楽しくすること。
〔第3学年及び第4学年〕  先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合って楽しい学級や学校をつくること。
〔第5学年及び第6学年〕  先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合ってよりよい学級や学校をつくるとともに,様々な集団の中での自分の役割を自覚して集団生活の充実に努めること。
[伝統と文化の尊重, 国や郷土を愛する態度]
〔第1学年及び第2学年〕  我が国や郷土の文化と生活に親しみ,愛着をもつこと。
〔第3学年及び第4学年〕  我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,国や郷土を愛する心をもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕  我が国や郷土の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,国や郷土を愛する心をもつこと。
[国際理解,国際親善]
〔第1学年及び第2学年〕  他国の人々や文化に親しむこと。
〔第3学年及び第4学年〕  他国の人々や文化に親しみ,関心をもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕  他国の人々や文化について理解し,日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。
D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
[生命の尊さ]
〔第1学年及び第2学年〕  生きることのすばらしさを知り,生命を大切にすること。
〔第3学年及び第4学年〕  生命の尊さを知り,生命あるものを大切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕  生命が多くの生命のつながりの中にあるかけがえのないものであることを理解し,生命を尊重すること。
[自然愛護]
〔第1学年及び第2学年〕  身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接すること。
〔第3学年及び第4学年〕  自然のすばらしさや不思議さを感じ取り,自然や動植物を大切にすること。
〔第5学年及び第6学年〕  自然の偉大さを知り,自然環境を大切にすること。
[感動,畏敬の念]
〔第1学年及び第2学年〕  美しいものに触れ,すがすがしい心をもつこと。
〔第3学年及び第4学年〕  美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。
〔第5学年及び第6学年〕  美しいものや気高いものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつこと。
[よりよく生きる喜び] 〔第5学年及び第6学年〕 よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し,人間として生きる喜びを感じること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 各学校においては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら, 道徳科の年間指導計画を作成するものとする。 なお, 作成に当たっては, 第2に示す各学年段階の内容項目について, 相当する各学年において全て取り上げることと...
2 第2の内容の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2) 道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう,計画的・発展的な指導を行うこと。特に,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや,児童や学校の実態...
(3) 児童が自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。その際,道徳性を養うことの意義について,児童自らが考え,理解し,主体的に学習に取り組むことができるようにすること。
(4) 児童が多様な感じ方や考え方に接する中で,考えを深め,判断し,表現する力などを育むことができるよう,自分の考えを基に話し合ったり書いたりするなどの言語活動を充実すること。
(5) 児童の発達の段階や特性等を考慮し,指導のねらいに即して,問題解決的な学習,道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど,指導方法を工夫すること。その際,それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また,特別活動等における多様な...
(6) 児童の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連を踏まえつつ,情報モラルに関する指導を充実すること。また,児童の発達の段階や特性等を考慮し,例えば,社会の持続可能な発展などの現代的な課題の取扱いにも留意し,身近な社会的課題を自分との関係において考え,それらの解決に寄...
(7) 道徳科の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々,各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 児童の発達の段階や特性,地域の実情等を考慮し,多様な教材の活用に努めること。特に,生命の尊厳,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし,児童が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり,感動を覚えたりするような充実した教材の開発や活...
(2) 教材については,教育基本法や学校教育法その他の法令に従い,次の観点に照らし適切と判断されるものであること。
ア 児童の発達の段階に即し,ねらいを達成するのにふさわしいものであること。
イ 人間尊重の精神にかなうものであって,悩みや葛藤等の心の揺れ,人間関係の理解等の課題も含め,児童が深く考えることができ,人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること。
ウ 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には,特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること。
4 児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとする。
第4章 外国語活動
第1 目標  外国語を通じて,言語や文化について体験的に理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら,コミュニケーション能力の素地を養う。
第2 内容
〔第5学年及び第6学年〕
1 外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることができるよう,次の事項について指導する。
(1) 外国語を用いてコミュニケーションを図る楽しさを体験すること。
(2) 積極的に外国語を聞いたり,話したりすること。
(3) 言語を用いてコミュニケーションを図ることの大切さを知ること。
2 日本と外国の言語や文化について,体験的に理解を深めることができるよう,次の事項について指導する。
(1) 外国語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに,日本語との違いを知り,言葉の面白さや豊かさに気付くこと。
(2) 日本と外国との生活,習慣,行事などの違いを知り,多様なものの見方や考え方があることに気付くこと。
(3) 異なる文化をもつ人々との交流等を体験し,文化等に対する理解を深めること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 外国語活動においては,英語を取り扱うことを原則とすること。
(2) 各学校においては,児童や地域の実態に応じて,学年ごとの目標を適切に定め,2学年間を通して外国語活動の目標の実現を図るようにすること。
(3) 第2の内容のうち,主として言語や文化に関する2の内容の指導については,主としてコミュニケーションに関する1の内容との関連を図るようにすること。その際,言語や文化については体験的な理解を図ることとし,指導内容が必要以上に細部にわたったり,形式的になったりしないようにすること。...
(4) 指導内容や活動については,児童の興味・関心にあったものとし,国語科,音楽科,図画工作科などの他教科等で児童が学習したことを活用するなどの工夫により,指導の効果を高めるようにすること。
(5) 指導計画の作成や授業の実施については,学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師が行うこととし,授業の実施に当たっては,ネイティブ・スピーカーの活用に努めるとともに,地域の実態に応じて,外国語に堪《たん》能な地域の人々の協力を得るなど,指導体制を充実すること。
(6) 音声を取り扱う場合には,CD,DVDなどの視聴覚教材を積極的に活用すること。その際,使用する視聴覚教材は,児童,学校及び地域の実態を考慮して適切なものとすること。
(7) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,外国語活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 2学年間を通じ指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
ア 外国語でのコミュニケーションを体験させる際には,児童の発達の段階を考慮した表現を用い,児童にとって身近なコミュニケーションの場面を設定すること。
イ 外国語でのコミュニケーションを体験させる際には,音声面を中心とし,アルファベットなどの文字や単語の取扱いについては,児童の学習負担に配慮しつつ,音声によるコミュニケーションを補助するものとして用いること。
ウ 言葉によらないコミュニケーションの手段もコミュニケーションを支えるものであることを踏まえ,ジェスチャーなどを取り上げ,その役割を理解させるようにすること。
エ 外国語活動を通して,外国語や外国の文化のみならず,国語や我が国の文化についても併せて理解を深めることができるようにすること。
オ 外国語でのコミュニケーションを体験させるに当たり,主として次に示すようなコミュニケーションの場面やコミュニケーションの働きを取り上げるようにすること。
〔コミュニケーションの場面の例〕
(ア) 特有の表現がよく使われる場面
・ あいさつ   
・ 自己紹介   
・ 買物
・ 食事
・ 道案内
など
(イ) 児童の身近な暮らしにかかわる場面
・ 家庭での生活 
・ 学校での学習や活動
・ 地域の行事
・ 子どもの遊び
など
〔コミュニケーションの働きの例〕
(ア) 相手との関係を円滑にする
(イ) 気持ちを伝える
(ウ) 事実を伝える
(エ) 考えや意図を伝える
(オ) 相手の行動を促す
(2) 児童の学習段階を考慮して各学年の指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
ア 第5学年における活動  外国語を初めて学習することに配慮し,児童に身近で基本的な表現を使いながら,外国語に慣れ親しむ活動や児童の日常生活や学校生活にかかわる活動を中心に,友達とのかかわりを大切にした体験的なコミュニケーション活動を行うようにすること。
イ 第6学年における活動  第5学年の学習を基礎として,友達とのかかわりを大切にしながら,児童の日常生活や学校生活に加え,国際理解にかかわる交流等を含んだ体験的なコミュニケーション活動を行うようにすること。
第5章 総合的な学習の時間
第1 目標  横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考える...
第2 各学校において定める目標及び内容
1 目標 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。
2 内容 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。
(2) 地域や学校,児童の実態等に応じて,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習,探究的な学習,児童の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うこと。
(3) 第2の各学校において定める目標及び内容については,日常生活や社会とのかかわりを重視すること。
(4) 育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
(5) 学習活動については,学校の実態に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,児童の興味・関心に基づく課題についての学習活動,地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題についての学習活動などを行うこと。
(6) 各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
(7) 各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(8) 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めること。
(9) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学校において定める目標及び内容に基づき,児童の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。
(2) 問題の解決や探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。
(3) 自然体験やボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。
(4) 体験活動については,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえ,問題の解決や探究活動の過程に適切に位置付けること。
(5) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。
(6) 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
(7) 国際理解に関する学習を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,諸外国の生活や文化などを体験したり調査したりするなどの学習活動が行われるようにすること。
(8) 情報に関する学習を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。
第6章 特別活動
第1 目標  望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,自己の生き方についての考えを深め,自己を生かす能力を養う。
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
〔学級活動〕 
1 目標  学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。
2 内容
〔第1学年及び第2学年〕 学級を単位として,仲良く助け合い学級生活を楽しくするとともに,日常の生活や学習に進んで取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。
〔第3学年及び第4学年〕 学級を単位として,協力し合って楽しい学級生活をつくるとともに,日常の生活や学習に意欲的に取り組もうとする態度の育成に資する活動を行うこと。
〔第5学年及び第6学年〕 学級を単位として,信頼し支え合って楽しく豊かな学級や学校の生活をつくるとともに,日常の生活や学習に自主的に取り組もうとする態度の向上に資する活動を行うこと。
〔共通事項〕
(1) 学級や学校の生活づくり
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理
ウ 学校における多様な集団の生活の向上
(2) 日常の生活や学習への適応及び健康安全
ア 希望や目標をもって生きる態度の形成
イ 基本的な生活習慣の形成
ウ 望ましい人間関係の形成
エ 清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義の理解
オ 学校図書館の利用
カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成
キ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
〔児童会活動〕
1 目標 児童会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容 学校の全児童をもって組織する児童会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。 
(1) 児童会の計画や運営
(2) 異年齢集団による交流
(3) 学校行事への協力
〔クラブ活動〕
1 目標 クラブ活動を通して,望ましい人間関係を形成し,個性の伸長を図り,集団の一員として協力してよりよいクラブづくりに参画しようとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容  学年や学級の所属を離れ,主として第4学年以上の同好の児童をもって組織するクラブにおいて,異年齢集団の交流を深め,共通の興味・関心を追求する活動を行うこと。
(1) クラブの計画や運営
(2) クラブを楽しむ活動
(3) クラブの成果の発表
〔学校行事〕
1 目標 学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容 全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
(1) 儀式的行事 学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。
(2) 文化的行事  平素の学習活動の成果を発表し,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。
(3) 健康安全・体育的行事  心身の健全な発達や健康の保持増進などについての関心を高め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵《かん》養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
(4) 遠足・集団宿泊的行事  自然の中での集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,人間関係などの集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。
(5) 勤労生産・奉仕的行事  勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い                  
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 
(1) 特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学級や学校の実態や児童の発達の段階などを考慮し,児童による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳科,外国語活動及び総合的な学習の時間などの指導と...
(2) 〔学級活動〕などにおいて,児童が自ら現在及び将来の生き方を考えることができるよう工夫すること。
(3) 〔クラブ活動〕については,学校や地域の実態等を考慮しつつ児童の興味・関心を踏まえて計画し実施できるようにすること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 〔学級活動〕,〔児童会活動〕及び〔クラブ活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,児童の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるな...
(2) 〔学級活動〕については,学級,学校及び児童の実態,学級集団の育成上の課題や発達の課題及び第1章総則の第4の3の(2)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年段階において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりす...
(3) 〔児童会活動〕の運営は,主として高学年の児童が行うこと。
(4) 〔学校行事〕については,学校や地域及び児童の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,異年齢集団による交流,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体験など...
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
第1章 総則
第1 教育課程編成の一般方針
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うもの...
2 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。  道徳教育...
3 学校における体育・健康に関する指導は,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科の時間はもとより,技術・家庭科,...
第2 内容等の取扱いに関する共通的事項
1 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,全ての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,こ...
3 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動並びに各学年,各分野又は各言語の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
4 学校において2以上の学年の生徒で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。
5 各学校においては,選択教科を開設し,生徒に履修させることができる。その場合にあっては,地域や学校,生徒の実態を考慮し,すべての生徒に指導すべき内容との関連を図りつつ,選択教科の授業時数及び内容を適切に定め選択教科の指導計画を作成するものとする。
6 選択教科の内容については,課題学習,補充的な学習や発展的な学習など,生徒の特性等に応じた多様な学習活動が行えるよう各学校において適切に定めるものとする。その際,生徒の負担過重となることのないようにしなければならない。
7 各学校においては,第2章に示す各教科を選択教科として設けることができるほか,地域や学校,生徒の実態を考慮して,特に必要がある場合には,その他特に必要な教科を選択教科として設けることができる。その他特に必要な教科の名称,目標,内容などについては,各学校が適切に定めるものとする。
8 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とする。
第3 授業時数等の取扱い
1 各教科,道徳科,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」 という。ただし,1及び3において,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。)の授業は,年間35週以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が生徒の負担過重にならないようにするものとす...
2 特別活動の授業のうち,生徒会活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
3 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数を確保しつつ,生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めるものとする。なお,10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において,当該教科を担当する教師がその指導...
4 各学校においては,地域や学校及び生徒の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することができる。
5 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
1 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
(2) 各教科の各学年,各分野又は各言語の指導内容については,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加えるなど,効果的な指導ができるようにすること。
2 各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各教科等の指導に当たっては,生徒の思考力,判断力,表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め,言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え,生徒の言語活動を充実すること。
(2) 各教科等の指導に当たっては,体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視するとともに,生徒の興味・関心を生かし,自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
(3) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め,生徒が自主的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう,生徒指導の充実を図ること。
(4) 生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行うこと。
(5) 生徒が学校や学級での生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,ガイダンスの機能の充実を図ること。
(6) 各教科等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること。
(7) 各教科等の指導に当たっては,生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう,学校や生徒の実態に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,学習内容の習熟の程度に応じた指導,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導,教師...
(8) 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行う...
(9) 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うこと。
(10) 各教科等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
(11) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(12) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(13) 生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵《かん》養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,地域や学校の実態に応じ,地域の人々の協...
(14) 学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,中学校間や小学校,高等学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などとの交流...
3 道徳教育を進めるに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校においては,第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」 という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。 なお, 道徳教育の全体計画の作成に当たっては,生徒...
(2) 各学校においては,生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,小学校における道徳教育の指導内容を更に発展させ,自立心や自律性を高め,規律ある生活をすること,生命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること,法やきまりの意義に...
(3) 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意...
(4) 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
第2章 各教科
第1節 国語
第1 目標  国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし,国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 目的や場面に応じ,日常生活にかかわることなどについて構成を工夫して話す能力,話し手の意図を考えながら聞く能力,話題や方向をとらえて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えをまとめようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,日常生活にかかわることなどについて,構成を考えて的確に書く能力を身に付けさせるとともに,進んで文章を書いて考えをまとめようとする態度を育てる。
(3) 目的や意図に応じ,様々な本や文章などを読み,内容や要旨を的確にとらえる能力を身に付けさせるとともに,読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 日常生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を人との交流を通して集め整理すること。
イ 全体と部分,事実と意見との関係に注意して話を構成し,相手の反応を踏まえながら話すこと。
ウ 話す速度や音量,言葉の調子や間の取り方,相手に分かりやすい語句の選択,相手や場に応じた言葉遣いなどについての知識を生かして話すこと。
エ 必要に応じて質問しながら聞き取り,自分の考えとの共通点や相違点を整理すること。
オ 話合いの話題や方向をとらえて的確に話したり,相手の発言を注意して聞いたりして,自分の考えをまとめること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 日常生活の中の話題について報告や紹介をしたり,それらを聞いて質問や助言をしたりすること。
イ 日常生活の中の話題について対話や討論などを行うこと。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 日常生活の中から課題を決め,材料を集めながら自分の考えをまとめること。
イ 集めた材料を分類するなどして整理するとともに,段落の役割を考えて文章を構成すること。
ウ 伝えたい事実や事柄について,自分の考えや気持ちを根拠を明確にして書くこと。
エ 書いた文章を読み返し,表記や語句の用法,叙述の仕方などを確かめて,読みやすく分かりやすい文章にすること。
オ 書いた文章を互いに読み合い,題材のとらえ方や材料の用い方,根拠の明確さなどについて意見を述べたり,自分の表現の参考にしたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある芸術的な作品などについて,鑑賞したことを文章に書くこと。
イ 図表などを用いた説明や記録の文章を書くこと。
ウ 行事等の案内や報告をする文章を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 文脈の中における語句の意味を的確にとらえ,理解すること。
イ 文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見などとを読み分け,目的や必要に応じて要約したり要旨をとらえたりすること。
ウ 場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み,内容の理解に役立てること。
エ 文章の構成や展開,表現の特徴について,自分の考えをもつこと。
オ 文章に表れているものの見方や考え方をとらえ,自分のものの見方や考え方を広くすること。
カ 本や文章などから必要な情報を集めるための方法を身に付け,目的に応じて必要な情報を読み取ること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 様々な種類の文章を音読したり朗読したりすること。
イ 文章と図表などとの関連を考えながら,説明や記録の文章を読むこと。
ウ 課題に沿って本を読み,必要に応じて引用して紹介すること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 文語のきまりや訓読の仕方を知り,古文や漢文を音読して,古典特有のリズムを味わいながら,古典の世界に触れること。
(イ) 古典には様々な種類の作品があることを知ること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 音声の働きや仕組みについて関心をもち,理解を深めること。
(イ) 語句の辞書的な意味と文脈上の意味との関係に注意し,語感を磨くこと。
(ウ) 事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるとともに,話や文章の中の語彙《い》について関心をもつこと。
(エ) 単語の類別について理解し,指示語や接続詞及びこれらと同じような働きをもつ語句などに注意すること。
(オ) 比喩《ゆ》や反復などの表現の技法について理解すること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち300字程度から400字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表の漢字のうち900字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して,楷《かい》書で書くこと。
イ 漢字の行書の基礎的な書き方を理解して書くこと。
〔第2学年〕
1 目標
(1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて立場や考えの違いを踏まえて話す能力,考えを比べながら聞く能力,相手の立場を尊重して話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを広げようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,構成を工夫して分かりやすく書く能力を身に付けさせるとともに,文章を書いて考えを広げようとする態度を育てる。
(3) 目的や意図に応じ,文章の内容や表現の仕方に注意して読む能力,広い範囲から情報を集め効果的に活用する能力を身に付けさせるとともに,読書を生活に役立てようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から話題を決め,話したり話し合ったりするための材料を多様な方法で集め整理すること。
イ 異なる立場や考えを想定して自分の考えをまとめ,話の中心的な部分と付加的な部分などに注意し,論理的な構成や展開を考えて話すこと。
ウ 目的や状況に応じて,資料や機器などを効果的に活用して話すこと。
エ 話の論理的な構成や展開などに注意して聞き,自分の考えと比較すること。
オ 相手の立場や考えを尊重し,目的に沿って話し合い,互いの発言を検討して自分の考えを広げること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 調べて分かったことや考えたことなどに基づいて説明や発表をしたり,それらを聞いて意見を述べたりすること。
イ 社会生活の中の話題について,司会や提案者などを立てて討論を行うこと。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から課題を決め,多様な方法で材料を集めながら自分の考えをまとめること。
イ 自分の立場及び伝えたい事実や事柄を明確にして,文章の構成を工夫すること。
ウ 事実や事柄,意見や心情が相手に効果的に伝わるように,説明や具体例を加えたり,描写を工夫したりして書くこと。
エ 書いた文章を読み返し,語句や文の使い方,段落相互の関係などに注意して,読みやすく分かりやすい文章にすること。
オ 書いた文章を互いに読み合い,文章の構成や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり助言をしたりして,自分の考えを広げること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 表現の仕方を工夫して,詩歌をつくったり物語などを書いたりすること。
イ 多様な考えができる事柄について,立場を決めて意見を述べる文章を書くこと。
ウ 社会生活に必要な手紙を書くこと。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。
イ 文章全体と部分との関係,例示や描写の効果,登場人物の言動の意味などを考え,内容の理解に役立てること。
ウ 文章の構成や展開,表現の仕方について,根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
エ 文章に表れているものの見方や考え方について,知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと。
オ 多様な方法で選んだ本や文章などから適切な情報を得て,自分の考えをまとめること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 詩歌や物語などを読み,内容や表現の仕方について感想を交流すること。
イ 説明や評論などの文章を読み,内容や表現の仕方について自分の考えを述べること。
ウ 新聞やインターネット,学校図書館等の施設などを活用して得た情報を比較すること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界を楽しむこと。
(イ) 古典に表れたものの見方や考え方に触れ,登場人物や作者の思いなどを想像すること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 話し言葉と書き言葉との違い,共通語と方言の果たす役割,敬語の働きなどについて理解すること。
(イ) 抽象的な概念を表す語句,類義語と対義語,同音異義語や多義的な意味を表す語句などについて理解し,語感を磨き語彙《い》を豊かにすること。
(ウ) 文の中の文の成分の順序や照応,文の構成などについて考えること。
(エ) 単語の活用について理解し,助詞や助動詞などの働きに注意すること。
(オ) 相手や目的に応じて,話や文章の形態や展開に違いがあることを理解すること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち350字程度から450字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字を書き,文や文章の中で使うこと。                          
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して,読みやすく速く書くこと。
イ 目的や必要に応じて,楷《かい》書又は行書を選んで書くこと。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 目的や場面に応じ,社会生活にかかわることなどについて相手や場に応じて話す能力,表現の工夫を評価して聞く能力,課題の解決に向けて話し合う能力を身に付けさせるとともに,話したり聞いたりして考えを深めようとする態度を育てる。
(2) 目的や意図に応じ,社会生活にかかわることなどについて,論理の展開を工夫して書く能力を身に付けさせるとともに,文章を書いて考えを深めようとする態度を育てる。
(3) 目的や意図に応じ,文章の展開や表現の仕方などを評価しながら読む能力を身に付けさせるとともに,読書を通して自己を向上させようとする態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から話題を決め,自分の経験や知識を整理して考えをまとめ,語句や文を効果的に使い,資料などを活用して説得力のある話をすること。
イ 場の状況や相手の様子に応じて話すとともに,敬語を適切に使うこと。
ウ 聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分のものの見方や考え方を深めたり,表現に生かしたりすること。
エ 話合いが効果的に展開するように進行の仕方を工夫し,課題の解決に向けて互いの考えを生かし合うこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 時間や場の条件に合わせてスピーチをしたり,それを聞いて自分の表現の参考にしたりすること。
イ 社会生活の中の話題について,相手を説得するために意見を述べ合うこと。
B 書くこと
(1) 書くことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 社会生活の中から課題を決め,取材を繰り返しながら自分の考えを深めるとともに,文章の形態を選択して適切な構成を工夫すること。
イ 論理の展開を工夫し,資料を適切に引用するなどして,説得力のある文章を書くこと。
ウ 書いた文章を読み返し,文章全体を整えること。
エ 書いた文章を互いに読み合い,論理の展開の仕方や表現の仕方などについて評価して自分の表現に役立てるとともに,ものの見方や考え方を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある事柄について批評する文章を書くこと。
イ 目的に応じて様々な文章などを集め,工夫して編集すること。
C 読むこと
(1) 読むことの能力を育成するため,次の事項について指導する。
ア 文脈の中における語句の効果的な使い方など,表現上の工夫に注意して読むこと。
イ 文章の論理の展開の仕方,場面や登場人物の設定の仕方をとらえ,内容の理解に役立てること。
ウ 文章を読み比べるなどして,構成や展開,表現の仕方について評価すること。
エ 文章を読んで人間,社会,自然などについて考え,自分の意見をもつこと。
オ 目的に応じて本や文章などを読み,知識を広げたり,自分の考えを深めたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 物語や小説などを読んで批評すること。
イ 論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと。
ウ 自分の読書生活を振り返り,本の選び方や読み方について考えること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 歴史的背景などに注意して古典を読み,その世界に親しむこと。
(イ) 古典の一節を引用するなどして,古典に関する簡単な文章を書くこと。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いを理解するとともに,敬語を社会生活の中で適切に使うこと。
(イ) 慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ,和語・漢語・外来語などの使い分けに注意し,語感を磨き語を豊かにすること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。
(2) 書写に関する次の事項について指導する。
ア 身の回りの多様な文字に関心をもち,効果的に文字を書くこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年の前後の学年で取り上げることもできること。
(2) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」,「C読むこと」及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕について相互に密接な関連を図り,効果的に指導すること。その際,学校図書館などを計画的に利用しその機能の活用を図るようにすること。また,生徒が情報機器を...
(3) 第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間15~25単位時間程度,第3学年では年間10~20単位時間程度とすること。また,音声言語のための教材を積極的に活用するなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
(4) 第2の各学年の内容の「B書くこと」の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間30~40単位時間程度,第3学年では年間20~30単位時間程度とすること。
(5) 第2の各学年の内容の「C読むこと」に関する指導については,様々な文章を読んで,自分の表現に役立てられるようにすること。
(6) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の各学年の内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕については,次のとおり取り扱うものとする。
(1) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 知識をまとめて指導したり,繰り返して指導したりすることが必要なものについては,特にそれだけを取り上げて学習させることにも配慮すること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項については,日常の言語活動を振り返り,言葉の特徴やきまりについて気付かせ,言語生活の向上に役立てることを重視すること。
(2) 〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(2)に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 文字を正しく整えて速く書くことができるようにするとともに,書写の能力を学習や生活に役立てる態度を育てるよう配慮すること。
イ 硬筆及び毛筆を使用する書写の指導は各学年で行い,毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うようにすること。
ウ 書写の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間20単位時間程度,第3学年では年間10単位時間程度とすること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 教材は,話すこと・聞くことの能力,書くことの能力,読むことの能力などを偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成をねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,第2の各学年の内容の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読...
(2) 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する認識を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにするのに役立つこと。
ウ 公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
エ 科学的,論理的な見方や考え方を養い,視野を広げるのに役立つこと。
オ 人生について考えを深め,豊かな人間性を養い,たくましく生きる意志を育てるのに役立つこと。
カ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
キ 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ク 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
(3) 第2の各学年の内容の「C読むこと」の教材については,各学年で説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うこと。
(4) 我が国の言語文化に親しむことができるよう,近代以降の代表的な作家の作品を,いずれかの学年で取り上げること。
(5) 古典に関する教材については,古典の原文に加え,古典の現代語訳,古典について解説した文章などを取り上げること。
第2節 社会
第1 目標  広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔地理的分野〕
1 目標
(1) 日本や世界の地理的事象に対する関心を高め,広い視野に立って我が国の国土及び世界の諸地域の地域的特色を考察し理解させ,地理的な見方や考え方の基礎を培い,我が国の国土及び世界の諸地域に関する地理的認識を養う。
(2) 日本や世界の地域の諸事象を位置や空間的な広がりとのかかわりでとらえ,それを地域の規模に応じて環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し,地域的特色や地域の課題をとらえさせる。
(3) 大小様々な地域から成り立っている日本や世界の諸地域を比較し関連付けて考察し,それらの地域は相互に関係し合っていることや各地域の特色には地方的特殊性と一般的共通性があること,また,それらは諸条件の変化などに伴って変容していることを理解させる。
(4) 地域調査など具体的な活動を通して地理的事象に対する関心を高め,様々な資料を適切に選択,活用して地理的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力や態度を育てる。
2 内容
(1) 世界の様々な地域
ア 世界の地域構成  地球儀や世界地図を活用し,緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置,地域区分などを取り上げ,世界の地域構成を大観させる。
イ 世界各地の人々の生活と環境  世界各地における人々の生活の様子とその変容について,自然及び社会的条件と関連付けて考察させ,世界の人々の生活や環境の多様性を理解させる。
ウ 世界の諸地域  世界の諸地域について,以下の(ア)から(カ)の各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,それを基に主題を設けて,それぞれの州の地域的特色を理解させる。
(ア) アジア
(イ) ヨーロッパ
(ウ) アフリカ
(エ) 北アメリカ
(オ) 南アメリカ
(カ) オセアニア
エ 世界の様々な地域の調査  世界の諸地域に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,様々な地域又は国の地域的特色をとらえる適切な主題を設けて追究し,世界の地理的認識を深めさせるとともに,世界の様々な地域又は国の調査を行う際の視点や方法を身に付けさせる。
(2) 日本の様々な地域
ア 日本の地域構成  地球儀や地図を活用し,我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の特色と変化,地域区分などを取り上げ,日本の地域構成を大観させる。
イ 世界と比べた日本の地域的特色 世界的視野や日本全体の視野から見た日本の地域的特色を取り上げ,我が国の国土の特色を様々な面から大観させる。
(ア) 自然環境  世界的視野から日本の地形や気候の特色,海洋に囲まれた日本の国土の特色を理解させるとともに,国内の地形や気候の特色,自然災害と防災への努力を取り上げ,日本の自然環境に関する特色を大観させる。
(イ) 人口  世界的視野から日本の人口と人口密度,少子高齢化の課題を理解させるとともに,国内の人口分布,過疎・過密問題を取り上げ,日本の人口に関する特色を大観させる。
(ウ) 資源・エネルギーと産業 世界的視野から日本の資源・エネルギーの消費の現状を理解させるとともに,国内の産業の動向,環境やエネルギーに関する課題を取り上げ,日本の資源・エネルギーと産業に関する特色を大観させる。
(エ) 地域間の結び付き  世界的視野から日本と世界との交通・通信網の発達の様子や物流を理解させるとともに,国内の交通・通信網の整備状況を取り上げ,日本と世界の結び付きや国内各地の結び付きの特色を大観させる。
ウ 日本の諸地域  日本を幾つかの地域に区分し,それぞれの地域について,以下の(ア)から(キ)で示した考察の仕方を基にして,地域的特色をとらえさせる。
(ア) 自然環境を中核とした考察 地域の地形や気候などの自然環境に関する特色ある事象を中核として,それを人々の生活や産業などと関連付け,自然環境が地域の人々の生活や産業などと深い関係をもっていることや,地域の自然災害に応じた防災対策が大切であることなどについて考える。
(イ) 歴史的背景を中核とした考察  地域の産業,文化の歴史的背景や開発の歴史に関する特色ある事柄を中核として,それを国内外の他地域との結び付きや自然環境などと関連付け,地域の地理的事象の形成や特色に歴史的背景がかかわっていることなどについて考える。
(ウ) 産業を中核とした考察  地域の農業や工業などの産業に関する特色ある事象を中核として,それを成立させている地理的諸条件と関連付け,地域に果たす産業の役割やその動向は他の事象との関連で変化するものであることなどについて考える。
(エ) 環境問題や環境保全を中核とした考察  地域の環境問題や環境保全の取組を中核として,それを産業や地域開発の動向,人々の生活などと関連付け,持続可能な社会の構築のためには地域における環境保全の取組が大切であることなどについて考える。
(オ) 人口や都市・村落を中核とした考察  地域の人口の分布や動態,都市・村落の立地や機能に関する特色ある事象を中核として,それを人々の生活や産業などと関連付け,過疎・過密問題の解決が地域の課題となっていることなどについて考える。
(カ) 生活・文化を中核とした考察  地域の伝統的な生活・文化に関する特色ある事象を中核として,それを自然環境や歴史的背景,他地域との交流などと関連付け,近年の都市化や国際化によって地域の伝統的な生活・文化が変容していることなどについて考える。
(キ) 他地域との結び付きを中核とした考察  地域の交通・通信網に関する特色ある事象を中核として,それを物資や人々の移動の特色や変化などと関連付け,世界や日本の他の地域との結び付きの影響を受けながら地域は変容していることなどについて考える。
エ 身近な地域の調査  身近な地域における諸事象を取り上げ,観察や調査などの活動を行い,生徒が生活している土地に対する理解と関心を深めて地域の課題を見いだし,地域社会の形成に参画しその発展に努力しようとする態度を養うとともに,市町村規模の地域の調査を行う際の視点や方法,地理的なまと...
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)及び(2)については,この順序で取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用すること。 また,地域に関する情報の収集,処理に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークな...
イ 学習で取り上げる地域や国については,各項目間の調整を図り,一部の地域に偏ることのないようにすること。
ウ 地域の特色や変化をとらえるに当たっては,歴史的分野との連携を踏まえ,歴史的背景に留意して地域的特色を追究するよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
エ 地域的特色を追究する過程で生物や地学的な事象などを取り上げる際には,地域的特色をとらえる上で必要な範囲にとどめること。
(3) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,学習全体を通して,大まかに世界地図を描けるようにすること。
イ イについては,世界各地の人々の生活の様子を考察するに当たって,衣食住の特色や,生活と宗教とのかかわりなどに着目させるようにすること。その際,世界の主な宗教の分布について理解させるようにすること。
ウ ウについては,州ごとに様々な面から地域的特色を大観させ,その上で主題を設けて地域的特色を理解させるようにすること。その際,主題については,州の地域的特色が明確となり,かつ我が国の国土の認識を深める上で効果的であるという観点から設定すること。また,州ごとに異なるものとなるようにす...
エ エについては,様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの作業的な学習活動を取り入れること。また,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること。
(4) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 「領域の特色と変化」については,我が国の海洋国家としての特色を取り上げるとともに,北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること。
(イ) 日本の地域区分を扱う際には,都道府県の名称と位置のほかに都道府県庁所在地名も取り上げること。
(ウ) 学習全体を通して,大まかに日本地図を描けるようにすること。
イ イの(ア)から(エ)で示した日本の地域的特色については,指導に当たって内容の(1)の学習成果を生かすとともに,日本の諸地域の特色について理解を深めるための基本的な事柄で構成すること。
ウ ウについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 地域区分については,指導の観点や学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること。
(イ) 指導に当たっては,地域の特色ある事象や事柄を中核として,それを他の事象と有機的に関連付けて,地域的特色を追究するようにすること。
(ウ) (ア)から(キ)の考察の仕方については,学習する地域ごとに一つ選択すること。また,ウの学習全体を通してすべて取り扱うこと。
エ エについては,学校所在地の事情を踏まえて観察や調査を指導計画に位置付け実施すること。その際,縮尺の大きな地図や統計その他の資料に親しませ,それらの活用の技能を高めるようにすること。また,観察や調査の結果をまとめる際には,地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論...
〔歴史的分野〕
1 目標
(1) 歴史的事象に対する関心を高め,我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解させ,それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに,我が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てる。
(2) 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を,その時代や地域との関連において理解させ,尊重する態度を育てる。
(3) 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ,我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに,他民族の文化,生活などに関心をもたせ,国際協調の精神を養う。
(4) 身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味・関心を高め,様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 歴史のとらえ方
ア 我が国の歴史上の人物や出来事などについて調べたり考えたりするなどの活動を通して,時代の区分やその移り変わりに気付かせ,歴史を学ぶ意欲を高めるとともに,年代の表し方や時代区分についての基本的な内容を理解させる。
イ 身近な地域の歴史を調べる活動を通して,地域への関心を高め,地域の具体的な事柄とのかかわりの中で我が国の歴史を理解させるとともに,受け継がれてきた伝統や文化への関心を高め,歴史の学び方を身に付けさせる。
ウ 学習した内容を活用してその時代を大観し表現する活動を通して,各時代の特色をとらえさせる。
(2) 古代までの日本
ア 世界の古代文明や宗教のおこり,日本列島における農耕の広まりと生活の変化や当時の人々の信仰,大和朝廷による統一と東アジアとのかかわりなどを通して,世界の各地で文明が築かれ,東アジアの文明の影響を受けながら我が国で国家が形成されていったことを理解させる。
イ 律令《りつりょう》国家の確立に至るまでの過程,摂関政治などを通して,大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ,その後,天皇や貴族の政治が展開したことを理解させる。
ウ 仏教の伝来とその影響,仮名文字の成立などを通して,国際的な要素をもった文化が栄え,後に文化の国風化が進んだことを理解させる。
(3) 中世の日本
ア 鎌倉《かまくら》幕府の成立,南北朝の争乱と室町幕府,東アジアの国際関係,応仁《おうにん》の乱後の社会的な変動などを通して,武家政治の特色を考えさせ,武士が台頭して武家政権が成立し,その支配が次第に全国に広まるとともに,東アジア世界との密接なかかわりがみられたことを理解させる。...
イ 農業など諸産業の発達,畿内《きない》を中心とした都市や農村における自治的な仕組みの成立,禅宗の文化的な影響などを通して,武家政治の展開や民衆の成長を背景とした社会や文化が生まれたことを理解させる。
(4) 近世の日本
ア 戦国の動乱,ヨーロッパ人来航の背景とその影響,織田《おだ》・豊臣《とよとみ》による統一事業とその当時の対外関係,武将や豪商などの生活文化の展開などを通して,近世社会の基礎がつくられていったことを理解させる。
イ 江戸幕府の成立と大名統制,鎖国政策,身分制度の確立及び農村の様子,鎖国下の対外関係などを通して,江戸幕府の政治の特色を考えさせ,幕府と藩による支配が確立したことを理解させる。
ウ 産業や交通の発達,教育の普及と文化の広がりなどを通して,町人文化が都市を中心に形成されたことや,各地方の生活文化が生まれたことを理解させる。
エ 社会の変動や欧米諸国の接近,幕府の政治改革,新しい学問・思想の動きなどを通して,幕府の政治が次第に行き詰まりをみせたことを理解させる。
(5) 近代の日本と世界
ア 欧米諸国における市民革命や産業革命,アジア諸国の動きなどを通して,欧米諸国が近代社会を成立させてアジアへ進出したことを理解させる。
イ 開国とその影響,富国強兵・殖産興業政策,文明開化などを通して,新政府による改革の特色を考えさせ,明治維新によって近代国家の基礎が整えられて,人々の生活が大きく変化したことを理解させる。
ウ 自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,日清《にっしん》・日露戦争,条約改正などを通して,立憲制の国家が成立して議会政治が始まるとともに,我が国の国際的地位が向上したことを理解させる。
エ 我が国の産業革命,この時期の国民生活の変化,学問・教育・科学・芸術の発展などを通して,我が国で近代産業が発展し,近代文化が形成されたことを理解させる。
オ 第一次世界大戦の背景とその影響,民族運動の高まりと国際協調の動き,我が国の国民の政治的自覚の高まりと文化の大衆化などを通して,第一次世界大戦前後の国際情勢及び我が国の動きと,大戦後に国際平和への努力がなされたことを理解させる。
カ 経済の世界的な混乱と社会問題の発生,昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が国の政治・外交の動き,中国などアジア諸国との関係,欧米諸国の動き,戦時下の国民の生活などを通して,軍部の台頭から戦争までの経過と,大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させる。
(6) 現代の日本と世界
ア 冷戦,我が国の民主化と再建の過程,国際社会への復帰などを通して,第二次世界大戦後の諸改革の特色を考えさせ,世界の動きの中で新しい日本の建設が進められたことを理解させる。
イ 高度経済成長,国際社会とのかかわり,冷戦の終結などを通して,我が国の経済や科学技術が急速に発展して国民の生活が向上し,国際社会において我が国の役割が大きくなってきたことを理解させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の発達の段階を考慮して,各時代の特色や時代の転換にかかわる基礎的・基本的な歴史的事象を重点的に選んで指導内容を構成すること。
イ 歴史的事象の意味・意義や特色,事象間の関連を説明したり,課題を設けて追究したり,意見交換したりするなどの学習を重視して,思考力,判断力,表現力等を養うとともに,学習内容の確かな理解と定着を図ること。
ウ 各時代の文化については,代表的な事例を取り上げてその特色を考えさせるようにすること。
エ 歴史的事象の指導に当たっては,地理的分野との連携を踏まえ,地理的条件にも着目して取り扱うよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
オ 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物に対する生徒の興味・関心を育てる指導に努めるとともに,それぞれの人物が果たした役割や生き方などについて時代的背景と関連付けて考察させるようにすること。その際,身近な地域の歴史上の人物を取り上げることにも留意すること...
カ 日本人の生活や生活に根ざした文化については,政治の動き,社会の動き,各地域の地理的条件,身近な地域の歴史とも関連付けて指導したり,民俗学や考古学などの成果の活用や博物館,郷土資料館などの施設を見学・調査したりするなどして具体的に学ぶことができるようにすること。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。小学校での学習を踏まえ,扱う内容や活動の仕方を工夫して,「時代の区分やその移り変わり」に気付かせるようにすること。「年代の表し方や時代区分」の学習については,導入における学習内容を基盤にし,内容の(2)以下...
イ イについては,内容の(2)以下とかかわらせて計画的に実施し,地域の特性に応じた時代を取り上げるようにするとともに,人々の生活や生活に根ざした伝統や文化に着目した取扱いを工夫すること。その際,博物館,郷土資料館などの施設の活用や地域の人々の協力も考慮すること。
ウ ウについては,内容の(2)以下の各時代の学習のまとめとして実施することを原則とすること。その際,各時代の学習の初めにその特色の究明に向けた課題意識を育成した上で,他の時代との共通点や相違点に着目しながら,大観や表現の仕方を工夫して,各時代の特色をとらえさせるようにすること。
エ ア,イ及びウについては,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「世界の古代文明」については,中国の文明を中心に諸文明の特色を取り扱い,生活技術の発達,文字の使用,国家のおこりと発展などの共通する特色に気付かせるようにすること。また,人類の出現にも触れること。「宗教のおこり」については,仏教,キリスト教,イスラム教などを取り上げ,世界の...
イ イの「律令《りつりょう》国家の確立に至るまでの過程」については,聖徳太子《しょうとくたいし》の政治,大化の改新から律令《りつりょう》国家の確立に至るまでの過程を,小学校での学習内容を活用して大きくとらえさせるようにすること。
ウ ウについては,文化を担った人々などに着目して取り扱うようにすること。
エ 考古学などの成果を活用するとともに,神話・伝承などの学習を通して,当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう留意すること。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「東アジアの国際関係」については,元寇《げんこう》,日明貿易《にちみんぼうえき》,琉球《りゅうきゅう》の国際的な役割などを取り扱うようにすること。「武家政治の特色」については,主従の結び付きや武力を背景にして次第にその支配を広げていったことなど,それ以前の時代との違いに着...
イ イの「武家政治の展開や民衆の成長を背景とした社会や文化」については,この時代の文化の中に現在に結び付くものがみられることに気付かせるようにすること。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「ヨーロッパ人来航の背景」については,新航路の開拓を中心に取り扱い,宗教改革についても触れること。「織田《おだ》・豊臣《とよとみ》による統一事業」については,検地・刀狩などの政策を取り扱うようにすること。
イ イの「鎖国下の対外関係」については,オランダ,中国との交易のほか,朝鮮との交流や琉球《りゅうきゅう》の役割,北方との交易をしていたアイヌについて取り扱うようにすること。「江戸幕府の政治の特色」については,その支配の下に大きな戦乱のない時期を迎えたことなど,それ以前の時代との違い...
ウ ウの「産業や交通の発達」については,身近な地域の特色を生かすようにすること。「各地方の生活文化」については,身近な地域の事例を取り上げるように配慮し,藩校や寺子屋などによる「教育の普及」や社会的な「文化の広がり」と関連させて,現在との結び付きに気付かせるようにすること。
エ エの「幕府の政治改革」については,百姓一揆《いっき》などに結び付く農村の変化や商業の発達などへの対応という観点から,代表的な事例を取り上げるようにすること。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの「市民革命」については欧米諸国における近代社会の成立という観点から,「産業革命」については工業化による社会の変化という観点から,「アジア諸国の動き」については欧米諸国の進出に対するアジア諸国の対応と変容という観点から,それぞれ代表的な事例を取り上げるようにすること。
イ イの「開国とその影響」については,アの欧米諸国のアジア進出と関連付けて取り扱うようにすること。「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。「新政府による改革の特色...
ウ ウの「日清《にっしん》・日露戦争」については,このころの大陸との関係に着目させること。「条約改正」については,欧米諸国と対等の外交関係を樹立するための人々の努力に気付かせるようにすること。「立憲制の国家が成立して議会政治が始まる」については,その歴史上の意義や現代の政治とのつ...
エ エの「我が国の産業革命」については,イの「富国強兵・殖産興業政策」の下で近代産業が進展したことと関連させて取り扱い,都市や農山漁村の生活に大きな変化が生じたことに気付かせるようにすること。「近代文化」については,伝統的な文化の上に欧米文化を受容して形成されたものであることに気...
オ オの「第一次世界大戦」については,日本の参戦,ロシア革命なども取り上げて,世界の動きと我が国との関連に着目して取り扱うようにすること。「我が国の国民の政治的自覚の高まり」については,大正デモクラシーの時期の政党政治の発達,民主主義思想の普及,社会運動の展開を取り扱うようにするこ...
カ カについては,世界の動きと我が国との関連に着目して取り扱うとともに,国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに気付かせるようにすること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,国民が苦難を乗り越えて新しい日本の建設に努力したことに気付かせるようにすること。「第二次世界大戦後の諸改革の特色」については,新たな制度が生まれたことなどに着目して考えさせるようにすること。
イ イについては,沖縄返還,日中国交正常化,石油危機などの節目となる歴史的事象を取り扱うようにすること。
〔公民的分野〕
1 目標
(1) 個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務の関係を広い視野から正しく認識させ,民主主義に関する理解を深めるとともに,国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を培う。
(2) 民主政治の意義,国民の生活の向上と経済活動とのかかわり及び現代の社会生活などについて,個人と社会とのかかわりを中心に理解を深め,現代社会についての見方や考え方の基礎を養うとともに,社会の諸問題に着目させ,自ら考えようとする態度を育てる。
(3) 国際的な相互依存関係の深まりの中で,世界平和の実現と人類の福祉の増大のために,各国が相互に主権を尊重し,各国民が協力し合うことが重要であることを認識させるとともに,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることが大切であることを自覚させる。
(4) 現代の社会的事象に対する関心を高め,様々な資料を適切に収集,選択して多面的・多角的に考察し,事実を正確にとらえ,公正に判断するとともに適切に表現する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 私たちと現代社会
ア 私たちが生きる現代社会と文化 現代日本の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などがみられることを理解させるとともに,それらが政治,経済,国際関係に影響を与えていることに気付かせる。また,現代社会における文化の意義や影響を理解させるとともに,我が国の伝統と文化に関心をもたせ...
イ 現代社会をとらえる見方や考え方   人間は本来社会的存在であることに着目させ,社会生活における物事の決定の仕方,きまりの意義について考えさせ,現代社会をとらえる見方や考え方の基礎として,対立と合意,効率と公正などについて理解させる。その際,個人の尊厳と両性の本質的平等,契約の...
(2) 私たちと経済
ア 市場の働きと経済  身近な消費生活を中心に経済活動の意義を理解させるとともに,価格の働きに着目させて市場経済の基本的な考え方について理解させる。また,現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解させるとともに,社会における企業の役割と責任について考えさせる。その際,社会生活におけ...
イ 国民の生活と政府の役割  国民の生活と福祉の向上を図るために,社会資本の整備,公害の防止など環境の保全,社会保障の充実,消費者の保護など,市場の働きにゆだねることが難しい諸問題に関して,国や地方公共団体が果たしている役割について考えさせる。また,財源の確保と配分という観点から財...
(3) 私たちと政治
ア 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則  人間の尊重についての考え方を,基本的人権を中心に深めさせ,法の意義を理解させるとともに,民主的な社会生活を営むためには,法に基づく政治が大切であることを理解させ,我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義について考えさせる。...
イ 民主政治と政治参加  地方自治の基本的な考え方について理解させる。その際,地方公共団体の政治の仕組みについて理解させるとともに,住民の権利や義務に関連させて,地方自治の発展に寄与しようとする住民としての自治意識の基礎を育てる。また,国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みのあ...
(4)私たちと国際社会の諸課題
ア 世界平和と人類の福祉の増大  世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切であることを認識させ,国際社会における我が国の役割について考えさせる。その際,日...
イ よりよい社会を目指して  持続可能な社会を形成するという観点から,私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を探究させ,自分の考えをまとめさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的分野及び歴史的分野の学習の成果を活用するとともに,これらの分野で育成された能力や態度が,更に高まり発展するようにすること。また,社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,特定の内容に偏ることなく,分野全体として見通しをもったまとまりのある学習が展開できるようにする...
イ 生徒が内容の基本的な意味を理解できるように配慮し,日常の社会生活と関連付けながら具体的事例を通して政治や経済などについての見方や考え方の基礎が養えるようにすること。その際,制度や仕組みの意義や働きについて理解を深めさせるようにすること。
ウ 分野全体を通して,習得した知識を活用して,社会的事象について考えたことを説明させたり,自分の意見をまとめさせたりすることにより,思考力,判断力,表現力等を養うこと。また,考えさせる場合には,資料を読み取らせて解釈させたり,議論などを行って考えを深めさせたりするなどの工夫をするこ...
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 地理的分野,歴史的分野との関連を図り,現代社会の特色をとらえさせるようにすること。
(イ)「現代社会における文化の意義や影響」については,科学,芸術,宗教などを取り上げ,社会生活とのかかわりなどについて学習できるように工夫すること。「我が国の伝統と文化」については,歴史的分野における学習の成果を生かして特色あるものを扱うこと。
イ (1)については公民的分野の導入部として位置付け,ア,イの順で行うものとし,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,身近で具体的な事例を取り上げ,個人や企業の経済活動が様々な条件の中での選択を通じて行われるという点に着目させるとともに,市場における価格の決まり方や資源の配分について理解させること。その際,市場における取引が貨幣を通して行われていることに気付かせること。
イ イの「消費者の保護」については,消費者の自立の支援なども含めた消費者行政を取り扱うこと。「財政」については,少子高齢社会など現代社会の特色を踏まえて考えさせること。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,日常の具体的な事例を取り上げ,日本国憲法の基本的な考え方を理解させること。
イ イについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 調査や見学などを通して具体的に理解させること。
(イ) 「法に基づく公正な裁判の保障」に関連させて,裁判員制度についても触れること。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 地理的分野,歴史的分野との関連を図り,その学習の成果を生かす工夫を行うこと。
(イ) 「世界平和の実現」については,領土(領海,領空を含む),国家主権,主権の相互尊重,国際連合の働きなど基本的な事項を踏まえて理解させるように留意すること。
(ウ)「国家間の相互の主権の尊重と協力」との関連で,国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ,それらを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
(エ) 国際社会における文化や宗教の多様性についても触れること。
イ イについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 身近な地域の生活や我が国の取組との関連性に着目させ,世界的な視野と地域的な視点に立って探究させること。
(イ) イについては,社会科のまとめとして位置付け,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 小学校社会科の内容との関連及び各分野相互の有機的な関連を図るとともに,地理的分野及び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して,全体として教科の目標が達成できるようにする必要があること。
(2) 各分野の履修については,第1,第2学年を通じて地理的分野と歴史的分野を並行して学習させることを原則とし,第3学年において歴史的分野及び公民的分野を学習させること。各分野に配当する授業時数は,地理的分野120単位時間,歴史的分野130単位時間,公民的分野100単位時間とするこ...
(3) 知識に偏り過ぎた指導にならないようにするため,基本的な事項・事柄を厳選して指導内容を構成するものとし,基本的な内容が確実に身に付くよう指導すること。また,生徒の主体的な学習を促し,課題を解決する能力を一層培うため,各分野において,第2の内容の範囲や程度に十分配慮しつつ事項を...
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 指導の全般にわたって,資料を選択し活用する学習活動を重視するとともに作業的,体験的な学習の充実を図るようにする。その際,地図や年表を読みかつ作成すること,新聞,読み物,統計その他の資料に平素から親しみ適切に活用すること,観察や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめ,発表する...
3 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第3節 数学
第1 目標  数学的活動を通して,数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則についての理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習得し,事象を数理的に考察し表現する能力を高めるとともに,数学的活動の楽しさや数学のよさを実感し,それらを活用して考えたり判断したりしようとする態度を育て...
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 数を正の数と負の数まで拡張し,数の概念についての理解を深める。また,文字を用いることや方程式の必要性と意味を理解するとともに,数量の関係や法則などを一般的にかつ簡潔に表現して処理したり,一元一次方程式を用いたりする能力を培う。
(2) 平面図形や空間図形についての観察,操作や実験などの活動を通して,図形に対する直観的な見方や考え方を深めるとともに,論理的に考察し表現する能力を培う。
(3) 具体的な事象を調べることを通して,比例,反比例についての理解を深めるとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う。
(4) 目的に応じて資料を収集して整理し,その資料の傾向を読み取る能力を培う。
2 内容
A 数と式
(1) 具体的な場面を通して正の数と負の数について理解し,その四則計算ができるようにするとともに,正の数と負の数を用いて表現し考察することができるようにする。
ア 正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。
イ 小学校で学習した数の四則計算と関連付けて,正の数と負の数の四則計算の意味を理解すること。
ウ 正の数と負の数の四則計算をすること。
エ 具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。
(2) 文字を用いて数量の関係や法則などを式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を培うとともに,文字を用いた式の計算ができるようにする。
ア 文字を用いることの必要性と意味を理解すること。
イ 文字を用いた式における乗法と除法の表し方を知ること。
ウ 簡単な一次式の加法と減法の計算をすること。
エ 数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し,式を用いて表したり読み取ったりすること。
(3) 方程式について理解し,一元一次方程式を用いて考察することができるようにする。
ア 方程式の必要性と意味及び方程式の中の文字や解の意味を理解すること。
イ 等式の性質を基にして,方程式が解けることを知ること。
ウ 簡単な一元一次方程式を解くこと及びそれを具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
自然数
符号 
絶対値
係数
移項
B 図形
(1) 観察,操作や実験などの活動を通して,見通しをもって作図したり図形の関係について調べたりして平面図形についての理解を深めるとともに,論理的に考察し表現する能力を培う。
ア 角の二等分線,線分の垂直二等分線,垂線などの基本的な作図の方法を理解し,それを具体的な場面で活用すること。
イ 平行移動,対称移動及び回転移動について理解し,二つの図形の関係について調べること。
(2) 観察,操作や実験などの活動を通して,空間図形についての理解を深めるとともに,図形の計量についての能力を伸ばす。
ア 空間における直線や平面の位置関係を知ること。
イ 空間図形を直線や平面図形の運動によって構成されるものととらえたり,空間図形を平面上に表現して平面上の表現から空間図形の性質を読み取ったりすること。
ウ 扇形の弧の長さと面積並びに基本的な柱体,錐《すい》体及び球の表面積と体積を求めること。
〔用語・記号〕
弦 
回転体
ねじれの位置
π
//
△ 
C 関数
(1) 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,比例,反比例の関係についての理解を深めるとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う。
ア 関数関係の意味を理解すること。
イ 比例,反比例の意味を理解すること。
ウ 座標の意味を理解すること。
エ 比例,反比例を表,式,グラフなどで表し,それらの特徴を理解すること。
オ 比例,反比例を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
関数 
変数
変域
D 資料の活用
(1) 目的に応じて資料を収集し,コンピュータを用いたりするなどして表やグラフに整理し,代表値や資料の散らばりに着目してその資料の傾向を読み取ることができるようにする。
ア ヒストグラムや代表値の必要性と意味を理解すること。
イ ヒストグラムや代表値を用いて資料の傾向をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
平均値
中央値 
最頻値 
相対度数 
範囲 
階級
〔数学的活動〕
(1) 「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「D資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
ア 既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだす活動
イ 日常生活で数学を利用する活動
ウ 数学的な表現を用いて,自分なりに説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と式」の(1)に関連して,数の集合と四則計算の可能性を取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と式」の(2)のエに関連して,大小関係を不等式を用いて表すことを取り扱うものとする。
(3) 内容の「A数と式」の(3)のウに関連して,簡単な比例式を解くことを取り扱うものとする。
(4) 内容の「B図形」の(1)のアに関連して,円の接線はその接点を通る半径に垂直であることを取り扱うものとする。
(5) 内容の「B図形」の(2)のイについては,見取図,展開図や投影図を取り扱うものとする。
(6) 内容の「D資料の活用」の(1)に関連して,誤差や近似値,a×10nの形の表現を取り扱うものとする。
〔第2学年〕
1 目標
(1) 文字を用いた式について,目的に応じて計算したり変形したりする能力を養うとともに,連立二元一次方程式について理解し用いる能力を培う。
(2) 基本的な平面図形の性質について,観察,操作や実験などの活動を通して理解を深めるとともに,図形の性質の考察における数学的な推論の必要性と意味及びその方法を理解し,論理的に考察し表現する能力を養う。
(3) 具体的な事象を調べることを通して,一次関数について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を養う。
(4) 不確定な事象を調べることを通して,確率について理解し用いる能力を培う。
2 内容
A 数と式
(1) 具体的な事象の中に数量の関係を見いだし,それを文字を用いて式に表現したり式の意味を読み取ったりする能力を養うとともに,文字を用いた式の四則計算ができるようにする。
ア 簡単な整式の加法,減法及び単項式の乗法,除法の計算をすること。
イ 文字を用いた式で数量及び数量の関係をとらえ説明できることを理解すること。
ウ 目的に応じて,簡単な式を変形すること。
(2) 連立二元一次方程式について理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 二元一次方程式とその解の意味を理解すること。
イ 連立二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
ウ 簡単な連立二元一次方程式を解くこと及びそれを具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
同類項
B 図形
(1) 観察,操作や実験などの活動を通して,基本的な平面図形の性質を見いだし,平行線の性質を基にしてそれらを確かめることができるようにする。
ア 平行線や角の性質を理解し,それに基づいて図形の性質を確かめ説明すること。
イ 平行線の性質や三角形の角についての性質を基にして,多角形の角についての性質が見いだせることを知ること。
(2) 図形の合同について理解し図形についての見方を深めるとともに,図形の性質を三角形の合同条件などを基にして確かめ,論理的に考察し表現する能力を養う。
ア 平面図形の合同の意味及び三角形の合同条件について理解すること。
イ 証明の必要性と意味及びその方法について理解すること。
ウ 三角形の合同条件などを基にして三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめたり,図形の性質の証明を読んで新たな性質を見いだしたりすること。
〔用語・記号〕
対頂角 
内角 
外角 
定義 
証明 
逆 
C 関数
(1) 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,一次関数について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を養う。
ア 事象の中には一次関数としてとらえられるものがあることを知ること。
イ 一次関数について,表,式,グラフを相互に関連付けて理解すること。
ウ 二元一次方程式を関数を表す式とみること。
エ 一次関数を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
変化の割合
傾き
D 資料の活用
(1) 不確定な事象についての観察や実験などの活動を通して,確率について理解し,それを用いて考察し表現することができるようにする。
ア 確率の必要性と意味を理解し,簡単な場合について確率を求めること。
イ 確率を用いて不確定な事象をとらえ説明すること。
〔数学的活動〕
(1)「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「D資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
ア 既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだし,発展させる活動
イ 日常生活や社会で数学を利用する活動
ウ 数学的な表現を用いて,根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「B図形」の(2)のウに関連して,正方形,ひし形,長方形が平行四辺形の特別な形であることを取り扱うものとする。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 数の平方根について理解し,数の概念についての理解を深める。また,目的に応じて計算したり式を変形したりする能力を伸ばすとともに,二次方程式について理解し用いる能力を培う。
(2) 図形の相似,円周角と中心角の関係や三平方の定理について,観察,操作や実験などの活動を通して理解し,それらを図形の性質の考察や計量に用いる能力を伸ばすとともに,図形について見通しをもって論理的に考察し表現する能力を伸ばす。
(3) 具体的な事象を調べることを通して,関数y=ax2について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を伸ばす。
(4) 母集団から標本を取り出し,その傾向を調べることで,母集団の傾向を読み取る能力を培う。
2 内容
A 数と式
(1) 正の数の平方根について理解し,それを用いて表現し考察することができるようにする。
ア 数の平方根の必要性と意味を理解すること。
イ 数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。
ウ 具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。
(2) 文字を用いた簡単な多項式について,式の展開や因数分解ができるようにするとともに,目的に応じて式を変形したりその意味を読み取ったりする能力を伸ばす。
ア 単項式と多項式の乗法及び多項式を単項式で割る除法の計算をすること。
イ 簡単な一次式の乗法の計算及び次の公式を用いる簡単な式の展開や因数分解をすること。
(a+b)2=a2+2ab+b2
(a−b)2=a2−2ab+b2
(a+b)(a−b)=a2−b2
(x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab
ウ 文字を用いた式で数量及び数量の関係をとらえ説明すること。
(3) 二次方程式について理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
イ 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くこと。
ウ 解の公式を知り,それを用いて二次方程式を解くこと。
エ 二次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
根号 
有理数 
無理数 
因数 
B 図形
(1) 図形の性質を三角形の相似条件などを基にして確かめ,論理的に考察し表現する能力を伸ばし,相似な図形の性質を用いて考察することができるようにする。
ア 平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること。
イ 三角形の相似条件などを基にして図形の基本的な性質を論理的に確かめること。
ウ 平行線と線分の比についての性質を見いだし,それらを確かめること。
エ 基本的な立体の相似の意味と,相似な図形の相似比と面積比及び体積比の関係について理解すること。
オ 相似な図形の性質を具体的な場面で活用すること。
(2) 観察,操作や実験などの活動を通して,円周角と中心角の関係を見いだして理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 円周角と中心角の関係の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 円周角と中心角の関係を具体的な場面で活用すること。
(3) 観察,操作や実験などの活動を通して,三平方の定理を見いだして理解し,それを用いて考察することができるようにする。
ア 三平方の定理の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 三平方の定理を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
C 関数
(1) 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し,それらの変化や対応を調べることを通して,関数y=ax2について理解するとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を伸ばす。
ア 事象の中には関数y=ax2としてとらえられるものがあることを知ること。
イ 関数y=ax2について,表,式,グラフを相互に関連付けて理解すること。
ウ 関数 y=ax2を用いて具体的な事象をとらえ説明すること。
エ いろいろな事象の中に,関数関係があることを理解すること。
D 資料の活用
(1) コンピュータを用いたりするなどして,母集団から標本を取り出し,標本の傾向を調べることで,母集団の傾向が読み取れることを理解できるようにする。
ア 標本調査の必要性と意味を理解すること。
イ 簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
全数調査
〔数学的活動〕
(1)「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「D資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
ア 既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだし,発展させる活動
イ 日常生活や社会で数学を利用する活動
ウ 数学的な表現を用いて,根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と式」の(2)などに関連して,自然数を素因数に分解することを取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と式」の(3)については,実数の解をもつ二次方程式を取り扱うものとする。
(3) 内容の「A数と式」の(3)のイについては,ax2=b(a,bは有理数)の二次方程式及びx2+px+q=0 (p,qは整数)の二次方程式を取り扱うものとする。因数分解して解くことの指導においては,内容の「A数と式」の(2)のイに示した公式を用いることができるものを中心に取り扱...
(4) 内容の「B図形」の(2)に関連して,円周角の定理の逆を取り扱うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の目標の達成に支障のない範囲内で,当該学年の内容の一部を軽く取り扱い,それを後の学年で指導することができる。また,学年の目標を逸脱しない範囲内で,後の学年の内容の一部を加えて指導することもできる。
(2) 生徒の学習を確実なものにするために,新たな内容を指導する際には,既に指導した関連する内容を意図的に再度取り上げ,学び直しの機会を設定することに配慮するものとする。
(3) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,数学科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容に示す〔用語・記号〕は,当該学年で取り扱う内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり,その指導に当たっては,各学年の内容と密接に関連させて取り上げるよう配慮するものとする。
(2) 各領域の指導に当たっては,必要に応じ,そろばん,電卓,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。特に,数値計算にかかわる内容の指導や,観察,操作や実験などの活動を通した指導を行う際にはこのことに配慮するものとする。
3 数学的活動の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 数学的活動を楽しめるようにするとともに,数学を学習することの意義や数学の必要性などを実感する機会を設けること。
(2) 自ら課題を見いだし,解決するための構想を立て,実践し,その結果を評価・改善する機会を設けること。
(3) 数学的活動の過程を振り返り,レポートにまとめ発表することなどを通して,その成果を共有する機会を設けること。
4 課題学習とは,生徒の数学的活動への取組を促し思考力,判断力,表現力等の育成を図るため,各領域の内容を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした課題を解決する学習であり,この実施に当たっては各学年で指導計画に適切に位置付けるものとする。
第4節 理科
第1 目標  自然の事物・現象に進んでかかわり,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔第1分野〕
1 目標
(1) 物質やエネルギーに関する事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2) 物理的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギーなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3) 化学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4) 物質やエネルギーに関する事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め,科学的に考える態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) 身近な物理現象 身近な事物・現象についての観察,実験を通して,光や音の規則性,力の性質について理解させるとともに,これらの事物・現象を日常生活や社会と関連付けて科学的にみる見方や考え方を養う。
ア 光と音
(ア) 光の反射・屈折 光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだすこと。
(イ) 凸レンズの働き 凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像の位置及び像の大きさの関係を見いだすこと。
(ウ) 音の性質 音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだすこと。
イ 力と圧力
(ア) 力の働き 物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだすとともに,力は大きさと向きによって表されることを知ること。
(イ) 圧力 圧力についての実験を行い,圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだすこと。また,水圧や大気圧の実験を行い,その結果を水や空気の重さと関連付けてとらえること。
(2) 身の回りの物質 身の回りの物質についての観察,実験を通して,固体や液体,気体の性質,物質の状態変化について理解させるとともに,物質の性質や変化の調べ方の基礎を身に付けさせる。
ア 物質のすがた
(ア) 身の回りの物質とその性質 身の回りの物質の性質を様々な方法で調べ,物質には密度や加熱したときの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだすとともに,実験器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。
(イ) 気体の発生と性質 気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を見いだすとともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。
イ 水溶液
(ア) 物質の溶解 物質が水に溶ける様子の観察を行い,水溶液の中では溶質が均一に分散していることを見いだすこと。
(イ) 溶解度と再結晶 水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けてとらえること。
ウ 状態変化
(ア) 状態変化と熱 物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いだすこと。
(イ) 物質の融点と沸点 物質の状態が変化するときの温度の測定を行い,物質は融点や沸点を境に状態が変化することや沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだすこと。
(3) 電流とその利用 電流回路についての観察,実験を通して,電流と電圧との関係及び電流の働きについて理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて電流と磁界についての初歩的な見方や考え方を養う。
ア 電流
(ア) 回路と電流・電圧 回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を流れる電流や各部に加わる電圧についての規則性を見いだすこと。
(イ) 電流・電圧と抵抗 金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだすとともに金属線には電気抵抗があることを見いだすこと。
(ウ) 電気とそのエネルギー 電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,電流から熱や光などが取り出せること及び電力の違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだすこと。
(エ) 静電気と電流 異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流は関係があることを見いだすこと。
イ 電流と磁界
(ア) 電流がつくる磁界 磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,コイルの回りに磁界ができることを知ること。
(イ) 磁界中の電流が受ける力 磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くことを見いだすこと。
(ウ) 電磁誘導と発電 磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流が得られることを見いだすとともに,直流と交流の違いを理解すること。
(4) 化学変化と原子・分子 化学変化についての観察,実験を通して,化合,分解などにおける物質の変化やその量的な関係について理解させるとともに,これらの事物・現象を原子や分子のモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 物質の成り立ち
(ア) 物質の分解 物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質から元の物質の成分が推定できることを見いだすこと。
(イ) 原子・分子 物質は原子や分子からできていることを理解し,原子は記号で表されることを知ること。
イ 化学変化
(ア) 化合 2種類の物質を化合させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見いだすとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の組成は化学式で表されること及び化学変化は化学反応式で表されることを理解すること。
(イ) 酸化と還元 酸化や還元の実験を行い,酸化や還元が酸素の関係する反応であることを見いだすこと。
(ウ) 化学変化と熱 化学変化によって熱を取り出す実験を行い,化学変化には熱の出入りが伴うことを見いだすこと。
ウ 化学変化と物質の質量
(ア) 化学変化と質量の保存 化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い,反応物の質量の総和と生成物の質量の総和が等しいことを見いだすこと。
(イ) 質量変化の規則性 化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の間には一定の関係があることを見いだすこと。
(5) 運動とエネルギー 物体の運動やエネルギーに関する観察,実験を通して,物体の運動の規則性やエネルギーの基礎について理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて運動とエネルギーの初歩的な見方や考え方を養う。
ア 運動の規則性
(ア) 力のつり合い 物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだすこと。また,力の合成と分解についての実験を行い,合力や分力の規則性を理解すること。
(イ) 運動の速さと向き 物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知ること。
(ウ) 力と運動 物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運動では運動の向きや時間の経過に伴って物体の速さが変わること及び力が働かない運動では物体は等速直線運動することを見いだすこと。
イ 力学的エネルギー
(ア) 仕事とエネルギー 仕事に関する実験を行い,仕事と仕事率について理解すること。また,衝突の実験を行い,物体のもつエネルギーの量は物体が他の物体になしうる仕事で測れることを理解すること。
(イ) 力学的エネルギーの保存 力学的エネルギーに関する実験を行い,運動エネルギーと位置エネルギーが相互に移り変わることを見いだし,力学的エネルギーの総量が保存されることを理解すること。
(6) 化学変化とイオン 化学変化についての観察,実験を通して,水溶液の電気伝導性や中和反応について理解させるとともに,これらの事物・現象をイオンのモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 水溶液とイオン
(ア) 水溶液の電気伝導性 水溶液に電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものとがあることを見いだすこと。
(イ) 原子の成り立ちとイオン 電気分解の実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知ること。また,イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知ること。
(ウ) 化学変化と電池 電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電流が取り出せることを見いだすとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
イ 酸・アルカリとイオン
(ア) 酸・アルカリ 酸とアルカリの性質を調べる実験を行い,酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオンと水酸化物イオンによることを知ること。
(イ) 中和と塩 中和反応の実験を行い,酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解すること。
(7) 科学技術と人間 エネルギー資源の利用や科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。
ア エネルギー
(ア) 様々なエネルギーとその変換 エネルギーに関する観察,実験を通して,日常生活や社会では様々なエネルギーの変換を利用していることを理解すること。
(イ) エネルギー資源 人間は,水力,火力,原子力などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギーの有効な利用が大切であることを認識すること。
イ 科学技術の発展
(ア) 科学技術の発展 科学技術の発展の過程を知るとともに,科学技術が人間の生活を豊かで便利にしてきたことを認識すること。
ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
(ア) 自然環境の保全と科学技術の利用 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までのうち,内容の(1)及び(2)は第1学年,内容の(3)及び(4)は第2学年,内容の(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,全反射も扱うこと。また,光の屈折で入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。
イ アの(イ)については,光源の位置と像の位置,像の大きさの定性的な関係を調べること。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの(ウ)については,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さを扱うこと。
エ イの(ア)については,ばねに加える力の大きさとばねの伸びの関係も扱うこと。また,重さと質量の違いにも触れること。力の単位としては「ニュートン」を用いること。
オ イの(イ)については,水中にある物体にはあらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。また,水中では物体に浮力が働くことにも触れること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。また,代表的なプラスチックの性質にも触れること。
イ アの(イ)については,異なる方法を用いても同一の気体が得られることも扱うこと。
ウ イの(ア)については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。また,質量パーセント濃度にも触れること。
エ イの(イ)については,溶解度曲線にも触れること。
オ ウの(ア)については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。その際,粒子の運動にも触れること。
カ ウの(イ)については,純粋な物質の状態変化を中心に扱うこと。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「回路」については,直列及び並列の回路を取り上げ,それぞれについて二つの抵抗のつなぎ方を中心に扱うこと。
イ アの(イ)の「電気抵抗」については,物質の種類によって抵抗の値が異なることを扱うこと。また,二つの抵抗をつなぐ場合の合成抵抗にも触れること。
ウ アの(ウ)については,電力量も扱うこと。その際,熱量にも触れること。
エ アの(エ)については,電流が電子の流れであることを扱うこと。
オ イの(イ)については,電流の向きや磁界の向きを変えたときに力の向きが変わることを扱うこと。
カ イの(ウ)については,コイルや磁石を動かす向きを変えたときに電流の向きが変わることを扱うこと。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「原子」については,周期表を用いて多くの種類が存在することにも触れること。また,「記号」については,基礎的なものを扱うこと。
イ イの(ア)の「化学式」及び「化学反応式」については,簡単なものを扱うこと。
ウ イの(イ)の「酸化や還元」については,簡単なものを扱うこと。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)については,物体に力が働くとき反対向きにも力が働くことにも触れること。
イ アの(ウ)の「力が働く運動」のうち,落下運動については斜面に沿った運動を中心に扱うこと。その際,斜面の角度が90度になったときに自由落下になることにも触れること。「物体の速さが変わること」については,定性的に扱うこと。
ウ イの(ア)については,仕事の原理にも触れること。
エ イの(イ)については,摩擦にも触れること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「原子の成り立ち」については,原子が電子と原子核からできていることを扱うこと。その際,原子核が陽子と中性子でできていることにも触れること。また,「イオン」については,イオン式で表されることにも触れること。
イ アの(ウ)の「電池」については,電極で起こる反応を中心に扱うこと。また,日常生活や社会で利用されている代表的な電池にも触れること。
ウ イの(ア)については,pHにも触れること。
エ イの(イ)については,水に溶ける塩と水に溶けない塩があることにも触れること。
(8) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,熱の伝わり方も扱うこと。また,「エネルギーの変換」については,その総量が保存されること及びエネルギーを利用する際の効率も扱うこと。
イ アの(イ)については,放射線の性質と利用にも触れること。
ウ ウの(ア)については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第2分野(7)のウの(ア)と関連付けて総合的に扱うこと。
〔第2分野〕
1 目標
(1) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,多様性や規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2) 生物や生物現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,生物の生活と種類,生命の連続性などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3) 地学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を育て,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) 植物の生活と種類 身近な植物などについての観察,実験を通して,生物の調べ方の基礎を身に付けさせるとともに,植物の体のつくりと働きを理解させ,植物の生活と種類についての認識を深める。
ア 生物の観察
(ア) 生物の観察 校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだすとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付け,生物の調べ方の基礎を習得すること。
イ 植物の体のつくりと働き
(ア) 花のつくりと働き いろいろな植物の花のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,花のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを花の働きと関連付けてとらえること。
(イ) 葉・茎・根のつくりと働き いろいろな植物の葉,茎,根のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,葉,茎,根のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを光合成,呼吸,蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。
ウ 植物の仲間
(ア) 種子植物の仲間 花や葉,茎,根の観察記録に基づいて,それらを相互に関連付けて考察し,植物が体のつくりの特徴に基づいて分類できることを見いだすとともに,植物の種類を知る方法を身に付けること。
(イ) 種子をつくらない植物の仲間 シダ植物やコケ植物の観察を行い,これらと種子植物の違いを知ること。
(2) 大地の成り立ちと変化 大地の活動の様子や身近な岩石,地層,地形などの観察を通して,地表に見られる様々な事物・現象を大地の変化と関連付けて理解させ,大地の変化についての認識を深める。
ア 火山と地震
(ア) 火山活動と火成岩 火山の形,活動の様子及びその噴出物を調べ,それらを地下のマグマの性質と関連付けてとらえるとともに,火山岩と深成岩の観察を行い,それらの組織の違いを成因と関連付けてとらえること。
(イ) 地震の伝わり方と地球内部の働き 地震の体験や記録を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に気付くとともに,地震の原因を地球内部の働きと関連付けてとらえ,地震に伴う土地の変化の様子を理解すること。
イ 地層の重なりと過去の様子
(ア) 地層の重なりと過去の様子 野外観察などを行い,観察記録を基に,地層のでき方を考察し,重なり方や広がり方についての規則性を見いだすとともに,地層とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と地質年代を推定すること。
(3) 動物の生活と生物の変遷 生物の体は細胞からできていることを観察を通して理解させる。また,動物などについての観察,実験を通して,動物の体のつくりと働きを理解させ,動物の生活と種類についての認識を深めるとともに,生物の変遷について理解させる。
ア 生物と細胞
(ア) 生物と細胞 生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだすこと。
イ 動物の体のつくりと働き
(ア) 生命を維持する働き 消化や呼吸,血液の循環についての観察,実験を行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察,実験の結果と関連付けてとらえること。また,不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解すること。
(イ) 刺激と反応 動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けてとらえること。
ウ 脊椎《せきつい》動物の仲間
(ア) 脊椎《せきつい》動物の仲間 脊椎《せきつい》動物の観察記録に基づいて,体のつくりや子の生まれ方などの特徴を比較,整理し,脊椎《せきつい》動物が幾つかの仲間に分類できることを見いだすこと。
(イ) 無脊椎《せきつい》動物の仲間 無脊椎《せきつい》動物の観察などを行い,その観察記録に基づいて,それらの動物の特徴を見いだすこと。
エ 生物の変遷と進化
(ア) 生物の変遷と進化 現存の生物や化石の比較などを基に,現存の生物は過去の生物が変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けてとらえること。
(4) 気象とその変化 身近な気象の観察,観測を通して,気象要素と天気の変化の関係を見いださせるとともに,気象現象についてそれが起こる仕組みと規則性についての認識を深める。
ア 気象観測
(ア) 気象観測 校庭などで気象観測を行い,観測方法や記録の仕方を身に付けるとともに,その観測記録などに基づいて,気温,湿度,気圧,風向などの変化と天気との関係を見いだすこと。
イ 天気の変化
(ア) 霧や雲の発生 霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び湿度の変化と関連付けてとらえること。
(イ) 前線の通過と天気の変化 前線の通過に伴う天気の変化の観測結果などに基づいて,その変化を暖気,寒気と関連付けてとらえること。
ウ 日本の気象
(ア) 日本の天気の特徴 天気図や気象衛星画像などから,日本の天気の特徴を気団と関連付けてとらえること。
(イ) 大気の動きと海洋の影響 気象衛星画像や調査記録などから,日本の気象を日本付近の大気の動きや海洋の影響に関連付けてとらえること。
(5) 生命の連続性 身近な生物についての観察,実験を通して,生物の成長と殖え方,遺伝現象について理解させるとともに,生命の連続性について認識を深める。
ア 生物の成長と殖え方
(ア) 細胞分裂と生物の成長 体細胞分裂の観察を行い,その過程を確かめるとともに,細胞の分裂を生物の成長と関連付けてとらえること。
(イ) 生物の殖え方 身近な生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだすとともに,生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだすこと。
イ 遺伝の規則性と遺伝子
(ア) 遺伝の規則性と遺伝子 交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだすこと。
(6) 地球と宇宙 身近な天体の観察を通して,地球の運動について考察させるとともに,太陽や惑星の特徴及び月の運動と見え方を理解させ,太陽系や恒星など宇宙についての認識を深める。
ア 天体の動きと地球の自転・公転
(ア) 日周運動と自転 天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けてとらえること。
(イ) 年周運動と公転 星座の年周運動や太陽の南中高度の変化などの観察を行い,その観察記録を地球の公転や地軸の傾きと関連付けてとらえること。
イ 太陽系と恒星
(ア) 太陽の様子 太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだすこと。
(イ) 月の運動と見え方 月の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,月の公転と見え方を関連付けてとらえること。
(ウ) 惑星と恒星 観測資料などを基に,惑星と恒星などの特徴を理解するとともに,惑星の見え方を太陽系の構造と関連付けてとらえること。
(7) 自然と人間 自然環境を調べ,自然界における生物相互の関係や自然界のつり合いについて理解させるとともに,自然と人間のかかわり方について認識を深め,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。
ア 生物と環境
(ア) 自然界のつり合い 微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けてとらえるとともに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだすこと。
(イ) 自然環境の調査と環境保全 身近な自然環境について調べ,様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解するとともに,自然環境を保全することの重要性を認識すること。
イ 自然の恵みと災害
(ア) 自然の恵みと災害 自然がもたらす恵みと災害などについて調べ,これらを多面的,総合的にとらえて,自然と人間のかかわり方について考察すること。
ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
(ア) 自然環境の保全と科学技術の利用 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までのうち,内容の(1)及び(2)は第1学年,内容の(3)及び(4)は第2学年,内容の(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「生物」については,植物を中心に取り上げ,水中の微小な生物の存在にも触れること。
イ イの(ア)については,被子植物を中心に取り上げること。「花の働き」については,受粉後に胚《はい》珠が種子になることを中心に扱うこと。
ウ イの(イ)については,光合成における葉緑体の働きにも触れること。また,葉,茎,根の働きを相互に関連付けて全体の働きとしてとらえること。
エ ウの(イ)については,シダ植物やコケ植物が胞子をつくることにも触れること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「火山」については,粘性と関係付けながら代表的な火山を扱うこと。「マグマの性質」については,粘性を扱うこと。「火山岩」及び「深成岩」については,代表的な岩石を扱うこと。また,代表的な造岩鉱物も扱うこと。
イ アの(イ)については,地震の現象面を中心に取り扱い,初期微動継続時間と震源までの距離との定性的な関係にも触れること。また,「地球内部の働き」については,日本付近のプレートの動きを扱うこと。
ウ イの(ア)については,地層を形成している代表的な堆《たい》積岩も取り上げること。「野外観察」については,学校内外の地層を観察する活動とすること。「地層」については,断層,褶《しゅう》曲にも触れること。「化石」については,示相化石及び示準化石を取り上げること。「地質年代」の区分は...
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イの(ア)については,各器官の働きを中心に扱うこと。「消化」については,代表的な消化酵素の働きを取り上げること。また,摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になることにも触れること。「呼吸」については,細胞の呼吸にも触れること。「血液の循環」に関連して,血液成分...
イ イの(イ)については,各器官の働きを中心に扱うこと。
ウ ウの(ア)については,脊椎《せきつい》動物の体の表面の様子や呼吸の仕方,運動・感覚器官の発達,食物のとり方の違いに気付かせること。
エ ウの(イ)については,節足動物や軟体動物の観察を行い,それらの動物と脊椎《せきつい》動物の体のつくりの特徴を比較することを中心に扱うこと。
オ エの(ア)については,進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について取り上げること。その際,生物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れること。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イの(ア)については,気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結にかかわりがあることを扱うこと。また,水の循環も扱うこと。
イ イの(イ)については,風の吹き方にも触れること。
ウ ウの(イ)については,地球を取り巻く大気の動きにも触れること。また,地球の大きさや大気の厚さにも触れること。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,染色体が複製されることにも触れること。
イ アの(イ)については,有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱うこと。「無性生殖」については,単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れること。
ウ イの(ア) については,分離の法則を扱うこと。また,遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることや遺伝子の本体がDNAであることにも触れること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「太陽の南中高度の変化」については,季節による昼夜の長さや気温の変化にも触れること。
イ イの(ア)の「太陽の特徴」については,形,大きさ,表面の様子などを扱うこと。その際,放出された多量の光などのエネルギーによる地表への影響にも触れること。
ウ イの(イ)については,日食や月食にも触れること。
エ イの(ウ)の「惑星」については,大きさ,大気組成,表面温度,衛星の存在などを取り上げること。その際,地球には生命を支える条件が備わっていることにも触れること。「恒星」については,自ら光を放つことや太陽もその一つであることを扱うこと。その際,恒星の集団としての銀河系の存在にも触れ...
(8) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,生態系における生産者,消費者及び分解者の関連を扱うこと。その際,土壌動物にも触れること。
イ アの(イ)については,生物や大気,水などの自然環境を直接調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。また,地球温暖化や外来種にも触れること。
ウ イの(ア)については,地球規模でのプレートの動きも扱うこと。また,「災害」については,記録や資料などを用いて調べ,地域の災害について触れること。
エ ウの(ア)については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第1分野(7)のウの(ア)と関連付けて総合的に扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年においては,年間を通して,各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際,各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方や考え方が互いに補い合って育成されるようにすること。
(2) 学校や生徒の実態に応じ,十分な観察や実験の時間,課題解決のために探究する時間などを設けるようにすること。その際,問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮...
(3) 原理や法則の理解を深めるためのものづくりを,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(4) 継続的な観察や季節を変えての定点観測を,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(5) 博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るよう配慮すること。
(6) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 各分野の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,野外観察を重視するとともに,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象を科学的に探究する能力の基礎と態度の育成及び基本的な概念の形成が段階的に無理なく行えるようにすること。
(2) 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度が育成されるようにすること。
(3) 科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れること。また,理科で学習することが様々な職業などと関係していることにも触れること。
3 観察,実験,野外観察の指導においては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮するものとする。
4 各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するよう配慮するものとする。
第5節 音楽
第1 目標  表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,音楽を愛好する心情を育てるとともに,音楽に対する感性を豊かにし,音楽活動の基礎的な能力を伸ばし,音楽文化についての理解を深め,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 音楽活動の楽しさを体験することを通して,音や音楽への興味・関心を養い,音楽によって生活を明るく豊かなものにする態度を育てる。
(2) 多様な音楽表現の豊かさや美しさを感じ取り,基礎的な表現の技能を身に付け,創意工夫して表現する能力を育てる。
(3) 多様な音楽のよさや美しさを味わい,幅広く主体的に鑑賞する能力を育てる。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 歌詞の内容や曲想を感じ取り,表現を工夫して歌うこと。
イ 曲種に応じた発声により,言葉の特性を生かして歌うこと。
ウ 声部の役割や全体の響きを感じ取り,表現を工夫しながら合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想を感じ取り,表現を工夫して演奏すること。 
イ 楽器の特徴をとらえ,基礎的な奏法を身に付けて演奏すること。
ウ 声部の役割や全体の響きを感じ取り,表現を工夫しながら合わせて演奏すること。
(3) 創作の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 言葉や音階などの特徴を感じ取り,表現を工夫して簡単な旋律をつくること。
イ 表現したいイメージをもち,音素材の特徴を感じ取り,反復,変化,対照などの構成を工夫しながら音楽をつくること。
(4) 表現教材は,次に示すものを取り扱う。
ア 我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切で,生徒にとって平易で親しみのもてるものであること。
イ 歌唱教材には,次の観点から取り上げたものを含めること。
(ア) 我が国で長く歌われ親しまれている歌曲のうち,我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの又は我が国の文化や日本語のもつ美しさを味わえるもの
(イ) 民謡,長唄《ながうた》などの我が国の伝統的な歌唱のうち,地域や学校,生徒の実態を考慮して,伝統的な声の特徴を感じ取れるもの
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や構造と曲想とのかかわりを感じ取って聴き,言葉で説明するなどして,音楽のよさや美しさを味わうこと。
イ 音楽の特徴をその背景となる文化・歴史や他の芸術と関連付けて,鑑賞すること。
ウ 我が国や郷土の伝統音楽及びアジア地域の諸民族の音楽の特徴から音楽の多様性を感じ取り,鑑賞すること。
(2) 鑑賞教材は,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切なものを取り扱う。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音色,リズム,速度,旋律,テクスチュア,強弱,形式,構成などの音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受すること。
イ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを表す用語や記号などについて,音楽活動を通して理解すること。
〔第2学年及び第3学年〕
1 目標
(1) 音楽活動の楽しさを体験することを通して,音や音楽への興味・関心を高め,音楽によって生活を明るく豊かなものにし,生涯にわたって音楽に親しんでいく態度を育てる。
(2) 多様な音楽表現の豊かさや美しさを感じ取り,表現の技能を伸ばし,創意工夫して表現する能力を高める。
(3) 多様な音楽に対する理解を深め,幅広く主体的に鑑賞する能力を高める。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 歌詞の内容や曲想を味わい,曲にふさわしい表現を工夫して歌うこと。
イ 曲種に応じた発声や言葉の特性を理解して,それらを生かして歌うこと。
ウ 声部の役割と全体の響きとのかかわりを理解して,表現を工夫しながら合わせて歌うこと。
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 曲想を味わい,曲にふさわしい表現を工夫して演奏すること。
イ 楽器の特徴を理解し,基礎的な奏法を生かして演奏すること。 
ウ 声部の役割と全体の響きとのかかわりを理解して,表現を工夫しながら合わせて演奏すること。
(3) 創作の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 言葉や音階などの特徴を生かし,表現を工夫して旋律をつくること。
イ 表現したいイメージをもち,音素材の特徴を生かし,反復,変化,対照などの構成や全体のまとまりを工夫しながら音楽をつくること。
(4) 表現教材は,次に示すものを取り扱う。
ア 我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切で,生徒の意欲を高め親しみのもてるものであること。
イ 歌唱教材には,次の観点から取り上げたものを含めること。
(ア) 我が国で長く歌われ親しまれている歌曲のうち,我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの又は我が国の文化や日本語のもつ美しさを味わえるもの
(イ) 民謡,長唄《ながうた》などの我が国の伝統的な歌唱のうち,地域や学校,生徒の実態を考慮して,伝統的な声の特徴を感じ取れるもの
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や構造と曲想とのかかわりを理解して聴き,根拠をもって批評するなどして,音楽のよさや美しさを味わうこと。
イ 音楽の特徴をその背景となる文化・歴史や他の芸術と関連付けて理解して,鑑賞すること。
ウ 我が国や郷土の伝統音楽及び諸外国の様々な音楽の特徴から音楽の多様性を理解して,鑑賞すること。
(2) 鑑賞教材は,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに適切なものを取り扱う。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 音色,リズム,速度,旋律,テクスチュア,強弱,形式,構成などの音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受すること。
イ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを表す用語や記号などについて,音楽活動を通して理解すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(2) 第2の各学年の内容の「A表現」の(1),(2),(3)及び「B鑑賞」の(1)の指導については,それぞれ特定の活動のみに偏らないようにすること。
(3) 第2の各学年の内容については,生徒がより個性を生かした音楽活動を展開できるようにするため,表現方法や表現形態を選択できるようにするなど,学校や生徒の実態に応じ,効果的な指導ができるよう工夫すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 歌唱の指導については,次のとおり取り扱うこと。
ア 各学年の「A表現」の(4)のイの(ア)の歌唱教材については,以下の共通教材の中から各学年ごとに1曲以上を含めること。
「赤とんぼ」  三木露風《みきろふう》作詞 山田耕筰《やまだこうさく》作曲
「荒城の月」  土井晩翠《どいばんすい》作詞 滝廉太郎《たきれんたろう》作曲
「早春賦」   吉丸一昌《よしまるかずまさ》作詞 中田章《なかだあきら》作曲
「夏の思い出」 江間章子《えましょうこ》作詞 中田喜直《なかだよしなお》作曲
「花」     武島羽衣《たけしまはごろも》作詞 滝廉太郎《たきれんたろう》作曲
「花の街」   江間章子《えましょうこ》作詞 團伊玖磨《だんいくま》作曲
「浜辺の歌」  林古溪《はやしこけい》作詞 成田為三《なりたためぞう》作曲
イ 変声期について気付かせるとともに,変声期の生徒に対しては心理的な面についても配慮し,適切な声域と声量によって歌わせるようにすること。
ウ 相対的な音程感覚などを育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。
(2) 器楽の指導については,指導上の必要に応じて和楽器,弦楽器,管楽器,打楽器,鍵《けん》盤楽器,電子楽器及び世界の諸民族の楽器を適宜用いること。なお,和楽器の指導については,3学年間を通じて1種類以上の楽器の表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わうことができ...
(3) 我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導については,言葉と音楽との関係,姿勢や身体の使い方についても配慮すること。
(4) 読譜の指導については,小学校における学習を踏まえ,♯や♭の調号としての意味を理解させるとともに,3学年間を通じて,1♯,1♭程度をもった調号の楽譜の視唱や視奏に慣れさせるようにすること。
(5) 創作の指導については,即興的に音を出しながら音のつながり方を試すなど,音を音楽へと構成していく体験を重視すること。その際,理論に偏らないようにするとともに,必要に応じて作品を記録する方法を工夫させること。
(6) 各学年の「A表現」の指導に当たっては,指揮などの身体的表現活動も取り上げるようにすること。
(7) 各学年の「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 生徒が自己のイメージや思いを伝え合ったり,他者の意図に共感したりできるようにするなどコミュニケーションを図る指導を工夫すること。
イ 適宜,自然音や環境音などについても取り扱い,音環境への関心を高めたり,音や音楽が生活に果たす役割を考えさせたりするなど,生徒が音や音楽と生活や社会とのかかわりを実感できるような指導を工夫すること。また,コンピュータや教育機器の活用も工夫すること。
ウ 音楽に関する知的財産権について,必要に応じて触れるようにすること。
(8) 各学年の〔共通事項〕のイの用語や記号などは,小学校学習指導要領第2章第6節音楽の第3の2の(6)に示すものに加え,生徒の学習状況を考慮して,次に示すものを取り扱うこと。
拍子
間《ま》
序破急
フレーズ
音階
調
和音
動機
アンダンテ
モデラート
アレグロ
リタルダンド
ア・テンポ
アッチェレランド
レガート
ピアニッシモ
フォルティッシモ
ディミヌエンド
ダ・カーポ
ダル・セーニョ
フェルマータ
テヌート
三連符
二分休符
全休符
十六分休符
第6節 美術
第1 目標  表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,美術の創造活動の喜びを味わい美術を愛好する心情を育てるとともに,感性を豊かにし,美術の基礎的な能力を伸ばし,美術文化についての理解を深め,豊かな情操を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 楽しく美術の活動に取り組み美術を愛好する心情を培い,心豊かな生活を創造していく意欲と態度を育てる。
(2) 対象を見つめ感じ取る力や想像力を高め,豊かに発想し構想する能力や形や色彩などによる表現の技能を身に付け,意図に応じて創意工夫し美しく表現する能力を育てる。
(3) 自然の造形や美術作品などについての基礎的な理解や見方を広げ,美術文化に対する関心を高め,よさや美しさなどを味わう鑑賞の能力を育てる。
2 内容
A 表現
(1) 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 対象を見つめ感じ取った形や色彩の特徴や美しさ,想像したことなどを基に主題を生み出すこと。
イ 主題などを基に,全体と部分との関係などを考えて創造的な構成を工夫し,心豊かに表現する構想を練ること。
(2) 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 目的や条件などを基に,美的感覚を働かせて,構成や装飾を考え,表現の構想を練ること。
イ 他者の立場に立って,伝えたい内容について分かりやすさや美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
ウ 用途や機能,使用する者の気持ち,材料などから美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
(3) 発想や構想をしたことなどを基に表現する活動を通して,技能に関する次の事項を指導する。
ア 形や色彩などの表し方を身に付け,意図に応じて材料や用具の生かし方などを考え,創意工夫して表現すること。
イ 材料や用具の特性などから制作の順序などを考えながら,見通しをもって表現すること。
B 鑑賞
(1) 美術作品などのよさや美しさを感じ取り味わう活動を通して,鑑賞に関する次の事項を指導する。
ア 造形的なよさや美しさ,作者の心情や意図と表現の工夫,美と機能性の調和,生活における美術の働きなどを感じ取り,作品などに対する思いや考えを説明し合うなどして,対象の見方や感じ方を広げること。
イ 身近な地域や日本及び諸外国の美術の文化遺産などを鑑賞し,そのよさや美しさなどを感じ取り,美術文化に対する関心を高めること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらがもたらす感情を理解すること。
イ 形や色彩の特徴などを基に,対象のイメージをとらえること。
〔第2学年及び第3学年〕
1 目標
(1) 主体的に美術の活動に取り組み美術を愛好する心情を深め,心豊かな生活を創造していく意欲と態度を高める。
(2) 対象を深く見つめ感じ取る力や想像力を一層高め,独創的・総合的な見方や考え方を培い,豊かに発想し構想する能力や自分の表現方法を創意工夫し,創造的に表現する能力を伸ばす。
(3) 自然の造形,美術作品や文化遺産などについての理解や見方を深め,心豊かに生きることと美術とのかかわりに関心をもち,よさや美しさなどを味わう鑑賞の能力を高める。
2 内容
A 表現
(1) 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 対象を深く見つめ感じ取ったこと,考えたこと,夢,想像や感情などの心の世界などを基に,主題を生み出すこと。
イ 主題などを基に想像力を働かせ,単純化や省略,強調,材料の組合せなどを考え,創造的な構成を工夫し,心豊かな表現の構想を練ること。
(2) 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を指導する。
ア 目的や条件などを基に,美的感覚を働かせて形や色彩,図柄,材料,光などの組合せを簡潔にしたり総合化したりするなどして構成や装飾を考え,表現の構想を練ること。
イ 伝えたい内容を多くの人々に伝えるために,形や色彩などの効果を生かして分かりやすさや美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
ウ 使用する者の気持ちや機能,夢や想像,造形的な美しさなどを総合的に考え,表現の構想を練ること。
(3) 発想や構想をしたことなどを基に表現する活動を通して,技能に関する次の事項を指導する。
ア 材料や用具の特性を生かし,自分の表現意図に合う新たな表現方法を工夫するなどして創造的に表現すること。
イ 材料や用具,表現方法の特性などから制作の順序などを総合的に考えながら,見通しをもって表現すること。
B 鑑賞
(1) 美術作品などのよさや美しさを感じ取り味わう活動を通して,鑑賞に関する次の事項を指導する。
ア 造形的なよさや美しさ,作者の心情や意図と創造的な表現の工夫,目的や機能との調和のとれた洗練された美しさなどを感じ取り見方を深め,作品などに対する自分の価値意識をもって批評し合うなどして,美意識を高め幅広く味わうこと。
イ 美術作品などに取り入れられている自然のよさや,自然や身近な環境の中に見られる造形的な美しさなどを感じ取り,安らぎや自然との共生などの視点から,生活を美しく豊かにする美術の働きについて理解すること。
ウ 日本の美術の概括的な変遷や作品の特質を調べたり,それらの作品を鑑賞したりして,日本の美術や伝統と文化に対する理解と愛情を深めるとともに,諸外国の美術や文化との相違と共通性に気付き,それぞれのよさや美しさなどを味わい,美術を通した国際理解を深め,美術文化の継承と創造への関心を高め...
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらがもたらす感情を理解すること。
イ 形や色彩の特徴などを基に,対象のイメージをとらえること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学年の内容の「A表現」及び「B鑑賞」の指導については相互の関連を図るようにすること。
(2) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は表現及び鑑賞に関する能力を育成する上で共通に必要となるものであり,表現及び鑑賞の各活動において十分な指導が行われるよう工夫すること。
(3) 第2の各学年の内容の「A表現」については,(1)及び(2)と,(3)は原則として関連付けて行い,(1)及び(2)それぞれにおいて描く活動とつくる活動のいずれも経験させるようにすること。その際,第2学年及び第3学年の各学年においては,(1)及び(2)それぞれにおいて,描く活動...
(4) 第2の内容の「B鑑賞」の指導については,各学年とも適切かつ十分な授業時数を確保すること。
(5) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,美術科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年の「A表現」の指導に当たっては,生徒の学習経験や能力,発達特性等の実態を踏まえ,生徒が自分の表現意図に合う表現形式や技法,材料などを選択し創意工夫して表現できるように,次の事項に配慮すること。
ア 見る力や感じ取る力,考える力,描く力などを育成するために,スケッチの学習を効果的に取り入れるようにすること。
イ 美術の表現の可能性を広げるために,写真・ビデオ・コンピュータ等の映像メディアの積極的な活用を図るようにすること。
ウ 日本及び諸外国の作品の独特な表現形式,漫画やイラストレーション,図などの多様な表現方法を活用できるようにすること。
エ 表現の材料や題材などについては,地域の身近なものや伝統的なものも取り上げるようにすること。
(2) 各学年の「B鑑賞」の題材については,日本及び諸外国の児童生徒の作品,アジアの文化遺産についても取り上げるとともに,美術館・博物館等の施設や文化財などを積極的に活用するようにすること。
(3) 主題を生み出すことから表現の確認及び完成に至る全過程を通して,生徒が夢と目標をもち,自分のよさを発見し喜びをもって自己実現を果たしていく態度の形成を図るようにすること。
(4) 互いの個性を生かし合い協力して創造する喜びを味わわせるため,適切な機会を選び共同で行う創造活動を経験させること。また,各表現の完成段階で作品を発表し合い,互いの表現のよさや個性などを認め尊重し合う活動をするようにすること。
(5) 美術に関する知的財産権や肖像権などについて配慮し,自己や他者の創造物等を尊重する態度の形成を図るようにすること。
3 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導などを徹底するものとする。
4 生徒が随時鑑賞に親しむことができるよう,校内の適切な場所に鑑賞作品などを展示するとともに,生徒や学校の実態に応じて,学校図書館等における鑑賞用図書,映像資料などの活用を図るものとする。
第7節 保健体育
第1 目標  心と体を一体としてとらえ,運動や健康・安全についての理解と運動の合理的な実践を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てる。
第2 各分野の目標及び内容
〔体育分野 第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わうことができるようにするとともに,知識や技能を身に付け,運動を豊かに実践することができるようにする。
(2) 運動を適切に行うことによって,体力を高め,心身の調和的発達を図る。
(3) 運動における競争や協同の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の役割を果たすなどの意欲を育てるとともに,健康・安全に留意し,自己の最善を尽くして運動をする態度を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,体力を高め,目的に適した運動を身に付け,組み合わせることができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体の関係に気付き,体の調子を整え,仲間と交流するための手軽な運動や律動的な運動を行うこと。
イ 体力を高める運動では,ねらいに応じて,体の柔らかさ,巧みな動き,力強い動き,動きを持続する能力を高めるための運動を行うとともに,それらを組み合わせて運動の計画に取り組むこと。
(2) 体つくり運動に積極的に取り組むとともに,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 体つくり運動の意義と行い方,運動の計画の立て方などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,その技がよりよくできるようにする。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを組み合わせること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを組み合わせること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを組み合わせること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと。
(2) 器械運動に積極的に取り組むとともに,よい演技を認めようとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 器械運動の特性や成り立ち,技の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
C 陸上競技
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,基本的な動きや効率のよい動きを身に付けることができるようにする。
ア 短距離走・リレーでは,滑らかな動きで速く走ること,長距離走では,ペースを守り一定の距離を走ること,ハードル走では,リズミカルな走りから滑らかにハードルを越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から素早く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズミカルな助走から力強く踏み切って大きな動作で跳ぶこと。
(2) 陸上競技に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 陸上競技の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
D 水泳
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,泳法を身に付けることができるようにする。
ア クロールでは,手と足,呼吸のバランスをとり速く泳ぐこと。
イ 平泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスをとり長く泳ぐこと。
ウ 背泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
(2) 水泳に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,水泳の事故防止に関する心得など健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 水泳の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
E 球技
(1) 次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,基本的な技能や仲間と連携した動きでゲームが展開できるようにする。
ア ゴール型では,ボール操作と空間に走り込むなどの動きによってゴール前での攻防を展開すること。
イ ネット型では,ボールや用具の操作と定位置に戻るなどの動きによって空いた場所をめぐる攻防を展開すること。
ウ ベースボール型では,基本的なバット操作と走塁での攻撃,ボール操作と定位置での守備などによって攻防を展開すること。
(2) 球技に積極的に取り組むとともに,フェアなプレイを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすること,作戦などについての話合いに参加しようとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 球技の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
F 武道
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,基本動作や基本となる技ができるようにする。
ア 柔道では,相手の動きに応じた基本動作から,基本となる技を用いて,投げたり抑えたりするなどの攻防を展開すること。
イ 剣道では,相手の動きに応じた基本動作から,基本となる技を用いて,打ったり受けたりするなどの攻防を展開すること。
ウ 相撲では,相手の動きに応じた基本動作から,基本となる技を用いて,押したり寄ったりするなどの攻防を展開すること。
(2) 武道に積極的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,禁じ技を用いないなど健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) 武道の特性や成り立ち,伝統的な考え方,技の名称や行い方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
G ダンス
(1) 次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージをとらえた表現や踊りを通した交流ができるようにする。
ア 創作ダンスでは,多様なテーマから表したいイメージをとらえ,動きに変化を付けて即興的に表現したり,変化のあるひとまとまりの表現にしたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて特徴的なステップや動きで踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴をとらえ,変化のある動きを組み合わせて,リズムに乗って全身で踊ること。
(2) ダンスに積極的に取り組むとともに,よさを認め合おうとすること,分担した役割を果たそうとすることなどや,健康・安全に気を配ることができるようにする。
(3) ダンスの特性,踊りの由来と表現の仕方,関連して高まる体力などを理解し,課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
H 体育理論
(1) 運動やスポーツが多様であることについて理解できるようにする。
ア 運動やスポーツは,体を動かしたり,健康を維持したりするなどの必要性や,競技に応じた力を試すなどの楽しさから生みだされ発展してきたこと。
イ 運動やスポーツには,行うこと,見ること,支えることなどの多様なかかわり方があること。
ウ 運動やスポーツには,特有の技術や戦術があり,その学び方には一定の方法があること。
(2) 運動やスポーツの意義や効果などについて理解できるようにする。
ア 運動やスポーツは,身体の発達やその機能の維持,体力の向上などの効果や自信の獲得,ストレスの解消などの心理的効果が期待できること。
イ 運動やスポーツは,ルールやマナーについて合意したり,適切な人間関係を築いたりするなどの社会性を高める効果が期待できること。
ウ 運動やスポーツを行う際は,その特性や目的,発達の段階や体調などを踏まえて運動を選ぶなど,健康・安全に留意する必要があること。
〔体育分野 第3学年〕
1 目標
(1) 運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わうとともに,知識や技能を高め,生涯にわたって運動を豊かに実践することができるようにする。
(2) 運動を適切に行うことによって,自己の状況に応じて体力の向上を図る能力を育て,心身の調和的発達を図る。
(3) 運動における競争や協同の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の責任を果たす,参画するなどの意欲を育てるとともに,健康・安全を確保して,生涯にわたって運動に親しむ態度を育てる。
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,健康の保持増進や体力の向上を図り,目的に適した運動の計画を立て取り組むことができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体は互いに影響し変化することに気付き,体の状態に応じて体の調子を整え,仲間と積極的に交流するための手軽な運動や律動的な運動を行うこと。
イ 体力を高める運動では,ねらいに応じて,健康の保持増進や調和のとれた体力の向上を図るための運動の計画を立て取り組むこと。
(2) 体つくり運動に自主的に取り組むとともに,体力の違いに配慮しようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 運動を継続する意義,体の構造,運動の原則などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,自己に適した技で演技することができるようにする。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを構成し演技すること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを構成し演技すること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと,それらを構成し演技すること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を行うこと。
(2) 器械運動に自主的に取り組むとともに,よい演技を讃《たた》えようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
C 陸上競技
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,各種目特有の技能を身に付けることができるようにする。
ア 短距離走・リレーでは,中間走へのつなぎを滑らかにするなどして速く走ること,長距離走では,自己に適したペースを維持して走ること,ハードル走では,スピードを維持した走りからハードルを低く越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から力強く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズミカルな助走から力強く踏み切り滑らかな空間動作で跳ぶこと。
(2) 陸上競技に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
D 水泳
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,効率的に泳ぐことができるようにする。
ア クロールでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
イ 平泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
ウ 背泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
オ 複数の泳法で泳ぐこと,又はリレーをすること。
(2) 水泳に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,水泳の事故防止に関する心得など健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
E 球技
(1) 次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,作戦に応じた技能で仲間と連携しゲームが展開できるようにする。
ア ゴール型では,安定したボール操作と空間を作りだすなどの動きによってゴール前への侵入などから攻防を展開すること。
イ ネット型では,役割に応じたボール操作や安定した用具の操作と連携した動きによって空いた場所をめぐる攻防を展開すること。
ウ ベースボール型では,安定したバット操作と走塁での攻撃,ボール操作,連携した守備などによって攻防を展開すること。
(2) 球技に自主的に取り組むとともに,フェアなプレイを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすること,作戦などについての話合いに貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
F 武道
(1) 次の運動について,技を高め勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,得意技を身に付けることができるようにする。
ア 柔道では,相手の動きの変化に応じた基本動作から,基本となる技,得意技や連絡技を用いて,相手を崩して投げたり,抑えたりするなどの攻防を展開すること。
イ 剣道では,相手の動きの変化に応じた基本動作から,基本となる技や得意技を用いて,相手の構えを崩し,しかけたり応じたりするなどの攻防を展開すること。
ウ 相撲では,相手の動きの変化に応じた基本動作から,基本となる技や得意技を用いて,相手を崩し,投げたりひねったりするなどの攻防を展開すること。
(2) 武道に自主的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 伝統的な考え方,技の名称や見取り稽《けい》古の仕方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
G ダンス
(1) 次の運動について,感じを込めて踊ったり,みんなで自由に踊ったりする楽しさや喜びを味わい,イメージを深めた表現や踊りを通した交流や発表ができるようにする。
ア 創作ダンスでは,表したいテーマにふさわしいイメージをとらえ,個や群で,緩急強弱のある動きや空間の使い方で変化をつけて即興的に表現したり,簡単な作品にまとめたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,踊り方の特徴をとらえ,音楽に合わせて特徴的なステップや動きと組み方で踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴をとらえ,変化とまとまりを付けて,リズムに乗って全身で踊ること。
(2) ダンスに自主的に取り組むとともに,互いの違いやよさを認め合おうとすること,自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) ダンスの名称や用語,踊りの特徴と表現の仕方,体力の高め方,交流や発表の仕方などを理解し,自己の課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。
H 体育理論
(1) 文化としてのスポーツの意義について理解できるようにする。
ア スポーツは文化的な生活を営み,よりよく生きていくために重要であること。
イ オリンピックや国際的なスポーツ大会などは,国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていること。
ウ スポーツは,民族や国,人種や性,障害の違いなどを超えて人々を結び付けていること。
〔内容の取扱い〕
(1) 内容の各領域については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 第1学年及び第2学年においては,「A体つくり運動」から「H体育理論」までについては,すべての生徒に履修させること。その際,「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,2学年にわたって履修させること。
イ 第3学年においては,「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,すべての生徒に履修させること。「B器械運動」,「C 陸上競技」,「D水泳」及び「Gダンス」についてはこれらの中から一以上を,「E球技」及び「F武道」についてはこれらの中から一以上をそれぞれ選択して履修できるよう...
(2) 内容の「A体つくり運動」から「H体育理論」までに示す事項については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「A体つくり運動」の(1)のアの運動については,「B器械運動」から「Gダンス」までにおいても関連を図って指導することができるとともに,心の健康など保健分野との関連を図ること。また,「A体つくり運動」の(1)のイの運動については,第1学年及び第2学年においては,動きを持続する能力...
イ 「B器械運動」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からアを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからエまでの中から選択して履修できるようにすること。
ウ 「C陸上競技」の(1)の運動については,ア及びイに示すそれぞれの運動の中から選択して履修できるようにすること。
エ 「D水泳」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からア又はイのいずれかを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからオまでの中から選択して履修できるようにすること。また,泳法との関連において水中からのスタート及びターン...
オ 「E球技」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからウまでをすべての生徒に履修させること。第3学年においては,アからウまでの中から二を選択して履修できるようにすること。また,アについては,バスケットボール,ハンドボール,サッカーの中から,イについては,バレ...
カ 「F武道」の(1)の運動については,アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,なぎなたなどのその他の武道についても履修させることができること。また,武道場などの確保が難しい場合は指導方法を工夫して行うとともに,学習段階や個人差を踏...
キ 「Gダンス」の(1)の運動については,アからウまでの中から選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,その他のダンスについても履修させることができること。
ク 第1学年及び第2学年の内容の「H体育理論」については,(1)は第1学年,(2)は第2学年で取り上げること。
(3) 内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域及び運動の選択並びにその指導に当たっては,地域や学校の実態及び生徒の特性等を考慮するものとする。その際,指導に当たっては,内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域については,それぞれの運動の特性に触れるために必要な体力...
(4) 自然とのかかわりの深いスキー,スケートや水辺活動などの指導については,地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとする。
(5) 集合,整頓《とん》,列の増減,方向変換などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団としての行動ができるようにするための指導については,内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域において適切に行うものとする。
〔保健分野〕
1 目標  個人生活における健康・安全に関する理解を通して,生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 心身の機能の発達と心の健康について理解できるようにする。
ア 身体には,多くの器官が発育し,それに伴い,様々な機能が発達する時期があること。また,発育・発達の時期やその程度には,個人差があること。
イ 思春期には,内分泌の働きによって生殖にかかわる機能が成熟すること。また,成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となること。
ウ 知的機能,情意機能,社会性などの精神機能は,生活経験などの影響を受けて発達すること。また,思春期においては,自己の認識が深まり,自己形成がなされること。
エ 精神と身体は,相互に影響を与え,かかわっていること。   欲求やストレスは,心身に影響を与えることがあること。また,心の健康を保つには,欲求やストレスに適切に対処する必要があること。
(2) 健康と環境について理解できるようにする。
ア 身体には,環境に対してある程度まで適応能力があること。身体の適応能力を超えた環境は,健康に影響を及ぼすことがあること。また,快適で能率のよい生活を送るための温度,湿度や明るさには一定の範囲があること。
イ 飲料水や空気は,健康と密接なかかわりがあること。また,飲料水や空気を衛生的に保つには,基準に適合するよう管理する必要があること。
ウ 人間の生活によって生じた廃棄物は,環境の保全に十分配慮し,環境を汚染しないように衛生的に処理する必要があること。
(3) 傷害の防止について理解を深めることができるようにする。
ア 交通事故や自然災害などによる傷害は,人的要因や環境要因などがかかわって発生すること。
イ 交通事故などによる傷害の多くは,安全な行動,環境の改善によって防止できること。
ウ 自然災害による傷害は,災害発生時だけでなく,二次災害によっても生じること。また,自然災害による傷害の多くは,災害に備えておくこと,安全に避難することによって防止できること。
エ 応急手当を適切に行うことによって,傷害の悪化を防止することができること。また,応急手当には,心肺蘇《そ》生等があること。
(4) 健康な生活と疾病の予防について理解を深めることができるようにする。
ア 健康は,主体と環境の相互作用の下に成り立っていること。また,疾病は,主体の要因と環境の要因がかかわり合って発生すること。 
イ 健康の保持増進には,年齢,生活環境等に応じた食事,運動,休養及び睡眠の調和のとれた生活を続ける必要があること。また,食事の量や質の偏り,運動不足,休養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れは,生活習慣病などの要因となること。
ウ 喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,心身に様々な影響を与え,健康を損なう原因となること。また,これらの行為には,個人の心理状態や人間関係,社会環境が影響することから,それぞれの要因に適切に対処する必要があること。
エ 感染症は,病原体が主な要因となって発生すること。また,感染症の多くは,発生源をなくすこと,感染経路を遮断すること,主体の抵抗力を高めることによって予防できること。
オ 健康の保持増進や疾病の予防には,保健・医療機関を有効に利用することがあること。また,医薬品は,正しく使用すること。
カ 個人の健康は,健康を保持増進するための社会の取組と密接なかかわりがあること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)は第1学年,内容の(2)及び(3)は第2学年,内容の(4)は第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)のアについては,呼吸器,循環器を中心に取り扱うものとする。 
(3) 内容の(1)のイについては,妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から,受精・妊娠までを取り扱うものとし,妊娠の経過は取り扱わないものとする。また,身体の機能の成熟とともに,性衝動が生じたり,異性への関心が高まったりすることなどから,異性の尊重,情報への適切な対...
(4) 内容の(1)のエについては,体育分野の内容の「A体つくり運動」の(1)のアの指導との関連を図って指導するものとする。 
(5) 内容の(2)については,地域の実態に即して公害と健康との関係を取り扱うことも配慮するものとする。また,生態系については,取り扱わないものとする。
(6) 内容の(3)のエについては,包帯法,止血法など傷害時の応急手当も取り扱い,実習を行うものとする。また,効果的な指導を行うため,水泳など体育分野の内容との関連を図るものとする。 
(7) 内容の(4)のイについては,食育の観点も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結び付くよう配慮するとともに,必要に応じて,コンピュータなどの情報機器の使用と健康とのかかわりについて取り扱うことも配慮するものとする。
(8) 内容の(4)のウについては,心身への急性影響及び依存性について取り扱うこと。また,薬物は,覚せい剤や大麻等を取り扱うものとする。
(9) 内容の(4)のエについては,後天性免疫不全症候群(エイズ)及び性感染症についても取り扱うものとする。
(10) 保健分野の指導に際しては,知識を活用する学習活動を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 授業時数の配当については,次のとおり取り扱うこと。
ア 保健分野の授業時数は,3学年間で,48単位時間程度を配当すること。
イ 体育分野の授業時数は,各学年にわたって適切に配当すること。その際,体育分野の内容の「A体つくり運動」については,各学年で7単位時間以上を,「H体育理論」については,各学年で3単位時間以上を配当すること。
ウ 体育分野の内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域の授業時数は,その内容の習熟を図ることができるよう考慮して配当すること。
エ 保健分野の授業時数は,3学年間を通して適切に配当し,各学年において効果的な学習が行われるよう適切な時期にある程度まとまった時間を配当すること。
(2) 第1章総則第1の3に示す学校における体育・健康に関する指導の趣旨を生かし,特別活動,運動部の活動などとの関連を図り,日常生活における体育・健康に関する活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意すること。なお,体力の測定については,計画的に実施し,運動の指導及び体力の向上に活用...
(3) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,保健体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
第8節 技術・家庭
第1 目標  生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技術の習得を通して,生活と技術とのかかわりについて理解を深め,進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。
第2 各分野の目標及び内容
〔技術分野〕
1 目標  ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して,材料と加工,エネルギー変換,生物育成及び情報に関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに,技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め,技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる。
2 内容
A 材料と加工に関する技術
(1) 生活や産業の中で利用されている技術について,次の事項を指導する。
ア 技術が生活の向上や産業の継承と発展に果たしている役割について考えること。
イ 技術の進展と環境との関係について考えること。
(2) 材料と加工法について,次の事項を指導する。
ア 材料の特徴と利用方法を知ること。
イ 材料に適した加工法を知り,工具や機器を安全に使用できること。
ウ 材料と加工に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(3) 材料と加工に関する技術を利用した製作品の設計・製作について,次の事項を指導する。
ア 使用目的や使用条件に即した機能と構造について考えること。
イ 構想の表示方法を知り,製作図をかくことができること。
ウ 部品加工,組立て及び仕上げができること。
B エネルギー変換に関する技術
(1) エネルギー変換機器の仕組みと保守点検について,次の事項を指導する。
ア エネルギーの変換方法や力の伝達の仕組みを知ること。
イ 機器の基本的な仕組みを知り,保守点検と事故防止ができること。
ウ エネルギー変換に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2) エネルギー変換に関する技術を利用した製作品の設計・製作について,次の事項を指導する。
ア 製作品に必要な機能と構造を選択し,設計ができること。
イ 製作品の組立て・調整や電気回路の配線・点検ができること。
C 生物育成に関する技術
(1) 生物の生育環境と育成技術について,次の事項を指導する。
ア 生物の育成に適する条件と生物の育成環境を管理する方法を知ること。
イ 生物育成に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2) 生物育成に関する技術を利用した栽培又は飼育について,次の事項を指導する。
ア 目的とする生物の育成計画を立て,生物の栽培又は飼育ができること。
D 情報に関する技術
(1) 情報通信ネットワークと情報モラルについて,次の事項を指導する。
ア コンピュータの構成と基本的な情報処理の仕組みを知ること。
イ 情報通信ネットワークにおける基本的な情報利用の仕組みを知ること。
ウ 著作権や発信した情報に対する責任を知り,情報モラルについて考えること。
エ 情報に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2) ディジタル作品の設計・制作について,次の事項を指導する。
ア メディアの特徴と利用方法を知り,制作品の設計ができること。
イ 多様なメディアを複合し,表現や発信ができること。
(3) プログラムによる計測・制御について,次の事項を指導する。
ア コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること。
イ 情報処理の手順を考え,簡単なプログラムが作成できること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A材料と加工に関する技術」の(1)については,技術の進展が資源やエネルギーの有効利用,自然環境の保全に貢献していることや,ものづくりの技術が我が国の伝統や文化を支えてきたことについても扱うものとする。
(2) 内容の「Bエネルギー変換に関する技術」の(1)のイについては,漏電・感電等についても扱うものとする。
(3) 内容の「C生物育成に関する技術」の(2)については,地域固有の生態系に影響を及ぼすことのないよう留意するものとする。
(4) 内容の「D情報に関する技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のアについては,情報のディジタル化の方法と情報の量についても扱うこと。(1)のウについては,情報通信ネットワークにおける知的財産の保護の必要性についても扱うこと。
イ (2)については,使用するメディアに応じて,個人情報の保護の必要性についても扱うこと。
(5) すべての内容において,技術にかかわる倫理観や新しい発想を生み出し活用しようとする態度が育成されるようにするものとする。
〔家庭分野〕
1 目標  衣食住などに関する実践的・体験的な学習活動を通して,生活の自立に必要な基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに,家庭の機能について理解を深め,これからの生活を展望して,課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる。
2 内容
A 家族・家庭と子どもの成長
(1) 自分の成長と家族について,次の事項を指導する。
ア 自分の成長と家族や家庭生活とのかかわりについて考えること。
(2) 家庭と家族関係について,次の事項を指導する。
ア 家庭や家族の基本的な機能と,家庭生活と地域とのかかわりについて理解すること。
イ これからの自分と家族とのかかわりに関心をもち,家族関係をよりよくする方法を考えること。
(3) 幼児の生活と家族について,次の事項を指導する。
ア 幼児の発達と生活の特徴を知り,子どもが育つ環境としての家族の役割について理解すること。
イ 幼児の観察や遊び道具の製作などの活動を通して,幼児の遊びの意義について理解すること。
ウ 幼児と触れ合うなどの活動を通して,幼児への関心を深め,かかわり方を工夫できること。
エ 家族又は幼児の生活に関心をもち,課題をもって家族関係又は幼児の生活について工夫し,計画を立てて実践できること。
B 食生活と自立
(1) 中学生の食生活と栄養について,次の事項を指導する。
ア 自分の食生活に関心をもち,生活の中で食事が果たす役割を理解し,健康によい食習慣について考えること。
イ 栄養素の種類と働きを知り,中学生に必要な栄養の特徴について考えること。
(2) 日常食の献立と食品の選び方について,次の事項を指導する。
ア 食品の栄養的特質や中学生の1日に必要な食品の種類と概量について知ること。
イ 中学生の1日分の献立を考えること。 
ウ 食品の品質を見分け,用途に応じて選択できること。
(3) 日常食の調理と地域の食文化について,次の事項を指導する。
ア 基礎的な日常食の調理ができること。また,安全と衛生に留意し,食品や調理用具等の適切な管理ができること。
イ 地域の食材を生かすなどの調理を通して,地域の食文化について理解すること。
ウ 食生活に関心をもち,課題をもって日常食又は地域の食材を生かした調理などの活動について工夫し,計画を立てて実践できること。
C 衣生活・住生活と自立
(1) 衣服の選択と手入れについて,次の事項を指導する。
ア 衣服と社会生活とのかかわりを理解し,目的に応じた着用や個性を生かす着用を工夫できること。
イ 衣服の計画的な活用の必要性を理解し,適切な選択ができること。
ウ 衣服の材料や状態に応じた日常着の手入れができること。
(2) 住居の機能と住まい方について,次の事項を指導する。
ア 家族の住空間について考え,住居の基本的な機能について知ること。
イ 家族の安全を考えた室内環境の整え方を知り,快適な住まい方を工夫できること。
(3) 衣生活,住生活などの生活の工夫について,次の事項を指導する。
ア 布を用いた物の製作を通して,生活を豊かにするための工夫ができること。
イ 衣服又は住まいに関心をもち,課題をもって衣生活又は住生活について工夫し,計画を立てて実践できること。
D 身近な消費生活と環境
(1) 家庭生活と消費について,次の事項を指導する。
ア 自分や家族の消費生活に関心をもち,消費者の基本的な権利と責任について理解すること。
イ 販売方法の特徴について知り,生活に必要な物資・サービスの適切な選択,購入及び活用ができること。
(2) 家庭生活と環境について,次の事項を指導する。
ア 自分や家族の消費生活が環境に与える影響について考え,環境に配慮した消費生活について工夫し,実践できること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A家族・家庭と子どもの成長」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1),(2)及び(3)については,相互に関連を図り,実習や観察,ロールプレイングなどの学習活動を中心とするよう留意すること。
イ (2)のアについては,高齢者などの地域の人々とのかかわりについても触れるよう留意すること。
ウ (3)のアについては,幼児期における周囲との基本的な信頼関係や生活習慣の形成の重要性についても扱うこと。(3)のウについては,幼稚園や保育所等の幼児との触れ合いができるよう留意すること。
(2) 内容の「B食生活と自立」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のイについては,水の働きや食物繊維についても触れること。
イ (2)のウについては,主として調理実習で用いる生鮮食品と加工食品の良否や表示を扱うこと。
ウ (3)のアについては,魚,肉,野菜を中心として扱い,基礎的な題材を取り上げること。(3)のイについては,調理実習を中心とし,主として地域又は季節の食材を利用することの意義について扱うこと。また,地域の伝統的な行事食や郷土料理を扱うこともできること。
エ 食に関する指導については,技術・家庭科の特質に応じて,食育の充実に資するよう配慮すること。
(3) 内容の「C衣生活・住生活と自立」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のアについては,和服の基本的な着装を扱うこともできること。(1)のイについては,既製服の表示と選択に当たっての留意事項を扱うこと。(1)のウについては,日常着の手入れは主として洗濯と補修を扱うこと。
イ (2)のアについては,簡単な図などによる住空間の構想を扱うこと。
ウ (3)のアについては, (1)のウとの関連を図り,主として補修の技術を生かしてできる製作品を扱うこと。
(4) 内容の「D身近な消費生活と環境」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 内容の「A家族・家庭と子どもの成長」,「B食生活と自立」又は「C衣生活・住生活と自立」の学習との関連を図り,実践的に学習できるようにすること。
イ (1)については,中学生の身近な消費行動と関連させて扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 技術分野及び家庭分野の授業時数については,3学年間を見通した全体的な指導計画に基づき,いずれかの分野に偏ることなく配当して履修させること。その際,家庭分野の内容の「A家族・家庭と子どもの成長」の(3)のエ,「B食生活と自立」の(3)のウ及び「C衣生活・住生活と自立」の(3)...
(2) 技術分野の内容の「A材料と加工に関する技術」から「D情報に関する技術」並びに家庭分野の内容の「A家族・家庭と子どもの成長」から「D身近な消費生活と環境」の各項目に配当する授業時数及び履修学年については,地域,学校及び生徒の実態等に応じて,各学校において適切に定めること。その...
(3) 各項目及び各項目に示す事項については,相互に有機的な関連を図り,総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。その際,小学校における学習を踏まえ,他教科等との関連を明確にして,系統的・発展的に指導ができるよう配慮すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,技術・家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 各分野の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 基礎的・基本的な知識及び技術を習得し,基本的な概念などの理解を深めるとともに,仕事の楽しさや完成の喜びを体得させるよう,実践的・体験的な学習活動を充実すること。
(2) 生徒が学習した知識及び技術を生活に活用できるよう,問題解決的な学習を充実するとともに,家庭や地域社会との連携を図るようにすること。
3 実習の指導に当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整備するとともに,火気,用具,材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
4 各分野の指導については,衣食住やものづくりなどに関する実習等の結果を整理し考察する学習活動や,生活における課題を解決するために言葉や図表,概念などを用いて考えたり,説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮するものとする。
第9節 外国語
第1 目標  外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う。
第2 各言語の目標及び内容等
英語
1 目標
(1) 初歩的な英語を聞いて話し手の意向などを理解できるようにする。
(2) 初歩的な英語を用いて自分の考えなどを話すことができるようにする。
(3) 英語を読むことに慣れ親しみ,初歩的な英語を読んで書き手の意向などを理解できるようにする。
(4) 英語で書くことに慣れ親しみ,初歩的な英語を用いて自分の考えなどを書くことができるようにする。
2 内容
(1) 言語活動 英語を理解し,英語で表現できる実践的な運用能力を養うため,次の言語活動を3学年間を通して行わせる。
ア 聞くこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 強勢,イントネーション,区切りなど基本的な英語の音声の特徴をとらえ,正しく聞き取ること。
(イ) 自然な口調で話されたり読まれたりする英語を聞いて,情報を正確に聞き取ること。
(ウ) 質問や依頼などを聞いて適切に応じること。
(エ) 話し手に聞き返すなどして内容を確認しながら理解すること。
(オ) まとまりのある英語を聞いて,概要や要点を適切に聞き取ること。
イ 話すこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 強勢,イントネーション,区切りなど基本的な英語の音声の特徴をとらえ,正しく発音すること。
(イ) 自分の考えや気持ち,事実などを聞き手に正しく伝えること。
(ウ) 聞いたり読んだりしたことなどについて,問答したり意見を述べ合ったりなどすること。
(エ) つなぎ言葉を用いるなどのいろいろな工夫をして話を続けること。
(オ) 与えられたテーマについて簡単なスピーチをすること。
ウ 読むこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 文字や符号を識別し,正しく読むこと。
(イ) 書かれた内容を考えながら黙読したり,その内容が表現されるように音読すること。
(ウ) 物語のあらすじや説明文の大切な部分などを正確に読み取ること。
(エ) 伝言や手紙などの文章から書き手の意向を理解し,適切に応じること。
(オ) 話の内容や書き手の意見などに対して感想を述べたり賛否やその理由を示したりなどすることができるよう,書かれた内容や考え方などをとらえること。
エ 書くこと 主として次の事項について指導する。
(ア) 文字や符号を識別し,語と語の区切りなどに注意して正しく書くこと。
(イ) 語と語のつながりなどに注意して正しく文を書くこと。
(ウ) 聞いたり読んだりしたことについてメモをとったり,感想,賛否やその理由を書いたりなどすること。
(エ) 身近な場面における出来事や体験したことなどについて,自分の考えや気持ちなどを書くこと。
(オ) 自分の考えや気持ちなどが読み手に正しく伝わるように,文と文のつながりなどに注意して文章を書くこと。
(2) 言語活動の取扱い
ア 3学年間を通じ指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
(ア) 実際に言語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの活動を行うとともに,(3)に示す言語材料について理解したり練習したりする活動を行うようにすること。
(イ) 実際に言語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの活動においては,具体的な場面や状況に合った適切な表現を自ら考えて言語活動ができるようにすること。
(ウ) 言語活動を行うに当たり,主として次に示すような言語の使用場面や言語の働きを取り上げるようにすること。
〔言語の使用場面の例〕
a 特有の表現がよく使われる場面
・ あいさつ
・ 自己紹介  
・ 電話での応答
・ 買物    
・ 道案内
・ 旅行
・ 食事  
 など  
b 生徒の身近な暮らしにかかわる場面
・ 家庭での生活     
・ 学校での学習や活動
・ 地域の行事 
など
〔言語の働きの例〕
a コミュニケーションを円滑にする
・ 呼び掛ける  
・ 相づちをうつ  
・ 聞き直す
・ 繰り返す 
など
b 気持ちを伝える
・ 礼を言う  
・ 苦情を言う
・ 褒める
・ 謝る 
など
c 情報を伝える
・ 説明する  
・ 報告する  
・ 発表する
・ 描写する 
など
d 考えや意図を伝える
・ 申し出る
・ 約束する
・ 意見を言う
・ 賛成する
・ 反対する
・ 承諾する
・ 断る 
など
e 相手の行動を促す
・ 質問する
・ 依頼する
・ 招待する 
など
イ 生徒の学習段階を考慮して各学年の指導に当たっては,次のような点に配慮するものとする。
(ア) 第1学年における言語活動 小学校における外国語活動を通じて音声面を中心としたコミュニケーションに対する積極的な態度などの一定の素地が育成されることを踏まえ,身近な言語の使用場面や言語の働きに配慮した言語活動を行わせること。その際,自分の気持ちや身の回りの出来事などの中から簡...
(イ) 第2学年における言語活動 第1学年の学習を基礎として,言語の使用場面や言語の働きを更に広げた言語活動を行わせること。その際,第1学年における学習内容を繰り返して指導し定着を図るとともに,事実関係を伝えたり,物事について判断したりした内容などの中からコミュニケーションを図れる...
(ウ) 第3学年における言語活動 第2学年までの学習を基礎として,言語の使用場面や言語の働きを一層広げた言語活動を行わせること。その際,第1学年及び第2学年における学習内容を繰り返して指導し定着を図るとともに,様々な考えや意見などの中からコミュニケーションが図れるような話題を取り上...
(3) 言語材料 (1)の言語活動は,以下に示す言語材料の中から,1の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。
ア 音声
(ア) 現代の標準的な発音
(イ) 語と語の連結による音変化
(ウ) 語,句,文における基本的な強勢
(エ) 文における基本的なイントネーション
(オ) 文における基本的な区切り
イ 文字及び符号
(ア) アルファベットの活字体の大文字及び小文字
(イ) 終止符,疑問符,コンマ,引用符,感嘆符など基本的な符号
ウ 語,連語及び慣用表現
(ア) 1200語程度の語
(イ) in front of,a lot of,get up,look for などの連語
(ウ) excuse me,I see,I'm sorry,thank you,you're welcome,for exampleなどの慣用表現
エ 文法事項
(ア) 文
a 単文,重文及び複文
b 肯定及び否定の平叙文
c 肯定及び否定の命令文
d 疑問文のうち,動詞で始まるもの,助動詞(can,do,mayなど)で始まるもの,orを含むもの及び疑問詞(how,what,when,where,which,who,whose,why)で始まるもの
(イ) 文構造
a [主語+動詞]
b [主語+動詞+補語]のうち,
(a) 主語+be動詞+{名詞‖代名詞‖形容詞}
(b) 主語+be動詞以外の動詞+{名詞‖形容詞}
c [主語+動詞+目的語]のうち,
(a) 主語+動詞+{名詞‖代名詞‖動名詞‖to不定詞‖how(など)to不定詞‖thatで始まる節}
(b) 主語+動詞+whatなどで始まる節
d [主語+動詞+間接目的語+直接目的語]のうち,
(a) 主語+動詞+間接目的語+{名詞‖代名詞}
(b) 主語+動詞+間接目的語+how(など)to不定詞
e [主語+動詞+目的語+補語]のうち,
(a) 主語+動詞+目的語+{名詞‖形容詞}
f その他
(a) There+be動詞+~
(b) It+be動詞+~(+for~)+to不定詞
(c) 主語+tell,wantなど+目的語+to不定詞
(ウ) 代名詞
a 人称,指示,疑問,数量を表すもの
b 関係代名詞のうち,主格のthat,which,who及び目的格のthat,whichの制限的用法
(エ) 動詞の時制など 現在形,過去形,現在進行形,過去進行形,現在完了形及び助動詞などを用いた未来表現
(オ) 形容詞及び副詞の比較変化
(カ) to不定詞
(キ) 動名詞
(ク) 現在分詞及び過去分詞の形容詞としての用法
(ケ) 受け身
(4) 言語材料の取扱い
ア 発音と綴《つづ》りとを関連付けて指導すること。
イ 文法については,コミュニケーションを支えるものであることを踏まえ,言語活動と効果的に関連付けて指導すること。
ウ (3)のエの文法事項の取扱いについては,用語や用法の区別などの指導が中心とならないよう配慮し,実際に活用できるように指導すること。また,語順や修飾関係などにおける日本語との違いに留意して指導すること。
エ 英語の特質を理解させるために,関連のある文法事項はまとまりをもって整理するなど,効果的な指導ができるよう工夫すること。
3 指導計画の作成と内容の取扱い
(1) 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 各学校においては,生徒や地域の実態に応じて,学年ごとの目標を適切に定め,3学年間を通して英語の目標の実現を図るようにすること。
イ 2の(3)の言語材料については,学習段階に応じて平易なものから難しいものへと段階的に指導すること。
ウ 音声指導に当たっては,日本語との違いに留意しながら,発音練習などを通して2の(3)のアに示された言語材料を継続して指導すること。 また,音声指導の補助として,必要に応じて発音表記を用いて指導することもできること。
エ 文字指導に当たっては,生徒の学習負担に配慮し筆記体を指導することもできること。
オ 語,連語及び慣用表現については,運用度の高いものを用い,活用することを通して定着を図るようにすること。
カ 辞書の使い方に慣れ,活用できるようにすること。
キ 生徒の実態や教材の内容などに応じて,コンピュータや情報通信ネットワーク,教育機器などを有効活用したり,ネイティブ・スピーカーなどの協力を得たりなどすること。 また,ペアワーク,グループワークなどの学習形態を適宜工夫すること。
(2) 教材は,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどのコミュニケーション能力を総合的に育成するため,実際の言語の使用場面や言語の働きに十分配慮したものを取り上げるものとする。その際,英語を使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史,...
ア 多様なものの見方や考え方を理解し,公正な判断力を養い豊かな心情を育てるのに役立つこと。
イ 外国や我が国の生活や文化についての理解を深めるとともに,言語や文化に対する関心を高め,これらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ウ 広い視野から国際理解を深め,国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
その他の外国語 その他の外国語については,英語の目標及び内容等に準じて行うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 小学校における外国語活動との関連に留意して,指導計画を適切に作成するものとする。
2 外国語科においては,英語を履修させることを原則とする。
3 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,外国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
第3章 特別の教科 道徳
第1 目標  第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意...
第2 内容  学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては,以下に示す項目について扱う。
A 主として自分自身に関すること
[自主,自律,自由と責任]  自律の精神を重んじ,自主的に考え,判断し,誠実に実行してその結果に責任をもつこと。
[節度,節制]  望ましい生活習慣を身に付け,心身の健康の増進を図り,節度を守り節制に心掛け,安全で調和のある生活をすること。
[向上心,個性の伸長]  自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
[希望と勇気,克己と強い意志]  より高い目標を設定し,その達成を目指し,希望と勇気をもち,困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
[真理の探究,創造]  真実を大切にし,真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。
B 主として人との関わりに関すること
[思いやり,感謝]  思いやりの心をもって人と接するとともに,家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んでそれに応え,人間愛の精神を深めること。
[礼儀]  礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとること。
[友情,信頼]  友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合うとともに,異性についての理解を深め,悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
[相互理解,寛容]  自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解し,寛容の心をもって謙虚に他に学び,自らを高めていくこと。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
[遵法精神,公徳心]  法やきまりの意義を理解し,それらを進んで守るとともに,そのよりよい在り方について考え,自他の権利を大切にし,義務を果たして,規律ある安定した社会の実現に努めること。
[公正,公平,社会正義]  正義と公正さを重んじ,誰に対しても公平に接し,差別や偏見のない社会の実現に努めること。
[社会参画,公共の精神]  社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め,公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。
[勤労]  勤労の尊さや意義を理解し,将来の生き方について考えを深め,勤労を通じて社会に貢献すること。
[家族愛,家庭生活の充実]  父母,祖父母を敬愛し,家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。
[よりよい学校生活,集団生活の充実]  教師や学校の人々を敬愛し,学級や学校の一員としての自覚をもち,協力し合ってよりよい校風をつくるとともに,様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。
[郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛する態度]  郷土の伝統と文化を大切にし,社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め,地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し,進んで郷土の発展に努めること。
[我が国の伝統と文化の尊重,国を愛する態度]  優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに,日本人としての自覚をもって国を愛し,国家及び社会の形成者として,その発展に努めること。
[国際理解,国際貢献]  世界の中の日本人としての自覚をもち,他国を尊重し,国際的視野に立って,世界の平和と人類の発展に寄与すること。
D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
[生命の尊さ]  生命の尊さについて,その連続性や有限性なども含めて理解し,かけがえのない生命を尊重すること。
[自然愛護]  自然の崇高さを知り,自然環境を大切にすることの意義を理解し,進んで自然の愛護に努めること。
[感動,畏敬の念]  美しいものや気高いものに感動する心をもち,人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。
[よりよく生きる喜び]  人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生きようとする心があることを理解し,人間として生きることに喜びを見いだすこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 各学校においては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら,道徳科の年間指導計画を作成するものとする。なお,作成に当たっては,第2に示す内容項目について,各学年において全て取り上げることとする。その際,生徒や学校の実態に応じ,3学...
2 第2の内容の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学級担任の教師が行うことを原則とするが,校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2) 道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう,計画的・発展的な指導を行うこと。特に,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや,生徒や学校の実態等を踏まえて...
(3) 生徒が自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。その際,道徳性を養うことの意義について,生徒自らが考え,理解し,主体的に学習に取り組むことができるようにすること。また,発達の段階を考慮し,人間と...
(4) 生徒が多様な感じ方や考え方に接する中で,考えを深め,判断し,表現する力などを育むことができるよう,自分の考えを基に討論したり書いたりするなどの言語活動を充実すること。その際,様々な価値観について多面的・多角的な視点から振り返って考える機会を設けるとともに,生徒が多様な見方や...
(5) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,指導のねらいに即して,問題解決的な学習,道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど,指導方法を工夫すること。その際,それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また,特別活動等における多様な...
(6) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連を踏まえつつ,情報モラルに関する指導を充実すること。また,例えば,科学技術の発展と生命倫理との関係や社会の持続可能な発展などの現代的な課題の取扱いにも留意し,身近な社会的課題を自分との関係において考え,その解決に向けて...
(7) 道徳科の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々,各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 生徒の発達の段階や特性,地域の実情等を考慮し,多様な教材の活用に努めること。特に,生命の尊厳,社会参画,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし,生徒が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり, 感動を覚えたりするような充実した教...
(2) 教材については,教育基本法や学校教育法その他の法令に従い,次の観点に照らし適切と判断されるものであること
ア 生徒の発達の段階に即し,ねらいを達成するのにふさわしいものであること。
イ 人間尊重の精神にかなうものであって,悩みや葛藤等の心の揺れ,人間関係の理解等の課題も含め,生徒が深く考えることができ,人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること。
ウ 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には,特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること。
4 生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとする。
第4章 総合的な学習の時間
第1 目標  横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考える...
第2 各学校において定める目標及び内容
1 目標  各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。
2 内容  各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。その際,小学校における総合的な学習の時間の取組を踏まえること。
(2) 地域や学校,生徒の実態等に応じて,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習,探究的な学習,生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うこと。
(3) 第2の各学校において定める目標及び内容については,日常生活や社会とのかかわりを重視すること。
(4) 育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
(5) 学習活動については,学校の実態に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,生徒の興味・関心に基づく課題についての学習活動,地域や学校の特色に応じた課題についての学習活動,職業や自己の将来に関する学習活動などを行うこと。
(6) 各教科,道徳科及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
(7) 各教科,道徳科及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(8) 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めること。
(9) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら, 第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学校において定める目標及び内容に基づき,生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。
(2) 問題の解決や探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。
(3) 自然体験や職場体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。
(4) 体験活動については,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえ,問題の解決や探究活動の過程に適切に位置付けること。
(5) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。
(6) 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
(7) 職業や自己の将来に関する学習を行う際には,問題の解決や探究活動に取り組むことを通して,自己を理解し,将来の生き方を考えるなどの学習活動が行われるようにすること。
第5章 特別活動
第1 目標  望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,人間としての生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う。
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
〔学級活動〕
1 目標  学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。
2 内容  学級を単位として,学級や学校の生活の充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応に資する活動を行うこと。
(1) 学級や学校の生活づくり
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決
イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理
ウ 学校における多様な集団の生活の向上
(2) 適応と成長及び健康安全
ア 思春期の不安や悩みとその解決
イ 自己及び他者の個性の理解と尊重
ウ 社会の一員としての自覚と責任
エ 男女相互の理解と協力
オ 望ましい人間関係の確立
カ ボランティア活動の意義の理解と参加
キ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成
ク 性的な発達への適応
ケ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
(3) 学業と進路
ア 学ぶことと働くことの意義の理解
イ 自主的な学習態度の形成と学校図書館の利用
ウ 進路適性の吟味と進路情報の活用
エ 望ましい勤労観・職業観の形成
オ 主体的な進路の選択と将来設計
〔生徒会活動〕
1 目標  生徒会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団や社会の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容  学校の全生徒をもって組織する生徒会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。
(1) 生徒会の計画や運営
(2) 異年齢集団による交流
(3) 生徒の諸活動についての連絡調整
(4) 学校行事への協力
(5) ボランティア活動などの社会参加
〔学校行事〕
1 目標  学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容  全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
(1) 儀式的行事 学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。
(2)文化的行事 平素の学習活動の成果を発表し,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。
(3) 健康安全・体育的行事 心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵(かん)養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
(4) 旅行・集団宿泊的行事 平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。
(5) 勤労生産・奉仕的行事 勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,職場体験などの職業や進路にかかわる啓発的な体験が得られるようにするとともに,共に助け合って生きることの喜びを体得し,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達の段階などを考慮し,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳科及び総合的な学習の時間などの指導との関連を図るととも...
(2) 生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を密にし,適切に実施できるようにすること。
(3) 学校生活への適応や人間関係の形成,進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を充実するよう〔学級活動〕等の指導を工夫すること。特に,中学校入学当初においては,個々の生徒が学校生活に適応するとともに,希望と目標をもって生活をできるよう工夫すること。
(4) 第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 〔学級活動〕及び〔生徒会活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,生徒の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるなどの話合い活動や...
(2) 〔学級活動〕については,学校,生徒の実態及び第1章総則の第4の3の(2)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。また,個々の生徒についての理...
(3) 〔学校行事〕については,学校や地域及び生徒の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体験などの体験活動を充実すると...
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
第1章 総則
第1款 教育課程編成の一般方針
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態,課程や学科の特色,生徒の心身の発達の段階及び特性等を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成する...
2 学校における道徳教育は,生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達の段階にあることを考慮し人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより,その充実を図るものとし,各教科に属する科目,総合的な学習の時間及び特別...
3 学校における体育・健康に関する指導は,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科はもとより,家庭科,特別活動など...
4 学校においては,地域や学校の実態等に応じて,就業やボランティアにかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし,勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神の涵《かん》養に資するものとする。
第2款 各教科・科目及び単位数等
1 卒業までに履修させる単位数等  各学校においては,卒業までに履修させる下記2から5までに示す各教科に属する科目及びその単位数,総合的な学習の時間の単位数並びに特別活動及びその授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)及び...
2 各学科に共通する各教科・科目及び総合的な学習の時間並びに標準単位数  各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる各教科・科目及び総合的な学習の時間並びにそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及び総合的な学習の時間並びにそれらの単位数について適...
【摘要】教科等(科目:標準単位数) 国語(国語総合:4,国語表現:3,現代文A:2,現代文B:4,古典A:2,古典B:4) 地理歴史(世界史A:2,世界史B:4,日本史A:2,日本史B:4,地理A:2,地理B:4) 公民(現代社会:2,倫理:2,政治・経済:2) 数学(数学Ⅰ:3,...
3 主として専門学科において開設される各教科・科目  各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる主として専門学科(専門教育を主とする学科をいう。以下同じ。)において開設される各教科・科目及び設置者の定めるそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及び...
農業(農業と環境,課題研究,総合実習,農業情報処理,作物,野菜,果樹,草花,畜産,農業経営,農業機械,食品製造,食品化学,微生物利用,植物バイオテクノロジー,動物バイオテクノロジー,農業経済,食品流通,森林科学,森林経営,林産物利用,農業土木設計,農業土木施工,水循環,造園計画,造...
工業(工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業数理基礎,情報技術基礎,材料技術基礎,生産システム技術,工業技術英語,工業管理技術,環境工学基礎,機械工作,機械設計,原動機,電子機械,電子機械応用,自動車工学,自動車整備,電気基礎,電気機器,電力技術,電子技術,電子回路,電子計測制御...
商業(ビジネス基礎,課題研究,総合実践,ビジネス実務,マーケティング,商品開発,広告販売促進,ビジネス経済,ビジネス経済応用,経済活動と法,簿記,財務会計Ⅰ,財務会計Ⅱ,原価計算,管理会計,情報処理,ビジネス情報,電子商取引,プログラミング,ビジネス情報管理)
水産(水産海洋基礎,課題研究,総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作,電気理論,移動体通信工学,海洋通信技術,資源増殖,海洋生物,海洋環境,小型船舶,食品製造,食品管理,水産流通,ダイビング,マリンスポーツ)
家庭(生活産業基礎,課題研究,生活産業情報,消費生活,子どもの発達と保育,子ども文化,生活と福祉,リビングデザイン,服飾文化,ファッション造形基礎,ファッション造形,ファッションデザイン,服飾手芸,フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品,食品衛生,公衆衛生)
看護(基礎看護,人体と看護,疾病と看護,生活と看護,成人看護,老年看護,精神看護,在宅看護,母性看護,小児看護,看護の統合と実践,看護臨地実習,看護情報活用)
情報(情報産業と社会,課題研究,情報の表現と管理,情報と問題解決,情報テクノロジー,アルゴリズムとプログラム,ネットワークシステム,データベース,情報システム実習,情報メディア,情報デザイン,表現メディアの編集と表現,情報コンテンツ実習)
福祉(社会福祉基礎,介護福祉基礎,コミュニケーション技術,生活支援技術,介護過程,介護総合演習,介護実習,こころとからだの理解,福祉情報活用)
理数(理数数学Ⅰ,理数数学Ⅱ,理数数学特論,理数物理,理数化学,理数生物,理数地学,課題研究)
体育(スポーツ概論,スポーツⅠ,スポーツⅡ,スポーツⅢ,スポーツⅣ,スポーツⅤ,スポーツⅥ,スポーツ総合演習)
音楽(音楽理論,音楽史,演奏研究,ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,鑑賞研究)
美術(美術概論,美術史,素描,構成,絵画,版画,彫刻,ビジュアルデザイン,クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環境造形,鑑賞研究)
英語(総合英語,英語理解,英語表現,異文化理解,時事英語)
4 学校設定科目  学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科について,これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」という。)を設けることができる。この場合において,学校設定科目の名称,目標,...
5 学校設定教科
(1) 学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科以外の教科(以下「学校設定教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において,学校設定教科及び当該教科に関する科目の名称...
(2) 学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標,内容,単位数等を各学校において定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとと...
ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観,職業観の育成
イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成
第3款 各教科・科目の履修等
1 各学科に共通する必履修教科・科目及び総合的な学習の時間
(1) すべての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,第2款の2に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,「国語総合」については3単位又は2...
ア 国語のうち「国語総合」
イ 地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」,「日本史B」,「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
ウ 公民のうち「現代社会」又は「倫理」・「政治・経済」
エ 数学のうち「数学Ⅰ」
オ 理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目(うち1科目は「科学と人間生活」とする。)又は「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから3科目
カ 保健体育のうち「体育」及び「保健」
キ 芸術のうち「音楽Ⅰ」,「美術Ⅰ」,「工芸Ⅰ」及び「書道Ⅰ」のうちから1科目
ク 外国語のうち「コミュニケーション英語Ⅰ」(英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。)
ケ 家庭のうち「家庭基礎」,「家庭総合」及び「生活デザイン」のうちから1科目
コ 情報のうち「社会と情報」及び「情報の科学」のうちから1科目
(2) 総合的な学習の時間については,すべての生徒に履修させるものとし,その単位数は,第2款の2に標準単位数として示された単位数の下限を下らないものとする。ただし,特に必要がある場合には,その単位数を2単位とすることができる。
2 専門学科における各教科・科目の履修  専門学科における各教科・科目の履修については,上記1のほか次のとおりとする。
(1) 専門学科においては,専門教科・科目(第2款の3の表に掲げる各教科・科目,同表の教科に属する学校設定科目及び専門教育に関する学校設定教科に関する科目をいう。以下同じ。)について,すべての生徒に履修させる単位数は,25単位を下らないこと。ただし,商業に関する学科においては,上記...
(2) 専門教科・科目の履修によって,上記1の必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目の履修をもって,必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。
(3) 職業教育を主とする専門学科においては,総合的な学習の時間の履修により,農業,工業,商業,水産,家庭若しくは情報の各教科に属する「課題研究」,「看護臨地実習」又は「介護総合演習」(以下この項において「課題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な...
3 総合学科における各教科・科目の履修等  総合学科における各教科・科目の履修等については,上記1のほか次のとおりとする。
(1) 総合学科においては,第2款の5の(2)に掲げる「産業社会と人間」をすべての生徒に原則として入学年次に履修させるものとし,標準単位数は2~4単位とすること。
(2) 総合学科においては,学年による教育課程の区分を設けない課程(以下「単位制による課程」という。)とすることを原則とするとともに,「産業社会と人間」及び専門教科・科目を合わせて25単位以上設け,生徒が多様な各教科・科目から主体的に選択履修できるようにすること。その際,生徒が選択...
第4款 各教科・科目,総合的な学習の時間及び特別活動の授業時数等
1 全日制の課程における各教科・科目及びホームルーム活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科・科目の授業を特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。)に行うことができる。
2 全日制の課程における週当たりの授業時数は,30単位時間を標準とする。ただし,必要がある場合には,これを増加することができる。
3 定時制の課程における授業日数の季節的配分又は週若しくは1日当たりの授業時数については,生徒の勤労状況と地域の諸事情等を考慮して,適切に定めるものとする。
4 ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間以上とするものとする。
5 生徒会活動及び学校行事については,学校の実態に応じて,それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。
6 定時制の課程において,特別の事情がある場合には,ホームルーム活動の授業時数の一部を減じ,又はホームルーム活動及び生徒会活動の内容の一部を行わないものとすることができる。
7 各教科・科目,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科・科目等」という。)のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科・科目等の授業時数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。なお,10分間程度の短い時間を単位として特定の...
8 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第5款 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項
1 選択履修の趣旨を生かした適切な教育課程編成  教育課程の編成に当たっては,生徒の特性,進路等に応じた適切な各教科・科目の履修ができるようにし,このため,多様な各教科・科目を設け生徒が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また,教育課程の類型を設け,そのいずれかの...
2 各教科・科目等の内容等の取扱い
(1) 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において必要がある場合には,こ...
(2) 第2章以下に示す各教科・科目及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
(3) 学校においては,あらかじめ計画して,各教科・科目の内容及び総合的な学習の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して指導することができる。
(4) 学校においては,特に必要がある場合には,第2章及び第3章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で,各教科・科目の内容に関する事項について,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。
3 指導計画の作成に当たって配慮すべき事項  各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科・科目等について相互の関連を図り,発展的,系統的な指導ができるようにすること。
(2) 各教科・科目の指導内容については,各事項のまとめ方及び重点の置き方に適切な工夫を加えて,効果的な指導ができるようにすること。
(3) 学校や生徒の実態等に応じ,必要がある場合には,例えば次のような工夫を行い,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るようにすること。
ア 各教科・科目の指導に当たり,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けること。
イ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図りながら,必履修教科・科目の内容を十分に習得させることができるよう,その単位数を標準単位数の標準の限度を超えて増加して配当すること。
ウ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることを目標とした学校設定科目等を履修させた後に,必履修教科・科目を履修させるようにすること。
(4) 全教師が協力して道徳教育を展開するため,第1款の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,指導の方針や重点を明確にして,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について,その全体計画を作成すること。
4 職業教育に関して配慮すべき事項
(1) 普通科においては,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,必要に応じて,適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。
(2) 職業教育を主とする専門学科においては,次の事項に配慮するものとする。
ア 職業に関する各教科・科目については,実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。
イ 生徒の実態を考慮し,職業に関する各教科・科目の履修を容易にするため特別な配慮が必要な場合には,各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し,その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように取り扱い,また,主として実験・実習によって指導するなどの工夫をこらすよ...
(3) 学校においては,キャリア教育を推進するために,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,地域や産業界等との連携を図り,産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験の機会を積極的に設けるとともに,地域や産業界等の人々の協力を積極的に得るよう配慮するものとする。...
(4) 職業に関する各教科・科目については,次の事項に配慮するものとする。
ア 職業に関する各教科・科目については,就業体験をもって実習に替えることができること。この場合,就業体験は,その各教科・科目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画されるものであることを要すること。
イ 農業,水産及び家庭に関する各教科・科目の指導に当たっては,ホームプロジェクト並びに学校家庭クラブ及び学校農業クラブなどの活動を活用して,学習の効果を上げるよう留意すること。この場合,ホームプロジェクトについては,その各教科・科目の授業時数の10分の2以内をこれに充てることができ...
ウ 定時制及び通信制の課程において,職業に関する各教科・科目を履修する生徒が,現にその各教科・科目と密接な関係を有する職業(家事を含む。)に従事している場合で,その職業における実務等が,その各教科・科目の一部を履修した場合と同様の成果があると認められるときは,その実務等をもってその...
5 教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項  以上のほか,次の事項について配慮するものとする。
(1) 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒の思考力,判断力,表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め,言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え,生徒の言語活動を充実すること。
(2) 学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸長を図ること。また,生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,ガイダンスの機能の...
(3) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め,生徒が主体的に判断,行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう,生徒指導の充実を図ること。
(4) 生徒が自己の在り方生き方を考え,主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行い,キャリア教育を推進すること。
(5) 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること。
(6) 各教科・科目等の指導に当たっては,教師間の連携協力を密にするなど指導体制を確立するとともに,学校や生徒の実態に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,教師間の協力的な指導,生徒の学習内容の習熟の程度等に応じた弾力的な学級の編成など指導方法や指導体制を工夫改善し,個に応...
(7) 学習の遅れがちな生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い,生徒の実態に応じ,例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど,指導内容や指導方法を工夫すること。
(8) 障害のある生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行うとともに,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉,労働等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどによ...
(9) 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなど適切な指導を行うこと。
(10) 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ実践的,主体的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。...
(11) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(12) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(13) 生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵《かん》養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,地域や学校の実態に応じ,地域の人々の協...
(14) 学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,高等学校間や中学校,特別支援学校及び大学などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒などとの交流及び共同学習や高齢者などとの交...
第6款 単位の修得及び卒業の認定
1 各教科・科目及び総合的な学習の時間の単位の修得の認定
(1) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(2) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な学習の時間を履修し,その成果が第4章に定める目標からみて満足できると認められる場合には,総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(3) 学校においては,生徒が1科目又は総合的な学習の時間を2以上の年次にわたって分割履修したときは,各年次ごとにその各教科・科目又は総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定することを原則とする。また,単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。
2 卒業までに修得させる単位数  学校においては,卒業までに修得させる単位数を定め,校長は,当該単位数を修得した者で,特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて,高等学校の全課程の修了を認定するものとする。この場合,卒業までに修得させる単位数は,74単位以上...
3 各学年の課程の修了の認定  学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする。
第7款 通信制の課程における教育課程の特例  通信制の課程における教育課程については,第1款から第6款まで(第4款,第5款の1並びに第5款の4の(4)のア及びイを除く。)に定めるところによるほか,次に定めるところによる。
1 各教科・科目の添削指導の回数及び面接指導の単位時間(1単位時間は,50分として計算するものとする。以下同じ。)数の標準は,1単位につき次の表のとおりとするほか,学校設定教科に関する科目のうち専門教科・科目以外のものについては,各学校が定めるものとする。
国語,地理歴史,公民及び数学に属する科目(添削指導3回,面接指導1(単位時間)) 理科に属する科目(添削指導3回,面接指導4(単位時間)) 保健体育に属する科目のうち「体育」(添削指導1回,面接指導5(単位時間)) 保健体育に属する科目のうち「保健」(添削指導3回,面接指導1(単位...
2 総合的な学習の時間の添削指導の回数及び面接指導の単位時間数については,各学校において,学習活動に応じ適切に定めるものとする。
3 面接指導の授業の1単位時間は,各学校において,各教科・科目の面接指導の単位時間数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。
4 学校が,その指導計画に,各教科・科目又は特別活動について計画的かつ継続的に行われるラジオ放送,テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習を取り入れた場合で,生徒がこれらの方法により学習し,報告課題の作成等により,その成果が満足できると認められるときは,その生徒について,...
5 特別活動については,ホームルーム活動を含めて,各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導するものとする。なお,特別の事情がある場合には,ホームルーム活動及び生徒会活動の内容の一部を行わないものとすることができる。
第2章 各学科に共通する各教科
第1節 国語
第1款 目標  国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を深め,国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 国語総合
1 目標  国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を深め,国語を尊重してその向上を図る態度を育てる。
2 内容
A 話すこと・聞くこと
(1) 次の事項について指導する。
ア 話題について様々な角度から検討して自分の考えをもち,根拠を明確にするなど論理の構成や展開を工夫して意見を述べること。
イ 目的や場に応じて,効果的に話したり的確に聞き取ったりすること。
ウ 課題を解決したり考えを深めたりするために,相手の立場や考えを尊重し,表現の仕方や進行の仕方などを工夫して話し合うこと。
エ 話したり聞いたり話し合ったりしたことの内容や表現の仕方について自己評価や相互評価を行い,自分の話し方や言葉遣いに役立てるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 状況に応じた話題を選んでスピーチしたり,資料に基づいて説明したりすること。
イ 調査したことなどをまとめて報告や発表をしたり,内容や表現の仕方を吟味しながらそれらを聞いたりすること。
ウ 反論を想定して発言したり疑問点を質問したりしながら,課題に応じた話合いや討論などを行うこと。
B 書くこと
(1) 次の事項について指導する。
ア 相手や目的に応じて題材を選び,文章の形態や文体,語句などを工夫して書くこと。
イ 論理の構成や展開を工夫し,論拠に基づいて自分の考えを文章にまとめること。
ウ 対象を的確に説明したり描写したりするなど,適切な表現の仕方を考えて書くこと。
エ 優れた表現に接してその条件を考えたり,書いた文章について自己評価や相互評価を行ったりして,自分の表現に役立てるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 情景や心情の描写を取り入れて,詩歌をつくったり随筆などを書いたりすること。
イ 出典を明示して文章や図表などを引用し,説明や意見などを書くこと。
ウ 相手や目的に応じた語句を用い,手紙や通知などを書くこと。
C 読むこと
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章の内容や形態に応じた表現の特色に注意して読むこと。
イ 文章の内容を叙述に即して的確に読み取ったり,必要に応じて要約や詳述をしたりすること。
ウ 文章に描かれた人物,情景,心情などを表現に即して読み味わうこと。
エ 文章の構成や展開を確かめ,内容や表現の仕方について評価したり,書き手の意図をとらえたりすること。
オ 幅広く本や文章を読み,情報を得て用いたり,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにしたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 文章を読んで脚本にしたり,古典を現代の物語に書き換えたりすること。
イ 文字,音声,画像などのメディアによって表現された情報を,課題に応じて読み取り,取捨選択してまとめること。
ウ 現代の社会生活で必要とされている実用的な文章を読んで内容を理解し,自分の考えをもって話し合うこと。
エ 様々な文章を読み比べ,内容や表現の仕方について,感想を述べたり批評する文章を書いたりすること。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) 「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」の指導を通して,次の事項について指導する。
ア 伝統的な言語文化に関する事項
(ア) 言語文化の特質や我が国の文化と外国の文化との関係について気付き,伝統的な言語文化への興味・関心を広げること。
(イ) 文語のきまり,訓読のきまりなどを理解すること。
イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(ア) 国語における言葉の成り立ち,表現の特色及び言語の役割などを理解すること。
(イ) 文や文章の組立て,語句の意味,用法及び表記の仕方などを理解し,語彙《い》を豊かにすること。
ウ 漢字に関する事項
(ア) 常用漢字の読みに慣れ,主な常用漢字が書けるようになること。
3 内容の取扱い
(1) 総合的な言語能力を養うため,内容のA,B,C及び〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕について相互に密接な関連を図り,効果的に指導するようにする。
(2) 内容のAに関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 話すこと・聞くことを主とする指導には15~25単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
イ 口語のきまり,言葉遣い,敬語の用法などについて,必要に応じて扱うこと。
(3) 内容のBに関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 書くことを主とする指導には30~40単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
(4) 内容のCに関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 古典を教材とした授業時数と近代以降の文章を教材とした授業時数との割合は,おおむね同等とすることを目安として,生徒の実態に応じて適切に定めること。なお,古典における古文と漢文との割合は,一方に偏らないようにすること。
イ 文章を読み深めるため,音読,朗読,暗唱などを取り入れること。
ウ 自分の読書生活を振り返り,読書の幅を広げ,読書の習慣を養うこと。
(5) 内容の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕については,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校の指導の上に立って,内容のA,B及びCの指導の中で深めること。
イ (1)のアの(イ)については,読むことの指導に即して行うこと。
(6) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,話すこと・聞くことの能力,書くことの能力,読むことの能力などを偏りなく養うことや読書に親しむ態度の育成をねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,内容のA,B及びCのそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材...
イ 古典の教材については,表記を工夫し,注釈,傍注,解説,現代語訳などを適切に用い,特に漢文については訓点を付け,必要に応じて書き下し文を用いるなど理解しやすいようにすること。また,古典に関連する近代以降の文章を含めること。
ウ 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
(ア) 言語文化に対する関心や理解を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
(イ) 日常の言葉遣いなど言語生活に関心をもち,伝え合う力を高めるのに役立つこと。
(ウ) 思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨くのに役立つこと。
(エ) 情報を活用して,公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
(オ) 科学的,論理的な見方や考え方を養い,視野を広げるのに役立つこと。
(カ) 生活や人生について考えを深め,人間性を豊かにし,たくましく生きる意志を培うのに役立つこと。
(キ) 人間,社会,自然などに広く目を向け,考えを深めるのに役立つこと。
(ク) 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
(ケ) 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を高めるのに役立つこと。
第2 国語表現
1 目標  国語で適切かつ効果的に表現する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を伸ばし,言語感覚を磨き,進んで表現することによって国語の向上や社会生活の充実を図る態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 話題や題材に応じて情報を収集し,分析して,自分の考えをまとめたり深めたりすること。
イ 相手の立場や異なる考えを尊重して課題を解決するために,論拠の妥当性を判断しながら話し合うこと。
ウ 主張や感動などが効果的に伝わるように,論理の構成や描写の仕方などを工夫して書くこと。
エ 目的や場に応じて,言葉遣いや文体など表現を工夫して効果的に話したり書いたりすること。
オ 様々な表現についてその効果を吟味したり,書いた文章を互いに読み合って批評したりして,自分の表現や推敲《こう》に役立てるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
カ 国語における言葉の成り立ち,表現の特色及び言語の役割などについて理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 様々な考え方ができる事柄について,幅広い情報を基に自分の考えをまとめ,発表したり討論したりすること。
イ 詩歌をつくったり小説などを書いたり,鑑賞したことをまとめたりすること。
ウ 関心をもった事柄について調査したことを整理して,解説や論文などにまとめること。
エ 相手や目的に応じて,紹介,連絡,依頼などのための話をしたり文章を書いたりすること。
オ 話題や題材などについて調べてまとめたことや考えたことを伝えるための資料を,図表や画像なども用いて編集すること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の実態等に応じて,話すこと・聞くこと又は書くことのいずれかに重点を置いて指導することができる。
(2) 内容の(1)のエについては,発声や発音の仕方,話す速度,文章の形式なども必要に応じて扱うようにする。
(3) 内容の(1)のカについては,文や文章,語句,語彙《い》及び文語の表現法なども必要に応じて関連的に扱うようにする。また,現代社会における言語生活の在り方について考えさせるようにする。
(4) 教材は,思考力や想像力を伸ばす学習活動に役立つもの,情報を活用して表現する学習活動に役立つもの,歴史的,国際的な視野から現代の国語を考える学習活動に役立つものを取り上げるようにする。
第3 現代文A
1 目標  近代以降の様々な文章を読むことによって,我が国の言語文化に対する理解を深め,生涯にわたって読書に親しみ,国語の向上や社会生活の充実を図る態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章に表れたものの見方,感じ方,考え方を読み取り,人間,社会,自然などについて考察すること。
イ 文章特有の表現を味わったり,語句の用いられ方について理解を深めたりすること。
ウ 文章を読んで,言語文化の特質や我が国の文化と外国の文化との関係について理解すること。
エ 近代以降の言語文化についての課題を設定し,様々な資料を読んで探究して,言語文化について理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 文章の調子などを味わいながら音読や朗読をしたり,印象に残った内容や場面について文章中の表現を根拠にして説明したりすること。
イ 外国の文化との関係なども視野に入れて,文章の内容や表現の特色を調べ,発表したり論文にまとめたりすること。
ウ 図書館を利用して同じ作者や同じテーマの文章を読み比べ,それについて話し合ったり批評したりすること。
3 内容の取扱い
(1) 文章を読む楽しさを味わったり,近代以降の言語文化に触れることの意義を理解したりすることを重視し,読書への関心を高め,読書の習慣を付けるようにする。
(2) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,特定の文章や作品,文種や形態などについて,まとまりのあるものを中心として適切に取り上げること。
イ 教材は,近代以降の様々な種類の文章とすること。また,必要に応じて実用的な文章,翻訳の文章,近代以降の文語文及び演劇や映画の作品などを用いることができること。
第4 現代文B
1 目標  近代以降の様々な文章を的確に理解し,適切に表現する能力を高めるとともに,ものの見方,感じ方,考え方を深め,進んで読書することによって,国語の向上を図り人生を豊かにする態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 文章を読んで,構成,展開,要旨などを的確にとらえ,その論理性を評価すること。
イ 文章を読んで,書き手の意図や,人物,情景,心情の描写などを的確にとらえ,表現を味わうこと。
ウ 文章を読んで批評することを通して,人間,社会,自然などについて自分の考えを深めたり発展させたりすること。
エ 目的や課題に応じて,収集した様々な情報を分析,整理して資料を作成し,自分の考えを効果的に表現すること。
オ 語句の意味,用法を的確に理解し,語彙《い》を豊かにするとともに,文体や修辞などの表現上の特色をとらえ,自分の表現や推敲《こう》に役立てること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 文学的な文章を読んで,人物の生き方やその表現の仕方などについて話し合うこと。
イ 論理的な文章を読んで,書き手の考えやその展開の仕方などについて意見を書くこと。
ウ 伝えたい情報を表現するためのメディアとしての文字,音声,画像などの特色をとらえて,目的に応じた表現の仕方を考えたり創作的な活動を行ったりすること。
エ 文章を読んで関心をもった事柄などについて課題を設定し,様々な資料を調べ,その成果をまとめて発表したり報告書や論文集などに編集したりすること。
3 内容の取扱い
(1) 総合的な言語能力を養うため,話すこと・聞くこと,書くこと及び読むことについて相互に密接な関連を図り,効果的に指導するようにする。
(2) 生徒の読書意欲を喚起し,読書の幅を一層広げ,文字・活字文化に対する理解が深まるようにする。
(3) 近代以降の文章や文学の変遷について,必要に応じて扱うようにする。
(4) 教材は,近代以降の様々な種類の文章とする。その際,現代の社会生活で必要とされている実用的な文章を含めるものとする。また,必要に応じて翻訳の文章や近代以降の文語文などを用いることができる。
第5 古典A
1 目標  古典としての古文と漢文,古典に関連する文章を読むことによって,我が国の伝統と文化に対する理解を深め,生涯にわたって古典に親しむ態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 古典などに表れた思想や感情を読み取り,人間,社会,自然などについて考察すること。
イ 古典特有の表現を味わったり,古典の言葉と現代の言葉とのつながりについて理解したりすること。
ウ 古典などを読んで,言語文化の特質や我が国の文化と中国の文化との関係について理解すること。
エ 伝統的な言語文化についての課題を設定し,様々な資料を読んで探究して,我が国の伝統と文化について理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 古文や漢文の調子などを味わいながら音読,朗読,暗唱をすること。
イ 日常の言語生活の中から我が国の伝統と文化に関連する表現を集め,その意味や特色,由来などについて調べたことを報告すること。
ウ 図書館を利用して古典などを読み比べ,そこに描かれた人物,情景,心情などについて,感じたことや考えたことを文章にまとめたり話し合ったりすること。
3 内容の取扱い
(1) 古文と漢文の両方又はいずれか一方を取り上げることができる。
(2) 古典を読む楽しさを味わったり,伝統的な言語文化に触れることの意義を理解したりすることを重視し,古典などへの関心を高めるようにする。
(3) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,特定の文章や作品,文種や形態などについて,まとまりのあるものを中心として適切に取り上げること。
イ 教材には,古典に関連する近代以降の文章を含めること。また,必要に応じて日本漢文,近代以降の文語文や漢詩文などを用いることができること。
ウ 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
(ア) 古典を進んで学習する意欲や態度を養うのに役立つこと。
(イ) 人間,社会,自然などに対する様々な時代の人々のものの見方,感じ方,考え方について理解を深めるのに役立つこと。
(ウ) 様々な時代の人々の生き方や自分の生き方について考えたり,我が国の伝統と文化について理解を深めたりするのに役立つこと。
(エ) 古典を読むのに必要な知識を身に付けるのに役立つこと。
(オ) 現代の国語について考えたり,言語感覚を豊かにしたりするのに役立つこと。
(カ) 中国など外国の文化との関係について理解を深めるのに役立つこと。
第6 古典B
1 目標  古典としての古文と漢文を読む能力を養うとともに,ものの見方,感じ方,考え方を広くし,古典についての理解や関心を深めることによって人生を豊かにする態度を育てる。
2 内容
(1) 次の事項について指導する。
ア 古典に用いられている語句の意味,用法及び文の構造を理解すること。
イ 古典を読んで,内容を構成や展開に即して的確にとらえること。
ウ 古典を読んで,人間,社会,自然などに対する思想や感情を的確にとらえ,ものの見方,感じ方,考え方を豊かにすること。
エ 古典の内容や表現の特色を理解して読み味わい,作品の価値について考察すること。
オ 古典を読んで,我が国の文化の特質や我が国の文化と中国の文化との関係について理解を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 辞書などを用いて古典の言葉と現代の言葉とを比較し,その変遷などについて分かったことを報告すること。
イ 同じ題材を取り上げた文章や同じ時代の文章などを読み比べ,共通点や相違点などについて説明すること。
ウ 古典に表れた人間の生き方や考え方などについて,文章中の表現を根拠にして話し合うこと。
エ 古典を読んで関心をもった事柄などについて課題を設定し,様々な資料を調べ,その成果を発表したり文章にまとめたりすること。
3 内容の取扱い
(1) 古文及び漢文の両方を取り上げるものとし,一方に偏らないようにする。
(2) 古典を読み深めるため,音読,朗読,暗唱などを取り入れるようにする。
(3) 文語文法の指導は読むことの学習に即して行い,必要に応じてある程度まとまった学習もできるようにする。
(4) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,言語文化の変遷について理解を深める学習に資するよう,文種や形態,長短や難易などに配慮して適当な部分を取り上げること。
イ 教材には,日本漢文を含めること。また,必要に応じて近代以降の文語文や漢詩文,古典についての評論文などを用いることができること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,「国語表現」,「現代文A」,「現代文B」,「古典A」及び「古典B」の各科目については,原則として,「国語総合」を履修した後に履修させるものとする。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 教材については,各科目の3の内容の取扱いに示す事項のほか,「国語表現」及び「現代文A」は「国語総合」の3の(6)のウに示す事項について,「現代文B」は「国語総合」の3の(6)のア及びウに示す事項について,「古典A」及び「古典B」は「国語総合」の3の(6)のイに示す事項につい...
(2) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図ることなどを通して,読書意欲を喚起し幅広く読書する態度を育成するとともに,情報を適切に用いて,思考し,表現する能力を高めるようにすること。
(3) 音声言語や画像による教材,コンピュータや情報通信ネットワークなども適切に活用し,学習の効果を高めるようにすること。
第2節 地 理 歴 史
第1款 目標  我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を深め,国際社会に主体的に生き平和で民主的な国家・社会を形成する日本国民として必要な自覚と資質を養う。
第2款 各 科 目
第1 世界史A
1 目標  近現代史を中心とする世界の歴史を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ,現代の諸課題を歴史的観点から考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 世界史へのいざない  自然環境と歴史,日本の歴史と世界の歴史のつながりにかかわる適切な主題を設定し考察する活動を通して,世界史学習の基本的技能に触れさせるとともに,地理と歴史への関心を高め,世界史学習の意義に気付かせる。
ア 自然環境と歴史  歴史の舞台としての自然環境について,河川,海洋,草原,オアシス,森林などから適切な事例を取り上げ,地図や写真などを読み取る活動を通して,自然環境と人類の活動が相互に作用し合っていることに気付かせる。
イ 日本列島の中の世界の歴史  日本列島の中に見られる世界との関係や交流について,人,もの,技術,文化,宗教,生活などから適切な事例を取り上げ,年表や地図などに表す活動を通して,日本の歴史が世界の歴史とつながっていることに気付かせる。
(2) 世界の一体化と日本  近現代世界を理解するための前提として,ユーラシアの諸文明の特質に触れるとともに,16世紀以降の世界商業の進展及び資本主義の確立を中心に,世界が一体化に向かう過程を理解させる。その際,世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。
ア ユーラシアの諸文明  自然環境,生活,宗教などに着目させながら,東アジア,南アジア,西アジア,ヨーロッパに形成された諸文明の特質とユーラシアの海,陸における交流を概観させる。
イ 結び付く世界と近世の日本  大航海時代のヨーロッパとアフリカ,アメリカ,アジアの接触と交流,アジアの諸帝国とヨーロッパの主権国家体制,大西洋世界の展開とアフリカ・アメリカ社会の変容を扱い,16世紀から18世紀までの世界の一体化の動きと近世の日本の対応を把握させる。
ウ ヨーロッパ・アメリカの工業化と国民形成  産業革命と資本主義の確立,フランス革命とアメリカ諸国の独立,自由主義と国民主義の進展を扱い,ヨーロッパ・アメリカにおける工業化と国民形成を理解させる。
エ アジア諸国の変貌《ぼう》と近代の日本  ヨーロッパの進出期におけるアジア諸国の状況,植民地化や従属化の過程での抵抗と挫《ざ》折,伝統文化の変容,その中での日本の動向を扱い,19世紀の世界の一体化と日本の近代化を理解させる。
(3) 地球社会と日本  地球規模で一体化した構造をもつ現代世界の特質と展開過程を理解させ,人類の課題について歴史的観点から考察させる。その際,世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。
ア 急変する人類社会  科学技術の発達,企業や国家の巨大化,公教育の普及と国民統合,国際的な移民の増加,マスメディアの発達,社会の大衆化と政治や文化の変容などを理解させ,19世紀後期から20世紀前半までの社会の変化について,人類史的視野から考察させる。
イ 世界戦争と平和  帝国主義諸国の抗争とアジア・アフリカの対応,二つの世界大戦の原因と総力戦としての性格,それらが世界と日本に及ぼした影響を理解させ,19世紀後期から20世紀前半までの世界の動向と平和の意義について考察させる。
ウ 三つの世界と日本の動向  第二次世界大戦後の米ソ両陣営の対立と日本の動向,アジア・アフリカの民族運動と植民地支配からの独立を理解させ,核兵器問題やアジア・アフリカ諸国が抱える問題などについて考察させる。
エ 地球社会への歩みと課題  1970年代以降の市場経済のグローバル化,冷戦の終結,地域統合の進展,知識基盤社会への移行,地域紛争の頻発,環境や資源・エネルギーをめぐる問題などを理解させ,地球社会への歩みと地球規模で深刻化する課題について考察させる。
オ 持続可能な社会への展望  現代世界の特質や課題に関する適切な主題を設定させ,歴史的観点から資料を活用して探究し,その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して,世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について展望させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するとともに,各時代において世界と日本を関連付けて扱うこと。また,地理的条件とも関連付けるようにすること。
イ 年表,地図その他の資料を積極的に活用したり,文化遺産,博物館や資料館の調査・見学を取り入れたりするなどして,具体的に学ばせるように工夫すること。
(2) 各項目については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては,近現代史を中心とするこの科目の特質を踏まえ,ユーラシアの諸文明を大観させるようにすること。
イ 内容の(3)については,単に知識を与えるだけでなく,現代世界が当面する課題について考察させること。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な世界を実現することが重要な課題であることを認識させること。
(3) 主題を設定して行う学習については,次の事項に配慮するものとする。
ア 学習の実施に当たっては,適切な時間を確保し,年間指導計画の中に位置付けて指導すること。また,主題の設定や資料の選択に際しては,生徒の興味・関心や学校,地域の実態等に十分配慮して行うこと。
イ 内容の(1)については,中学校社会科の内容との連続性に配慮して,主題を設定すること。その際,アについては,この科目の導入として位置付け,内容の(2)のアと関連付けて指導すること。イについては,適切な時期に実施するようにすること。
ウ 内容の(3)のオについては,内容の(3)のアからエまでに示された事項を参考にして主題を設定させること。
(4) 近現代史の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
イ 政治,経済,社会,文化,宗教,生活など様々な観点から歴史的事象を取り上げ,近現代世界に対する多角的で柔軟な見方を養うこと。
第2 世界史B
1 目標  世界の歴史の大きな枠組みと展開を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ,文化の多様性・複合性と現代世界の特質を広い視野から考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 世界史への扉  自然環境と人類のかかわり,日本の歴史と世界の歴史のつながり,日常生活にみる世界の歴史にかかわる適切な主題を設定し考察する活動を通して,地理と歴史への関心を高め,世界史学習の意義に気付かせる。
ア 自然環境と人類のかかわり  自然環境と人類のかかわりについて,生業や暮らし,交通手段,資源,災害などから適切な歴史的事例を取り上げて考察させ,世界史学習における地理的視点の重要性に気付かせる。
イ 日本の歴史と世界の歴史のつながり  日本と世界の諸地域の接触・交流について,人,もの,技術,文化,宗教,生活などから適切な歴史的事例を取り上げて考察させ,日本の歴史と世界の歴史のつながりに気付かせる。
ウ 日常生活にみる世界の歴史  日常生活にみる世界の歴史について,衣食住,家族,余暇,スポーツなどから適切な事例を取り上げて,その変遷を考察させ,日常生活からも世界の歴史がとらえられることに気付かせる。
(2) 諸地域世界の形成  人類は各地の自然環境に適応しながら農耕や牧畜を基礎とする諸文明を築き上げ,やがてそれらを基により大きな地域世界を形成したことを把握させる。
ア 西アジア世界・地中海世界  西アジアと地中海一帯の地理的特質,オリエント文明,イラン人の活動,ギリシア・ローマ文明に触れ,西アジア世界と地中海世界の形成過程を把握させる。
イ 南アジア世界・東南アジア世界  南アジアと東南アジアの地理的特質,インダス文明,アーリヤ人の進入以後の南アジアの文化,社会,国家の発展,東南アジアの国家形成に触れ,南アジア世界と東南アジア世界の形成過程を把握させる。
ウ 東アジア世界・内陸アジア世界  東アジアと内陸アジアの地理的特質,中華文明の起源と秦《しん》・漢帝国,遊牧国家の動向,唐帝国と東アジア諸民族の活動に触れ,日本を含む東アジア世界と内陸アジア世界の形成過程を把握させる。
エ 時間軸からみる諸地域世界  主題を設定し,それに関連する事項を年代順に並べたり,因果関係で結び付けたり,地域世界ごとに比較したりするなどの活動を通して,世界史を時間的なつながりに着目して整理し,表現する技能を習得させる。
(3) 諸地域世界の交流と再編  ユーラシアの海域及び内陸のネットワークを背景に,諸地域世界の交流が一段と活発化し,新たな地域世界の形成や再編を促したことを把握させる。
ア イスラーム世界の形成と拡大   アラブ人とイスラーム帝国の発展,トルコ系民族の活動,アフリカ・南アジアのイスラーム化に触れ,イスラーム世界の形成と拡大の過程を把握させる。
イ ヨーロッパ世界の形成と展開   ビザンツ帝国と東ヨーロッパの動向,西ヨーロッパの封建社会の成立と変動に触れ,キリスト教とヨーロッパ世界の形成と展開の過程を把握させる。
ウ 内陸アジアの動向と諸地域世界   内陸アジア諸民族と宋《そう》の抗争,モンゴル帝国の興亡とユーラシアの諸地域世界や日本の変動に触れ,内陸アジア諸民族が諸地域世界の交流と再編に果たした役割を把握させる。
エ 空間軸からみる諸地域世界   同時代性に着目して主題を設定し,諸地域世界の接触や交流などを地図上に表したり,世紀ごとに比較したりするなどの活動を通して,世界史を空間的なつながりに着目して整理し,表現する技能を習得させる。
(4) 諸地域世界の結合と変容  アジアの繁栄とヨーロッパの拡大を背景に,諸地域世界の結合が一層進展したこととともに,主権国家体制を整え工業化を達成したヨーロッパの進出により,世界の構造化が進み,社会の変容が促されたことを理解させる。
ア アジア諸地域の繁栄と日本  西アジア・南アジアのイスラーム諸帝国や東南アジア海域の動向,明《みん》・清《しん》帝国と日本や朝鮮などとの関係を扱い,16世紀から18世紀までのアジア諸地域の特質とその中での日本の位置付けを理解させる。
イ ヨーロッパの拡大と大西洋世界  ルネサンス,宗教改革,主権国家体制の成立,世界各地への進出と大西洋世界の形成を扱い,16世紀から18世紀までのヨーロッパ世界の特質とアメリカ・アフリカとの関係を理解させる。
ウ 産業社会と国民国家の形成  産業革命,フランス革命,アメリカ諸国の独立など,18世紀後半から19世紀までのヨーロッパ・アメリカの経済的,政治的変革を扱い,産業社会と国民国家の形成を理解させる。
エ 世界市場の形成と日本  世界市場の形成,ヨーロッパ諸国のアジア進出,オスマン,ムガル,清《しん》帝国及び日本などアジア諸国の動揺と改革を扱い,19世紀のアジアの特質とその中での日本の位置付けを理解させる。
オ 資料からよみとく歴史の世界  主題を設定し,その時代の資料を選択して,資料の内容をまとめたり,その意図やねらいを推測したり,資料への疑問を提起したりするなどの活動を通して,資料を多面的・多角的に考察し,よみとく技能を習得させる。
(5) 地球世界の到来  科学技術の発達や生産力の著しい発展を背景に,世界は地球規模で一体化し,二度の世界大戦や冷戦を経て相互依存を一層強めたことを理解させる。また,今日の人類が直面する課題を歴史的観点から考察させ,21世紀の世界について展望させる。
ア 帝国主義と社会の変容  科学技術の発達,企業・国家の巨大化,国民統合の進展,帝国主義諸国の抗争とアジア・アフリカの対応,国際的な移民の増加などを理解させ,19世紀後期から20世紀初期までの世界の動向と社会の特質について考察させる。
イ 二つの世界大戦と大衆社会の出現  総力戦としての二つの世界大戦,ロシア革命とソヴィエト連邦の成立,大衆社会の出現とファシズム,世界恐慌と資本主義の変容,アジア・アフリカの民族運動などを理解させ,20世紀前半の世界の動向と社会の特質について考察させる。
ウ 米ソ冷戦と第三世界  米ソ両陣営による冷戦の展開,戦後の復興と経済発展,アジア・アフリカ諸国の独立とその後の課題,平和共存の模索などを理解させ,第二次世界大戦後から1960年代までの世界の動向について考察させる。
エ グローバル化した世界と日本  市場経済のグローバル化とアジア経済の成長,冷戦の終結とソヴィエト連邦の解体,地域統合の進展,知識基盤社会への移行,地域紛争の頻発,環境や資源・エネルギーをめぐる問題などを理解させ,1970年代以降の世界と日本の動向及び社会の特質について考察させる。...
オ 資料を活用して探究する地球世界の課題  地球世界の課題に関する適切な主題を設定させ,歴史的観点から資料を活用して探究し,その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して,資料を活用し表現する技能を習得させるとともに,これからの世界と日本の在り方や世界の人々が協調し共存できる...
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するとともに,各時代における世界と日本を関連付けて扱うこと。また,地理的条件とも関連付けるようにすること。
イ 年表,地図その他の資料を積極的に活用したり,文化遺産,博物館や資料館の調査・見学を取り入れたりするなどして,具体的に学ばせるように工夫すること。
(2) 各項目については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,各地域世界の人々の生活,宗教,意識などを具体的に把握できるようにし,政治史のみの学習にならないようにすること。
イ 内容の(5)については,単に知識を与えるだけでなく,地球世界の課題について考察させること。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な世界を実現させることが重要な課題であることを認識させること。
(3) 主題を設定して行う学習については,次の事項に配慮するものとする。
ア 学習の実施に当たっては,適切な時間を確保し,年間指導計画の中に位置付けて段階的・継続的に指導すること。また,主題の設定や資料の選択に際しては,生徒の興味・関心や学校,地域の実態等に十分配慮して行うこと。
イ 内容の(1)については,中学校社会科の内容との連続性に配慮して,主題を設定すること。その際,アについては,この科目の導入として位置付けること。イ及びウについては,適切な時期に実施するようにすること。
ウ 内容の(2)のエ,(3)のエ及び(4)のオについては,次の事項に留意すること。
(ア) それぞれの項目の内容に示された事項を参考にして主題を設定し,生徒の主体的な追究を通して,歴史的思考力を培うようにすること。
(イ) 内容の(2)のエ及び(3)のエについては,年表や地図その他の資料を活用して説明するなどの活動を取り入れること。
(ウ) 内容の(4)のオについては,文字資料に加えて,絵画,風刺画,写真などの図像資料を取り入れるよう工夫すること。
エ 内容の(5)のオについては,内容の(5)のアからエまでに示された事項を参考にして主題を設定させること。
(4) 近現代史の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
イ 各国史別の扱いにならないよう,広い視野から世界の動きをとらえさせるようにすること。
ウ 政治,経済,社会,文化,宗教,生活など様々な観点から歴史的事象を取り上げ,近現代世界に対する多角的で柔軟な見方を養うこと。
エ 日本と関連する諸国の歴史については,当該国の歴史から見た日本などにも着目させ,世界の歴史における日本の位置付けを明確にすること。
第3 日本史A
1 目標  我が国の近現代の歴史の展開を諸資料に基づき地理的条件や世界の歴史と関連付け,現代の諸課題に着目して考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 私たちの時代と歴史  現代の社会やその諸課題が歴史的に形成されたものであるという観点から,近現代の歴史的事象と現在との結び付きを考える活動を通して,歴史への関心を高め,歴史を学ぶ意義に気付かせる。
(2) 近代の日本と世界  開国前後から第二次世界大戦終結までの政治や経済,国際環境,国民生活や文化の動向について,相互の関連を重視して考察させる。
ア 近代国家の形成と国際関係の推移
(ア) 近代の萌《ほう》芽や欧米諸国のアジア進出,文明開化などに見られる欧米文化の導入と明治政府による諸改革に伴う社会や文化の変容,自由民権運動と立憲体制の成立に着目して,開国から明治維新を経て近代国家が形成される過程について考察させる。
(イ) 条約改正や日清《にっしん》・日露戦争前後の対外関係の変化,政党の役割と社会的な基盤に着目して,国際環境や政党政治の推移について考察させる。
イ 近代産業の発展と両大戦をめぐる国際情勢
(ア) 産業革命の進行,都市や村落の生活の変化と社会問題の発生,学問・文化の進展と教育の普及,大衆社会と大衆文化の形成に着目して,近代産業の発展と国民生活の変化について考察させる。
(イ) 諸国家間の対立や協調関係と日本の立場,国内の経済・社会の動向,アジア近隣諸国との関係に着目して,二つの世界大戦とその間の内外情勢の変化について考察させる。
ウ 近代の追究  近代における政治や経済,国際環境,国民生活や文化の動向が相互に深くかかわっているという観点から,産業と生活,国際情勢と国民,地域社会の変化などについて,具体的な歴史的事象と関連させた適切な主題を設定して追究し表現する活動を通して,歴史的な見方や考え方を育てる。
(3) 現代の日本と世界  第二次世界大戦後の政治や経済,国際環境,国民生活や文化の動向について,現代の諸課題と近現代の歴史との関連を重視して考察させる。
ア 現代日本の政治と国際社会  占領政策と諸改革,新憲法の成立,平和条約と独立,国際交流や国際貢献の拡大などに着目して,我が国の再出発及びその後の政治や対外関係の推移について考察させる。
イ 経済の発展と国民生活の変化  戦後の経済復興,高度経済成長と科学技術の発達,経済の国際化,生活意識や価値観の変化などに着目して,日本経済の発展と国民生活の変化について考察させる。
ウ 現代からの探究  現代の社会やその諸課題が歴史的に形成されたものであるという観点から,近現代の歴史にかかわる身の回りの社会的事象と関連させた適切な主題を設定させ,資料を活用して探究し,その解決に向けた考えを表現する活動を通して,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 我が国の近現代の歴史の展開について国際環境や地理的条件などと関連付け,世界の中の日本という視点から考察させること。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
ウ 年表,地図その他の資料を一層活用させるとともに,地域の文化遺産,博物館や資料館の調査・見学などを取り入れるよう工夫すること。
エ 国民生活や文化の動向については,地域社会の様子などと関連付けるとともに,衣食住や風習・信仰などの生活文化についても扱うようにすること。
(2) この科目の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くようにするとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成するようにする。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な国際社会を実現することが重要な課題であることを...
(3) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,この科目の導入として位置付けること。また,近代,現代などの時代区分の持つ意味,近現代の歴史の考察に有効な諸資料についても扱うこと。
イ 内容の(2)のウ及び(3)のウについては,資料を活用して歴史を考察したりその結果を表現したりする技能を高めること。内容の(3)のウについては,この科目のまとめとして位置付けること。
第4 日本史B
1 目標  我が国の歴史の展開を諸資料に基づき地理的条件や世界の歴史と関連付けて総合的に考察させ,我が国の伝統と文化の特色についての認識を深めさせることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 原始・古代の日本と東アジア  原始社会の特色及び古代国家と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 歴史と資料  遺跡や遺物,文書など様々な歴史資料の特性に着目し,資料に基づいて歴史が叙述されていることなど歴史を考察する基本的な方法を理解させ,歴史への関心を高めるとともに,文化財保護の重要性に気付かせる。
イ 日本文化の黎《れい》明と古代国家の形成  旧石器文化,縄文文化及び弥生《やよい》文化の時代を経て,我が国において国家が形成され律令《りつりょう》体制が確立する過程,隋《ずい》・唐など東アジア世界との関係,古墳文化,天平《てんぴょう》文化に着目して,古代国家の形成と展開,文化の特...
ウ 古代国家の推移と社会の変化  東アジア世界との関係の変化,荘園《しょうえん》・公領の動きや武士の台頭など諸地域の動向に着目して,古代国家の推移,文化の特色とその成立の背景及び中世社会の萌《ほう》芽について考察させる。
(2) 中世の日本と東アジア  中世国家と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 歴史の解釈  歴史資料を含む諸資料を活用して,歴史的事象の推移や変化,相互の因果関係を考察するなどの活動を通して,歴史の展開における諸事象の意味や意義を解釈させる。
イ 中世国家の形成  武士の土地支配と公武関係,宋《そう》・元などとの関係,仏教の動向に着目して,中世国家の形成過程や社会の仕組み,文化の特色とその成立の背景について考察させる。
ウ 中世社会の展開  日本の諸地域の動向,日明《にちみん》貿易など東アジア世界との関係,産業経済の発展,庶民の台頭と下剋上《げこくじょう》,武家文化と公家《くげ》文化のかかわりや庶民文化の萌《ほう》芽に着目して,中世社会の多様な展開,文化の特色とその成立の背景について考察させる。
(3) 近世の日本と世界  近世国家と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 歴史の説明  歴史的事象には複数の歴史的解釈が成り立つことに気付かせ,それぞれの根拠や論理を踏まえて,筋道立てて考えを説明させる。
イ 近世国家の形成  ヨーロッパ世界との接触やアジア各地との関係,織豊政権と幕藩体制下の政治・経済基盤,身分制度の形成や儒学の役割,文化の特色に着目して,近世国家の形成過程とその特色や社会の仕組みについて考察させる。
ウ 産業経済の発展と幕藩体制の変容  幕藩体制下の農業など諸産業や交通・技術の発展,町人文化の形成,欧米諸国のアジアへの進出,学問・思想の動きに着目して,近世の都市や農山漁村における生活や文化の特色とその成立の背景,幕藩体制の変容と近代化の基盤の形成について考察させる。
(4) 近代日本の形成と世界  近代国家の形成と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 明治維新と立憲体制の成立  開国と幕府の滅亡,文明開化など欧米の文化・思想の影響や国際環境の変化,自由民権運動と立憲体制の成立に着目して,明治維新以降の我が国の近代化の推進過程について考察させる。
イ 国際関係の推移と立憲国家の展開  条約改正,日清《にっしん》・日露戦争とその前後のアジア及び欧米諸国との関係の推移に着目して,我が国の立憲国家としての展開について考察させる。
ウ 近代産業の発展と近代文化  国民生活の向上と社会問題の発生,学問の発展や教育制度の拡充に着目して,近代産業の発展の経緯や近代文化の特色とその成立の背景について考察させる。
(5) 両世界大戦期の日本と世界  近代国家の展開と社会や文化の特色について,国際環境と関連付けて考察させる。
ア 政党政治の発展と大衆社会の形成  政治や社会運動の動向,都市の発達と農山漁村の変化及び文化の大衆化に着目して,政党政治の発展,大衆社会の特色とその成立の背景について考察させる。
イ 第一次世界大戦と日本の経済・社会  国際社会の中の日本の立場に着目して,第一次世界大戦前後の対外政策の推移や大戦が国内の経済・社会に及ぼした影響について考察させる。
ウ 第二次世界大戦と日本  国際社会の動向,国内政治と経済の動揺,アジア近隣諸国との関係に着目して,対外政策の推移と戦時体制の強化など日本の動向と第二次世界大戦とのかかわりについて考察させる。
(6) 現代の日本と世界  現代の社会や国民生活の特色について,国際環境と関連付けて考察させ,世界の中での日本の立場について認識させる。
ア 現代日本の政治と国際社会  占領政策と諸改革,新憲法の成立,平和条約と独立,国際交流や国際貢献の拡大などに着目して,我が国の再出発及びその後の政治や対外関係の推移について考察させる。
イ 経済の発展と国民生活の変化  戦後の経済復興,高度経済成長と科学技術の発達,経済の国際化,生活意識や価値観の変化などに着目して,日本経済の発展と国民生活の変化について考察させる。
ウ 歴史の論述  社会と個人,世界の中の日本,地域社会の歴史と生活などについて,適切な主題を設定させ,資料を活用して探究し,考えを論述する活動を通して,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 我が国の歴史と文化について各時代の国際環境や地理的条件などと関連付け,世界の中の日本という視点から考察させること。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。その際,各時代の特色を総合的に考察する学習及び前後の時代を比較してその移り変わりを考察する学習それぞれの充実を図ること。
ウ 年表,地図その他の資料を一層活用させるとともに,地域の文化遺産,博物館や資料館の調査・見学などを取り入れるよう工夫すること。
エ 文化に関する指導に当たっては,各時代の文化とそれを生み出した時代的背景との関連,外来の文化などとの接触や交流による文化の変容や発展の過程などに着目させ,我が国の伝統と文化の特色とそれを形成した様々な要因を総合的に考察させるようにすること。衣食住や風習・信仰などの生活文化について...
オ 地域社会の歴史と文化について扱うようにするとともに,祖先が地域社会の向上と文化の創造や発展に努力したことを具体的に理解させ,それらを尊重する態度を育てるようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のア,(2)のア,(3)のア,(6)のウを通じて,資料を活用して歴史を考察したりその結果を表現したりする技能を段階的に高めていくこと。様々な資料の特性に着目させ複数の資料の活用を図って,資料に対する批判的な見方を養うとともに,因果関係を考察させたり解釈の多様性に気付...
イ 内容の(1)のアについては,この科目の導入として位置付けること。内容の(2)のア及び(3)のアについては,原則として各時代の学習内容と関連させて適切な時期に実施すること。内容の(6)のウについては,この科目のまとめとして位置付けること。
(3) 近現代史の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くようにするとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成するようにする。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争を防止し,平和で民主的な国際社会を実現することが重要な課題であることを...
第5 地理A
1 目標  現代世界の地理的な諸課題を地域性や歴史的背景,日常生活との関連を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 現代世界の特色と諸課題の地理的考察  世界諸地域の生活・文化及び地球的課題について,地域性や歴史的背景を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を深めるとともに,地理的技能及び地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 地球儀や地図からとらえる現代世界  地球儀と世界地図との比較,様々な世界地図の読図などを通して,地理的技能を身に付けさせるとともに,方位や時差,日本の位置と領域,国家間の結び付きなどについてとらえさせる。
イ 世界の生活・文化の多様性  世界諸地域の生活・文化を地理的環境や民族性と関連付けてとらえ,その多様性について理解させるとともに,異文化を理解し尊重することの重要性について考察させる。
ウ 地球的課題の地理的考察  環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題を地球的及び地域的視野からとらえ,地球的課題は地域を越えた課題であるとともに地域によって現れ方が異なっていることを理解させ,それらの課題の解決には持続可能な社会の実現を目指した各国の取組や国際協力が必...
(2) 生活圏の諸課題の地理的考察  生活圏の諸課題について,地域性や歴史的背景を踏まえて考察し,地理的技能及び地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 日常生活と結び付いた地図  身の回りにある様々な地図の収集や地形図の読図,目的や用途に適した地図の作成などを通して,地理的技能を身に付けさせる。
イ 自然環境と防災  我が国の自然環境の特色と自然災害とのかかわりについて理解させるとともに,国内にみられる自然災害の事例を取り上げ,地域性を踏まえた対応が大切であることなどについて考察させる。
ウ 生活圏の地理的な諸課題と地域調査  生活圏の地理的な諸課題を地域調査やその結果の地図化などによってとらえ,その解決に向けた取組などについて探究する活動を通して,日常生活と結び付いた地理的技能及び地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
イ 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,衛星画像や空中写真,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用するとともに,地図や統計などの地理情報の収集・分析には,情報通信ネットワークや地...
ウ 地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,討論したりするなどの活動を充実させること。
エ 学習過程で政治,経済,生物,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは空間的な傾向性や諸地域の特色を理解するのに必要な程度とすること。
オ 各項目の内容に応じて日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) アについては,球面上の世界のとらえ方に慣れ親しませるよう工夫すること。日本の位置と領域については,世界的視野から日本の位置をとらえるとともに,日本の領域をめぐる問題にも触れること。また,国家間の結び付きについては,世界の国家群,貿易,交通・通信,観光の現状と動向に関する諸事...
(イ) イについては,世界諸地域の生活・文化について世界を広く大観する学習と事例地域を通して考察する学習を組み合わせて扱うこと。その際,生活と宗教のかかわりなどについて考察させるとともに,日本との共通性や異質性に着目させ,異なる習慣や価値観などをもっている人々と共存していくことの意...
(ウ) ウについては,地球的課題ごとに世界を広く大観する学習と具体例を通して考察する学習を組み合わせて扱うこと。その際,環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題は,それぞれ相互に関連し合っていることに留意して取扱いを工夫すること。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) アからウまでの項目については,地図の読図や作図などを主とした作業的,体験的な学習を取り入れるとともに,各項目を関連付けて地理的技能が身に付くよう工夫すること。
(イ) アについては,日常生活の中でみられる様々な地図を取り上げ,目的や用途に適した地図表現の工夫などについて理解させ,日常生活と結び付いた地図の役割とその有用性について認識させるよう工夫すること。
(ウ) イについては,日本では様々な自然災害が多発することから,早くから自然災害への対応に努めてきたことなどを具体例を通して取り扱うこと。その際,地形図やハザードマップなどの主題図の読図など,日常生活と結び付いた地理的技能を身に付けさせるとともに,防災意識を高めるよう工夫すること。...
(エ) ウについては,生徒の特性や学校所在地の事情等を考慮し,地域調査を実施し,その方法が身に付くよう工夫すること。その際,これまでの学習成果を活用すること。
第6 地理B
1 目標  現代世界の地理的事象を系統地理的に,現代世界の諸地域を歴史的背景を踏まえて地誌的に考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。
2 内容
(1) 様々な地図と地理的技能  地球儀や様々な地図の活用及び地域調査などの活動を通して,地図の有用性に気付かせるとともに,地理的技能を身に付けさせる。
ア 地理情報と地図  地球儀の活用,様々な時代や種類の世界地図の読図,地理情報の地図化などの活動を通して,各時代の人々の世界観をとらえさせるとともに,地図の有用性に気付かせ,現代世界の地理的事象をとらえる地理的技能を身に付けさせる。
イ 地図の活用と地域調査  直接的に調査できる地域を地図を活用して多面的・多角的に調査し,生活圏の地域的特色をとらえる地理的技能を身に付けさせる。
(2) 現代世界の系統地理的考察  世界の自然環境,資源,産業,人口,都市・村落,生活文化,民族・宗教に関する諸事象の空間的な規則性,傾向性やそれらの要因などを系統地理的に考察させるとともに,現代世界の諸課題について地球的視野から理解させる。
ア 自然環境  世界の地形,気候,植生などに関する諸事象を取り上げ,それらの分布や人間生活とのかかわりなどについて考察させるとともに,現代世界の環境問題を大観させる。
イ 資源,産業  世界の資源・エネルギーや農業,工業,流通,消費などに関する諸事象を取り上げ,それらの分布や動向などについて考察させるとともに,現代世界の資源・エネルギー,食料問題を大観させる。
ウ 人口,都市・村落  世界の人口,都市・村落などに関する諸事象を取り上げ,それらの分布や動向などについて考察させるとともに,現代世界の人口,居住・都市問題を大観させる。
エ 生活文化,民族・宗教  世界の生活文化,民族・宗教に関する諸事象を取り上げ,それらの分布や民族と国家の関係などについて考察させるとともに,現代世界の民族,領土問題を大観させる。
(3) 現代世界の地誌的考察  現代世界の諸地域を多面的・多角的に考察し,各地域の多様な特色や課題を理解させるとともに,現代世界を地誌的に考察する方法を身に付けさせる。
ア 現代世界の地域区分  現代世界を幾つかの地域に区分する方法や地域の概念,地域区分の意義を理解させるとともに,その有用性に気付かせる。
イ 現代世界の諸地域  現代世界の諸地域を取り上げ,歴史的背景を踏まえて多面的・多角的に地域の変容や構造を考察し,それらの地域にみられる地域的特色や地球的課題について理解させるとともに,地誌的に考察する方法を身に付けさせる。
ウ 現代世界と日本  現代世界における日本の国土の特色について多面的・多角的に考察し,我が国が抱える地理的な諸課題を探究する活動を通して,その解決の方向性や将来の国土の在り方などについて展望させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
イ 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,衛星画像や空中写真,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用するとともに,地図や統計などの地理情報の収集・分析には,情報通信ネットワークや地...
ウ 地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,討論したりするなどの活動を充実させること。
エ 学習過程で政治,経済,生物,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは空間的な傾向性や諸地域の特色を理解するのに必要な程度とすること。
オ 各項目の内容に応じて日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) 地球儀や地図の活用,観察や調査,統計,画像,文献などの地理情報の収集,選択,処理,諸資料の地理情報化や地図化などの作業的,体験的な学習を取り入れるとともに,各項目を関連付けて地理的技能が身に付くよう工夫すること。
(イ) アについては,地理的認識を深める上で地図を活用することが大切であることを理解させるとともに,地図に関する基礎的・基本的な知識や技能を習得することができるよう工夫すること。
(ウ) イについては,生徒の特性や学校所在地の事情等を考慮し,地域調査を実施し,その方法が身に付くよう工夫すること。
イ 内容の(2)については,分析,考察の過程を重視し,現代世界を系統地理的にとらえる視点や考察方法が身に付くよう工夫すること。エについては,領土問題の現状や動向を扱う際に日本の領土問題にも触れること。
ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) ア及びイについては,内容の(1)及び(2)の学習成果を活用するよう工夫すること。
(イ) アについては,現代世界が自然,政治,経済,文化などの指標によって様々に地域区分できることに着目させ,それらを比較対照させることによって,地域の概念,地域区分の意義などを理解させるようにすること。
(ウ) イについては,アで学習した地域区分を踏まえるとともに,様々な規模の地域を世界全体から偏りなく取り上げるようにすること。また,取り上げた地域の多様な事象を項目ごとに整理して考察する地誌,取り上げた地域の特色ある事象と他の事象を有機的に関連付けて考察する地誌,対照的又は類似的な...
(エ) ウについては,この科目のまとめとして位置付けること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 地理歴史科の目標を達成するため,教科全体として調和のとれた指導が行われるよう,適切に留意すること。
(2) 中学校社会科及び公民科との関連並びに地理歴史科に属する科目相互の関連に留意すること。
2 各科目の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに,作業的,体験的な学習を取り入れるよう配慮すること。そのため,地図や年表を読みかつ作成すること,各種の統計,年鑑,白書,画像,新聞,読み物その他の資料を収集・選択し,それらを読み取り解釈すること,観察,見学及び調査・研究したこ...
(2) 資料の収集,処理や発表などに当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するとともに,生徒が主体的に情報手段を活用できるようにすること。その際,情報モラルの指導にも留意すること。
3 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第3節 公   民
第1款 目標  広い視野に立って,現代の社会について主体的に考察させ,理解を深めさせるとともに,人間としての在り方生き方についての自覚を育て,平和で民主的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う。
第2款 各 科 目
第1 現代社会
1 目標  人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて,広い視野に立って,現代の社会と人間についての理解を深めさせ,現代社会の基本的な問題について主体的に考察し公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方について考察する力の基礎を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる...
2 内容
(1) 私たちの生きる社会  現代社会における諸課題を扱う中で,社会の在り方を考察する基盤として,幸福,正義,公正などについて理解させるとともに,現代社会に対する関心を高め,いかに生きるかを主体的に考察することの大切さを自覚させる。
(2) 現代社会と人間としての在り方生き方  現代社会について,倫理,社会,文化,政治,法,経済,国際社会など多様な角度から理解させるとともに,自己とのかかわりに着目して,現代社会に生きる人間としての在り方生き方について考察させる。
ア 青年期と自己の形成  生涯における青年期の意義を理解させ,自己実現と職業生活,社会参加,伝統や文化に触れながら自己形成の課題を考察させ,現代社会における青年の生き方について自覚を深めさせる。
イ 現代の民主政治と政治参加の意義  基本的人権の保障,国民主権,平和主義と我が国の安全について理解を深めさせ,天皇の地位と役割,議会制民主主義と権力分立など日本国憲法に定める政治の在り方について国民生活とのかかわりから認識を深めさせるとともに,民主政治における個人と国家について考...
ウ 個人の尊重と法の支配  個人の尊重を基礎として,国民の権利の保障,法の支配と法や規範の意義及び役割,司法制度の在り方について日本国憲法と関連させながら理解を深めさせるとともに,生命の尊重,自由・権利と責任・義務,人間の尊厳と平等などについて考察させ,他者と共に生きる倫理について...
エ 現代の経済社会と経済活動の在り方  現代の経済社会の変容などに触れながら,市場経済の機能と限界,政府の役割と財政・租税,金融について理解を深めさせ,経済成長や景気変動と国民福祉の向上の関連について考察させる。また,雇用,労働問題,社会保障について理解を深めさせるとともに,個人や...
オ 国際社会の動向と日本の果たすべき役割  グローバル化が進展する国際社会における政治や経済の動向に触れながら,人権,国家主権,領土に関する国際法の意義,人種・民族問題,核兵器と軍縮問題,我が国の安全保障と防衛及び国際貢献,経済における相互依存関係の深まり,地域的経済統合,南北問題...
(3) 共に生きる社会を目指して  持続可能な社会の形成に参画するという観点から課題を探究する活動を通して,現代社会に対する理解を深めさせるとともに,現代に生きる人間としての在り方生き方について考察を深めさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科,情報科及び特別活動などとの関連を図るとともに,項目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,社会的事象に対する関心をもって多様な角度から考察させるとともに,できるだけ総合的にとらえることができるようにすること。また,生徒が自己の生き方にかかわって主体的に考察できるよう学習指導の展開を工夫すること。
ウ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。
エ 的確な資料に基づいて,社会的事象に対する客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成するとともに,学び方の習得を図ること。その際,統計などの資料の見方やその意味,情報の検索や処理の仕方,簡単な社会調査の方法などについて指導するよう留意すること。また,学習の過程で考察したことや学習の...
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) 内容の(1)は,この科目の導入として位置付けること。
(イ) 「現代社会における諸課題」としては,生命,情報,環境などを扱うこと。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) 項目ごとに課題を設定し,内容の(1)で取り上げた幸福,正義,公正などを用いて考察させること。
(イ) アの「生涯における青年期の意義」と「自己形成の課題」については,生涯にわたる学習の意義についても考察させること。また,男女が共同して社会に参画することの重要性にも触れること。
(ウ) イについては,地方自治に触れながら政治と生活との関連について認識を深めさせること。「政治参加の重要性」については,世論の形成の意義についても理解させること。また,「民主社会において自ら生きる倫理」については,個人と社会との関係に着目して考察させること。
(エ) ウについては,法に関する基本的な見方や考え方を身に付けさせるとともに裁判員制度についても扱うこと。
(オ) エの「市場経済の機能と限界」については,経済活動を支える私法に関する基本的な考え方についても触れること。「金融」については,金融制度や資金の流れの変化などにも触れること。また,「個人や企業の経済活動における役割と責任」については,公害の防止と環境保全,消費者に関する問題など...
(カ) オの「人種・民族問題」については,文化や宗教の多様性についても触れ,それぞれの固有の文化などを尊重する寛容の態度を養うこと。
ウ 内容の(3)については,この科目のまとめとして位置付け,内容の(1)及び(2)で学習した成果を活用させること。地域や学校,生徒の実態等に応じて課題を設定し,個人と社会の関係,社会と社会の関係,現役世代と将来世代の関係のいずれかに着目させること。
第2 倫 理
1 目標  人間尊重の精神と生命に対する畏《い》敬の念に基づいて,青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深めさせるとともに,人格の形成に努める実践的意欲を高め,他者と共に生きる主体としての自己の確立を促し,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 現代に生きる自己の課題  自らの体験や悩みを振り返ることを通して,青年期の意義と課題を理解させ,豊かな自己形成に向けて,他者と共に生きる自己の生き方について考えさせるとともに,自己の生き方が現代の倫理的課題と結び付いていることをとらえさせる。
(2) 人間としての在り方生き方  自己の生きる課題とのかかわりにおいて,先哲の基本的な考え方を手掛かりとして,人間の存在や価値について思索を深めさせる。
ア 人間としての自覚  人生における哲学,宗教,芸術のもつ意義などについて理解させ,人間の存在や価値にかかわる基本的な課題について思索させることを通して,人間としての在り方生き方について考えを深めさせる。
イ 国際社会に生きる日本人としての自覚  日本人にみられる人間観,自然観,宗教観などの特質について,我が国の風土や伝統,外来思想の受容に触れながら,自己とのかかわりにおいて理解させ,国際社会に生きる主体性のある日本人としての在り方生き方について自覚を深めさせる。
(3) 現代と倫理  現代に生きる人間の倫理的課題について思索を深めさせ,自己の生き方の確立を促すとともに,よりよい国家・社会を形成し,国際社会に主体的に貢献しようとする人間としての在り方生き方について自覚を深めさせる。
ア 現代に生きる人間の倫理  人間の尊厳と生命への畏《い》敬,自然や科学技術と人間とのかかわり,民主社会における人間の在り方,社会参加と奉仕,自己実現と幸福などについて,倫理的な見方や考え方を身に付けさせ,他者と共に生きる自己の生き方にかかわる課題として考えを深めさせる。
イ 現代の諸課題と倫理   生命,環境,家族,地域社会,情報社会,文化と宗教,国際平和と人類の福祉などにおける倫理的課題を自己の課題とつなげて探究する活動を通して,論理的思考力や表現力を身に付けさせるとともに,現代に生きる人間としての在り方生き方について自覚を深めさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科及び道徳並びに公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科,情報科及び特別活動などとの関連を図るとともに,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 先哲の基本的な考え方を取り上げるに当たっては,内容と関連が深く生徒の発達や学習段階に適した代表的な先哲の言説等を精選すること。また,生徒自らが人生観,世界観を確立するための手掛かりを得させるよう様々な工夫を行うこと。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,この科目の導入として位置付け,生徒自身の課題を他者,集団や社会,生命や自然などとのかかわりを視点として考えさせ,以後の学習への意欲を喚起すること。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) アについては,ギリシアの思想,キリスト教,イスラム教,仏教,儒教などの基本的な考え方を代表する先哲の思想,芸術家とその作品を,倫理的な観点を明確にして取り上げるなど工夫すること。
(イ) イについては,古来の日本人の考え方や代表的な日本の先哲の思想を手掛かりにして,自己の課題として学習させること。
ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) アについては,倫理的な見方や考え方を身に付けさせ,自己の課題として考えを深めていく主体的な学習への意欲を喚起すること。
(イ) イについては,アの学習を基礎として,学校や生徒の実態等に応じて課題を選択し,主体的に探究する学習を行うよう工夫すること。その際,イに示された倫理的課題が相互に関連していることを踏まえて,学習が効果的に展開するよう留意するとともに,論述したり討論したりするなどの活動を通して,...
第3 政治・経済
1 目標  広い視野に立って,民主主義の本質に関する理解を深めさせ,現代における政治,経済,国際関係などについて客観的に理解させるとともに,それらに関する諸課題について主体的に考察させ,公正な判断力を養い,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 現代の政治  現代の日本の政治及び国際政治の動向について関心を高め,基本的人権と議会制民主主義を尊重し擁護することの意義を理解させるとともに,民主政治の本質について把握させ,政治についての基本的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 民主政治の基本原理と日本国憲法  日本国憲法における基本的人権の尊重,国民主権,天皇の地位と役割,国会,内閣,裁判所などの政治機構を概観させるとともに,政治と法の意義と機能,基本的人権の保障と法の支配,権利と義務の関係,議会制民主主義,地方自治などについて理解させ,民主政治の本...
イ 現代の国際政治  国際社会の変遷,人権,国家主権,領土などに関する国際法の意義,国際連合をはじめとする国際機構の役割,我が国の安全保障と防衛及び国際貢献について理解させ,国際政治の特質や国際紛争の諸要因について把握させ,国際平和と人類の福祉に寄与する日本の役割について考察させる...
(2) 現代の経済  現代の日本経済及び世界経済の動向について関心を高め,日本経済のグローバル化をはじめとする経済生活の変化,現代経済の仕組みや機能について理解させるとともに,その特質を把握させ,経済についての基本的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 現代経済の仕組みと特質  経済活動の意義,国民経済における家計,企業,政府の役割,市場経済の機能と限界,物価の動き,経済成長と景気変動,財政の仕組みと働き及び租税の意義と役割,金融の仕組みと働きについて理解させ,現代経済の特質について把握させ,経済活動の在り方と福祉の向上との関...
イ 国民経済と国際経済  貿易の意義,為替相場や国際収支の仕組み,国際協調の必要性や国際経済機関の役割について理解させ,グローバル化が進む国際経済の特質について把握させ,国際経済における日本の役割について考察させる。
(3) 現代社会の諸課題  政治や経済などに関する基本的な理解を踏まえ,持続可能な社会の形成が求められる現代社会の諸課題を探究する活動を通して,望ましい解決の在り方について考察を深めさせる。
ア 現代日本の政治や経済の諸課題  少子高齢社会と社会保障,地域社会の変貌《ぼう》と住民生活,雇用と労働を巡る問題,産業構造の変化と中小企業,農業と食料問題などについて,政治と経済とを関連させて探究させる。
イ 国際社会の政治や経済の諸課題  地球環境と資源・エネルギー問題,国際経済格差の是正と国際協力,人種・民族問題と地域紛争,国際社会における日本の立場と役割などについて,政治と経済とを関連させて探究させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科,公民科に属する他の科目,地理歴史科,家庭科及び情報科などとの関連を図るとともに,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに偏らないようにすること。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成すること。また,客観的な資料と関連させて政治や経済の諸課題を考察させるとともに,政治や経済についての公正かつ客観的な見方や考え方を深めさせること。
ウ 政治や経済について考察した過程や結果について適切に表現する能力と態度を育てるようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,次の事項に留意すること。
(ア) アの「法の意義と機能」,「基本的人権の保障と法の支配」,「権利と義務の関係」については,法に関する基本的な見方や考え方を身に付けさせるとともに,裁判員制度を扱うこと。「民主政治の本質」については,世界の主な政治体制と関連させて扱うこと。また,「現代政治の特質」については,世...
(イ) イについては,文化や宗教の多様性についても理解させること。また,「国際紛争の諸要因」については,多様な角度から考察させるとともに,軍縮や核兵器廃絶などに関する国際的な取組についても扱うこと。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。  アについては,マクロ経済の観点を中心に扱うこと。「市場経済の機能と限界」については,公害防止と環境保全,消費者に関する問題も扱うこと。また,「金融の仕組みと働き」については,金融に関する環境の変化にも触れること。
ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) 内容の(3)については,この科目のまとめとして位置付け,内容の(1)及び(2)で学習した成果を生かし,地域や学校,生徒の実態等に応じて,ア及びイのそれぞれにおいて課題を選択させること。その際,政治や経済の基本的な概念や理論の理解の上に立って,事実に基づいて多様な角度から探究...
(イ) アについては,国際社会の動向に着目させたり,諸外国における取組なども参考にさせたりすること。
第3款 各科目にわたる内容の取扱い
1 各科目の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 情報を主体的に活用する学習活動を重視するとともに,作業的,体験的な学習を取り入れるよう配慮すること。そのため,各種の統計,年鑑,白書,新聞,読み物,地図その他の資料を収集,選択し,それらを読み取り解釈すること,観察,見学及び調査・研究したことを発表したり報告書にまとめたりす...
(2) 資料の収集,処理や発表などに当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するとともに,生徒が主体的に情報手段を活用できるようにすること。その際,情報モラルの指導にも留意すること。
2 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第4節 数   学
第1款 目標  数学的活動を通して,数学における基本的な概念や原理・法則の体系的な理解を深め,事象を数学的に考察し表現する能力を高め,創造性の基礎を培うとともに,数学のよさを認識し,それらを積極的に活用して数学的論拠に基づいて判断する態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 数学Ⅰ
1 目標  数と式,図形と計量,二次関数及びデータの分析について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察する能力を培い,数学のよさを認識できるようにするとともに,それらを活用する態度を育てる。
2 内容
(1) 数と式  数を実数まで拡張する意義や集合と命題に関する基本的な概念を理解できるようにする。また,式を多面的にみたり処理したりするとともに,一次不等式を事象の考察に活用できるようにする。
ア 数と集合
(ア) 実数  数を実数まで拡張する意義を理解し,簡単な無理数の四則計算をすること。
(イ) 集合  集合と命題に関する基本的な概念を理解し,それを事象の考察に活用すること。
イ 式
(ア) 式の展開と因数分解  二次の乗法公式及び因数分解の公式の理解を深め,式を多面的にみたり目的に応じて式を適切に変形したりすること。
(イ) 一次不等式  不等式の解の意味や不等式の性質について理解し,一次不等式の解を求めたり一次不等式を事象の考察に活用したりすること。
(2) 図形と計量  三角比の意味やその基本的な性質について理解し,三角比を用いた計量の考えの有用性を認識するとともに,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 三角比
(ア) 鋭角の三角比  鋭角の三角比の意味と相互関係について理解すること。
(イ) 鈍角の三角比  三角比を鈍角まで拡張する意義を理解し,鋭角の三角比の値を用いて鈍角の三角比の値を求めること。
(ウ) 正弦定理・余弦定理  正弦定理や余弦定理について理解し,それらを用いて三角形の辺の長さや角の大きさを求めること。
イ 図形の計量  三角比を平面図形や空間図形の考察に活用すること。
[用語・記号]
正弦
sin
余弦
cos
正接
tan
(3) 二次関数  二次関数とそのグラフについて理解し,二次関数を用いて数量の関係や変化を表現することの有用性を認識するとともに,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 二次関数とそのグラフ  事象から二次関数で表される関係を見いだすこと。また,二次関数のグラフの特徴について理解すること。
イ 二次関数の値の変化
(ア) 二次関数の最大・最小  二次関数の値の変化について,グラフを用いて考察したり最大値や最小値を求めたりすること。
(イ) 二次方程式・二次不等式  二次方程式の解と二次関数のグラフとの関係について理解するとともに,数量の関係を二次不等式で表し二次関数のグラフを利用してその解を求めること。
(4) データの分析  統計の基本的な考えを理解するとともに,それを用いてデータを整理・分析し傾向を把握できるようにする。
ア データの散らばり  四分位偏差,分散及び標準偏差などの意味について理解し,それらを用いてデータの傾向を把握し,説明すること。
イ データの相関  散布図や相関係数の意味を理解し,それらを用いて二つのデータの相関を把握し説明すること。
〔課題学習〕  (1),(2),(3)及び(4)の内容又はそれらを相互に関連付けた内容を生活と関連付けたり発展させたりするなどして,生徒の関心や意欲を高める課題を設け,生徒の主体的な学習を促し,数学のよさを認識できるようにする。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)のアの(イ)については,簡単な命題の証明も扱うものとする。
(2) 内容の(2)のアの(イ)については,関連して0°,90°,180°の三角比を扱うものとする。
(3) 課題学習については,それぞれの内容との関連を踏まえ,学習効果を高めるよう適切な時期や場面に実施するとともに,実施に当たっては数学的活動を一層重視するものとする。
第2 数学Ⅱ
1 目標  いろいろな式,図形と方程式,指数関数・対数関数,三角関数及び微分・積分の考えについて理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を養うとともに,それらを活用する態度を育てる。
2 内容
(1) いろいろな式  整式の乗法・除法及び分数式の四則計算について理解できるようにするとともに,等式や不等式が成り立つことを証明できるようにする。また,方程式についての理解を深め,数の範囲を複素数まで拡張して二次方程式を解くこと及び因数分解を利用して高次方程式を解くことができるよ...
ア 式と証明
(ア) 整式の乗法・除法,分数式の計算  三次の乗法公式及び因数分解の公式を理解し,それらを用いて式の展開や因数分解をすること。また,整式の除法や分数式の四則計算について理解し,簡単な場合について計算をすること。
(イ) 等式と不等式の証明  等式や不等式が成り立つことを,それらの基本的な性質や実数の性質などを用いて証明すること。
イ 高次方程式
(ア) 複素数と二次方程式  数を複素数まで拡張する意義を理解し,複素数の四則計算をすること。また,二次方程式の解の種類の判別及び解と係数の関係について理解すること。
(イ) 因数定理と高次方程式  因数定理について理解し,簡単な高次方程式の解を因数定理などを用いて求めること。
[用語・記号] 
虚数
i
(2) 図形と方程式  座標や式を用いて,直線や円などの基本的な平面図形の性質や関係を数学的に表現し,その有用性を認識するとともに,事象の考察に活用できるようにする。
ア 直線と円
(ア) 点と直線  座標を用いて,平面上の線分を内分する点,外分する点の位置や二点間の距離を表すこと。また,座標平面上の直線を方程式で表し,それを二直線の位置関係などの考察に活用すること。
(イ) 円の方程式  座標平面上の円を方程式で表し,それを円と直線の位置関係などの考察に活用すること。
イ 軌跡と領域  軌跡について理解し,簡単な場合について軌跡を求めること。また,簡単な場合について,不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表したりすること。
(3) 指数関数・対数関数  指数関数及び対数関数について理解し,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 指数関数
(ア) 指数の拡張  指数を正の整数から有理数へ拡張する意義を理解すること。
(イ) 指数関数とそのグラフ  指数関数とそのグラフの特徴について理解し,それらを事象の考察に活用すること。
イ 対数関数
(ア) 対数  対数の意味とその基本的な性質について理解し,簡単な対数の計算をすること。
(イ) 対数関数とそのグラフ  対数関数とそのグラフの特徴について理解し,それらを事象の考察に活用すること。
[用語・記号] 
累乗根
logax
(4) 三角関数  角の概念を一般角まで拡張して,三角関数及び三角関数の加法定理について理解し,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 角の拡張  角の概念を一般角まで拡張する意義や弧度法による角度の表し方について理解すること。
イ 三角関数
(ア) 三角関数とそのグラフ  三角関数とそのグラフの特徴について理解すること。
(イ) 三角関数の基本的な性質  三角関数について,相互関係などの基本的な性質を理解すること。
ウ 三角関数の加法定理  三角関数の加法定理を理解し,それを用いて2倍角の公式を導くこと。
(5) 微分・積分の考え  微分・積分の考えについて理解し,それらの有用性を認識するとともに,事象の考察に活用できるようにする。
ア 微分の考え
(ア) 微分係数と導関数  微分係数や導関数の意味について理解し,関数の定数倍,和及び差の導関数を求めること。
(イ) 導関数の応用  導関数を用いて関数の値の増減や極大・極小を調べ,グラフの概形をかくこと。また,微分の考えを事象の考察に活用すること。
イ 積分の考え
(ア) 不定積分と定積分  不定積分及び定積分の意味について理解し,関数の定数倍,和及び差の不定積分や定積分を求めること。
(イ) 面積  定積分を用いて直線や関数のグラフで囲まれた図形の面積を求めること。
[用語・記号] 
極限値
lim
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)のアについては,関連して二項定理を扱うものとする。
(2) 内容の(3)のイについては,常用対数も扱うものとする。
(3) 内容の(4)のウについては,関連して三角関数の合成を扱うものとする。
(4) 内容の(5)のアについては,三次までの関数を中心に扱い,イについては,二次までの関数を中心に扱うものとする。アの(ア)の微分係数については,関数のグラフの接線に関連付けて扱うものとする。また,極限については,直観的に理解させるよう扱うものとする。
第3 数学Ⅲ
1 目標  平面上の曲線と複素数平面,極限,微分法及び積分法についての理解を深め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。
2 内容
(1) 平面上の曲線と複素数平面  平面上の曲線がいろいろな式で表されること及び複素数平面について理解し,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 平面上の曲線
(ア) 直交座標による表示  放物線,楕《だ》円,双曲線が二次式で表されること及びそれらの二次曲線の基本的な性質について理解すること。
(イ) 媒介変数による表示  媒介変数の意味及び曲線が媒介変数を用いて表されることを理解し,それらを事象の考察に活用すること。
(ウ) 極座標による表示  極座標の意味及び曲線が極方程式で表されることを理解し,それらを事象の考察に活用すること。
イ 複素数平面
(ア) 複素数の図表示  複素数平面と複素数の極形式,複素数の実数倍,和,差,積及び商の図形的な意味を理解し,それらを事象の考察に活用すること。
(イ) ド・モアブルの定理  ド・モアブルの定理について理解すること。
[用語・記号] 
焦点
準線
(2) 極限  数列や関数値の極限の概念を理解し,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 数列とその極限
(ア) 数列の極限  数列の極限について理解し,数列{rn}の極限などを基に簡単な数列の極限を求めること。また,数列の極限を事象の考察に活用すること。
(イ) 無限等比級数の和  無限級数の収束,発散について理解し,無限等比級数などの簡単な無限級数の和を求めること。また,それらを事象の考察に活用すること。
イ 関数とその極限
(ア) 分数関数と無理関数  簡単な分数関数と無理関数及びそれらのグラフの特徴について理解すること。
(イ) 合成関数と逆関数  合成関数や逆関数の意味を理解し,簡単な場合についてそれらを求めること。
(ウ) 関数値の極限  関数値の極限について理解し,それを事象の考察に活用すること。
[用語・記号]
(3) 微分法  微分法についての理解を深めるとともに,その有用性を認識し,事象の考察に活用できるようにする。
ア 導関数
(ア) 関数の和・差・積・商の導関数  関数の積及び商の導関数について理解し,関数の和,差,積及び商の導関数を求めること。
(イ) 合成関数の導関数  合成関数の導関数について理解し,合成関数の導関数を求めること。
(ウ) 三角関数・指数関数・対数関数の導関数  三角関数,指数関数及び対数関数の導関数を求めること。
イ 導関数の応用  導関数を用いて,いろいろな曲線の接線の方程式を求めたり,いろいろな関数の値の増減,極大・極小,グラフの凹凸などを調べグラフの概形をかいたりすること。また,それらを事象の考察に活用すること。
[用語・記号] 
自然対数
e
第二次導関数
変曲点
(4) 積分法  積分法についての理解を深めるとともに,その有用性を認識し,事象の考察に活用できるようにする。
ア 不定積分と定積分
(ア) 積分とその基本的な性質  不定積分及び定積分の基本的な性質についての理解を深め,それらを用いて不定積分や定積分を求めること。
(イ) 置換積分法・部分積分法  置換積分法及び部分積分法について理解し,簡単な場合についてそれらを用いて不定積分や定積分を求めること。
(ウ) いろいろな関数の積分  いろいろな関数について,工夫して不定積分や定積分を求めること。
イ 積分の応用  いろいろな曲線で囲まれた図形の面積や立体の体積及び曲線の長さなどを定積分を利用して求めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)のアの(イ)及び(ウ)については,二次曲線や内容の(3)及び(4)で取り上げる曲線を中心に扱うものとし,描画においてはコンピュータなどを積極的に活用するものとする。
(2) 内容の(2)のイの(ウ)については,関連して関数の連続性を扱うものとする。
(3) 内容の(3)のイについては,関連して直線上の点の運動や平面上の点の運動の速度及び加速度を扱うものとする。
(4) 内容の(4)のアの(イ)については,置換積分法は と置き換えるものを中心に扱うものとする。また,部分積分法は,簡単な関数について1回の適用で結果が得られるものを中心に扱うものとする。
第4 数学A
1 目標  場合の数と確率,整数の性質又は図形の性質について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察する能力を養い,数学のよさを認識できるようにするとともに,それらを活用する態度を育てる。
2 内容
(1) 場合の数と確率  場合の数を求めるときの基本的な考え方や確率についての理解を深め,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 場合の数
(ア) 数え上げの原則  集合の要素の個数に関する基本的な関係や和の法則,積の法則について理解すること。
(イ) 順列・組合せ  具体的な事象の考察を通して順列及び組合せの意味について理解し,それらの総数を求めること。
イ 確率
(ア) 確率とその基本的な法則  確率の意味や基本的な法則についての理解を深め,それらを用いて事象の確率を求めること。また,確率を事象の考察に活用すること。
(イ) 独立な試行と確率  独立な試行の意味を理解し,独立な試行の確率を求めること。また,それを事象の考察に活用すること。
(ウ) 条件付き確率  条件付き確率の意味を理解し,簡単な場合について条件付き確率を求めること。また,それを事象の考察に活用すること。
[用語・記号]
nPr
nCr
階乗
n!
排反
(2) 整数の性質  整数の性質についての理解を深め,それを事象の考察に活用できるようにする。
ア 約数と倍数  素因数分解を用いた公約数や公倍数の求め方を理解し,整数に関連した事象を論理的に考察し表現すること。
イ ユークリッドの互除法  整数の除法の性質に基づいてユークリッドの互除法の仕組みを理解し,それを用いて二つの整数の最大公約数を求めること。また,二元一次不定方程式の解の意味について理解し,簡単な場合についてその整数解を求めること。
ウ 整数の性質の活用  二進法などの仕組みや分数が有限小数又は循環小数で表される仕組みを理解し,整数の性質を事象の考察に活用すること。
(3) 図形の性質  平面図形や空間図形の性質についての理解を深め,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 平面図形
(ア) 三角形の性質  三角形に関する基本的な性質について,それらが成り立つことを証明すること。
(イ) 円の性質  円に関する基本的な性質について,それらが成り立つことを証明すること。
(ウ) 作図  基本的な図形の性質などをいろいろな図形の作図に活用すること。
イ 空間図形  空間における直線や平面の位置関係やなす角についての理解を深めること。また,多面体などに関する基本的な性質について理解し,それらを事象の考察に活用すること。
〔課題学習〕  (1),(2)及び(3)の内容又はそれらを相互に関連付けた内容を生活と関連付けたり発展させたりするなどして,生徒の関心や意欲を高める課題を設け,生徒の主体的な学習を促し,数学のよさを認識できるようにする。
3 内容の取扱い
(1) この科目は,内容の(1)から(3)までの中から適宜選択させるものとする。
(2) 課題学習については,それぞれの内容との関連を踏まえ,学習効果を高めるよう適切な時期や場面に実施するとともに,実施に当たっては数学的活動を一層重視するものとする。
第5 数学B
1 目標  確率分布と統計的な推測,数列又はベクトルについて理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を伸ばすとともに,それらを活用する態度を育てる。
2 内容
(1) 確率分布と統計的な推測  確率変数とその分布,統計的な推測について理解し,それらを不確定な事象の考察に活用できるようにする。
ア 確率分布
(ア) 確率変数と確率分布  確率変数及び確率分布について理解し,確率変数の平均,分散及び標準偏差を用いて確率分布の特徴をとらえること。
(イ) 二項分布  二項分布について理解し,それを事象の考察に活用すること。
イ 正規分布  正規分布について理解し,二項分布が正規分布で近似できることを知ること。また,それらを事象の考察に活用すること。
ウ 統計的な推測
(ア) 母集団と標本  標本調査の考え方について理解し,標本を用いて母集団の傾向を推測できることを知ること。
(イ) 統計的な推測の考え  母平均の統計的な推測について理解し,それを事象の考察に活用すること。
(2) 数列  簡単な数列とその和及び漸化式と数学的帰納法について理解し,それらを事象の考察に活用できるようにする。
ア 数列とその和
(ア) 等差数列と等比数列  等差数列と等比数列について理解し,それらの一般項及び和を求めること。
(イ) いろいろな数列  いろいろな数列の一般項や和について,その求め方を理解し,事象の考察に活用すること。
イ 漸化式と数学的帰納法
(ア) 漸化式と数列  漸化式について理解し,簡単な漸化式で表された数列について,一般項を求めること。また,漸化式を事象の考察に活用すること。
(イ) 数学的帰納法  数学的帰納法について理解し,それを用いて簡単な命題を証明するとともに,事象の考察に活用すること。
[用語・記号]
Σ
(3) ベクトル  ベクトルの基本的な概念について理解し,その有用性を認識するとともに,事象の考察に活用できるようにする。
ア 平面上のベクトル
(ア) ベクトルとその演算  ベクトルの意味,相等,和,差,実数倍,位置ベクトル及びベクトルの成分表示について理解すること。
(イ) ベクトルの内積  ベクトルの内積及びその基本的な性質について理解し,それらを平面図形の性質などの考察に活用すること。
イ 空間座標とベクトル  座標及びベクトルの考えが平面から空間に拡張できることを知ること。
3 内容の取扱い
(1) この科目は,内容の(1)から(3)までの中から適宜選択させるものとする。
第6 数学活用
1 目標  数学と人間とのかかわりや数学の社会的有用性についての認識を深めるとともに,事象を数理的に考察する能力を養い,数学を積極的に活用する態度を育てる。
2 内容
(1) 数学と人間の活動  数学が人間の活動にかかわってつくられ発展してきたことやその方法を理解するとともに,数学と文化とのかかわりについての認識を深める。
ア 数や図形と人間の活動  数量や図形に関する概念などと人間の活動や文化とのかかわりについて理解すること。
イ 遊びの中の数学  数理的なゲームやパズルなどを通して論理的に考えることのよさを認識し,数学と文化とのかかわりについて理解すること。
(2) 社会生活における数理的な考察  社会生活において数学が活用されている場面や身近な事象を数理的に考察するとともに,それらの活動を通して数学の社会的有用性についての認識を深める。
ア 社会生活と数学  社会生活などの場面で,事象を数学化し考察すること。
イ 数学的な表現の工夫  図,表,行列及び離散グラフなどを用いて,事象を数学的に表現し考察すること。
ウ データの分析  目的に応じてデータを収集し,表計算用のソフトウェアなどを用いて処理しデータ間の傾向をとらえ予測や判断をすること。
3 内容の取扱い
(1) この科目の指導に当たっては,数学的活動を一層重視し,身近な事例を取り上げるなど生徒の主体的活動を促すとともに,コンピュータなどを積極的に活用した学習が行われるよう配慮するものとする。
(2) 内容の(1)のアについては,数学における概念の形成や原理・法則の認識の過程と人間の活動や文化とのかかわりを中心として,数学史的な話題及びコンピュータを活用した問題の解決などを取り上げるものとする。
(3) 内容の(2)のアについては,経済にかかわる話題なども取り上げるものとする。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「数学Ⅱ」,「数学Ⅲ」を履修させる場合は,「数学Ⅰ」,「数学Ⅱ」,「数学Ⅲ」の順に履修させることを原則とすること。
(2) 「数学A」については,「数学Ⅰ」と並行してあるいは「数学Ⅰ」を履修した後に履修させ,「数学B」については,「数学Ⅰ」を履修した後に履修させることを原則とすること。
(3) 各科目を履修させるに当たっては,当該科目や他の科目の内容及び理科,情報科,家庭科等の内容を踏まえ,相互の関連を図るとともに,学習内容の系統性に留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の内容の[用語・記号]は,当該科目で扱う内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり,内容と密接に関連させて扱うこと。
(2) 各科目の指導に当たっては,必要に応じて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるようにすること。
3 指導に当たっては,各科目の特質に応じ数学的活動を重視し,数学を学習する意義などを実感できるようにするとともに,次の事項に配慮するものとする。
(1) 自ら課題を見いだし,解決するための構想を立て,考察・処理し,その過程を振り返って得られた結果の意義を考えたり,それを発展させたりすること。
(2) 学習した内容を生活と関連付け,具体的な事象の考察に活用すること。
(3) 自らの考えを数学的に表現し根拠を明らかにして説明したり,議論したりすること。
第5節 理科
第1款 目標  自然の事物・現象に対する関心や探究心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な自然観を育成する。
第2款 各 科 目
第1 科学と人間生活
1 目標  自然と人間生活とのかかわり及び科学技術が人間生活に果たしてきた役割について,身近な事物・現象に関する観察,実験などを通して理解させ,科学的な見方や考え方を養うとともに,科学に対する興味・関心を高める。
2 内容
(1) 科学技術の発展  科学技術の発展が今日の人間生活に対してどのように貢献してきたかについて理解させる。
(2) 人間生活の中の科学  身近な自然の事物・現象及び日常生活や社会の中で利用されている科学技術を取り上げ,科学と人間生活とのかかわりについて認識を深めさせる。
ア 光や熱の科学
(ア) 光の性質とその利用  光を中心とした電磁波の性質とその利用について理解すること。
(イ) 熱の性質とその利用  熱の性質,エネルギーの変換と保存及び有効利用について理解すること。
イ 物質の科学
(ア) 材料とその再利用  身近な材料であるプラスチックや金属の種類,性質及び用途と資源の再利用について理解すること。
(イ) 衣料と食品  身近な衣料材料の性質や用途,食品中の主な成分の性質について理解すること。
ウ 生命の科学
(ア) 生物と光  植物の生育,動物の行動及びヒトの視覚と光とのかかわりについて理解すること。
(イ) 微生物とその利用  様々な微生物の存在と生態系での働き,微生物と人間生活とのかかわりについて理解すること。
エ 宇宙や地球の科学
(ア) 身近な天体と太陽系における地球  太陽や月などの身近に見られる天体と人間生活とのかかわり,太陽系における地球について理解すること。
(イ) 身近な自然景観と自然災害  身近な自然景観の成り立ちと自然災害について,太陽の放射エネルギーによる作用や地球内部のエネルギーによる変動と関連付けて理解すること。
(3) これからの科学と人間生活  自然と人間生活とのかかわり及び科学技術が人間生活に果たしてきた役割についての学習を踏まえて,これからの科学と人間生活とのかかわり方について考察させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに,科学と人間生活とのかかわりについて理解させ,観察,実験などを中心に扱い,自然や科学技術に対する興味・関心を高めること。
イ 内容の(1)については,この科目の導入として位置付け,身近な事例を基に科学技術に対する興味・関心を高めるよう展開すること。
ウ 内容の(2)のアからエまでについては,生徒の実態等を考慮し,それぞれ(ア)又は(イ)のいずれかを選択して扱うこと。
エ 内容の(3)については,内容の(2)の学習を踏まえ,課題を適宜設けて考察させ,報告書を作成させたり発表を行う機会を設けたりすること。その際,コンピュータや情報通信ネットワークなどの適切な活用を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,身近な科学技術の例を取り上げ,その変遷と人間生活の変化とのかかわりを扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)については,光の波としての分類や性質,電磁波の利用に関して,観察,実験などを中心に扱うこと。その際,「電磁波の利用」については,電波やX線にも触れること。(イ)については,熱量保存,仕事や電流による熱の発生,エネルギーの変換に関して,観察,実験などを中心...
ウ 内容の(2)のイの(ア)については,代表的なプラスチックや金属の種類,性質に関して,観察,実験などを中心に扱うこと。その際,「プラスチック」については,その成分の違い,化学構造及び燃焼にかかわる安全性にも触れること。「金属」については,製錬や腐食とその防止にも触れること。「資源...
エ 内容の(2)のウの(ア)については,光合成と光,光に対する動物の行動,ヒトの視覚に関して,観察,実験などを中心に扱うこと。その際,「植物の生育」については,成長運動,開花にも触れること。「動物の行動」については,体内時計も取り上げ,ヒトの健康と光とのかかわりにも触れること。(イ...
オ 内容の(2)のエの(ア)については,太陽や月の運行と時や暦などとの関係,太陽が地球や人間生活に及ぼす影響,太陽系の天体及び太陽系の広がりや構造に関して,観察,実験などを中心に扱うこと。その際,天動説,地動説にも触れること。(イ)については,地域の自然景観,その変化と自然災害に関...
カ 内容の(3)については,(2)で学習した内容を踏まえ,生徒の興味・関心等に応じて,自然や科学技術に関連した事例を課題として設定し考察させること。
第2 物理基礎
1 目標  日常生活や社会との関連を図りながら物体の運動と様々なエネルギーへの関心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに,物理学の基本的な概念や原理・法則を理解させ,科学的な見方や考え方を養う。
2 内容
(1) 物体の運動とエネルギー  日常に起こる物体の運動を観察,実験などを通して探究し,その基本的な概念や法則を理解させ,運動とエネルギーについての基礎的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 運動の表し方
(ア) 物理量の測定と扱い方  身近な物理現象について,物理量の測定と表し方,分析の手法を理解すること。
(イ) 運動の表し方  物体の運動の表し方について,直線運動を中心に理解すること。
(ウ) 直線運動の加速度  物体が直線上を運動する場合の加速度を理解すること。
イ 様々な力とその働き
(ア) 様々な力  物体に様々な力が働くことを理解すること。
(イ) 力のつり合い  物体に働く力のつり合いを理解すること。
(ウ) 運動の法則  運動の三法則を理解すること。
(エ) 物体の落下運動  物体が落下する際の運動の特徴及び物体に働く力と運動の関係について理解すること。
ウ 力学的エネルギー
(ア) 運動エネルギーと位置エネルギー  運動エネルギーと位置エネルギーについて,仕事と関連付けて理解すること。
(イ) 力学的エネルギーの保存  力学的エネルギー保存の法則を仕事と関連付けて理解すること。
エ 物体の運動とエネルギーに関する探究活動  物体の運動とエネルギーに関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,物理学的に探究する能力を高めること。
(2) 様々な物理現象とエネルギーの利用  様々な物理現象を観察,実験などを通して探究し,それらの基本的な概念や法則を理解させ,物理現象とエネルギーについての基礎的な見方や考え方を身に付けさせる。
ア 熱
(ア) 熱と温度  熱と温度について,原子や分子の熱運動という視点から理解すること。
(イ) 熱の利用  熱の移動及び熱と仕事の変換について理解すること。
イ 波
(ア) 波の性質  波の性質について,直線状に伝わる場合を中心に理解すること。
(イ) 音と振動  気柱の共鳴,弦の振動及び音波の性質を理解すること。
ウ 電気
(ア) 物質と電気抵抗  物質によって抵抗率が異なることを理解すること。
(イ) 電気の利用 交流の発生,送電及び利用について,基本的な仕組みを理解すること。
エ エネルギーとその利用
(ア) エネルギーとその利用  人類が利用可能な水力,化石燃料,原子力,太陽光などを源とするエネルギーの特性や利用などについて,物理学的な視点から理解すること。
オ 物理学が拓《ひら》く世界
(ア) 物理学が拓《ひら》く世界  「物理基礎」で学んだ事柄が,日常生活やそれを支えている科学技術と結び付いていることを理解すること。
カ 様々な物理現象とエネルギーの利用に関する探究活動  様々な物理現象とエネルギーの利用に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,物理学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を考慮しながら,物理学の基本的な概念の形成を図るとともに,物理学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,各項目の学習活動と関連させながら観察,実験を行い,報告書を作成させたり発表を行う機会を設けたりすること。また,その特質に応じて,情報の収集,仮説の設定,実験の計画,実験による検証,実験データの分析・解釈,法則性の導出などの探究の方法を習得させるようにする...
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)については,「物理基礎」の学習全体に通じる手法などを扱うこと。  イの(ア)については,摩擦力,弾性力,圧力及び浮力を扱うこと。また,空間を隔てて働く力にも定性的に触れること。(イ)については,平面内で働く力のつり合いを中心に扱うこと。(ウ)については,...
イ 内容の(2)のアの(ア)については,熱現象を微視的な視点でとらえ,原子や分子の熱運動と温度の関係を定性的に扱うこと。また,内部エネルギーや物質の三態にも触れること。(イ)については,熱現象における不可逆性にも触れること。   イの(ア)については,作図を用いる方法を中心に扱うこ...
第3 物 理
1 目標  物理的な事物・現象に対する探究心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに,物理学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 様々な運動  運動とエネルギーについての基礎的な見方や考え方に基づき,物体の運動を観察,実験などを通して探究し,力と運動に関する概念や原理・法則を系統的に理解させ,それらを活用できるようにする。
ア 平面内の運動と剛体のつり合い
(ア) 曲線運動の速度と加速度  平面内を運動する物体の運動について理解すること。
(イ) 斜方投射  斜方投射された物体の運動を理解すること。
(ウ) 剛体のつり合い  大きさのある物体のつり合いを理解すること。
イ 運動量
(ア) 運動量と力積  運動量と力積の関係について理解すること。
(イ) 運動量の保存  物体の衝突や分裂における運動量の保存を理解すること。
(ウ) はね返り係数  衝突におけるはね返りについて理解すること。
ウ 円運動と単振動
(ア) 円運動  円運動をする物体の様子を表す方法やその物体に働く力などについて理解すること。
(イ) 単振動  単振動をする物体の様子を表す方法やその物体に働く力などについて理解すること。
エ 万有引力
(ア) 惑星の運動  惑星の運動に関する法則を理解すること。
(イ) 万有引力  万有引力の法則及び万有引力による物体の運動について理解すること。
オ 気体分子の運動
(ア) 気体分子の運動と圧力  気体分子の運動と圧力の関係について理解すること。
(イ) 気体の内部エネルギー  気体の内部エネルギーについて,気体の分子運動と関連付けて理解すること。
(ウ) 気体の状態変化  気体の状態変化における熱,仕事及び内部エネルギーの関係を理解すること。
カ 様々な運動に関する探究活動  様々な運動に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,物理学的に探究する能力を高めること。
(2) 波  水面波,音,光などの波動現象を観察,実験などを通して探究し,共通する基本的な概念や法則を系統的に理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 波の伝わり方
(ア) 波の伝わり方とその表し方  波の伝わり方とその表し方について理解すること。
(イ) 波の干渉と回折  波の干渉と回折について理解すること。
イ 音
(ア) 音の干渉と回折  音の干渉と回折について理解すること。
(イ) 音のドップラー効果  音のドップラー効果について理解すること。
ウ 光
(ア) 光の伝わり方  光の伝わり方について理解すること。
(イ) 光の回折と干渉  光の回折と干渉について理解すること。
エ 波に関する探究活動  波に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,物理学的に探究する能力を高めること。
(3) 電気と磁気  電気や磁気に関する現象を観察,実験などを通して探究し,電気と磁気に関する基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 電気と電流
(ア) 電荷と電界  電荷が相互に及ぼし合う力や電界の表し方を理解すること。
(イ) 電界と電位  電界と電位の関係を理解すること。
(ウ) コンデンサー  コンデンサーの性質を理解すること。
(エ) 電気回路  電気回路について理解すること。
イ 電流と磁界
(ア) 電流による磁界  電流がつくる磁界の様子を理解すること。
(イ) 電流が磁界から受ける力  電流が磁界から受ける力について理解すること。
(ウ) 電磁誘導  電磁誘導と交流について,現象や法則を理解すること。
(エ) 電磁波の性質とその利用  電磁波について,性質とその利用を理解すること。
ウ 電気と磁気に関する探究活動  電気や磁気に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,物理学的に探究する能力を高めること。
(4) 原子  電子,原子及び原子核に関する現象を観察,実験などを通して探究し,原子についての基本的な概念や原理・法則を理解させる。
ア 電子と光
(ア) 電子  電子の電荷と質量について理解すること。
(イ) 粒子性と波動性  電子や光の粒子性と波動性について理解すること。
イ 原子と原子核
(ア) 原子とスペクトル  原子の構造及びスペクトルと電子のエネルギー準位の関係について理解すること。
(イ) 原子核  原子核の構成,原子核の崩壊及び核反応について理解すること。
(ウ) 素粒子  素粒子の存在について知ること。
ウ 物理学が築く未来
(ア) 物理学が築く未来  物理学の成果が様々な分野で利用され,未来を築く新しい科学技術の基盤となっていることを理解すること。
エ 原子に関する探究活動  原子に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,物理学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 「物理基礎」との関連を考慮しながら,物理学の基本的な概念の形成を図るとともに,物理学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,「物理基礎」の3の(1)のイと同様に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)については,物体の平面内の運動を表す変位,速度及び加速度はベクトルで表されることを扱うこと。(イ)については,物体の水平投射や斜方投射における速度,加速度,重力の働きなどを扱うこと。また,空気の抵抗がある場合の落下運動にも触れること。(ウ)については,力...
イ 内容の(2)のアの(ア)については,ホイヘンスの原理,水面波の反射・屈折及び波の式を扱うこと。(イ)については,水面波を扱うこと。  イの(イ)については,観測者と音源が同一直線上を動く場合を扱うこと。  ウの(ア)については,光の速さ,波長,反射,屈折,分散,偏光などを扱い,...
ウ 内容の(3)のアの(ア)については,静電誘導も扱うこと。(ウ)については,コンデンサーの接続にも触れること。(エ)については,抵抗率の温度変化,内部抵抗も扱うこと。また,半導体にも触れること。  イの(ア)については,直線電流と円電流がつくる磁界を中心に扱うこと。(イ)について...
エ 内容の(4)のアの(ア)については,電子に関する歴史的な実験にも触れること。(イ)については,光電効果,電子線回折などを扱い,X線にも触れること。  イの(ア)については,水素原子の構造を中心にスペクトルと関連させて扱うこと。(イ)については,質量とエネルギーの等価性にも触れる...
第4 化学基礎
1 目標  日常生活や社会との関連を図りながら物質とその変化への関心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,化学的に探究する能力と態度を育てるとともに,化学の基本的な概念や原理・法則を理解させ,科学的な見方や考え方を養う。
2 内容
(1) 化学と人間生活  化学と人間生活とのかかわりについて関心を高め,化学が物質を対象とする科学であることや化学が人間生活に果たしている役割を理解させるとともに,観察,実験などを通して物質を探究する方法の基礎を身に付けさせる。
ア 化学と人間生活とのかかわり
(ア) 人間生活の中の化学  日常生活や社会を支える物質の利用とその製造の例を通して,化学に対する興味・関心を高めること。
(イ) 化学とその役割  日常生活や社会において物質が適切に使用されている例を通して,化学が果たしている役割を理解すること。
イ 物質の探究
(ア) 単体・化合物・混合物  物質の分離・精製や元素の確認などの実験を通して,単体,化合物及び混合物について理解するとともに,実験における基本操作と物質を探究する方法を身に付けること。
(イ) 熱運動と物質の三態  粒子の熱運動と温度及び物質の三態変化との関係について理解すること。
ウ 化学と人間生活に関する探究活動  化学と人間生活に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
(2) 物質の構成  原子の構造及び電子配置と周期律との関係を理解させる。また,物質の性質について観察,実験などを通して探究し,化学結合と物質の性質との関係を理解させ,物質について微視的な見方ができるようにする。
ア 物質の構成粒子
(ア) 原子の構造  原子の構造及び陽子,中性子,電子の性質を理解すること。
(イ) 電子配置と周期表  元素の周期律及び原子の電子配置と周期表の族や周期との関係について理解すること。
イ 物質と化学結合
(ア) イオンとイオン結合  イオンの生成を電子配置と関連付けて理解すること。また,イオン結合及びイオン結合でできた物質の性質を理解すること。
(イ) 金属と金属結合  金属結合及び金属の性質を理解すること。
(ウ) 分子と共有結合  共有結合を電子配置と関連付けて理解すること。また,分子からなる物質の性質を理解すること。
ウ 物質の構成に関する探究活動  物質の構成に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
(3) 物質の変化  化学反応の量的関係,酸と塩基の反応及び酸化還元反応について観察,実験などを通して探究し,化学反応に関する基本的な概念や法則を理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 物質量と化学反応式
(ア) 物質量  物質量と粒子数,質量,気体の体積との関係について理解すること。
(イ) 化学反応式  化学反応式は化学反応に関与する物質とその量的関係を表すことを理解すること。
イ 化学反応
(ア) 酸・塩基と中和  酸と塩基の性質及び中和反応に関与する物質の量的関係を理解すること。
(イ) 酸化と還元  酸化と還元が電子の授受によることを理解すること。また,酸化還元反応と日常生活や社会とのかかわりについて理解すること。
ウ 物質の変化に関する探究活動  物質の変化に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を考慮しながら,化学の基本的な概念の形成を図るとともに,化学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,各項目の学習活動と関連させながら観察,実験を行い,報告書を作成させたり発表を行う機会を設けたりすること。また,その特質に応じて,情報の収集,仮説の設定,実験の計画,実験による検証,実験データの分析・解釈などの探究の方法を習得させるようにすること。その際,...
ウ 内容の(1)のアについては,この科目の導入として位置付け,化学に対する興味・関心を高めるよう展開すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)については,代表的な金属やプラスチックを扱うこと。その際,再利用にも触れること。(イ)については,洗剤や食品添加物など身近な例を扱うこと。その際,物質の性質や使用する量が有効性と危険性に関連していることにも触れること。  イの(ア)の「物質の分離・精製」...
イ 内容の(2)のアの(ア)については,原子番号,質量数及び同位体を扱うこと。その際,放射性同位体とその利用にも触れること。(イ)の「電子配置」については,代表的な典型元素を扱うこと。「周期律」については,イオン化エネルギーの変化にも触れること。  イの(ア)については,多原子イオ...
ウ 内容の(3)のアの(ア)については,モル質量や溶液のモル濃度も扱うこと。  イの(ア)については,酸,塩基の強弱と電離度の大小との関係も扱うこと。「酸と塩基」については,水素イオン濃度とpHとの関係にも触れること。「中和反応」については,生成する塩の性質にも触れること。(イ)に...
第5 化 学
1 目標  化学的な事物・現象に対する探究心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,化学的に探究する能力と態度を育てるとともに,化学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 物質の状態と平衡  気体,液体,固体の性質を観察,実験などを通して探究し,物質の状態変化,状態間の平衡,溶解平衡及び溶液の性質について理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 物質の状態とその変化
(ア) 状態変化  物質の沸点,融点を分子間力や化学結合と関連付けて理解すること。また,状態変化に伴うエネルギーの出入り及び状態間の平衡と温度や圧力との関係について理解すること。
(イ) 気体の性質  気体の体積と圧力や温度との関係を理解すること。
(ウ) 固体の構造  結晶格子の概念及び結晶の構造を理解すること。
イ 溶液と平衡
(ア) 溶解平衡  溶解の仕組みを理解すること。また,溶解度を溶解平衡と関連付けて理解すること。
(イ) 溶液とその性質  身近な現象を通して溶媒と溶液の性質の違いを理解すること。
ウ 物質の状態と平衡に関する探究活動  物質の状態と平衡に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
(2) 物質の変化と平衡  化学反応に伴うエネルギーの出入り,反応速度及び化学平衡を観察,実験などを通して探究し,化学反応に関する概念や法則を理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 化学反応とエネルギー
(ア) 化学反応と熱・光  化学反応における熱及び光の発生や吸収は,反応の前後における物質のもつ化学エネルギーの差から生じることを理解すること。
(イ) 電気分解  外部から加えた電気エネルギーによって,電極で酸化還元反応が起こることを理解すること。また,その反応に関与した物質の変化量と電気量との関係を理解すること。
(ウ) 電池  電池は,酸化還元反応によって電気エネルギーを取り出す仕組みであることを理解すること。
イ 化学反応と化学平衡
(ア) 反応速度  反応速度の表し方及び反応速度に影響を与える要因を理解すること。
(イ) 化学平衡とその移動  可逆反応,化学平衡及び化学平衡の移動を理解すること。
(ウ) 電離平衡  水のイオン積,pH及び弱酸や弱塩基の電離平衡について理解すること。
ウ 物質の変化と平衡に関する探究活動  物質の変化と平衡に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
(3) 無機物質の性質と利用  無機物質の性質や反応を観察,実験などを通して探究し,元素の性質が周期表に基づいて整理できることを理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 無機物質
(ア) 典型元素  典型元素の単体と化合物の性質や反応を周期表と関連付けて理解すること。
(イ) 遷移元素  遷移元素の単体と化合物の性質や反応について理解すること。
イ 無機物質と人間生活
(ア) 無機物質と人間生活  無機物質が,その特徴を生かして人間生活の中で利用されていることを理解すること。
ウ 無機物質の性質と利用に関する探究活動  無機物質の性質と利用に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
(4) 有機化合物の性質と利用  有機化合物の性質や反応を観察,実験などを通して探究し,有機化合物の分類と特徴を理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 有機化合物
(ア) 炭化水素  脂肪族炭化水素の性質や反応を構造と関連付けて理解すること。
(イ) 官能基をもつ化合物  官能基をもつ脂肪族化合物の性質や反応について理解すること。
(ウ) 芳香族化合物  芳香族化合物の構造,性質及び反応について理解すること。
イ 有機化合物と人間生活
(ア) 有機化合物と人間生活  有機化合物が,その特徴を生かして人間生活の中で利用されていることを理解すること。
ウ 有機化合物の性質と利用に関する探究活動  有機化合物の性質と利用に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
(5) 高分子化合物の性質と利用  高分子化合物の性質や反応を観察,実験などを通して探究し,合成高分子化合物と天然高分子化合物の特徴を理解させるとともに,それらを日常生活や社会と関連付けて考察できるようにする。
ア 高分子化合物
(ア) 合成高分子化合物  合成高分子化合物の構造,性質及び合成について理解すること。
(イ) 天然高分子化合物  天然高分子化合物の構造や性質について理解すること。
イ 高分子化合物と人間生活
(ア) 高分子化合物と人間生活  高分子化合物が,その特徴を生かして人間生活の中で利用されていることを理解すること。
ウ 高分子化合物の性質と利用に関する探究活動  高分子化合物の性質と利用に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 「化学基礎」との関連を考慮しながら,化学の基本的な概念の形成を図るとともに,化学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,「化学基礎」の3の(1)のイと同様に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)については,融解熱や蒸発熱を扱うこと。「状態間の平衡」については,気液平衡や蒸気圧を扱うこと。(イ)については,ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を扱うこと。その際,分子量測定にも触れること。また,混合気体,分圧の法則及び実在気体も扱うこと。(...
イ 内容の(2)のアの(ア)については,熱化学方程式やヘスの法則を扱うこと。また,結合エネルギーにも触れること。(イ)については,水溶液の電気分解を中心に扱うこと。(ウ)については,水の電気分解の逆反応を用いた電池を扱うこと。また,ダニエル電池や代表的な実用電池の反応にも触れること...
ウ 内容の(3)のアの(ア)については,各族の代表的な元素の単体と化合物を扱うこと。(イ)については,クロム,マンガン,鉄,銅,銀及びそれらの化合物を扱うこと。  イの(ア)については,アで取り上げた物質のほか,人間生活に利用されている代表的な金属,セラミックスなどを扱うこと。
エ 内容の(4)のアの(イ)については,アルコール,エーテル,カルボニル化合物,カルボン酸,エステルなどを取り上げ,それらの性質は炭素骨格及び官能基により特徴付けられることを扱うこと。また,光学異性体にも触れること。(ウ)については,芳香族炭化水素,フェノール類,芳香族カルボン酸,...
オ 内容の(5)のアの(ア)については,代表的な合成繊維及びプラスチックを扱うこと。その際,合成高分子化合物の開発の歴史にも触れること。(イ)については,繊維や食物を構成している代表的な天然高分子化合物を扱うこと。また,核酸の構造にも触れること。  イの(ア)については,高分子化合...
第6 生物基礎
1 目標  日常生活や社会との関連を図りながら生物や生物現象への関心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに,生物学の基本的な概念や原理・法則を理解させ,科学的な見方や考え方を養う。
2 内容
(1) 生物と遺伝子  生物と遺伝子について観察,実験などを通して探究し,細胞の働き及びDNAの構造と機能の概要を理解させ,生物についての共通性と多様性の視点を身に付けさせる。
ア 生物の特徴
(ア) 生物の共通性と多様性  生物は多様でありながら共通性をもっていることを理解すること。
(イ) 細胞とエネルギー  生命活動に必要なエネルギーと代謝について理解すること。
イ 遺伝子とその働き
(ア) 遺伝情報とDNA  遺伝情報を担う物質としてのDNAの特徴について理解すること。
(イ) 遺伝情報の分配  DNAが複製され分配されることにより,遺伝情報が伝えられることを理解すること。
(ウ) 遺伝情報とタンパク質の合成  DNAの情報に基づいてタンパク質が合成されることを理解すること。
ウ 生物と遺伝子に関する探究活動  生物と遺伝子に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
(2) 生物の体内環境の維持  生物の体内環境の維持について観察,実験などを通して探究し,生物には体内環境を維持する仕組みがあることを理解させ,体内環境の維持と健康との関係について認識させる。
ア 生物の体内環境
(ア) 体内環境  体内環境が保たれていることを理解すること。
(イ) 体内環境の維持の仕組み  体内環境の維持に自律神経とホルモンがかかわっていることを理解すること。
(ウ) 免疫  免疫とそれにかかわる細胞の働きについて理解すること。
イ 生物の体内環境の維持に関する探究活動  生物の体内環境の維持に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
(3) 生物の多様性と生態系  生物の多様性と生態系について観察,実験などを通して探究し,生態系の成り立ちを理解させ,その保全の重要性について認識させる。
ア 植生の多様性と分布
(ア) 植生と遷移  陸上には様々な植生がみられ,植生は長期的に移り変わっていくことを理解すること。
(イ) 気候とバイオーム  気温と降水量の違いによって様々なバイオームが成立していることを理解すること。
イ 生態系とその保全
(ア) 生態系と物質循環  生態系では,物質が循環するとともにエネルギーが移動することを理解すること。
(イ) 生態系のバランスと保全  生態系のバランスについて理解し,生態系の保全の重要性を認識すること。
ウ 生物の多様性と生態系に関する探究活動  生物の多様性と生態系に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を考慮しながら,生物学の基本的な概念の形成を図るとともに,生物学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,各項目の学習活動と関連させながら観察,実験を行い,報告書を作成させたり発表を行う機会を設けたりすること。また,その特質に応じて,問題を見いだすための観察,仮説の設定,実験の計画,実験による検証,調査,実験データの分析・解釈などの探究の方法を習得させること...
ウ 内容の(1)のアの(ア)については,この科目の導入として位置付け,以後の学習においても,生物についての共通性と多様性の視点を意識させるよう展開すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)については,生物が共通性を保ちながら進化し多様化してきたこと,その共通性は起源の共有に由来することを扱うこと。その際,原核生物と真核生物の観察を行うこと。(イ)については,呼吸と光合成の概要を扱うこと。その際,酵素の触媒作用やATPの役割,ミトコンドリア...
イ 内容の(2)のアの(ア)については,体液の成分とその濃度調節を扱うこと。また,血液凝固にも触れること。(イ)については,血糖濃度の調節機構を取り上げること。その際,身近な疾患の例にも触れること。(ウ)については,身近な疾患の例にも触れること。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については,植生の成り立ちには光や土壌などが関係することを扱うこと。また,植物の環境形成作用にも触れること。(イ)については,気温と降水量に対する適応に関連付けて扱うこと。また,日本のバイオームも扱うこと。  イの(ア)の物質の「循環」については,窒素の...
第7 生 物
1 目標  生物や生物現象に対する探究心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに,生物学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 生命現象と物質  生命現象を支える物質の働きについて観察,実験などを通して探究し,タンパク質や核酸などの物質の働きを理解させ,生命現象を分子レベルでとらえさせる。
ア 細胞と分子
(ア) 生体物質と細胞  細胞の内部構造とそれを構成する物質の特徴を理解すること。
(イ) 生命現象とタンパク質  様々なタンパク質が様々な生命現象を支えていることを理解すること。
イ 代謝
(ア) 呼吸  呼吸によって有機物からエネルギーが取り出される仕組みを理解すること。
(イ) 光合成  光合成によって光エネルギーを用いて有機物がつくられる仕組みを理解すること。
(ウ) 窒素同化  窒素同化について理解すること。
ウ 遺伝情報の発現
(ア) 遺伝情報とその発現  DNAの複製の仕組み,遺伝子の発現の仕組み及び遺伝情報の変化を理解すること。
(イ) 遺伝子の発現調節  遺伝子の発現が調節されていること及びその仕組みの概要を理解すること。
(ウ) バイオテクノロジー  遺伝子を扱った技術について,その原理と有用性を理解すること。
エ 生命現象と物質に関する探究活動  生命現象と物質に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
(2) 生殖と発生  生物の生殖や発生について観察,実験などを通して探究し,動物と植物の配偶子形成から形態形成までの仕組みを理解させる。
ア 有性生殖
(ア) 減数分裂と受精  減数分裂による遺伝子の分配と受精により多様な遺伝的な組合せが生じることを理解すること。
(イ) 遺伝子と染色体  遺伝子の連鎖と組換えについて理解すること。
イ 動物の発生
(ア) 配偶子形成と受精  配偶子形成と受精の過程について理解すること。
(イ) 初期発生の過程  卵割から器官分化の始まりまでの過程について理解すること。
(ウ) 細胞の分化と形態形成  細胞の分化と形態形成の仕組みを理解すること。
ウ 植物の発生
(ア) 配偶子形成と受精,胚《はい》発生  配偶子形成と受精及び胚《はい》発生の過程について理解すること。
(イ) 植物の器官の分化  被子植物の器官の分化の過程について理解すること。
エ 生殖と発生に関する探究活動  生殖と発生に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
(3) 生物の環境応答  環境の変化に生物が反応していることについて観察,実験などを通して探究し,生物個体が外界の変化を感知し,それに反応する仕組みを理解させる。
ア 動物の反応と行動
(ア) 刺激の受容と反応  外界の刺激を受容し,神経系を介して,反応する仕組みを理解すること。
(イ) 動物の行動  刺激に対する反応としての動物個体の行動について理解すること。
イ 植物の環境応答
(ア) 植物の環境応答  植物が環境変化に反応する仕組みを理解すること。
ウ 生物の環境応答に関する探究活動  生物の環境応答に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
(4) 生態と環境  生物の個体群と群集及び生態系について観察,実験などを通して探究し,それらの構造や変化の仕組みを理解させ,生態系のバランスや生物多様性の重要性について認識させる。
ア 個体群と生物群集
(ア) 個体群  個体群とその変動について理解すること。
(イ) 生物群集  生物群集の成り立ちについて理解すること。
イ 生態系
(ア) 生態系の物質生産  生態系における物質生産とエネルギー効率について理解すること。
(イ) 生態系と生物多様性  生態系における生物多様性に影響を与える要因を理解し,生物多様性の重要性を認識すること。
ウ 生態と環境に関する探究活動  生態と環境に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
(5) 生物の進化と系統  生物の進化の過程とその仕組み及び生物の系統について,観察,実験などを通して探究し,生物界の多様性と系統を理解させ,進化についての考え方を身に付けさせる。
ア 生物の進化の仕組み
(ア) 生命の起源と生物の変遷  生命の起源と生物進化の道筋について理解すること。
(イ) 進化の仕組み  生物進化がどのようにして起こるのかを理解すること。
イ 生物の系統
(ア) 生物の系統  生物はその系統に基づいて分類できることを理解すること。
ウ 生物の進化と系統に関する探究活動  生物の進化と系統に関する探究活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,生物学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 「生物基礎」との関連を考慮しながら,生物学の基本的な概念の形成を図るとともに,生物学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,「生物基礎」の3の(1)のイと同様に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,生命現象を分子レベルでとらえるために必要な最小限の化学の知識にも触れること。
イ 内容の(1)のアの(ア)については,生体膜を扱い,細胞骨格にも触れること。(イ)については,物質輸送,情報伝達などにかかわるタンパク質を扱うこと。また,酵素については,その働きとタンパク質の立体構造との関係を扱うこと。  イの(ア)については,解糖系,クエン酸回路及び電子伝達系...
ウ 内容の(2)のアの(ア)については,性染色体の存在にも触れること。(イ)については,組換えによって遺伝子の新しい組合せが生じることを扱うこと。  イの(イ)については,胚《はい》の前後軸の決定に卵の細胞質における不均一性が関与していることを扱うこと。(ウ)については,形成体と誘...
エ 内容の(3)のアの(ア)については,受容器として眼《め》と耳を中心に,効果器として筋肉を中心に取り上げ,刺激の受容から反応までの流れを扱うこと。(イ)については,神経系の働きに関連付けられる動物の行動を扱うこと。  イの(ア)については,植物ホルモンと光受容体を扱うこと。
オ 内容の(4)のアの(ア)については,個体群内の相互作用として種内競争と社会性,個体群間の相互作用として捕食と被食,種間競争及び相利共生を扱うこと。(イ)については,多様な種が共存する仕組みを扱うこと。  イの(ア)の「物質生産」については,年間生産量を取り上げ,生産者の現存量と...
カ 内容の(5)のアの(ア)については,生物の変遷を地球環境の変化に関連付けて扱うこと。(イ)については,種分化の過程も扱うこと。  イの(ア)については,ドメインや界・門などの高次の分類群を中心に扱うこと。
第8 地学基礎
1 目標  日常生活や社会との関連を図りながら地球や地球を取り巻く環境への関心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,地学的に探究する能力と態度を育てるとともに,地学の基本的な概念や原理・法則を理解させ,科学的な見方や考え方を養う。
2 内容
(1) 宇宙における地球  宇宙の誕生と地球の形成について観察,実験などを通して探究し,宇宙と惑星としての地球の特徴を理解させる。
ア 宇宙の構成
(ア) 宇宙のすがた  宇宙の誕生と銀河の分布について理解すること。
(イ) 太陽と恒星  太陽の表面の現象と太陽のエネルギー源及び恒星としての太陽の進化を理解すること。
イ 惑星としての地球
(ア) 太陽系の中の地球  太陽系の誕生と生命を生み出す条件を備えた地球の特徴を理解すること。
(イ) 地球の形と大きさ  地球の形の特徴と大きさについて理解すること。
(ウ) 地球内部の層構造  地球内部の層構造とその状態を理解すること。
ウ 宇宙における地球に関する探究活動  宇宙における地球に関する探究活動を行い,その学習内容の理解を深めるとともに,地学的に探究する能力を高めること。
(2) 変動する地球  変動する地球について観察,実験などを通して探究し,地球がプレートの運動や太陽の放射エネルギーによって変動してきたことを理解させる。また,地球の環境と人間生活とのかかわりについて考察させる。
ア 活動する地球
(ア) プレートの運動  プレートの分布と運動及びプレート運動に伴う大地形の形成について理解すること。
(イ) 火山活動と地震  火山活動と地震の発生の仕組みについて理解すること。
イ 移り変わる地球
(ア) 地層の形成と地質構造  地層が形成される仕組みと地質構造について理解すること。
(イ) 古生物の変遷と地球環境  古生物の変遷と地球環境の変化について理解すること。
ウ 大気と海洋
(ア) 地球の熱収支  大気の構造と地球全体の熱収支について理解すること。
(イ) 大気と海水の運動  大気の大循環と海水の運動及びそれらによる地球規模の熱の輸送について理解すること。
エ 地球の環境
(ア) 地球環境の科学  地球環境の変化を科学的に考察すること。
(イ) 日本の自然環境  日本の自然環境を理解し,その恩恵や災害など自然環境と人間生活とのかかわりについて考察すること。
オ 変動する地球に関する探究活動  変動する地球に関する探究活動を行い,その学習内容の理解を深めるとともに,地学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を考慮しながら,地学の基本的な概念の形成を図るとともに,地学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,各項目の学習活動と関連させながら観察,実験などを行い,報告書を作成させたり発表を行う機会を設けたりすること。また,その特質に応じて,情報の収集,仮説の設定,実験の計画,野外観察,調査,データの分析・解釈,推論などの探究の方法を習得させるようにすること。そ...
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)の「宇宙の誕生」については,ビッグバンを扱い,水素やヘリウムがつくられたことにも触れること。「銀河の分布」については,大規模構造にも触れること。(イ)の「太陽の表面の現象」については,スペクトルも扱うこと。また,恒星の進化の過程で元素が生成されることにも...
イ 内容(2)のアの(ア)については,マントル内のプルームの存在にも触れること。(イ)の「火山活動」については,プレートの発散境界や収束境界における火山活動を扱い,ホットスポットにおける火山活動にも触れること。また,火成岩の観察を行うこと。「地震の発生の仕組み」については,プレート...
第9 地 学
1 目標  地学的な事物・現象に対する探究心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,地学的に探究する能力と態度を育てるとともに,地学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 地球の概観  地球の形状や内部構造を観察,実験などを通して探究し,地球の概観を理解させる。
ア 地球の形状
(ア) 地球の形と重力  地球の形状と重力とのかかわりを理解すること。
(イ) 地球の磁気  地磁気の特徴とその働きを理解すること。
イ 地球の内部
(ア) 地球の内部構造  地震波の伝わり方に基づいて地球内部の構造を理解すること。
(イ) 地球内部の状態と物質  地球内部の温度,密度,圧力及び構成物質の組成について理解すること。
ウ 地球の概観に関する探究活動  地球の概観に関する探究活動を行い,その学習内容の理解を深めるとともに,地学的に探究する能力を高めること。
(2) 地球の活動と歴史  地球に見られる様々な事物・現象を観察,実験などを通して探究し,地球の活動と歴史を理解させる。
ア 地球の活動
(ア) プレートテクトニクス  プレートテクトニクスとその成立過程を理解すること。
(イ) 地震と地殻変動  プレート境界における地震活動の特徴とそれに伴う地殻変動などについて理解すること。
(ウ) 火成活動  マグマの発生と分化及び火成岩の形成について理解すること。
(エ) 変成作用と変成岩  変成作用や変成岩の特徴及び造山帯について理解すること。
イ 地球の歴史
(ア) 地表の変化  風化,侵食,運搬及び堆《たい》積の諸作用による地形の形成について理解すること。
(イ) 地層の観察  地層に関する野外観察や実験などを通して,地質時代における地球環境や地殻変動について理解すること。
(ウ) 地球環境の変遷  大気,海洋,大陸及び古生物などの変遷を基に地球環境の移り変わりを総合的に理解すること。
(エ) 日本列島の成り立ち  島弧としての日本列島の地学的な特徴と形成史を理解すること。
ウ 地球の活動と歴史に関する探究活動  地球の活動と歴史に関する探究活動を行い,その学習内容の理解を深めるとともに,地学的に探究する能力を高めること。
(3) 地球の大気と海洋  地球の大気と海洋の事物・現象を観察,実験などを通して探究し,大気と海洋の構造や運動を理解させる。
ア 大気の構造と運動
(ア) 大気の構造  大気の組成と構造を理解すること。
(イ) 大気の運動と気象  大循環と対流による現象及び日本や世界の気象の特徴を理解すること。
イ 海洋と海水の運動
(ア) 海洋の構造  海水の組成と海洋の構造を理解すること。
(イ) 海水の運動  海水の運動や循環及び海洋と大気の相互作用について理解すること。
ウ 地球の大気と海洋に関する探究活動  地球の大気と海洋に関する探究活動を行い,その学習内容の理解を深めるとともに,地学的に探究する能力を高めること。
(4) 宇宙の構造  宇宙に関する事物・現象を観察,実験などを通して探究し,宇宙の構造について理解させる。
ア 太陽系
(ア) 地球の自転と公転  地球の自転と公転の証拠となる現象を理解すること。
(イ) 太陽系天体とその運動  太陽系天体の特徴と惑星の運動を理解すること。
(ウ) 太陽の活動  太陽の活動と内部構造を理解すること。
イ 恒星と銀河系
(ア) 恒星の性質と進化  恒星の性質と進化について理解すること。
(イ) 銀河系の構造  銀河系の構成天体とその分布について理解すること。
ウ 銀河と宇宙
(ア) 様々な銀河  様々な銀河の存在や銀河の後退運動を理解すること。
(イ) 膨張する宇宙  現代の宇宙像の概要を理解すること。
エ 宇宙の構造に関する探究活動  宇宙の構造に関する探究活動を行い,その学習内容の理解を深めるとともに,地学的に探究する能力を高めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 「地学基礎」との関係を考慮しながら,地学の基本的な概念の形成を図るとともに,地学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,「地学基礎」の3の(1)のイと同様に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)については,地球楕《だ》円体や地球表面における重力を扱い,ジオイドや重力異常にも触れること。(イ)については,地磁気の三要素及び磁気圏と太陽風との関連を扱うこと。また,地磁気の原因と古地磁気にも触れること。  イの(ア)については,走時曲線を扱い,地震波...
イ 内容の(2)のアの(ア)については,マントル内のプルームも扱うこと。(イ)については,世界の地震帯の特徴をプレート運動と関連付けて扱うこと。また,日本列島付近におけるプレート間地震やプレート内地震の特徴も扱うこと。地殻変動については,活断層と地形との関係にも触れること。(ウ)に...
ウ 内容の(3)のアの(ア)の大気の「組成」については,大気中の水分も扱うこと。大気の「構造」については,各圏の特徴と大気における熱収支を扱うこと。(イ)の「大循環」による現象については,偏西風波動と地上の高気圧・低気圧との関係も扱うこと。「対流」による現象については,大気の安定・...
エ 内容の(4)のアの(ア)の「自転」については,フーコーの振り子を扱うこと。「公転」については,年周視差と年周光行差を扱うこと。また,時刻と太陽暦にも触れること。(イ)の「太陽系天体の特徴」については,観測や探査機による研究成果を踏まえて特徴を扱うこと。「惑星の運動」については,...
第10 理科課題研究
1 目標  科学に関する課題を設定し,観察,実験などを通して研究を行い,科学的に探究する能力と態度を育てるとともに,創造性の基礎を培う。
2 内容
(1) 特定の自然の事物・現象に関する研究
(2) 先端科学や学際的領域に関する研究
(3) 自然環境の調査に基づく研究
(4) 科学を発展させた実験に関する研究
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成とその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から,個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 指導に効果的な場合には,大学や研究機関,博物館などと積極的に連携,協力を図ること。
ウ 研究の成果について,報告書を作成させ,発表を行う機会を設けること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,高等学校理科の内容と関連させて扱うこと。
イ 内容の(4)については,科学の歴史における著名な実験などを行い,原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「物理」,「化学」,「生物」及び「地学」の各科目については,原則として,それぞれに対応する基礎を付した科目を履修した後に履修させること。
(2) 「理科課題研究」については,一つ以上の基礎を付した科目を履修した後に履修させること。また,課題の特性や学校の実態に応じて,授業を特定の期間に実施するなど,指導を効果的に行うこと。
(3) 各科目の指導に当たっては,大学や研究機関,博物館などと積極的に連携,協力を図るようにすること。
(4) 各科目を履修させるに当たっては,当該科目や他の科目の内容及び数学科や家庭科等の内容を踏まえ,相互の関連を図るとともに,学習の内容の系統性に留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の指導に当たっては,観察,実験などの結果を分析し解釈して自らの考えを導き出し,それらを表現するなどの学習活動を充実すること。
(2) 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度の育成を図ること。また,環境問題や科学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については,持続可能な社会をつくることの重要性も踏まえながら,科学的な見地から取り扱うこと。
(3) 観察,実験,野外観察,調査などの指導に当たっては,関連する法規等に従い,事故防止について十分留意するとともに,使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(4) 各科目の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の収集・検索,計測・制御,結果の集計・処理などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用すること。
第6節 保 健 体 育
第1款 目標  心と体を一体としてとらえ,健康・安全や運動についての理解と運動の合理的,計画的な実践を通して,生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り,明るく豊かで活力ある生活を営む態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 体 育
1 目標  運動の合理的,計画的な実践を通して,知識を深めるとともに技能を高め,運動の楽しさや喜びを深く味わうことができるようにし,自己の状況に応じて体力の向上を図る能力を育て,公正,協力,責任,参画などに対する意欲を高め,健康・安全を確保して,生涯にわたって豊かなスポーツライフを...
2 内容
A 体つくり運動
(1) 次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,健康の保持増進や体力の向上を図り,目的に適した運動の計画や自己の体力や生活に応じた運動の計画を立て,実生活に役立てることができるようにする。
ア 体ほぐしの運動では,心と体は互いに影響し変化することに気付き,体の状態に応じて体の調子を整え,仲間と積極的に交流するための手軽な運動や律動的な運動を行うこと。
イ 体力を高める運動では,自己のねらいに応じて,健康の保持増進や調和のとれた体力の向上を図るための継続的な運動の計画を立て取り組むこと。
(2) 体つくり運動に主体的に取り組むとともに,体力などの違いに配慮しようとすること,役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること,合意形成に貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 体つくり運動の行い方,体力の構成要素,実生活への取り入れ方などを理解し,自己や仲間の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
B 器械運動
(1) 次の運動について,技がよりよくできる楽しさや喜びを味わい,自己に適した技を高めて,演技することができるようにする。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を滑らかに行うこと,それらを構成し演技すること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を滑らかに行うこと,それらを構成し演技すること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を滑らかに行うこと,それらを構成し演技すること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技,発展技を滑らかに行うこと。
(2) 器械運動に主体的に取り組むとともに,役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること,合意形成に貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技の名称や行い方,体力の高め方,課題解決の方法,発表の仕方などを理解し,自己や仲間の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
C 陸上競技
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,各種目特有の技能を高めることができるようにする。
ア 競走  短距離走・リレーでは,中間走の高いスピードを維持して速く走ること,長距離走では,ペースの変化に対応するなどして走ること,ハードル走では,スピードを維持した走りからハードルを低くリズミカルに越すこと。
イ 跳躍  走り幅跳びでは,スピードに乗った助走と力強い踏み切りから着地までの動きを滑らかにして跳ぶこと,走り高跳びでは,スピードのあるリズミカルな助走から力強く踏み切り,滑らかな空間動作で跳ぶこと,三段跳びでは,短い助走からリズミカルに連続して跳ぶこと。
ウ 投てき  砲丸投げでは,立ち投げなどから砲丸を突き出して投げること,やり投げでは,短い助走からやりを前方にまっすぐ投げること。
(2) 陸上競技に主体的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること,合意形成に貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,課題解決の方法,競技会の仕方などを理解し,自己や仲間の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
D 水 泳
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,自己に適した泳法の効率を高めて,泳ぐことができるようにする。
ア クロールでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,伸びのある動作と安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
イ 平泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,伸びのある動作と安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
ウ 背泳ぎでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
エ バタフライでは,手と足,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
オ 複数の泳法で長く泳ぐこと又はリレーをすること。
(2) 水泳に主体的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること,合意形成に貢献しようとすることなどや,水泳の事故防止に関する心得など健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術の名称や行い方,体力の高め方,課題解決の方法,競技会の仕方などを理解し,自己や仲間の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
E 球 技
(1) 次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,作戦や状況に応じた技能や仲間と連携した動きを高めてゲームが展開できるようにする。
ア ゴール型では,状況に応じたボール操作と空間を埋めるなどの動きによって空間への侵入などから攻防を展開すること。
イ ネット型では,状況に応じたボール操作や安定した用具の操作と連携した動きによって空間を作りだすなどの攻防を展開すること。
ウ ベースボール型では,状況に応じたバット操作と走塁での攻撃,安定したボール操作と状況に応じた守備などによって攻防を展開すること。
(2) 球技に主体的に取り組むとともに,フェアなプレイを大切にしようとすること,役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること,合意形成に貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 技術などの名称や行い方,体力の高め方,課題解決の方法,競技会の仕方などを理解し,チームや自己の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
F 武 道
(1) 次の運動について,技を高め勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,得意技を用いた攻防が展開できるようにする。
ア 柔道では,相手の多様な動きに応じた基本動作から,得意技や連絡技・変化技を用いて,素早く相手を崩して投げたり,抑えたり,返したりするなどの攻防を展開すること。
イ 剣道では,相手の多様な動きに応じた基本動作から,得意技を用いて,相手の構えを崩し,素早くしかけたり応じたりするなどの攻防を展開すること。
(2) 武道に主体的に取り組むとともに,相手を尊重し,礼法などの伝統的な行動の仕方を大切にしようとすること,役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) 伝統的な考え方,技の名称や見取り稽《けい》古,体力の高め方,課題解決の方法,試合の仕方などを理解し,自己や仲間の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
G ダンス
(1) 次の運動について,感じを込めて踊ったり,仲間と自由に踊ったりする楽しさや喜びを味わい,それぞれ特有の表現や踊りを高めて交流や発表ができるようにする。
ア 創作ダンスでは,表したいテーマにふさわしいイメージをとらえ,個や群で,対極の動きや空間の使い方で変化を付けて即興的に表現したり,イメージを強調した作品にまとめたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,踊り方の特徴を強調して,音楽に合わせて多様なステップや動きと組み方で仲間と対応して踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴を強調して全身で自由に踊ったり,変化とまとまりを付けて仲間と対応したりして踊ること。
(2) ダンスに主体的に取り組むとともに,互いに共感し高め合おうとすること,役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること,合意形成に貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保することができるようにする。
(3) ダンスの名称や用語,文化的背景と表現の仕方,体力の高め方,課題解決の方法,交流や発表の仕方などを理解し,グループや自己の課題に応じた運動を継続するための取り組み方を工夫できるようにする。
H 体育理論
(1) スポーツの歴史,文化的特性や現代のスポーツの特徴について理解できるようにする。
ア スポーツは,人類の歴史とともに始まり,その理念が時代に応じて変容してきていること。また,我が国から世界に普及し,発展しているスポーツがあること。
イ スポーツの技術や戦術,ルールは,用具の改良やメディアの発達に伴い変わり続けていること。
ウ 現代のスポーツは,国際親善や世界平和に大きな役割を果たしており,その代表的なものにオリンピックムーブメントがあること。また,ドーピングは,フェアプレイの精神に反するなど,能力の限界に挑戦するスポーツの文化的価値を失わせること。
エ 現代のスポーツは,経済的な波及効果があり,スポーツ産業が経済の中で大きな影響を及ぼしていること。
(2) 運動やスポーツの効果的な学習の仕方について理解できるようにする。
ア 運動やスポーツの技術は,学習を通して技能として発揮されるようになること。また,技術の種類に応じた学習の仕方があること。
イ 運動やスポーツの技能の上達過程にはいくつかの段階があり,その学習の段階に応じた練習方法や運動観察の方法,課題の設定方法などがあること。
ウ 運動やスポーツの技能と体力は,相互に関連していること。また,期待する成果に応じた技能や体力の高め方があること。
エ 運動やスポーツを行う際は,気象条件の変化など様々な危険を予見し,回避することが求められること。
(3) 豊かなスポーツライフの設計の仕方について理解できるようにする。
ア スポーツは,各ライフステージにおける身体的,心理的,社会的特徴に応じた楽しみ方があること。また,その楽しみ方は,個人のスポーツに対する欲求などによっても変化すること。
イ 生涯にわたってスポーツを継続するためには,自己に適した運動機会をもつこと,施設などを活用して活動の場をもつこと,ライフスタイルに応じたスポーツとのかかわり方を見付けることなどが必要であること。
ウ スポーツの振興は,様々な施策や組織,人々の支援や参画によって支えられていること。
エ スポーツを行う際は,スポーツが環境にもたらす影響を考慮し,持続可能な社会の実現に寄与する責任ある行動が求められること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A体つくり運動」から「H体育理論」までの領域については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,各年次においてすべての生徒に履修させること。
イ 入学年次においては,「B器械運動」,「C陸上競技」,「D水泳」及び「Gダンス」についてはこれらの中から一つ以上を,「E球技」及び「F武道」についてはこれらの中から一つ以上をそれぞれ選択して履修できるようにすること。その次の年次以降においては,「B器械運動」から「Gダンス」までの...
(2) 内容の「A体つくり運動」から「H体育理論」までに示す事項については,各年次において次のとおり取り扱うものとする。
ア 「A体つくり運動」に示す事項については,すべての生徒に履修させること。なお,「A体つくり運動」の(1)のアの運動については,「B器械運動」から「Gダンス」までにおいても関連を図って指導することができるとともに,「保健」における精神の健康などの内容との関連を図ること。「A体つくり...
イ 「B器械運動」の(1)の運動については,アからエまでの中から選択して履修できるようにすること。
ウ 「C陸上競技」の(1)の運動については,アからウまでに示す運動の中から選択して履修できるようにすること。
エ 「D水泳」の(1)の運動については,アからオまでの中から選択して履修できるようにすること。また,スタートの指導については,段階的な指導を行うとともに安全を十分に確保すること。また,「保健」における応急手当の内容との関連を図ること。
オ 「E球技」の(1)の運動については,入学年次においては,アからウまでの中から二つを,その次の年次以降においては,アからウまでの中から一つを選択して履修できるようにすること。また,アについては,バスケットボール,ハンドボール,サッカー,ラグビーの中から,イについては,バレーボール...
カ 「F武道」の(1)の運動については,ア又はイのいずれかを選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,相撲,なぎなた,弓道などのその他の武道についても履修させることができること。
キ 「Gダンス」の(1)の運動については,アからウまでの中から選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,社交ダンスなどのその他のダンスについても履修させることができること。
ク 「H体育理論」については,(1)は入学年次,(2)はその次の年次,(3)はそれ以降の年次で取り上げること。
(3) 内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域及び運動については,地域や学校の実態及び生徒の特性や選択履修の状況等を踏まえるとともに,安全を十分に確保した上で,生徒が自由に選択して履修することができるよう配慮するものとする。指導に当たっては,内容の「B器械運動」から「Gダン...
(4) 自然とのかかわりの深いスキー,スケートや水辺活動などの指導については,地域や学校の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとする。また,レスリングについても履修させることができるものとする。
(5) 集合,整頓《とん》,列の増減,方向変換などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団としての行動ができるようにするための指導については,内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域において適切に行うものとする。
(6) 筋道を立てて練習や作戦について話し合う活動などを通して,コミュニケーション能力や論理的な思考力の育成を促し,主体的な学習活動が充実するよう配慮するものとする。
第2 保 健
1 目標  個人及び社会生活における健康・安全について理解を深めるようにし,生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 現代社会と健康  我が国の疾病構造や社会の変化に対応して,健康を保持増進するためには,個人の行動選択やそれを支える社会環境づくりなどが大切であるというヘルスプロモーションの考え方を生かし,人々が自らの健康を適切に管理すること及び環境を改善していくことが重要であることを理解で...
ア 健康の考え方  健康の考え方は,国民の健康水準の向上や疾病構造の変化に伴って変わってきていること。また,健康は,様々な要因の影響を受けながら,主体と環境の相互作用の下に成り立っていること。  健康の保持増進には,健康に関する個人の適切な意志決定や行動選択及び環境づくりがかかわる...
イ 健康の保持増進と疾病の予防  健康の保持増進と生活習慣病の予防には,食事,運動,休養及び睡眠の調和のとれた生活を実践する必要があること。  喫煙と飲酒は,生活習慣病の要因になること。また,薬物乱用は,心身の健康や社会に深刻な影響を与えることから行ってはならないこと。それらの対策...
ウ 精神の健康  人間の欲求と適応機制には,様々な種類があること。精神と身体には,密接な関連があること。また,精神の健康を保持増進するには,欲求やストレスに適切に対処するとともに,自己実現を図るよう努力していくことが重要であること。
エ 交通安全  交通事故を防止するには,車両の特性の理解,安全な運転や歩行など適切な行動,自他の生命を尊重する態度,交通環境の整備などがかかわること。また,交通事故には責任や補償問題が生じること。
オ 応急手当  適切な応急手当は,傷害や疾病の悪化を軽減できること。応急手当には,正しい手順や方法があること。また,心肺蘇《そ》生等の応急手当は,傷害や疾病によって身体が時間の経過とともに損なわれていく場合があることから,速やかに行う必要があること。
(2) 生涯を通じる健康  生涯の各段階において健康についての課題があり,自らこれに適切に対応する必要があること及び我が国の保健・医療制度や機関を適切に活用することが重要であることについて理解できるようにする。
ア 生涯の各段階における健康   生涯にわたって健康を保持増進するには,生涯の各段階の健康課題に応じた自己の健康管理及び環境づくりがかかわっていること。
イ 保健・医療制度及び地域の保健・医療機関  生涯を通じて健康の保持増進をするには,保健・医療制度や地域の保健所,保健センター,医療機関などを適切に活用することが重要であること。  また,医薬品は,有効性や安全性が審査されており,販売には制限があること。疾病からの回復や悪化の防止に...
ウ 様々な保健活動や対策  我が国や世界では,健康課題に対応して様々な保健活動や対策などが行われていること。
(3) 社会生活と健康  社会生活における健康の保持増進には,環境や食品,労働などが深くかかわっていることから,環境と健康,環境と食品の保健,労働と健康にかかわる活動や対策が重要であることについて理解できるようにする。
ア 環境と健康  人間の生活や産業活動は,自然環境を汚染し健康に影響を及ぼすこともあること。それらを防ぐには,汚染の防止及び改善の対策をとる必要があること。
イ 環境と食品の保健  環境衛生活動は,学校や地域の環境を健康に適したものとするよう基準が設定され,それに基づき行われていること。また,食品衛生活動は,食品の安全性を確保するよう基準が設定され,それに基づき行われていること。
ウ 労働と健康  労働災害の防止には,作業形態や作業環境の変化に起因する傷害や職業病などを踏まえた適切な健康管理及び安全管理をする必要があること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)のイ及び(3)のイについては,食育の観点を踏まえつつ,健康的な生活習慣の形成に結び付くよう配慮するものとする。
(2) 内容の(1)のイの喫煙と飲酒,薬物乱用については,疾病との関連,社会への影響などについて総合的に取り扱い,薬物については,麻薬,覚せい剤,大麻等を扱うものとする。
(3) 内容の(1)のウについては,大脳の機能,神経系及び内分泌系の機能について必要に応じ関連付けて扱う程度とする。また,「体育」における体ほぐしの運動との関連を図るよう配慮するものとする。
(4) 内容の(1)のエについては,二輪車及び自動車を中心に取り上げるものとする。また,自然災害などによる傷害の防止についても,必要に応じ関連付けて扱うよう配慮するものとする。
(5) 内容の(1)のオについては,実習を行うものとし,呼吸器系及び循環器系の機能については,必要に応じ関連付けて扱う程度とする。また,効果的な指導を行うため,「体育」の「D水泳」などとの関連を図るよう配慮するものとする。
(6) 内容の(2)のアについては,思春期と健康,結婚生活と健康及び加齢と健康を取り扱うものとする。また,生殖に関する機能については,必要に応じ関連付けて扱う程度とする。責任感を涵《かん》養することや異性を尊重する態度が必要であること,及び性に関する情報等への適切な対処についても扱...
(7) 内容の(3)のアについては,廃棄物の処理と健康についても触れるものとする。
(8) 指導に際しては,知識を活用する学習活動を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うものとする。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1章総則第1款の3に示す学校における体育・健康に関する指導の趣旨を生かし,特別活動,運動部の活動などとの関連を図り,日常生活における体育・健康に関する活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意するものとする。なお,体力の測定については,計画的に実施し,運動の指導及び体力の向...
(2) 「体育」は,各年次継続して履修できるようにし,各年次の単位数はなるべく均分して配当するものとする。なお,内容の「A体つくり運動」に対する授業時数については,各年次で7~10単位時間程度を,内容の「H体育理論」に対する授業時数については,各年次で6単位時間以上を配当するととも...
(3) 「保健」は,原則として入学年次及びその次の年次の2か年にわたり履修させるものとする。
2 各科目の指導に当たっては,その特質を踏まえ,必要に応じて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
第7節 芸   術
第1款 目標  芸術の幅広い活動を通して,生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,芸術の諸能力を伸ばし,芸術文化についての理解を深め,豊かな情操を養う。
第2款 各 科 目
第1 音楽Ⅰ
1 目標  音楽の幅広い活動を通して,生涯にわたり音楽を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばし,音楽文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 歌唱
ア 曲想を歌詞の内容や楽曲の背景とかかわらせて感じ取り,イメージをもって歌うこと。
イ 曲種に応じた発声の特徴を生かし,表現を工夫して歌うこと。
ウ 様々な表現形態による歌唱の特徴を生かし,表現を工夫して歌うこと。
エ 音楽を形づくっている要素を知覚し,それらの働きを感受して歌うこと。
(2) 器楽
ア 曲想を楽曲の背景とかかわらせて感じ取り,イメージをもって演奏すること。
イ 楽器の音色や奏法の特徴を生かし,表現を工夫して演奏すること。
ウ 様々な表現形態による器楽の特徴を生かし,表現を工夫して演奏すること。
エ 音楽を形づくっている要素を知覚し,それらの働きを感受して演奏すること。
(3) 創作
ア 音階を選んで旋律をつくり,その旋律に副次的な旋律や和音などを付けて,イメージをもって音楽をつくること。
イ 音素材の特徴を生かし,反復,変化,対照などの構成を工夫して,イメージをもって音楽をつくること。
ウ 音楽を形づくっている要素の働きを変化させ,イメージをもって変奏や編曲をすること。
エ 音楽を形づくっている要素を知覚し,それらの働きを感受して音楽をつくること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 声や楽器の音色の特徴と表現上の効果とのかかわりを感じ取って鑑賞すること。
イ 音楽を形づくっている要素を知覚し,それらの働きを感受して鑑賞すること。
ウ 楽曲の文化的・歴史的背景や,作曲者及び演奏者による表現の特徴を理解して鑑賞すること。
エ 我が国や郷土の伝統音楽の種類とそれぞれの特徴を理解して鑑賞すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容のA及びBの指導に当たっては,中学校音楽科との関連を十分に考慮し,それぞれ特定の活動のみに偏らないようにするとともに,A及びB相互の関連を図るものとする。
(2) 生徒の特性等を考慮し,内容のAの(3)のア,イ又はウのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(3) 内容のAの指導に当たっては,生徒の特性等を考慮し,視唱と視奏及び読譜と記譜の指導を含めるものとする。
(4) 内容のAの指導に当たっては,我が国の伝統的な歌唱及び和楽器を含めて扱うようにする。また,内容のBのエとの関連を図るよう配慮するものとする。
(5) 内容のAの(3)の指導に当たっては,即興的に音を出しながら音のつながり方を試すなど,音を音楽へと構成することを重視するとともに,作品を記録する方法を工夫させるものとする。
(6) 内容のBの指導に当たっては,楽曲や演奏について根拠をもって批評する活動などを取り入れるようにする。
(7) 内容のA及びBの教材については,地域や学校の実態等を考慮し,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽から幅広く扱うようにする。また,Bの教材については,アジア地域の諸民族の音楽を含めて扱うようにする。
(8) 音や音楽と生活や社会とのかかわりを考えさせ,音環境への関心を高めるよう配慮するものとする。また,音楽に関する知的財産権などについて配慮し,著作物等を尊重する態度の形成を図るようにする。
第2 音楽Ⅱ
1 目標  音楽の諸活動を通して,生涯にわたり音楽を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,個性豊かな表現の能力と主体的な鑑賞の能力を伸ばし,音楽文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 歌唱
ア 曲想を歌詞の内容や楽曲の背景とかかわらせて理解し,イメージをもって歌うこと。
イ 曲種に応じた発声の特徴と表現上の効果とのかかわりを理解し,表現を工夫して歌うこと。
ウ 様々な表現形態による歌唱の特徴と表現上の効果とのかかわりを理解し,表現を工夫して歌うこと。
エ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを理解して歌うこと。
(2) 器楽
ア 曲想を楽曲の背景とかかわらせて理解し,イメージをもって演奏すること。
イ 楽器の音色や奏法の特徴と表現上の効果とのかかわりを理解し,表現を工夫して演奏すること。
ウ 様々な表現形態による器楽の特徴と表現上の効果とのかかわりを理解し,表現を工夫して演奏すること。
エ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを理解して演奏すること。
(3) 創作
ア 音階を選んで旋律をつくり,その旋律に副次的な旋律や和音などを付けて,イメージをもって創造的に音楽をつくること。
イ 音素材の特徴を生かし,反復,変化,対照などの構成を工夫して,イメージをもって創造的に音楽をつくること。
ウ 音楽を形づくっている要素の働きを変化させ,イメージをもって創造的に変奏や編曲をすること。
エ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを理解して音楽をつくること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 声や楽器の音色の特徴と表現上の効果とのかかわりを理解して鑑賞すること。
イ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを理解して鑑賞すること。
ウ 楽曲の文化的・歴史的背景や,作曲者及び演奏者による表現の特徴について理解を深めて鑑賞すること。
エ 我が国や郷土の伝統音楽の種類とそれぞれの特徴について理解を深めて鑑賞すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容のA及びBの指導に当たっては,相互の関連を図るものとする。また,生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(1),(2)又は(3)のうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 内容のBの指導に当たっては,我が国や郷土の伝統音楽を含む多様な音楽文化について理解を深める観点から,適切かつ十分な授業時数を配当するものとする。
(3) 内容の取扱いに当たっては,「音楽Ⅰ」の3の(2)から(8)までと同様に取り扱うものとする。
第3 音楽Ⅲ
1 目標  音楽の諸活動を通して,生涯にわたり音楽を愛好する心情と音楽文化を尊重する態度を育てるとともに,感性を磨き,個性豊かな音楽の能力を高める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 歌唱
ア 楽曲の表現内容を総合的に理解し,表現意図をもって創造的に歌うこと。
イ 様々な表現形態による歌唱の特徴を理解し,表現上の効果を生かして歌うこと。
(2) 器楽
ア 楽曲の表現内容を総合的に理解し,表現意図をもって創造的に演奏すること。
イ 様々な表現形態による器楽の特徴を理解し,表現上の効果を生かして演奏すること。
(3) 創作
ア 様々な音素材の表現効果を生かした構成を工夫して,表現意図をもって個性豊かに音楽をつくること。
イ 様々な様式や演奏形態の特徴を理解し,表現意図をもって個性豊かに音楽をつくること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 音楽の構造上の特徴と美しさとのかかわりを理解して鑑賞すること。
イ 現代の我が国及び諸外国の音楽の特徴を理解して鑑賞すること。
ウ 音楽と他の芸術や文化とのかかわりを理解して鑑賞すること。
エ 生活及び社会における音楽や音楽にかかわる人々の役割を理解して鑑賞すること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(1),(2),(3)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 内容のA及びBの教材については,地域や学校の実態等を考慮し,我が国や郷土の伝統音楽を含めて扱うようにする。
(3) 内容の取扱いに当たっては,「音楽Ⅰ」の3の(3),(5),(6)及び(8)と同様に取り扱うものとする。
第4 美術Ⅰ
1 目標  美術の幅広い創造活動を通して,美的体験を豊かにし,生涯にわたり美術を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばし,美術文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 絵画・彫刻
ア 感じ取ったことや考えたこと,夢や想像などから主題を生成すること。
イ 表現形式の特性を生かし,形体,色彩,構成などを工夫して創造的な表現の構想を練ること。
ウ 意図に応じて材料や用具の特性を生かすこと。
エ 表現方法を工夫し,主題を追求して表現すること。
(2) デザイン
ア 目的,機能,美しさなどを考えて主題を生成すること。
イ 表現形式の特性,形や色彩などの造形要素の働きを考え,創造的な表現の構想を練ること。
ウ 意図に応じて材料や用具の特性を生かすこと。
エ 表現方法を工夫し,目的や計画を基に表現すること。
(3) 映像メディア表現
ア 感じ取ったことや考えたこと,目的や機能などを基に,映像メディアの特性を生かして主題を生成すること。
イ 色光,視点,動きなどの映像表現の視覚的要素を工夫して表現の構想を練ること。
ウ 意図に応じて映像メディア機器等の用具の特性を生かすこと。
エ 表現方法や編集を工夫して表現すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 美術作品などのよさや美しさ,作者の心情や意図と表現の工夫などを感じ取り,理解を深めること。
イ 映像メディア表現の特質や表現の効果などを感じ取り,理解すること。
ウ 自然と美術とのかかわり,生活や社会を心豊かにする美術の働きについて考え,理解を深めること。
エ 日本の美術の歴史や表現の特質,日本及び諸外国の美術文化について理解を深めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容のA及びBの指導に当たっては,中学校美術科との関連を十分に考慮し,A及びB相互の関連を図るとともに,Bの指導については,適切かつ十分な授業時数を配当するものとする。
(2) 内容のAの(1)については,生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,絵画と彫刻のいずれかを選択したり一体的に扱ったりすることができる。また,(2)及び(3)についてはいずれかを選択して扱うことができる。その際,感じ取ったことや考えたことなどを基にした表現と,目的や機能などを考...
(3) 内容のAの指導に当たっては,スケッチやデッサンなどにより観察力,思考力,描写力などが十分高まるよう配慮するものとする。
(4) 内容のBの指導に当たっては,作品について互いに批評し合う活動などを取り入れるようにする。
(5) 内容のBについては,日本の美術も重視して扱うとともに,アジアの美術などについても扱うようにする。
(6) 美術に関する知的財産権や肖像権などについて配慮し,自己や他者の著作物等を尊重する態度の形成を図るようにする。
(7) 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導などを徹底するものとする。
第5 美術Ⅱ
1 目標  美術の創造的な諸活動を通して,美的体験を豊かにし,生涯にわたり美術を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,個性豊かな表現と鑑賞の能力を伸ばし,美術文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 絵画・彫刻
ア 自然,自己,社会などを深く見つめて主題を生成すること。
イ 表現形式を選択し,創造的で心豊かな表現の構想を練ること。
ウ 主題に合った表現方法を工夫し,創造的に表現すること。
(2) デザイン
ア 自然,自己,社会などを深く見つめ,生活を美しく豊かにするデザインの働きを考えて主題を生成すること。
イ 目的や条件などを基に,デザイン効果を考えて創造的で心豊かな表現の構想を練ること。
ウ 主題に合った表現方法を工夫し,創造的に表現すること。
(3) 映像メディア表現
ア 自然,自己,社会などを深く見つめ,映像メディアの特性を生かして主題を生成すること。
イ 映像表現の視覚的要素などの効果を生かして創造的で心豊かな表現の構想を練ること。
ウ 主題に合った表現方法を工夫し,創造的に表現すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 作品や作者の個性などに関心をもち,発想や構想の独自性,表現の工夫などについて,多様な視点から分析し理解すること。
イ 心豊かな生き方の創造にかかわる美術の働きについて理解を深めること。
ウ 時代,民族,風土,宗教などによる表現の相違や共通性などを考察し,美術文化についての理解を一層深めること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(1),(2)又は(3)のうち一つ以上を選択して扱うことができる。また,Aの(1)については,絵画と彫刻のいずれかを選択したり一体的に扱ったりすることができる。
(2) 内容の取扱いに当たっては,「美術Ⅰ」の3の(1)及び(3)から(7)までと同様に取り扱うものとする。
第6 美術Ⅲ
1 目標  美術の創造的な諸活動を通して,美的体験を豊かにし,生涯にわたり美術を愛好する心情と美術文化を尊重する態度を育てるとともに,感性と美意識を磨き,個性豊かな美術の能力を高める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 絵画・彫刻
ア 独創的な主題を生成し,表現の構想を練ること。
イ 主題に合った表現方法を工夫し,個性を生かして創造的な表現を追求すること。
(2) デザイン
ア デザイン効果を考えて独創的な主題を生成し,表現の構想を練ること。
イ 主題に合った表現方法を工夫し,個性を生かして創造的なデザインを追求すること。
(3) 映像メディア表現
ア 映像メディアの特性を生かして独創的な主題を生成し,表現の構想を練ること。
イ 主題に合った表現方法を工夫し,個性を生かして創造的な映像メディア表現を追求すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 作者の主張,作品と時代や社会とのかかわりなどを考察し,自己の価値観や美意識を働かせて作品を読み取り味わうこと。
イ 国際理解に果たす美術の役割について理解すること。
ウ 文化遺産としての美術の特色と文化遺産等を継承し保存することの意義を理解すること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(1),(2),(3)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。また,Aの(1)については,絵画と彫刻のいずれかを選択したり一体的に扱ったりすることができる。
(2) 内容の取扱いに当たっては,「美術Ⅰ」の3の(3)から(7)までと同様に取り扱うものとする。
第7 工芸Ⅰ
1 目標  工芸の幅広い創造活動を通して,美的体験を豊かにし,生涯にわたり工芸を愛好する心情と生活を心豊かにするために工夫する態度を育てるとともに,感性を高め,創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばし,工芸の伝統と文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 身近な生活と工芸
ア 自然や素材,身近な生活や自己の思いなどから心豊かな発想をすること。
イ 用途と美しさの調和を考え,日本の伝統的な表現のよさなどを生かした制作の構想を練ること。
ウ 制作方法を理解し,意図に応じて材料や用具を活用すること。
エ 手順や技法などを吟味し,創意工夫して制作すること。
(2) 社会と工芸
ア 社会的な視点に立って,使う人の願いや心情,生活環境などを考え,心豊かな発想をすること。
イ 使用する人や場などに求められる機能と美しさを考え,制作の構想を練ること。
ウ 制作方法を理解し,意図に応じて材料や用具を活用すること。
エ 手順や技法などを吟味し,創意工夫して制作すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 工芸作品などのよさや美しさ,作者の心情や意図と表現の工夫などを感じ取り,理解を深めること。
イ 制作過程における工夫や素材の生かし方,技法などを理解すること。
ウ 自然と工芸とのかかわり,生活や社会を心豊かにする工芸の働きについて考え,理解を深めること。
エ 日本の工芸の特質や美意識に気付き,工芸の伝統と文化について理解を深めること。
3 内容の取扱い
(1) 内容のA及びBの指導に当たっては,中学校美術科との関連を十分に考慮し,A及びB相互の関連を図るとともに,Bの指導については,適切かつ十分な授業時数を配当するものとする。
(2) 内容のAの指導に当たっては,地域の材料及び伝統的な工芸の表現などを取り入れることにも配慮するものとする。
(3) 内容のBの指導に当たっては,作品について互いに批評し合う活動などを取り入れるようにする。
(4) 内容のBについては,日本の工芸も重視して扱うとともに,アジアの工芸などについても扱うようにする。
(5) 工芸に関する知的財産権などについて配慮し,自己や他者の著作物等を尊重する態度の形成を図るようにする。
(6) 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導などを徹底するものとする。
第8 工芸Ⅱ
1 目標  工芸の創造的な諸活動を通して,美的体験を豊かにし,生涯にわたり工芸を愛好する心情と生活を心豊かにするために工夫する態度を育てるとともに,感性を高め,個性豊かな表現と鑑賞の能力を伸ばし,工芸の伝統と文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 身近な生活と工芸
ア 生活の中の工芸をとらえ,自己の体験や夢などから,創造的で心豊かな発想をすること。
イ 用途と美しさの調和を求め,素材の特質,表現の多様性などを生かした制作の構想を練ること。
ウ 意図に応じて材料,用具,手順,技法などを検討し,創造的に制作すること。
(2) 社会と工芸
ア 社会的な視点に立って,生活環境を観察,検討し,創造的で心豊かな発想をすること。
イ 社会における有用性,機能と美しさとの調和を考え,制作の構想を練ること。
ウ 意図に応じて材料,用具,手順,技法などを検討し,創造的に制作すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 作品や作者の個性などに関心をもち,発想や構想の独自性,表現の工夫などについて,多様な視点から分析し理解すること。
イ 生活環境の改善や心豊かな生き方にかかわる工芸の働きについて理解を深めること。
ウ 時代,民族,風土などによる表現の相違や共通性などを考察し,工芸の伝統と文化についての理解を一層深めること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(1)又は(2)のうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 内容の取扱いに当たっては,「工芸Ⅰ」の3と同様に取り扱うものとする。
第9 工芸Ⅲ
1 目標  工芸の創造的な諸活動を通して,美的体験を豊かにし,生涯にわたり工芸を愛好する心情と工芸の伝統と文化を尊重する態度を育てるとともに,感性と美意識を磨き,個性豊かな工芸の能力を高める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 身近な生活と工芸
ア 自己を取り巻く生活を多様な視点に立って考え,独創的に発想し,美的で心豊かな制作の構想を練ること。
イ 制作過程全体を見通して制作方法を工夫し,個性を生かして創造的な制作を追求すること。
(2) 社会と工芸
ア 社会的な視点に立って独創的に発想し,美的で心豊かな制作の構想を練ること。
イ 制作過程全体を見通して制作方法を工夫し,個性を生かして創造的な制作を追求すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 生活文化と工芸とのかかわり,作品が生まれた背景などを考察し,自己の価値観や美意識を働かせて作品を読み取り味わうこと。
イ 国際理解に果たす工芸の役割について理解すること。
ウ 文化遺産としての工芸の特色と文化遺産等を継承し保存することの意義を理解すること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(1),(2)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 内容の取扱いに当たっては,「工芸Ⅰ」の3の(2)から(6)までと同様に取り扱うものとする。
第10 書道Ⅰ
1 目標  書道の幅広い活動を通して,生涯にわたり書を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,書写能力の向上を図り,表現と鑑賞の基礎的な能力を伸ばし,書の伝統と文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 漢字仮名交じりの書
ア 用具・用材の特徴を理解し,適切に扱うこと。
イ 漢字と仮名の調和した線質の表し方を習得すること。
ウ 字形,文字の大きさと全体の構成を工夫すること。
エ 名筆を生かした表現を理解し,工夫すること。
オ 目的や用途に即した形式,意図に基づく表現を工夫すること。
(2) 漢字の書
ア 用具・用材の特徴を理解し,適切に扱うこと。
イ 古典に基づく基本的な点画や線質の表し方を理解し,その用筆・運筆の技法を習得すること。
ウ 字形の構成を理解し,全体の構成を工夫すること。
エ 意図に基づく表現を構想し,工夫すること。
(3)仮名の書
ア 用具・用材の特徴を理解し,適切に扱うこと。
イ 古典に基づく基本的な線質の表し方を理解し,その用筆・運筆の技法を習得すること。
ウ 単体,連綿の技法を習得し,全体の構成を工夫すること。
エ 意図に基づく表現を構想し,工夫すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 日常生活における書への関心を高め,その効用を理解すること。
イ 見ることを楽しみ,書の美しさと表現効果を味わい,感じ取ること。
ウ 日本及び中国等の文字と書の伝統と文化について理解すること。
エ 漢字の書体の変遷,仮名の成立等を理解すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容のA及びBの指導に当たっては,相互の関連を図るものとする。
(2) 内容のAの指導に当たっては,(1)の漢字は楷《かい》書及び行書,仮名は平仮名及び片仮名,(2)は楷《かい》書及び行書,(3)は平仮名,片仮名及び変体仮名を扱うものとし,(2)については,生徒の特性等を考慮し,草書,隷書及び篆《てん》書を加えることもできる。
(3) 内容のAの指導に当たっては,中学校国語科の書写との関連を十分に考慮し,日常生活における目的や用途に応じて,硬筆も取り上げるものとする。
(4) 内容のAの指導に当たっては,篆《てん》刻,刻字等を扱うよう配慮するものとする。また,(2)及び(3)については,臨書及び創作を通して指導するものとする。
(5) 内容のBの指導に当たっては,作品について互いに批評し合う活動などを取り入れるようにする。
(6) 書に関する知的財産権などについて配慮し,自己や他者の著作物等を尊重する態度の形成を図るようにする。
第11 書道Ⅱ
1 目標  書道の創造的な諸活動を通して,生涯にわたり書を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,個性豊かな表現と鑑賞の能力を伸ばし,書の伝統と文化についての理解を深める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 漢字仮名交じりの書
ア 意図に即した表現と用具・用材の関係を工夫すること。
イ 名筆の鑑賞に基づき表現を工夫し,個性的に表現すること。
ウ 表現形式に応じて,全体の構成を工夫すること。
エ 感興や意図に応じた素材や表現を構想し,工夫すること。
(2) 漢字の書
ア 書体や書風に即した用筆・運筆を理解し,工夫すること。
イ 古典に基づく表現を工夫し,個性的に表現すること。
ウ 表現形式に応じて,全体の構成を工夫すること。
エ 感興や意図に応じた素材や表現を構想し,工夫すること。
(3) 仮名の書
ア 書風に即した用筆・運筆を理解し,工夫すること。
イ 古典に基づく表現を工夫し,個性的に表現すること。
ウ 表現形式に応じて,全体の構成を工夫すること。
エ 感興や意図に応じた素材や表現を構想し,工夫すること。
B 鑑賞 鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 書の美の諸要素を把握し,その表現効果について理解し,感受を深めること。
イ 書の美と時代,風土,筆者などとのかかわり,その表現方法や形式等について理解を深めること。
ウ 日本及び中国等の書の歴史・文化と書の現代的意義について理解を深めること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(2)又は(3)のうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 内容のAの指導に当たっては,(1)の漢字は楷《かい》書,行書及び草書,仮名は平仮名及び片仮名,(2)は楷《かい》書,行書,草書,隷書及び篆《てん》書,(3)は平仮名,片仮名及び変体仮名を扱うものとする。
(3) 内容のAの指導に当たっては,篆《てん》刻を扱うものとし,生徒の特性等を考慮し,刻字等を加えることもできる。また,(2)及び(3)については,臨書及び創作を通して指導するものとする。
(4) 内容の取扱いに当たっては,「書道Ⅰ」の3の(1),(5)及び(6)と同様に取り扱うものとする。
第12 書道Ⅲ
1 目標  書道の創造的な諸活動を通して,生涯にわたり書を愛好する心情と書の伝統と文化を尊重する態度を育てるとともに,感性を磨き,個性豊かな書の能力を高める。
2 内容
A 表現  表現に関して,次の事項を指導する。
(1) 漢字仮名交じりの書
ア 書の伝統を理解し,現代社会に即した効果的な表現を工夫すること。
イ 主体的な構想に基づく個性的,創造的な表現を追求すること。
(2) 漢字の書
ア 書の伝統を理解し,書体の特色を生かして表現すること。
イ 主体的な構想に基づく個性的,創造的な表現を追求すること。
(3) 仮名の書
ア 書の伝統を理解し,古典の特色を生かして表現すること。
イ 主体的な構想に基づく個性的,創造的な表現を追求すること。
B 鑑賞  鑑賞に関して,次の事項を指導する。
ア 書の美の多様性を理解し,作品の様式美を鑑賞すること。
イ 書論を講読し,書の理解と鑑賞の深化を図ること。
ウ 日本及び中国等の書の伝統とその背景となる諸文化との関連について理解を深めること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,内容のAの(1),(2),(3)又はBのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 内容のAの(2)及び(3)については,目的に応じて臨書又は創作のいずれかを通して指導することができる。
(3) 内容の取扱いに当たっては,「書道Ⅰ」の3の(5)及び(6)と同様に取り扱うものとする。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) Ⅱを付した科目はそれぞれに対応するⅠを付した科目を履修した後に,Ⅲを付した科目はそれぞれに対応するⅡを付した科目を履修した後に履修させることを原則とすること。
(2) 主体的な学習態度を育てるため,生徒の特性等を考慮し,適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の特質を踏まえ,学校の実態に応じて学校図書館を活用するとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどを指導に生かすこと。
(2) 各科目の特質を踏まえ,地域や学校の実態に応じて,文化施設,社会教育施設,地域の文化財等の活用を図ったり,地域の人材の協力を求めたりすること。
第8節 外 国 語
第1款 目標  外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う。
第2款 各 科 目
第1 コミュニケーション英語基礎
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどの基礎的な能力を養う。
2 内容
(1) 1の目標に基づき,中学校学習指導要領第2章第9節の第2の2の(1)に示す言語活動を参照しつつ,適切な言語活動を英語で行う。
(2) (1)に示す言語活動を効果的に行うために,それぞれの生徒の中学校における学習内容の定着の程度等を踏まえた上で,中学校学習指導要領第2章第9節の第2の2の(2)のアに示す事項を参照しつつ,適切に指導するよう配慮するものとする。
3 内容の取扱い  中学校における学習との接続と「コミュニケーション英語Ⅰ」における学習への円滑な移行のため,主に身近な場面における言語活動を経験させながら,中学校における基礎的な学習内容を整理して指導し定着を図るものとする。
第2 コミュニケーション英語Ⅰ
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりする基礎的な能力を養う。
2 内容
(1) 生徒が情報や考えなどを理解したり伝えたりすることを実践するように具体的な言語の使用場面を設定して,次のような言語活動を英語で行う。
ア 事物に関する紹介や対話などを聞いて,情報や考えなどを理解したり,概要や要点をとらえたりする。
イ 説明や物語などを読んで,情報や考えなどを理解したり,概要や要点をとらえたりする。また,聞き手に伝わるように音読する。
ウ 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことに基づき,情報や考えなどについて,話し合ったり意見の交換をしたりする。
エ 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことに基づき,情報や考えなどについて,簡潔に書く。
(2) (1)に示す言語活動を効果的に行うために,次のような事項について指導するよう配慮するものとする。
ア リズムやイントネーションなどの英語の音声的な特徴,話す速度,声の大きさなどに注意しながら聞いたり話したりすること。
イ 内容の要点を示す語句や文,つながりを示す語句などに注意しながら読んだり書いたりすること。
ウ 事実と意見などを区別して,理解したり伝えたりすること。
3 内容の取扱い
(1) 中学校におけるコミュニケーション能力の基礎を養うための総合的な指導を踏まえ,聞いたことや読んだことを踏まえた上で話したり書いたりする言語活動を適切に取り入れながら,四つの領域の言語活動を有機的に関連付けつつ総合的に指導するものとする。
(2) 生徒の実態に応じて,多様な場面における言語活動を経験させながら,中学校や高等学校における学習内容を繰り返して指導し定着を図るよう配慮するものとする。
第3 コミュニケーション英語Ⅱ
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりする能力を伸ばす。
2 内容
(1) 生徒が情報や考えなどを理解したり伝えたりすることを実践するように具体的な言語の使用場面を設定して,次のような言語活動を英語で行う。
ア 事物に関する紹介や報告,対話や討論などを聞いて,情報や考えなどを理解したり,概要や要点をとらえたりする。
イ 説明,評論,物語,随筆などについて,速読したり精読したりするなど目的に応じた読み方をする。また,聞き手に伝わるように音読や暗唱を行う。
ウ 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことに基づき,情報や考えなどについて,話し合うなどして結論をまとめる。
エ 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことに基づき,情報や考えなどについて,まとまりのある文章を書く。
(2) (1)に示す言語活動を効果的に行うために,次のような事項について指導するよう配慮するものとする。
ア 英語の音声的な特徴や内容の展開などに注意しながら聞いたり話したりすること。
イ 論点や根拠などを明確にするとともに,文章の構成や図表との関連などを考えながら読んだり書いたりすること。
ウ 未知の語の意味を推測したり背景となる知識を活用したりしながら聞いたり読んだりすること。
エ 説明や描写の表現を工夫して相手に効果的に伝わるように話したり書いたりすること。
3 内容の取扱い  「コミュニケーション英語Ⅰ」の3と同様に取り扱うものとする。
第4 コミュニケーション英語Ⅲ
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりする能力を更に伸ばし,社会生活において活用できるようにする。
2 内容
(1) 1の目標に基づき,「コミュニケーション英語Ⅱ」の2の(1)に示す言語活動を更に発展させて行う。
(2) (1)に示す言語活動を行うに当たっては,「コミュニケーション英語Ⅱ」の2の(2)と同様に配慮するものとする。
3 内容の取扱い  「コミュニケーション英語Ⅰ」の3と同様に取り扱うものとする。
第5 英語表現Ⅰ
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,事実や意見などを多様な観点から考察し,論理の展開や表現の方法を工夫しながら伝える能力を養う。
2 内容
(1) 生徒が情報や考えなどを理解したり伝えたりすることを実践するように具体的な言語の使用場面を設定して,次のような言語活動を英語で行う。
ア 与えられた話題について,即興で話す。また,聞き手や目的に応じて簡潔に話す。
イ 読み手や目的に応じて,簡潔に書く。
ウ 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことに基づき,情報や考えなどをまとめ,発表する。
(2) (1)に示す言語活動を効果的に行うために,次のような事項について指導するよう配慮するものとする。
ア リズムやイントネーションなどの英語の音声的な特徴,話す速度,声の大きさなどに注意しながら話すこと。
イ 内容の要点を示す語句や文,つながりを示す語句などに注意しながら書くこと。また,書いた内容を読み返すこと。
ウ 発表の仕方や発表のために必要な表現などを学習し,実際に活用すること。
エ 聞いたり読んだりした内容について,そこに示されている意見を他の意見と比較して共通点や相違点を整理したり,自分の考えをまとめたりすること。
3 内容の取扱い
(1) 中学校におけるコミュニケーション能力の基礎を養うための総合的な指導を踏まえ,話したり書いたりする言語活動を中心に,情報や考えなどを伝える能力の向上を図るよう指導するものとする。
(2) 聞くこと及び読むこととも有機的に関連付けた活動を行うことにより,話すこと及び書くことの指導の効果を高めるよう工夫するものとする。
(3) 生徒の実態に応じて,多様な場面における言語活動を経験させながら,中学校や高等学校における学習内容を繰り返して指導し定着を図るよう配慮するものとする。
第6 英語表現Ⅱ
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,事実や意見などを多様な観点から考察し,論理の展開や表現の方法を工夫しながら伝える能力を伸ばす。
2 内容
(1) 生徒が情報や考えなどを理解したり伝えたりすることを実践するように具体的な言語の使用場面を設定して,次のような言語活動を英語で行う。
ア 与えられた条件に合わせて,即興で話す。また,伝えたい内容を整理して論理的に話す。
イ 主題を決め,様々な種類の文章を書く。
ウ 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことに基づき,情報や考えなどをまとめ,発表する。また,発表されたものを聞いて,質問したり意見を述べたりする。
エ 多様な考え方ができる話題について,立場を決めて意見をまとめ,相手を説得するために意見を述べ合う。
(2) (1)に示す言語活動を効果的に行うために,次のような事項について指導するよう配慮するものとする。
ア 英語の音声的な特徴や内容の展開などに注意しながら話すこと。
イ 論点や根拠などを明確にするとともに,文章の構成や図表との関連,表現の工夫などを考えながら書くこと。また,書いた内容を読み返して推敲《すいこう》すること。
ウ 発表の仕方や討論のルール,それらの活動に必要な表現などを学習し,実際に活用すること。
エ 相手の立場や考えを尊重し,互いの発言を検討して自分の考えを広げるとともに,課題の解決に向けて考えを生かし合うこと。
3 内容の取扱い  「英語表現Ⅰ」の3と同様に取り扱うものとする。
第7 英語会話
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,身近な話題について会話する能力を養う。
2 内容
(1) 生徒が情報や考えなどを理解したり伝えたりすることを実践するように具体的な言語の使用場面を設定して,次のような言語活動を英語で行う。
ア 相手の話を聞いて理解するとともに,場面や目的に応じて適切に応答する。
イ 関心のあることについて相手に質問したり,相手の質問に答えたりする。
ウ 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことに基づき,情報や考えなどを場面や目的に応じて適切に伝える。
エ 海外での生活に必要な基本的な表現を使って,会話する。
(2) (1)に示す言語活動を効果的に行うために,次のような事項について指導するよう配慮するものとする。
ア リズムやイントネーションなどの英語の音声的な特徴,話す速度,声の大きさなどに注意しながら聞いたり話したりすること。
イ 繰り返しを求めたり,言い換えたりするときなどに必要となる表現を活用すること。
ウ ジェスチャーなどの非言語的なコミュニケーション手段の役割を理解し,場面や目的に応じて適切に用いること。
3 内容の取扱い
(1) 中学校におけるコミュニケーション能力の基礎を養うための総合的な指導を踏まえ,実際の会話に即した言語活動を多く取り入れながら,聞いたり話したりする能力の向上を図るよう指導するものとする。
(2) 読むこと及び書くこととも有機的に関連付けた活動を行うことにより,聞くこと及び話すことの指導の効果を高めるよう工夫するものとする。
(3) 生徒の実態に応じて,多様な場面における言語活動を経験させながら,中学校や高等学校における学習内容を繰り返して指導し定着を図るよう配慮するものとする。
第8 その他の外国語に関する科目  その他の外国語に関する科目については,第1から第7まで及び第3款に示す英語に関する各科目の目標及び内容等に準じて行うものとする。
第3款 英語に関する各科目に共通する内容等
1 英語に関する各科目の2の(1)に示す言語活動を行うに当たっては,例えば,次に示すような言語の使用場面や言語の働きの中から,各科目の目標を達成するのにふさわしいものを適宜取り上げ,有機的に組み合わせて活用する。
[言語の使用場面の例]
a 特有の表現がよく使われる場面:
・ 買物        
・ 旅行        
・ 食事
・ 電話での応答    
・ 手紙や電子メールのやりとり 
など
b 生徒の身近な暮らしや社会での暮らしにかかわる場面:
・ 家庭での生活    
・ 学校での学習や活動 
・ 地域での活動
・ 職場での活動 
など
c 多様な手段を通じて情報などを得る場面:
・ 本,新聞,雑誌などを読むこと  
・テレビや映画などを観《み》ること
・ 情報通信ネットワークを活用し情報を得ること 
など
[言語の働きの例]
a コミュニケーションを円滑にする:
・ 相づちを打つ    
・ 聞き直す      
・ 繰り返す
・ 言い換える     
・ 話題を発展させる  
・ 話題を変える
など
b 気持ちを伝える:
・ 褒める       
・ 謝る        
・ 感謝する
・ 望む        
・ 驚く        
・ 心配する
など
c 情報を伝える:
・ 説明する      
・ 報告する      
・ 描写する
・ 理由を述べる    
・ 要約する      
・ 訂正する 
など
d 考えや意図を伝える:
・ 申し出る      
・ 賛成する      
・ 反対する
・ 主張する      
・ 推論する      
・ 仮定する 
など
e 相手の行動を促す:
・ 依頼する      
・ 誘う        
・ 許可する
・ 助言する      
・ 命令する      
・ 注意を引く 
など
2 英語に関する各科目の2の(1)に示す言語活動を行うに当たっては,中学校学習指導要領第2章第9節第2の2の(3)及び次に示す言語材料の中から,それぞれの科目の目標を達成するのにふさわしいものを適宜用いて行わせる。その際,「コミュニケーション英語Ⅰ」においては,言語活動と効果的に関...
ア 語,連語及び慣用表現
(ア) 語
a 「コミュニケーション英語Ⅰ」にあっては,中学校で学習した語に400語程度の新語を加えた語
b 「コミュニケーション英語Ⅱ」にあっては,aに示す語に700語程度の新語を加えた語
c 「コミュニケーション英語Ⅲ」にあっては,bに示す語に700語程度の新語を加えた語
d 「コミュニケーション英語基礎」,「英語表現Ⅰ」,「英語表現Ⅱ」及び「英語会話」にあっては,生徒の学習負担を踏まえた適切な語
(イ) 連語及び慣用表現のうち,運用度の高いもの
イ 文構造のうち,運用度の高いもの
ウ 文法事項 
(ア) 不定詞の用法
(イ) 関係代名詞の用法
(ウ) 関係副詞の用法
(エ) 助動詞の用法
(オ) 代名詞のうち,itが名詞用法の句及び節を指すもの
(カ) 動詞の時制など
(キ) 仮定法
(ク) 分詞構文
3 2に示す言語材料を用いるに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 現代の標準的な英語によること。ただし,様々な英語が国際的に広くコミュニケーションの手段として使われている実態にも配慮すること。
イ 文法については,コミュニケーションを支えるものであることを踏まえ,言語活動と効果的に関連付けて指導すること。
ウ コミュニケーションを行うために必要となる語句や文構造,文法事項などの取扱いについては,用語や用法の区別などの指導が中心とならないよう配慮し,実際に活用できるよう指導すること。
4 英語に関する各科目については,その特質にかんがみ,生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケーションの場面とするため,授業は英語で行うことを基本とする。その際,生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう十分配慮するものとする。
第4款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「コミュニケーション英語Ⅱ」は「コミュニケーション英語Ⅰ」を履修した後に,「コミュニケーション英語Ⅲ」 は「コミュニケーション英語Ⅱ」を履修した後に,「英語表現Ⅱ」は「英語表現Ⅰ」を履修した後に履修させることを原則とすること。
(2) 「コミュニケーション英語基礎」を履修させる場合,「コミュニケーション英語Ⅰ」は「コミュニケーション英語基礎」を履修した後に履修させることを原則とすること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 教材については,外国語を通じてコミュニケーション能力を総合的に育成するため,各科目の目標に応じ,実際の言語の使用場面や言語の働きに十分配慮したものを取り上げるものとすること。その際,その外国語を日常使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活,風俗習慣,物語,...
ア 多様なものの見方や考え方を理解し,公正な判断力を養い豊かな心情を育てるのに役立つこと。
イ 外国や我が国の生活や文化についての理解を深めるとともに,言語や文化に対する関心を高め,これらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ウ 広い視野から国際理解を深め,国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
エ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
(2) 音声指導の補助として,発音表記を用いて指導することができること。
(3) 辞書の活用の指導などを通じ,生涯にわたって,自ら外国語を学び,使おうとする積極的な態度を育てるようにすること。
(4) 各科目の指導に当たっては,指導方法や指導体制を工夫し,ペア・ワーク,グループ・ワークなどを適宜取り入れたり,視聴覚教材やコンピュータ,情報通信ネットワークなどを適宜指導に生かしたりすること。また,ネイティブ・スピーカーなどの協力を得て行うティーム・ティーチングなどの授業を積...
第9節 家   庭
第1款 目標  人間の生涯にわたる発達と生活の営みを総合的にとらえ,家族・家庭の意義,家族・家庭と社会とのかかわりについて理解させるとともに,生活に必要な知識と技術を習得させ,男女が協力して主体的に家庭や地域の生活を創造する能力と実践的な態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 家庭基礎
1 目標  人の一生と家族・家庭及び福祉,衣食住,消費生活などに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,家庭や地域の生活課題を主体的に解決するとともに,生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。
2 内容
(1) 人の一生と家族・家庭及び福祉  人の一生を生涯発達の視点でとらえ,各ライフステージの特徴と課題について理解させるとともに,家族や家庭生活の在り方,子どもと高齢者の生活と福祉について考えさせ,共に支え合って生活することの重要性について認識させる。
ア 青年期の自立と家族・家庭  生涯発達の視点で青年期の課題を理解させ,男女が協力して,家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性について考えさせるとともに,家庭や地域の生活を創造するために自己の意思決定に基づき,責任をもって行動することが重要であることを認識させる。
イ 子どもの発達と保育  乳幼児の心身の発達と生活,親の役割と保育,子どもの育つ環境について理解させ,子どもを生み育てることの意義を考えさせるとともに,子どもの発達のために親や家族及び地域や社会の果たす役割について認識させる。
ウ 高齢期の生活  高齢期の特徴と生活及び高齢社会の現状と課題について理解させ,高齢者の自立生活を支えるために家族や地域及び社会の果たす役割について認識させる。
エ 共生社会と福祉  生涯を通して家族・家庭の生活を支える福祉や社会的支援について理解させ,家庭や地域及び社会の一員としての自覚をもって共に支え合って生活することの重要性について認識させる。
(2) 生活の自立及び消費と環境  自立した生活を営むために必要な衣食住,消費生活や生活における経済の計画に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,環境に配慮したライフスタイルについて考えさせるとともに,主体的に生活を設計することができるようにする。
ア 食事と健康  健康で安全な食生活を営むために必要な栄養,食品,調理及び食品衛生などの基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,生涯を見通した食生活を営むことができるようにする。
イ 被服管理と着装  被服管理に必要な被服材料,被服構成などの基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,目的に応じて着装を工夫し,健康で快適な衣生活を営むことができるようにする。
ウ 住居と住環境  住居の機能,住居と地域社会とのかかわりなどに必要な基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,安全で環境に配慮した住生活を営むことができるようにする。
エ 消費生活と生涯を見通した経済の計画  消費生活の現状と課題や消費者の権利と責任について理解させ,適切な意思決定に基づいて行動できるようにするとともに,生涯を見通した生活における経済の管理や計画について考えることができるようにする。
オ ライフスタイルと環境  生活と環境とのかかわりについて理解させ,持続可能な社会を目指してライフスタイルを工夫し,主体的に行動できるようにする。
カ 生涯の生活設計  生涯を見通した自己の生活について考えさせるとともに,主体的に生活を設計できるようにする。
(3) ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動  自己の家庭生活や地域の生活と関連付けて生活上の課題を設定し,解決方法を考え,計画を立てて実践することを通して生活を科学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイ及びウについては,学校や地域の実態等に応じて,学校家庭クラブ活動等との関連を図り,乳幼児や高齢者との触れ合いや交流などの実践的な活動を取り入れるよう努めること。
イ 内容の(2)については,実験・実習を中心とした指導を行うよう留意すること。アについては,栄養,食品,調理及び食品衛生との関連を図って扱うようにすること。  また,カについては,(1)及び(2)のアからオまでの内容との関連を図って,「家庭基礎」の学習のまとめとして扱うこと。
ウ 内容の(3)については,ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動の意義と実施方法について理解させること。また,指導に当たっては,内容の(1)及び(2)の学習の発展として扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,子どもの発達を支えるための親の役割や子育てを支援する環境に重点を置くこと。イからエについては,生涯にわたって家族・家庭の生活を支える福祉の基本的な理念に重点を置くこと。
イ 内容の(2)のエについては,契約,消費者信用及びそれらをめぐる問題などを取り上げて具体的に扱うこと。オについては,環境負荷の少ない衣食住の生活の工夫に重点を置くこと。
第2 家庭総合
1 目標  人の一生と家族・家庭,子どもや高齢者とのかかわりと福祉,消費生活,衣食住などに関する知識と技術を総合的に習得させ,家庭や地域の生活課題を主体的に解決するとともに,生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。
2 内容
(1) 人の一生と家族・家庭  人の一生を生涯発達の視点でとらえ,青年期の生き方を考えさせるとともに,家族・家庭の意義や家族・家庭と社会とのかかわりについて理解させ,男女が協力して家庭を築くことの重要性について認識させる。
ア 人の一生と青年期の自立  生涯発達の視点で各ライフステージの特徴と課題について理解させ,青年期の課題である自立や男女の平等と協力などについて認識させるとともに,生涯を見通した青年期の生き方について考えさせる。
イ 家族・家庭と社会  家庭の機能と家族関係,家族・家庭と法律,家庭生活と福祉などについて理解させ,家族・家庭の意義,家族・家庭と社会とのかかわりについて考えさせるとともに,家族の一員としての役割を果たし男女が協力して家庭を築き生活を営むことの重要性について認識させる。
(2) 子どもや高齢者とのかかわりと福祉  子どもの発達と保育,高齢者の生活と福祉などについて理解させるとともに,様々な人々に対する理解を深め,生涯を通して共に支え合って生きることの重要性や家族及び地域や社会の果たす役割について認識させる。
ア 子どもの発達と保育・福祉  子どもの発達と生活,子どもの福祉などについて理解させ,親の役割と保育の重要性や地域及び社会の果たす役割について認識させるとともに,子どもを生み育てることの意義や子どもとかかわることの重要性について考えさせる。
イ 高齢者の生活と福祉  高齢者の心身の特徴や高齢社会の現状及び福祉などについて理解させ,高齢者の生活の課題や家族,地域及び社会の果たす役割について認識させるとともに,高齢者の自立生活を支えるための支援の方法や高齢者とかかわることの重要性について考えさせる。
ウ 共生社会における家庭や地域  家庭と地域とのかかわりについて理解させ,高齢者や障害のある人々など様々な人々が共に支え合って生きることの重要性を認識し,家庭や地域及び社会の一員として主体的に行動することの意義について考えさせる。
(3) 生活における経済の計画と消費  生活における経済の計画,消費者問題や消費者の権利と責任などについて理解させ,現代の消費生活の課題について認識させるとともに,消費者としての適切な意思決定に基づいて,責任をもって行動できるようにする。
ア 生活における経済の計画  生活と社会とのかかわりについて理解させ,生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について認識させる。
イ 消費行動と意思決定  消費行動における意思決定の過程とその重要性について理解させ,消費者として主体的に判断できるようにする。
ウ 消費者の権利と責任  消費生活の現状と課題,消費者問題や消費者の自立と支援などについて理解させ,消費者としての権利と責任を自覚して行動できるようにする。
(4) 生活の科学と環境  生涯を見通したライフステージごとの衣食住の生活を科学的に理解させ,先人の知恵や文化に関心をもたせるとともに,持続可能な社会を目指して資源や環境に配慮し,適切な意思決定に基づいた消費生活を主体的に営むことができるようにする。
ア 食生活の科学と文化  栄養,食品,調理及び食品衛生などについて科学的に理解させ,食生活の文化に関心をもたせるとともに,必要な知識と技術を習得して安全と環境に配慮し,主体的に食生活を営むことができるようにする。
イ 衣生活の科学と文化  着装,被服材料,被服の構成,被服製作,被服管理などについて科学的に理解させ,衣生活の文化に関心をもたせるとともに,必要な知識と技術を習得して安全と環境に配慮し,主体的に衣生活を営むことができるようにする。
ウ 住生活の科学と文化  住居の機能,住空間の計画,住環境などについて科学的に理解させ,住生活の文化に関心をもたせるとともに,必要な知識と技術を習得して,安全と環境に配慮し,主体的に住生活を営むことができるようにする。
エ 持続可能な社会を目指したライフスタイルの確立  安全で安心な生活と消費について考え,生活文化を伝承・創造し,資源や環境に配慮した生活が営めるようにライフスタイルを工夫し,主体的に行動できるようにする。
(5) 生涯の生活設計   生活設計の立案を通して,生涯を見通した自己の生活について主体的に考えることができるようにする。
ア 生活資源とその活用  生活の営みに必要な金銭,生活時間などの生活資源についての理解を深め,有効に活用することの重要性について認識させる。
イ ライフスタイルと生活設計  自己のライフスタイルや将来の家庭生活と職業生活の在り方について考えさせるとともに,生活資源を活用して生活を設計できるようにする。
(6) ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動  自己の家庭生活や地域の生活と関連付けて生活上の課題を設定し,解決方法を考え,計画を立てて実践することを通して生活を科学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては,学校や地域の実態等に応じて,学校家庭クラブ活動等との関連を図り,幼稚園や保育所等の乳幼児,近隣の小学校の低学年の児童等との触れ合いや交流の機会をもつよう努めること。イについては,学校や地域の実態等に応じて,学校家庭クラブ活動等との関連を図り,福祉施設...
イ 内容の(4)については,実験・実習を中心とした指導を行うよう留意すること。
ウ 内容の(5)については,(1)から(4)までの学習の中で段階的に扱ったり,「家庭総合」の学習のまとめとして扱ったりするなどの工夫をすること。
エ 内容の(6)については,ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動の意義と実施方法について理解させること。また,指導に当たっては,内容の(1)から(5)までの学習の発展として扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては,小学校の低学年までの子どもを中心に扱い,子どもの発達を支える親の役割や子育てを支援する環境に重点を置くこと。また,子どもの福祉については,児童福祉の基本的な理念や地域及び社会の果たす役割に重点を置くこと。イについては,日常生活の介助の基礎として,食事...
イ 内容の(3)のアについては,家庭の経済生活の諸課題について具体的に扱うようにすること。ウについては,契約,消費者信用及びそれらをめぐる問題などを取り上げて具体的に扱うこと。
ウ 内容の(4)のイの被服製作については,衣服を中心として扱い,生徒の技術や興味・関心に応じて縫製技術が学習できる題材を選択させること。エについては,生活と環境とのかかわりについて具体的に理解させることに重点を置くこと。
第3 生活デザイン
1 目標  人の一生と家族・家庭及び福祉,消費生活,衣食住などに関する知識と技術を体験的に習得させ,家庭や地域の生活課題を主体的に解決するとともに,生活の充実向上を図る能力と実践的な態度を育てる。
2 内容 
(1) 人の一生と家族・家庭及び福祉  人の一生を生涯発達の視点でとらえ,各ライフステージの特徴と課題について理解させるとともに,家族や家庭生活の在り方,子どもと高齢者の生活と福祉について考えさせ,共に支え合って生活することの重要性について認識させる。
ア 青年期の自立と家族・家庭  生涯発達の視点で青年期の課題を理解させ,男女が協力して,家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性について考えさせるとともに,家庭や地域の生活を創造するために自己の意思決定に基づき,責任をもって行動することが重要であることを認識させる。
イ 子どもの発達と保育  乳幼児の心身の発達と生活,親の役割と保育,子どもの育つ環境について理解させ,子どもを生み育てることの意義を考えさせるとともに,子どもの発達のために親や家族及び地域や社会の果たす役割について認識させる。
ウ 高齢期の生活  高齢期の特徴と生活及び高齢社会の現状と課題について理解させ,高齢者の自立生活を支えるために家族や地域及び社会の果たす役割について認識させる。
エ 共生社会と福祉  生涯を通して家族・家庭の生活を支える福祉や社会的支援について理解させ,家庭や地域及び社会の一員としての自覚をもって共に支え合って生活することの重要性について認識させる。
オ 子どもとの触れ合い  子どもとの触れ合いを通して,子どもの生活と遊び,子どもの発達と環境とのかかわりなどについて理解させ,子どもと適切にかかわることができるようにする。
カ 高齢者とのコミュニケーション  高齢者との交流や日常生活の介助などを体験的に学ぶことを通して,高齢者の自立的な生活を支援することの意味やコミュニケーションの重要性を理解することができるようにする。
(2) 消費や環境に配慮したライフスタイルの確立  自立した生活を営むために必要な消費生活や生活における経済の計画に関する知識と技術を習得させ,環境に配慮したライフスタイルについて考えさせるとともに,主体的に生活を設計することができるようにする。
ア 消費生活と生涯を見通した経済の計画  消費生活の現状と課題や消費者の権利と責任について理解させ,適切な意思決定に基づいて行動できるようにするとともに,生涯を見通した生活における経済の管理や計画について考えることができるようにする。
イ ライフスタイルと環境  生活と環境とのかかわりについて理解させ,持続可能な社会を目指したライフスタイルを工夫し,主体的に行動できるようにする。
ウ 生涯の生活設計  生涯を見通した自己の生活について考えさせるとともに,主体的に生活を設計できるようにする。
(3) 食生活の設計と創造  食事と健康とのかかわりや栄養,食品,調理,食べ物のおいしさなどの食生活に関する知識と技術を習得させ,食文化に関心をもたせるとともに,生涯を通して安全と環境に配慮した食生活を主体的に営むことができるようにする。
ア 家族の健康と食事  食事の意義を理解させ,家族の健康と栄養や調理など食生活に関する知識と技術を習得させるとともに,生涯を通して健康に配慮した家族の食生活を管理できるようにする。
イ おいしさの科学と調理  食べ物のおいしさの要素や食品の栄養的特質と調理上の性質について科学的に理解させるとともに,栄養とおいしさを考えた食べ物や食事を作るために必要な知識と技術を習得させる。
ウ 食生活と環境  食生活の安全と衛生について理解させ,食料の生産や流通と食生活とのかかわりや環境に配慮した食生活の在り方を考えさせるとともに,主体的に家族の食生活を営むことができるようにする。
エ 食生活のデザインと実践  日常の食事や行事食における食の歴史や文化などについて理解させ,必要な知識と技術を習得させるとともに,食文化を継承し食生活を創造的に実践することができるようにする。
(4) 衣生活の設計と創造  被服の着装,製作,管理などの衣生活に関する知識と技術を習得させ,衣文化に関心をもたせるとともに,生涯を通して快適で創造的な衣生活を主体的に営むことができるようにする。
ア 装いの科学と表現  被服の機能を科学的に理解させ,目的に応じた被服の選択や自己を表現する着装を工夫できるようにする。
イ 被服の構成と製作  被服の構成と人体の形や動作及び被服材料とのかかわりを理解させ,製作に必要な知識と技術を習得させるとともに,発想を生かした被服製作ができるようにする。
ウ 衣生活の管理と環境  被服の管理方法や被服材料の性能,被服の構成などについて科学的に理解させ,健康や安全,資源・環境などに配慮した衣生活を主体的に営むことができるようにする。
エ 衣生活のデザインと実践  衣生活にかかわる歴史や文化などについて理解させ,衣生活を営むために必要な知識と技術を習得させるとともに,衣文化を継承し衣生活を創造的に実践することができるようにする。
(5) 住生活の設計と創造  健康で安全な住生活を営むための住居の機能,住居やインテリアの計画に関する知識と技術を習得させるとともに,生涯を見通して環境に配慮した住生活を主体的に営むことができるようにする。
ア 家族の生活と住居  住居の機能と管理,家族の生活とライフステージに応じた住空間について理解させ,安全で健康的な住生活について考えることができるようにする。
イ 快適さの科学と住空間の設計  快適な住居について科学的に理解させ,インテリア,園芸などに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させるとともに,快適で機能的な住生活を営むために必要な平面計画やインテリア計画ができるようにする。
ウ 住居と住環境  住居とそれを取り巻く住環境について理解させ,資源・環境などに配慮した住生活を営むことができるようにする。
エ 住生活のデザインと実践  住生活にかかわる歴史や文化などについて理解させ,住生活を営むために必要な知識と技術を習得させるとともに,住文化を継承し住生活を創造的に実践することができるようにする。
(6) ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動  自己の家庭生活や地域の生活と関連付けて生活上の課題を設定し,解決方法を考え,計画を立てて実践することを通して生活を科学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のオ,カ,(3)のエ,(4)のエ,(5)のエについては,生徒の興味・関心等に応じて,適宜項目を選択して履修させること。
イ 内容の(1)のイ及びウについては,学校や地域の実態等に応じて,学校家庭クラブ活動等との関連を図り,乳幼児や高齢者との触れ合いや交流などの実践的な活動を取り入れるよう努めること。
ウ 内容の(2)のウについては,(1)及び(2)のア,イの内容との関連を図るとともに,(1)から(5)までの学習の中で段階的に扱ったり,「生活デザイン」の学習のまとめとして扱ったりするなどの工夫をすること。
エ 内容の(3),(4),(5)については,実験・実習を中心とした指導を行うよう留意すること。
オ 内容の(6)については,ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動の意義と実施方法について理解させること。また,指導に当たっては,内容の(1)から(5)までの学習の発展として扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,子どもの発達を支えるための親の役割や子育てを支援する環境に重点を置くこと。イからエについては,生涯にわたって家族・家庭の生活を支える福祉の基本的な理念に重点を置くこと。
イ 内容の(2)のアについては,契約,消費者信用及びそれらをめぐる問題などを取り上げて具体的に扱うこと。イについては,環境負荷の少ない生活の工夫に重点を置くこと。
ウ 内容の(4)のイの被服製作については,衣服を中心として扱い,生徒の技術や興味・関心に応じて縫製技術が学習できる題材を選択させること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「家庭基礎」,「家庭総合」及び「生活デザイン」の各科目に配当する総授業時数のうち,原則として10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(2) 「家庭基礎」は,原則として,同一年次で履修させること。
(3) 「家庭総合」及び「生活デザイン」を複数の年次にわたって分割して履修させる場合には,原則として連続する2か年において履修させること。
(4) 中学校技術・家庭科,公民科,数学科,理科及び保健体育科などとの関連を図るとともに,教科の目標に即した調和のとれた指導が行われるよう留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒が自分の生活に結び付けて学習できるよう,問題解決的な学習を充実すること。
(2) 子どもや高齢者など様々な人々と触れ合い,他者とかかわる力を高める活動,衣食住などの生活における様々な事象を言葉や概念などを用いて考察する活動,判断が必要な場面を設けて理由や根拠を論述したり適切な解決方法を探究したりする活動などを充実すること。
(3) 食に関する指導については,家庭科の特質を生かして,食育の充実を図ること。
(4) 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整備するとともに,火気,用具,材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第10節 情   報
第1款 目標  情報及び情報技術を活用するための知識と技能を習得させ,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 社会と情報
1 目標  情報の特徴と情報化が社会に及ぼす影響を理解させ,情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用して情報を収集,処理,表現するとともに効果的にコミュニケーションを行う能力を養い,情報社会に積極的に参画する態度を育てる。
2 内容
(1) 情報の活用と表現
ア 情報とメディアの特徴  情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用するために,情報の特徴とメディアの意味を理解させる。
イ 情報のディジタル化  情報のディジタル化の基礎的な知識と技術及び情報機器の特徴と役割を理解させるとともに,ディジタル化された情報が統合的に扱えることを理解させる。
ウ 情報の表現と伝達  情報を分かりやすく表現し効率的に伝達するために,情報機器や素材を適切に選択し利用する方法を習得させる。
(2) 情報通信ネットワークとコミュニケーション
ア コミュニケーション手段の発達  コミュニケーション手段の発達をその変遷と関連付けて理解させるとともに,通信サービスの特徴をコミュニケーションの形態とのかかわりで理解させる。
イ 情報通信ネットワークの仕組み  情報通信ネットワークの仕組みと情報セキュリティを確保するための方法を理解させる。
ウ 情報通信ネットワークの活用とコミュニケーション  情報通信ネットワークの特性を踏まえ,効果的なコミュニケーションの方法を習得させるとともに,情報の受信及び発信時に配慮すべき事項を理解させる。
(3) 情報社会の課題と情報モラル
ア 情報化が社会に及ぼす影響と課題  情報化が社会に及ぼす影響を理解させるとともに,望ましい情報社会の在り方と情報技術を適切に活用することの必要性を理解させる。
イ 情報セキュリティの確保  個人認証と暗号化などの技術的対策や情報セキュリティポリシーの策定など,情報セキュリティを高めるための様々な方法を理解させる。
ウ 情報社会における法と個人の責任  多くの情報が公開され流通している現状を認識させるとともに,情報を保護することの必要性とそのための法規及び個人の責任を理解させる。
(4) 望ましい情報社会の構築
ア 社会における情報システム  情報システムの種類や特徴を理解させるとともに,それらが社会生活に果たす役割と及ぼす影響を理解させる。
イ 情報システムと人間  人間にとって利用しやすい情報システムの在り方,情報通信ネットワークを活用して様々な意見を提案し集約するための方法について考えさせる。
ウ 情報社会における問題の解決  情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用して問題を解決する方法を習得させる。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)については,情報の信頼性,信憑《ぴょう》性及び著作権などに配慮したコンテンツの作成を通して扱うこと。イについては,標本化や量子化を取り上げ,コンピュータの内部では情報がディジタル化されていることについて扱うこと。ウについては,実習を中心に扱い,生徒同士で相互評価...
(2) 内容の(2)のイについては,電子メールやウェブサイトなどを取り上げ,これらの信頼性,利便性についても扱うこと。ウについては,実習を中心に扱い,情報の信憑《ぴょう》性や著作権などへの配慮について自己評価させる活動を取り入れること。
(3) 内容の(3)のアについては,望ましい情報社会の在り方と情報技術の適切な活用について生徒が主体的に考え,討議し,発表し合うなどの活動を取り入れること。イについては,情報セキュリティを確保するためには技術的対策と組織的対応とを適切に組み合わせることの重要性についても扱うこと。ウ...
(4) 内容の(4)については,望ましい情報社会を構築する上での人間の役割について生徒が主体的に考え,討議し,発表し合うなどの活動を取り入れること。イについては,生徒に情報システムの改善策などを提案させるなど,様々な意見を提案し集約する活動を取り入れること。
第2 情報の科学
1 目標  情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させるとともに,情報と情報技術を問題の発見と解決に効果的に活用するための科学的な考え方を習得させ,情報社会の発展に主体的に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) コンピュータと情報通信ネットワーク
ア コンピュータと情報の処理  コンピュータにおいて,情報が処理される仕組みや表現される方法を理解させる。
イ 情報通信ネットワークの仕組み  情報通信ネットワークの構成要素,プロトコルの役割,情報通信の仕組み及び情報セキュリティを確保するための方法を理解させる。
ウ 情報システムの働きと提供するサービス  情報システムとサービスについて,情報の流れや処理の仕組みと関連付けながら理解させ,それらの利用の在り方や社会生活に果たす役割と及ぼす影響を考えさせる。
(2) 問題解決とコンピュータの活用
ア 問題解決の基本的な考え方  問題の発見,明確化,分析及び解決の方法を習得させ,問題解決の目的や状況に応じてこれらの方法を適切に選択することの重要性を考えさせる。
イ 問題の解決と処理手順の自動化  問題の解法をアルゴリズムを用いて表現する方法を習得させ,コンピュータによる処理手順の自動実行の有用性を理解させる。
ウ モデル化とシミュレーション  モデル化とシミュレーションの考え方や方法を理解させ,実際の問題解決に活用できるようにする。
(3) 情報の管理と問題解決
ア 情報通信ネットワークと問題解決  問題解決における情報通信ネットワークの活用方法を習得させ,情報を共有することの有用性を理解させる。
イ 情報の蓄積・管理とデータベース 情報を蓄積し管理・検索するためのデータベースの概念を理解させ,問題解決にデータベースを活用できるようにする。
ウ 問題解決の評価と改善  問題解決の過程と結果について評価し,改善することの意義や重要性を理解させる。
(4) 情報技術の進展と情報モラル
ア 社会の情報化と人間  社会の情報化が人間に果たす役割と及ぼす影響について理解させ,情報社会を構築する上での人間の役割を考えさせる。
イ 情報社会の安全と情報技術  情報社会の安全とそれを支える情報技術の活用を理解させ,情報社会の安全性を高めるために個人が果たす役割と責任を考えさせる。
ウ 情報社会の発展と情報技術  情報技術の進展が社会に果たす役割と及ぼす影響を理解させ,情報技術を社会の発展に役立てようとする態度を育成する。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)のアについては,標本化や量子化などについて扱うこと。イについては,情報のやり取りを図を用いて説明するなどして,情報通信ネットワークやプロトコルの仕組みを理解させることを重視すること。ウについては,情報システムが提供するサービスが生活に与えている変化について扱うこ...
(2) 内容の(2)のアについては,生徒に複数の解決策を考えさせ,目的と状況に応じて解決策を選択させる活動を取り入れること。イ及びウについては,学校や生徒の実態に応じて,適切なアプリケーションソフトウェアやプログラム言語を選択すること。
(3) 内容の(3)については,実際に処理又は創出した情報について生徒に評価させる活動を取り入れること。アについては,学校や生徒の実態に応じて,適切なアプリケーションソフトウェアや情報通信ネットワークを選択すること。イについては,簡単なデータベースを作成する活動を取り入れ,情報が喪...
(4) 内容の(4)については,生徒が主体的に考え,討議し,発表し合うなどの活動を取り入れること。アについては,情報機器や情報通信ネットワークの様々な機能を簡単に操作できるようにする工夫及び高齢者や障害者による利用を容易にする工夫などについても扱うこと。イについては,情報通信ネット...
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 中学校における情報教育の成果を踏まえ,情報科での学習が他の各教科・科目等の学習に役立つよう,他の各教科・科目等との連携を図ること。
(2) 各科目の目標及び内容等に即して,コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用した実習を積極的に取り入れること。
(3) 各科目は,原則として,同一年次で履修させること。
(4) 情報機器を活用した学習を行うに当たっては,生徒の健康と望ましい習慣を身に付ける観点から,照明やコンピュータの使用時間などに留意すること。
(5) 公民科及び数学科などとの関連を図るとともに,教科の目標に即した調和のとれた指導が行われるよう留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の指導においては,内容の全体を通じて知的財産や個人情報の保護などの情報モラルの育成を図ること。
(2) 各科目の指導においては,内容の全体を通じて体験的な学習を重視し,実践的な能力と態度の育成を図ること。
(3) 授業で扱う具体例などについては,情報技術の進展に対応して適宜見直しを図ること。
第3章 主として専門学科において開設される各教科
第1節 農   業
第1款 目標  農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,農業の社会的な意義や役割について理解させるとともに,農業に関する諸課題を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって解決し,持続的かつ安定的な農業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 農業と環境
1 目標  農業生物の育成と環境の保全についての体験的,探究的な学習を通して,農業及び環境に関する学習について興味・関心を高めるとともに,科学的思考力と課題解決能力を育成し,農業及び環境に関する基礎的な知識と技術を習得させ,農業の各分野で活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 暮らしと農業
ア 食と農業
イ 生活と農業
ウ 環境と農業
エ 農業の動向と課題
(2) 農業生産の基礎
ア 農業生物の種類と特性
イ 農業生物の栽培・飼育
ウ 育成環境の要素
エ 農業生産物の利用
オ 農業生産の計画・管理・評価
(3) 環境の調査・保全・創造
ア 環境の調査
イ 環境の保全
ウ 環境の創造
(4) 農業学習と学校農業クラブ活動
ア 農業学習の特質
イ プロジェクト学習
ウ 学校農業クラブ活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,地域農業の見学や地域環境の観察及び統計資料を用いた具体的な学習を通して,農業の社会的な役割と環境・暮らしとのかかわりについて理解させ,農業の各分野に関する学習に関心をもたせること。
イ 内容の(2)については,農業生物の育成に関するプロジェクト学習を通して,農業生物の育成と栽培・飼育環境を関連付けて理解させるとともに,科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業生物を選定すること。
ウ 内容の(3)については,地域環境などの調査や保全・創造に関する体験的な学習活動を通して,環境保全・創造の重要性などについて理解させるとともに,科学的な見方と実践力を育てること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,食料の生産と供給をはじめとした農業の多面的な役割,生態系における物質循環,地域環境や地球環境と人間生活との相互関係及び農業の動向と課題について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,農業生物の生理・生態的な特性,気象など育成環境の要素及びそれらの相互関係を扱うこと。また,農業生物の栽培や飼育から加工,利用までの基礎的な内容と農業生産の計画・管理・評価の方法の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,地域環境などの調査の方法,森林による国土・環境の保全や都市緑地における景観創造の機能などについて基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,農業生物の育成や環境の保全などの農業学習の特質,プロジェクト学習の進め方並びに学校農業クラブ活動の目標,内容,組織及び実践方法を扱うこと。
第2 課題研究
1 目標  農業に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 調査,研究,実験
(2) 作品製作
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
(5) 学校農業クラブ活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(5)までの中から,個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(5)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
第3 総合実習
1 目標  農業の各分野に関する体験的な学習を通して,総合的な知識と技術を習得させ,経営と管理についての理解を深めさせるとともに,企画力や管理能力などを身に付け,農業の各分野の改善を図る実践的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 農業の各分野に関する総合的な実習
ア 専門技術総合実習
イ 経営管理総合実習
(2) 農業の産業現場等における総合的な実習
ア 専門技術総合実習
イ 経営管理総合実習
(3) 学校農業クラブ活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,農業の各分野の総合的な実習を通して,経営や管理における技術の役割と各技術の相互関係を体験的に理解させ,経営や管理の改善を図る実践的な能力と態度を育てること。
イ 内容の(2)については,産業現場等における総合的な実習を通して,技術の実践的な役割と経営や管理の実際を体験的に理解させ,経営や管理の改善を図る実践的な能力と態度を育てること。なお,(2)については,地域の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
ウ 内容の(3)については,農業の各分野の学習を基に,学校農業クラブ活動における自主的な研究活動を通して,技術及び経営と管理を体験的に理解させ,農業の各分野の改善を図る実践的な能力と態度を育てること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,農業の各分野の技術及び経営と管理について基礎的な内容を総合的に扱うこと。
第4 農業情報処理
1 目標  社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させ,情報に関する知識と技術を習得させるとともに,農業情報及び環境情報を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 産業社会と情報
ア 情報とその活用
イ 農林業における情報の役割
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報モラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 情報技術
ア ハードウェアとソフトウェア
イ 情報通信ネットワーク
ウ 情報システム
(4) 農業情報及び環境情報の活用
ア 生産・加工・流通・経営のシステム
イ 農業情報の活用
ウ 森林情報の活用
エ 環境情報の活用
(5) 農業学習と情報活用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,農業分野を中心に産業社会における情報の活用の具体的な事例を通して,情報の意義を理解させるとともに,農業の各分野における情報の役割について関心をもたせること。
イ 内容の(3)については,実習や産業現場の見学等を通して,情報,情報機器,情報通信ネットワーク,ソフトウェアなどを活用する能力を育てること。なお,生徒の実態や学科の特色に応じて,内容の一部に重点を置くなどの工夫を加えること。
ウ 内容の(4)については,実習及び産業現場での見学や体験等を通して,情報の流れや情報システムが活用されている実際の状況を理解し,実践的な情報活用ができるようにすること。
エ 内容の(5)については,農業の各科目の学習や学校農業クラブ活動のプロジェクト学習を進める各段階において,情報及び情報技術を効果的に活用できるようにすること。また,課題の発見・解決に必要な創造的思考力や科学的判断力,コミュニケーション能力などの育成に配慮するとともに,情報機器や情...
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,情報化の進展に伴う産業や生活の変化について扱うこと。イについては,農林業に関係する情報の収集,処理及び活用の基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラル及び情報通信ネットワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)については,目的に応じた情報機器やソフトウェアの選択,アプリケーションソフトウェアの使用法,情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理及び発信並びに情報システムの活用について,一般的な内容と農業に関連する内容を扱うこと。情報システムによる問題解決の方法については...
エ 内容の(4)については,農業技術や経営に関する情報,地理空間情報及び農業に関する情報システムなどの活用について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,情報通信技術を活用したプロジェクト学習などを扱うこと。
第5 作 物
1 目標  作物の生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,作物の特性や生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 作物生産の役割と動向
ア 作物生産と食料供給
イ 世界の食料需給の動向
(2) 作物の特性と栽培技術
ア 作物の種類と特徴
イ 作物の生育と生理
ウ 栽培環境と生育の調節
(3) 作物の生産
ア 作物の栽培的,経営的特性
イ 品種の特性と選び方
ウ 栽培計画
エ 育苗
オ 栽培管理
カ 商品化
キ 機械・施設の利用
ク 作物生産の評価
(4) 作物経営の改善
ア 作業体系の改善
イ 生産と流通の改善
(5) 作物生産の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,安全な作物の生産から消費までの食料供給の仕組みを理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,作物の種類による特性と栽培環境の相互関係から作物の生育と環境の調節について理解させ,作物生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な作物を選定すること。
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国と世界の作物生産,食料需給の動向及びそれらの相互関係について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,いろいろな作物の特徴,作物の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した作物栽培の技術の仕組みを扱うこと。
ウ 内容の(3)については,品種の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など作物の生産と経営について体系的に扱うこと。また,残留農薬のポジティブリスト制度の概要についても触れること。
エ 内容の(4)については,作業の順序,組合せとその管理,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など作物の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,実際に選定した作物に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。
第6 野 菜
1 目標  野菜の生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,野菜の特性や生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 野菜生産の役割と動向
ア 野菜の生産と利用
イ 野菜の需給の動向
(2) 野菜の特性と栽培技術
ア 野菜の種類と特徴
イ 野菜の生育と生理
ウ 栽培環境と生育の調節
エ 人工環境における栽培技術
(3) 野菜の生産
ア 野菜の栽培的,経営的特性
イ 品種の特性と選び方
ウ 作型と栽培計画
エ 育苗
オ 栽培管理
カ 商品化
キ 施設と土地の高度利用
ク 野菜生産の評価
(4) 野菜経営の改善
ア 作業体系の改善
イ 生産と流通の改善
(5) 野菜生産の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,安全な野菜の生産から消費までの仕組みを理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,野菜の特性と栽培環境の相互関係から野菜の生育と環境の調節及び人工環境における栽培技術について理解させ,野菜生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な野菜を選...
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,食生活の変化を踏まえた野菜生産の役割,野菜の多様な利用形態及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,野菜の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した野菜栽培の技術の仕組みを扱うこと。
ウ 内容の(3)については,野菜の作型の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など野菜の生産と経営について体系的に扱うこと。また,残留農薬のポジティブリスト制度の概要についても触れること。
エ 内容の(4)については,作業の順序,組合せとその管理,加工と鮮度の保持,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など野菜の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,実際に選定した野菜に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。
第7 果 樹
1 目標  果樹生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,果樹の特性や果実の生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 果実生産の役割と動向
ア 果実の生産と利用 
イ 果実の需給の動向
(2) 果樹の特性と栽培技術
ア 果樹の種類と特徴
イ 果樹の生育と生理
ウ 栽培環境と生育の調節
(3) 果樹の栽培と果実の生産
ア 果樹の栽培的,経営的特性
イ 品種の特性と選び方
ウ 苗木の養成と開園・更新
エ 作型と栽培計画
オ 栽培管理
カ 商品化
キ 施設の利用と栽培技術
ク 果樹生産の評価
(4) 果樹経営の改善
ア 作業体系の改善
イ 生産と流通の改善
(5) 果樹生産の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,安全な果実の生産から消費までの仕組みを理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,果樹の特性と栽培環境の相互関係から果樹の生育と環境の調節について理解させ,果樹生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な果樹を選定すること。
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,食生活の変化を踏まえた果実生産の役割,果実の多様な利用形態及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,果樹の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した果樹栽培の技術の仕組みを扱うこと。
ウ 内容の(3)については,果樹の作型の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など果実の生産と果樹経営について体系的に扱うこと。また,残留農薬のポジティブリスト制度の概要についても触れること。
エ 内容の(4)については,品種の選定,作業の順序,組合せとその管理,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など果樹の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,実際に選定した果樹に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。
第8 草 花
1 目標  草花の生産と経営に必要な知識と技術を習得させ,草花の特性や生産に適した環境を理解させるとともに,品質と生産性の向上及び経営の改善を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 草花生産の役割と動向
ア 草花生産の特性
イ 生活と草花の利用
ウ 草花の流通と需給の動向
(2) 草花の特性と栽培技術
ア 草花の種類と特徴
イ 草花の生育と生理
ウ 栽培環境と生育の調節
エ 品種改良
(3) 草花の生産
ア 草花の栽培的,経営的特性
イ 品種の特性と選び方
ウ 作型と栽培計画
エ 栽培管理
オ 商品化
カ 施設の利用
キ 草花生産の評価
(4) 草花経営の改善
ア 作業体系の改善
イ 生産と流通の改善
(5) 草花生産の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,安全な草花の生産から消費までの仕組みと多様な草花の利用の形態を理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,草花の特性と栽培環境の相互関係から草花の生育と環境の調節について理解させ,草花生産に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態,学科の特色や消費動向に応じて,題材として適切な草花を選定すること。
ウ 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,生活の変化に伴う草花の利用の変化を踏まえた草花生産及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,草花の生育過程,生理作用,栽培環境と生育の調節や環境に配慮した草花栽培の技術の仕組みを扱うこと。
ウ 内容の(3)については,草花の品種の選定をはじめとする栽培計画,各生育段階の特性に応じた栽培管理,各生育段階の診断方法に基づく評価など草花の生産と経営について体系的に扱うこと。
エ 内容の(4)については,品種の選定,作業管理,施設利用,生産費と流通の手段や経費,農業生産工程管理など草花の生産と経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,実際に選定した草花に関する一連の生産活動及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。
第9 畜 産
1 目標  家畜の飼育と畜産経営に必要な知識と技術を習得させ,家畜の特性や飼育環境を理解させるとともに,合理的な家畜管理と品質や生産性の向上を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 畜産の役割と動向
ア 畜産の役割と特色
イ 畜産物の需給の動向
(2) 家畜の生理・生態と飼育環境
ア 家畜の生理・生態
イ 飼育環境の調節
(3) 家畜と飼料
ア 家畜の栄養と栄養素
イ 消化吸収と栄養素の代謝
ウ 飼料の特性と給与
エ 飼料作物の栽培
オ 草地の管理
(4) 家畜の飼育
ア 家畜の選択
イ 飼育計画と管理
ウ 繁殖と改良
エ 施設の利用
オ 家畜の病気と衛生
カ 飼育の評価
(5) 家畜廃棄物の処理と利用
ア 家畜廃棄物の処理
イ 家畜廃棄物の価値とその利用
(6) 畜産経営の改善
ア 作業体系の改善
イ 生産と流通の改善
(7) 畜産の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,地域環境と安全に配慮した畜産物の生産から消費までの食料供給の仕組みを理解させること。
イ 内容の(2)から(4)までについては,観察や実習を通して,家畜の特性と飼育環境の相互関係から飼育環境の調節と制御について理解させ,家畜飼育に関する科学的な見方と実践力を育てること。なお,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な家畜を選定すること。
ウ 内容の(3)のエ及びオについては,地域農業の実態や飼料の需給の動向に応じて,題材として適切な飼料作物を選定すること。
エ 内容の(7)については,内容の(1)から(6)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国を中心に,国際的な畜産物の生産,利用及び需給の動向について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,家畜の生理・生態と行動的な特性,環境要因が家畜に与える影響及び飼育環境の調節を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,栄養素の家畜体内における代謝,粗飼料や濃厚飼料の給与,飼料の安全性などを扱うこと。
エ 内容の(4)については,品種の選定をはじめとする飼育計画や目標,飼料給与など飼育管理や繁殖管理の成績などの総合的な判断に基づく飼育評価など家畜の飼育と経営について体系的に扱うこと。ウについては,バイオテクノロジーを利用した改良の基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,家畜廃棄物の適切な処理法や多様化する利用法について扱うこと。
カ 内容の(6)については,飼育形態,作業管理,生産費と流通の手段や経費など家畜生産の経営改善について基礎的な内容を扱うこと。また,安全な食品を供給するための食品トレーサビリティシステムなどについても扱うこと。
キ 内容の(7)については,実際に選定した家畜に関する一連の飼育及び経営の改善に取り組む活動を行うこと。なお,経営の改善に取り組む活動として起業的な内容についても扱うことができること。
第10 農業経営
1 目標  農業経営の設計と管理に必要な知識と技術を習得させ,コスト管理とマーケティングの必要性を理解させるとともに,経営管理の改善を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 農業の動向と農業経営
ア 我が国と世界の農業
イ 地域農業の動向
ウ 農業経営と社会経済環境
(2) 農業経営の管理
ア 農業経営の主体と目標
イ 農業生産の要素
ウ 経営組織の組立て
エ 経営と協同組織
オ 農業経営の管理
(3) 農業経営の情報
ア 農業経営情報の収集と活用
イ 農業経営とマーケティング
ウ 農業政策と関係法規
(4) 農業経営の会計
ア 取引・勘定・仕訳
イ 仕訳帳と元帳
ウ 試算表と決算
エ 農産物の原価計算
(5) 農業経営の診断と設計
ア 農業経営の診断
イ 農業経営の設計
(6) 農業経営の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(5)までについては,学校農場や地域の農業経営の身近な事例を通して,具体的に理解させること。
イ 内容の(3)については,演習や実習を通して,経営情報の活用技術を具体的に理解させること。
ウ 内容の(4)については,演習や実習を通して,簿記の記帳方法について理解させ,経営の改善を図る合理的な見方と実践力を育てること。
エ 内容の(6)については,生徒の実態や学科の特色に応じて選択して扱うことができること。その際,内容の(1)から(5)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,国際的な市場拡大の中での我が国と世界の農業の動向とその相互関係,農業経営のあらましと経営者として兼ね備えるべき要件について基礎的な内容を扱うこと。また,産地形成など地域農業の動向と農業経営及びその相互関係について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,農業経営の運営と管理の仕方について具体的な事例を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,農業経営をめぐる社会環境の変化を踏まえ,農業マーケティング及び農業政策とそれに関連する法規の概要を扱うこと。
エ 内容の(4)については,農業会計の原理,農業簿記の仕組み,複式簿記による取引から決算までの処理方法及び原価計算の意義と方法を扱うこと。
オ 内容の(5)については,農業経営の診断の指標とマネジメントサイクルを含めた診断方法及び農業経営の設計に必要な条件と方法を扱うこと。
カ 内容の(6)については,生産や飼育に関する活動と連動した経営の改善に取り組む活動を行うこと。また,起業的な活動についても扱うことができること。
第11 農業機械
1 目標  農業機械の取扱いと維持管理に必要な知識と技術を習得させ,機械の構造と作業上の特性を理解させるとともに,農業機械の効率的な利用を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 農業機械の役割
ア 農業機械化の意義
イ 農業機械の利用とその現状
(2) 農業機械の操作
ア トラクタとその操作
イ 作業機とその操作
ウ 農業機械と安全作業
(3) 農業機械の構造と整備
ア 原動機の原理・構造と整備
イ トラクタの構造と整備
ウ 作業機の構造と整備
エ 燃料と潤滑油の特質
(4) 農業生産と農業機械の利用
ア 農業機械の効率的利用
イ 経営形態と機械の導入・利用
ウ 農業機械化体系の作成
(5) 農業機械による自動化
ア 環境制御機器
イ 作業工程の自動化
ウ 農業用ロボット
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,実験・実習を通して,機械の構造と作業特性の相互関係から機械の点検方法について理解させ,機械の維持管理を図る実践力を育てること。また,機械の原理や構造などの理解を深めさせるため,教育用機器を活用すること。
イ 内容の(2)から(4)までについては,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業機械を選定すること。また,機械及び燃料の安全な取扱いについて指導し,事故の防止に努めること。
ウ 内容の(5)については,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業機械や農業用ロボットを選定し,活用の意義について理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国における農業機械の利用の現状及び農業の生産性の向上と農業機械化との相互関係を扱うこと。
イ 内容の(3)については,原動機とトラクタの各種装置の作動原理と作業機の作業原理にかかわる基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(4)については,学校農場や地域農業の身近な事例を取り上げて,機械の作業能率や利用経費など農業機械の効率的な利用と経営形態や目的に応じた機械の導入・利用を考慮した農業機械化体系の作成を扱うこと。
エ 内容の(5)については,技術の進展に対応した題材を取り上げ,基礎的な内容を扱うこと。
第12 食品製造
1 目標  食品製造に必要な知識と技術を習得させ,食品の特性と加工方法及び貯蔵の原理を理解させるとともに,品質と生産性の向上を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食品製造の意義と動向
ア 食品製造の意義
イ 食品産業の現状と動向
(2) 食品加工の原理と方法
ア 物理的な方法による加工
イ 化学的な方法による加工
ウ 生物的な作用による加工
(3) 食品の特性と加工
ア 原材料の処理
イ 穀類,大豆,イモ類の加工
ウ 野菜,果実の加工
エ 畜産物の加工
オ 発酵食品の製造
(4) 食品加工と衛生管理
ア 食品による危害と安全の確保
イ 食品製造における衛生
ウ 環境汚染の防止
(5) 食品の変質と貯蔵
ア 食品の変質の要因
イ 食品の貯蔵法
ウ 食品の包装と品質表示
(6) 機械と装置の利用
ア 製造用の機械と装置の利用
イ ボイラと冷却装置の利用
(7) 生産管理の改善
ア 品質管理
イ 作業体系の改善
(8) 食品製造の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,農業生産,食品製造から食料消費までの安全な食料供給の仕組みを理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,実験・実習を通して,食品の特性と加工原理を理解させ,食品加工の工夫を図る実践力を育てること。
ウ 実験・実習の指導に当たっては,食品や製造用機械・器具の安全な取扱いについて指導するとともに,食品衛生上の危害の発生の防止に努めること。
エ 内容の(3)のアからオまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
オ 内容の(7)については,食品企業における従業員の教育や管理の手法について具体的な事例を取り上げ,安全な食品の提供と生産性を向上するための取組の重要性を理解させること。
カ 内容の(8)については,内容の(1)から(7)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国の食生活における食品産業の役割及び食品製造に関する技術の進歩を中心に扱うこと。
イ 内容の(2)については,原材料の特性を利用した加熱,塩漬や発酵などの食品加工の方法とその基本的な原理を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,主な食品の製造工程における操作及び検査を扱うこと。
エ 内容の(4)については,食品による危害の要因や食品の安全に関する法規の概要について扱うとともに,食品を衛生的に製造するための危害分析重要管理点手法や食品安全マネジメントシステムなどについて扱うこと。また,環境汚染を防止するために必要な排水や廃棄物の処理の方法などについても扱うこ...
オ 内容の(5)については,温度,酸素や微生物による食品の変質とそれに伴う価値の変化及びその防止のための代表的な貯蔵法を扱うこと。また,包装と表示及び製造用機械・器具の使用方法について扱うこと。
カ 内容の(6)については,内容の(3)及び(5)で扱う食品製造用の機械や装置の操作と整備を扱うこと。
キ 内容の(7)については,品質管理を図るための工程と生産環境の管理,衛生検査及び作業体系の基礎的な内容を扱うこと。
ク 内容の(8)については,実際に選定した食品の加工に関する活動や商品を開発する活動を食品企業の経営と関連付けて行うこと。
第13 食品化学
1 目標  食品の成分分析と検査に必要な知識と技術を習得させ,食品の成分と栄養的価値を理解させるとともに,食品製造及び農業の各分野で応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食品化学の役割
ア 食品化学の領域
イ 食品化学と食品製造
(2) 食品の成分
ア 食品成分の分類と機能
イ 食品成分の変化
(3) 食品の栄養
ア 食品成分の代謝と栄養
イ 食品の栄養的価値の評価
(4) 食品の成分分析
ア 成分分析の基本操作
イ 食品成分の定量分析
ウ 食品成分の物理・化学分析
(5) 食品の衛生検査
ア 食品衛生検査の意義
イ 異物の検査
ウ 細菌の検査
エ 水質の検査
オ 食品添加物の検査
カ 農薬と食品
(6) 食品分析の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(5)までについては,地域の食生活の現状や学科の特色に応じて,題材として適切な食品と原材料を選定すること。
イ 内容の(4)及び(5)については,実験・実習を通して,成分分析や衛生検査の意義と原理について理解させ,食品製造に応用する実践力を育てること。
ウ 内容の(5)のカについては,残留農薬のポジティブリスト制度などにも触れ,食品の安全に応用する実践力を育てること。
エ 内容の(6)については,内容の(1)から(5)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,食品の成分分析や衛生検査が,食品製造や食生活の改善に果たしている役割を中心に扱うこと。
イ 内容の(2)については,食品中のタンパク質,ビタミンなどの性質,加工や貯蔵時における変化を中心に扱うこと。
ウ 内容の(2)から(5)までについては,化学式,構造式及び化学反応式を扱う場合は基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(3)については,食品成分の体内での変化と働きを中心に扱い,機能性食品などについても触れること。
オ 内容の(4)については,食品成分の分析方法とその原理及び分析機器の操作を扱うこと。
カ 内容の(5)のアからオについては,食品の安全性確保のために必要な衛生検査の概要及び各種検査の原理と方法を扱うこと。カについては残留農薬の問題など具体的な事例を扱うこと。
キ 内容の(6)については,実際に選定した食品の成分分析や衛生検査を行うこと。
第14 微生物利用
1 目標  食品に関連する微生物の利用と培養に必要な知識と技術を習得させ,微生物の特性を理解させるとともに,農業の各分野で微生物を利用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 微生物利用の意義と分野
ア 微生物利用の意義
イ 食品と微生物利用
(2) 微生物の種類と特徴
ア 微生物の種類と増殖
イ 微生物の生育環境
ウ 微生物の遺伝
(3) 微生物の代謝とその利用
ア 酵素の一般的性質
イ 酵素の分類と種類
ウ 酵素の利用
エ 微生物の代謝
オ アルコール発酵
カ 有機酸発酵
キ アミノ酸発酵
(4) 微生物の分離と培養
ア 微生物実験の基本操作
イ 細菌の分離と培養
ウ 酵母の分離と培養
エ かびの分離と培養
オ きのこの培養
(5) 微生物利用の発展
ア 新たな微生物利用
イ 微生物の改良
ウ 微生物によるエネルギー生産
エ 固定化生体触媒の利用
オ 微生物による環境保全
(6) 微生物利用の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,各種の事例を通して,微生物利用の意義を具体的に理解させること。
イ 内容の(2)については,観察・実験を通して,微生物の形態的特徴と生理的特性を具体的に理解させること。
ウ 内容の(2)から(5)までについては,微生物の特性を理解させ,微生物の活動を制御し,利用する実践力を育てること。また,地域の食品産業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な菌種を選定すること。なお,遺伝子組換えや有害微生物を扱う際には,適切な拡散防止の措置を講じるなど安全に...
エ 内容の(3)のオからキまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
オ 内容の(4)については,実験・実習を通して,微生物の特徴を理解させること。
カ 内容の(5)については,遺伝子操作に関する技術の進展やそれに伴う倫理的な問題についても触れること。
キ 内容の(6)については,内容の(1)から(5)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,微生物利用の状況,微生物の役割及び食品と微生物の関係について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)のウについては,微生物の遺伝の仕組み及び突然変異について基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(2)から(6)までについては,微生物の学名や英名及び化学式や構造式を扱う場合は基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,微生物の純粋分離と純粋培養の基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,遺伝子組換えの基礎的な内容を扱うこと。また,エネルギー生産については,再資源化や環境浄化とも関連付けて発酵機構と代謝産物及び生体触媒の固定化などの基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(6)については,実際に選定した微生物の培養や発酵食品の製造,微生物を応用した技術に関する活動を行うこと。
第15 植物バイオテクノロジー
1 目標  植物に関するバイオテクノロジーの知識と技術を習得させ,植物体の特性とバイオテクノロジーの特質を理解させるとともに,農業の各分野で活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) バイオテクノロジーの意義と役割
ア バイオテクノロジーの意義
イ 産業社会とバイオテクノロジー
(2) 植物バイオテクノロジーの特質と基本操作
ア 植物の構造と機能
イ 無菌操作の基本
(3) 植物の増殖能力の利用
ア 組織培養の目的と技術体系
イ 培地の組成と調整
ウ 培養植物体の生育と環境
エ 野菜や草花への活用
オ 果樹や作物などへの活用
カ バイオテクノロジーの活用実態
(4) 植物の遺伝情報の利用
ア 遺伝子組換えの仕組み
イ 細胞融合の仕組み
(5) バイオマス・エネルギーの利用
ア 栽培植物の利用
イ 有機廃棄物の利用
(6) 植物バイオテクノロジーの展望
(7) 植物バイオテクノロジーの実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,植物の分化全能性とその利用について理解させ,組織培養技術を活用する実践力を育てること。
イ 内容の(2)から(4)までについては,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な植物を選定すること。また,遺伝子組換えを扱う際には,適切な拡散防止の措置を講じるなど安全に十分留意して指導し,雑菌による機器や施設などの汚染防止を図ること。
ウ 内容の(7)については,内容の(1)から(6)までと並行してあるいはそれらの内容を学習した後に取り扱うこと
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,植物の繁殖などの機能を利用するバイオテクノロジーの技術体系及び農業などの産業各分野における利用の概要を扱うこと。 
イ 内容の(2)については,茎頂など植物の組織・器官の構造と機能,植物ホルモンの作用及び無菌的条件の設定も扱うこと。
ウ 内容の(3)については,植物細胞の分化全能性,培地の調整,組織培養及び培養植物体の順化,育成を中心に扱うこと。カについては,地域の野菜や草花など身近な植物や絶滅危惧《ぐ》植物などの具体的な事項を扱うこと。
エ 内容の(4)については,遺伝子の構造及び植物のもつ遺伝情報の伝達機能について基礎的な内容を扱い,遺伝子組換えに関連する法規の概要についても扱うこと。
オ 内容の(5)については,バイオテクノロジーを活用して,セルロースなどの植物成分やもみがらなどの有機廃棄物を変換利用する技術を扱うこと。
カ 内容の(6)については,遺伝子組換え植物の利用などバイオテクノロジーに関する今後の動向,課題及び可能性について基礎的な内容を扱うこと。
キ 内容の(7)については,植物バイオテクノロジーの技術を活用した活動や絶滅危惧《ぐ》植物などを対象とした活動を行うこと。
第16 動物バイオテクノロジー
1 目標  動物バイオテクノロジーや実験動物の飼育・管理に関する知識と技術を習得させ,動物の生理特性とバイオテクノロジーの特質を理解させるとともに,農業の各分野で応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) バイオテクノロジーの意義と役割
ア バイオテクノロジーの意義
イ 産業社会とバイオテクノロジー
ウ 動物実験の意義
(2) 実験動物
ア 動物の体の構造
イ 飼育と管理
ウ 動物実験の基本
(3) 動物バイオテクノロジーの基礎
ア 生殖細胞と人工授精
イ 受精卵の操作
ウ 雌雄の判別
エ 核移植とクローニング  
(4) 動物バイオテクノロジーの展望
(5) 動物バイオテクノロジーの実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,実験・実習を通して,動物の組織や機能を理解させ,バイオテクノロジーの応用を図る実践力を育てること。
イ 内容の(2)及び(3)については,地域農業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な動物を選定すること。
ウ 内容の(3)については,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。また,遺伝子組換えを扱う際には,適切な拡散防止の措置を講じるなど安全に十分留意して指導し,雑菌による機器や施設などの汚染防止を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,動物の繁殖機能を利用するバイオテクノロジーの技術体系及び農業などの産業各分野における利用の概要を扱うこと。
イ 内容の(1)のウ及び(2)については,生命尊重の視点から実験で使用する動物について倫理面にも配慮して扱うこと。 
ウ 内容の(3)については,受精卵移植や雌雄の判別など動物のバイオテクノロジーの基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,人工多能性幹細胞など動物のバイオテクノロジーに関する今後の動向,課題及び可能性について基礎的な内容を扱い,遺伝子組換えに関連する法規の概要についても扱うこと。
オ 内容の(5)については,動物バイオテクノロジーの技術を活用した活動や応用的な技術を活用した活動を行うこと。
第17 農業経済
1 目標  農業及び食品産業の経済活動に関する知識と技術を習得させ,流通及び市場の原理を理解させるとともに,流通の改善を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 我が国の農業と世界の食料需給
ア 農業と国民経済
イ 世界の食料需給
ウ 農業と国際経済事情
(2) 食料供給と農業及び食品産業
ア 農業生産の役割と特徴
イ 食品産業の役割と特徴
(3) 農産物の需給と価格形成
ア 農産物の需要と供給
イ 市場の原理と価格の形成
(4) 農産物の流通と経済
ア 流通の構造と機能
イ 農産物・加工食品と農業生産資材の流通
ウ 金融と保険
(5) 農業生産の組織と食品産業
ア 農業協同組合
イ 農業生産組織と農業生産法人
ウ 食品企業
(6) 農業と情報
ア 農業情報システム
イ 情報の管理と活用
(7) 農業・食料政策と関係法規
ア 農業・食料政策
イ 農業経済と関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(5)までについては,地域の具体的な事例を通して,農業及び食品産業の経済活動について理解させること。
イ 内容の(5)から(7)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,農業と食品産業が我が国の経済活動において果たしている役割,国際的な食料需給の動向が我が国の農業と食品産業に与える影響などについて基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,食料消費の形態と動向並びに食料供給における農業,食品製造業,食品流通業及び外食産業の役割と動向について基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,価格形成の原理として需要と供給の変動の要因及び市場の役割を具体的に扱うこと。
エ 内容の(4)については,主な農産物・加工食品と農業生産資材の流通構造及び流通に必要な金融と保険について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,販売事業や信用事業など農業協同組合の事業,共同出荷など生産組合の事業,集落営農などの農業生産組織や農業生産法人,食品企業の運営及び経営について基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(7)については,農業政策及び食料政策とその関係法規の概要を扱うこと。
第18 食品流通
1 目標  農産物や農産物を原料とする食品の流通に必要な知識と技術を習得させ,食品の特性と流通構造を理解させるとともに,食品の流通と管理の合理化を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食品流通と食品産業
ア 食品産業と国民経済
イ 食品流通とフードシステム
(2) 食品流通の構造と機能
ア 食品流通の社会的機能
イ 食品流通の構造
ウ 流通経費と価格形成
(3) 主な食品の流通
ア 米と麦類の流通
イ 青果物の流通
ウ 畜産物の流通
エ 加工食品の流通
オ 農産物の輸出入
(4) 食品の品質と規格
ア 食品の機能と安全性
イ 品質と品質保証
ウ 規格・表示・検査
エ 食品流通と包装
オ 食品の変質
(5) 食品の輸送と保管
ア 食品の輸送
イ 食品の保管
ウ 物流のシステム化
エ 物流と情報管理
(6) マーケティング
ア 食品市場の調査
イ 販売計画と仕入計画
ウ 流通と販売
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,食品流通の具体的な事例を通して,安全な食品の流通の仕組みについて理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,調査や実習を通して,食品の特性と流通構造を理解させ,流通の改善を図る実践力を育てること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,国民の食生活の動向及び食品産業や食品流通の役割を中心に扱うこと。
イ 内容の(3)については,我が国の主な食品の特性及び流通の手段,経路と機能を扱うこと。なお,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な食品を選定すること。
ウ 内容の(4)については,食品の栄養や安全性などの品質の保持と保証及びそのための検査と包装を扱うこと。なお,食品の規格や表示については,農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律に基づく食品表示と規格など基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については,食品の品質の維持や環境とのかかわり,食品トレーサビリティシステムについても扱うこと。
オ 内容の(6)については,食品の販売や店舗の経営に必要なマーケティングの原理,食品市場の調査と情報分析,消費動向,品揃《ぞろ》えと数量などの仕入計画及び商品陳列,広告,販売方法などの販売計画について基礎的な内容を扱うこと。
第19 森林科学
1 目標  森林の育成,保全と木材の生産に必要な知識と技術を習得させ,森林の役割や生態について理解させるとともに,森林の保全と利用を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 森林の役割
ア 森林の多面的機能
イ 森林管理の意義
(2) 森林の生態
ア 森林の生態と分布
イ 林木の生育と環境
(3) 森林の育成
ア 育苗と造林
イ 森林の保育と保護
(4) 山地の保全
ア 治山治水
イ 林道と作業道
(5) 木材の生産
ア 林木の伐採
イ 造材と集材
ウ 木材の運搬
(6) 人間社会と森林
ア 森林利用の変遷
イ 流域社会と人の暮らし
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,学校林や地域の森林における実習を通して,森林の役割及び生態について具体的に理解をさせること。
イ 内容の(2)及び(3)については,観察や実験・実習を通して,林木の生育特性と環境要因を理解させ,計画的な森林造成を図る実践力を育てること。
ウ 内容の(2)のイについては,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な林木を選定すること。
エ 内容の(4)のイについては,山地の保全にとって作業道の果たす役割を理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,我が国の森林を中心に扱うこととし,水資源の涵《かん》養や生物多様性の保全をはじめとする多面的な森林の機能を維持するための森林管理の意義を扱うこと。
イ 内容の(2)については,森林生態系での物質循環と遷移及び森林植生の分布と気候の関係について基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,実生苗や挿し木苗の養成及び造林の基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,治山治水,林道,作業道の意義や役割などについて基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(6)については,森林利用の歴史,流域社会と人間,森林観形成の過程における思想の変遷などを扱うこと。
第20 森林経営
1 目標  森林経営における測定,計画と管理に必要な知識と技術を習得させ,森林の機能と評価の意義を理解させるとともに,森林を持続的に経営する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 森林と森林経営
ア 我が国と世界の森林
イ 森林経営の意義と役割
(2) 森林の機能
ア 林産物生産機能
イ 環境保全機能
ウ 保健休養機能
(3) 森林の測定と評価
ア 森林の測定
イ リモートセンシングの利用
ウ 森林の機能の評価
(4) 森林経営の計画と管理 
ア 森林経営の目標と組織
イ 森林施業
ウ 森林の利用
エ 森林経営情報の活用
(5) 木材の流通
ア 国民経済と木材商業
イ 木材の流通と市場
ウ 木材貿易
(6) 森林経営と森林政策
ア 我が国の森林政策
イ 林業金融と森林保険
ウ 森林関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,学校林や地域の森林における実習を通して,森林の機能とその測定を理解させること。
イ 内容の(3)及び(4)については,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な森林を選定すること。また,指導に当たっては,各種メディア教材や地球観測衛星などの情報を適切に活用すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,我が国と世界の森林資源,木材の需給の動向及びそれらの相互関係について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,木材等の林産物の生産や供給,国土の保全や水資源の涵《かん》養,保健休養や教育的利用の場の提供など森林がもつ機能について基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,森林の測定とその機能の評価の方法について基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,我が国の森林の持続的経営に関して,植林,間伐,伐採,再造林などの具体的な内容を扱うこと。
オ 内容の(6)のアについては,森林計画制度など我が国の森林政策の概要を扱うこと。イについては森林の機能を持続させるための金融と保険制度を扱うこと。ウについては森林経営に関する法規の概要を扱うこと。
第21 林産物利用
1 目標  林産物の加工,利用に必要な知識と技術を習得させ,林産物の特性を理解させるとともに,林産物の多様な利用を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 森林資源の循環利用と林業・林産業
ア 循環資源としての木材
イ 木造建築物と循環
ウ 林産業の現状と動向
(2) 木材の性質と用途
ア 木材の構造
イ 木材の性質
ウ 木材の用途
(3) 製材と木材の工作
ア 製材
イ 木材の乾燥
ウ 木材の工作
(4) 木材の加工と利用
ア 改良木材の製造
イ 木材パルプと和紙
ウ 木炭
エ バイオマスの変換技術と利用
(5) 特用林産物の生産と加工
ア きのこの生産と加工
イ 山菜の加工
ウ 薬用植物の生産と加工
エ つるなどの加工
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,光合成産物である木材が循環利用可能な資源であり,人間の生活に欠かせない素材として重要な役割を果たしていることを理解させること。
イ 内容の(2)から(4)までについては,実験・実習を通して,木材の構造と性質を理解させ,木材の多様な利用を図る実践力を育てること。
ウ 内容の(3)から(5)までについては,地域林業の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な林産物を選定すること。また,加工,製造機械類の操作及び各種薬剤などによる事故の防止など安全の指導の充実に努めること。
エ 内容の(4)のイからエまで及び内容の(5)のアからエまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のウについては,木造建築業,木材加工業及び林産製造業を扱うこと。
イ 内容の(4)については,木材の材質の改良,木材の物理的処理と化学的処理及びバイオマス・エネルギーの利用について基礎的な内容を扱うこと。
第22 農業土木設計
1 目標  農業土木事業の計画と設計に必要な知識と技術を習得させ,事業計画の重要性と土木構造物の特質を理解させるとともに,自然環境との調和に配慮した事業を計画し,構造物を設計する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 農業土木計画と設計の意義
ア 農業土木計画の意義と役割
イ 環境保全と農業土木計画
ウ 農業土木構造物の種類と特質
エ 農業土木構造物の計画・設計・製図
(2) 設計と力学
ア 力と釣合い
イ 平面図形の性質
ウ 材料の性質と強さ
(3) 構造及び部材の計算と設計
ア 静定ばりの計算と設計
イ 不静定ばりの基礎
ウ 柱
エ トラス
オ ラーメン
(4) 鉄筋コンクリート構造と鋼構造の設計
ア 鉄筋コンクリート構造
イ 鋼構造
(5) 農業土木構造物の設計
ア 基礎工
イ 擁壁
ウ 水利構造物
エ 道路
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)については,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業土木構造物を選定すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,地域計画と農業土木事業を関連付けて扱うこと。
イ 内容の(2)については,力の合成と分解,断面二次モーメントなどの断面の性質及び構造材料の強さと特性を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,はり,柱とトラスに作用する外力と応力及びその計算方法を扱うこと。また,ラーメン構造については概要を扱うこと。
エ 内容の(4)については,鉄筋コンクリート構造と鋼構造の性質,許容応力度法及び限界状態設計法について基礎的な内容を扱うこと。
第23 農業土木施工
1 目標  農業土木事業における施工と管理に必要な知識と技術を習得させ,農業土木工事の特質を理解させるとともに,各種の工事を自然環境や安全に配慮し,合理的に施工・管理する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 農業土木事業の役割
ア 農業土木工事の意義と特質
イ 自然環境と農業土木工事
(2) 施工計画の基本
ア 施工計画の立案
イ 仮設計画
ウ 仕様と積算
(3) 工事の管理
ア 工事の運営組織
イ 工程管理
ウ 品質管理
エ 安全管理
(4) 農業土木関係法規
(5) 農業土木工事の施工
ア 土工
イ コンクリート工
ウ 基礎工
エ 道路工
オ 植栽工
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(5)については,地域の実態や学科の特色に応じて,題材として適切な農業土木工事を選定すること。
イ 内容の(5)については,土木構造物の見学,調査や実習を通して,農業土木工事の特質を理解させ,工事の改善を図る実践力を育てること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,農地の整備と保全,かんがい,排水などの各種農業土木工事の概要を自然環境と関連付けて扱うこと。
第24 水循環
1 目標  水を有効かつ継続的に利用するための知識と技術を習得させ,地球上の水循環と環境や生物とのかかわり,人間活動が水循環の中で営まれることを理解させるとともに,環境保全に配慮し,農業の持続的な発展に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 水と地球環境
ア 水と大気
イ 水文循環
ウ 水と森林・河川・農地
エ 水と生態系
(2) 水と人間
ア 水と人間の歴史
イ 資源としての水
(3) 水と農林業
ア 水と農地の土壌
イ 水と農業生物の栽培
ウ 水と森林の土壌
(4) 水と土の基本的性質
ア 水の基本的性質
イ 土の基本的性質
ウ 土中の水
(5) 農業水利
ア 利水と治水
イ かんがいと排水
ウ 水利施設
(6) 水と生活環境
ア 水の有効利用と水質保全
イ 農業用水の多面的機能
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については,地域環境の観察,地球的な視点や歴史的な視点に立った資料などを用いた学習を通して,水と環境及び人間の相互関係並びに水循環について関心をもたせること。
イ 内容の(3)については,水の動きに伴う肥料や農薬の動きと環境とのかかわり,農地・森林の水資源の涵《かん》養機能及びこれにかかわる環境保全への寄与についても扱うこと。
ウ 内容の(4)から(6)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のイについては,地球的規模に立った新しい考え方も取り入れて扱うこと。
イ 内容の(5)のウについては,用排水機場や水門など主な水利施設の基礎的な内容を扱うこと。なお,生態系や環境保全へ配慮した水利構造物も扱うこと。
第25 造園計画
1 目標  造園の計画・設計に必要な知識と技術を習得させ,造園空間のもつ機能を理解させるとともに,目的や環境に応じた造園空間を創造する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 造園計画の意義と緑地環境の役割
ア 生活と緑地環境
イ 造園計画と造園空間
(2) 環境と造園の様式
ア 我が国の環境と造園様式
イ 外国の環境と造園様式
(3) 造園製図と造園デザインの基礎
ア 造園製図の基礎
イ 造園デザインの基礎
(4) 庭園の計画・設計
ア 住宅庭園
イ 学校庭園
ウ 屋上緑化
(5) 公園,緑地の計画・設計
ア 都市緑地
イ 農村緑地
ウ 自然公園
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,我が国と外国の造園様式を,それぞれの国や地域の自然環境,文化的環境及び社会的環境と関連付けて理解させること。
イ 内容の(5)のアからウまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,造園の目的と計画及びそれに基づく造園空間の創造と利用の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については,我が国と外国の主な造園様式とその変遷並びにそれを取り巻く自然環境,文化的環境及び社会的環境を総合的に扱うこと。
ウ 内容の(4)については,住宅庭園と学校庭園及び屋上緑化などの特殊基盤緑化の構成・機能・環境条件など庭園の計画・設計に必要な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については,種類,機能,役割,環境条件など公園や緑地の計画・設計に関する基礎的な内容を扱うこと。また,バリアフリーやユニバーサルデザインに関する基礎的な内容も扱うこと。なお,イ及びウについては,設計を扱わないことができること。
第26 造園技術
1 目標  造園の施工と管理に必要な知識と技術を習得させ,造園の特質を理解させるとともに,合理的に施工し,維持管理する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 造園技術の特色と役割
ア 造園技術の特色
イ 造園施工と管理の役割
(2) 造園植栽施工
ア 植栽とデザイン
イ 芝生,花壇などの造成
(3) 造園土木施工
ア 敷地の造成と土壌の改良
イ コンクリート工
ウ 給排水工
エ 造園施設工
(4) 植物及び工作物の管理
ア 植物の管理
イ 工作物の管理
ウ 景観の管理
(5) 合理的な施工管理
ア 工程管理
イ 品質管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(4)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,造園の施工と管理を行う上で適切な題材を選定すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(4)までについては,病気,害虫,機械及び器具について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(3)については,屋上緑化をはじめとする特殊基盤緑化についてもバリアフリーやユニバーサルデザインを考慮して扱うこと。
ウ 内容の(3)から(5)までについては,関係する法規と関連付けて扱うこと。
エ 内容の(4)については,造園樹木のせん定と整姿,工作物の補修などの維持管理及び造園の目的に沿った景観の維持管理を扱うこと。
第27 環境緑化材料
1 目標  環境緑化のための植物の育成や造園空間の構成に使用する材料について必要な知識と技術を習得させ,環境緑化材料の特性を理解させるとともに,材料を適切に取り扱い,活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 環境緑化材料の特色と役割
ア 環境緑化材料の特色
イ 環境緑化材料の役割
(2) 植物材料
ア 造園樹木
イ 地被植物
ウ 花壇用草花
(3) 岩石材料
ア 岩石
イ 自然石材
ウ 加工石材
(4) 各種材料
ア 木材
イ 竹材
ウ 金属材料
エ セメント
オ コンクリート製品
カ 窯製品
キ 新しい環境緑化材料
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(4)までについては,観察や実習を通して,造園空間を構成するために必要な材料の特性とその取扱いを具体的に理解させること。
イ 内容の(2)から(4)までについては,地域の造園施工の実態に応じて,題材として適切な緑化材料を選定すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,植物材料の種類,特性及び育成を扱うこと。
イ 内容の(3)については,岩石材料の種類及び特性を扱うこと。
第28 測 量
1 目標  測量に必要な知識と技術を習得させ,測定機器の特質と地理空間情報の処理と利用について理解させるとともに,環境保全や農林業に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 測量の役割
ア 地理空間情報と測量の役割
イ 座標系と基準点
ウ 測定値の処理と表現
(2) 位置や高さの測量
ア 平板測量
イ 角測量
ウ トラバース測量
エ 水準測量
オ 衛星測位
(3) 写真測量
ア 写真測量の原理と実体視
イ 写真情報の判読と処理
ウ 写真測量の利用
エ リモートセンシングの原理と種類
オ リモートセンシングの利用
(4) 地理空間情報
ア 地理情報システムの原理と役割
イ 地理情報システムの利用
ウ 地理空間情報の利用
(5) 応用測量
ア 地形測量
イ 路線測量
ウ 工事測量
エ 河川測量
オ 森林測量
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,見学や実習を通して,測量の原理と測定機器の操作について理解させること。
イ 内容の(4)については,実習を通して,地理情報システムの基本的な原理及びデータの種類と処理について理解させ,空間情報を利用できるようにすること。
ウ 内容の(5)のアからオまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)のアからウまでについては,写真測量の基本的な測定原理及び写真測量データの処理と利用を中心に扱うこと。オについては,環境保全や農林業などへの利用について扱うこと。
イ 内容の(4)のウについては,国土空間データ基盤についても扱うこと。
ウ 内容の(5)については,既存の地図情報の利用,各種事業の目的に応じた測量の選択,データの精度と表現方法など,基礎的な内容を扱うこと。
第29 生物活用
1 目標  園芸作物や社会動物の活用に必要な知識と技術を習得させ,それらの生物の特性を活用した活動や療法の特質を理解させるとともに,生活の質の向上を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 生物活用の意義と役割
ア 園芸作物,社会動物と人間生活
イ 生物活用と対人サービス
(2) 園芸作物の栽培と活用
ア 草花・野菜・ハーブの栽培と活用
イ 園芸デザインとその活用
(3) 社会動物の飼育と活用
ア 社会動物の飼育としつけ
イ 社会動物の活用
(4) 生物を活用した療法
ア 園芸療法
イ 動物介在療法
(5) 生物活用の実際
ア 対象者の理解と交流の技法
イ 交流活動
ウ 療法的な活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,交流対象者の安全や健康などについて十分配慮するとともに,必要に応じて地域の専門機関や専門家との連携を図ること。
イ 内容の(1)については,専門家が療法として行う行為と一般の人々がレクリエーションや教育,健康増進などを目的として行う活動の違いについて理解させること。
ウ 内容の(2)及び(3)については,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。また,題材として適切な園芸作物や社会動物を選定すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,教育や健康などに関する効果に着目した園芸作物の栽培や園芸デザインの活動を中心に扱い,それを活用した交流活動の準備や活動の支援も扱うこと。
イ 内容の(3)については,教育や健康などに関する効果に着目した社会動物との交流とそのための飼育やしつけを中心に扱い,社会動物を活用した交流活動の準備や活動の支援も扱うこと。
ウ 内容の(4)については,園芸療法,動物介在療法の基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については,安全な活動を行うために必要な交流対象者の心身の特徴や生活状況の理解及び交流に必要な技術について扱うこと。
第30 グリーンライフ
1 目標  農林業・農山村の特色を生かした生活体験を提供する活動に必要な知識と技術を習得させ,地域資源の有用性を理解させるとともに,地域に根ざした事業の振興に寄与できる能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 農山村社会の変化と地域社会の再編
ア 農山村と都市の現状と変化
イ 地域社会の変化と起業活動
ウ 農山村活性化のための政策
(2) グリーンライフの概要
ア 人間生活とグリーンライフ
イ 農林業・農山村の魅力
ウ グリーン・ツーリズムの取組
(3) 地域資源の発見・保全・活用
ア 身近な地域の資源
イ 農山村の資源
(4) グリーンライフ活動の実践
ア 地域コーディネータの役割 
イ 対人サービスのマナー
ウ 環境インタープリターの技法
エ グリーンライフプログラムの作成・企画
オ 安全管理
(5) グリーンライフ活動
ア エコツアー
イ 直売所・農家レストラン
ウ 商品開発
エ 産地直送・通信販売
オ 市民農園・観光農園
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,農林業・農山村の多面的機能や地域資源の有用性を発揮するために他産業・異業種と連携する取組の重要性について理解させるようにすること。
イ 内容の(3)については,見学や実習を通して,地域資源の発見・保全・活用を図る実践力を育てること。
ウ 内容の(3)のア及びイ並びに(5)のアからオまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
エ 内容の(5)については,グリーンライフ活動における食の安全や事故の防止など安全の指導の充実に努めること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,都市部におけるグリーンライフのニーズと関連付けて扱うこと。
イ 内容の(4)については,グリーンライフ活動の実践に必要な基礎的な技術を扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 農業に関する各学科においては,「農業と環境」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 農業に関する各学科においては,原則として農業に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。また,実験・実習に当たっては,ホームプロジェクトを取り入れることもできること。
(3) 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第2節 工   業
第1款 目標  工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における工業の意義や役割を理解させるとともに,環境及びエネルギーに配慮しつつ,工業技術の諸問題を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって解決し,工業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 工業技術基礎
1 目標  工業に関する基礎的技術を実験・実習によって体験させ,各専門分野における技術への興味・関心を高め,工業の意義や役割を理解させるとともに,工業に関する広い視野と倫理観をもって工業の発展を図る意欲的な態度を育てる。
2 内容
(1) 人と技術と環境
ア 人と技術
イ 技術者の使命と責任
ウ 環境と技術
(2) 基礎的な加工技術
ア 形態を変化させる加工
イ 質を変化させる加工
(3) 基礎的な生産技術
ア 生産の流れと技術
イ 基礎的な分析及び測定技術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,産業社会,職業生活,産業技術に関する調査や見学を通して,工業技術と人間とのかかわり及び工業技術が日本の発展に果たした役割について理解させること。イについては,安全な製品の製作や構造物の設計・施工,法令遵守など工業における技術者に求められる使命と責任に...
イ 内容の(2)及び(3)については,相互に関連する実験や実習内容を取り上げるよう留意し,工業の各専門分野に関連する要素を総合的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,工業の各専門分野に関連する職業資格及び知的財産権についても扱うこと。ウについては,環境に配慮した工業技術について,身近な事例を通して,その意義や必要性を扱うこと。
イ 内容の(2)については,日常生活にかかわる身近な製品の製作例を取り上げ,工業技術への興味・関心を高めさせるとともに,工具や器具を用いた加工及び機械や装置類を活用した加工を体験させること。アについては,塑性加工など,形態を変化させる加工の基礎的な内容を扱うこと。イについては,化学...
ウ 内容の(3)のアについては,簡単な工業製品の製作を通して,生産に関する技術の基礎的な内容を扱うこと。イについては,具体的な事例を通して,生産にかかわる基礎的な分析及び測定技術の重要性を扱うこと。
第2 課題研究
1 目標  工業に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 作品製作
(2) 調査,研究,実験
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
第3 実 習
1 目標 工業の各専門分野に関する技術を実際の作業を通して総合的に習得させ,技術革新に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 要素実習
(2) 総合実習
(3) 先端的技術に対応した実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,安全に配慮するとともに,生徒の興味・関心,進路希望等に応じて実習内容を重点化することや生徒に実習内容を選択させるなど弾力的に扱うこと。
イ 指導に当たっては,工業の各専門分野に関する日本の伝統的な技術・技能に触れるとともに,安全衛生や技術者としての倫理,環境及びエネルギーへの配慮などについて,総合的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,工業の各専門分野に関連する要素的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,内容の(1)の個々の要素技術を総合化した内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,工業の各専門分野に関連する先端的技術の中から,基礎的な内容を選択して扱うこと。
第4 製 図
1 目標  製図に関する日本工業規格及び工業の各専門分野の製図に関する知識と技術を習得させ,製作図,設計図などを正しく読み,図面を構想し作成する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 製図の基礎
ア 製図と規格
イ 図面の表し方
(2) 各専門分野の製図・設計製図
ア 各専門分野に関する製図
イ 各専門分野に関する設計製図
(3) CADの基礎
ア CADの機能
イ CADを活用した設計製図
ウ 三次元CAD
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,必要に応じて内容と関連する国際規格を取り上げ,基礎的な内容を理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,関連する内容を選択するとともに,適切な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のウについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,日本工業規格の製図に関する基礎的な内容を扱うこと。イについては,基礎的な図法及び製図用具の使い方を扱うこと。
イ 内容の(3)のイについては,具体的な事例を通して活用の方法を扱うとともに,基礎的な図面を作成させること。
第5 工業数理基礎
1 目標  工業の各分野における事象の数理処理に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 工業の事象と数式
ア 工業の事象の計算
イ 面積・体積・質量の積算
ウ 単位と単位換算
(2) 基礎的な数理処理
ア 力とエネルギー
イ 力と釣合い
ウ 流れの基礎
エ 計測と誤差
オ 工業の事象とグラフ
(3) 応用的な数理処理
(4) コンピュータによる数理処理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,演習を重視し,数学,物理及び化学の理論を工業の基礎的事象を処理する道具として活用させること。
イ 内容の(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切な工業の事象を題材として扱うこと。
ウ 内容の(4)については,内容の(1)から(3)までの数理処理と関連付けて扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のア及びイについては,中学校までに学んだ数学を基礎として数理処理できる工業の事象を扱うこと。ウについては,国際単位系を扱い,具体的な単位換算については内容の(2)及び(3)の中で扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,力とエネルギーに関する工業の事象を取り上げ,具体的な数理処理を扱うこと。イについては,力と釣合いに関する工業の事象を取り上げ,具体的な数理処理を扱うこと。ウについては,電気,水,熱の流れの基礎的な内容を扱うこと。エについては,測定した値の精度及び位取...
ウ 内容の(3)については,構造物の安全性,流れとエネルギー,時間とともに変化する事象などの基本的な数理処理を扱うこと。微積分を用いる場合は基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,工業に関する事象を迅速かつ合理的に処理する具体的な事例を扱うこと。
第6 情報技術基礎
1 目標  社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに,情報技術に関する知識と技術を習得させ,工業の各分野において情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 産業社会と情報技術
ア 情報化の進展と産業社会
イ 情報モラル
ウ 情報のセキュリティ管理
(2) コンピュータの基礎
ア 数の表現と演算
イ 論理回路
ウ コンピュータの動作原理
(3) コンピュータシステム
ア ハードウェアとソフトウェア
イ オペレーティングシステムの基礎
ウ アプリケーションソフトウェアの利用
エ ネットワーク
(4) プログラミングの基礎
ア 流れ図
イ データの演算と入出力
ウ 基本的なプログラミング
(5) コンピュータ制御の基礎
(6) 情報技術の活用
ア 情報の収集と活用
イ マルチメディアの活用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,コンピュータの操作を通して具体的に理解させること。また,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切なオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを選択し,実習や演習を中心として扱うこと。
イ 内容の(3)については,コンピュータシステムの概要について理解させるとともに,利用に必要な基本的な操作を習得させること。
ウ 内容の(5)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
エ 内容の(6)については,情報機器や情報通信ネットワークを活用して,適切な情報の収集,整理,分析,表現及び発表をさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,情報化の進展が産業社会に及ぼす影響について,身近な事例を扱うこと。また,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラルと情報のセキュリティ管理の方法を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,数値表現,基数変換及び算術演算を扱うこと。イについては,基本的な論理回路の動作を扱うこと。ウについては,コンピュータの基本的な構成と機能を扱うこと。
ウ 内容の(4)については,基本的なプログラムの作成方法を扱うこと。
エ 内容の(5)については,身近な事例を通してコンピュータ制御と組込み技術の概要を扱うこと。
第7 材料技術基礎
1 目標  工業の各分野に用いられる材料の製造,組織,性質及び用途に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 工業材料と社会生活
(2) 工業材料の性質と構造
ア 物質の状態と材料の構造
イ 変形と流動
ウ 構造と性質
(3) 工業材料の検査
ア 機械的性質の検査
イ 顕微鏡による組織検査
ウ 計器による検査
(4) 工業材料の製造
ア 金属材料の製造
イ セラミック材料の製造
ウ 高分子材料の製造
(5) 工業材料の加工
ア 工業材料の加工性
イ 主な加工法
(6) 工業材料と環境
ア 工業材料と環境保全
イ 工業材料のリサイクル
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,材料の性質,検査方法,製造方法などについて理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,工業材料が社会生活及び産業に果たしている役割を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,工業材料の化学結合の原理及び結晶構造を扱うこと。イについては,工業材料の変形及び流動と組織との関係を扱うこと。ウについては,工業材料の結晶構造と機械的,物理的,化学的性質との関係を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,検査の原理,検査方法及び検査結果と工業材料の性質との関係を扱うこと。
エ 内容の(4)については,主な工業材料を取り上げ,製造法の原理と材料の性質との関連性を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,金属,セラミックス及び高分子材料の加工性の違いを扱うこと。イについては,鋳造,成形,機械加工,焼結などの主な加工方法の原理と方法を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,環境に配慮した工業材料の製造及び利用を扱うこと。イについては,工業材料のリサイクル技術の基礎的な内容及び関連する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第8 生産システム技術
1 目標  工業の生産システムに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 生産システム技術と社会
ア 生産システム技術の発達
イ 工業と社会
(2) 電気技術
ア 直流回路
イ 交流回路
ウ 電気設備
(3) 電子技術
ア 電子回路
イ 電子部品と情報機器
(4) 計測・制御
ア 計測の基礎と計測用機器
イ 制御の基礎
ウ コンピュータ制御
(5) 生産技術
ア 機械設備
イ 材料の加工技術
(6) 生産管理とシステム技術
ア 生産管理
イ 生産の合理化とシステム技術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)及び(6)については,コンピュータを活用するなど,指導上の工夫を図ること。
イ 内容の(4)から(6)までについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,生産システム技術の発達の概要を扱うこと。イについては,工業技術の発展と社会との関係を扱うこと。
イ 内容の(2)のア及びイについては,基本的な電気回路を扱うこと。ウについては,生産システムに必要な電気設備の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,基本的な電子回路の原理及び構成を扱うこと。イについては,基本的な電子部品の特徴と活用例及び生産システムにおける情報機器の基本的な構成と動作原理を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,計測の方法及び計測用機器の原理と構成を扱うこと。イについては,シーケンス制御とフィードバック制御の原理と構成及び電気的制御機器と機械的制御機器の原理と構成を扱うこと。ウについては,コンピュータ制御の原理及び制御機器とのインタフェースを扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,基本的な機械設備及びコンピュータ制御による自動化設備の原理と構成を扱うこと。イについては,基本的な加工技術の原理と方法を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,工程管理を中心に扱うこと。イについては,コンピュータを利用した生産のシステム技術に関する基礎的な内容を扱うこと。
第9 工業技術英語
1 目標  工業の各分野における生産,営業及び管理の業務に必要な技術英語に関する知識と表現技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 工業に関連した簡単な会話
(2) 会議における会話
(3) プレゼンテーション
(4) 情報通信ネットワークを利用したコミュニケーション
(5) 工業技術に関連したリーディングとライティング
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,英語科教員やネイティブ・スピーカーとの連携に留意し,工業の各分野における実践的な事例について基礎的な用語を使用し,専門的な用語は各分野の必要に応じて扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,技術者としての自己紹介及び工場や実験室での会話を扱うこと。
イ 内容の(2)については,会議での質問の方法及び自分の意見を述べる方法を扱うこと。また,司会者として会議を進める際に必要な基本的な表現を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,各種の資料を用いて発表する際の基本的な表現を扱うこと。
エ 内容の(4)については,情報通信ネットワークを活用した英文による部品の注文や説明などを扱うこと。
オ 内容の(5)については,工業の各分野における工業製品仕様書及び技術書の読解,報告書や図面の作成など具体的な題材を扱うこと。
第10 工業管理技術
1 目標  工業生産の運営と管理に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 工業管理技術の概要
(2) 生産の計画と管理
ア 生産計画
イ 生産管理
ウ 生産と流通
(3) 工程管理と品質管理
ア 工程管理
イ 品質管理
(4) 安全管理と環境管理
ア 保守と保全
イ 生産現場の災害とその防止
ウ 環境の保全
(5) 工場の経営
ア 人事管理
イ 工業会計
ウ 工場経営に関する法規
エ 工業と起業
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や企業での事例を通して,具体的に理解させること。
イ 内容の(5)については,工業の各分野における経営事例を通して,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,工業生産の管理技術の意義と工業生産に関する組織の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,需要予測と生産数量及び生産方式の選定の概要を扱うこと。イについては,生産にかかわる全般的な管理の概要を扱うこと。ウについては,生産と流通手段や経費などについて基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,生産工程の計画や作業日程などを扱うこと。イについては,基本的な品質管理方法の原理及び活用方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,機械の保守と保全を扱うこと。イについては,安全管理の意義,目的及びその手法に重点を置いて,災害防止の概要を扱うこと。ウについては,生産活動における環境汚染の防止,省エネルギー及びリサイクルの概要を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,人事管理の進め方,賃金,福利厚生,労使関係などの概要を扱うこと。イについては,工業会計の基礎的な内容を扱うこと。また,原価計算についても触れること。ウについては,工場経営に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。エについては,起業の重要性を扱うこと...
第11 環境工学基礎
1 目標  工業の各分野における環境工学に関する知識と技術を習得させ,環境に関する調査,評価,管理などに活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 人間と環境
(2) 産業と環境
ア 環境問題の推移
イ 環境リスクと安全
ウ 産業界の対応
(3) 生活環境の保全
ア 都市環境
イ 住環境と健康
(4) 環境に関する法規
ア 環境保全に関する法規
イ 環境評価の基礎
(5) 環境対策技術の基礎
ア 大気
イ 水質
ウ 土壌
エ 音・振動・臭気
オ 廃棄物
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,工業生産において環境への配慮が重要であることを理解させるとともに,自然科学的及び工学的な見地から扱い,環境の改善について考えさせること。
イ 指導に当たっては,地域の身近な環境問題を取り上げ,調査,報告書の作成,発表などをさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,地球の成り立ち,資源やエネルギーの有限性,地球環境の現状などを扱うこと。また,持続可能な社会の構築に向け技術者が果たす役割についても扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,環境へのリスクの概要を扱うこと。ウについては,産業界における環境保全やリサイクルなどの対策を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,都市環境の保全技術の概要を扱うこと。イについては,住環境による健康への影響の概要を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,環境保全に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。イについては,基本的な環境評価の手法を扱うこと。
オ 内容の(5)については,環境対策に関する各技術の概要を扱うこと。
第12 機械工作
1 目標  機械工作に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 機械工作法の発達
(2) 機械材料
ア 材料の加工性と活用
イ 金属材料
ウ 新素材
(3) 各種の工作法
ア 主な工作法
イ 特殊な工作法
(4) 工業量の測定と計測機器
ア 測定の基礎
イ 計測機器
(5) 生産の管理
ア 生産計画と管理
イ 情報技術によるシステム化
(6) 機械加工と生産の自動化の基礎
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,技術の進展に対応した機械材料,工作機械及び計測機器について扱うとともに,実習と関連付けて理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,機械材料,工作機械及び工作法の発達を扱うとともに,それらが相互に関連して発達してきたことを扱うこと。また,機械の発達と産業社会との関係についても扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,主な金属材料の機械的性質と利用方法を扱うこと。ウについては,新素材の機械的性質について基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,主な工作法の原理と方法及びその発展の動向を扱うこと。また,具体的な事例を通して,ジグや取付具の構成と用途を扱うこと。イについては,レーザー加工法,放電加工法などの原理と方法を扱うこと。
エ 内容の(4)については,機械に関する基本的な工業量の測定及び計測機器の原理を扱うこと。
オ 内容の(5)については,生産の管理手法について総合的に扱うこと。また,災害の予防や安全対策及び情報技術の利用による管理のシステム化について基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(6)については,数値制御工作機械とコンピュータ制御により自動化された生産方式について基礎的な内容を扱うこと。
第13 機械設計
1 目標  機械設計に関する知識と技術を習得させ,器具,機械などを創造的,合理的に設計する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 機械と設計
(2) 機械に働く力
ア 機械に働く力と運動
イ エネルギーと仕事及び動力の関係
(3) 材料の強さ
ア 機械部分に生ずる応力とひずみの関係
イ 機械部分の形状
(4) 機械要素と装置
ア 締結要素
イ 軸要素
ウ 伝達装置
エ 緩衝装置
オ 管路・構造物・圧力容器
(5) 器具と機械の設計
ア 器具の設計
イ 機械の設計
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,機械に働く力や機構について工学的に理解させること。
イ 内容の(4)のイ,エ及びオについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
ウ 内容の(5)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,ア又はイのいずれかを選択して設計の手順について理解させ,設計させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,機械が機構と機械要素から成り立っていること及び生産における設計の役割を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,機械に働く力と運動に関する基本的な法則及び具体的な事例を通して基本的な計算方法を扱うこと。イについては,基本的な計算方法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,機械部分に生ずる応力とひずみの基礎的な内容を扱うとともに,機械部分の形状と大きさを決める方法と基本的な計算方法を扱うこと。また,座屈については計算式の活用を中心に扱うこと。イについては,はりの断面の形状と寸法の計算を扱うこと。
エ 内容の(4)のアからオまでについては,要素と装置の種類,特性及び用途を扱うこと。
オ 内容の(5)については,コンピュータを用いた設計の方法についても基礎的な内容を扱うこと。
第14 原動機
1 目標  原動機の構造と機能に関する知識と技術を習得させ,原動機を有効に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) エネルギー変換と環境
ア 動力とエネルギー
イ エネルギーと原動機
ウ エネルギーと環境
エ 新エネルギーと原動機
(2) 流体機械
ア 流体の性質と力学
イ 水車とポンプ
ウ 送風機と圧縮機
エ 油空圧機器
(3) 内燃機関の基礎
ア 熱力学の基礎
イ 内燃機関の原理
(4) 自動車
ア 自動車と社会生活
イ ガソリン機関
ウ ディーゼル機関
エ 自動車の安全技術と環境対策
(5) タービンエンジン
ア 蒸気タービン
イ ガスタービン
(6) 冷凍装置
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,原動機の理論と実際の機器とを関連させて,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のウについては,エネルギー消費と環境問題との関連にも触れること。エについては,技術の進展に対応した新エネルギーの内容を扱うとともに,自然エネルギーの活用についても触れること。
イ 内容の(2)のアについては,液体及び気体の性質と基本的な力学計算を扱うこと。イからエまでについては,流体機械の構造,機能及び利用例を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,熱と仕事の関係を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,自動車が社会生活や産業において果たしている役割を扱うこと。イ及びウについては,エネルギー変換の原理と機関の構造を扱うこと。機関の性能については,各種のサイクル及び日本工業規格に基づく性能試験の基礎的な内容を扱うこと。エについては,自動車に関する基本的...
オ 内容の(5)のアについては,火力発電及び原子力発電における動力発生について,原理,構成,利用及び環境への配慮を扱うこと。イについては,ジェットエンジンも扱うこと。
カ 内容の(6)については,冷凍装置の原理と仕組みについて基礎的な内容を扱うこと。
第15 電子機械
1 目標  電子機械に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 電子機械と産業社会
ア 身近な電子機械
イ 電子機械と生産ライン
(2) 機械の機構と運動の伝達
ア 基本的な機械要素
イ 基本的なメカニズム
(3) センサとアクチュエータの基礎
ア センサ
イ アクチュエータ
(4) シーケンス制御の基礎
ア リレーシーケンス
イ プログラマブルコントローラ
(5) コンピュータ制御の基礎
ア コンピュータとインタフェース
イ 外部機器の制御
(6) メカトロニクスの活用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,身近なメカトロニクスに関する事例を通して,総合的に理解させること。
イ 内容の(1)のアについては,身近な事例を通して,電子機械が社会生活や産業において果たしている役割について理解させるとともに,省エネルギーや環境保全などの分野における重要な技術であることについて理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては,電子機械に必要な締結要素,軸要素及び伝達要素の概要を扱うこと。イについては,電子機械の基本的なメカニズムの特徴を扱うこと。
イ 内容の(3)のアについては,主なセンサの原理,特徴及び利用例を扱うこと。イについては,主なアクチュエータの原理,特徴及び利用例を扱うこと。
ウ 内容の(4)については,具体的な事例を通して,シーケンス制御の仕組みを扱うこと。
エ 内容の(5)のアについては,インタフェース回路の原理と方法及び制御プログラムを扱うこと。イについては,外部機器からのフィードバック信号を利用した制御の原理と方法及び外部機器の基本的な制御技術を扱うこと。
オ 内容の(6)については,簡単なメカトロニクス製品を例に,マイクロコンピュータの組込み技術,制御機構及びソフトウェア技術を扱うこと。また,簡単なメカトロニクスを活用した機械を設計させること。
第16 電子機械応用
1 目標  電子機械に関する応用的な知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 動力用アクチュエータ
ア 電力を利用したアクチュエータ
イ 流体を利用したアクチュエータ
(2) 産業用ロボット
ア ロボットの基礎
イ ロボットの制御システム
ウ ロボットの操作と安全管理
(3) ファクトリーオートメーション
ア CAD/CAMの基礎
イ 数値制御工作機械
ウ 生産システムの基礎
エ ネットワーク技術
(4) 電子機械応用設計
ア 自動化機器の調査と研究
イ メカトロニクスシステムの設計
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,ア又はイのいずれかを選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,出力の大きなアクチュエータの基本的な技術を扱うこと。イについては,空気圧及び油圧を利用したアクチュエータを扱うこと。
イ 内容の(2)については,産業用ロボットについて基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,ファクトリーオートメーションを構成する基本的な技術及びそれらを統合する基本的なネットワーク技術を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,身近な自動化機器を対象として,システム化の技術や最適なシステムの在り方について調査や研究をさせること。イについては,簡単なメカトロニクスシステムの構想,設計及び製作手順までの一貫した内容を扱うこと。
第17 自動車工学
1 目標  自動車の構造と機能に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 人と自動車
(2) 自動車の原理
ア 自動車の概要と力学
イ 自動車用機関の働きと動力伝達に関する装置
ウ 自動車の操作と制動
(3) 自動車の構造
ア 自動車用機関と性能
イ 自動車用機関の付属装置
ウ 車体と付属装置
エ 走行と性能
(4) 自動車と電気・電子技術
ア 自動車の電気装置
イ 自動車の電子制御技術
(5) 自動車と安全
(6) 自動車と環境
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,現代社会における自動車の役割及び技術について総合的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,自動車の発明と進歩,自動車産業と社会とのかかわり及び自動車と人間生活とのかかわりを扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,動力の発生,自動車の操作装置,材料の性質などを扱うこと。イについては,自動車用機関の働きと動力伝達に関連する装置の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のウについては,技術の進展に対応した題材を取り上げ,基礎的な内容を扱うこと。エについては,走行性能と走行試験を関連付けて扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,自動車の電気装置の原理と構造及び機能について扱うこと。イについては,自動車の電子制御技術の基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,自動車の安全確保に関する技術の基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(6)については,排出ガスの対策など自動車の環境保全に関する技術の基礎的な内容を扱うこと。
第18 自動車整備
1 目標  自動車整備に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 自動車整備と関係法規
ア 自動車整備の目的と内容
イ 自動車の整備に関する法規
ウ 自動車整備事業と自動車整備士
(2) 自動車用材料
ア 自動車用材料の加工
イ 自動車用材料のリサイクル
ウ 自動車整備に伴う工作法と機器
(3) 自動車の整備と試験
ア 自動車用機関と関連装置の整備
イ 自動車シャシと関連装置の整備
ウ 環境保全と安全確保に関する装置の整備
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,実験・実習を通して具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,自動車整備に関する基本的な法規の目的と概要を,整備の体系と関連させて扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,自動車用材料の加工法を扱うこと。イについては,リサイクルを考慮した自動車用材料を通して省資源と環境保全の重要性を扱うこと。ウについては,自動車整備に関連する工作機器の原理と基礎的な工作法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のア及びイについては,関連する装置も含めて総合的に扱い,点検,測定,調整,検査及び試験に関しては,基礎的な内容を扱うこと。ウについては,技術の進展に対応した題材を取り上げ,基礎的な内容を扱うこと。
第19 電気基礎
1 目標  電気に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 直流回路
ア 電気回路の電流・電圧・抵抗
イ 消費電力と発生熱量
ウ 電気抵抗
エ 電気の各種作用
(2) 磁気と静電気
ア 電流と磁気
イ 静電気の基礎
(3) 交流回路
ア 交流回路の基礎
イ 交流回路の電流・電圧・電力
ウ 記号法
エ 三相交流
(4) 電気計測
ア 電気計測の基礎
イ 基礎量の測定
ウ 測定量の取扱い
(5) 各種の波形
ア 非正弦波交流
イ 過渡現象
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 計算方法の取扱いに当たっては,演習を重視し,実際に活用させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,電流,電圧及び抵抗の意味と関係する基本的な量と計算方法を扱うこと。イについては,電流による発熱,電力及び電力量を扱うこと。エについては,電気による各種作用の原理と利用を扱うこと。
イ 内容の(2)については,電流と磁気に関する基本的な計算方法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,交流の状態を表す諸量を扱うこと。イについては,交流回路における抵抗,インダクタンス及び静電容量についての基本的な計算方法を扱うこと。ウについては,交流回路における電流及び電圧の基本的な計算方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,主な電気計器の基本原理,構造,特性及び取扱い方法を扱うこと。イについては,基礎量の基本的な測定法を扱うこと。ウについては,測定に伴う誤差や測定値の取扱いなどを扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,代表的な波形を扱うこと。イについては,電気回路における過渡現象の発生とその回路の時定数を扱うこと。
第20 電気機器
1 目標  電気機器及び電気材料に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 直流機器
ア 直流発電機
イ 直流電動機
ウ 特殊電動機
(2) 交流機器
ア 変圧器
イ 誘導機
ウ 同期機
(3) 電気材料
ア 導電材料
イ 磁性材料
ウ 絶縁材料
(4) パワーエレクトロニクス
ア パワーエレクトロニクス素子
イ 基本回路
ウ 応用回路
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 計算方法の取扱いに当たっては,演習を重視し,実際に活用させること。
イ 指導に当たっては,電気機器に関する法規及び日本工業規格などの各種規格について,内容と関連させて扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,直流機器の原理,構造及び特性を扱うこと。
イ 内容の(2)については,交流機器の原理,構造及び特性を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,電気材料の特性及び取扱い方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,パワーエレクトロニクス素子の原理,構造及び特性を扱うこと。イ及びウについては,パワーエレクトロニクス素子を使用した基本的な電子回路を扱うこと。
第21 電力技術
1 目標  電力技術に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 発電
ア 発電方式
イ 水力発電
ウ 火力発電
エ 原子力発電
オ 新しい発電方式 
(2) 送電と配電
ア 送電
イ 配電
ウ 自家用変電所と屋内配線
(3) 自動制御
ア シーケンス制御
イ フィードバック制御
ウ コンピュータ制御
(4) 省エネルギー技術
ア 発電・送電の省エネルギー技術
イ 電力利用の省エネルギー技術
(5) 各種の電力応用
ア 照明
イ 電熱
ウ 電気化学
エ 電気鉄道
オ 家庭用電気機器
(6) 電気に関する法規
ア 電気事業に関する法規
イ 電気工事に関する法規
ウ 電気用品に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)のアからオまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,主な発電方式の概要と特徴を扱うこと。イからエまでについては,発電の基本原理,方法,構成及び特性を扱うこと。オについては,太陽光発電,風力発電などを扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,送電の方式と特性を扱うこと。変電所については,構成及び運用の基礎的な内容を扱うこと。イについては,配電の方式,構成,特性及び保守の基礎的な内容を扱うこと。ウについては,自家用変電所の構成と関連する基本的な法規の目的と概要及び屋内配線の設計・施工を扱う...
ウ 内容の(3)については,電気エネルギーに関する制御の基本原理,制御系の構成及び動作を扱うこと。
エ 内容の(4)については,発電・送電及び電力利用時の省エネルギー技術の原理と方法を扱うこと。
オ 内容の(5)については,電力応用の基本原理,機器と装置の構成及び利用例を扱うこと。
カ 内容の(6)については,電気に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第22 電子技術
1 目標  電子技術に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 電子技術の概要
(2) 半導体と電子回路
ア 半導体
イ 電子回路の基礎
(3) AD変換とDA変換の基礎
ア AD変換
イ DA変換
(4) 通信システムの基礎
ア 有線通信
イ 無線通信
ウ 画像通信
エ データ通信
オ 通信に関する法規
(5) 音響・映像機器の基礎
ア 音響機器
イ 映像機器
(6) 電子計測の基礎
ア 高周波計測
イ 応用計測
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 計算方法の取扱いに当たっては,演習を重視し,実際に活用させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,電子技術の発達や現代社会における役割などを扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,半導体の原理並びに半導体素子の種類,特性及び具体的な働きを扱うこと。イについては,代表的なアナログ及びディジタル回路の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,AD変換及びDA変換の原理と利用例を扱うこと。
エ 内容の(4)のアからエまでについては,通信に必要な電子機器の特性と利用例及び主な通信機器と通信システムの基礎的な内容を扱うこと。オについては,通信に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
オ 内容の(5)については,アナログ及びディジタル技術を利用した音響機器及び映像機器の原理と構造を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,高周波測定に用いる基本的な測定器の原理と測定方法を扱うこと。イについては,電子計測に用いられる基本的なセンサの原理と応用例を扱うこと。
第23 電子回路
1 目標  電子回路に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 電子回路用素子
ア ダイオード
イ トランジスタ
ウ 集積回路
(2) 電子回路の基礎
ア 低周波増幅回路
イ 高周波増幅回路
(3) 各種の電子回路
ア 電源回路
イ 発振回路
ウ パルス回路
エ 変調・復調回路
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,回路素子の機能や特性,基本的な電子回路について定量的に扱うこと。
イ 指導に当たっては,簡単な電子回路の設計や製作を通して具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のア及びイについては,電子回路で用いる代表的な素子の構造,性質及び基本的な用途を扱うこと。ウについては,アナログ及びディジタル回路に用いられる基本的な集積回路の種類,特徴,機能及び利用例を扱うこと。
イ 内容の(2)については,増幅回路の原理,利得,帯域幅等の基本的な特性及び電力増幅を扱うこと。また,簡単な増幅回路を設計させること。
ウ 内容の(3)については,代表的な電子回路の構成,動作原理及び取扱い方法を扱うこと。ウについては,パルス波の有用性,発生及び整形の方法を扱うこと。
第24 電子計測制御
1 目標  電子計測制御に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 電子計測制御の概要
ア 電子計測制御の基礎
イ 計測制御機器とデータ処理
(2) シーケンス制御
ア シーケンス制御の基礎
イ シーケンス制御の機器
ウ 基本的な回路
エ プログラマブルコントローラの利用
(3) フィードバック制御
ア フィードバック制御の基礎
イ 制御特性
ウ フィードバック制御の利用
(4) コンピュータによる制御の基礎
ア 制御装置とインタフェース
イ 制御プログラム
ウ コンピュータによる計測制御システム
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,計測技術,自動制御技術及びコンピュータ技術を総合的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,身近な事例を通して,電子計測制御の基本的な仕組みを扱うこと。また,情報通信ネットワークを利用した計測制御システムについても触れること。イについては,計測制御機器によるデータの簡単な測定方法及び処理方法を扱うこと。
イ 内容の(2)については,シーケンス制御の基本的な原理と特徴及び使用される電子機器の構成と取扱い方法を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,フィードバック制御の基本的な原理,特性及び利用例を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,コンピュータと外部機器との基本的な接続方法を扱うこと。イについては,外部機器を制御する基本的なプログラミングの方法を扱うこと。ウについては,コンピュータによる計測制御システムの概要とファクトリーオートメーションにおける計測技術の基礎的な内容を扱うこと...
第25 通信技術
1 目標  情報通信に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 有線通信
ア 有線通信システム
イ データ通信とネットワーク
ウ 光通信
(2) 無線通信
ア 電波とアンテナ
イ 無線通信システム
ウ 無線機器
エ 衛星を利用した通信システム
(3) 画像通信
ア 静止画像の通信
イ テレビジョン技術
ウ マルチメディアの通信技術
エ 圧縮
オ 暗号化
(4) 通信装置の入出力機器
ア 情報のディジタル化技術
イ 入出力機器
(5) 通信に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと関連させて扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,有線通信回線を用いたアナログ及びディジタル通信の具体的な事例を通して,通信システムの構成及び概要を扱うこと。イについては,データ通信システム及びネットワークの概要を扱うこと。また,通信プロトコルと交換機についても触れること。ウについては,光通信の原理...
イ 内容の(2)のアについては,電波の性質,各種アンテナの電気的特性及び電波の放射と受信を扱うこと。イについては,無線通信の方法と通信システムについて,アナログ及びディジタル通信の具体的な事例を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,ファクシミリの送受信の原理を扱うこと。イについては,テレビジョンの電波と送受信機の概要及びディジタル放送の特徴を扱うこと。ウについては,画像通信システム及びマルチメディアのディジタルデータを扱うネットワーク技術の基礎的な内容を扱うこと。エについては,...
エ 内容の(4)については,情報通信に必要な入出力機器について,ディジタル化技術を中心に扱うこと。また,技術の進展に対応した機器を扱うこと。
オ 内容の(5)については,通信に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第26 電子情報技術
1 目標  電子情報技術に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) コンピュータの電子回路
ア 電子回路の基礎
イ 論理回路と論理代数
ウ フリップフロップと応用回路
エ レジスタと演算回路
(2) コンピュータの構成と機能
ア マイクロプロセッサと処理装置
イ 記憶装置と周辺機器
ウ データの流れと命令語の構成
(3) コンピュータ制御
ア ハードウェアに適した言語
イ センサとアクチュエータ
ウ 入出力と周辺回路
エ 制御プログラム
(4) コンピュータの利用と電子情報技術
ア オペレーティングシステム
イ ネットワークと情報処理形態
ウ マルチメディアと電子情報技術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
イ 内容の(1)及び(2)については,マイクロコンピュータに関する情報技術を扱うこと。
ウ 内容の(3)及び(4)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切なプログラム言語を選択し,実習や演習を通して具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,コンピュータで用いられる基本的な素子の構造,性質及び基本的な用途を扱うこと。イについては,基本的な論理回路の特徴,組み合わせた論理回路の機能及び簡単な論理代数を用いた回路設計を扱うこと。ウについては,フリップフロップ回路の原理及びその応用回路の特徴と...
イ 内容の(2)のア及びイについては,装置や機器の動作原理,機能及び役割を扱うこと。ウについては,命令語の構成やデータの処理手順を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,機械語及びアセンブリ言語の特徴と用途を扱うこと。イについては,コンピュータ制御に用いられるセンサの原理,構造及び特性を扱うこと。ウについては,周辺回路の用途と機能を扱うこと。エについては,計測及び制御における基礎的なプログラミングの方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,コンピュータ制御に適したオペレーティングシステムの概要を扱うこと。イについては,ネットワークシステムの概要と情報処理形態に適したシステム構築の方法を扱うこと。ウについては,マルチメディアに関連した電子情報技術の基礎的な内容を扱うこと。
第27 プログラミング技術
1 目標  コンピュータのプログラミングに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) プログラミング技法
ア 順次型のプログラム
イ 選択型のプログラム
ウ 繰り返し型のプログラム
エ プログラムの標準化
(2) 応用的プログラム
ア データ構造
イ ファイル処理
ウ 入出力設計
エ プログラムの構造化設計
(3) プログラム開発
ア プログラム開発の手順
イ プログラム開発環境
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切なプログラム言語を選択し,実習や演習を通して具体的に理解させること。
イ 内容の(1)については,プログラム言語の規則の習得に偏ることのないよう論理的思考の学習を重視すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については,適切な例題を使った演習を取り入れ,基本的なプログラミング技法を扱うこと。また,基本的なアルゴリズムを扱い,プログラムの計画,作成,実施及び評価の実習を通して,効果的に情報を処理する方法を扱うこと。
イ 内容の(3)については,プログラム開発における要求分析や設計,ドキュメンテーション,テストなどの実習や演習を通して,効果的なプログラム開発の技法を扱うこと。
第28 ハードウェア技術
1 目標  コンピュータのハードウェアに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ハードウェアの基礎
ア 電子回路と素子
イ 論理回路と各種レジスタ
ウ コンピュータによる論理回路設計
(2) ハードウェアの構成
ア コンピュータの機能
イ 中央処理装置と主記憶装置
ウ 周辺装置とインタフェース
エ コンピュータの構成
(3) 制御技術
ア 命令とプログラム
イ 制御プログラムと入出力
ウ 割込み制御
(4) マイクロコンピュータの組込み技術
ア マイクロプロセッサ
イ 周辺装置
ウ 組込みシステムの構成
(5) 組込みソフトウェア
ア 高水準言語によるプログラム開発
イ リアルタイムオペレーティングシステム
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切なマイクロコンピュータ及びプログラム言語を選択し,実習や演習を通して具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,コンピュータのハードウェアを構成する各種回路の基本的な動作原理と簡単な論理回路の設計を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,中央処理装置と主記憶装置の基本構成を取り上げ,基本動作を扱うこと。ウについては,周辺装置の構造と基本動作を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,機械語及びアセンブリ言語の仕組みと機能及び基本的なプログラム作成を扱うこと。
エ 内容の(4)については,マイクロプロセッサを組み込むための基本的な実装技術を扱うこと。
オ 内容の(5)については,マイクロプロセッサを組み込むための効果的なプログラムの開発技法を扱うこと。
第29 ソフトウェア技術
1 目標  コンピュータのソフトウェアに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ソフトウェア
ア ソフトウェアの体系
イ ソフトウェアパッケージ
ウ ソフトウェアの管理システム
(2) オペレーティングシステム
ア オペレーティングシステムの概要
イ オペレーティングシステムの機能
ウ オペレーティングシステムの操作
エ オペレーティングシステムの管理
(3) セキュリティ技術
ア 暗号化とアクセス管理
イ ネットワークセキュリティとリスク管理
ウ 情報に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切なオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを選択し,実習や演習を通して具体的に理解させること。
イ 指導に当たっては,情報化の進展が及ぼす影響について技術者倫理の観点から扱い,情報モラルについて理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,ソフトウェアの分類と基本的な役割を扱うこと。イについては,ソフトウェアパッケージの特徴と活用方法を扱うこと。ウについては,ソフトウェアの保護と管理及び信頼性と安全対策の管理システムの基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,オペレーティングシステムの機能と役割を扱うこと。エについては,オペレーティングシステムのインストール及び基礎的な運用と管理を扱うこと。
ウ 内容の(3)のア及びイについては,技術の進展に対応した基本的な事例を扱うこと。ウについては,情報に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第30 コンピュータシステム技術
1 目標  コンピュータシステムに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) コンピュータシステム技術
ア コンピュータシステムの概要
イ コンピュータシステムの分析と設計
ウ コンピュータシステムの評価
(2) ネットワーク技術
ア データ通信の方式と機器
イ ネットワークの階層とプロトコル
ウ ネットワークの設計と施工
エ ネットワークサービス
オ ネットワークシステムの運用と保守
(3) データベース技術
ア データベースの概要
イ データベースの設計と運用
(4) マルチメディア技術
ア マルチメディア技術の概要
イ ディジタル化技術
ウ 圧縮と送受信
エ マルチメディアの表現技法
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切なオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを選択し,実習や演習を通して具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,ディレクトリ構成,環境設定及びユーザ管理を扱うこと。イについては,具体的なコンピュータシステムの事例を通して,システムの分析,設計及び開発の基本的な手法を扱うこと。ウについては,コンピュータシステムの基本的な運用及び保守を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,プロトコルと伝送制御を扱うこと。ウについては,ローカルエリアネットワークを扱うこと。エについては,ネットワークの代表的なサービスを扱うこと。オについては,利用者及びリソースの管理を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,データとファイルの構造,データベースの概要を扱うこと。イについては,簡単なデータベースの設計と運用を扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,文字,画像,音声をディジタル化する基本的な技術を扱うこと。ウについては,マルチメディア情報の圧縮,復元の原理と方法及びディジタルデータの送受信に関する基礎的な内容を扱うこと。エについては,マルチメディアを活用した具体的な事例を通して,情報表現の特性を...
第31 建築構造
1 目標  建築物の構造及び建築材料に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 建築構造の概要
(2) 建築材料
ア 建築材料の種類と特徴
イ 建築材料の規格と性能
(3) 木構造
ア 各部の名称
イ 各部の構成と機能
(4) 鉄筋コンクリート構造
ア 各部の名称
イ 各部の構成と機能
(5) 鋼構造
ア 各部の名称
イ 各部の構成と機能
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,建築現場の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,建築構造の種類と歴史的発達,主な建築構造の特徴,耐震技術及び関連する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については,建築材料の基礎的な内容を扱い,身近な住宅などの事例を通して,材料と構造の関連を扱うこと。また,建築材料の種類と特徴について建築構造と関連させて扱うこと。
ウ 内容の(3)から(5)までについては,それぞれの構造に関する各部の名称,構成及び機能の基礎的な内容を扱うこと。
第32 建築計画
1 目標  建築計画に関する知識と技術を習得させ,建築物を安全で合理的に計画する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 建築の歴史
ア 日本の建築
イ 西洋の建築
ウ 近代の建築
(2) 建築と環境
ア 気候
イ 光
ウ 音
エ 熱
オ 色彩
(3) 建築の設備
ア 給排水・衛生設備
イ 空気調和設備
ウ 電気・通信設備
エ 防災設備
(4) 建築物の計画
ア 独立住宅
イ 集合住宅
ウ 各種建築物
(5) 都市計画
ア 都市計画の概要
イ 都市計画と地域計画
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,建築物の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
イ 内容の(2)については,快適な住環境を計画する上で,自然条件が基本的な要因であることを理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,建築の歴史的変遷,建築様式と建築物の形態の概要及び建築計画の意義を扱うこと。
イ 内容の(2)のアからオまでについては,それぞれの事項と建築物との関係及び自然条件が建築物に与える影響を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアからウまでについては,主な設備の種類,構成と特徴などの基礎的な内容を扱うこと。また,省エネルギーに関する設備にも触れること。エについては,災害の予防や人命保護に関する設備を扱うこと。
エ 内容の(4)のア及びイにつては,身近な住宅を中心として,建築計画の基本的な手法を扱うこと。ウについては,不特定多数の利用者を対象とした公共建築物などの空間構成と災害に対する配慮の必要性を扱うこと。
オ 内容の(5)については,都市景観及び都市防災についても扱うこと。
第33 建築構造設計
1 目標  建築構造設計に関する知識と技術を習得させ,構造物を安全で合理的に設計する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 構造物に働く力
ア 構造物と荷重
イ 力の釣合い
ウ 支点と反力
エ 構造物の安定・不安定及び静定・不静定
(2) 静定構造物
ア 応力
イ 静定ばり
ウ 静定ラーメン
エ 静定トラス
(3) 部材に関する力学
ア 構造材料の力学的特性
イ 断面の性質
ウ はりや部材の変形
(4) 不静定構造物
ア 不静定構造物の基礎
イ 不静定ばりと不静定ラーメン
(5) 各種構造物の設計
ア 鉄筋コンクリート構造
イ 鋼構造
(6) 建築物の耐震設計
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,建築構造に関連した模型を用いた実験や各種メディア教材の活用により,力学的な現象を視覚的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,構造物に働く荷重の原理や構造物の力学的な特性を扱うこと。
イ 内容の(2)については,力の釣合い条件から応力が求められることを扱うとともに,具体的な題材を通して基本的な計算方法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,応力度とひずみ度の関係及び許容応力度と部材設計の関係を扱うこと。イについては,簡単な断面の形状の力学的な特性を扱うこと。ウについては,はりや部材の変形と安全性及び簡単な部材の設計に関する基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,不静定構造物の基礎的な内容及び簡単な構造物の計算を扱うこと。
オ 内容の(5)については,主な構造物の断面設計及び構造設計について基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(6)については,建築物の耐震設計について基礎的な内容を扱うこと。
第34 建築施工
1 目標  建築施工に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 建築施工の概要
(2) 建築業務
ア 施工方式
イ 工事契約
ウ 施工計画と施工監理
(3) 各種工事
ア 仮設工事
イ 基礎工事と地業工事
ウ く体工事
エ 仕上工事
オ 解体工事と環境保全
カ 建築物の保守
(4) 工事用機械・器具
(5) 建築積算
ア 積算の概要
イ 概算見積と明細見積
ウ 入札
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,建築現場の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,建築施工の意義やその過程,建築工事に関する技術者の資格,安全管理などの概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については,施工業務に関する内容の概要を扱うこと。また,施工に関する法規及び性能保証について触れること。
ウ 内容の(3)のアからエまでについては,各種工事の施工法の基礎的な内容及び建築測量の概要を扱うこと。また,技術の進展に対応した工法や施工技術についても触れること。オについては,解体工事の概要,廃材の処理,リサイクル,環境保全及び関連法規を扱うこと。カについては,建築物の保守の概要...
エ 内容の(4)については,主な工事用機械・器具の種類,特徴及び用途を扱うこと。
オ 内容の(5)については,積算の意義と概要を扱うこと。また,具体的な事例を通して,簡単な建築積算を扱うこと。ウについては,電子入札にも触れること。
第35 建築法規
1 目標  建築関係法規に関する知識を習得させ,建築物の計画,設計,施工,管理などに活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 建築に関する法規の概要
ア 建築に関する法規の意義
イ 建築に関する法規の構成
(2) 建築基準法
ア 構造と設備に関する規定
イ 用途と敷地に関する規定
(3) 建築業務等に関する法規
ア 建築の業務に関する法規
イ 都市計画に関する法規
ウ 労働安全衛生に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,具体的な事例を通して,建築物が多くの法規によって規制されていること及び法令遵守について理解させ,倫理観を養うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,建築に関する法規の沿革に触れること。イについては,建築関係法規の体系と構成の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)のア及びイについては,具体的な事例を取り上げ,相互に関連付けて扱うこと。
ウ 内容の(3)については,内容の(2)以外の建築に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第36 設備計画
1 目標  設備工業の計画に関する知識と技術を習得させ,実際に計画できる能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 設備の基礎
ア 自然環境
イ 室内環境
ウ 流れの基礎
(2) 設備に関係した建築構造
ア 建築物の計画
イ 建築構造の基礎
ウ 構造物の力学
(3) 建築物の設備計画
ア 設備計画の概要
イ 建築物内の設備の配管
ウ 機器・配管の所要スペース
(4) 設備の施工
ア 施工管理
イ 設備工事の積算
(5) 建築設備に関する法規
ア 設備に関する法規
イ 建築に関する法規
ウ 衛生・防災に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,環境に配慮した計画が重要であることを理解させること。
イ 内容の(5)のウについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のア及びイについては,設備工業と自然環境及び室内環境とのかかわりを扱うこと。ウについては,水,空気及び熱の流れに関する基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)のア及びイについては,設備を計画する際に必要な建築構造に関する基礎的な内容を中心に扱うこと。ウについては,静定構造物の力の釣合い,曲げモーメントとせん断力図,応力度とひずみ度の関係,断面二次モーメントと断面係数の関係及び基本的な計算方法を扱うこと。
ウ 内容の(5)については,建築設備に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第37 空気調和設備
1 目標  空気調和設備に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 空気調和の基礎
ア 空気調和の方式
イ 冷房・暖房負荷
ウ 湿り空気の状態
(2) 空気調和装置
ア 空気調和装置の構成
イ 中央式・個別式空気調和機
ウ 空気調和装置の制御
エ 空気調和装置の設計
(3) 換気・排煙装置
ア 換気・排煙設備の構成
イ 換気・排煙設備の設計
(4) 直接暖房装置
ア 直接暖房装置の構成
イ 直接暖房装置と配管の設計
(5) 空気調和設備の施工
ア 機器の据付けと配管工事
イ 空気調和設備の試験・検査・保守
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,空気調和設備を設計する上で,省エネルギーに配慮することが重要であることを理解させること。
イ 内容の(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,代表的な空気調和方式の構成,特徴及び利用例を扱うこと。イについては,冷房及び暖房の簡単な負荷計算を扱うこと。ウについては,湿り空気の組成及び空気線図の仕組みを扱うこと。
イ 内容の(2)のア及びイについては,空気調和装置を構成している主な機器の構造,性能及び用途を扱うこと。ウについては,空気調和装置の制御に関する基礎的な内容を扱うこと。エについては,空気調和装置の設計に関する基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,換気法の種類と排気量や排煙の方式について,換気・排煙設備に関する法規と関連付けて扱うこと。イについては,換気設備及び排煙設備の設計手順を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,直接暖房装置を構成する主な機器の構造,用途及び関連する配管を扱うこと。イについては,簡単な暖房装置の設計について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,機器の据付け,配管工事及び保温・保冷工事の基礎的な内容を扱うこと。イについては,空気調和設備に関する法規に基づく試験,検査及び保守について基礎的な内容を扱うこと。
第38 衛生・防災設備
1 目標  衛生・防災設備に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 給水・給湯設備
ア 水資源と上水道
イ 給水・給湯機器と構成
ウ 給水・給湯設備と配管機器の設計
(2) 排水通気設備
ア 排水と下水道
イ 排水通気設備と配管機器の設計
ウ 住宅の給排水設備
(3) 排水処理設備
ア 排水浄化の原理と方法
イ し尿浄化設備と排水再利用
(4) 防災設備
ア 防火対象物と消防用設備
イ 消火設備と配管機器の設計
(5) ガス設備と通信設備
(6) 衛生・防災設備の施工
ア 機器の据付けと配管工事
イ 衛生・防災設備の試験・検査・保守
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)及び(5)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
イ 内容の(3)については,環境保全の観点から排水処理の必要性を理解させること。
ウ 内容の(4)については,防災設備の必要性を具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,水質基準と水道施設の概要を扱うこと。また,雨水の活用についても触れること。イについては,給水・給湯の機器構成及び給水方式を扱うこと。ウについては,給水・給湯量の計算,配管機器の簡単な設計及び給水・給湯管径の基本的な計算方法を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,排水の種類と下水道施設の概要を扱うこと。イについては,排水・通気系統の機器と構成,衛生器具の排水量及び排水・通気管径の基本的な計算方法を扱うこと。ウについては,具体的な住宅の事例を通して,給排水設備を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,し尿浄化設備の構成と排水の再利用を扱うこと。
エ 内容の(4)については,主な消火設備の機器の構成と配管を中心に扱うこと。
オ 内容の(5)については,ガス設備及び通信設備の概要を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,施工法を中心に扱うこと。イについては,衛生・防災設備に関する法規に基づく基本的な機器の試験,検査及び保守を扱うこと。
第39 測 量
1 目標  測量に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 測量の基礎
ア 測量の概要
イ 距離の測量
ウ 角の測量
(2) 平面の測量
ア 骨組測量
イ 細部測量
ウ 面積の計算
(3) 高低の測量
ア レベルによる高低の測量
イ 縦横断測量
ウ 体積や土量の計算
(4) 地形図
ア 地形測量の目的と順序
イ 等高線と測定法
ウ 地形図の作成と利用
(5) 写真測量
ア 写真測量の基礎
イ 空中写真の性質と利用
(6) 測量技術の応用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,地形測量,路線測量などの測量実習を通して,具体的に理解させること。
イ 内容の(5)及び(6)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする
ア 内容の(2)のア及びイについては,セオドライトによる骨組測量や平板による細部測量など,測量の基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(4)については,土木工事を計画し施工するための地形図の作成手順とその利用方法を扱うこと。
ウ 内容の(5)については,写真測量技術の利用方法について概要を扱うこと。
エ 内容の(6)については,地殻変動や気候変動などの自然災害における測量技術の応用を扱うこと。また,人工衛星の利用など技術の進展に対応した測量技術も扱うこと。
第40 土木基礎力学
1 目標  土木構造物及び土と水の基礎力学に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 土木構造力学の基礎
ア 土木構造物と力
イ 静定構造物の計算
ウ 材料の強さと部材の設計
(2) 土質力学の基礎
ア 土の基本的性質と調査及び試験
イ 土中の水の流れ
ウ 地中応力と土の圧密
エ 土の強さ
オ 土圧
(3) 水理学の基礎
ア 静水の性質
イ 水の流れの性質と測定
ウ 水路の計算
エ 流れと波の力
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,模型を用いた実験や各種メディア教材の活用により,力学的な現象を視覚的に理解させること。
イ 内容の(2)及び(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,土木構造物の種類,土木構造物に作用する力及び鋼とコンクリートの材料の基本的な性質を扱うこと。イについては,単純ばり,片持ばり,短柱及び長柱について,軸方向力,せん断力及び曲げモーメントの基本的な計算方法を扱うこと。また,静定トラス,ゲルバーばり,間接...
イ 内容の(2)については,土木構造物の安定や土木構造物を支える地盤に関連して,土の基本的な性質や土質力学の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,静水圧を中心に扱うこと。イについては,ベルヌーイの定理を中心に扱うこと。ウについては,管水路と開水路の基礎的な内容を扱うこと。エについては,水の流れにより物体の受ける力及び波の作用の基礎的な内容を扱うこと。
第41 土木構造設計
1 目標  土木構造物の設計に関する知識と技術を習得させ,構造物を安全で合理的に設計する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 鋼構造の設計
ア 鋼構造の設計の基礎
イ Hビームの設計
ウ プレートガーダーの設計
(2) 鉄筋コンクリート構造物の設計
ア 鉄筋コンクリート構造物の設計の基礎
イ はり構造の設計
ウ 柱構造の設計
エ プレストレストコンクリート構造物の設計
(3) 基礎・土留め構造物の設計
ア 杭《くい》基礎の設計
イ 直接基礎の設計
ウ 土留め構造物の設計
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,示方書などを用いて,土木構造物の部材の具体的な設計をさせること。
イ 指導に当たっては,工事現場の見学,土木構造物の模型を用いた実験及び各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
ウ 内容の(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,設計の目的,順序,設計方法などの基礎的な内容を扱うこと。イについては,H形鋼を用いたけたの応力計算や断面の設計方法を扱うこと。ウについては,プレートガーダーを用いたけたの応力計算や断面の設計方法を扱うこと。また,イ及びウについては,曲げモーメントによ...
イ 内容の(2)については,単鉄筋長方形ばりの設計計算を中心に扱い,複鉄筋長方形ばり,スラブなどの設計計算に関する計算式についても触れること。
ウ 内容の(3)については,具体的な事例を通して計算式の意味と使用方法を扱うこと。
第42 土木施工
1 目標  土木施工と管理に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 土木材料
ア 土木材料の基礎
イ 土木材料の性質と利用
ウ 土木材料としての土の利用
(2) 施工技術
ア 土工
イ コンクリート工
ウ 基礎工
エ 舗装工
オ トンネル工
(3) 土木工事管理
ア 工事管理の計画
イ 工程管理と品質管理
ウ 入札
エ 建設マネジメント
(4) 工事用機械と電気設備
ア 工事用機械
イ 工事用電気設備
(5) 土木施工に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,工事現場の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のア及びイについては,土木工事に用いられる基本的な材料を扱うこと。ウについては,土木材料としての土の利用や土の改良などを扱うこと。
イ 内容の(2)については,土木工事の基本的な技術を扱うこと。ウについては,土木構造物の基礎,杭《くい》基礎などの基礎工及び基礎掘削における土留め工法を扱うこと。オについては,トンネル工の基礎的な内容及び下水道管などの地下埋設物工事における圧入工法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,施工計画,工事の管理と組織,原価管理,安全管理などを扱うこと。ウについては,電子入札にも触れること。エについては,具体的な事例を通して,建設マネジメントを扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,各種工事に必要な基本的な土工用機械を扱うこと。
オ 内容の(5)については,土木施工に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第43 社会基盤工学
1 目標  社会基盤整備に関する知識を習得させ,自然環境との調和を図り実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 社会基盤整備
ア 土木の歴史
イ 社会資本と社会基盤の整備
ウ 災害と国土の整備
エ エネルギーの整備
オ 環境の保全
(2) 交通と運輸
ア 道路
イ 鉄道
ウ 港湾
エ 空港
(3) 水資源
ア 利水
イ 治水
(4) 社会基盤システム
ア 都市計画
イ 環境と景観
ウ 防災
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(4)までについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,土木事業に関する技術史について,土木構造物と人間の生活とのかかわり及び土木事業が産業や経済の発展に果たした役割の概要を扱うこと。イについては,経済や産業の基盤整備と土木工事とのかかわりの概要を扱うこと。ウについては,防災のための国土の整備を扱うこと。...
イ 内容の(2)のアについては,道路の構造,施工及び維持管理の基礎的な内容を扱うこと。イについては,鉄道建設及び線路の規格と構造の基礎的な内容を扱うこと。ウについては,港湾の計画と管理及び港湾施設の基礎的な内容を扱うこと。エについては,空港の計画や施設の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,水資源の開発及び上下水道の基礎的な内容を扱うこと。イについては,河川の改修,海岸の防護,治山・砂防及び土木構造物の機能と簡単な計画を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,都市計画の基礎的な内容並びに国土計画及び地域計画の概要を扱うこと。イについては,内容の(2)及び(3)に関連する環境保全及び社会基盤施設と景観とのかかわりを扱うこと。ウについては,地震災害,風水害,火山災害などと防災対策の基礎的な内容を扱うこと。
第44 工業化学
1 目標  工業化学に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 物質と化学
ア 地球の資源
イ 物質と元素
ウ 物質の変化と量
(2) 気体と水の化学
ア 気体の性質
イ 空気の利用
ウ 水と溶液
(3) 元素の性質と化学結合
ア 元素と周期性
イ 化学結合
ウ 元素の性質
(4) 物質の変化とエネルギー
ア 酸と塩基
イ 酸化と還元
ウ 化学反応と熱
エ 反応速度と化学平衡
オ 原子核エネルギー
(5) 石油と化学
ア 有機化合物の基礎
イ 石油の精製
ウ 石油と化学工業
(6) 材料と化学
ア 工業材料
イ 新素材
(7) 生活と化学工業製品
ア 食品と化学
イ 油脂とせっけん
ウ バイオテクノロジーの化学
エ 有害物質と危険物
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,化学工業が資源やエネルギーを有効に利用して様々な材料を製造していることを理解させること。また,化学技術の発展や歴史についても理解させること。
イ 指導に当たっては,化学技術が環境保全に関して重要な役割を果たしていることについて理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,化学工業で利用される資源を中心に扱うこと。イについては,物質を構成している基本的な元素や化合物の概要を扱うこと。ウについては,化学変化と化学反応式及び化学変化と物質の量との関係について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,気体の法則を中心に扱うこと。イについては,空気の組成と化学工業での利用を扱うこと。ウについては,溶解度や濃度を中心に扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,原子の構造と周期性を扱うこと。イについては,化学結合と物質の構造を扱うこと。ウについては,族ごとの基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,酸及び塩基の基礎的な内容を扱うこと。イについては,酸化と還元及び電気分解と電池を扱うこと。ウについては,熱化学方程式を中心に扱うこと。エについては,反応速度と化学平衡の基礎的な内容を扱うこと。オについては,放射性物質の性質と利用を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,有機化合物の基礎的な内容を扱うこと。イについては,石油製品の製造に関する基礎的な内容を扱うこと。ウについては,化学工業の原料としての石油の役割を扱うこと。また,天然ガスや石炭を原料とする化学工業についても触れること。
カ 内容の(6)のアについては,セラミック材料,金属材料及び高分子材料の性質及び用途を扱うこと。イについては,機能性材料の性質と用途を扱うこと。
キ 内容の(7)のア及びイについては,身近な生活用品を具体的な事例として取り上げ,生活と化学工業製品の関係を扱うこと。ウについては,酵素や微生物を利用した化学工業の概要を扱うこと。エについては,有害物質と危険物の取扱い方法及び取扱者の管理責任の概要を扱うこと。
第45 化学工学
1 目標  化学製品の製造に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 化学工場と化学プラント
ア 化学工場の特徴
イ 反応装置
ウ 周辺の装置と設備
エ 化学プラント
(2) 物質とエネルギーの収支
ア 物質収支
イ エネルギー収支
ウ 単位換算
(3) 単位操作
ア 流体の輸送
イ 熱の利用と管理
ウ 物質変換の単位操作
(4) 計測と制御
ア プロセス変量の計測
イ 制御技術
(5) 化学プラントの安全
ア 化学工業と災害
イ 災害の予防と安全管理
(6) 化学工場の管理と法規
ア 生産の計画と工程管理
イ 品質管理
ウ 化学工場に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,エネルギーや資源の有効利用について理解させること。
イ 指導に当たっては,災害の防止,安全管理の重要性及び法令遵守について理解させること。
ウ 内容の(3)のウについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,単位操作の題材を選定して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイ及びウについては,化学工場の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については,資源及びエネルギーの有効活用の具体的な事例を扱うこと。イについては,熱収支の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,基本的な流体の力学計算,物質収支,エネルギー収支を扱うこと。イについては,伝熱及び熱交換を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,主な検出器の種類と原理及び用途を扱うこと。また,センサ,電子技術及びコンピュータの活用方法について扱うこと。
オ 内容の(5)については,化学災害の防止やプラントの安全管理などの基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(6)のア及びイについては,化学工場における基本的な工程管理及び品質管理を扱うこと。ウについては,化学物質及び化学工場に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第46 地球環境化学
1 目標  環境保全に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 地球環境と人間
ア 生活と環境
イ 自然環境の保全
(2) 資源とエネルギー
ア 地球と資源
イ 資源の有効利用
ウ 資源の使用と地球環境
(3) 自然環境の調査
ア 環境汚染の種類と原因
イ 環境の分析と調査
ウ 環境評価
(4) 環境の保全と化学技術
ア 環境保全と製造プロセスの改善
イ 環境汚染の処理技術
ウ 廃棄物のリサイクル
(5) 環境保全に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,地球の環境保全のために,化学技術が重要な役割を果たしていることについて理解させるとともに,自然科学的見地から扱うこと。
イ 内容の(3)のアからウまで及び(4)のアからウまでについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて適切な題材を選定すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,自然環境の保全と人間生活や生態系とのかかわりを扱うこと。
イ 内容の(2)については,資源の有限性,資源やエネルギーの有効利用の必要性,化石燃料の使用による地球環境への影響などを扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,大気汚染と水質汚濁の具体的な事例を通して,汚染の種類と原因を扱うこと。イについては,関係法規に基づいた測定法による基本的な環境分析技術及び調査方法を扱うこと。ウについては,環境に関する基本的な評価方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,環境保全のための製造プロセスの改善に関する基礎的な内容を扱うこと。イについては,環境汚染物質の基本的な処理技術を扱うこと。ウについては,廃棄物の再資源化の基本的な処理技術を扱うこと。
オ 内容の(5)については,環境保全に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第47 材料製造技術
1 目標  材料製造技術に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 材料製造の基礎
ア 材料製造法の発達
イ 物質の性質と化学反応
ウ 高分子化合物の合成
(2) 鉱石と原料の予備処理
ア 高温炉の種類
イ 原料の予備処理
(3) 鉄鋼製錬
ア 鉄鋼の製造と製錬反応
イ 鋼の造塊と連続鋳造
(4) 非鉄金属製錬
ア 溶融製錬法
イ 湿式製錬法
ウ 電解製錬法
エ 特殊材料の製錬法
(5) セラミック材料の製造
ア セラミック材料の概要
イ セラミック材料の製造法
ウ 複合材料の製造
(6) 高分子材料の製造
ア 高分子材料の概要
イ 高分子材料の製造法
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,工場の見学や実験・実習などの活用により,具体的に理解させること。
イ 内容の(5)については,地域産業の実態や学科の特色に応じて,セラミック材料として,ファインセラミックス,ガラス,セメントから適切な題材を選定して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,工業材料の製造方法と工業が相互に関連して発達してきたことを扱うこと。イについては,物質の種類と性質及び材料製造の原理と化学反応の基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(3)のアについては,主な炉による精錬の原理と方法を扱うこと。イについては,連続鋳造法の原理と鉄鋼製造工程の概要を扱うこと。
ウ 内容の(4)のアからウまでについては,代表的な材料を取り上げ,精錬法の原理と方法を扱うこと。エについては,半導体などの特殊な材料の精錬法を扱うこと。
第48 工業材料
1 目標  工業材料に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 工業材料の開発の歴史
(2) 工業材料の性質
ア 化学結合と結晶構造
イ 機械的性質
ウ 物理的・化学的性質
エ 状態図と結晶組織
(3) 材料の試験と検査
ア 機械的性質の試験
イ 組織観察
(4) 構造用材料
ア 鋼と鋳鉄
イ 軽金属材料
ウ 構造用セラミックス
エ エンジニアリングプラスチック
オ 構造用複合材料
(5) 機能性材料
ア 電磁気材料
イ 音響・光学材料
ウ エネルギー変換材料
エ センサ材料
(6) 環境と材料
ア 工業材料と安全
イ リサイクル技術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,工業材料の発達が生活文化及び工業の発展に大きな影響を与えてきたことについて理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,物質の結合方法及び材料の組織が,材料の性質と相互に関連していることを扱うこと。
イ 内容の(3)については,材料の試験及び検査の原理と方法を扱うこと。
ウ 内容の(4)のアについては,鋼,鋳鉄及び基本的な鉄合金の性質を扱うこと。イからオまでについては,代表的な材料の種類,性質及び利用例を扱うこと。
エ 内容の(5)のアからエまでについては,各材料の性質及び利用例を扱うこと。
オ 内容の(6)のアについては,環境に対して安全な工業材料の製造及び活用方法を扱うこと。イについては,工業材料のリサイクル技術に関する基礎的な内容を扱うこと。
第49 材料加工
1 目標  材料加工に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 材料加工技術の発達
(2) 材料の加工方法
ア 鋳造
イ 成形
ウ 焼結
エ 機械加工
オ 接合
カ 特殊な加工方法
(3) 生産の自動化とプロセス制御
ア 計測方法
イ 制御方法
ウ 生産工程の自動化システム
(4) 工業材料の製造管理
ア 生産方式と工程管理
イ 設備と資材の管理
ウ 作業の標準化
エ 環境管理
(5) 工業材料の品質管理と検査
ア 品質管理の目的
イ 品質のばらつきと統計
ウ 品質保証と検査
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,適切な題材を選定して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,工業材料の加工技術と生産方法が相互に関連して発達してきたことを扱うこと。
イ 内容の(2)については,金属,セラミックス及び高分子材料に関する基本的な加工方法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のア及びイについては,材料の計測及び生産における制御の原理と方法を扱うこと。ウについては,生産工程の自動化システムの基本的な構成を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,工業材料の製造における基本的な生産方式と工程管理を扱うこと。ウについては,作業の標準化及び原価管理の基礎的な内容を扱うこと。エについては,生産工場における大気及び水質の汚染対策の基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)については,具体的な事例を通して,工業材料の品質管理及び検査の基礎的な内容を扱うこと。
第50 セラミック化学
1 目標  セラミック化学に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 原子と原子構造
ア 原子の構造
イ 電子配置とイオン
(2) 化学結合と物性
ア 化学結合の種類
イ イオン半径と配位数
ウ 結晶構造と物性
エ ガラス構造と物性
(3) 平衡状態図
ア 相と成分
イ 平衡状態図
(4) 高温反応
ア 高温における物質移動と反応
イ 溶融と結晶化
(5) 結晶質材料
ア シリカとアルミナ
イ ケイ酸アルミニウムと粘土鉱物
ウ 酸化物材料
エ 非酸化物材料
(6) 非晶質材料
ア 酸化物ガラス
イ 結晶化ガラス
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)及び(6)については,地域産業の実態や学科の特色に応じて,適切なセラミック材料を選定して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,周期表の第3周期までの元素を扱うこと。
イ 内容の(2)については,化学結合及び物性の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,2成分系を扱うこと。
エ 内容の(4)については,焼結の機構を中心に扱うこと。
第51 セラミック技術
1 目標  セラミックスの製造技術に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 原料処理
ア 原料
イ 処理工程
ウ 調合計算と原料処理
(2) セラミックスの成形と乾燥
ア 各種の成形法
イ 乾燥
(3) 加熱処理と溶融
ア 燃料と燃焼
イ 加熱炉
ウ 溶融
(4) セラミックスの加工
ア 研磨剤と工具
イ セラミック加工
(5) 品質の管理と評価
ア 品質管理
イ 品質の評価
(6) セラミック技術と安全
ア 環境保全と安全
イ 廃棄物の処理とリサイクル技術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,工場の見学や実験・実習などの活用により,具体的に理解させること。
イ 内容の(1)のウについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,適切な題材を選定して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のウについては,調合計算及び原料処理の基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,セラミックスの成形,乾燥の方法及びそれらの装置の構造の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,燃料の特性と簡単な燃焼計算を扱うこと。イについては,加熱炉の構造及び炉材の特性を扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,機械的加工,化学的加工及び電気的加工を扱うこと。
オ 内容の(5)については,具体的な事例を通して,品質管理及び評価方法の基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(6)については,セラミックスの製造における環境保全及び資源のリサイクル技術の基礎的な内容を扱うこと。
第52 セラミック工業
1 目標  セラミック工業に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) セラミック工業の概要
(2) 機能性セラミックス
ア 材料と科学技術
イ 機械的機能
ウ 電気的機能
エ 光学的機能
(3) 陶磁器
ア 陶磁器の歴史
イ 原料と製造工程
ウ 陶器と磁器
(4) ガラスとほうろう
ア ガラス工業の歴史
イ 原料と製造工程
ウ ガラス
エ ほうろう
(5) 耐火物
ア 産業と耐火物
イ 原料と製造工程
ウ 各種の耐火物
(6) セメント
ア 原料と製造工程
イ セメントの性質と用途
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,セラミック工業の発達と産業社会の発展が相互に関連していることを理解させること。
イ 内容の(2)から(6)までについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては,機能性セラミックスの開発を支えた技術の概要を扱うこと。イからエまでについては,セラミックスの多様な機能及び利用例を扱うこと。また,機能性の原理に関する基礎的な内容を扱うこと。   
イ 内容の(3)については,地場産業の発達の歴史と製造方法を関連付けて扱うこと。
ウ 内容の(4)のイについては,代表的なガラスの製造工程を扱うこと。
エ 内容の(5)については,耐火物を利用する製造業についても触れること。
オ 内容の(6)のイについては,セメントに関する基礎的な内容を扱うこと。
第53 繊維製品
1 目標  繊維及び繊維製品に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 繊維製品の基礎
ア 繊維製品の役割
イ 繊維の種類と性質
ウ 新繊維
(2) 糸
ア 糸の種類・構造・製造
イ 糸の性質と用途
(3) 布類
ア 織物の組織・構造・製造
イ ニットの組織・構造・製造
ウ 組物とレース類
エ 布の性質と用途
(4) 繊維の二次製品
ア 二次製品の種類
イ アパレル製造
ウ 二次製品の加工
エ 品質試験・品質管理
オ 日本の伝統織物
(5) 繊維製品の企画
ア 繊維製品の消費動向と市場調査
イ 製品の企画と開発
ウ 繊維製品の流通
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)については,地域産業の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,代表的な天然繊維及び化学繊維を扱うこと。ウについては,繊維の生活用新素材及び産業用新素材について,特徴と用途を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,基本的な糸の性質と用途及び糸の性質を調べるための試験方法の原理を扱うこと。
ウ 内容の(3)のウについては,不織布にも触れること。エについては,布の性質を調べるための簡単な試験方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,衣料及び産業用資材としての二次製品の種類及び用途を扱うこと。エについては,品質試験及び品質管理の基礎的な内容を扱うこと。オについては,代表的な日本の伝統織物を扱うこと。
第54 繊維・染色技術
1 目標  繊維製品の製造技術及び染色技術に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 繊維製造・染色技術の基礎
ア 繊維・染色の歴史
イ 繊維産業
ウ 繊維・染色と生活環境
(2) 繊維と染色の基礎化学
ア 繊維の化学
イ 染色の化学
ウ 繊維と染色の薬剤
(3) 素材
ア 繊維の製造と性質
イ 色素材料
ウ 繊維製造の自動化
(4) 染色加工
ア 精練・漂白
イ 浸染
ウ なせん
エ 工芸染色
(5) 仕上げ加工
ア 一般仕上げ加工
イ 処理加工
ウ 特殊処理加工
エ 染色と仕上げ加工の自動化
オ 染色用水と廃水処理
(6) 表面加工・処理
ア 印刷
イ 表面処理
ウ 非繊維素材への着色
(7) 品質管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,繊維製造技術及び染色技術の役割と発達について総合的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,繊維製造及び染色技術の歴史を扱うこと。
イ 内容の(2)については,繊維と染色に関する化学の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,繊維製造の方法,繊維の性質及び製造機械を扱うこと。イについては,色素材料の基本的な性質と代表的な用途及び管理を扱うこと。ウについては,繊維製造における自動化の原理及び基本的な機械設備の構成を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,繊維材料の代表的な精練工程及び漂白工程を扱うこと。イについては,基本染法及び主な繊維の染色方法の基礎的な内容を扱うこと。ウについては,なせんの基礎的な内容を扱うこと。エについては,代表的な日本の伝統的染法を扱うこと。
オ 内容の(5)のイについては,機能性をもたせるための基本的な処理加工を扱うこと。エについては,染色,色彩管理及び仕上げ加工の自動化の基本的な原理及び方法を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,印刷の工程及び製版の基礎的な内容を扱うこと。イについては,金属及びプラスチックの表面処理を扱うこと。ウについては,非繊維素材への着色の基礎的な内容を扱うこと。
キ 内容の(7)については,繊維製品及び染色加工製品の品質管理の基礎的な内容を扱うこと。
第55 染織デザイン
1 目標  繊維製品の染と織のデザインに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) テキスタイルと造形
ア テキスタイルと人とのかかわり
イ テキスタイルとデザイン
ウ 基礎造形
エ 色彩の基礎と色彩計画
(2) デザインの基礎技法
ア テキスタイルデザイン
イ 基礎描法
ウ パターンデザイン
(3) デザインの具体化
ア 織物デザイン
イ ニットデザイン
ウ 染色デザイン
エ コンピュータデザイン
(4) 装飾様式と室内装飾
ア 装飾様式と文様
イ 服飾様式
ウ 室内装飾
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,美術館,博物館等の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。また,地域産業の実態や学科の特色に応じて,適切な題材を選定し,実習及び制作を通して具体的に理解させること。
イ 内容の(3)のアからエまでについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,簡単な作品制作を通して,具体的なテキスタイルとデザインの関係を扱うこと。ウについては,造形の原理について扱い,簡単な作品を制作させること。エについては,色彩の基礎及び色彩計画の基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,テキスタイルデザインの基本的な描法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアからウまでについては,具体的な事例を通して,デザインの具体化の方法を扱うこと。エについては,コンピュータを活用した簡単なテキスタイルデザインの作品を制作させること。
エ 内容の(4)のアについては,日本の伝統的な服飾様式と文様を扱うこと。イについては,服飾デザイン画を制作させること。ウについては,室内装飾としてのテキスタイルを扱うこと。
第56 インテリア計画
1 目標  インテリア計画に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) インテリア計画の概要
(2) インテリアの環境条件
ア 屋外環境
イ 屋内環境
ウ 色彩と形態
(3) インテリアと人間工学
ア 人体と人体寸法
イ 姿勢と動作
ウ インテリアと住空間
(4) 寸法計画と規模計画
ア 空間の目的と規模
イ モデュラーコーディネーション
ウ 寸法設計
(5) インテリアエレメントの計画
ア インテリアエレメントの分類
イ インテリアエレメントの計画上の取扱い
(6) 各種空間の計画
ア 住宅
イ 事務所
ウ 各種施設
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,アからウまでを関連付けた適切な題材を選定し,インテリア空間の計画をさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,インテリア計画の意義と概要を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,気温や日照等の屋外の気象変化とインテリアの関係の基礎的な内容を扱うこと。イについては,照明や音響等の屋内の環境とインテリアの関係の基礎的な内容を扱うこと。ウについては,インテリアの色彩と形態及びそれらが人間の感覚に与える影響の基礎的な内容を扱うこと。...
ウ 内容の(4)のアについては,空間規模,施設規模及び規模決定の方法を扱うこと。イについては,モデュラーコーディネーションの基礎的な内容を扱うこと。ウについては,グリッドプランニングを扱うこと。
エ 内容の(5)のアについては,インテリアエレメントの種類及び分類を扱うこと。イについては,家具,カーテン,カーペット,照明器具などを扱うこと。
オ 内容の(6)のア及びイについては,空間の計画及び簡単な設計例を扱うこと。ウについては,商業施設,教育・文化施設などの計画を扱うこと。
第57 インテリア装備
1 目標  インテリア装備に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 建築構造と力学
ア 建築構造の概要
イ 構造物に働く力
ウ 部材の断面
(2) 設備
ア 給排水・衛生設備
イ 空気調和設備
ウ 電気・ガス・通信設備
(3) インテリアの構造と施工
ア 床・壁・天井の下地と仕上げ
イ 開口部
ウ 階段
エ 造作
(4) インテリア材料の種類と性質
ア 構造材料
イ 機能材料
ウ 仕上材料
(5) インテリアの工業化
(6) インテリアの維持保全
(7) インテリア装備に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,インテリア装備の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,インテリア装備を計画し,施工するための建築構造の基礎的な内容を扱うこと。イについては,構造物に加わる力の基本的な力学計算を扱うこと。
イ 内容の(2)については,インテリア装備を計画し,施工するための設備の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(4)については,インテリア材料の種類と性質及び材料の審美的特性と心理的効果の基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については,インテリアのユニット化及びシステム化の基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(6)については,インテリアの維持保全の方法及びリフォームの方法について基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(7)については,インテリア装備の施工と管理及び安全性などに関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第58 インテリアエレメント生産
1 目標  インテリアエレメントの生産に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 材料と加工
ア 木材と木質材料
イ 無機材料
ウ 有機材料
(2) 各種のエレメント
ア 家具
イ 建具
ウ 照明器具
エ 窓回り部品
オ テキスタイル製品
カ 壁装材料
キ 工芸品
(3) 生産技術
ア 家具
イ 建具
(4) 生産管理
ア 生産管理の基礎
イ 生産の工程
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアからウまで及び(2)のアからキまでについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
イ 内容の(4)のイについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,家具,建具及び住宅部品から適切な事例を選定して具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,材料の特性及び加工の原理と方法を扱うこと。イについては,金属材料,セラミック材料及び石材を中心に扱うこと。ウについては,プラスチック材料を中心に扱うこと。
イ 内容の(3)については,実際の生産工程に沿って機械設備と生産技術を総合的に扱うこと。また,関連する法規についても触れること。
ウ 内容の(4)のイについては,生産工程及び基本的な管理方法を扱うこと。
第59 デザイン技術
1 目標  デザイン技術に関する知識と技術を習得させ,実際に創造し応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) デザインの基礎
ア デザインの概要と創造活動
イ デザイン用具と用法
ウ 形態観察と表示
エ 色彩
オ 人間要素
(2) ビジュアルデザイン
ア ビジュアルデザインの概要
イ グラフィックデザイン
ウ パッケージデザイン
エ 写真と印刷技術
オ ビジュアルデザインの活用
(3) プロダクトデザイン
ア プロダクトデザインの概要
イ 生活器具のデザイン
ウ 産業機器のデザイン
エ 繊維・服飾デザイン
オ 工芸品のデザイン
(4) 環境構成デザイン
ア 住空間と業務空間
イ 家具
ウ ディスプレイ及び店舗
エ 都市空間
(5) デザイン企画
ア デザインの企画と計画
イ マーケティング
ウ デザインの組織と進行
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,美術館,博物館等の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。また,地域産業の実態や学科の特色に応じて,適切な題材を選定し,実習を通して具体的に理解させること。
イ 内容の(2)のアからオまで及び(3)のアからオまでについては,地域産業の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,デザインの意味と要素,創造の意味と手法などを扱うこと。ウについては,物の見え方,とらえ方,表示及び表現の種類とその技法を扱うこと。エについては,色彩の基礎的な内容を扱うこと。オについては,造形の心理,人間工学,デザインと人間要素などの基礎的な内容を扱...
イ 内容の(2)については,視覚伝達デザインの分野にかかわる基礎的な内容を扱うこと。オについては,デザインに関する機器の活用を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,プロダクトデザインの意義,要素,用途などの基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)のアからウまでについては,室内,家具及び店舗のデザインについて基礎的な内容を扱うこと。エについては,都市景観について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)のア及びイについては,企業における製品デザインの企画,宣伝の企画,市場調査など具体的な事例を通して扱うこと。
第60 デザイン材料
1 目標  デザイン材料及び加工に関する知識と技術を習得させ,使用目的に応じて適切な材料を選択する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 無機材料の特性と加工技術
ア 金属材料
イ セラミック材料
ウ ガラス
(2) 有機材料の特性と加工技術
ア 木・竹材料
イ プラスチック
ウ 繊維と皮革類
エ 紙類
オ 塗料と色材
カ 接着剤
(3) デザインと材料
ア 材料の工学的特性
イ 材料の感覚的特性
ウ デザインと加工・施工技術
エ 使用条件と材料の選択
オ 製品実例の研究
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
イ 内容の(3)については,地域産業の実態や学科の特色に応じて,適切な題材を選定し,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,各材料の種類,基本的な特性及び用途を扱うこと。
第61 デザイン史
1 目標  造形とデザインの歴史を理解させ,実際に創造し鑑賞する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 日本のデザイン
ア 古代の生活と造形
イ 中世の生活と造形
ウ 近世の生活と造形
エ 近代の生活とデザイン
(2) 西洋のデザイン
ア 古代の生活と造形
イ 中世の生活と造形
ウ 近世の生活と造形
エ 近代のデザインの成立と展開
(3) 現代のデザイン
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,美術館,博物館等の見学や各種メディア教材の活用により,具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,東洋のデザインについても扱うこと。
イ 内容の(3)については,日本のデザイン活動の国際的な広がり及び日本のデザインに影響を与えた諸外国のデザインなどを扱うとともに,現代デザインの国際的な動向にも触れること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 工業に関する各学科においては,「工業技術基礎」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 工業に関する各学科においては,原則として工業に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(3) 「実習」及び「製図」については,それぞれ科目名に各学科の名称を冠し,例えば「機械実習」,「機械製図」などとして取り扱うことができること。
(4) 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。また,化学工業,材料技術,セラミックス,繊維などに関する「実習」においては,排気,廃液などの処理につい...
第3節 商   業
第1款 目標  商業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,ビジネスの意義や役割について理解させるとともに,ビジネスの諸活動を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって行い,経済社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 ビジネス基礎
1 目標  ビジネスに関する基礎的な知識と技術を習得させ,経済社会の一員としての望ましい心構えを身に付けさせるとともに,ビジネスの諸活動に適切に対応する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 商業の学習ガイダンス
ア 商業を学ぶ目的と学び方
イ 商業の学習分野と職業
(2) ビジネスとコミュニケーション
ア ビジネスに対する心構え
イ コミュニケーションの基礎
ウ 情報の入手と活用
(3) ビジネスと売買取引
ア 売買取引とビジネス計算の基礎
イ 代金決済
(4) 経済と流通の基礎
ア 経済の基礎
イ ビジネスの役割と発展
ウ 経済活動と流通
エ ビジネスの担い手
(5) 企業活動の基礎
ア 企業の形態と経営組織
イ 資金調達
ウ 企業活動と税
エ 雇用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,商業教育全般の導入として基礎的な内容を取り扱うこと。また,各種メディア教材などを活用し,経済社会の動向に着目させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,商業を学ぶ目的,マーケティング,ビジネス経済,会計及びビジネス情報の4分野とその学び方並びに継続学習の中で専門的能力を身に付けることの重要性についてガイダンスを行い,生徒の学習の動機付けを図ること。イについては,商業の学習と関連する職業の概要を扱い,...
イ 内容の(2)のアについては,ビジネスにおける基本的なマナー,良好な人間関係を構築することの意義や必要性及びビジネスに対する望ましい心構えや考え方を扱うこと。イについては,ビジネスの場面に応じた言葉の使い方などコミュニケーションの基礎的な方法を扱うこと。ウについては,ビジネスの諸...
ウ 内容の(3)のアについては,流通活動における売買取引及び仕入原価,売価,利息,外国貨幣の換算などビジネス計算の基礎的な内容を扱うこと。イについては,代金決済の手段と仕組みを扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,土地,資本,労働力といった生産要素の希少性,経済主体,経済活動の循環など経済活動の基礎的な内容を扱うこと。ウについては,経済活動における流通の意義や役割について,生産から消費に至る役割分担の変化や小売業の業種,業態の変化とかかわらせて扱うこと。エにつ...
オ 内容の(5)のイについては,資金調達の方法とその特徴を扱うこと。エについては,雇用の形態及び雇用に伴う企業の責任を扱うこと。
第2 課題研究
1 目標  商業に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 調査,研究,実験
(2) 作品制作
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
第3 総合実践
1 目標  商業の各分野に関する知識と技術を実践的活動を通して総合的に習得させ,ビジネスの諸活動を主体的,合理的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) マーケティングに関する実践
(2) ビジネス経済に関する実践
(3) 会計に関する実践
(4) ビジネス情報に関する実践
(5) 分野横断的・総合的な実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,各分野の特色に応じた実践を通して,各分野の学習内容を総合的に応用できるようにすること。
イ 内容の(1)から(5)までについては,学科の特色に応じて選択して扱うことができること。また,内容の(5)については,内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる総合的な内容を扱うこと。
第4 ビジネス実務
1 目標  ビジネス実務に関する知識と技術を習得させ,ビジネスにおけるコミュニケーションの意義や業務の合理化の重要性について理解させるとともに,ビジネスの諸活動を円滑に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) オフィス実務
ア 企業の組織と仕事
イ ビジネスマナーとコミュニケーション
ウ オフィス実務と情報化
エ 税の申告と納付
(2) ビジネスと珠算
ア 計算の基礎
イ 珠算
ウ 暗算
(3) ビジネス英語
ア 国際化とコミュニケーション
イ ビジネスの会話
ウ ビジネスの文書
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,オフィス実務,珠算・暗算及びビジネス英語に関する知識や技術をビジネスの諸活動に活用できるようにすること。
イ 内容の(1)から(3)までの中から,生徒の実態や学科の特色に応じて,2項目以上を選択して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,企業の組織と意思決定の流れ,職業人としての心構えと良好な人間関係の構築の必要性,仕事の進め方や改善方法などを扱うこと。イについては,訪問,受付案内などの際のマナー及びディスカッションや交渉などのコミュニケーションの技法を扱うとともに,ディベートなどを...
イ 内容の(2)のアについては,珠算の歴史,数の表現,記数法,概数及び概算を扱うこと。イについては,四則計算を扱い,計算力の向上を図ること。ウについては,珠算式の暗算を扱い,簡単な計算ができるようにすること。
ウ 内容の(3)のアについては,ビジネスにおける国際化の進展及び英語によるコミュニケーションの意義や役割を扱うこと。イについては,ビジネスの諸活動における外国人との応対,商談及び会議でよく用いられる基本的な英会話を扱うこと。ウについては,海外との取引に用いられる文書の基本的構成要素...
第5 マーケティング
1 目標  マーケティングに関する知識と技術を習得させ,マーケティングの意義や役割について理解させるとともに,マーケティング活動を計画的,合理的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 現代市場とマーケティング
ア 現代市場の特徴とマーケティングの発展
イ マーケティングの手順
(2) 市場調査
ア 市場調査の手順と方法
イ 情報の収集と分析
(3) 消費者の購買行動
ア 消費者の行動
イ 消費者の意思決定の過程
(4) 商品計画
ア 販売計画と販売予測
イ 仕入計画と在庫管理
(5) 価格の決定
ア 価格決定の要因
イ 価格戦略
(6) 販売経路と販売促進
ア 販売経路
イ 販売促進
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,マーケティングに関する具体的な事例を取り上げ,顧客満足の実現を目指すマーケティングの在り方について考えさせ,マーケティング活動に主体的,創造的に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,市場環境の変化に対応してマーケティングの考え方や内容が変化してきたこと及び消費者保護や法令遵守など現代市場における企業の社会的責任を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,市場調査を行う課題を設定し,情報の収集・分析,報告書の作成及びプレゼンテーションを行う実習をさせること。
ウ 内容の(3)のアについては,消費財市場における消費者行動の特徴及び消費者行動に影響を与える要因を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,販売計画の必要性,販売計画の立案及び売上高の予測方法を扱うこと。
オ 内容の(5)のイについては,生産者,卸売業者及び小売業者の価格戦略の概要を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,販売経路の設定と強化を扱うこと。イについては,販売促進の重要性及び販売促進の方法の概要を扱うこと。
第6 商品開発
1 目標  商品開発に関する知識と技術を習得させ,顧客満足を実現することの重要性について理解させるとともに,商品を企画・開発し,流通活動を行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 商品と商品開発
ア 商品の多様化
イ 商品開発の意義と手順
(2) 商品の企画
ア 環境分析
イ 商品開発の方針とテーマの決定
ウ 市場調査
エ 商品コンセプトの立案
(3) 商品の開発
ア 商品仕様の詳細設計
イ 試作品の作成と評価
ウ 消費者テスト
エ 事業計画の立案
(4) 商品開発とデザイン
ア デザインの基礎
イ グラフィックデザイン
ウ パッケージデザイン
(5) 商品開発と知的財産権
ア 知的財産権の概要
イ 知的財産権の取得
(6) 商品流通と流通を支える活動
ア 流通の仕組みと市場
イ 小売業と卸売業
ウ 流通手段の多様化
エ 流通を支える活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,具体的な事例を通して,消費者の視点に立った商品開発に主体的,創造的に取り組むことができるようにすること。
イ 内容の(4)及び(5)については,内容の(1)から(3)までと関連付けて指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,商品開発の手順,商品開発や流通における法令遵守などの社会的責任,販売後の商品の評価とそれに基づく改良の重要性を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,商品を取り巻く環境の分析を商品開発担当者の視点で扱うこと。ウについては,商品開発のための市場調査の方法を扱うこと。エについては,商品コンセプトの考案,企画書の作成及びプレゼンテーションを行う実習をさせること。
ウ 内容の(3)のエについては,価格,流通経路,販売促進などに関する事業計画の立案,企画書の作成及びプレゼンテーションを行う実習をさせること。
エ 内容の(4)のアについては,商業デザインがマーケティングの中で果たしている役割及び配色や構成などデザインの基礎を扱うこと。イについては,グラフィックデザインの技法及びコンピュータを活用したデザインの技法を扱うこと。ウについては,パッケージの機能及びパッケージデザインの技法を扱う...
オ 内容の(5)のアについては,商標権,意匠権及び著作権の意義と概要を扱うこと。イについては,知的財産権を取得する方法を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,商品が生産者から消費者にわたる仕組み及び商品流通における市場の役割や課題を扱うこと。イについては,小売業と卸売業の主要な形態や特性及び今後の方向を扱うこと。エについては,流通を支える物流活動,金融・保険活動及び情報通信システムの概要を扱うこと。
第7 広告と販売促進
1 目標  広告や販売促進などに関する知識と技術を習得させ,企業と消費者間のコミュニケーション活動の意義や役割について理解させるとともに,販売に関連する活動を主体的,創造的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 販売促進
ア 販売促進の目的
イ 販売促進の方法
(2) 広告と広報活動
ア 広告の目的
イ 広告計画の立案と実施
ウ 広告効果の測定
エ 広報活動の意義と手法
(3) 店舗の立地と設計
ア 店舗立地の重要性と立地条件
イ 店舗設計
ウ 商品陳列
(4) 販売活動
ア 人的販売と販売組織
イ 接客の方法
(5) 販売促進の発展と顧客満足の実現
ア 時代に応じた販売促進
イ 販売後の消費者対応
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,具体的な事例を取り上げ,適切な販売促進などの在り方について考えさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,消費者及び企業に対する販売促進の方法を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,広告予算の考え方も扱うこと。
ウ 内容の(3)のウについては,商品陳列の方法,ディスプレイの機能及びディスプレイデザインの技法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,販売の形態,販売員の役割,販売員に必要な資質及び効果的な販売の手順を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,消費者への直接販売など時代に応じた販売促進について,具体的な事例を扱うこと。イについては,品質保証や苦情への対応など販売後の責任やサービスを扱うこと。
第8 ビジネス経済
1 目標  ビジネスに必要な経済に関する基礎的な知識を習得させ,経済の仕組みや概念について理解させるとともに,経済事象を主体的に考える能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ビジネスと経済
ア 市場とビジネスの成立
イ 市場経済と計画経済
(2) 需要と供給
ア 需要の概念と需要の変化
イ 供給の概念と供給の変化
(3) 価格決定と市場の役割
ア 価格決定の仕組み
イ 市場の役割と課題
(4) 経済成長と景気循環
ア 国内総生産と物価
イ 経済成長とその要因
ウ 景気循環とその指標
エ 国際化と景気変動
(5) 経済政策
ア 財政政策
イ 金融政策
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,各種メディア教材などを活用し,経済社会の動向に着目させるとともに,具体的な経済事象について経済理論と関連付けて考えさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,自給自足から市場やビジネスが成立するまでの過程を扱うこと。イについては,市場経済と計画経済の違いを扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,価格やその他の要因による需要の変化,限界効用の逓減及び需要の弾力性を扱うこと。イについては,価格やその他の要因による供給の変化,供給の弾力性,固定費と変動費の概念及び限界分析を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,市場経済における価格決定の仕組みを扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,国内総生産の概念,物価水準の変動による国内総生産への影響及びインフレーションとデフレーションが経済に与える影響を扱うこと。イについては,我が国の経済成長とその要因を扱うこと。ウについては,景気循環の局面と景気循環を表す指標を扱うこと。エについては,経...
オ 内容の(5)のアについては,財政政策の概要及び国家財政と地方財政が果たす役割と課題を扱うこと。イについては,金融政策の概要,金融の仕組み及び中央銀行の役割を扱うこと。
第9 ビジネス経済応用
1 目標  ビジネスに必要な経済に関する知識を習得させ,経済社会の動向について理解させるとともに,サービス経済社会に適切に対応する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) サービス経済化とサービス産業
ア 産業構造の変化
イ サービス産業の現状
(2) 経済の国際化
ア 国際化の進展と国際収支
イ 貿易の利益と課題
ウ 国際資本移動
エ 外国為替
(3) 金融市場と資本市場
ア 金融市場と資本市場の役割
イ 金融取引の発達
ウ 貯蓄と投資の動向
エ 金融市場と資本市場の課題
(4) 企業経営
ア 企業経営の特徴
イ 企業経営と外部環境
ウ 企業の海外進出と経営
エ 企業の社会的責任
(5) ビジネスの創造と地域産業の振興
ア 起業の手続
イ 新たなビジネスの展開
ウ 地域ビジネス事情
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,我が国の経済を通して世界経済の動向を理解させるとともに,地域産業の振興への寄与について考えさせること。
イ 各種メディア教材などを活用し,我が国の経済の動向に着目させるとともに,適切な企業活動の在り方について考えさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,我が国における産業構造の変化とサービス経済化が進展した要因を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,国際化の進展を国際収支の変化と関連付けて扱うこと。ウについては,民間及び公的な資本移動の現状を扱うこと。エについては,外国為替の仕組み及び外国為替相場の現状と対応策を扱うこと。
ウ 内容の(3)のエについては,経済の国際化と関連付けて扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,組織や経営管理にかかわる我が国の企業経営の特徴を扱うこと。イについては,企業経営と市場や消費者などの外部環境とのかかわりを扱うこと。ウについては,経済の国際化の中での企業経営の現状を扱うこと。エについては,環境問題への対応,社会貢献,法令遵守などを扱...
オ 内容の(5)のアについては,起業の意義及び起業の手続の概要を扱うこと。イについては,新しいビジネスの展開の具体的な事例を研究させるとともに,新しいビジネスを考案させること。ウについては,身近な地域のビジネスを研究させ,地域産業の振興方策を考案させること。
第10 経済活動と法
1 目標  ビジネスに必要な法規に関する基礎的な知識を習得させ,経済社会における法の意義や役割について理解させるとともに,経済事象を法律的に考え,適切に判断して行動する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 経済社会と法
ア 法の意義と役割
イ 経済環境の変化と法
(2) 権利・義務と財産権
ア 権利と義務
イ 物権と債権
ウ 知的財産権
(3) 取引に関する法
ア 契約と意思表示
イ 売買契約と貸借契約
ウ 債権の管理と回収
エ 手形と小切手の利用
オ 金融取引
(4) 会社に関する法
ア 会社の種類
イ 株式会社の特徴
ウ 株式会社の機関とその責任
エ 資金調達
オ 企業再編
(5) 企業の責任と法
ア 法令遵守
イ 紛争の予防と解決
ウ 消費者保護
エ 雇用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,企業の経済活動について具体的な事例を取り上げ,課題を発見させるとともに,法的に思考し判断して行動できるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,経済社会における法の意義や役割を扱うこと。イについては,国際化や情報化などの経済環境の変化と法規とのかかわりを扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,権利行使の限界及び法人の権利と義務を扱うこと。イについては,物権と債権の保護を扱うこと。ウについては,知的財産権の保護と活用を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,契約の種類及び意思表示の効果を扱うこと。ウについては,債務不履行への対応及び債権の担保を扱うこと。オについては,金融商品の取引に関する法規の概要を扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,株式会社の意義,株主の責任,資本と経営の分離を扱うこと。ウについては,企業の内部統制の仕組みや不正行為を防止する機能も扱うこと。エについては,株式や社債の発行など資金調達の方法を扱うこと。オについては,企業の合併や買収などを扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,法令を遵守して企業活動を行うことの重要性を扱うこと。イについては,国内における紛争の予防と解決に関する法制度の概要及び国際的な紛争が国による法制度の違いが一因となっていることを扱うこと。ウ及びエについては,関係法規の概要を扱うこと。
第11 簿記
1 目標  簿記に関する知識と技術を習得させ,その基本的な仕組みについて理解させるとともに,適正な会計処理を行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 簿記の基礎
ア 簿記の概要
イ 資産・負債・純資産と貸借対照表
ウ 収益・費用と損益計算書
エ 簿記一巡の手続
(2) 取引の処理
ア 現金・預金
イ 商品売買
ウ 債権・債務
エ 固定資産
オ 個人企業の純資産と税
カ 販売費及び一般管理費
(3) 決算
ア 決算整理
イ 財務諸表の作成
(4) 本支店会計
ア 本店・支店間の取引
イ 財務諸表の合併
(5) 会計帳簿と帳簿組織
ア 会計帳簿
イ 伝票
ウ 仕訳帳の分割
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,企業会計に関する法規や基準の変更に留意し,企業における取引を合理的,能率的に記帳する知識と技術を習得させるとともに,簿記の基本的な仕組みについて理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,簿記の意味,目的,歴史及び必要性,企業における会計情報の流れ,会計にかかわる職業並びに会計担当者の役割や責任を扱うこと。イについては,貸借対照表の役割及び構成要素の意味を扱うこと。ウについては,損益計算書の役割及び構成要素の意味を扱うこと。
イ 内容の(2)については,企業における日常の取引の記帳法及び各種会計帳簿の役割を扱うこと。なお,ウについては,手形に関する債権・債務,未収金・未払金及び株式などの有価証券を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,決算の意味や目的及び基本的な決算整理を含む決算手続を扱うこと。なお,イについては,勘定式の財務諸表を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,支店会計が独立している場合の取引の記帳法を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,会計帳簿の種類と帳簿全体の仕組みを扱うこと。
第12 財務会計Ⅰ
1 目標  財務諸表の作成に関する知識と技術を習得させ,財務会計の意義や制度について理解させるとともに,会計情報を提供し,活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 財務会計の基礎
ア 企業会計の意義と役割
イ 財務会計の機能
ウ 会計法規と会計基準
(2) 貸借対照表
ア 資産
イ 負債
ウ 純資産
エ 貸借対照表の作成
(3) 損益計算書
ア 損益計算の意味と損益の区分
イ 収益・費用の認識と測定
ウ 損益計算書の作成
(4) 連結財務諸表
ア 連結財務諸表の目的と連結の範囲
イ 連結財務諸表作成の基礎
(5) 財務諸表活用の基礎
ア 財務諸表分析の意義
イ 財務諸表の見方
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,企業会計に関する法規や基準の変更に留意し,企業の経営成績や財政状態を把握し,ビジネスの諸活動に活用する知識と技術を習得させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,株式会社制度の特徴と関連付けて扱うこと。イについては,財務会計と管理会計の違い及び財務会計の主な機能を扱うこと。ウについては,会計法規の概要,会計基準の必要性と動向及び企業会計制度の特徴を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,資産の意味と分類,評価基準及び資産の処理方法を扱うこと。イについては,負債の意味,分類及び負債の処理方法を扱うこと。ウについては,純資産の意味,表示及び純資産の処理方法を扱うこと。エについては,基本的な資料により報告式の貸借対照表を作成する方法を扱う...
ウ 内容の(3)のアについては,経常損益計算と特別損益計算の概念及び各種利益の意味を扱うこと。ウについては,各損益項目の処理方法及び基本的な資料により報告式の損益計算書を作成する方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,基本的な資料により連結財務諸表を作成する方法を扱うこと。
オ 内容の(5)のイについては,財務比率などの財務指標を利用した期間比較や同業他社比較を扱うこと。
第13 財務会計Ⅱ
1 目標  財務会計に関する知識と技術を習得させ,会計責任を果たすことの重要性について理解させるとともに,会計情報を提供し,活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 財務会計の基本概念と会計基準
ア 財務諸表の作成・表示の考え方
イ 資産負債アプローチと収益費用アプローチ
ウ 会計基準の国際的統合
(2) 貸借対照表に関する会計
ア 資産会計
イ 負債・純資産会計
ウ 外貨換算会計
エ リース会計
オ 税効果会計
(3) キャッシュ・フロー計算書
ア 資金繰りとキャッシュ・フロー計算書
イ キャッシュ・フロー計算書の作成
(4) 企業集団の会計
ア 企業結合会計の意義と合併会計
イ 連結財務諸表の作成
(5) 財務諸表の活用
ア 企業価値と財務諸表分析
イ 連結財務諸表分析
ウ 財務諸表分析と株価
(6) 監査と職業会計人
ア 会計責任と監査
イ 職業会計人の職務
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,企業会計に関する法規や基準の変更に留意し,企業会計に関する法規や基準に従った会計処理と監査の重要性を理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,財務報告の目的,財務諸表の構成要素及び財務諸表の構成要素の認識と測定を扱うこと。イについては,純利益と包括利益の意義も扱うこと。ウについては,財務会計に関する国際的な基準の特徴及び会計基準の国際的統合の動向を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,資産の評価基準と評価方法及び減損会計を扱うこと。イについては,償却原価法を用いた利息法による普通社債の会計処理,新株予約権の会計処理及び株主資本等変動計算書の作成を扱うこと。ウについては,外貨建取引及び外貨建有価証券の決算時の会計処理を扱うこと。エに...
ウ 内容の(3)のアについては,資金繰りの重要性及びキャッシュ・フロー計算書の意義を扱うこと。イについては,基本的な資料によりキャッシュ・フロー計算書を作成する方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,子会社株式の追加取得を含む連結財務諸表の作成方法及び持分法の会計処理を扱うこと。
オ 内容の(5)のイについては,連結財務諸表による財務諸表分析の方法,四半期財務情報の意義及び連結キャッシュ・フロー計算書の概要と分析の方法を扱うこと。ウについては,株主関連指標を利用した財務諸表分析を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,会計責任を果たすことの重要性,監査の意義及び基本的な監査手続を扱うこと。
第14 原価計算
1 目標  製造業における原価計算及び会計処理に関する知識と技術を習得させ,原価の概念について理解させるとともに,原価計算から得られる情報を活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 原価と原価計算
ア 原価の概念と原価計算
イ 製造業における簿記の特色と仕組み
(2) 原価の費目別計算
ア 材料費の計算と記帳
イ 労務費の計算と記帳
ウ 経費の計算と記帳
(3) 原価の部門別計算と製品別計算
ア 個別原価計算と製造間接費の計算
イ 部門別個別原価計算
ウ 総合原価計算
(4) 製品の完成・販売と決算
ア 製品の完成と販売
イ 工場会計の独立
ウ 製造業の決算
(5) 標準原価計算
ア 標準原価計算の目的と手続
イ 原価差異の原因別分析
ウ 損益計算書の作成
(6) 直接原価計算の基礎
ア 直接原価計算の目的と損益計算書の作成
イ 短期利益計画
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,企業会計に関する法規や基準の変更に留意し,原価計算の基本的な考え方と計算方法を理解させ,適切に原価を管理できるようにするとともに,工業簿記の基本的な記帳方法を習得させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,原価の意味と分類及び原価計算の目的と種類を扱うこと。
イ 内容の(2)については,材料費,労務費,経費の分類,計算,記帳法及び予定価格を用いた合理的な計算を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,原価計算表の作成,原価計算表と製造勘定との関係,製造間接費の配賦及び製造間接費差異の原因別分析を扱うこと。イについては,部門別個別原価計算の基本的な手続の流れを扱うこと。ウについては,総合原価計算の特色及び月末仕掛品原価の計算と記帳法を扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,工場会計が本社会計から独立している場合の本社と工場間の取引の記帳法を扱うこと。ウについては,製造業における決算の特徴と製造原価報告書の作成を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,パーシャルプランによる記帳法を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,直接原価計算の方法及び直接原価計算による損益計算書の作成を扱うこと。イについては,売上高,原価,利益の関係を扱うこと。
第15 管理会計
1 目標  管理会計に関する知識と技術を習得させ,経営戦略の重要性について理解させるとともに,経営管理に必要な情報を活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 管理会計の基礎
ア 管理会計の目的
イ 管理会計と原価計算
(2) 直接原価計算
ア 直接原価計算と全部原価計算
イ 直接標準原価計算
(3) 短期利益計画
ア 原価予測の方法
イ 損益分岐分析と感度分析
ウ 利益の最大化
(4) 予算編成と予算統制
ア 企業予算の編成
イ 予算統制
(5) 経営意思決定と戦略的原価計算
ア 経営意思決定の概要
イ 特殊原価調査
ウ 戦略的原価計算
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,企業を取り巻く社会的・経済的環境が変化する中での経営戦略の重要性について,具体的な事例を取り上げて考えさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,管理会計と原価計算の関係を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,直接原価計算と全部原価計算の違い,月初・月末に仕掛品や製品がある場合の直接原価計算による損益計算書の作成及び固定費調整の意義と計算方法を扱うこと。イについては,標準原価計算による直接原価計算と実際原価計算による直接原価計算の違い及び標準原価計算による...
ウ 内容の(3)のウについては,利益を最大化する最適な販売数量の組合せを求める方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,予算実績差異分析の意義と方法を扱うこと。
オ 内容の(5)のイについては,差額原価収益分析の方法及び機会原価の意味を扱うこと。ウについては,活動基準原価計算,品質原価計算及びライフサイクル・コスティングの目的と方法を扱うこと。
第16 情報処理
1 目標  ビジネスに関する情報を収集・処理・分析し,表現する知識と技術を習得させ,情報の意義や役割について理解させるとともに,ビジネスの諸活動において情報を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報の活用と情報モラル
ア ビジネスと情報
イ ハードウェアとソフトウェア
ウ 情報モラル
(2) 情報通信ネットワークとセキュリティ管理
ア 情報通信ネットワークの概要
イ ビジネス情報の検索と収集
ウ ビジネス情報の受信と発信
エ セキュリティ管理の基礎
(3) ビジネス情報の処理と分析
ア 表の作成
イ グラフの作成
ウ 情報の整列・検索・抽出
エ ビジネスと統計
(4) ビジネス文書の作成
ア 文章の表現
イ 図形と画像の活用
ウ 文書の作成
(5) プレゼンテーション
ア プレゼンテーションの技法
イ ビジネスとプレゼンテーション
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,具体的な事例を通して,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラルについて理解させること。また,ビジネスの諸活動において,情報を扱う者の役割や責任について考えさせること。
イ ビジネスの諸活動に応じた具体的なデータを用いた実習をさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,ビジネスの諸活動における情報の意義や役割及び情報通信技術の進歩がビジネスの諸活動に与える影響などを扱うこと。イについては,パーソナルコンピュータを中心に扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,ウェブページを活用して,ビジネスに関する情報を検索・収集する方法を扱うこと。ウについては,電子メールを活用して,ビジネスに関する情報を受信・発信する方法を扱うこと。エについては,セキュリティ管理の必要性,コンピュータウイルスへの感染などを予防するソフ...
ウ 内容の(3)については,表計算ソフトウェアの各種関数や機能を活用して,ビジネスに関する情報を処理・分析する方法,分析した結果を表現する方法及び統計処理の基礎的な方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,ビジネス文書を作成するために必要な適切な文章の表現方法を扱うこと。ウについては,コンピュータを活用して,社外文書や報告書などビジネス文書を作成する方法を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,プレゼンテーションを行う際の話し方や進め方を扱うこと。イについては,ソフトウェアを活用して目的に応じた効果的なプレゼンテーションを行う方法を扱うとともに,内容の(1)から(4)までで学習した内容と関連させて,ビジネスに関する情報の収集・処理・分析,報...
第17 ビジネス情報
1 目標  情報通信ネットワークの導入やソフトウェアの活用に関する知識と技術を習得させ,情報を効率的に処理することの重要性について理解させるとともに,ビジネスの諸活動においてコンピュータを適切に運用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) オフィス業務と情報通信ネットワーク
ア 業務の情報化
イ 情報通信ネットワークの導入と運用
ウ データの保護
(2) 表計算ソフトウェアの活用
ア ビジネス計算とデータの集計・分析
イ オペレーションズリサーチの基礎
ウ 手続の自動化
(3) データベースソフトウェアの活用
ア ビジネスとデータベース
イ データベースの設計と作成
ウ データの入力とデータベースの操作
エ 報告書の作成
オ 手続の自動化
(4) ソフトウェアを活用したシステム開発
ア アルゴリズム
イ 表計算ソフトウェアの活用
ウ データベースソフトウェアの活用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,ビジネスの諸活動に応じた課題を設定した実習をさせること。
イ 内容の(4)のイ及びウについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,いずれか1項目を選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,業務の情報化の意義や必要性及びエンドユーザの役割などを扱うこと。ウについては,アクセス権の設定,暗号化,ファイアウォールの利用などを扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,金融や証券投資などのビジネスに関する計算,グループ別集計とクロス集計及びシミュレーションを行う方法を扱うこと。イについては,在庫管理や線形計画法などオペレーションズリサーチの基礎的な内容を扱うこと。ウについては,操作の自動化及び一連の手続を起動するメ...
ウ 内容の(3)のアについては,ビジネスに関する情報をデータベース化することの意義や必要性及びデータベースの機能や役割を扱うこと。オについては,操作の自動化及び一連の手続を起動するメニューの作成を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,制御構造の種類,条件判定,繰り返し処理,配列の利用など基礎的なアルゴリズムを扱うこと。イ及びウについては,ビジネスに関する情報を処理する簡易なビジネス情報システムの開発を行う実習をさせること。
第18 電子商取引
1 目標  情報通信ネットワークを活用した商取引や広告・広報に関する知識と技術を習得させ,情報通信ネットワークを活用することの意義や課題について理解させるとともに,情報通信技術を電子商取引に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報通信技術の進歩とビジネス
ア ビジネスの変化
イ 情報通信ネットワークの活用と課題
(2) コンテンツの制作
ア ファイルの形式
イ 図形と画像
ウ 音声
エ 情報の統合
(3) ウェブデザインと広告・広報
ア ウェブページ制作の手順
イ デザインの基礎
ウ ウェブページ制作の基礎
エ ウェブページ制作の応用
(4) ウェブページの公開
ア ネットワーク機器の種類と機能
イ ハードウェアとソフトウェアの導入
(5) 電子商取引とビジネス
ア 電子商取引の仕組み
イ 企業間取引と企業・消費者間取引
ウ 電子決済の仕組みと方法
エ 電子商取引システムの作成
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,情報通信ネットワークを活用した商取引や広告・広報に伴う課題について,具体的な事例を取り上げ,関係法規や情報モラルと関連付けて考えさせるとともに,利用者の立場に立ったウェブページを制作できるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,情報通信技術の進歩に伴うビジネスの形態や広告・広報活動の変化を扱うこと。イについては,通信回線やインターネット接続サービスを提供する企業の役割及び電子商取引に伴う個人情報や知的財産の保護を扱うこと。
イ 内容の(2)のエについては,図形,画像及び音声を統合する方法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のイについては,ウェブページの制作に必要な配色や構成などデザインの基礎を扱うこと。ウについては,広告や広報に関するウェブページを制作する方法を扱うこと。エについては,双方向で情報を送受信するウェブページを制作する方法及びデータベースと連携したウェブページを制作する方...
エ 内容の(4)のイについては,商取引や広告・広報を行うために必要なハードウェアとソフトウェアを導入し,情報通信ネットワークを構築する方法及びウェブページを公開する方法を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,情報通信ネットワークを活用して商品売買や金融取引を行う仕組み,電子商取引によるビジネスを始めるための手順及び電子商取引に関する法規を扱うこと。エについては,商品広告,商品販売,代金決済などのウェブページを制作し,模擬的な電子商取引のシステムを構築させ...
第19 プログラミング
1 目標  プログラミングに関する知識と技術を習得させ,プログラムの役割や重要性について理解させるとともに,ビジネスの諸活動においてコンピュータを合理的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) コンピュータとプログラム
ア ビジネスとデータ処理
イ プログラム言語の種類と特徴
(2) プログラミングの基礎
ア プログラミングの手順
イ アルゴリズムの表現技法
ウ データ構造と制御構造
エ 変数と定数
オ データの入出力と演算
カ 条件判定と繰り返し処理
(3) プログラミングの応用
ア 配列の利用
イ 関数の利用
ウ ファイル処理
エ ユーザインタフェース
オ 文字や画像などの処理
(4) ソフトウェア
ア システムソフトウェア
イ 応用ソフトウェア
(5) ハードウェア
ア データの表現
イ 中央処理装置
ウ 主記憶装置
エ 周辺装置
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,アルゴリズムやプログラミングに関する知識と技術を実習を通して習得させること。
イ 内容の(3)については,指導するプログラム言語,生徒の実態及び学科の特色に応じて,アからオまでの中から選択して扱うことができること。また,指導するプログラム言語に応じて,各項目に関連する内容を扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,様々なデータ処理の形態とその具体的な事例を扱うこと。
イ 内容の(2)のウについては,基本データ構造と問題向きデータ構造の種類や特徴,制御構造の種類及び構造化定理を扱うこと。
ウ 内容の(3)のオについては,文字列処理,画像・音声・図形の活用,図形とグラフの描画及び例外処理を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,基本ソフトウェア及びミドルウェアの役割や機能を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,コンピュータ内部におけるデータの表現方法を扱うこと。イについては,制御装置と演算装置の仕組みを扱うこと。
第20 ビジネス情報管理
1 目標  情報通信ネットワークやビジネス情報システムに関する知識と技術を習得させ,ビジネスの諸活動において情報を管理し,共有することの意義や必要性について理解させるとともに,業務の合理化を積極的に推進する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ビジネスと情報システム
ア ビジネスと情報の共有
イ 情報システムと業務の合理化
ウ セキュリティ管理の必要性と方法
(2) 情報通信ネットワークの構築と運用管理
ア 情報通信ネットワークの仕組みと通信方法
イ ネットワーク機器の種類と機能
ウ 情報通信ネットワークの設計
エ ハードウェアとソフトウェアの導入
オ 運用管理
カ ビジネス用周辺機器の活用
キ 情報通信ネットワーク構築・運用管理の実習
(3) ビジネス情報システムの開発
ア 販売情報の分析と活用
イ 財務情報の分析と活用
ウ システム開発の手法
エ システム開発の手順
オ ビジネス情報システム開発の実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実践的・体験的学習を通して,情報通信ネットワークの構築・運用管理及びビジネス情報システムの開発に関する知識と技術を習得させること。
イ 内容の(2)と(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,いずれかの項目を選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,ビジネスの諸活動において情報を共有することの意義や必要性を扱うこと。イについては,情報システムを構築し,業務を合理化・効率化している具体的な事例を扱うこと。ウについては,不正アクセス,コンピュータウイルス,災害などから情報や情報通信ネットワークなどを...
イ 内容の(2)のキについては,ビジネスに関する情報を処理するための情報通信ネットワークの構築と運用管理を行う実習をさせること。
ウ 内容の(3)のアについては,売上成長率や損益分岐点などの販売情報を分析し,活用する方法を扱うこと。イについては,企業の収益性や安全性などの財務情報を分析し,活用する方法を扱うこと。オについては,販売情報システムや財務情報システムの開発を行う実習をさせること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 商業に関する各学科においては,「ビジネス基礎」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 「財務会計Ⅱ」については,原則として,「財務会計Ⅰ」を履修した後に履修させるものとする。
(3) 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては,実践的・体験的学習を重視するとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第4節 水   産
第1款 目標  水産や海洋の各分野における基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,水産業及び海洋関連産業の意義や役割を理解させるとともに,水産や海洋に関する諸課題を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって解決し,持続的かつ安定的な水産業及び海洋関連産業と社会の発展を図る創造的な能力と実践...
第2款 各 科 目
第1 水産海洋基礎
1 目標  水産や海洋に関する基礎的な知識と技術を習得させるとともに,水産業や海洋関連産業が国民生活に果たしている役割を理解させる。
2 内容
(1) 海のあらまし
ア 日本の海
イ 世界の海
ウ 海と食生活・文化・社会
エ 海と生物
オ 海と環境
(2) 水産業と海洋関連産業のあらまし
ア 船と暮らし
イ とる漁業・つくり育てる漁業と資源管理
ウ 水産物の流通と加工
エ 海洋関連産業
(3) 基礎実習
ア 水産・海洋生物の採集
イ 水産・海洋生物の飼育
ウ 食品加工
エ 海洋実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,海,水産物及び船の全体を概観させるとともに,生徒の興味・関心や目的意識を高め,学習への意欲を喚起するようにすること。
イ 内容の(1)については,我が国の魚食文化などを取り上げる中で,海,水産物及び船と生活とのかかわりについて理解させること。
ウ 内容の(2)については,具体的な事例を通して,水産業や海洋関連産業の重要性を理解させるとともに,これらの産業に従事する者としての使命や責任なども取り上げ,卒業後の進路と関連付けて考えさせること。
エ 内容の(3)については,安全確保に十分留意し,地域の実態や時期等に応じて計画的に適切な実習内容を設定すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,河川,湖沼等陸水も含め,海と人間とのかかわり,我が国の食生活における水産物の意義や役割,水産資源及び海洋環境の保全と管理,海洋関連法規などについて,基礎的な内容を扱うこと。エについては,魚介類の飼育や観察などの基礎的な内容を扱うこと。オについては,海や地...
イ 内容の(2)のアについては,船の種類と役割などについて,基礎的な内容を扱うこと。イについては,資源管理型漁業及びつくり育てる漁業の重要性について扱うこと。ウについては,我が国や世界の水産物需給の現状などについて扱うこと。エについては,海洋性レクリエーションなどの海洋関連産業の現...
ウ 内容の(3)のエについては,操船及び水泳を中心に扱い,地域や学科の特色に応じて,結索,漕《そう》艇,体験乗船,海洋観測,各種泳法,ダイビングなどについても扱うこと。
第2 課題研究
1 目標  水産や海洋に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 調査,研究,実験
(2) 作品製作
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から,個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
第3 総合実習
1 目標  水産や海洋の各分野に関する総合的な知識と技術を習得させ,安全を重んじ技術の改善を図るとともに,実務に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 海洋漁業実習
(2) 海洋工学実習
(3) 情報通信実習
(4) 資源増殖実習
(5) 水産食品実習
(6) その他の水産・海洋実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(6)までの中から,地域の実態や学科の特色,生徒の進路希望等に応じて,一つ又は二つの項目を選択して取り扱うこと。
イ 指導に当たっては,安全管理や事故防止,衛生管理等の指導の徹底を図ること。
ウ 指導に当たっては,安全な船舶の運航や食品の供給など水産業や海洋関連産業に従事する者としての使命や責任,環境保全やエネルギーの有効活用などについて,総合的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,漁業乗船実習及び漁業生産実習を行うこととするが,いずれかを選択して扱うことができること。また,漁業乗船実習の一環として,外地寄港地活動や海事実務英語などを扱うこと。
イ 内容の(2)については,機関乗船実習,機械工作実習及び海洋機器実習を行うこととするが,いずれかを選択して扱うことができること。また,機関乗船実習の一環として,外地寄港地活動や海事実務英語などを扱うこと。なお,機関乗船実習については,必要に応じ,陸上の実習施設等を利用して行うこと...
ウ 内容の(5)については,地域の実態や生徒の進路希望等に応じて,適切な食品を選択すること。その際,必要に応じ,農畜産物を取り上げることもできること。
エ 内容の(1),(2),(4)及び(6)において,ダイビングやマリンスポーツなどの実習を行う場合には,事前の健康診断や器具の点検等安全に十分留意して行うこと。
第4 海洋情報技術
1 目標  社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに,情報機器や情報通信ネットワークに関する知識と技術を習得させ,水産や海洋の各分野で情報技術を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 産業社会と情報技術
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報モラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 情報機器の仕組みと情報の表現
ア 情報機器の仕組み
イ 情報のディジタル化と情報処理
(4) ソフトウェア
ア ソフトウェアの体系
イ アプリケーションソフトウェアの使用法
ウ オペレーティングシステム
エ プログラミング
(5) 情報通信ネットワーク
ア 情報通信ネットワークの概要
イ 情報通信ネットワークの活用
(6) 水産や海洋における情報の応用
ア 海洋の環境情報システム
イ 海洋の観測,測量システム
ウ 船舶運航の計測・制御システム
エ 船舶運航の通信システム
オ 防災及び安全システム
カ 水産情報システム
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実際に情報機器や情報通信ネットワークを活用できるように実習を中心として取り扱うこと。
イ 内容の(6)については,学科の特色や生徒の進路希望等に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,情報化の進展が社会や産業に及ぼしている影響と情報の意義や役割などについて扱うこと。
イ 内容の(2)については,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラル及び情報のセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(4)については,オペレーティングシステムを使用してのファイル管理,プログラミングなどの基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については,情報通信ネットワークの基本的な仕組みや情報通信ネットワークを利用した情報の検索,収集,処理,分析,発信などの基礎的な内容を扱うこと。また,情報通信ネットワークにおけるセキュリティ管理の方法について扱うこと。
オ 内容の(6)については,水質など海洋に関する環境情報システム,気象や海象に関するデータ収集や分析等のシステム,船舶運航や管理,通信に関するシステム,沿岸と海中の安全救助や監視に関するシステムなどの基礎的な内容を扱うこと。カについては,食品トレーサビリティシステムを実施するために...
第5 水産海洋科学
1 目標  水産や海洋の各分野における知識と技術を習得させ,水産や海洋に関する諸課題について科学的に探究するとともに,水産業及び海洋関連産業の充実を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 海洋と生活
ア 海洋の知識
イ 水産資源の育成と漁業
ウ 水産物の需給と流通
エ 食品としての水産物
オ 船舶の役割
カ 水産業と海洋関連産業
(2) 海洋の科学
ア 海洋の地形と海水の組成
イ 海洋と生命
ウ 海洋と気象
エ 海洋の資源・エネルギー
オ 深海の世界
カ 海洋と環境問題
(3) 海洋の新しい展開
ア 海洋の新たな活用
イ 水産物の高度利用
(4) 海洋に関する探究活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,「水産海洋基礎」との関連も考慮しながら,生徒や地域の実態に応じて,学習内容の深化を図るようにすること。
イ 内容の(2)については,海洋について科学的に概観させるとともに,海洋に関連する環境問題などの実態を理解させること。
ウ 内容の(3)については,地域産業の活性化を図る活動を主体的に立案,実施させるようにし,地域の活性化に貢献できる能力と態度を身に付けさせるようにすること。
エ 内容の(4)については,内容の(1)から(3)までの中から,適切な研究課題を設定し,課題を探求する活動を通して,科学的な見方や考え方,自発的な学習態度の育成を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,水産業及び海洋関連産業,地域生活における海洋の役割について扱うこと。また,これからの我が国の水産業や海洋関連産業の展望と課題についても扱うこと。
イ 内容の(2)のエについては,化石燃料,海底鉱物資源などを扱うこと。カについては,異常気象,海洋環境保全などについて基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,海が持つ多面的機能及びその活用方法について扱うこと。イについては,未利用資源及び有効成分の利用について基礎的な内容を扱うこと。
第6 漁 業
1 目標  漁業に関する知識と技術を習得させ,資源管理と漁業経営について理解を深めさせるとともに,漁業における生産性の向上を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 漁業と水産生物
ア 漁業の意義と沿革
イ 海洋環境と生物生産
ウ 漁場と漁場調査
エ 海の環境保全
(2) 水産資源と漁業管理
ア 水産資源
イ 漁業管理
(3) 漁業の技術
ア 漁具と漁法
イ 主な漁業と資源増殖
ウ 漁具の構成と材料
エ 漁業機械・計測機器・冷凍機械
(4) 漁業生産の基盤
ア 漁業制度と法規
イ 漁業をめぐる国際環境
ウ 漁業と情報
エ 水産物の貿易と流通
オ 食品管理
(5) 漁業経営
ア 漁業経営の仕組み
イ 経営組織と管理・運営
ウ 漁業経営の効率化
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や実験・実習を通して,適切な資源管理や漁業経営の改善の重要性について具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,海の生態系,食物連鎖及び海の生産力について概要を扱うこと。エについては,環境汚染の防止など海の環境保全に必要な基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(4)のアについては,漁業に関する法規や漁業協同組合などの概要を扱うこと。イについては,二百海里体制,国際漁業に関する条約や協定,漁業の国際協力などについて基礎的な内容を扱うこと。ウについては,漁業情報の種類,漁船の運航や漁況・海況に関する各種情報システムなどの基礎的な内...
ウ 内容の(5)のアについては,漁業経営の特性など経営に関する基礎的な内容を扱うこと。イについては,経営分析や事業計画について基礎的な内容を扱うこと。また,簿記の基礎的な内容に触れること。ウについては,新たな漁業経営の取組など経営の改善について基礎的な内容を扱うこと。
第7 航海・計器
1 目標  船舶を安全かつ適切に航海させるために必要な知識と技術を習得させ,実際に漁業生産など海上業務に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 航海の概要
ア 航海の意義と沿革
イ 航海と航法
ウ 航海と計算
(2) 航海に関する情報
ア 航海と情報
イ 海図と航路標識
ウ 海流や潮汐《せき》の概要
(3) 計器と航法
ア 基本航海計器
イ 地文航法
ウ 電波航法
エ 天文航法
(4) 航海計画
(5) 海上交通関係法規
(6) 海事実務英語
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)については,実験・実習を通して,船舶の安全な航海について具体的に理解させること。
イ 内容の(4)については,内容の(1)から(3)までと関連付けて扱うとともにレーダ・自動衝突予防援助装置シミュレータや小型実習船を活用して,理解を深めさせるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては,航海に必要な情報の収集と活用の方法を扱うこと。イについては,電子海図,各種の航路標識,信号などを扱うこと。
イ 内容の(3)のアについては,航海計器の基本的な操作方法などを扱うこと。イについては,船位測定や衝突防止を中心として扱うこと。ウについては双曲線航法,衛星航法などを扱うこと。また,船位通報制度の概要を扱うこと。
ウ 内容の(5)については,海上衝突予防,海上交通安全及び港湾に関する法規を中心として扱うこと。
エ 内容の(6)については,航海に必要な海事実務英語や外地寄港地等における英会話について基礎的な内容を扱うこと。
第8 船舶運用
1 目標  船舶を安全かつ適切に運用するために必要な知識と技術を習得させ,実際に漁業生産など海上業務に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 船舶の概要
ア 船舶の意義
イ 漁船の意義
ウ 船の種類と船体構造
(2) 船舶の設備
ア 操船・機関・通信設備
イ 係船・荷役設備
ウ 船用品
エ 安全・衛生設備
オ 漁業設備
カ 冷凍・冷蔵設備
(3) 船務
ア 乗組員の編成と職務
イ 船体の整備
ウ ドックと検査
エ 通信
オ 保安の確保
(4) 海上気象
ア 海上気象の基礎
イ 日本近海の海上気象
(5) 操船
ア 操船の基本
イ 応用操船
ウ 荒天運用
エ 海難と応急
(6) 船内の安全と衛生
ア 災害防止
イ 救急処置
ウ 船内消毒
(7) 船舶・船員・海洋関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(6)までについては,実験・実習を通して,船舶の安全な運航・管理について具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,船舶の変遷を中心として扱うこと。イについては,漁船の定義,従業制限などを扱うこと。ウについては,船の種類や船体構造など船舶の基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(3)のエについては,海上特殊無線や旗りゅう信号についても扱うこと。オについては,船舶保安統括者及び船舶安全管理者についても扱うこと。
ウ 内容の(4)のアについては,気象要素や気団,前線などを扱うこと。イについては,我が国の各季節における気圧配置の特徴などについて扱うこと。
エ 内容の(6)のイについては,捜索救助,応急医療,消火作業指揮などを扱うこと。
第9 船用機関
1 目標  船舶の機関及びその運転と保安に関する知識と技術を習得させ,船舶及び関係する機械装置を安全かつ効率的に運航,管理する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 熱機関の概要
ア 熱機関の種類と変遷
イ 熱機関に関する基礎
(2) 内燃機関
ア 内燃機関の概要
イ ディーゼル機関
ウ ガソリン機関
エ ガスタービン
オ 環境技術
(3) 推進装置
ア 軸系
イ プロペラ
ウ 操船装置
エ 小型船舶の推進装置
オ 速度と経済性
(4) 燃料と潤滑剤
(5) 補機
ア ポンプ
イ 油圧装置
ウ 造水装置
エ 環境汚染防止装置
(6) ボイラ,冷凍装置
ア ボイラ
イ 冷凍・冷蔵装置
ウ 空気調和装置
(7) 船舶の運航と保安
ア 船舶の種類と構造
イ 船舶の設備
ウ 船内組織と職務
エ 損傷制御と安全衛生
オ 海事関係法規
カ 海事実務英語
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,船舶及び関係する機械装置の安全な運航・管理について具体的に理解させること。
イ 内容の(7)については,学科の特色や生徒の進路希望等に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,熱機関の種類や変遷及び蒸気タービンについて基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,ディーゼル機関の作動原理及び構造を扱うこと。ウについては,ガソリン機関の構造及び取扱いなどの概要を扱うこと。エについては,ガスタービンの構造などの概要を扱うこと。オについては,船用機関における環境技術及び省エネルギー技術の概要を扱うこと。
ウ 内容の(4)については,燃料と潤滑剤の種類や性質,船内積込み法,石油製品の管理,油清浄装置などについて基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)のイについては,漁業機械や甲板機械及び海洋調査などに用いられる機器を扱うこと。
オ 内容の(7)のアについては,船舶の種類及び構造の概要を扱うこと。イについては,船舶の基本的な設備の操作を扱うこと。エについては,船舶の安全や執務一般に関する基本的な内容を扱うこと。オについては,海事に関する法規の基本的な内容を扱うこと。カについては,機関業務に必要な海事実務英語...
第10 機械設計工作
1 目標  機械の設計と工作に関する基礎的な知識と技術を習得させ,水産や海洋の工学的分野に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 機械設計工作の概要
ア 機械と設計工作の基礎
イ 機械に働く力と運動
ウ 材料の一般的性質
(2) 機械設計
ア 締結用機械要素
イ 軸に関する機械要素
ウ 歯車伝動装置とその他の機械要素
(3) 機械製図
ア 製図の基礎
イ 製作図
ウ CAD
エ 測定
(4) 機械材料
ア 鉄鋼材料
イ 非鉄金属材料
ウ 複合材料
(5) 機械工作
ア 鋳造と鍛造
イ 板金加工
ウ 溶接と切断
エ 機械加工
オ 手仕上げと組立て
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,水産や海洋分野における機械設計について具体的に理解させること。
イ 内容の(5)のアからオまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,流体力学の基礎的な内容についても扱うこと。
イ 内容の(4)のアについては,鉄と鋼,鋳鉄等の性質や用途などの基礎的な内容を扱うこと。イについては,鉄鋼以外の金属や合金等の性質や用途などの基礎的な内容を扱うこと。ウについては,繊維強化プラスチック等の複合材料や技術の進展に対応した素材の特性及び用途などについて基礎的な内容を扱う...
第11 電気理論
1 目標  電気・電子に関する基礎的な知識と技術を習得させ,水産や海洋の各分野において電気機器や電子機器を適切に取り扱う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 電気回路の基礎
ア 直流回路
イ 電気抵抗の性質
ウ 電気エネルギー
エ 交流の性質と交流回路
(2) 電気と磁気
ア 静電気
イ 磁気
ウ 電流と磁気
エ 電磁誘導
(3) 半導体素子と電子回路
ア ダイオードとトランジスタ
イ 各種の半導体素子
ウ 電子回路
(4) 電気機器
ア 同期機
イ 誘導機
ウ 変圧器
エ 直流機
オ 非常用電源装置
(5) 電気計測と自動制御
ア 電気計器
イ 計測
ウ 自動制御の基礎
エ 自動制御の応用
(6) 配電・電気工事
ア 船内配電
イ 工場配電
ウ 電気工事
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,水産や海洋の各分野における電気・電子に関する基礎的な理論について具体的に理解させること。
イ 内容の(5)のエについては,生徒の実態や学科の特色に応じて扱わないことができること。
ウ 内容の(6)については,アからウまでの中から生徒の実態や学科の特色に応じて選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,直流回路と交流回路における諸定理や計算方法の基礎的な内容を扱うこと。エについては,正弦波交流を中心として扱うこと。
イ 内容の(2)については,電気や磁気に関する現象の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(4)については,電気機器や電池,電源設備の原理,構造,運転,保守などの基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)のウについては,自動制御の概要や論理回路などについて基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(6)については,発電,送電,配電,電気工事などの基礎的な内容を扱うこと。
第12 移動体通信工学
1 目標  船舶など移動体における通信工学に関する知識と技術を習得させ,電子機器の取扱いや通信業務に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 移動体通信の概要
ア 通信の種類
イ 移動体通信
ウ 電波や光による情報の伝送
エ 無線局の設備と特徴
(2) 無線通信機器
ア 無線通信機器の基礎回路
イ 送信機,受信機
ウ マイクロ波通信装置
エ 遭難及び安全通信設備
(3) マイクロ波回路とアンテナ
ア マイクロ波回路
イ マイクロ波回路の種類と特徴
ウ アンテナの種類と特性
エ 給電線の種類と特徴
(4) 電波の伝わり方
ア 電波の伝搬特性
イ 伝搬上の諸現象
(5) 航海用電子機器
ア レーダ
イ 双曲線航法機器,衛星航法機器
ウ ソナー
エ その他の電子機器
(6) 応用電子計測
ア 電子計測機器
イ 送信機の測定
ウ 受信機の測定
エ マイクロ波と光の測定
オ アンテナ及び電波の測定
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,船舶など移動体における通信について具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,船舶など移動体における通信の変遷や構成,各種通信サービスなどの基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,発振回路や変調・復調回路などの基礎的な内容を扱うこと。イについては,無線通信機器の原理や機器の構成などについて基礎的な内容を扱うこと。エについては,海上における遭難及び安全に関する世界的な制度を中心として扱うこと。
ウ 内容の(3)のア及びイについては,分布定数回路や導波管を用いた立体回路,四端子回路網などについて基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については,各種電子機器の原理や性能,用途などについて基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(6)については,電圧計やオシロスコープなどの基礎的な内容を扱うこと。
第13 海洋通信技術
1 目標  有線通信及び情報通信の運用に関する知識と技術を習得させ,実際に通信業務に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 有線通信機器
ア 有線によるデータ通信の基礎
イ 端末設備の技術
ウ ネットワークの技術
エ 情報セキュリティの技術
オ 接続工事の技術
(2) 通信関係法規
ア 電波法及び関係法規
イ 国際通信関係法規
ウ 有線通信関係法規
エ 海事関係法規
(3) 通信英語
ア 無線通信に使用される英語
イ 重要通信の通信文例
(4) 通信交通地理
ア 日本の通信交通地理
イ 世界の通信交通地理
(5) 通信の実技
ア 送受信の実技
イ 通信運用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,船内における有線通信技術と通信業務について具体的に理解させること。
イ 内容の(2)のアからエまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
ウ 内容の(3)から(5)までについては,生徒の実態や学科の特色に応じて選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,端末設備やネットワークの伝送技術,種類,構造などの基礎的な内容を中心に扱うこと。オについては,各種ケーブルの製作や保守方法などについても扱うこと。
イ 内容の(3)のイについては,遭難通信,緊急通信,安全通信などの通信文例を扱うこと。
ウ 内容の(4)のアについては,海上用無線航行陸上局の配置や漁港などの所在地について扱うこと。イについては,海岸地球局の配置や日本の漁船の主要寄港地などについて扱うこと。
エ 内容の(5)のアについては,モールス符号による和文・欧文の受信と手送りによる送信などについて扱うこと。
第14 資源増殖
1 目標  水産増養殖に関する知識と技術を習得させ,安全な水産物の資源増殖と生産性の向上に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 資源増殖の概要
ア 増養殖技術の変遷
イ 増養殖技術
ウ 種苗生産
(2) 飼料・餌《じ》料
ア 養魚飼料の現状と特徴
イ 魚介類の摂餌《じ》,消化,吸収,栄養要求
ウ 初期餌《じ》料
エ 飼料原料と配合飼料
(3) 病気と病害対策
ア 病気の種類と流行
イ 病気の診断と対策
(4) 生産物の安全管理と環境対策
(5) 水産育種とバイオテクノロジー
(6) 主な増養殖技術
ア 海洋動物
イ 海洋植物
(7) 経営と流通
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や実験・実習を通して,水産増養殖による生産性の向上と環境保全の重要性について具体的に理解させること。
イ 内容の(3)から(6)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
ウ 内容の(6)については,地域の実態や学科の特色に応じて,適切な増養殖対象種を選定すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,水産資源の維持や増大に果たしている資源増殖の意義,変遷,現状及び今後の展望を扱うこと。イについては,主な増養殖技術について基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については,一般的に使用されている飼料を扱うこと。また,初期餌《じ》料については,その培養技術も扱うこと。
ウ 内容の(3)については,病気の種類やその対策などについて基礎的な内容を扱うこと。病害対策については,持続的養殖生産確保法などの関係法規も扱うこと。
エ 内容の(4)については,食品トレーサビリティシステムなど安全管理に関する知識と技術や環境汚染の防止に関する対策について扱うこと。
オ 内容の(5)については,育種やバイオテクノロジーの概要,種類や技術について基礎的な内容を扱うこと。
カ 内容の(7)については,養殖業の経営の特性について,漁業協同組合と金融,共済制度などと関連させて基礎的な内容を扱うこと。また,簿記の基礎的な内容と経営や流通の合理化について触れること。
第15 海洋生物
1 目標  海洋生物に関する基礎的な知識と実験・観察の技法を習得させ,水産資源の管理や有効利用に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 海洋動物
ア 海洋動物の生活
イ 主な海洋動物
(2) 海洋植物
ア 海洋植物の生活
イ 主な海洋植物
(3) プランクトン
(4) 未利用資源
(5) 水産資源管理
ア 水産資源の特徴
イ 資源量の推定
ウ 資源管理の方法
(6) 海洋生物実験
ア 海洋動物実験
イ 海洋植物実験
ウ プランクトン実験
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,飼育,観察,調査等の実験・実習を通して,水産資源の管理や有効な活用について具体的に理解させること。
イ 内容の(1)及び(2)については,地域の実態や学科の特色に応じて,いずれかを重点的に扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,海洋動物の生活と環境とのかかわり及び生態系,水産資源等の中で海洋動物の果たす役割を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,海洋植物の生活と環境とのかかわり及び生態系,水産資源等の中で海洋植物の果たす役割を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,海洋や湖沼等の生物生産にかかわりの深いプランクトンの種類と生態を扱うこと。
エ 内容の(4)については,深海生物やバイオマスなどについても触れること。
オ 内容の(5)については,水産資源の持続的有効利用,漁獲可能量制度などについても触れること。
カ 内容の(6)のアについては,基礎的な解剖,発生の観察,外部形態と計測,野外観察,標本作製などを扱うこと。イについては,野外観察と採集,標本作製,色素の検出などを扱うこと。ウについては,採集方法,計測方法などを扱うこと。
第16 海洋環境
1 目標  海洋や陸水の環境に関する基礎的な知識と技術を習得させ,水産業や海洋関連産業における環境保全に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 海洋環境管理
ア 海洋環境管理の概要
イ 海洋環境の保全
ウ 陸水環境の保全
エ 海洋環境関係法規
(2) 水産・海洋関連産業と環境保全
ア 漁業・船舶と環境保全
イ 資源増殖と環境保全
ウ 海洋性レクリエーションと環境保全
(3) 漁場環境と調査
ア 漁場環境の特性
イ 漁場の調査
(4) 海洋工事と環境保全
ア 漁場造成技術
イ ウォーターフロント開発
ウ 環境改善技術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,海洋環境の保全の重要性を具体的に理解させること。
イ 内容の(4)のアからウまでについては,地域の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,海洋や河川,湖沼等の陸水の環境管理の意義と沿革及び現状と今後の展望を扱うこと。イについては,オゾン層の破壊など地球環境の変化と海洋環境とのかかわり及び排水,油汚染などの環境要因の基礎的な内容を扱うこと。ウについては,陸水の環境要因の基礎的な内容を扱う...
イ 内容の(2)のアについては,漁業に伴う廃棄漁具,船舶運航による排出ガスやバラスト水などと環境とのかかわりを扱うこと。イについては,増養殖場における環境要因,海洋生物の生育に適する水質や自然条件などの環境づくりについて基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,内水面,浅海及び増養殖場の環境特性を扱うこと。イについては,気象観測や水質,底質及び生物調査について基本的な観測及び調査方法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,人工漁場の造成技術など基礎的な内容を扱うこと。イについては,沿岸域の基本的な環境調査及び保全技術並びに海岸環境の保全と整備を扱うこと。ウについては,海洋生物の繁殖や成長に必要な環境を造成するための基本的な技術などについて扱うこと。
第17 小型船舶
1 目標  小型船舶の操縦に関する知識と技術を習得させ,安全かつ適切な操船を行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項
ア 水上交通の特性
イ 船長の心得
ウ 船長の遵守事項
(2) 交通の方法
ア 一般水域での交通の方法
イ 港内での交通の方法
ウ 特定海域での交通の方法
エ 湖川・特定水域での交通の方法
(3) 運航
ア 船体,設備及び装備品
イ 機関の取扱い
ウ 操縦
エ 航海の基礎
オ 気象・海象
カ 航海計画
キ 荒天航法と海難防止
(4) 機関
ア 機関の保守整備
イ 機関故障時の対処
(5) 小型船舶の取扱い
ア 発航前の準備及び点検
イ 解らん・係留
ウ 結索
エ 方位測定
(6) 小型船舶の操縦
ア 基本操縦
イ 応用操縦
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,小型船舶の安全な運航について具体的に理解させること。
イ 指導に当たっては,安全管理や事故防止について指導の徹底を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,小型船舶操縦者に必要な船員及び船舶と安全に関する法規の基本的な内容についても扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,海上衝突予防法及び関係法規について扱うこと。イについては,港則法及び関係法規について扱うこと。ウについては,海上交通安全法及び関係法規について扱うこと。
ウ 内容の(6)のアについては,安全確認や発進及び停止などを扱うこと。イについては,人命救助や避航操船などを扱うこと。
第18 食品製造
1 目標  水産食品を主とした食品の製造に関する知識と技術を習得させ,安全な食品の製造と品質の向上に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食品製造の概要
ア 食品製造の意義と食育
イ 水産食品の現状と将来
(2) 食品の貯蔵及び加工
ア 食品の貯蔵と加工の原理
イ 食品の貯蔵法
(3) 水産食品の製造
ア 簡易加工食品の製造
イ 高度加工食品の製造
ウ 機能性食品
(4) 食品製造関連機器
ア 食品製造機器の概要
イ 水産食品製造機器
ウ ボイラ,冷凍装置
(5) 排水及び廃棄物の処理
ア 環境汚染防止と水質保全
イ 廃棄物処理と悪臭・騒音対策
(6) 経営と生産管理
ア 経営
イ 生産管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や実験・実習を通して,生産から消費までの食料供給の仕組みを理解させるとともに,安全で高品質な食品を製造することの重要性を具体的に理解させること。
イ 内容の(3)及び(4)については,安全指導の徹底を図るとともに,食品衛生上の危害の発生を防止すること。
ウ 内容の(4)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,国民生活に果たしている水産食品製造の意義や役割,食品製造に従事する者の使命と責任などを扱うとともに,食育の意義についても扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,食品の貯蔵と加工の基本的な原理を扱うこと。イについては低温,脱水,密封加熱などの代表的な貯蔵法を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,主として冷蔵品・冷凍品,乾製品,塩蔵品などを扱うこと。イについては,主として缶詰,レトルト製品,魚肉ねり製品などを扱うこと。ウについては,水産物などに含まれる有効成分を利用した機能性食品を扱うこと。
エ 内容の(5)のアについては,食品製造に起因する環境汚染の発生要因とその対策及び処理方法の基礎的な内容を扱うこと。イについては,食品製造で生じる排水・廃棄物処理方法と悪臭・騒音対策などについて基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(6)のアについては,経営管理と組織を扱うこと。また,簿記の基礎的な内容に触れること。イについては,工程管理や製造管理の概要を扱うこと。
第19 食品管理
1 目標  水産食品を主とした食品の品質管理と安全管理に関する基礎的な知識と技術を習得させ,食品を安全かつ適切に管理する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食品管理の概要
(2) 食品の成分変化
ア 食品の成分と栄養
イ 食品の品質変化
(3) 食品と微生物
ア 食品と微生物
イ 食品による危害
(4) 食品管理実験
ア 実験の基礎
イ 化学分析
ウ 食品の成分分析
エ 微生物試験
(5) 食品の安全管理
ア 工場の衛生と品質管理
イ 安全管理システム
ウ 食品添加物
(6) 食品管理関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や実験・実習を通して,品質管理と安全管理の重要性を具体的に理解させること。
イ 内容の(4)のアからエまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,食品の品質管理と安全管理の意義や役割について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,身近な水産食品を取り上げ,その成分と化学的な性質及び栄養について,農産物と比較して扱うこと。イについては,貯蔵,加工及び流通の過程における変化について扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,食品製造に用いられる微生物,腐敗や食中毒の原因となる微生物及び食品開発にかかわる微生物の性質や働きを扱うこと。イについては,食品に起因する危害の発生原因や予防に関する基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,有機酸や一般成分の定量分析法及び食品の衛生状態を示す生菌数や大腸菌群などの培養試験法について基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(5)のイについては,危害分析重要管理点手法などの国際的な品質管理の方法や食品トレーサビリティシステムの概要を扱うこと。
カ 内容の(6)については,安全な食品を供給するために必要な食品の衛生,品質管理及び製造責任に関する基本的な法規や制度,法令遵守について扱うこと。
第20 水産流通
1 目標  水産物の流通に関する知識と技術を習得させ,安全かつ合理的な水産物の流通を行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 水産物流通の概要
(2) 水産物の流通
ア 鮮魚の流通
イ 活魚の流通
ウ 水産加工品の流通
エ 輸出入水産物の流通
(3) 水産物流通の技術と管理
ア 輸送保管技術と品質管理
イ 水産物流通の衛生管理
ウ 包装技術
エ 情報技術の利用
(4) 水産物の流通機構
ア 卸売業
イ 小売業
ウ 輸出入業
(5) 水産物のマーケティング
ア 市場調査と商品開発
イ 水産物の販売促進
(6) 水産物流通関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や調査を通して,水産物を中心とした食品の安全で安定的な流通の重要性について具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,水産物流通の意義と沿革及び展望の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については,各種水産物の特性を踏まえた流通経路や価格形成の仕組みを扱うこと。エについては,国際的な水産物貿易の現状を扱うこと。
ウ 内容の(3)のイについては,国際的な衛生基準などを踏まえた水産食品の品質管理について触れること。エについては,基本的な物流情報システム,販売時点情報管理システムなどを扱うこと。
エ 内容の(4)については,各流通段階の役割と機能について扱うこと。ウについては貿易実務の基礎的な内容を扱うこと。
オ 内容の(6)については,水産物流通に関する基本的な法規や制度の目的と概要を扱うこと。
第21 ダイビング
1 目標  ダイビングの安全な実施に関する知識と技術を習得させ,水産や海洋の各分野に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ダイビングの概要
(2) ダイビングの環境
ア 圧力・温度
イ 浮力
ウ 気体の性質
エ 水中での視覚・聴覚
オ 海の流れ
カ 海洋生物
(3) ダイビングの生理
ア ダイビングの人体に及ぼす影響
イ ダイビングによる障害と対策
ウ 救急処置
(4) ダイビング機器
ア スクーバ式
イ ヘルメット式
ウ フーカー式
エ その他の機器
(5) ダイビング技術
ア 送気法
イ 潜降法
ウ 浮上法
エ レクリエーションダイビング
オ 水中調査及び水中作業
(6) ダイビング関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,安全指導や安全管理を行い,水中や沿岸等の環境保全などに十分配慮するとともに,実験・実習を通して,ダイビングの安全な実施について具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,水産業や海洋関連産業などにおけるダイビングの意義と沿革及び業としてのダイビングの現状と今後の展望を扱うこと。
イ 内容の(2)については,ダイビングに関する物理的現象などの環境について基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,ダイビングにより人体に受ける水圧や圧縮空気の影響を扱い,その障害と対策について基本的な内容を扱うこと。
エ 内容の(4)については,主要なダイビング機器の構造及び使用法を扱うこと。
オ 内容の(5)のオについては,基本的な水中での調査や作業に関する内容を扱うこと。
カ 内容の(6)については,ダイビングに関連する労働安全衛生や高気圧作業安全衛生に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第22 マリンスポーツ
1 目標  マリンスポーツに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,海洋などでの諸活動を円滑かつ安全に行うための能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 海の活用
ア 自然環境
イ ルールとマナー
(2) フィッシング
ア 海釣り
イ 川釣り
(3) レジャーダイビング
ア スノーケリング
イ スキンダイビング
ウ スクーバダイビング
(4) 海洋レジャー
ア 海上でのルールと自然現象
イ セーリング
ウ カヌー・カヤック
エ その他のマリンスポーツ
(5) 海における安全確保
ア 海と安全
イ 救急・救命
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,安全指導や安全管理,水中や沿岸等の環境保全などに十分配慮するとともに,実験・実習を通して,マリンスポーツの安全で効果的な実施について具体的に理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,環境の保全と安全確保を重視した海洋などの有効な活用について扱うこと。
イ 内容の(2)については,海洋や河川で活動する場合の基本的なルールやマナー及び基本的なフィッシング技術に関する内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,基本的なダイビングに関する知識や技術について扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,海洋気象及び基本的なルールやマナーについて扱うこと。
オ 内容の(5)については,安全確保に留意し,事故を未然に防ぐ方法や事故が発生した場合の対処法について扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 水産に関する各学科においては,「水産海洋基礎」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 水産に関する各学科においては,原則として水産に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。また,実験・実習に当たっては,ホームプロジェクトを取り入れることもできること。
(3) 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止や環境保全の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
4 漁業乗船実習,機関乗船実習,体験乗船実習等を行う際には,綿密な計画を立て,所属の実習船により安全で効果的な実習が行われるよう留意するものとする。
第5節 家   庭
第1款 目標  家庭の生活にかかわる産業に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,生活産業の社会的な意義や役割を理解させるとともに,生活産業を取り巻く諸課題を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって解決し,生活の質の向上と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 生活産業基礎
1 目標  衣食住,ヒューマンサービスなどに関する生活産業や関連する職業への関心を高め,必要な知識と技術を進んで習得し活用する意欲と態度を育てる。
2 内容
(1) 生活の変化と生活産業
ア 産業構造の変化
イ 社会の変化と価値観の多様化
ウ 生活産業の発展
(2) 生活の変化に対応した商品・サービスの提供
ア 消費者ニーズの把握
イ 商品・サービスの開発及び販売・提供
ウ 関連法規
(3) 生活産業と職業
ア 食生活関連分野
イ 衣生活関連分野
ウ 住生活関連分野
エ ヒューマンサービス関連分野
(4) 職業生活と自己実現
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)のアからエについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,サービス産業の発展などを扱うこと。イについては,経済の発展に伴う就労形態や価値観,ライフスタイルが多様化している状況を扱うこと。ウについては,社会の変化に伴う生活に関する価値観の多様化や消費者の多様なニーズにこたえるために生活産業が発展している状況を...
イ 内容の(2)のアについては,消費者の多様なニーズをとらえる調査方法や結果を商品開発等に活用する方法などを扱うこと。イについては,身近で具体的な事例を取り上げ,商品・サービスの企画,開発から生産,販売・提供に結び付けていく仕組みを扱うこと。ウについては,商品やサービスの販売・提供...
ウ 内容の(3)については,生活産業の各分野を取り上げ,産業の種類や特徴及び関連する職業について,具体的な事例を通して扱うこと。
エ 内容の(4)については,生活産業にかかわる職業人に求められる資質・能力と役割や責任,職業資格を専門科目の学習と関連付けて扱うこと。
第2 課題研究
1 目標  生活産業の各分野に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 調査,研究,実験
(2) 作品製作
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
(5) 学校家庭クラブ活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(5)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(5)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
第3 生活産業情報
1 目標  生活産業における情報の意義や役割を理解させ,情報の処理に関する知識と技術を習得させるとともに,生活産業の各分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報化の進展と生活産業
ア 情報化の進展と社会
イ 生活産業における情報化の進展
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報モラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 情報機器と情報通信ネットワーク
ア 情報機器の仕組み
イ 情報通信ネットワークの仕組み
(4) 生活産業における情報及び情報手段の活用
ア 情報の収集,処理,分析,発信
イ 生活産業における情報及び情報活用の意義と実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)及び(4)については,実際に情報機器や情報通信ネットワークを活用できるよう実習を中心として扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,情報化の進展に伴う産業や生活の変化について扱うこと。イについては,生活産業における情報機器及び情報通信ネットワークの役割や利用状況について扱うこと。
イ 内容の(2)については,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラル及び情報通信ネットワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容(3)のアについては,情報機器の基本的な構成要素及びソフトウェアの役割と特徴について扱うこと。イについては,情報通信ネットワークの基本的な仕組みについて扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,情報機器や情報通信ネットワークを利用した情報の収集,処理,分析,発信を扱うこと。イについては,生活産業に関連した具体的な事例を通して扱うこと。
第4 消費生活
1 目標  経済社会の変化と消費生活,消費者の権利と責任,消費者と企業や行政とのかかわり及び連携の在り方などに関する知識と技術を習得させ,持続可能な社会の形成に寄与するとともに,消費者の支援に必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 経済社会の変化と消費生活
ア 国民経済と家庭生活
イ 社会の変化と消費生活
ウ 多様化する流通・販売方法と消費者
エ 生活における経済の計画と管理
(2) 消費者の権利と責任
ア 消費者問題
イ 消費者の権利と関係法規
ウ 契約と消費生活
エ 決済手段の多様化と消費者信用
(3) 消費者と企業,行政
ア 商品情報と消費者相談
イ 消費者の自立支援と行政
ウ 消費者教育
(4) 持続可能な社会を目指したライフスタイル
ア 消費生活と環境
イ 持続可能な社会の形成と消費行動
(5) 消費生活演習
ア 商品研究
イ 消費者支援研究
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)については,内容の(1)から(4)までと関連させて,ア又はイのいずれかを取り上げて,個人又はグループで適切な課題を設定させること。イについては,消費生活相談機関や企業の消費者相談などの具体的な事例を取り上げること。
イ 消費生活関連機関等との連携を図って指導の充実を図るようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,経済社会の変化に伴い,発生する消費者問題が複雑化している現状を身近で具体的な事例を通して扱うこと。エについては,家族の生涯の経済設計や家計の収支,金融,社会保障などと関連付けて扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,これまでの代表的な消費者問題を取り上げ,その背景及び問題点について扱うこと。イについては,消費者行政及び消費者に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。また,エについては,消費者信用を扱い,多重債務や自己破産などの具体的な事例を通して,消費者が留意...
ウ 内容の(3)については,消費者の視点に立った商品情報の重要性及び情報提供の方法について扱うこと。また,企業の社会的責任についても触れるとともに,行政や企業の消費者相談機関について具体的な事例を通して扱うこと。
エ 内容の(4)については,環境保全に配慮した持続可能な消費生活を考えさせるような活動を行うこと。
第5 子どもの発達と保育
1 目標  子どもの発達の特性や発達過程,保育などに関する知識と技術を習得させ,子どもの発達や子育て支援に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 子どもの発達の特性
ア 生涯発達における乳幼児期の意義
イ 発達と環境
ウ 発達観・児童観の変遷
(2) 子どもの発達過程
ア 身体発育と運動機能の発達
イ 認知機能の発達
ウ 情緒の発達
エ 人間関係の発達
(3) 子どもの生活
ア 乳幼児の生活の特徴と養護
イ 生活習慣の形成
ウ 乳幼児の健康管理と事故防止
(4) 子どもの保育
ア 保育の意義と目標
イ 保育の方法
ウ 保育の環境
(5) 子どもの福祉と子育て支援
ア 児童福祉の理念と関係法規・制度
イ 子育て支援
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 実際に子どもと触れ合う学習ができるよう,幼稚園や保育所,認定こども園及び地域の子育て支援関連施設などとの連携を十分に図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,発達の概念や乳幼児期が人間の発達の基礎を培う時期であることを扱うこと。イについては,心身の発達は子どもが主体的に環境にかかわることによって促されること,発達における個人差などを扱うこと。
イ 内容の(2)については,誕生から幼児期までの発達の時期における特徴を扱うこと。エについては,乳幼児期は,特に,基本的人間関係の樹立のために「愛着」が重要であることを具体的な事例を通して扱うこと。
ウ 内容の(3)のイについては,子どもの健康な生活に必要な食を営む力など基本的生活習慣の形成の基礎についても扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,乳幼児の発育・発達に応じた適切な保育の重要性を扱うこと。イについては,乳幼児の基本的要求や社会的要求に着目させ,心身の発達に応じた保育について具体的な事例を通して扱うこと。ウについては,保育環境としての家庭及び幼稚園,保育所や認定こども園などの役割に...
オ 内容の(5)のアについては,児童福祉に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。イについては,子育て支援に関する社会的背景を取り上げ,子育て支援施策の概要を扱うこと。また,子どもの虐待とその予防などにも触れること。
第6 子ども文化
1 目標  子どもと遊び,子どもの表現活動,児童文化財などに関する知識と技術を習得させ,子ども文化の充実を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 子ども文化の重要性
(2) 子どもと遊び
ア 遊びと発達
イ 遊びと遊具
(3) 子どもの表現活動と児童文化財
ア 造形表現活動
イ 言語表現活動
ウ 音楽・身体表現活動
エ 情報手段などを活用した活動
(4) 子ども文化を支える場
ア 児童文化施設
イ 子どものための各種施設
(5) 子ども文化実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,子どもの遊びや表現活動の重要性を具体的に理解させるよう実習を中心として扱うこと。
イ 内容の(5)については,内容の(3)の表現活動や関連する児童文化財の中からいずれかを取り上げて実習をさせること。また,児童福祉施設,社会教育施設等との連携を図り,子どもとの交流を体験させるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,子どものための文化活動,児童文化財,児童文化施設などの重要性を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,子どもの遊びの意義と重要性及び遊びの種類と発達とのかかわりについて扱うこと。イについては,遊びと遊具とのかかわり,遊具の選び方や与え方などを扱うこと。また,伝承遊びなどを具体的な事例を通して扱うこと。
ウ 内容の(3)については,子どもの表現活動の意義とそれを支える児童文化財の重要性について,具体的な事例を通して扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,子どもの遊びや表現活動を支える代表的な施設を取り上げ,その意義と活用について扱うこと。
第7 生活と福祉
1 目標  高齢者の健康と生活,介護などに関する知識と技術を習得させ,高齢者の生活の質を高めるとともに,自立生活支援と福祉の充実に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 健康と生活
ア 健康の概念
イ ライフステージと健康管理
ウ 家庭看護の基礎
(2) 高齢者の自立生活支援と介護
ア 高齢者の心身の特徴
イ 自立生活支援の考え方
ウ 高齢者介護の基礎
(3) 高齢者福祉の制度とサービス
ア 高齢化の進展と社会福祉
イ 高齢者福祉の法規と制度
ウ 保健・医療・福祉サービス
(4) 生活援助と介護の実習
ア 生活援助の実習
イ 介護の実習
ウ レクリエーションの実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)については,校内での実習を踏まえて,高齢者と接する機会を設けたり,福祉施設等の見学や実習を取り入れたりすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,健康の概念と健康状態に影響を及ぼす要因などについて扱うこと。イについては,ライフステージごとの健康問題の特徴を踏まえ,生活習慣病の予防など高齢期に至るまでの健康管理の必要性について扱うこと。ウについては,体温測定や応急手当などの基礎的な内容を扱うこと...
イ 内容の(2)のイについては,アとの関連を図り,加齢に伴う心身の変化を踏まえた自立生活について扱うこと。また,高齢者の自己決定に基づく自立生活支援の重要性について扱うこと。ウについては,介護の意義と役割や高齢者介護の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,日本の高齢化の進展状況と社会福祉の今後の展開について扱うこと。イについては,高齢者福祉に関する法規や制度の目的と概要を扱うこと。ウについては,高齢者に関する保健・医療・福祉サービスについて,具体的な事例を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,主に調理,被服管理,住環境の整備などの家事援助を扱うこと。イについては,食事,着脱衣,移動などの介助や体位変換などの基本的な介護技術を扱うこと。ウについては,レクリエーションが高齢者の身体的,精神的な機能や社会性などの維持・向上に有効であることと関連...
第8 リビングデザイン
1 目標  住生活と文化,住空間の構成と計画,インテリアデザインなどに関する知識と技術を習得させ,快適な住空間を計画し,デザインする能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 住生活と文化
ア 日本の住生活と文化
イ 世界の住生活と文化
(2) 住空間の構成と計画
ア 住生活と住空間
イ 住空間の構造と材料
ウ 住空間の環境と設備
エ 住空間の平面計画実習
(3) インテリアデザイン
ア インテリアデザインの構成要素
イ インテリアデザインの表現技法
ウ インテリアデザイン実習
(4) 生活環境と福祉
ア 住生活と環境
イ 住生活と福祉
ウ 住空間のリフォーム計画実習
(5) 住生活関連法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)のウ及び(4)のウについては,個人又はグループで適切な課題を設定させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,日本の各時代の特徴的な住居様式を取り上げ,気候風土と住居とのかかわり,生活様式や行動様式と住居とのかかわり,住意識や住要求と住居とのかかわりなどについて扱うこと。イについては,世界の特徴的な住居様式を取り上げ,気候風土と住居とのかかわり,生活様式や行...
イ 内容の(2)のアについては,人体寸法,動作寸法,作業寸法などを扱うとともに,間取りの基本であるゾーニング,動線,各室の配置と位置関係などについて扱うこと。イについては,住居の構造と材料に関する基礎的な事項を扱うこと。ウについては,健康で安全な室内環境の条件,室内環境整備のための...
ウ 内容の(3)のアについては,色彩,形態,材質感などを扱うとともに,各室の床,壁,天井,家具,カーテンなどについて扱うこと。イについては,インテリア計画の手順と表現技法を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,庭などの外部空間や住居と自然環境や社会環境とのかかわりなどについて扱うこと。イについては,子どもや高齢者などが安全に生活するための住空間の構成や維持管理などについて扱うこと。また,ウについては,家族の構成や状況の変化に応じた住居の間取りの変更やバリア...
オ 内容の(5)については,(2)から(4)までの各項目に関連する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第9 服飾文化
1 目標  服飾の変遷と文化,着装などに関する知識と技術を習得させ,服飾文化の伝承と創造に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 服飾の変遷と文化
ア 被服の起源と基本型
イ 日本の服飾
ウ 世界の服飾
(2) 着装
ア 着装の基本
イ 洋服の着装
ウ 和服の着装
(3) 服飾文化の伝承と創造
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)については,(1)と(2)の学習と関連付けて個人又はグループで適切な課題を設定させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,歴史的背景,気候,風土,文化などとのかかわりを扱うこと。ウについては,西洋の服飾を中心に取り上げ,歴史的背景,気候,風土,文化などとのかかわりを扱うこと。
イ 内容の(2)については,トータルコーディネートと社会生活上の着装のマナーについても扱うこと。
第10 ファッション造形基礎
1 目標  被服の構成,被服材料の種類や特徴など被服製作に関する知識と技術を習得させ,ファッション造形の基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 被服の構成
ア 人体と被服
イ 立体構成と平面構成
(2) 被服材料
ア 被服材料の特徴と性能
イ 用途に応じた被服材料の選択
(3) 洋服製作の基礎
ア 採寸
イ 型紙の基本
ウ デザインと材料の選択
エ 裁断
オ 仮縫いと補正
カ 縫製
キ 仕上げ
ク 着装
(4) 和服製作の基礎
ア 和服の構成と名称
イ 材料の選択
ウ 寸法の見積りと裁断
エ 縫製
オ 仕上げ
カ 着装
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)及び(4)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,いずれかを選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,人体と被服とのかかわり,人体を覆う被服の形,動作に適応した被服のゆるみなどについて扱うこと。イについては,立体構成と平面構成の特徴について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,繊維,糸,布を中心に扱うこと。イについては,布を中心に扱うこと。
第11 ファッション造形
1 目標  デザインや着用目的に応じたファッション造形の知識や技術を習得させ,ファッション製品を創造的に製作する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ファッション造形の要素
ア デザイン
イ 構成技法
ウ 材料
エ 縫製
(2) 洋服製作
ア デザインの選定
イ 材料の選択と取扱い
ウ パターンメーキングとアパレルCADの活用
エ 裁断
オ 仮縫いと補正
カ 縫製
キ 仕上げ
ク 着装
(3) 和服製作
ア 材料の選択
イ 裁断
ウ 縫製
エ 仕上げ
オ 着装
(4) 総合実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,いずれかを選択して扱うことができること。
イ 内容の(4)については,個人又はグループで適切な課題を設定させ,実習をさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,立体裁断と平面製図の特徴や方法について,具体的な事例を通して扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,デザインに応じた材料の選択や取扱いについて扱うこと。ウについては,デザインに応じたパターンメーキングやアパレルCADシステムなどを扱うこと。
第12 ファッションデザイン
1 目標  ファッションデザインの基礎,発想と表現法などに関する知識と技術を習得させ,ファッションを創造的にデザインする能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ファッションデザインの基礎
ア 形態
イ 色彩
ウ 文様
エ 材質感
オ 要素の統一
(2) ファッションデザインの発想と表現法
ア デザインの発想
イ ファッションデザイン画
ウ 各種材料による表現
エ ファッションデザイン実習
(3) ファッションデザインと流行
ア 流行とブランド
イ 個性とデザイン
(4) ファッション産業
ア ファッション産業の仕組み
イ 消費者ニーズとファッション産業
ウ 商品企画
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)については,生徒の実態や学科の特色に応じて選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)についてはファッションデザインの造形要素の基礎的な事項をファッションイメージと関連付けて扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,基本プロポーションなど基礎的な表現手法から,素材表現などの発展的な表現手法へと段階的に扱うこと。ウについては,布などの材料を使ったピンワークやディスプレイなどを扱うこと。
ウ 内容の(4)のウについては,ファッションに関する情報収集から商品の企画及び販売までの活動を段階的に扱うこと。
第13 服飾手芸
1 目標  手芸の種類,特徴及び変遷,各種手芸の技法などに関する知識と技術を習得させ,手芸品を創造的に製作し,服飾に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 手芸の種類と特徴
(2) 手芸の変遷
(3) 服飾材料としての各種手芸の技法
(4) 手芸品の製作
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)については,安全に十分留意して用具や器具,薬品,染料などを取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,地域の伝統文化などとも関連付けて扱うこと。
イ 内容の(2)については,刺しゅう,編物,染色,織物及びその他の手芸の起源から現在に至るまでの変遷を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,刺しゅう,編物,染色,織物及びその他の手芸の中から選択して,基礎的な技法について扱うこと。
エ 内容の(4)については,服飾への活用を想定した手芸品の製作について扱うこと。
第14 フードデザイン
1 目標  栄養,食品,献立,調理,テーブルコーディネートなどに関する知識と技術を習得させ,食生活を総合的にデザインするとともに食育の推進に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 健康と食生活
ア 食を取り巻く現状
イ 食事の意義と役割
(2) フードデザインの構成要素
ア 栄養
イ 食品
ウ 料理様式と献立
エ 調理
オ テーブルコーディネート
(3) フードデザイン実習
ア 食事テーマの設定と献立作成
イ 食品の選択と調理
ウ テーブルコーディネートとサービスの実習
(4) 食育と食育推進活動
ア 食育の意義
イ 家庭や地域における食育推進活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)のイについては,地域の関係機関等との連携を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,健康,栄養状態,食料事情,食の安全及び環境とのかかわりなどを扱うこと。イについては,食事の意義とおいしさ及び望ましい食習慣の形成並びに地域の食文化などを関連付けて扱うこと。
イ 内容の(2)のオ及び(3)のウについては,日本料理,西洋料理と中国料理のテーブルセッティングやサービスの基本的な考え方及び方法を扱うとともに,食事のテーマにふさわしいテーブルコーディネートやサービスの基本的な考え方及び方法を扱うこと。
ウ 内容の(4)のアについては,食育を推進することの重要性について扱うこと。イについては,学校家庭クラブ活動などを通して食育を推進する活動を行うこと。
第15 食文化
1 目標  食文化の成り立ち,日本と世界の食文化などに関する知識と技術を習得させ,食文化の伝承と創造に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食文化の成り立ち
(2) 日本の食文化
ア 食生活の変遷
イ 日常食,行事食,郷土料理
ウ 料理様式の発展
(3) 世界の食文化
ア 世界の料理の特徴と文化
イ 食生活の国際化
(4) 食文化の伝承と創造
(5) 調理師の業務と社会的役割
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)については,内容の(2)のイ及び(3)のアと関連付け,実習を中心として扱うこと。
イ 内容の(5)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,食文化の形成要因について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,日本の食生活の変遷について各時代ごとの特徴を概観させ,食生活の文化的な側面に着目させること。イについては,日常の食事と地域に伝わる行事食や郷土料理を取り上げ,食のもつ文化的,歴史的な側面について扱うこと。ウについては,伝統的な料理様式を取り上げ,その...
ウ 内容の(3)のアについては,世界の主な食文化圏とその料理の特徴の概要について扱うこと。
エ 内容の(4)については,食文化の伝承の重要性や新しい食文化を創造することの意義について扱うこと。
オ 内容の(5)については,食育の推進に果たす調理師の役割についても扱うこと。
第16 調 理
1 目標  様式別調理,大量調理などに関する知識と技術を習得させ,健康の維持・増進に寄与する食生活の充実向上を図るとともに,創造的に調理する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 調理の基礎
ア 調理の目的
イ 食品の性質
ウ 調理の種類と基本操作
(2) 調理用施設・設備,熱源及び調理機器
(3) 献立作成
ア 献立作成の意義
イ 栄養計算
(4) 様式別の献立と調理
ア 日本料理
イ 西洋料理
ウ 中国料理
エ その他の料理
(5) 目的別・対象別の献立と調理
ア 日常食
イ 行事食・供応食
ウ 病気時の食事
エ 幼児と高齢者の食事
(6) 大量調理
ア 大量調理の種類と特徴
イ 大量調理の組織と管理
ウ 献立作成と調理
(7) 食事環境とサービス
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(6)までについては,調理理論と関連付けて,実験・実習を中心として扱うこと。
イ 内容の(7)については,内容の(2)から(6)までとの関連を図って,サービス実習をさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,代表的な食品の調理上の性質について扱うこと。ウについては,加熱操作,非加熱操作及び調味の方法と特徴について扱うこと。
イ 内容の(2)については,家庭や特定給食施設などの厨《ちゅう》房設備と調理機器の安全で衛生的な取扱いに重点を置くこと。
ウ 内容の(3)については,献立作成の意義を理解させるとともに,性別,年齢,生活活動などに応じた適切な献立の作成について扱うこと。
エ 内容の(4)については,代表的な献立を取り上げ,様式別の食器,食卓構成,食卓作法なども扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,健康の維持・増進を考慮した日常食の献立と調理を扱うこと。イについては,代表的な行事を取り上げ,供応の目的に合った献立と調理を扱うこと。ウについては,流動食,軟食及び常食を扱うこと。エについては,幼児と高齢者の食事に関する留意事項を扱うこと。
カ 内容の(6)のアについては,各種給食を扱うこと。イについては,大量調理の組織と運営,食品の保管,調理作業管理,衛生管理などについて扱うこと。また,大量調理を担当する者の自覚と責任についても扱うこと。ウについては,学校や事業所などにおける給食の留意事項に重点を置いて扱うこと。
第17 栄 養
1 目標  栄養素の機能と代謝,各ライフステージにおける栄養,労働・スポーツと栄養などに関する知識を習得させ,健康の維持・増進を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 人体と栄養
ア 栄養と栄養素
イ 人体の構成成分と栄養素
ウ 食物の消化と吸収
(2) 栄養素の機能と代謝
ア 炭水化物
イ 脂質
ウ たんぱく質
エ 無機質
オ ビタミン
カ その他の成分
(3) 食事摂取基準と栄養状態の評価
ア エネルギー代謝
イ 食事摂取基準
ウ 栄養状態の評価
(4) ライフステージと栄養
(5) 生理と栄養
ア 労働,スポーツと栄養
イ 妊娠,授乳期の栄養
(6) 病態と栄養
ア 栄養障害と食事
イ 病態時の栄養
3 内容の取扱い
(1) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のウについては,食物の物理的消化,栄養素の化学的消化,吸収及び排泄《せつ》などの仕組みの概要について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,食物繊維の栄養的意義についても触れること。オについては,炭水化物,脂質及びたんぱく質の代謝と関連させて扱うこと。カについては,アからオ以外の生体調節機能成分について扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,エネルギー代謝の基礎的な内容を扱うこと。イについては,食事摂取基準におけるエネルギーと代表的な栄養素を扱うこと。ウについては,個人及び集団の栄養状態の評価の意義と方法について扱うこと。
エ 内容の(4)については,乳幼児期,青少年期,成年期及び高齢期を取り上げ,各期の栄養の特徴とそれを満たす食事構成の概要を扱うこと。
オ 内容の(5)のアについては,生活活動強度や活動時間の差による生理的特徴,栄養上の配慮事項及び食事構成の概要を扱うこと。イについては,妊娠,授乳期の生理的特徴,栄養上の配慮事項及び食事構成の概要を扱うこと。
カ 内容の(6)については,栄養の過不足による病気と食事療法及び病態に応じた栄養と食事構成の概要を扱うこと。
第18 食 品
1 目標  食品の分類とその特徴,食品の表示,食品の加工と貯蔵などに関する知識と技術を習得させ,食品を適切に選択,活用して食生活の充実向上を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食品の分類とその特徴
ア 食品の成分と分類
イ 植物性食品とその加工品
ウ 動物性食品とその加工品
エ 油脂
オ 調味料,甘味料,香辛料及び嗜《し》好品
(2) 食品の表示
ア 食品の表示制度
イ 各種食品の表示
(3) 食品の加工と貯蔵
ア 食品の加工
イ 食品の貯蔵
(4) 食品の生産と流通
ア 食品の流通と食料需給
イ 食品の流通機構
3 内容の取扱い
(1) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,食品の成分の特徴による分類方法である食品群と,「日本食品標準成分表」を扱うこと。イ及びウについては,代表的な食品を扱うこと。エについては,加工油脂を含めて代表的な食品を扱うこと。オについては,代表的な食品の使用目的とその役割,性質,利用法などを扱うこ...
イ 内容の(2)のアについては,食品の表示にかかわる基本的な法規や制度の目的と概要を扱うこと。イについては,加工食品などの表示を具体的に扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,物理的加工,化学的加工及び微生物や酵素による加工の目的,方法及び成分の変化を扱うこと。イについては,代表的な貯蔵の方法についてその原理と特徴の概要を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,多様化する食品の生産と食料需給の概要を扱うこと。イについては,代表的な食品の流通機構の概要や食品の安全な流通を図るための仕組みを扱うこと。
第19 食品衛生
1 目標  食生活の安全と食品衛生対策など食品衛生に関する知識と技術を習得させ,安全で衛生的な食生活に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 食生活の安全と食品安全行政
(2) 食中毒とその予防
ア 細菌性食中毒とその予防
イ ウィルス性食中毒とその予防
ウ 化学物質による食中毒とその予防
エ 自然毒による食中毒とその予防
(3) 食品の汚染,寄生虫
ア 有害物質による食品の汚染とその予防
イ 寄生虫病とその予防
(4) 食品の変質とその防止
ア 微生物による変質とその防止
イ 化学的作用による変質とその防止
(5) 食品添加物
ア 食品添加物の使用目的と用途
イ 食品添加物の使用基準と表示
(6) 食品衛生対策
ア 衛生管理の方法
イ 食品衛生関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(6)のアについては,食品の衛生管理の方法を具体的に理解させるよう実験・実習を通して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,食生活の安全を確保することの重要性やそのための食品安全行政の取組などについて扱うこと。
イ 内容の(2)については,具体的な事例を取り上げ,食中毒の特徴,症状,発生状況と汚染源,予防などを扱うこと。
ウ 内容の(4)については,食品の変質とその防止に関する基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については,食品添加物に関する法規と関連させて扱うこと。
オ 内容の(6)のアについては,食品の生産,加工,流通及び消費における衛生対策を扱うこと。イについては,食品衛生に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
第20 公衆衛生
1 目標  環境衛生,母子保健,学校保健など,集団の健康と公衆衛生に関する知識を習得させ,疾病の予防と健康づくりに寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 集団の健康と公衆衛生
ア 公衆衛生の意義
イ 保健衛生統計
(2) 公衆衛生関係法規
(3) 環境衛生
ア 現代の環境問題
イ 生活環境の保全
(4) 疾病の予防と健康管理
ア 生活習慣病と健康管理
イ 感染症の予防
ウ 精神保健
(5) 母子保健
ア 母性の保護と保健指導
イ 乳幼児の保健指導
(6) 学校保健
ア 学校保健管理
イ 健康教育
(7) 産業保健
ア 労働環境の整備
イ 労働者の健康管理
(8) 高齢者保健
ア 高齢者保健の現状
イ 健康管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)から(8)までについては,内容の(2)と関連付けて扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,人口動態統計,疾病統計及び国民健康・栄養調査などを取り上げ,集団の健康状態について扱うこと。
イ 内容の(2)については,公衆衛生に関する基本的な法規の目的と概要を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,現代の生活と自然環境とのかかわりについて具体的な事例を通して扱い,生活環境の保全のための方策を扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,生活習慣病の実態とその予防について具体的な事例を通して扱うこと。イについては,感染症の発生要因,予防対策,消毒法などの基礎的事項を扱うこと。ウについては,精神の健康を左右する要因と精神保健活動に関する基礎的事項を扱うこと。
オ 内容の(5)については,母性保健指導及び乳幼児保健指導について具体的な事例を扱うこと。
カ 内容の(6)については,学校における保健管理及び健康教育の意義と目的を扱うこと。
キ 内容の(7)については,職場の環境や作業条件と健康とのかかわりを扱うこと。
ク 内容の(8)については,高齢者の医療,福祉などと関連付けて扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 家庭に関する各学科においては,「生活産業基礎」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 家庭に関する学科においては,原則として家庭に関する科目に配当する 総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。また,実験・実習に当たっては,ホームプロジェクトを取り入れることもできること。
(3) 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第6節 看   護
第1款 目標  看護に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,看護の本質と社会的な意義を理解させるとともに,国民の健康の保持増進に寄与する能力と態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 基礎看護
1 目標  看護の意義と保健・医療・福祉における看護の役割を理解させ,日常生活の援助及び診療における看護に関する基礎的な知識と技術を習得させるとともに,看護を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 看護の意義と役割
ア 看護の対象の理解
イ 看護の意義
ウ 看護活動の分野
エ 看護職とその倫理
(2) 日常生活と看護
ア 日常生活の理解
イ 食生活の援助
ウ 排泄《せつ》の援助
エ 活動・運動の援助
オ 睡眠と休息の援助
カ 身体の清潔の援助
キ 衣生活の援助
ク 学習,生産的な活動,レクリエーションの援助
ケ 病床環境の調整
コ 安全と医療事故
(3) 診療と看護
ア フィジカルアセスメント
イ 診察・検査と看護
ウ 与薬
エ 罨《あん》法・保温
オ 褥《じょく》瘡の予防と手当て
カ 無菌法と院内感染の予防
キ 救急処置
ク 災害看護
(4) 看護活動の展開
ア 患者との人間関係
イ 疾病・障害の状態と看護
ウ 看護の展開
エ 看護活動の場における組織
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,望ましい看護観や職業観及び看護職としての倫理観を育成すること。
イ 内容の(2)及び(3)については,講義と実習の一体的な指導により,知識と技術が統合化されるようにすること。
ウ 内容の(4)のエについては,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,人間理解を基盤とする看護の基本的な概念及び保健・医療・福祉における看護の役割及び看護職としての使命と責任について扱うこと。
イ 内容の(2)については,患者の状態に応じた日常生活の援助をするための基礎的な知識と技術を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,診療における看護に関する基礎的な知識と技術を扱うこと。
エ 内容の(4)については,患者との適切な人間関係を形成するためのコミュニケーションの重要性とコミュニケーションの方法を扱うこと。また,看護の援助を計画的に実施し評価する看護活動の一連の過程及び看護活動の場における組織や看護体制を扱うこと。
第2 人体と看護
1 目標  看護を実践するために必要な人体に関する知識を習得させ,人体と生活及び環境との関係について理解させる。
2 内容
(1) 人体の構造と機能
ア 人体とその構成
イ 器官系の構成と働き
ウ 生体の恒常性とその維持
エ 人体の機能と生活行動
(2) 栄養
ア 栄養素と食品
イ 栄養と生命維持
ウ ライフステージと栄養
エ 病態と栄養
(3) 感染と免疫
ア 病原微生物の種類と特徴
イ 感染と人体の防御機構
ウ 滅菌と消毒
エ 病原微生物の検査
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,「疾病と看護」,「生活と看護」の内容構成を踏まえ,人間を身体的・精神的・社会的に統合された存在として理解を深めることができるように工夫すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,各器官系を構成する器官の構造と機能について,基本的な生活行動と関連させて扱うこと。なお,学科の特色に応じて,その概要を扱う程度とすることができること。
イ 内容の(2)については,生命維持のための栄養の生理,食習慣と健康及び食事療法の基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,主な病原微生物の種類と特徴及び免疫の仕組みの基礎的な内容を扱うこと。
第3 疾病と看護
1 目標  看護を実践するために必要な疾病,治療及び薬物に関する知識を習得させ,これらと疾病からの回復を促進させるための看護との関連について理解させる。
2 内容
(1) 疾病の成り立ちと回復の過程
ア 疾病の成り立ち
イ 回復の過程
ウ 疾病と検査
エ 系統別疾患
(2) 薬物と薬理
ア 薬物の作用
イ 薬物と生体の反応
ウ 薬物の管理
エ 薬物治療
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,「人体と看護」,「生活と看護」の内容構成を踏まえ,人間を身体的・精神的・社会的に統合された存在として理解を深めることができるように工夫すること。
イ 内容の(1)のエ及び(2)のエについては,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,病理及び主な疾患の病態生理について,疾病からの回復の過程を含めて扱うこと。
イ 内容の(2)については,薬理に関する基礎的な内容を扱うとともに,基本的な薬物について臨床での活用と関連させて扱うこと。
第4 生活と看護
1 目標  看護を実践するために必要な精神保健,生活者の健康及び社会保障制度に関する知識を習得させ,社会生活における医療と保健及び福祉との関係について理解させる。
2 内容
(1) 精神保健
ア 心の働きと発達
イ 心の健康
ウ ストレスとその対処
エ 精神保健活動
(2) 生活と健康
ア 生活環境と健康
イ 人々の生活と健康
ウ ヘルスプロモーションと公衆衛生
(3) 社会保障制度と福祉
ア 社会保障と社会福祉
イ 保健医療福祉制度
ウ 保健医療福祉関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,「人体と看護」,「疾病と看護」の内容構成を踏まえ,人間を身体的・精神的・社会的に統合された存在として理解を深めることができるように工夫すること。
イ 内容の(2)のウについては,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,性の発達と心の健康との関連も扱うこと。
イ 内容の(2)については,生活環境や生活行動と健康との関連及びヘルスプロモーションや公衆衛生の基本的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,社会保障及び社会福祉の理念と基本的な制度を扱うこと。ウについては,看護及び看護活動と関連の深い保健医療福祉等に関する法規の概要を扱うこと。
第5 成人看護
1 目標  成人の心身,生活,保健及び疾病について理解させ,成人の看護に関する知識と技術を習得させるとともに,その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 成人の生活・健康の特徴と看護
ア 生活と健康の特徴
イ 健康問題の特徴
ウ 成人期の疾患の特徴
エ 成人看護の特徴
(2) 機能障害と看護
ア 循環機能障害と看護
イ 呼吸機能障害と看護
ウ 栄養摂取・代謝障害と看護
エ 内部環境調節障害と看護
オ 生体防御機能障害と看護
カ 感覚機能障害と看護
キ 認知機能・コミュニケーション障害と看護
ク 運動機能障害と看護
ケ 排泄《せつ》機能障害と看護
コ 性機能障害と看護
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,必要に応じて実習を行い,成人の特質に応じた基本的な看護の方法を習得させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,成人の成長発達に伴う身体的変化と精神的・社会的発達,生活の特徴,健康問題などとそれに関連する成人の看護の特徴について扱うこと。
イ 内容の(2)については,身体の様々な機能障害とそれがもたらす日常生活の制限と治療にかかわる看護の知識と技術について基礎的な内容を扱うこと。なお,学科の特色に応じて,その概要を扱う程度とすることができること。
第6 老年看護
1 目標  高齢者の加齢,生活,保健及び疾病について理解させ,高齢者の看護に関する知識と技術を習得させるとともに,その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 老年期の生活と健康
ア 老年期の理解
イ 身体的・精神的・社会的機能の変化
ウ 日常生活の特徴
エ 健康状態の多様性とその課題
(2) 高齢者の保健医療福祉の動向
ア 高齢者を取り巻く社会
イ 高齢者の保健医療福祉施策の概要
(3) 高齢者の日常生活の障害と看護
ア 生活に視点を置いた看護
イ 高齢者のフィジカルアセスメント
(4) 高齢者の代表的な障害と看護
ア 視覚・聴覚障害と看護
イ コミュニケーション障害と看護
ウ 排泄《せつ》障害と看護
エ 日常生活動作の障害と看護
オ 認知症・精神障害と看護
カ 骨粗鬆《しょう》症と看護
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(4)までについては,必要に応じて実習を行い,高齢者の特性に応じた基本的な看護の方法を習得させること。
イ 内容の(4)については,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,高齢者を身体的,精神的,社会的側面など多様な視点から理解し,人間としての尊厳を保ち,自立した生活が送れるよう支援することの重要性について扱うこと。
イ 内容の(2)については,高齢者を支える基本的な社会保障制度や福祉制度について扱うこと。また,社会構造の変化や高齢化の進展に伴う高齢者の保健医療福祉の問題について扱うこと。
ウ 内容の(3)及び(4)については,老化と疾病の程度に応じた老年看護の必要性とその方法の基礎的な内容について扱うこと。
第7 精神看護
1 目標  精神看護の意義と役割及び精神に障害のある人の看護の実際を理解させ,精神看護に関する知識と技術を習得させるとともに,その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 精神の健康と看護
ア 精神の構造と機能
イ 精神看護の基本概念
(2) 精神医療の歴史と精神保健福祉
ア 精神医療看護の変遷
イ 地域における精神保健医療福祉と看護
ウ 地域における生活支援
(3) 精神疾患と看護
ア 主な症状と看護
イ 検査及び治療と看護
ウ 主な精神疾患と看護
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,精神の健康の保持増進及び精神障害時の看護を統合的に学習できるようにすること。
イ 内容の(3)については,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,精神の健康に関する基礎的な内容について扱うこと。また,精神看護の基礎的な知識や人間関係の成立過程,リエゾン精神看護などについて扱うこと。
イ 内容の(2)については,精神医療看護の歴史を通して精神に障害のある人の人権や精神保健医療における看護の役割,倫理的配慮について扱うこと。また,地域で生活していくための支援システムや必要な援助についても扱うこと。
ウ 内容の(3)については,精神症状を有する人に対する看護に関する知識と技術について基礎的な内容を扱うこと。
第8 在宅看護
1 目標  在宅看護の意義と役割及び看護の実際を理解させ,在宅での看護に関する知識と技術を習得させるとともに,その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 在宅看護の意義と役割
ア 在宅看護の必要性と対象
イ 在宅看護の場
ウ 訪問看護活動の形態
(2) 在宅療養者と家族への支援
ア 訪問看護の準備
イ 在宅における日常生活
ウ 訪問看護の実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,看護に関する各科目において習得した内容をもとに学習できるようにすること。また,在宅療養者とその家族に対するクオリティー・オブ・ライフを重視した在宅看護の特徴が学習できるようにすること。
イ 内容の(2)については,講義と実習の一体的な指導により,知識と技術が統合化されるようにすること。
ウ 内容の(2)については,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のウについては,在宅看護活動,組織的支援活動及びそれに携わる他職種と協働する中での看護の役割も扱うこと。
イ 内容の(2)については,在宅療養者の日常生活への援助とその家族の生活の状態に応じた援助をするための知識と技術に関する基礎的な内容及び診療の補助業務について扱うこと。ウについては,在宅看護における終末期の支援技術についても扱うこと。
第9 母性看護
1 目標  母性の特質,生活,保健及び疾病について理解させ,母性の看護に関する知識と技術を習得させるとともに,その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 母性の健康と看護
ア 母性看護の意義
イ 母子の保健と福祉
ウ 人間の性と生殖
(2) 母性の看護
ア 女性のライフステージ各期の特徴と看護
イ 周産期における看護
ウ 周産期の異常と看護
(3) 新生児の看護
ア 新生児の生理と看護
イ 新生児期の異常と看護
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2),(3)については,必要に応じて実習を行い,母性看護の対象及び新生児の特質に応じた基本的な看護の方法を習得させること。
イ 内容の(2)のウ,(3)のイについては,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,母性看護の対象となる人の健康と母性看護の基本的な概念について扱うこと。イについては,母子保健の現状と母子の保健・福祉に関する基本的な法規や制度の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については,母性の健康及び妊婦,産婦,褥《じょく》婦に対する看護に関する知識と技術について基礎的な内容を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,新生児に対する看護に関する知識と技術について基礎的な内容を扱うこと。
第10 小児看護
1 目標  小児の特質,生活,保健及び疾病について理解させ,小児の看護に関する知識と技術を習得させるとともに,その看護を行うために必要な基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 小児の健康と看護
ア 小児看護の意義
イ 小児の保健と福祉
(2) 小児の成長・発達と看護
ア 小児の成長・発達
イ 小児の日常生活と看護
(3) 健康問題のある小児と看護
ア 健康問題のある小児と家族の看護
イ 主な症状と看護
ウ 急性期にある小児の看護
エ 慢性期にある小児の看護
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については,必要に応じて実習を行い,小児の特質に応じた基本的な看護の方法を習得させること。
イ 内容の(3)については,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,小児の健康と小児看護の基本的な概念について扱うこと。イについては,小児保健の現状と小児の保健・福祉に関する基本的な法規や制度の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については,小児期の成長・発達に関する基礎的な内容と小児の日常生活,家族の子どもに対するかかわり方や生活指導,育児における家族の役割などについて看護と関連付けて扱うこと。
ウ 内容の(3)については,健康問題のある小児とその家族に対する看護に関する知識と技術について基礎的な内容を扱うこと。
第11 看護の統合と実践
1 目標  看護に関する各科目において習得した内容を臨床で活用できるよう,知識と技術の統合を図るとともに,看護の専門職として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 看護活動と組織
ア 保健医療福祉に携わる人々
イ 関係職種との連携
ウ 医療施設における看護組織
エ 国際協力
(2) 医療安全
ア 医療事故発生のメカニズム
イ 医療事故防止の考え方
ウ 医療安全への取組み
エ 医療従事者の法的責任
(3) 災害看護
ア 災害看護の意義
イ 災害各期の対応と看護
ウ 災害看護における心のケア
(4) 統合実践
ア 看護計画の立案と評価
イ 実践への展開
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,臨床実践に近い状況を想定した実習を取り入れること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,チーム医療及び他職種との協働の中で看護師としてのメンバーシップ及びリーダーシップについて扱うこと。また,看護のマネジメントと国際社会における諸外国との協力の重要性について扱うこと。
イ 内容の(2)については,医療の安全確保に必要な基礎的な知識を扱うこと。また,具体的な事例を通して,安全の確保に関する看護師の役割,責任及び倫理について扱うこと。
ウ 内容の(3)については,災害直後から支援できる看護の基礎的な知識や心的外傷後ストレス障害などの心のケアについて扱うこと。
エ 内容の(4)については,看護援助を必要とする患者の設定を臨床に即して行い,その看護過程の展開と実践を行うこと。
第12 看護臨地実習
1 目標  看護に関する各科目において習得した知識と技術を臨床の場で活用し実践する経験を通して,看護観をはぐくみ,問題解決の能力を養うとともに,チーム医療に携わる様々な職種の役割及び保健医療福祉との連携・協働について理解し,臨床看護を行うために必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 基礎看護臨地実習
ア 医療施設の機能と看護の役割
イ 患者の理解
ウ 看護におけるコミュニケーション
エ 日常生活の援助
オ 看護の展開
(2) 領域別看護臨地実習
ア 成人看護臨地実習
イ 老年看護臨地実習
ウ 小児看護臨地実習
エ 母性看護臨地実習
オ 精神看護臨地実習
(3) 統合実践看護臨地実習
ア 在宅看護臨地実習
イ 看護の統合と実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,生徒が主体的に設定した看護に関する課題について,問題解決的な学習をさせるようにすること。
イ 指導に当たっては,臨床の場における学習の効果を高めるために,事前及び事後の指導を適切に行うこと。また,医療事故などの防止及び個人情報保護に関する指導を徹底し,安全と衛生に十分留意すること。
ウ 内容の(1)のオ,(2)及び(3)については,学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,看護実践の基礎として必要な医療施設等の機能と看護の役割,患者の総合的な把握及び看護におけるコミュニケーションの重要性,患者の状態に応じた日常生活の援助の方法を扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,慢性期や急性期,回復期にある患者の看護の体験を通して看護の理論と実践を結び付け,成人に対する看護の特質と個別性について扱うこと。イについては,老年期の患者の看護の体験を通して看護の理論と実践を結び付け,老年期の特色と看護の特質について扱うこと。ウにつ...
ウ 内容の(3)については,看護に関する知識と技術を統合させるよう,チーム医療に携わる他職種や保健医療福祉との連携・協働などを含め,臨床実践の中で必要な基礎的な知識と技術を扱うこと。アについては,在宅における訪問看護や地域における医療看護活動などの実習を行うこと。イについては,臨床...
第13 看護情報活用
1 目標  社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに,情報の活用に関する知識と技術を習得させ,看護の分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報機器と情報の活用
ア 生活と情報の活用
イ 情報機器の活用分野
ウ 情報通信ネットワーク
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報の価値とモラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 看護と情報機器の活用
ア 看護における情報機器活用の目的と意義
イ 個人情報の管理
ウ 保健医療福祉の現場における看護情報システム
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,看護に関する題材やデータなどを用いた実習を通して,看護の分野において情報を主体的に活用できるようにすること。また,他の看護に関する各科目と関連付けて指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,情報化の進展が生活や社会に及ぼす影響,情報の意義や役割及び情報機器の活用分野の概要を扱うとともに,情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理,分析及び発信について体験的に扱うこと。
イ 内容の(2)については,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラル及び情報通信ネットワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)については,保健医療福祉サービス現場における情報の意義や役割及びコンピュータや医療用電子機器の活用の概要について扱うこと。アについては,医療用電子機器など測定機器の使用について扱うこと。イについては,保健医療福祉の現場における個人情報の管理の実際と重要性について扱う...
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 看護に関する各学科においては,「基礎看護」及び「看護臨地実習」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 看護に関する各学科においては,原則として看護に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(3) 地域や医療機関,産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第7節 情   報
第1款 目標  情報の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における情報の意義や役割を理解させるとともに,情報社会の諸課題を主体的,合理的に,かつ倫理観をもって解決し,情報産業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 情報産業と社会
1 目標  情報産業と社会とのかかわりについての基礎的な知識と技術を習得させ,情報産業への興味・関心を高めるとともに,情報に関する広い視野を養い,情報産業の発展に寄与する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報化と社会
ア 社会の情報化
イ 情報化の進展と情報産業の役割
(2) 情報産業と情報技術
ア 情報産業を支える情報技術
イ 情報産業における情報技術の活用
(3) 情報産業と情報モラル
ア 情報技術者の業務と責任
イ 情報モラルと情報セキュリティ
ウ 情報産業と法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,産業現場の見学や情報産業における具体的な事例を通して,情報産業の業務内容やそこで働くことの意義について理解させること。また,情報技術者が社会において果たしている役割について理解させること。
イ 指導に当たっては,社会の情報化の進展が生活に及ぼす影響について具体的な事例を通して理解させるとともに,情報産業が社会の情報化に果たす役割の重要性について考えさせること。また,情報産業における情報モラルについて討議するなど生徒が主体的に考える活動を取り入れること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,情報伝達手段の変遷についても扱うこと。イについては,これからの学習を進めるための指針を与えるために,情報産業の業務内容やそこで働く情報技術者の役割について扱うこと。
イ 内容の(2)については,学校や生徒の実態に応じて,適切な情報技術を選択し,実習を中心にして扱うこと。アについては,基本的なハードウェア,ソフトウェア及び情報通信ネットワークに関する基礎的な知識と技術について扱うこと。イについては,情報産業の業務内容と関連付けながら情報の収集,処...
ウ 内容の(3)のアについては,技術や情報の守秘義務や法令遵守などの情報技術者としての使命と責任について扱うこと。イについては,情報セキュリティの管理を適切に行うために必要な基礎的な知識と技術について扱うとともに,情報セキュリティ対策の重要性について扱うこと。ウについては,情報産業...
第2 課題研究
1 目標  情報に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 調査,研究,実験
(2) 作品の制作
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
第3 情報の表現と管理
1 目標  情報の表現と管理に関する基礎的な知識と技術を習得させ,情報を目的に応じて適切に表現するとともに,管理し活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報の表現
ア 情報と表現の基礎
イ 情報の表現技法
ウ 情報の発信
(2) 情報の管理
ア ドキュメンテーション
イ 情報の管理
ウ コンピュータによる情報の管理と活用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,情報の表現と管理にコンピュータを積極的に活用しようとする主体的な態度を身に付けさせること。また,具体的な事例を通して,情報を扱う上での個人の責任について理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,文字,図形,音などのコミュニケーションを行う際のメディアを取り上げ,それぞれの特性と役割について扱うこと。イについては,アプリケーションソフトウェアを活用した基本的な情報の表現技法について扱うこと。また,レイアウトや配色などの視覚表現に関するデザイン...
イ 内容の(2)のアについては,情報の記録,管理や伝達のために文書化することの重要性及び実践的な文書の作成方法について扱うこと。イについては,情報を目的に応じて分類し,整理し,及び保存するために必要な基礎的な知識と技術を扱うこと。また,情報セキュリティに配慮した情報の管理手法につい...
第4 情報と問題解決
1 目標  情報と情報手段を活用した問題の発見と解決に関する基礎的な知識と技術を習得させ,適切に問題解決を行うことができる能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 問題解決の概要
ア 問題の発見から解決までの流れ
イ 問題解決の実際
(2) 問題の発見と解決
ア データの収集
イ データの整理
ウ データの分析
エ 最適化
(3) 問題解決の過程と結果の評価
ア 評価の方法
イ 評価の実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,情報及びコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用した問題の発見から解決までの過程において必要とされる知識と技術について理解させること。また,適切な解決方法を用いることの重要性について考えさせるとともに,問題解決の手法を適切に選択する...
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,問題の発見から解決までの一連の作業内容を取り上げ,目的に応じた作業や分析方法の選択・実施などを行うために必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。イについては,問題解決の手法や考え方が情報産業でどのように活用されているかを理解させるために,情報産業に...
イ 内容の(2)のアについては,データの収集方法として質問紙調査法や面接法などについて扱うこと。イについては,データの特性に応じてデータを整理し,及び保存する方法について扱うこと。ウについては,問題を発見するために行うデータ分析に必要な記述統計,確率,分布などについて扱うこと。エに...
ウ 内容の(3)のアについては,問題の発見から解決までの過程及び結果の評価に必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。イについては,問題解決の過程と結果の評価が情報産業で実際にどのように行われているかを理解させるために,情報産業で実際に行われている問題解決の過程と結果の評価にかかわ...
第5 情報テクノロジー
1 目標  情報産業を支える情報テクノロジーの基礎的な知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ハードウェア
ア コンピュータの構造と内部処理
イ 周辺機器とインタフェース
(2) ソフトウェア
ア オペレーティングシステムの仕組み
イ 応用ソフトウェアの仕組み
ウ 情報コンテンツに関する技術
(3) 情報システム
ア 情報システムの形態
イ ネットワーク
ウ データベース
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,学校や生徒の実態に応じて,適切な情報技術を選択し,実習を中心にして扱うこと。
イ 指導に当たっては,具体的な事例を通して,情報技術の歴史的な変遷及び国際標準や業界標準となっている技術について扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,家庭電化製品などへの組込みについても触れること。
イ 内容の(2)のアについては,オペレーティングシステムの役割や重要性及びファイルシステムなどの構造や機能について扱うこと。イについては,応用ソフトウェア,開発環境及びユーザインタフェースを取り上げ,それぞれの特徴について扱うこと。ウについては,静止画,動画,音などを取り上げ,ファ...
ウ 内容の(3)のアについては,社会で実際に活用されている情報システムを取り上げ,その形態にとどまらず,仕組みの全体像について扱うこと。イについては,ネットワークの種類及び概要並びにプロトコルなどのネットワークで使われている基礎的な技術について扱うこと。ウについては,データベースの...
第6 アルゴリズムとプログラム
1 目標  アルゴリズムとプログラミング及びデータ構造に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) アルゴリズムの基礎
ア アルゴリズムの基本要素
イ 処理手順の図式化
(2) プログラミングの基礎
ア プログラムの構成
イ 基本的な命令文
ウ プログラミング
(3) 数値計算の基礎
ア 基本的な数値計算
イ 実践的な数値計算
(4) データの型と構造
ア データの基本的な型と構造
イ データ構造とアルゴリズム
(5) アルゴリズム応用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,アルゴリズムに関する知識と表現技法を習得させるとともに,問題の内容に応じてアルゴリズムを適切に選択し,改善していくことの重要性について理解させること。
イ 指導に当たっては,学校や生徒の実態に応じて,適切なプログラム言語などを選択すること。
ウ 内容の(2)については,プログラム言語の規則の習得に偏ることのないように論理的な思考に関する学習を重視すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,アルゴリズムを表現するための順次,選択及び繰り返しの基本的な構造について扱うこと。イについては,流れ図や構造化チャートなどを取り上げ,アルゴリズムの図式化に必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,指導するプログラム言語の特徴や記述法などについて扱うこと。イについては,指導するプログラム言語の基本的な命令文について扱うこと。ウについては,効果的なプログラム開発の技法について扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,分散や標準偏差を取り上げ,基礎的な数値計算のアルゴリズムとプログラムについて扱うこと。イについては,コンピュータを利用した数値計算において計算結果に誤差が生じることやアルゴリズムを工夫して誤差を減らす方法について扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,データの型として数値型,文字型及び論理型並びにデータの構造としてレコード及び配列について扱うこと。イについては,具体的な事例を通して,データ構造の選択と効率的なアルゴリズムについて扱うこと。
オ 内容の(5)については,整列や探索などを取り上げ,効率的なアルゴリズムとプログラムの開発技法について扱うこと。
第7 ネットワークシステム
1 目標  情報通信ネットワークシステムに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ネットワークの基礎
ア データ通信の仕組みと働き
イ プロトコル
ウ 関連技術
(2) ネットワークの設計と構築
ア ネットワークの分析 
イ ネットワークの設計
ウ ネットワークの構築
(3) ネットワークの運用と保守
ア ネットワークの運用管理
イ ネットワークの保守
ウ ネットワークの障害管理
(4) ネットワークの安全対策
ア 情報セキュリティポリシー
イ 不正行為とその対策
ウ ネットワーク利用者の啓発
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,ネットワークシステムの全体像について情報通信ネットワークシステムの設計と運用・保守の視点から理解させるとともに,通信回線と関連機器のハードウェアの概要について理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,データ通信の基本構成,伝送方式,接続方式などについて扱うこと。イについては,プロトコルの基本的な仕組みと機能について扱うこと。ウについては,ネットワーク機器やネットワークの構造などについて扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,ネットワークシステムの要求分析及びそのための必要条件について扱うこと。イについては,具体的な事例を通して,ネットワークシステムの設計の基礎的な内容について扱うこと。ウについては,効率的なネットワークの構築技法について扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,ネットワークの構成管理,運転管理及びセキュリティ管理を取り上げ,ネットワークの運用管理の具体的な手法と重要性について扱うこと。イについては,ネットワークの定期保守,事後保守などを取り上げ,ネットワークの保守の具体的な手法と重要性について扱うこと。ウに...
エ 内容の(4)のアについては,具体的な事例を通して,人為的過失や自然災害などに対する安全対策に関する基本方針の役割や重要性について扱うこと。イについては,データの破壊,不正アクセスなどを取り上げ,防止策や管理方法について扱うこと。ウについては,情報セキュリティについてのネットワー...
第8 データベース
1 目標  データベースに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) データベースシステムの概要
ア データベースの概要
イ データベースシステムの活用
(2) データベースの設計とデータ操作
ア データモデル
イ データの分析とモデル化
ウ 正規化
エ データ操作
(3) データベースの操作言語
ア データベースの定義
イ データベースの操作
(4) データベース管理システム
ア データベース管理システムの働き
イ データベースの運用と保守
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,データベースシステムの全体像について,データベースシステムの設計,操作,運用及び保守の視点から理解させること。
イ 指導に当たっては,学校や生徒の実態に応じて,適切なデータベース管理システムを選択すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,データベースの機能,仕組み,設計及び操作の概要について扱うこと。イについては,在庫管理システムや文書管理システムなどを取り上げ,データベースの有用性とデータベースシステムの具体的な活用状況について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,階層モデルやリレーショナルモデルなどを取り上げ,データモデルの種類や特徴について扱うこと。ウについては,第一正規化から第三正規化までを取り上げ,正規化の内容や必要性について扱うこと。エについては,選択,射影,結合などを取り上げ,データ操作の基本的な概...
ウ 内容の(3)のアについては,データベースの意義と目的について扱うこと。イについては,問い合せ,結合,副問合せ,更新及び削除を取り上げ,データベースの基本的な操作について扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,データベース定義機能,データベース制御機能などデータベース管理システムが提供する機能を取り上げ,それぞれの働きと役割について扱うこと。イについては,データベースシステムの運用管理,障害管理,セキュリティ管理などを取り上げ,データベースの運用と保守に必...
第9 情報システム実習
1 目標  情報システムの開発に関する知識と技術を実際の作業を通して習得させ,総合的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報システムの開発の概要
ア 情報システムの開発の基礎
イ 情報システム化の技法
(2) 情報システムの設計
ア 要求定義
イ 外部設計
ウ 内部設計
エ プログラム設計とプログラミング
オ テストとレビュー
(3) 情報システムの運用と保守
(4) 情報システムの開発と評価
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,著作権などの取扱いにも留意し,実習を通して,情報システムを開発するための一連の作業を理解させること。
イ 指導に当たっては,学校や生徒の実態及び開発する情報システムに応じて,適切なプログラム言語を選択すること。
ウ 内容の(2)については,構造化設計とオブジェクト指向設計の考え方について理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,ウォーターフォールやプロトタイピングなどを取り上げ,情報システムの開発の工程内容や特徴及びライフサイクルについて扱うこと。イについては,情報システムの対象となる業務と工程のモデルの作成,システム構成や機能の分析及び設計に利用される代表的な技法について...
イ 内容の(2)のアについては,要求定義書を,イについては外部設計書を,ウについては内部設計書を取り上げ,それぞれの作成に関する一連の作業と意義や目的について扱うこと。エについては,構造化設計やオブジェクト指向設計を取り上げ,プログラム設計からプログラミングまでの工程について扱うこ...
ウ 内容の(4)については,情報システムの開発の過程や結果の評価の意義や目的及び重要性について扱うこと。
第10 情報メディア
1 目標  情報メディアに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) メディアの基礎
ア メディアの定義と機能
イ メディアの種類と特性
(2) 情報メディアの特性と活用
ア 情報メディアの種類と特性
イ 情報メディアの活用
(3) 情報メディアと社会
ア 情報メディアが社会に及ぼす影響
イ 情報メディアと情報産業
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,情報伝達やコミュニケーションの目的に応じて情報メディアを適切に選択し,効果的に活用するための知識と技術を身に付けさせるとともに,情報メディアの社会や情報産業における役割や影響について,著作権などの知的財産の取扱いにも留意して理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,メディアが社会や情報産業に果たしている役割について扱うこと。イについては,情報メディア,表現メディア及び通信メディアを取り上げ,それぞれのメディアの特徴や働きについて扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,新聞,テレビ,電話などを取り上げ,それぞれの情報メディアの特徴や働きについて扱うこと。イについては,情報の収集,分析,発信などにおいて情報メディアを効果的に活用するために必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,情報メディアの変遷と今後の展望についても扱うこと。
第11 情報デザイン
1 目標  情報デザインに関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報デザインの基礎
ア 情報デザインの意義
イ 情報デザインの条件
(2) 情報デザインの要素と構成
ア 情報デザインの要素
イ 表現と心理
ウ 意味の演出
エ 要素の構成
(3) 情報デザインと情報社会
ア 情報デザインの実際
イ 人と情報デザイン
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,情報デザインに関する知識と技術を習得させること。また,手作業による情報デザインの作業を取り入れるなどして,総合的な表現力と造形力を身に付けさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,適切な情報伝達やコミュニケーションの要件及び手法を取り上げ,情報デザインの目的や役割及び重要性について扱うこと。イについては,分かりやすい情報伝達やコミュニケーションを行うために必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,形態,色彩,光などを取り上げ,それぞれの特徴や働きについて扱うこと。イについては,情報デザインの意図を適切に表現するための心理学的な知識と技術について扱うこと。ウについては,情報デザインを通して作者が伝えようとしている考えや意味について扱うこと。エに...
ウ 内容の(3)のアについては,作者の意図を効果的に伝達するために,社会や情報産業における情報デザインの具体的な活用状況について扱うこと。イについては,コンピュータや情報通信ネットワークの様々な機能を簡単に操作できるようにする工夫,高齢者や障害者による利用を容易にする工夫などを取り...
第12 表現メディアの編集と表現
1 目標  コンピュータによる表現メディアの編集と表現に関する知識と技術を習得させ,実際に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 表現メディアの種類と特性
ア 文字
イ 図形
ウ 静止画
エ 音
オ 動画
(2) コンピュータグラフィックスの制作
ア コンピュータグラフィックスの編集
イ コンピュータグラフィックスによる表現
(3) 音・音楽の編集と表現
ア 音・音楽の編集
イ 音・音楽による表現
(4) 映像の編集と表現
ア 映像の編集
イ 映像による表現
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,学校や生徒の実態に応じて,適切なアプリケーションソフトウェアを選択し,実習を通して,コンピュータによる表現メディアの処理にかかわる技法を著作権などの知的財産の取扱いにも留意して習得させること。
イ 内容の(2)から(4)までについては,学校や生徒の実態に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,具体的な事例を通して,それぞれの表現メディアの特性やディジタル化に関する基本的な原理について扱うこと。オについては,アニメーションについても扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,写真やイラストレーションなどを取り上げ,それぞれの特性やコンピュータによる編集に必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。イについては,立体図形の表現の視点から,モデルの種類と特徴,モデルの生成法などについて扱うこと。
ウ 内容の(3)及び(4)については,アプリケーションソフトウェアを利用した素材の取り込みや編集及び作品の作成に必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。
第13 情報コンテンツ実習
1 目標  情報コンテンツの開発に関する知識と技術を実際の作業を通して習得させ,総合的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報コンテンツ開発の概要
ア 情報コンテンツ開発の基礎
イ 開発工程と管理
(2) 要求分析と企画
ア 要求分析
イ 企画
(3) 情報コンテンツの設計と制作
ア 情報コンテンツの設計
イ 情報コンテンツの制作
(4) 運用と評価
ア 情報コンテンツの運用と保守
イ 情報コンテンツの評価と改善
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実習を通して,著作権などの知的財産の取扱いにも留意して,情報コンテンツを開発するための一連の作業を理解させること。
イ 指導に当たっては,学校や生徒の実態及び開発する情報コンテンツに応じて,適切な規格,技術及び技法を選択すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,情報コンテンツの開発にかかわる産業の現状を取り上げ,情報コンテンツの開発工程やその特徴について扱うこと。イについては,開発工程におけるコスト管理,進捗《ちょく》管理などを取り上げ,それぞれの意義や役割及び重要性について扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,面接法やブレインストーミングを取り上げ,利用者の要求や市場の動向などを調査・分析する手法について扱うこと。イについては,利用者の要求にこたえられる企画と提案を行うために必要な基礎的な知識と技術について扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,概要設計や詳細設計を取り上げ,仕様を確定するに当たって設計書の作成が重要であることについて扱うこと。イについては,学校や生徒の実態に応じた情報コンテンツの開発について扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,情報コンテンツの評価と改善の意義や目的及び重要性について扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 情報に関する各学科においては,「情報産業と社会」及び「課題研究」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 情報に関する各学科においては,原則として情報に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(3) 地域や産業界との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第8節 福   祉
第1款 目標  社会福祉に関する基礎的・基本的な知識と技術を総合的,体験的に習得させ,社会福祉の理念と意義を理解させるとともに,社会福祉に関する諸課題を主体的に解決し,社会福祉の増進に寄与する創造的な能力と実践的な態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 社会福祉基礎
1 目標  社会福祉に関する基礎的な知識を習得させ,現代社会における社会福祉の意義や役割を理解させるとともに,人間としての尊厳の認識を深め,社会福祉の向上を図る能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 社会福祉の理念と意義
ア 生活と福祉
イ 社会福祉の理念
ウ 人間の尊厳と自立
(2) 人間関係とコミュニケーション
ア 人間関係の形成
イ コミュニケーションの基礎
ウ 社会福祉援助活動の概要
(3) 社会福祉思想の流れと福祉社会への展望
ア 外国における社会福祉
イ 日本における社会福祉
ウ 地域福祉の進展
(4) 生活を支える社会保障制度
ア 社会保障制度の意義と役割
イ 生活支援のための公的扶助
ウ 児童家庭福祉と社会福祉サービス
エ 高齢者福祉と介護保険制度
オ 障害者福祉と障害者自立支援制度
カ 介護実践に関連する諸制度
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,対人援助に必要な社会福祉援助活動の概要を理解させること。
イ 内容の(3)については,欧米や日本において社会福祉思想が発展してきた過程を理解させること。また,地域福祉の考え方や進展,近年の外国の状況などを扱い,国際的な視点で社会福祉をとらえられるようにすること。
ウ 内容の(4)については,日常生活と社会保障制度との関連について考えさせるとともに,対人援助の視点から福祉に関する支援が行われる必要性を理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,家庭生活の機能や概要,人間の生活と社会とのかかわり及び少子高齢化の進行と介護の社会化との関連について扱うこと。イについては,社会福祉の在り方や理念を自立生活支援の視点からとらえさせ,国民生活との関連について具体的事例を通して扱うこと。ウについては,人...
イ 内容の(2)のアについては,対人援助に必要な人間の理解や人間関係を構築するための技法などについて扱うこと。イについては,対人関係形成のためのコミュニケーションの持つ意義や役割,コミュニケーションの基礎的な技法などを扱うこと。ウについては,社会福祉援助活動の持つ意義や役割など概要...
ウ 内容の(3)のアについては,英国やアメリカ合衆国における社会福祉思想の発展の概要を扱うとともに,スウェーデンやデンマークなどにおける社会福祉思想及びアジア地域の福祉の状況も扱うこと。イについては,日本における社会福祉思想の発展について具体的に扱うこと。ウについては,地域福祉の意...
エ 内容の(4)のアについては,日本の社会保障制度の意義や概要について,日本国憲法と関連付けて扱うこと。イについては,生活保護制度を中心に公的扶助を扱うこと。ウについては,少子化対策についても扱うこと。エについては,高齢者を支える社会福祉サービスについて,介護保険制度と関連付けて扱...
第2 介護福祉基礎
1 目標  介護を必要とする人の尊厳の保持や自立支援など介護の意義と役割を理解させ,介護を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 介護の意義と役割
ア 尊厳を支える介護
イ 自立に向けた介護
(2) 介護福祉の担い手
ア 介護従事者を取り巻く状況
イ 介護従事者の役割
ウ 介護従事者の倫理
エ 介護における連携
(3) 介護を必要とする人の理解と介護
ア 介護を必要とする人と生活環境
イ 高齢者の生活と介護
ウ 障害者の生活と介護
エ 介護福祉サービスの概要
(4) 介護における安全確保と危機管理
ア 介護における安全確保と事故対策
イ 感染対策
ウ 介護従事者の健康管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,介護従事者としての職業観を育成すること。また,サービス利用者のプライバシーや人権尊重の意義や重要性について理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,人間としての尊厳を保持するための介護の必要性を扱うこと。イについては,人間の自立について考えさせ,自立のために介護の果たす役割や意義について扱うこと。また,国際生活機能分類やリハビリテーションの考え方についても扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,介護を取り巻く社会的状況の変化と対応について扱うとともに,国民の求める介護従事者の在り方についても扱うこと。エについては,保健・医療・福祉と連携した介護の在り方について,その必要性や意義について扱うこと。また,介護に関する社会資源や介護と地域社会との...
ウ 内容の(3)のイについては,具体的な事例を通して,高齢者の生活に関する課題やニーズについて扱うこと。ウについては,具体的な事例を通して,障害児も含め障害者の生活の課題やニーズについて扱うこと。エについては,介護保険制度や障害者自立支援制度などにおける介護福祉サービスの具体的な内...
エ 内容の(4)のアについては,安全確保のための事故防止について扱うこと。イについては,介護現場における感染症の実態及び感染予防の必要性や意義を扱うこと。ウについては,介護福祉サービスの提供における介護従事者の健康維持の重要性とそのための具体的な方策について扱うこと。また,介護従事...
第3 コミュニケーション技術
1 目標  コミュニケーションに関する基礎的な知識と技術を習得させ,介護福祉援助活動で活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 介護におけるコミュニケーション
ア コミュニケーションの意義と役割
イ コミュニケーションの基本技術
(2) サービス利用者や家族とのコミュニケーション
ア サービス利用者に応じたコミュニケーション
イ サービス利用者や家族との関係づくり
(3) 介護におけるチームのコミュニケーション
ア 記録による情報共有化
イ チームによる連携
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については,介護を必要とする人を理解するための基本的なコミュニケーションの技法を習得させること。
イ 内容の(3)については,保健・医療・福祉など多職種協働におけるコミュニケーションの在り方を扱い,チームケアのためのコミュニケーションの重要性を理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,具体的なサービス利用者や介護場面を想定して扱うこと。イについては,関係づくりの実際,個別的な援助及び集団的な援助の概要について,具体的な事例を通して扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,感覚機能,運動機能及び認知・知覚機能の低下など,サービス利用者の状態や状況に応じたコミュニケーション技法について扱うこと。イについては,サービス利用者・家族との関係づくりや家族への支援の技法について,具体的な事例を通して扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,記録の意義や目的,記録の活用と留意点などについても扱うこと。
第4 生活支援技術
1 目標  自立を尊重した生活を支援するための介護の役割を理解させ,基礎的な介護の知識と技術を習得させるとともに,様々な介護場面において適切かつ安全に支援できる能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 生活支援の理解
ア 生活の理解
イ 生活支援の考え方
ウ 他の職種の役割と協働
(2) 自立に向けた生活支援技術
ア 基本となる介護技術
イ 居住環境の整備
ウ 身じたくの介護
エ 移動の介護
オ 食事の介護
カ 入浴・清潔保持の介護
キ 排泄《せつ》の介護
ク 家事の介護
ケ 睡眠の介護
コ レクリエーションと介護
(3) 終末期・緊急時の介護
ア 終末期の介護
イ 緊急時の介護
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,個人の尊厳とプライバシー,サービス利用者の心理などについて指導するとともに,事故や感染の危険性及び終末期や緊急時における適切な対応について理解させること。
イ 内容の(1)については,「社会福祉基礎」,「介護福祉基礎」で学んだ尊厳の保持や自立支援の考え方,多職種連携などの知識を活用できるようにすること。また,介護観や倫理観を育成し,自ら判断し適切かつ安全に介護できる能力を育てるようにすること。
ウ 内容の(2)及び(3)については,「こころとからだの理解」と関連付け,講義・演習・実習を一連の流れとして指導すること。その際,サービス利用者の理解を深めるとともに,介護実践の根拠となる介護に必要な人体の構造や機能を理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,サービス利用者の生活や個別性,尊厳を踏まえた生活の自立について扱うこと。イについては,国際生活機能分類の視点に基づいたサービス利用者に対するアセスメントの重要性及び主体的に生活できる支援の在り方について扱うこと。ウについては,介護に関するチームアプロ...
イ 内容の(2)については,サービス利用者の自立生活に向け,各種メディア教材の活用やグループ演習により,日常生活における具体的な介護場面を想定し,サービス利用者の心身の状態や状況に応じた介護について扱うこと。コについては,レクリエーションが自立生活支援に必要な援助であること及び高齢...
第5 介護過程
1 目標  人間としての尊厳の保持と自立生活支援の観点から介護過程の意義と役割を理解し,介護過程が展開できる能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 介護過程の意義と役割
(2) 介護過程の展開
ア 情報収集とアセスメント
イ 生活課題と目標設定
ウ 介護計画の立案
エ 介護計画の実施と評価
(3) 介護過程の実践的展開
(4) 介護過程とチームアプローチ
ア 介護過程とチームアプローチの意義
イ 介護過程とチームアプローチの実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,サービス利用者に応じた適切な介護の提供には介護過程が必要なこと及び介護過程の一連の流れについて理解させること。
イ 内容の(2)については,将来の自立に向けた生活課題の解決及び目標の設定,サービス利用者の希望を尊重した介護計画の立案など介護過程の要素を理解させ,介護従事者として必要な視点と能力を身に付けさせること。
ウ 内容の(3)については,介護過程の展開について内容の(2)と関連付けて扱い,具体的に理解を深めさせること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)から(4)までについては,介護過程の展開を国際生活機能分類の視点も含めて扱うこと。
イ 内容の(3)については,各種メディア教材を活用し,具体的な事例に基づき演習を行うこと。また,介護活動における記録についても扱うこと。
ウ 内容の(4)のアについては,チームの組み方や進め方を扱うこと。イについては,具体的な事例を通して,チームアプローチの展開の演習を行うこと。
第6 介護総合演習
1 目標  介護演習や事例研究などの学習を通して,専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,課題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 介護演習
(2) 事例研究
(3) 調査,研究
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望,地域の実態や学科の特色等に応じて,内容の(1)から(3)までの中から,個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(3)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 内容の(1)については,介護実習の事前・事後指導として,主体的に実習に臨む態度を身に付けさせ,自己の課題を明確化するとともに,介護従事者としての意識付けを図るなど効果的な指導を行うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,介護実習の目的,危機管理や個人情報保護,実習施設の概要や主な業務内容などを扱うこと。また,基本的な介護技術や介護過程の展開を確認するとともに,介護実習の計画,実習報告の作成などを通して,介護実習の課題や成果を明確にすることができるようにすること。
イ 内容の(2)及び(3)については,介護実習など総合的な介護活動の体験から得た事例などの考察や個別支援計画の作成などを行うこと。
第7 介護実習
1 目標  介護に関する体験的な学習を多様な介護の場において行い,知識と技術を統合させ,介護従事者としての役割を理解させるとともに,適切かつ安全な介護ができる実践的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 多様な介護の場における実習
ア 介護技術の実践
イ コミュニケーションの実践
ウ 多職種協働及びチームケアの理解
(2) 個別ケアのための継続した実習
ア 個別的な介護技術の実践
イ 介護過程の実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,多様な介護の場における実習を通して,サービス利用者の理解を図ること。
イ 内容の(2)については,継続した実習を行う中で,サービス利用者ごとの介護計画の作成,実施後の評価,介護計画の修正など一連の介護過程を実践すること。
第8 こころとからだの理解
1 目標  自立生活を支援するために必要なこころとからだの基礎的な知識を習得させ,介護実践に適切に活用できる能力を育てる。
2 内容
(1) こころとからだの基礎的理解
ア こころの理解
イ からだのしくみの理解
(2) 生活支援に必要なこころとからだのしくみの理解
ア 身じたくに関するこころとからだのしくみ
イ 移動に関するこころとからだのしくみ
ウ 食事に関するこころとからだのしくみ
エ 入浴・清潔に関するこころとからだのしくみ
オ 排泄《せつ》に関するこころとからだのしくみ
カ 睡眠に関するこころとからだのしくみ
キ 終末期に関するこころとからだのしくみ
ク 緊急時に関するこころとからだのしくみ
(3) 発達と老化の理解
ア 人間の成長と発達
イ 老年期の理解と日常生活
ウ 高齢者と健康
(4) 認知症の理解
ア 認知症の基礎的理解
イ 認知症に伴う心身の変化と日常生活
ウ 認知症を取り巻く状況
(5) 障害の理解
ア 障害の基礎的理解
イ 生活機能障害の理解
ウ 障害者の生活理解
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,「生活支援技術」との関連を図り,各器官の機能と基本的な生活行動との関係について,その概要を理解させること。
イ 内容の(3)から(5)までについては,サービス利用者の生活や心身の状況に加え,家族を含めた周囲の環境にも十分留意する必要があることを理解させること。また,高齢者や障害者などに多く見られる疾病や機能低下が及ぼす日常生活への影響などを扱うとともに,高齢者や障害者の尊厳を守る介護の基...
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,人間の基本的欲求や社会的欲求も扱うこと。イについては,人体の構造や関節可動域などの機能,人体各部の名称などを扱うこと。
イ 内容の(2)のキについては,対象となる人の状態に応じた医療職など他職種との連携についても扱うこと。クについては,対象となる人の状態や状況に応じた緊急時における介護実践が行えるよう具体的な事例を通して扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,人の成長・発達における心理や身体機能の変化と日常生活への影響について扱うこと。イについては,老年期の定義,高齢者の医療制度などについて,「社会福祉基礎」や「介護福祉基礎」と関連付けて扱うこと。ウについては,保健医療職との連携についても扱うこと。
エ 内容の(4)及び(5)については,地域の支援体制や関連職種との連携と協働,チームアプローチ及び家族への支援についても扱うこと。
オ 内容の(4)については,認知症の特徴,心の変化,生活面への影響,支える家族の心の変化や生活面への影響について扱うこと。ウについては,認知症ケアの歴史や理念,罹《り》患者数の推移,認知症高齢者支援対策の概要も扱うこと。
カ 内容の(5)については,障害に関する基本的な考え方と関係法規について,「社会福祉基礎」と関連付けて扱うこと。アについては,国際障害分類から国際生活機能分類への障害のとらえ方の変遷を扱うこと。イについては,各種障害の種類や特性などについて扱うこと。ウについては,具体的な事例などを...
第9 福祉情報活用
1 目標  社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに,情報活用に関する知識と技術を習得させ,福祉の各分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報社会と福祉サービス
ア 情報社会
イ 情報機器の利用と福祉サービス
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報モラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 情報機器と情報通信ネットワーク
ア 情報機器の仕組み
イ 情報通信ネットワークの仕組み
(4) 福祉サービスと情報機器の活用
ア 情報の収集,処理,分析,発信
イ 福祉サービスの各分野における情報機器の活用
ウ 情報機器を活用した高齢者・障害者の自立生活支援
エ 個人情報の管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)及び(4)については,実際に情報機器や情報通信ネットワークを活用できるよう実習を中心として扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,情報社会における生活の変化と福祉サービスにおける情報機器の役割や利用状況について具体的な事例を通して扱うこと。
イ 内容の(2)については,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラル及び情報通信ネットワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)のアについては,情報機器の基本的な構成要素及びソフトウェアの役割と特徴について扱うこと。イについては,情報通信ネットワークの基本的な仕組みについて扱うこと。
エ 内容の(4)のアについては,情報機器や情報通信ネットワークを利用して情報の収集,処理,分析,発信ができるようにすること。イについては,福祉サービスの中で情報機器を活用したサービスや情報の活用法を扱うこと。ウについては,情報機器を活用した自立生活支援の方法について具体的に扱うこと...
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 福祉に関する各学科においては,「社会福祉基礎」及び「介護総合演習」を原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 福祉に関する各学科においては,原則として福祉に関する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(3) 地域や福祉施設,産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「介護実習」や「介護総合演習」における現場実習及び具体的な事例の研究や介護計画作成に際しては,プライバシーの保護に十分留意すること。
(2) 各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に基づき,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,福祉機器などの取扱いには十分な注意を払わせ,事故防止などの指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第9節 理   数
第1款 目標  事象を探究する過程を通して,科学及び数学における基本的な概念,原理・法則などについての系統的な理解を深め,科学的,数学的に考察し表現する能力と態度を育て,創造的な能力を高める。
第2款 各 科 目
第1 理数数学Ⅰ
1 目標  数学における基本的な概念や原理・法則を系統的に理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を養い,数学のよさを認識できるようにするとともに,それらを的確に活用する態度を育てる。
2 内容
(1) 数と式
(2) 図形と計量
(3) 二次関数
(4) 指数関数・対数関数
(5) データの分析
3 内容の取扱い
(1) 指導に当たっては,第2章第4節第1の「数学Ⅰ」,第2の「数学Ⅱ」,第3の「数学Ⅲ」及び第4の「数学A」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「数学Ⅰ」の内容の(1)を扱うこと。
イ 内容の(2)については,「数学Ⅰ」の内容の(2)及び「数学A」の内容の(3)を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「数学Ⅰ」の内容の(3)及び「数学Ⅲ」の内容の(2)のイの(ア)を扱うこと。
エ 内容の(4)については,「数学Ⅱ」の内容の(3)を扱うこと。
オ 内容の(5)については,「数学Ⅰ」の内容の(4)を扱うこと。
第2 理数数学Ⅱ
1 目標  数学における概念や原理・法則についての理解を深め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。
2 内容
(1) いろいろな式
(2) 数列
(3) 三角関数と複素数平面
(4) 図形と方程式
(5) 極限
(6) 微分法
(7) 積分法
3 内容の取扱い
(1) 指導に当たっては,第2章第4節第2の「数学Ⅱ」,第3の「数学Ⅲ」及び第5の「数学B」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「数学Ⅱ」の内容の(1)に加えて,最大公約数及び最小公倍数も扱うこと。
イ 内容の(2)については,「数学B」の内容の(2)を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「数学Ⅱ」の内容の(4)及び「数学Ⅲ」の内容の(1)のイを扱うこと。
エ 内容の(4)については,「数学Ⅱ」の内容の(2)及び「数学Ⅲ」の内容の(1)のアに加えて,円と円の共有点を求めることも扱うこと。
オ 内容の(5)については,「数学Ⅲ」の内容の(2)のアの(ア)(イ)及びイの(イ)(ウ)を扱うこと。
カ 内容の(6)については,「数学Ⅱ」の内容の(5)のア及び「数学Ⅲ」の内容の(3)を扱うこと。
キ 内容の(7)については,「数学Ⅱ」の内容の(5)のイ及び「数学Ⅲ」の内容の(4)に加えて,(は定数)程度の簡単な微分方程式の意味と解法も扱うこと。
第3 理数数学特論
1 目標  数学における概念や原理・法則についての理解を広め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。
2 内容
(1) 整数の性質
(2) ベクトル
(3) 行列とその応用
(4) 離散グラフ
(5) 場合の数と確率
(6) 確率分布と統計的な推測
3 内容の取扱い
(1) この科目は,内容の(1)から(6)までの中から適宜選択させるものとする。指導に当たっては,第2章第4節第4の「数学A」,第5の「数学B」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)から(6)までの取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「数学A」の内容の(2)を扱うこと。
イ 内容の(2)については,「数学B」の内容の(3)に加えて,空間における直線や平面の方程式も扱うこと。
ウ 内容の(3)については,行列の表し方や演算,行列の積と逆行列,行列を用いた連立一次方程式の解法及び点の移動を扱うこと。
エ 内容の(4)については,離散グラフの基本的な考え方,いろいろな離散グラフ及び離散グラフの活用を扱うこと。
オ 内容の(5)については,「数学A」の内容の(1)を扱うこと。
カ 内容の(6)については,「数学B」の内容の(1)を扱うこと。
第4 理数物理
1 目標  物理的な事物・現象についての観察,実験などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに,物理学の基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 力と運動
(2) 波
(3) 電気と磁気
(4) 原子
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,物理学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第2の「物理基礎」及び第3の「物理」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「物理基礎」の内容の(1)及び(2)のア及びカ並びに「物理」の内容の(1)を扱うこと。
イ 内容の(2)については,「物理基礎」の内容の(2)のイ及びカ並びに「物理」の内容の(2)を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「物理基礎」の内容の(2)のウ及びカ並びに「物理」の内容の(3)を扱うこと。
エ 内容の(4)については,「物理基礎」の内容の(2)のエ,オ及びカ並びに「物理」の内容の(4)を扱うこと。
オ 内容の(1)から(4)までの中で,身近な物理現象についてセンサーを用いた計測とコンピュータを用いた分析の手法も扱うこと。
第5 理数化学
1 目標  化学的な事物・現象についての観察,実験などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,化学的に探究する能力と態度を育てるとともに,化学の基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 化学と人間生活
(2) 物質の構成
(3) 物質の変化
(4) 物質の状態と化学平衡
(5) 無機物質の性質と利用
(6) 有機化合物の性質と利用
(7) 高分子化合物の性質と利用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,化学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第4の「化学基礎」及び第5の「化学」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「化学基礎」の内容の(1)を扱うこと。
イ 内容の(2)については,「化学基礎」の内容の(2)を扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「化学基礎」の内容の(3)並びに「化学」の内容の(2)のア及びウを扱うこと。
エ 内容の(4)については,「化学」の内容の(1)並びに(2)のイ及びウを扱うこと。
オ 内容の(5)については,「化学」の内容の(3)に加えて,新素材に関する実験も扱うこと。
カ 内容の(6)については,「化学」の内容の(4)に加えて,物質の合成実験も扱うこと。
キ 内容の(7)については,「化学」の内容の(5)を扱うこと。
第6 理数生物
1 目標  生物や生物現象についての観察,実験などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに,生物学の基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 生物と遺伝子
(2) 生命現象と物質
(3) 生殖と発生
(4) 生物の環境応答
(5) 生態と環境
(6) 生物の進化と系統
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,生物学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第6の「生物基礎」及び第7の「生物」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「生物基礎」の内容の(1)のア,イの(ア)(イ)及びウを扱うこと。
イ 内容の(2)については,「生物基礎」の内容の(1)のイの(ウ)及びウ並びに「生物」の内容の(1)に加えて,バイオテクノロジーに関する実験又はタンパク質に関する実験も扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「生物」の内容の(2)を扱うこと。
エ 内容の(4)については,「生物基礎」の内容の(2)及び「生物」の内容の(3)を扱うこと。
オ 内容の(5)については,「生物基礎」の内容の(3)及び「生物」の内容の(4)に加えて,野外観察又は調査も扱うこと。
カ 内容の(6)については,「生物」の内容の(5)を扱うこと。
第7 理数地学
1 目標  地学的な事物・現象についての観察,実験などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,地学的に探究する能力と態度を育てるとともに,地学の基本的な概念や原理・法則の系統的な理解を深め,科学的な自然観を育成する。
2 内容
(1) 地球の概観と構造
(2) 地球の活動
(3) 地球の歴史
(4) 大気と海洋の構造と運動
(5) 宇宙の構造と進化
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成に当たっては,地学の基本的な概念の形成と科学の方法の習得が無理なく行われるようにする。指導に当たっては,第2章第5節第8の「地学基礎」及び第9の「地学」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,「地学基礎」の内容の(1)のイの(イ)(ウ)及びウ並びに「地学」の内容の(1)を扱うこと。
イ 内容の(2)については,「地学基礎」の内容の(2)のア及びオ並びに「地学」の内容の(2)のア及びウに加えて,岩石などの偏光顕微鏡観察も扱うこと。
ウ 内容の(3)については,「地学基礎」の内容の(2)のイ及びオ並びに「地学」の内容の(2)のイ及びウに加えて,地質図の実習も扱うこと。
エ 内容の(4)については,「地学基礎」の内容の(2)のウ,エ及びオ並びに「地学」の内容の(3)を扱うこと。
オ 内容の(5)については,「地学基礎」の内容の(1)のア,イの(ア)及びウ並びに「地学」の内容の(4)を扱うこと。
第8 課題研究
1 目標  科学及び数学に関する課題を設定し,その課題の解決を図る学習を通して,専門的な知識と技能の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1) 特定の自然の事物・現象に関する研究
(2) 特定の社会事象に関する研究
(3) 先端科学や学際的領域に関する研究
(4) 自然環境の調査に基づく研究
(5) 科学や数学を発展させた原理・法則に関する研究
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成とその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(5)までの中から,個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお,課題は内容の(1)から(5)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 指導に効果的な場合には,大学や研究機関,博物館などと積極的に連携,協力を図ること。
ウ 研究の成果について,報告書を作成させ,発表を行う機会を設けること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については,理数科の各科目の内容と関連させて扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 理数に関する学科における指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「理数数学Ⅰ」,「理数数学Ⅱ」及び「課題研究」については,原則としてすべての生徒に履修させること。
(2) 「理数物理」,「理数化学」,「理数生物」及び「理数地学」については,これらのうちから,原則として3科目以上をすべての生徒に履修させること。
(3) 「理数数学Ⅱ」及び「理数数学特論」については,原則として「理数数学Ⅰ」を履修した後に履修させること。
(4) 各科目の指導に当たっては,大学や研究機関,博物館などと積極的に連携,協力を図るようにすること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「理数数学Ⅰ」,「理数数学Ⅱ」及び「理数数学特論」の指導に当たっては,第2章第4節第3款の3を参照し,数学的活動を一層重視すること。
(2) 「理数物理」,「理数化学」,「理数生物」,「理数地学」及び「課題研究」の指導に当たっては,観察,実験などの結果を分析し解釈して自らの考えを導き出し,それらを表現するなどの学習活動を充実すること。
(3) 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度の育成を図ること。また,環境問題や科学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については,持続可能な社会をつくることの重要性も踏まえながら,科学的な見地から取り扱うこと。
(4) 観察,実験,野外観察,調査などの指導に当たっては,関連する法規等に従い,事故防止について十分留意するとともに,使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(5) 各科目の指導に当たっては,数理現象の理解や多数の計算例による法則性の認識及び観察,実験の過程での情報の収集・検索,計測・制御,シミュレーション,結果の集計・処理などのために,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用すること。
第10節 体   育
第1款 目標  心と体を一体としてとらえ,スポーツについての専門的な理解及び高度な技能の習得を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,健やかな心身の育成に資するとともに,生涯を通してスポーツの振興発展に寄与する資質や能力を育て,明るく豊かで活力ある生活を営む態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 スポーツ概論
1 目標  スポーツについての総合的な理解を通して,その知識を運動の主体的,合理的,計画的な実践に活用できるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) スポーツの歴史・文化的特性と現代的特徴
(2) スポーツの効果的な学習の仕方
(3) 豊かなスポーツライフの設計
(4) スポーツの指導法と安全
(5) スポーツの運営及び管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(5)までの各事項とも扱うものとする。
(2) 指導に当たっては,各事項に関連した課題研究や実習などの知識を活用する学習活動を適宜扱うものとする。
第2 スポーツⅠ
1 目標  採点競技及び測定競技の専門的な理解と高度な技能の習得を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,自己の課題を解決できるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 採点競技の理解と実践
(2) 測定競技の理解と実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)又は(2)のいずれかを選択して扱うことができる。
(2) 内容の(1)については,体操競技を,(2)については,陸上競技,水泳競技の中から適宜取り上げるものとし,スキー,スケート等についても,地域や学校の実態に応じて扱うことができる。
第3 スポーツⅡ
1 目標  球技の専門的な理解と高度な技能の習得を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,自己の課題を解決できるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) ゴール型球技の理解と実践
(2) ネット型球技の理解と実践
(3) ベースボール型球技の理解と実践
(4) ターゲット型球技の理解と実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(4)までの中から一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 内容の(1)については,バスケットボール,ハンドボール,サッカー,ラグビーの中から,(2)については,バレーボール,卓球,テニス,バドミントンの中から,(3)については,ソフトボール,野球の中から,(4)については,ゴルフを適宜取り上げるものとし,その他の球技についても,地...
第4 スポーツⅢ
1 目標  武道及び諸外国の対人的競技等の専門的な理解と高度な技能の習得を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,自己の課題を解決できるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 武道の理解と実践
(2) 諸外国の対人的競技の理解と実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)又は(2)のいずれかを選択して扱うことができる。
(2) 内容の(1)については,柔道,剣道,相撲,なぎなた,弓道の中から,(2)については,レスリングを適宜取り上げるものとし,その他の武道等についても,地域や学校の実態に応じて扱うことができる。
第5 スポーツⅣ
1 目標  ダンスの専門的な理解と高度な技能の習得を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,自己の課題を解決できるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 創造型ダンスの理解と実践
(2) 伝承型ダンスの理解と実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)又は(2)のいずれかを選択して扱うことができる。
(2) 内容の(1)については,創作ダンス,現代的なリズムのダンスの中から,(2)については,フォークダンス,社交ダンスの中から適宜取り上げるものとし,その他のダンスについても,地域や学校の実態に応じて扱うことができる。
第6 スポーツⅤ
1 目標  自然とのかかわりの深い野外の運動の専門的な理解と高度な技能の習得を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,自己の課題を解決できるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 自然体験型野外活動の理解と実践
(2) 競技型野外活動の理解と実践
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)又は(2)のいずれかを選択して扱うことができる。
(2) 内容の(1)については,キャンプ,登山,遠泳等の水辺活動の中から,(2)については,スキー,スケートの中から適宜取り上げるものとし,その他の運動についても,機械等の動力を用いない活動を中心に,地域や学校の実態に応じて扱うことができる。
(3) 特定の期間に集中的に校外で授業を行う場合は,安全対策に十分配慮するものとする。
第7 スポーツⅥ
1 目標  体つくり運動の専門的な理解とその活用を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,実生活に役立てることができるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) 体つくり運動の理解と実践
(2) 目的に応じた心身の調整の仕方や交流を深めるための運動の仕方の理解と実践
(3) ライフステージに応じた運動の計画の立て方の理解と実践
3 内容の取扱い  内容の(1)を入学年次で扱うものとし,内容の(2)又は(3)のいずれかを選択して扱うことができる。
第8 スポーツ総合演習
1 目標  スポーツの専門的な知識や高度な技能の総合的な活用を目指した課題研究を通して,生涯を通した豊かなスポーツライフの実現及びスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる。
2 内容
(1) スポーツの知識や実践に関する課題研究
(2) スポーツの指導や運営及び管理に関する課題研究
(3) スポーツを通した社会参画に関する課題研究
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(3)までの中から一つ以上を選択して扱うことができる。
(2) 指導に当たっては,「スポーツ概論」との関連を図り,実習,体験,発表等の活動を重視するとともに,言語に関する能力の育成に配慮するものとする。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 体育に関する学科における指導計画の作成に当たっては,各年次において次の事項に配慮するものとする。
(1) 「スポーツ概論」,「スポーツⅤ」,「スポーツⅥ」及び「スポーツ総合演習」については,原則として,すべての生徒に履修させること。
(2) 「スポーツⅠ」,「スポーツⅡ」,「スポーツⅢ」及び「スポーツⅣ」については,これらの中から生徒の興味や適性等に応じて1科目以上を選択して履修できるようにすること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の指導に当たっては,公正,協力,責任,参画に対する意欲及び思考力,判断力などを育成するとともに,生徒の健康・安全を確保し,事故防止を図ること。
(2) 「スポーツⅠ」,「スポーツⅡ」,「スポーツⅢ」及び「スポーツⅣ」の指導に当たっては,「スポーツⅥ」の学習成果の活用を図ること。
(3) 体力の測定については,計画的に実施し,各科目の指導及び体力の向上に活用するようにすること。
(4) 集合,整頓《とん》,列の増減,方向変換などの行動の仕方については,各科目の特性との関連において適切に行うこと。
(5) 各科目の指導に当たっては,その特質を踏まえ,必要に応じて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるようにすること。
(6) 学外の認定資格等の取得と関連付けるなど,より専門的かつ実践的な知識及び技術の習得が図られるようにすること。
第11節 音楽
第1款 目標  音楽に関する専門的な学習を通して,感性を磨き,創造的な表現と鑑賞の能力を高めるとともに,音楽文化の発展と創造に寄与する態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 音楽理論
1 目標  音楽に関する基礎的な理論を理解させるとともに,表現と鑑賞に活用する能力を養う。
2 内容
(1) 楽典,楽曲の形式など
(2) 和声法
(3) 対位法
3 内容の取扱い  我が国の伝統音楽の理論については,必要に応じて扱うことができる。
第2 音楽史
1 目標  我が国及び諸外国の音楽の歴史について理解を深め,多様な音楽の文化的価値をとらえる能力を養う。
2 内容
(1) 我が国の音楽史
(2) 諸外国の音楽史
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)及び(2)については,相互の関連を図るとともに,著しく一方に偏らないよう配慮するものとする。
(2) 内容の(1)及び(2)については,鑑賞活動などを通して,具体的・実践的に学習させるようにする。
(3) 内容の(2)については,西洋音楽史を中心としつつ,その他の地域の音楽史にも触れるようにする。
第3 演奏研究
1 目標  音楽作品についての演奏研究を通して,演奏における客観性と多様性を理解し,音楽の様式を尊重して演奏する能力を養う。
2 内容
(1) 時代や地域による表現上の特徴を踏まえた解釈及び演奏に関する研究
(2) 作曲家の表現上の特徴を踏まえた解釈及び演奏に関する研究
(3) 声や楽器の特徴を踏まえた解釈及び演奏に関する研究
(4) 音楽の解釈の多様性
3 内容の取扱い  専門的に履修させる「声楽」の内容の(1),「器楽」の内容の(1)から(5)まで及び「作曲」の内容との関連にも配慮して指導するものとする。
第4 ソルフェージュ
1 目標  音楽を形づくっている要素を正しくとらえ,音楽性豊かな表現をするための基礎的な能力を養う。
2 内容
(1) 視唱
(2) 視奏
(3) 聴音
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1),(2)及び(3)の相互の関連を図り,幅広く多角的な方法によって指導するものとする。
(2) 専門的に履修させる「声楽」の内容の(1),「器楽」の内容の(1)から(5)まで及び「作曲」の内容との関連にも配慮して指導するものとする。
第5 声 楽
1 目標  声楽に関する専門的な学習を通して,楽曲の表現内容を理解し,表現意図を明確にして創造的に表現する能力を養う。
2 内容
(1) 独唱
(2) いろいろな形態のアンサンブル
3 内容の取扱い
(1) 我が国の伝統的な歌唱については,必要に応じて扱うことができる。
(2) 演奏発表の場を設けるなどして,演奏を共有したり,評価し合ったりする活動を取り入れるようにする。
第6 器 楽
1 目標  器楽に関する専門的な学習を通して,楽曲の表現内容を理解し,表現意図を明確にして創造的に表現する能力を養う。
2 内容
(1) 鍵《けん》盤楽器の独奏
(2) 弦楽器の独奏
(3) 管楽器の独奏
(4) 打楽器の独奏
(5) 和楽器の独奏
(6) いろいろな形態のアンサンブル
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(5)までについては,生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,特定の楽器を選んで行うものとする。
(2) 演奏発表の場を設けるなどして,演奏を共有したり,評価し合ったりする活動を取り入れるようにする。
第7 作 曲
1 目標  作曲に関する専門的な学習を通して,音楽性豊かに楽曲を構成する能力を養う。
2 内容  作曲に関する多様な技法及びそれらを生かした作曲
3 内容の取扱い
(1) 我が国の伝統的な音楽の特徴を生かした作曲についても扱うようにする。
(2) 完成した作品について演奏発表の場を設けるなどして,作品を共有したり,評価し合ったりする活動を取り入れるようにする。
第8 鑑賞研究
1 目標  音楽作品や作曲家,演奏などについての鑑賞研究を通して,音楽に対する理解を深め,音楽や音楽文化を尊重する態度を養い,批評する能力を育てる。
2 内容
(1) 作品・作曲家に関する研究
(2) 地域や文化的背景に関する研究
(3) 音楽とメディアとのかかわり
(4) 音楽批評
3 内容の取扱い  内容の(2)及び(3)については,いずれかを選択して扱うことができる。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 音楽に関する学科における指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「音楽理論」の内容の(1)及び(2),「音楽史」,「演奏研究」,「ソルフェージュ」及び「器楽」の内容の(1)については,原則として,すべての生徒に履修させること。
(2) 「声楽」の内容の(1),「器楽」の内容の(1)から(5)まで及び「作曲」の内容の中から,生徒の特性等に応じ,いずれかを専門的に履修させること。また,これに加えて,「声楽」の内容の(1),「器楽」の内容の(1)から(5)までのいずれかを履修させることができること。
(3) (2)に示す科目,「音楽理論」の内容の(1)及び(2),「ソルフェージュ」及び「器楽」の内容の(1)については,原則として,各年次にわたり履修させること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「声楽」の内容の(2)及び「器楽」の内容の(6)については,他者と協調しながら活動することによって,より一層幅広い表現の諸能力を養うため,重視して扱うこと。
(2) 各科目の特質を踏まえ,学校の実態に応じて学校図書館を活用するとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどを指導に生かすこと。
(3) 各科目の特質を踏まえ,地域や学校の実態に応じて,文化施設,社会教育施設,地域の文化財等の活用を図ったり,地域の人材の協力を求めたりすること。
(4) 音や音楽と生活や社会とのかかわりを考えさせ,音環境への関心を高めるようにすること。また,音楽に関する知的財産権などについて配慮し,著作物等を尊重する態度の形成を図るようにすること。
第12節 美   術
第1款 目標  美術に関する専門的な学習を通して,美的体験を豊かにし,感性を磨き,創造的な表現と鑑賞の能力を高めるとともに,美術文化の発展と創造に寄与する態度を育てる。
第2款 各 科 目
第1 美術概論
1 目標  美術の理論的学習を通して,芸術としての美術の意義を理解し,表現と鑑賞の基礎となる能力と態度を高める。
2 内容
(1) 美術と自然
(2) 美術と社会
(3) 美術と生活
3 内容の取扱い  内容の(1),(2)及び(3)の各事項とも扱うものとする。
第2 美術史
1 目標  美術の変遷の学習を通して,文化遺産や美術文化についての理解を深め,伝統と文化を尊重する態度と新たな美術文化を創造していく基礎となる能力を高める。
2 内容
(1) 日本の美術と文化
(2) 東洋の美術と文化
(3) 西洋の美術と文化
(4) 現代の美術と文化
3 内容の取扱い  内容の(1)から(4)までの各事項とも扱うものとする。
第3 素 描
1 目標  対象のイメージや空間を把握し,造形表現の基礎となる観察力と描写力を高める。
2 内容
(1) デッサン
(2) スケッチ
(3) 表現材料
(4) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(1),(2)及び(3)については,相互に関連付けて扱うようにする。
第4 構 成
1 目標  造形的な創造活動の基本となる諸要素の理解を深め,感性や造形感覚と創造的な構成の能力を高める。
2 内容
(1) 形体,色彩
(2) 材料
(3) 平面構成,立体構成
(4) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(1),(2)及び(3)については,相互に関連付けて扱うようにする。
第5 絵 画
1 目標  いろいろな表現形式による絵画表現に関する学習を通して,表現と鑑賞の能力を高める。
2 内容
(1) 日本画
(2) 水彩画
(3) 油彩画
(4) 漫画,イラストレ−ション
(5) その他の絵画
(6) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(1)から(5)までについては,そのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
第6 版 画
1 目標  いろいろな表現形式による版画表現に関する学習を通して,表現と鑑賞の能力を高める。
2 内容
(1) 木版画
(2) 銅版画
(3) リトグラフ
(4) シルクスクリーン
(5) その他の版画
(6) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(2)から(5)までについては,そのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
第7 彫 刻
1 目標  いろいろな材料による彫刻など立体造形の表現に関する学習を通して,表現と鑑賞の能力を高める。
2 内容
(1) 彫造
(2) 塑造
(3) その他の彫刻及び立体造形
(4) 鑑賞
3 内容の取扱い   内容の(1),(2)及び(3)については,そのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
第8 ビジュアルデザイン
1 目標  視覚的な伝達効果を主とするデザインについての理解を深め,表現と鑑賞の能力を高める。
2 内容
(1) デザインの基礎
(2) 平面・立体デザイン
(3) 空間デザイン
(4) 図法,表示法
(5) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(2)及び(3)については,いずれかを選択して扱うことができる。
第9 クラフトデザイン
1 目標  美的造形性や機能性を主とする造形のデザインについての理解を深め,表現と鑑賞の能力を高める。
2 内容
(1) デザインの基礎
(2) 図法,製図
(3) 工芸
(4) プロダクトデザイン
(5) 伝統工芸
(6) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(3),(4)及び(5)については,そのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
第10 情報メディアデザイン
1 目標  情報の表現,伝達及び共有を主とする情報メディアデザインについての理解を深め,表現と鑑賞の能力を高める。
2 内容
(1) 情報メディアの基礎
(2) 情報の視覚化
(3) 伝達,交流,共有
(4) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(1),(2)及び(3)については,相互に関連付けて扱うようにする。
第11 映像表現
1 目標  写真,ビデオ等の映像機器を使った表現に関する学習を通して,表現と鑑賞の能力を高める。
2 内容
(1) 機器,用具,材料の知識及び使用技術
(2) 企画,構成,演出
(3) 編集,合成,加工
(4) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(1),(2)及び(3)については,相互に関連付けて扱うようにする。
第12 環境造形
1 目標  自然や生活環境と造形との調和についての理解を深め,造形の諸要素を環境の構成に総合的に生かす実践的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 環境造形
(2) 展示造形
(3) 舞台造形
(4) 環境総合芸術
(5) 鑑賞
3 内容の取扱い  内容の(1)から(4)までについては,そのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
第13 鑑賞研究
1 目標  文化財や美術作品,作家などについての鑑賞研究を通して,美術に対する理解を深め,美術や美術文化を尊重する態度を養い,批評する能力を育てる。
2 内容
(1) 作品・作家に関する研究
(2) 文化財の保存・修復に関する研究
(3) 展示企画,展示構成
(4) 美術批評
3 内容の取扱い  内容の(1),(2)及び(3)については,そのうち一つ以上を選択して扱うことができる。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 美術に関する学科における指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 「美術史」,「素描」及び「構成」については,原則として,すべての生徒に履修させること。
(2) 特定の科目を専門的に履修させることや同一の科目を2以上の年次にわたって履修させること,複数の科目を関連付けて取り扱うことなど,履修の仕方を工夫することによって,生徒の特性の伸長が図れるようにすること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の特質を踏まえ,学校の実態に応じて学校図書館を活用するとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどを指導に生かすこと。
(2) 各科目の特質を踏まえ,地域や学校の実態に応じて,地域の文化財,文化施設,社会教育施設等の活用を図ったり,地域の人材の協力を求めたりすること。
(3) 美術に関する知的財産権や肖像権などについて配慮し,自己や他者の著作物等を尊重する態度の形成を図るようにすること。
(4) 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導などを徹底すること。
第13節 英   語
第1款 目標  英語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う。
第2款 各 科 目
第1 総合英語
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりする能力を一層伸ばし,社会生活において活用できるようにする。
2 内容
(1) 発音
(2) 聴解
(3) 対話
(4) スピーチ
(5) 読解
(6) 作文
(7) 課題研究
3 内容の取扱い
(1) 指導に当たっては,第2章第8節第2の「コミュニケーション英語Ⅰ」,第3の「コミュニケーション英語Ⅱ」及び第4の「コミュニケーション英語Ⅲ」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 中学校におけるコミュニケーション能力の基礎を養うための総合的な指導を踏まえ,聞いたことや読んだことを踏まえた上で話したり書いたりする言語活動を適切に取り入れながら,四つの領域の言語活動を有機的に関連付けつつ総合的に指導するものとする。
第2 英語理解
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,情報や考えなどを的確に理解し自らの考えを深める能力を一層伸ばす。
2 内容
(1) 発音
(2) 聴解
(3) 精読
(4) 速読
(5) 多読
(6) 鑑賞
3 内容の取扱い
(1) 話すこと及び書くこととも有機的に関連付けた活動を行うことにより,聞くこと及び読むことの指導の効果を高めるよう工夫するものとする。
(2) 教材の分量や程度及び聴解や読解の速度に配慮するものとする。
第3 英語表現
1 目標  英語を通じて,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに,事実や意見などを多様な観点から考察し,論理の展開や表現の方法を工夫しながら伝える能力を一層伸ばす。
2 内容
(1) 発音
(2) 対話
(3) スピーチ
(4) プレゼンテーション
(5) ディベート
(6) ディスカッション
(7) 手紙・日記
(8) 作文
(9) 小論文
3 内容の取扱い
(1) 指導に当たっては,第2章第8節第5の「英語表現Ⅰ」及び第6の「英語表現Ⅱ」の内容等を参照し,必要に応じて,これらの科目の内容を発展,拡充させて取り扱うものとする。
(2) 聞くこと及び読むこととも有機的に関連付けた活動を行うことにより,話すこと及び書くことの指導の効果を高めるよう工夫するものとする。
(3) 話し言葉と書き言葉の相違,表現形式,文章構成,話す速度,ジェスチャーなどの非言語的なコミュニケーション手段などに配慮し,場面や目的に応じた表現ができるようにする。
第4 異文化理解
1 目標  英語を通じて,外国の事情や異文化について理解を深めるとともに,異なる文化をもつ人々と積極的にコミュニケーションを図るための態度や能力の基礎を養う。
2 内容
(1) 日常生活
(2) 社会生活
(3) 風俗習慣
(4) 地理・歴史
(5) 伝統文化
(6) 科学技術
(7) その他の異文化理解に関すること
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までの中から,生徒の実態等に応じて,適宜選択するものとする。その際,電子メールの交換や実際の交流などのコミュニケーション体験を通して理解を深めるようにする。
(2) 必要に応じて,我が国の事情や文化などを取り上げ,外国の事情や文化との類似点や相違点について考えさせるとともに,他の教科等との関連にも配慮するものとする。
第5 時事英語
1 目標  新聞,テレビ,情報通信ネットワークなどにおいて用いられる英語を理解するとともに,必要な情報を選び活用する基礎的な能力を養う。
2 内容
(1) 新聞や雑誌などの理解
(2) テレビ番組や映画などの理解
(3) 情報通信ネットワークを通じて得られる情報の理解
(4) 時事的な内容に基づく発表や討論
3 内容の取扱い  生徒の実態等に応じて,教材の分量,程度,速度等に留意しながら,多様な題材を取り上げるとともに,他の教科等との関連にも配慮するものとする。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 英語に関する学科の指導計画の作成に当たって,「総合英語」及び「異文化理解」については,原則として,すべての生徒に履修させるものとする。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒が情報や考えなどを理解したり伝えたりすることを実践するように具体的な言語の使用場面を設定して,多様な言語活動を経験させながら指導すること。
(2) 生徒の実態に応じて,多様な場面における言語活動を経験させながら,中学校や高等学校における学習内容を繰り返して指導し定着を図ること。
(3) 英語に関する学科の各科目については,その特質にかんがみ,生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケーションの場面とするため,授業は英語で行うことを基本とすること。その際,生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう十分配慮すること。
(4) 教材については,英語を通じてコミュニケーション能力を総合的に育成するため,各科目の目標に応じ,実際の言語の使用場面や言語の働きに十分配慮したものを取り上げるものとすること。その際,英語を日常使用している人々を中心とする世界の人々及び日本人の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴...
ア 多様なものの見方や考え方を理解し,公正な判断力を養い豊かな心情を育てるのに役立つこと。
イ 外国や我が国の生活や文化についての理解を深めるとともに,言語や文化に対する関心を高め,これらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ウ 広い視野から国際理解を深め,国際社会に生きる日本人としての自覚を高めるとともに,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
エ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
(5) 各科目の指導に当たっては,指導方法や指導体制を工夫し,ペア・ワーク,グループ・ワークなどを適宜取り入れたり,視聴覚教材やコンピュータ,情報通信ネットワークなどを適宜指導に生かしたりすること。また,ネイティブ・スピーカーなどの協力を得て行うティーム・ティーチングなどの授業を積...
第4章 総合的な学習の時間
第1 目標  横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育て,自己の在り方生き方を...
第2 各学校において定める目標及び内容
1 目標  各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。
2 内容  各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。
(2) 地域や学校,生徒の実態等に応じて,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習,探究的な学習,生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うこと。
(3) 第2の各学校において定める目標及び内容については,日常生活や社会とのかかわりを重視すること。
(4) 育てようとする資質や能力及び態度については,例えば,学習方法に関すること,自分自身に関すること,他者や社会とのかかわりに関することなどの視点を踏まえること。
(5) 学習活動については,地域や学校の特色,生徒の特性等に応じて,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動,生徒が興味・関心,進路等に応じて設定した課題について知識や技能の深化,総合化を図る学習活動,自己の在り方生き方や進路について考察す...
(6) 各教科・科目及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
(7) 各教科・科目及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(8) 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めること。
(9) 総合学科においては,総合的な学習の時間の学習活動として,原則として生徒が興味・関心,進路等に応じて設定した課題について知識や技能の深化,総合化を図る学習活動を含むこと。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学校において定める目標及び内容に基づき,生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。
(2) 問題の解決や探究活動の過程においては,他者と協同して問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。
(3) 自然体験や就業体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験・実習,調査・研究,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。
(4) 体験活動については,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえ,問題の解決や探究活動の過程に適切に位置付けること。
(5) グループ学習や個人研究などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。
(6) 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
第5章 特 別 活 動
第1 目標  望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,人間としての在り方生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う。
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
〔ホームルーム活動〕
1 目標  ホームルーム活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員としてホームルームや学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。
2 内容  学校における生徒の基礎的な生活集団として編成したホームルームを単位として,ホームルームや学校の生活の充実と向上,生徒が当面する諸課題への対応に資する活動を行うこと。
(1) ホームルームや学校の生活づくり
ア ホームルームや学校における生活上の諸問題の解決
イ ホームルーム内の組織づくりと自主的な活動
ウ 学校における多様な集団の生活の向上
(2) 適応と成長及び健康安全
ア 青年期の悩みや課題とその解決
イ 自己及び他者の個性の理解と尊重
ウ 社会生活における役割の自覚と自己責任
エ 男女相互の理解と協力
オ コミュニケーション能力の育成と人間関係の確立
カ ボランティア活動の意義の理解と参画
キ 国際理解と国際交流
ク 心身の健康と健全な生活態度や規律ある習慣の確立
ケ 生命の尊重と安全な生活態度や規律ある習慣の確立
(3) 学業と進路
ア 学ぶことと働くことの意義の理解
イ 主体的な学習態度の確立と学校図書館の利用
ウ 教科・科目の適切な選択
エ 進路適性の理解と進路情報の活用
オ 望ましい勤労観・職業観の確立
カ 主体的な進路の選択決定と将来設計
〔生徒会活動〕
1 目標  生徒会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団や社会の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容  学校の全生徒をもって組織する生徒会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこと。
(1) 生徒会の計画や運営
(2) 異年齢集団による交流
(3) 生徒の諸活動についての連絡調整
(4) 学校行事への協力
(5) ボランティア活動などの社会参画
〔学校行事〕
1 目標  学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活や社会生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。
2 内容  全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
(1) 儀式的行事  学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。
(2) 文化的行事   平素の学習活動の成果を総合的に生かし,その向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。
(3) 健康安全・体育的行事  心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵《かん》養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
(4) 旅行・集団宿泊的行事  平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。
(5) 勤労生産・奉仕的行事  勤労の尊さや創造することの喜びを体得し,就業体験などの職業観の形成や進路の選択決定などに資する体験が得られるようにするとともに,共に助け合って生きることの喜びを体得し,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達の段階及び特性等を考慮し,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科・科目や総合的な学習の時間などの指導との関連を図るとと...
(2) 生徒指導の機能を十分に生かすとともに,教育相談(進路相談を含む。)についても,生徒の家庭との連絡を密にし,適切に実施できるようにすること。
(3) 学校生活への適応や人間関係の形成,教科・科目や進路の選択などの指導に当たっては,ガイダンスの機能を充実するよう〔ホームルーム活動〕等の指導を工夫すること。特に,高等学校入学当初においては,個々の生徒が学校生活に適応するとともに,希望と目標をもって生活をできるよう工夫すること...
(4) 〔ホームルーム活動〕を中心として特別活動の全体を通じて,特に社会において自立的に生きることができるようにするため,社会の一員としての自己の生き方を探求するなど,人間としての在り方生き方の指導が行われるようにすること。その際,他の教科,特に公民科や総合的な学習の時間との関連を...
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 〔ホームルーム活動〕及び〔生徒会活動〕の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,生徒の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにするとともに,内容相互の関連を図るよう工夫すること。また,よりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるなどの話合...
(2) 〔ホームルーム活動〕及び〔生徒会活動〕については,学校や地域及び生徒の実態に応じて,取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,入学から卒業までを見通して,必要に応じて内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。また,〔ホームルーム活動〕については,...
(3) 〔学校行事〕については,学校や地域及び生徒の実態に応じて,各種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,入学から卒業までを見通して,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,幼児,高齢者,障害のある人々などとの触れ合い,自然体験や社会体...
(4) 特別活動の一環として学校給食を実施する場合には,食育の観点を踏まえた適切な指導を行うこと。
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
4 〔ホームルーム活動〕については,主としてホームルームごとにホームルーム担任の教師が指導することを原則とし,活動の内容によっては他の教師などの協力を得ることとする。
第1章 総則
第1 幼稚部における教育の基本
幼児期における教育は, 生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり, 幼稚部における教育は, 学校教育法第72条に規定する目的を達成するため, 幼児期の特性を踏まえ, 環境を通して行うものであることを基本とする。このため, 教師は幼児との信頼関係を十分に築き, 幼児と共により...
1 幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して, 幼児の主体的な活動を促し, 幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
2 幼児の自発的な活動としての遊びは, 心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して, 遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。
3 幼児の発達は, 心身の諸側面が相互に関連し合い, 多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること, また, 幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して, 幼児一人一人の特性に応じ, 発達の課題に即した指導を行うようにすること。
その際, 教師は, 幼児の主体的な活動が確保されるよ う幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき, 計画的に環境を構成しなければならない。 この場合において, 教師は, 幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ, 物的・空間的環境を構成しなければならない。 また, 教師は,...
第2 幼稚部における教育の目標
幼稚部では, 家庭との連携を図りながら, 幼児の障害の状態や発達の程度を考慮し, この章の第1に示す幼稚部における教育の基本に基づいて展開される学校生活を通して, 生きる力の基礎を育成するよう次の目標の達成に努めなければならない。
1 学校教育法第23条に規定する幼稚園教育の目標
2 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な態度や習慣などを育て,心身の調和的発達の基盤を培うようにすること。
第3 教育課程の編成
幼稚部では, この章の第2に示す幼稚部における教育の目標の達成に努めることにより, 義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとする。 このことを踏まえ, 各学校においては, 教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの特別支援学校幼稚部教育要領の示すところに従い, 創意工夫を生...
1 幼稚部における生活の全体を通して第2章に示すねらいが総合的に達成されるよう, 教育課程に係る教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織しなければならないこと。 この場合においては, 特に, 自我が芽生え, 他者の存在を意識し,自己を抑制し...
2 幼稚部の毎学年の教育課程に係る教育週数は, 39週を標準とし, 幼児の障害の状態等を考慮して適切に定めること。
3 幼稚部の1日の教育課程に係る教育時間は, 4時間を標準とすること。ただし,幼児の障害の状態や発達の程度, 季節等に適切に配慮すること。
第2章 ねらい及び内容等
この章に示すねらいは,幼稚部修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情,意欲, 態度などであり, 内容は, ねらいを達成するために指導する事項である。 これらを幼児の発達の側面から,心身の健康に関する領域「健康」,人とのかかわりに関する領域「人間関係」,身近な環境とのか...
健康,人間関係,環境,言葉及び表現 ねらい, 内容及び内容の取扱いについては, 幼稚園教育要領第2章に示すものに準ずるものとするが, 指導に当たっては, 幼児の障害の状態等に十分配慮するものとする。
自立活動
1 ねらい 個々の幼児が自立を目指し, 障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識, 技能, 態度及び習慣を養い, もって心身の調和的発達の基盤を培う。
2 内容
(1) 健康の保持
ア 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
イ 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
ウ 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
エ 健康状態の維持・改善に関すること。
(2) 心理的な安定
ア 情緒の安定に関すること。
イ 状況の理解と変化への対応に関すること。
ウ 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。
(3) 人間関係の形成
ア 他者とのかかわりの基礎に関すること。
イ 他者の意図や感情の理解に関すること。
ウ 自己の理解と行動の調整に関すること。
エ 集団への参加の基礎に関すること。
(4) 環境の把握
ア 保有する感覚の活用に関すること。
イ 感覚や認知の特性への対応に関すること。
ウ 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
エ 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。
オ 認知や行動の手掛かり となる概念の形成に関すること。
(5) 身体の動き
ア 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
イ 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
ウ 日常生活に必要な基本動作に関すること。
エ 身体の移動能力に関すること。
オ 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。
(6) コミュニケーション
ア コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
イ 言語の受容と表出に関すること。
ウ 言語の形成と活用に関すること。
エ コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
オ 状況に応じたコミュニケーションに関すること。
3 指導計画の作成と内容の取扱い
(1) 自立活動の指導に当たっては, 個々の幼児の障害の状態や発達の程度等の的確な把握に基づき,指導のねらい及び指導内容を明確にし,個別の指導計画を作成すること。その際, 2に示す内容の中からそれぞれに必要とする項目を選定し, それらを相互に関連付け, 具体的に指導内容を設定する...
(2) 個別の指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮すること。
ア 個々の幼児について,障害の状態,発達や経験の程度,興味・関心,生活や学習環境などの実態を的確に把握すること。
イ 実態把握に基づき, 長期的及び短期的な観点から指導のねらいを設定し, それらを達成するために必要な指導内容を段階的に取り上げること。
ウ 具体的に指導内容を設定する際には, 以下の点を考慮すること。
(ア) 幼児が興味をもって主体的に取り組み, 成就感を味わうことができるような指導内容を取り上げること。
(イ) 個々の幼児の発達の進んでいる側面を更に伸ばすことによって, 遅れている側面を補うことができるような指導内容も取り上げること。
エ 幼児の活動の状況や結果を適切に評価し, 個別の指導計画や具体的な指導の改善に生かすよう努めること。
(3) 指導計画の作成に当たっては, 各領域におけるねらい及び内容と密接な関連を保つように指導内容の設定を工夫し,計画的,組織的に指導が行われるようにすること。
(4) 自立活動の時間を設けて指導する場合は, 専門的な知識や技能を有する教師を中心として,全教師の協力の下に効果的に行われるようにすること。
(5)幼児の障害の状態により,必要に応じて,専門の医師及びその他の専門家の指導・助言を求めるなどして, 適切な指導ができるようにすること。
第3章 指導計画の作成に当たっての留意事項
幼稚部における教育は, 幼児が自ら意欲をもって環境とかかわることによりつく り出される具体的な活動を通して, その目標の達成を図るものである。 学校においてはこのことを踏まえ, 幼児期にふさわしい生活が展開され, 適切な指導が行われるよう,次の事項に留意して調和のとれた組織的,発展...
第1 一般的な留意事項
1 指導計画は, 幼児の発達に即して一人一人の幼児が幼児期にふさわしい生活を展開し, 必要な体験を得られるようにするために, 具体的に作成すること。
2 指導計画の作成に当たっては, 次に示すところにより, 具体的なねらい及び内容を明確に設定し, 適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにすること。
(1) 具体的なねらい及び内容は, 幼稚部の生活における幼児の発達の過程を見通し, 幼児の生活の連続性,季節の変化などを考慮して,幼児の障害の状態,発達や経験の程度,興味や関心などに応じて設定すること。
(2) 環境は, 具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し, 幼児が自らその環境にかかわることにより様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにすること。 その際, 幼児の生活する姿や発想を大切にし, 常にその環境が適切なものとなるようにすること。
(3) 幼児の行う具体的な活動は, 生活の流れの中で様々に変化するものであることに留意し,幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をすること。
その際, 幼児の実態及び幼児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての反省や評価を適切に行い, 常に指導計画の改善を図ること。
3 幼児の障害の状態などに応じた効果的な指導を行うため, 一人一人の幼児の実態を的確に把握し, 個別の指導計画を作成すること。 また, 個別の指導計画に基づいて行われた活動の状況や結果を適切に評価し, 指導の改善に努めること。
4 幼児の生活は, 入学当初の一人一人の遊びや教師との触れ合いを通して学校生活に親しみ,安定していく時期から, やがて友達同士で目的をもって学校生活を展開し, 深めていく時期などに至るまでの過程を様々に経ながら広げられていくものであることを考慮し, 活動がそれぞれの時期にふさわ...
5 幼児が様々な人やものとのかかわりを通して, 多様な体験をし, 心身の調和のとれた発達を促すようにしていくこと。 その際, 心が動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し,一つ一つの体験が相互に結び付き, 学校生活が充実するようにすること。
6 長期的に発達を見通した年, 学期, 月などにわたる長期の指導計画やこれとの関連を保ちながらより具体的な幼児の生活に即した週, 日などの短期の指導計画を作成し, 適切な指導が行われるようにすること。特に,週, 日などの短期の指導計画については,幼児の障害の状態や生活のリズ...
7 幼児の行う活動は, 個人, グループ, 学級全体などで多様に展開されるものであるが, いずれの場合にも, 学校全体の教師による協力体制をつくりながら, 一人一人の幼児が興味や欲求を十分に満足させるよう適切な援助を行うようにすること。
8 幼児の主体的な活動を促すためには, 教師が多様なかかわりをもつことが重要であることを踏まえ, 教師は, 理解者, 共同作業者など様々な役割を果たし, 幼児の発達に必要な豊かな体験が得られるよう,活動の場面に応じて,適切な指導を行うようにすること。
9 幼児の生活は, 家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりをもつものであることに留意し, 家庭との連携を十分に図るなど, 学校生活が家庭や地域社会と連続性を保ちつつ展開されるようにすること。その際,地域の自然,人材,行事や公共施設などの地域の資源を積極的に活用し, 幼児が...
10 各学校においては, 幼稚部における教育が, 小学部以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し, 幼児期にふさわしい生活を通して, 創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにすること。
11 幼児の経験を広めて積極的な態度を養い, 社会性や豊かな人間性をはぐくむために, 学校生活全体を通じて, 幼稚園の幼児などと活動を共にすることを計画的, 組織的に行うとともに,地域の人々などと活動を共にする機会を積極的に設けること。
12 学校医等との連絡を密にし, 幼児の障害の状態に応じた保健及び安全に十分留意すること。
13 家庭及び地域や医療, 福祉, 保健等の業務を行う関係機関との連携を図り, 長期的な視点で幼児への教育的支援を行うために, 個別の教育支援計画を作成すること。
第2 特に留意する事項
1 安全に関する指導に当たっては, 情緒の安定を図り, 遊びを通して状況に応じて機敏に自分の体を動かすことができるようにするとともに,危険な場所や事物などが分かり,安全についての理解を深めるようにすること。また,交通安全の習慣を身に付けるようにするとともに,災害などの緊急時に適...
2 行事の指導に当たっては,幼稚部における生活の自然な流れの中で生活に変化や潤いを与え,幼児が主体的に楽しく活動できるようにすること。 なお, それぞれの行事についてはその教育的価値を十分検討し, 適切なものを精選し, 幼児の負担にならないようにすること。
3 知的障害のある幼児の指導に当たっては, その障害の状態等に応じて具体的な内容の設定を工夫すること。
4 複数の種類の障害を併せ有する幼児の指導に当たっては, 専門的な知識や技能を有する教師間の協力の下に指導を行ったり, 必要に応じて専門の医師及びその他の専門家の指導 ・助言を求めたりするなどして, 全人的な発達を促すようにすること。
5 教育課程に係る教育時間の終了後等に幼児を対象に教育活動を行う場合は, 第1章の第1に示す幼稚部における教育の基本及び第2に示す幼稚部における教育の目標を踏まえて実施すること。 その際, 幼児の心身の負担, 教育課程に基づく活動との関連, 家庭との緊密な連携などに配慮すること...
6 幼稚部の運営に当たっては, 幼稚園等の要請により, 障害のある幼児又は当該幼児の教育を担当する教師等に対して必要な助言又は援助を行ったり, 地域の実態や家庭の要請等により障害のある乳幼児又はその保護者に対して早期からの教育相談を行ったりするなど, 各学校の教師の専門性や施設...
7 以上のほか,次の事項に留意すること。
(1) 視覚障害者である幼児に対する教育を行う特別支援学校においては, 早期からの教育相談との関連を図り, 幼児が聴覚, 触覚及び保有する視覚などを十分に活用して周囲の状況を把握し,活発な活動が展開できるようにすること。また,身の回りの具体的な事物・事象や動作と言葉とを結び付けて基...
(2) 聴覚障害者である幼児に対する教育を行う特別支援学校においては, 早期からの教育相談との関連を図り, 保有する聴覚や視覚的な情報などを十分に活用して言葉の習得と概念の形成を図る指導を進めること。 また, 言葉を用いて人とのかかわりを深めたり, 日常生活に必要な知識を広げたり...
(3) 知的障害者である幼児に対する教育を行う特別支援学校においては, 幼児の活動内容や環境の設定を創意工夫し,活動への意欲を高めて,発達を促すようにすること。また,ゆとりや見通しをもって活動に取り組めるよう配慮するとともに, 周囲の状況に応じて安全に行動できるようにすること。
(4) 肢体不自由者である幼児に対する教育を行う特別支援学校においては, 幼児の身体の動きや健康の状態等に応じ, 可能な限り体験的な活動を通して経験を広めるようにすること。 また,幼児が興味や関心をもって,進んで身体を動かそうとしたり,表現したりするような環境を創意工夫すること。
(5) 病弱者である幼児に対する教育を行う特別支援学校においては, 幼児の病気の状態等を十分に考慮し, 負担過重にならない範囲で, 様々な活動が展開できるようにすること。 また,健康状態の維持・改善に必要な生活習慣を身に付けることができるようにすること。
第1章 総則
第1節 教育目標 小学部及び中学部における教育については,学校教育法第72条に定める目的を実現するために,児童及び生徒の障害の状態及び特性等を十分考慮して, 次に掲げる 目標の達成に努めなければならない。
1 小学部においては, 学校教育法第30条第1項に規定する小学校教育の目標
2 中学部においては, 学校教育法第46条に規定する中学校教育の目標
3 小学部及び中学部を通じ, 児童及び生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識, 技能, 態度及び習慣を養うこと。
第2節 教育課程の編成
第1 一般方針
1 各学校においては, 教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い, 児童又は生徒の人間として調和のとれた育成を目指し, その障害の状態及び発達の段階や特性等並びに地域や学校の実態を十分考慮して, 適切な教育課程を編成するものとし, これらに掲げる...
2 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。) を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動のそれぞれの特質に応じて,児童又は生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行...
3 学校における体育・健康に関する指導は,児童又は生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。 特に, 学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導, 安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については, 小学部の体育科及び中学...
4 学校における自立活動の指導は,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し,自立し社会参加する資質を養うため,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,自立活動の時間における指導は,各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動と密接な関連を保ち,...
第2 内容等の取扱いに関する共通的事項
1 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動,特別活動及び自立活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章第1節第1款及び同章第2節第 1款において準ずるものとしている小学校学習指導要領第2章及び中学校学習指導要領第2章に示す各教科の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す...
3 第2章以下に示す各教科,道徳科,外国語活動,特別活動及び自立活動並びに各学年,各分野又は各言語の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
4 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校の小学部において, 学年の目標及び内容を2学年まとめて示した教科及び外国語活動の内容は, 2学年間かけて指導する事項を示したものである。 各学校においては, これらの事項を地域や学...
5 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部においては, 選択教科を開設し, 生徒に履修させることができる。 その場合, 次のとおり取り扱うものとする。
(1) 地域や学校, 生徒の実態を考慮し, すべての生徒に指導すべき内容との関連を図りつつ,選択教科の授業時数及び内容を適切に定め選択教科の指導計画を作成する こ と。
(2) 選択教科の内容については, 課題学習, 補充的な学習や発展的な学習など, 生徒の障害の状態や特性等に応じた多様な学習活動が行えるよう各学校において適切に定めること。 その際, 生徒の負担過重となることのないようにしなければならない。
(3) 各学校においては, 第2章に示す各教科を選択教科として設けることができるほか, 地域や学校, 生徒の実態を考慮して, 特に必要がある場合には, その他特に必要な教科を選択教科として設けることができる。その他特に必要な教科の名称, 目標,内容などについては,各学校が適切に定...
6 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部においては,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育及び職業・家庭の各教科,道徳科,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動については,特に示す場合を除き,全ての生徒に履修させるものとする。また,外国語科について...
7 知的障害者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校において,各教科の指導に当たっては,各教科(小学部においては各教科の各段階。以下この項において同じ。)に示す内容を基に,児童又は生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,具体的に指導内容を設定するものとする。また,各教科,...
8 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部においては, 地域や学校,生徒の実態を考慮して, 特に必要がある場合には, その他特に必要な教科を選択教科として設けることができる。 その他特に必要な教科の名称, 目標, 内容などについては, 各学校が適切に定める...
9 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,小学部においては第3章において準ずるものとしている小学校学習指導要領第3章第2に示す内容,中学部においては第3章において準ずるものとしている中学校学習指導要領第3章第2に示す内容とする。
第3 授業時数等の取扱い
1 小学部又は中学部の各学年における第2章以下に示す各教科(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部において,外国語科を設ける場合を含む。以下同じ。),道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動(学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。以下この項,4...
2 小学部又は中学部の各学年の総合的な学習の時間に充てる授業時数は, 児童又は生徒の障害の状態や発達の段階等を考慮して, 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校については, 小学部第3学年以上及び中学部において, 知的...
3 小学部又は中学部の各学年の自立活動の時間に充てる授業時数は, 児童又は生徒の障害の状態に応じて, 適切に定めるものとする。
4 小学部又は中学部の各教科等の授業は,年間35週(小学部第1学年については34週)以上にわたって行うように計画し, 週当たりの授業時数が児童又は生徒の負担過重にならないようにするものとする。 ただし, 各教科等 (中学部においては, 特別活動を除く。) や学習活動の特質に応じ...
5 特別活動の授業のうち,小学部の児童会活動及びクラブ活動, 中学部の生徒会活動並びに学校行事については, それらの内容に応じ, 年間, 学期ごと, 月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
6 小学部又は中学部の各教科等のそれぞれの授業の 1 単位時間は, 各学校において, 児童又は生徒の障害の状態や発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定める ものとする。 なお, 中学部においては, 10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合に...
7 各学校においては,地域や学校,児童又は生徒の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて, 創意工夫を生かし時間割を弾力的に編成することができる。
8 総合的な学習の時間における学習活動により, 特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては, 総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項
1 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
(2) 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校の小学部において, 学年の目標及び内容を2学年まとめて示した教科及び外国語活動については, 当該学年間を見通して, 地域や学校及び児童の実態に応じ, その障害の状態や発達の段階を考慮し...
(3) 各教科の各学年, 各分野又は各言語の指導内容については, そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加えるなど, 効果的な指導ができるようにすること。
(4)小学部においては,児童の実態等を考慮し,指導の効果を高めるため,合科的・関連的な指導を進めること。
(5) 各教科等の指導に当たっては, 個々の児童又は生徒の実態を的確に把握し, 個別の指導計画を作成すること。 また, 個別の指導計画に基づいて行われた学習の状況や結果を適切に評価し, 指導の改善に努めること。
(6) 学校がその目的を達成するため, 地域や学校の実態等に応じ, 家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。 また, 学校相互の連携や交流を図ることにも努めること。 特に, 児童又は生徒の経験を広めて積極的な態度を養い, 社会性や豊かな人間性をはぐくむた...
2 各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学校の教育活動全体を通じて, 個に応じた指導を充実するため, 個別の指導計画に基づき指導方法や指導体制の工夫改善に努めること。 その際, 児童又は生徒の障害の状態や学習の進度等を考慮して,個別指導を重視するとともに,授業形態や集団の構成の工夫,それぞれの教師の専門性を生かし...
(2) 複数の種類の障害を併せ有する児童又は生徒(以下「重複障害者」 という。) については,専門的な知識や技能を有する教師間の協力の下に指導を行ったり, 必要に応じて専門の医師及びその他の専門家の指導・助言を求めたりするなどして,学習効果を一層高めるようにすること。
(3) 各教科等の指導に当たっては, 児童又は生徒の思考力, 判断力, 表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め, 言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え, 児童又は生徒の言語活動を充...
(4) 各教科等の指導に当たっては, 体験的な学習や基礎的・基本的な知識及び技能を活用した問題解決的な学習を重視するとともに,児童又は生徒の興味・関心を生かし, 自主的, 自発的な学習が促されるよう工夫すること。
(5) 教師と児童生徒の信頼関係及び児童生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに児童生徒理解を深め, 生徒指導の充実を図ること。 また, 中学部においては, 生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよ う, 校内の組織体制を整備し, 教師間の相互の連携を図りなが...
(6) 小学部の各教科等の指導に当たっては, 児童が学習課題や活動を選択したり, 自らの将来について考えたりする機会を設けるなど工夫すること。 また, 中学部においては, 生徒が学校や学級での生活によりよく適応するとともに, 現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成する...
(7) 各教科等の指導に当たっては, 児童又は生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること。
(8)海外から帰国した児童又は生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うこと。
(9) 障害のため通学して教育を受けることが困難な児童又は生徒に対して, 教員を派遣して教育を行う場合については, 障害の状態や学習環境等に応じて, 指導方法や指導体制を工夫し,学習活動が効果的に行われるようにすること。
(10) 各教科等の指導に当たっては, 児童又は生徒がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ, その基本的な操作や情報モラルを身に付け, 適切かつ主体的, 積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え,視聴覚教材や教育機...
(11) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り, 児童又は生徒の主体的, 意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(12)児童又は生徒のよい点や可能性,進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し, 指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(13) 学校医等との連絡を密にし, 児童又は生徒の障害の状態に応じた保健及び安全に十分留意すること。
(14)家庭及び地域や医療,福祉,保健,労働等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で児童又は生徒への教育的支援を行うために, 個別の教育支援計画を作成すること。
(15) 中学部において, 生徒の自主的, 自発的な参加により行われる部活動については, スポーツや文化及び科学等に親しませ, 学習意欲の向上や責任感, 連帯感の涵養等に資するものであり, 学校教育の一環として, 教育課程との関連が図られるよう留意すること。 その際, 地域や学校...
(16)小学校又は中学校等の要請により,障害のある児童,生徒又は当該児童若しくは生徒の教育を担当する教師等に対して必要な助言又は援助を行ったり, 地域の実態や家庭の要請等により保護者等に対して教育相談を行ったりするなど, 各学校の教師の専門性や施設・設備を生かした地域における特別支...
3 道徳教育を進めるに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校においては,第1の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,児童又は生...
(2) 小学部においては,児童の障害の状態及び発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,各学年を通じて,自立心や自律性,生命を尊重する心や他者を思いやる心を育てることに留意すること。また,各学年段階においては,次の事項に留意すること。
ア 第1学年及び第2学年においては,挨拶などの基本的な生活習慣を身に付けること,善悪を判断し,してはならないことをしないこと,社会生活上のきまりを守ること。
イ 第3学年及び第4学年においては,善悪を判断し,正しいと判断したことを行うこと,身近な人々と協力し助け合うこと,集団や社会のきまりを守ること。
ウ 第5学年及び第6学年においては,相手の考え方や立場を理解して支え合うこと,法やきまりの意義を理解して進んで守ること,集団生活の充実に努めること,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重すること。
(3) 小学部においては,学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,児童の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保 等にも資す...
(4) 中学部においては,生徒の障害の状態及び発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,小学部における道徳教育の指導内 容を更に発展させ,自立心や自律性を高め,規律ある生活をすること,生 命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること,...
(5) 中学部においては,学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保 等にも資す...
(6) 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
第5 重複障害者等に関する教育課程の取扱い
1 児童又は生徒の障害の状態により特に必要がある場合には, 次に示すところによるものとする。
(1) 各教科及び外国語活動の目標及び内容に関する事項の一部を取り扱わないことができること。
(2) 各教科及び道徳科の各学年の目標及び内容の全部又は一部を,当該学年の前各学年の目標及び内容の全部又は一部によって,替えることができること。
(3) 中学部の各教科及び道徳科の目標及び内容に関する事項の全部又は一部を,当該各教科及び道徳科に相当する小学部の各教科及び道徳科の目標及び内容に関する事項の全部又は一部によって,替えることができること。
(4) 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部の外国語科については, 外国語活動の目標及び内容の一部を取り入れることができること。
(5) 幼稚部教育要領に示す各領域のねらい及び内容の一部を取り入れることができること。
2 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校に就学する児童又は生徒のうち, 知的障害を併せ有する者については, 各教科又は各教科の目標及び内容に関する事項の一部を, 当該各教科に相当する第2章第1節第2款若しくは第2節第...
3 重複障害者のうち,障害の状態により特に必要がある場合には,各教科,道徳科,外国語活動若しくは特別活動の目標及び内容に関する事項の一部又は各教科,外国語活動若しくは総合的な学習の時間に替えて,自立活動を主として指導を行うことができるものとする。
4 障害のため通学して教育を受けることが困難な児童又は生徒に対して, 教員を派遣して教育を行う場合については, 上記1から3に示すところによることができるものとする。
5 重複障害者, 療養中の児童若しくは生徒又は障害のため通学して教育を受けることが困難な児童若しくは生徒に対して教員を派遣して教育を行う場合について, 特に必要があるときは,実情に応じた授業時数を適切に定めるものとする。
第2章 各教科
第1節 小学部
第1款 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校 各教科の目標, 各学年の目標及び内容並びに指導計画の作成と内容の取扱いについては, 小学校学習指導要領第2章に示すものに準ずるものとする。 指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱い...
1 視覚障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校
(1)児童が聴覚,触覚及び保有する視覚などを十分に活用して,具体的な事物・事象や動作と言葉とを結び付けて, 的確な概念の形成を図り, 言葉を正しく理解し活用できるようにすること。
(2) 児童の視覚障害の状態等に応じて, 点字又は普通の文字の読み書きを系統的に指導し, 習熟させること。 なお, 点字を常用して学習する児童に対しても, 漢字・漢語の理解を促すため, 児童の発達の段階等に応じて適切な指導が行われるようにすること。
(3)児童の視覚障害の状態等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどして指導すること。
(4)触覚教材,拡大教材,音声教材等の活用を図るとともに,児童が視覚補助具やコンピュータ等の情報機器などの活用を通して, 容易に情報の収集や処理ができるようにするなど, 児童の視覚障害の状態等を考慮した指導方法を工夫すること。
(5) 児童が空間や時間の概念を活用して場の状況や活動の過程等を的確に把握できるよう配慮し, 見通しをもって意欲的な学習活動を展開できるようにすること。
2 聴覚障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校
(1) 体験的な活動を通して的確な言語概念の形成を図り, 児童の発達に応じた思考力の育成に努めること。
(2) 児童の言語発達の程度に応じて, 主体的に読書に親しんだり, 書いて表現したりする態度を養うように工夫すること。
(3)児童の聴覚障害の状態等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどして指導すること。
(4) 補聴器等の利用により, 児童の保有する聴覚を最大限に活用し, 効果的な学習活動が展開できるようにすること。
(5)視覚的に情報を獲得しやすい教材・教具やその活用方法等を工夫するとともに, コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し, 指導の効果を高めるようにすること。
(6)児童の聴覚障害の状態等に応じ,音声,文字,手話等のコミュニケーション手段を適切に活用して, 意思の相互伝達が活発に行われるように指導方法を工夫すること。
3 肢体不自由者である児童に対する教育を行う特別支援学校
(1) 体験的な活動を通して表現する意欲を高めるとともに, 児童の言語発達の程度や身体の動きの状態に応じて, 考えたことや感じたことを表現する力の育成に努めること。
(2) 児童の身体の動きの状態や生活経験の程度等を考慮して, 指導内容を適切に精選し, 基礎的・基本的な事項に重点を置くなどして指導すること。
(3) 身体の動きやコミュニケーション等に関する内容の指導に当たっては, 特に自立活動における指導との密接な関連を保ち, 学習効果を一層高めるようにすること。
(4) 児童の学習時の姿勢や認知の特性等に応じて, 指導方法を工夫すること。
(5)児童の身体の動きや意思の表出の状態等に応じて,適切な補助用具や補助的手段を工夫するとともに, コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにすること。
4 病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校
(1) 児童の授業時数の制約や病気の状態等に応じて, 指導内容を適切に精選し, 基礎的・基本的な事項に重点を置くとともに, 各教科等相互の関連を図ったり, 指導内容の連続性に配慮した工夫を行ったりして, 効果的な学習活動が展開できるようにすること。
(2) 健康状態の改善等に関する内容の指導に当たっては, 特に自立活動における指導との密接な関連を保ち, 学習効果を一層高めるようにすること。
(3) 体験的な活動を伴う内容の指導に当たっては, 児童の病気の状態や学習環境に応じて指導方法を工夫し, 効果的な学習活動が展開できるようにすること。
(4)児童の身体活動の制限の状態等に応じて,教材・教具や補助用具などを工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し, 指導の効果を高めるようにすること。
(5) 児童の病気の状態等を考慮し, 学習活動が負担過重とならないようにすること。
第2款 知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校
第1 各教科の目標及び内容
[生活]
1 目標 日常生活の基本的な習慣を身に付け,集団生活への参加に必要な態度や技能を養うとともに,自分と身近な社会や自然とのかかわりについて関心を深め, 自立的な生活をするための基礎的能力と態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1) 日常生活に必要な身辺処理を求めたり, 教師と一緒に行ったりする。
(2) 教師と一緒に健康で安全な生活をする。
(3) 教師や友達と同じ場所で遊ぶ。
(4) 教師と一緒に身近な人に簡単なあいさつをする。
(5) 教師と一緒に集団活動に参加する。
(6) 教師と一緒に簡単な手伝いや仕事をする。
(7) 教師と一緒に日常生活の簡単なきまりに従って行動する。
(8) 教師と一緒に日課に沿って行動する。
(9) 教師と一緒に簡単な買い物をする。
(10) 身近な自然の中で, 教師と一緒に遊んだり, 自然や生き物に興味や関心をもったりする。
(11) 家族や家の近所などの様子に興味や関心をもつ。
(12) 身近な公共施設や公共物などを教師と一緒に利用する。
○2段階
(1) 教師の援助を受けながら 日常生活に必要な身辺処理をする。
(2) 教師の援助を受けながら健康で安全な生活をする。
(3) 教師や友達と簡単なきまりのある遊びをする。
(4) 教師の援助を受けながら身近な人にあいさつや話をするなどのかかわりをもつ。
(5)集団活動に参加し,簡単な係活動をする。
(6) 教師の援助を受けながら簡単な手伝いや仕事をする。
(7) 日常生活に必要な簡単なきまりやマナーに気付き, それらを守って行動する。
(8) 教師の援助を受けながら日課に沿って行動する。
(9) 決まった額の買い物をして, 金銭の必要なことが分かる。
(10) 身近な自然の中で遊んだり,動植物を育てたりして自然や生き物への興味や関心を深める。
(11) 家族の役割や身近な地域の様子に興味や関心をもち, 自分と家庭や社会とのかかわりに気付く。
(12) 教師の援助を受けながら身近な公共施設や公共物などを利用する。
○3段階
(1) 日常生活に必要な身辺処理を自分でする。
(2)健康や身体の変化に関心をもち,健康で安全な生活をするように心掛ける。
(3)友達とかかわりをもち, きまりを守って仲良く遊ぶ。
(4) 身近な人と自分とのかかわりが分かり, 簡単な応対などをする。
(5)進んで集団生活に参加し,簡単な役割を果たす。
(6) 日常生活で簡単な手伝いや仕事を進んでする。
(7) 日常生活に必要な簡単なきまりやマナーが分かり, それらを守って行動する。
(8) 日常生活でのおよその予定が分かり, 見通しをもって行動する。
(9)簡単な買い物をして,金銭の取扱いに慣れる。
(10) 身近な自然の事物・現象に興味や関心を深め, その特徴や変化の様子を知る。
(11) 家庭や社会の様子に興味や関心を深め, その働きを知る。
(12) 身近な公共施設や公共物などを利用し, その働きを知る。
[国語]
1 目標 日常生活に必要な国語を理解し, 伝え合う力を養うとともに, それらを表現する能力と態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1) 教師の話を聞いたり, 絵本などを読んでもらったりする。
(2)教師などの話し掛けに応じ,表情,身振り,音声や簡単な言葉で表現する。
(3) 教師と一緒に絵本などを楽しむ。
(4) いろいろな筆記用具を使って書くことに親しむ。
○2段階
(1) 教師や友達などの話し言葉に慣れ, 簡単な説明や話し掛けが分かる。
(2) 見聞きしたことなどを簡単な言葉で話す。
(3)文字などに関心をもち,読もうとする。
(4) 文字を書くことに興味をもつ。
○3段階
(1)身近な人の話を聞いて, 内容のあらましが分かる。
(2) 見聞きしたことなどのあらましや自分の気持ちなどを教師や友達と話す。
(3) 簡単な語句や短い文などを正しく読む。
(4) 簡単な語句や短い文を平仮名などで書く。
[算数]
1 目標 具体的な操作などの活動を通して, 数量や図形などに関する初歩的なことを理解し, それらを扱う能力と態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1) 具体物があることが分かり, 見分けたり, 分類したりする。
(2) 身近にあるものの大小や多少などに関心をもつ。
(3) 身近にあるものの形の違いに気付く。
○2段階
(1) 身近にある具体物を数える。
(2) 身近にあるものの長さやかさなどを比較する。
(3) 基本的な図形や簡単な図表に関心をもつ。
(4) 一日の時の移り変わりに気付く。
○3段階
(1) 初歩的な数の概念を理解し, 簡単な計算をする。
(2) 身近にあるものの重さや広さなどが分かり, 比較する。
(3) 基本的な図形が分かり, その図形を描いたり, 簡単な図表を作ったりする。
(4) 時計や暦に関心をもつ。
[音楽]
1 目標 表現及び鑑賞の活動を通して, 音楽についての興味や関心をもち, その美しさや楽しさを味わうようにする。
2 内容
○1段階
(1) 音楽が流れている中で体を動かして楽しむ。
(2) 音の出るおもちゃで遊んだり, 扱いやすい打楽器などでいろいろな音を鳴らしたりして楽しむ。
○2段階
(1) 好きな音や音楽を聴いて楽しむ。
(2)友達や教師とともに簡単なリズムの特徴を感じ取って身体を動かす。
(3) 打楽器などを使ってリズム遊びや簡単な合奏をする。
(4) 好きな歌ややさしい旋律の一部分を楽しく歌う。
○3段階
(1) 身近な人の歌や演奏などを聴き, いろいろな音楽に関心をもつ。
(2) 音楽に合わせて簡単な身体表現をする。
(3)旋律楽器に親しみ, 簡単な楽譜を見ながらリズム合奏をする。
(4) やさしい歌を伴奏に合わせながら, 教師や友達などと一緒に歌ったり, 一人で歌ったりする。
[図画工作]
1 目標 初歩的な造形活動によって, 造形表現についての興味や関心をもち, 表現の喜びを味わうようにする。
2 内容
○1段階
(1) かいたり, つくったり, 飾ったりすることに関心をもつ。
(2)土,木,紙などの身近な材料をもとに造形遊びをする。
○2段階
(l) 見たことや感じたことを絵にかいたり, つくったり, それを飾ったりする。
(2)粘土, クレヨン, はさみ, のりなどの身近な材料や用具を親しみながら使う。
○3段階
(1) 見たこと, 感じたことや想像したことを, 工夫して絵にかいたり, つくったり, それを飾ったり,使ったりする。
(2) いろいろな材料や用具を工夫しながら, 目的に合わせて使う。
(3)友達と作品を見せ合ったり, 造形品などの形や色, 表し方の面白さなどに気付いたりする。
[体育]
1 目標 適切な運動の経験を通して, 健康の保持増進と体力の向上を図り, 楽しく明るい生活を営む態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1) 教師と一緒に, 楽しく手足を動かしたり, 歩く, 走るなどの基本的な運動をしたりする。
(2)いろいろな器械・器具・用具を使った遊び,表現遊び,水遊びなどを楽しく行う。
(3)簡単な合図や指示に従って, 楽しく運動をする。
○2段階
(1)歩く,走る,跳ぶなどの基本的な運動に慣れる。
(2)いろいろな器械・器具・用具を使った運動,表現運動,水の中での運動などに親しむ。
(3)簡単なきまりを守り,友達とともに安全に運動をする。
○3段階
(1) 歩く, 走る, 跳ぶなどの基本的な運動を姿勢や動きを変えるなどしていろいろな方法で行う。
(2)いろいろな器械・器具・用具を使った運動,表現運動,水の中での運動などをする。
(3) いろいろなきまりを守り, 友達と協力して安全に運動をする。
第2 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 個々の児童の知的障害の状態や経験等を考慮しながら, 各教科の相当する段階の内容の中から実際に指導する内容を選定し, 配列して, 具体的に指導内容を設定するものとする。
2 個々の児童の実態に即して,生活に結び付いた効果的な指導を行うとともに,児童が見通しをもって, 意欲的に学習活動に取り組むことができるよう配慮するものとする。
3 児童の実態に即して学習環境を整えるなど, 安全に留意するものとする。
4 家庭等との連携を図り, 児童が学習の成果を実際の生活に生かすことができるよう配慮するものとする。
5 児童の知的障害の状態や経験等に応じて,教材・教具や補助用具などを工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し, 指導の効果を高めるようにするものとする。
第2節 中学部
第1款 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校 各教科の目標, 各学年, 各分野又は各言語の目標及び内容並びに指導計画の作成と内容の取扱いについては, 中学校学習指導要領第2章に示すものに準ずるものとする。 指導計画の作成と内容...
第2款 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
第1 各教科の目標及び内容
[国語]
1 目標 日常生活に必要な国語についての理解を深め, 伝え合う力を高めるとともに, それらを活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 話のおよその内容を聞き取る。
(2) 見聞きしたことや経験したこと, 自分の意見などを相手に分かるように話す。
(3)簡単な語句, 文及び文章などを正しく読む。
(4) 簡単な手紙や日記などの内容を順序立てて書く。
[社会]
1 目標 社会の様子, 働きや移り変わりについての関心と理解を深め, 社会生活に必要な基礎的な能力と態度を育てる。
2 内容
(1)集団生活の中での役割を理解し, 自分の意見を述べたり,相手の立場を考えたりして,互いに協力し合う。
(2)社会生活に必要ないろいろなきまりがあることを知り, それらを守る。
(3) 日常生活に関係の深い公共施設や公共物などの働きが分かり, それらを利用する。
(4) 日常生活で経験する社会の出来事や情報メディアなどに興味や関心をもち, 生産, 消費などの経済活動に関する初歩的な事柄を理解する。
(5) 自分が住む地域を中心に, 我が国のいろいろな地域の様子や社会の移り変わりに関心をもつ。
(6) 外国の様子や世界の出来事などに興味や関心をもつ。
[数学]
1 目標 日常生活に必要な数量や図形などに関する初歩的な事柄についての理解を深め, それらを扱う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 日常生活における初歩的な数量の処理や計算をする。
(2)長さ・重さなどの単位が分かり,測定する。
(3)図形の特徴や図表の内容を理解し,作成する。
(4)金銭や時計・暦などの使い方に慣れる。
[理科]
1 目標 日常生活に関係の深い自然の仕組みや働きなどに関する初歩的な事柄についての理解を図り,科学的な見方や考え方を養うとともに, 自然を大切にする態度を育てる。
2 内容
(1) 人の体の主なつくりや働きに関心をもつ。
(2) 身近な生物の特徴, その成長及び活動の様子に関心をもつ。
(3) 日常生活に関係の深い事物や機械・器具の仕組みと扱いについての初歩的な知識をもつ。
(4) 自然の事物・現象についての興味を広げ, 日常生活との関係を知る。
[音楽]
1 目標 表現及び鑑賞の能力を培い, 音楽についての興味や関心を深め, 生活を明るく楽しいものにする態度と習慣を育てる。
2 内容
(1) いろいろな音楽を楽器の音色などに関心をもって聴く。
(2) 音楽を聴いて感じたことを動作で表現したり, リズムに合わせて身体表現をしたりする。
(3) 打楽器や旋律楽器などを使って, 自由に演奏したり, 合奏や独奏をしたりする。
(4)歌詞やリズムなどに気を付けて,独唱,斉唱,簡単な輪唱などをする。
[美術]
1 目標 造形活動によって, 表現及び鑑賞の能力を培い, 豊かな情操を養う。
2 内容
(1)経験や想像をもとに,計画を立てて,絵をかいたり,作品をつくったり,それらを飾ったりする。
(2) いろいろな材料や用具などの扱い方を理解して使う。
(3) 自然や造形品の美しさなどに親しみをもつ。
[保健体育]
1 目標 適切な運動の経験や健康・ 安全についての理解を通して, 健康の保持増進と体力の向上を図るとともに,明るく豊かな生活を営む態度を育てる。
2 内容
(1)体つくり運動,簡単なスポーツ,ダンスなどの運動をする。
(2) きまりや簡単なスポーツのルールなどを守り, 友達と協力して安全に運動をする。
(3) 自分の発育・発達に関心をもったり,健康・安全に関する初歩的な事柄を理解したりする。
[職業・家庭]
1 目標 明るく豊かな職業生活や家庭生活が大切なことに気付くようにするとともに,職業生活及び家庭生活に必要な基礎的な知識と技能の習得を図り, 実践的な態度を育てる。
2 内容
(1)働くことに関心をもち, 作業や実習に参加し, 働く喜びを味わう。
(2) 職業に就くためには, 基礎的な知識と技能が必要であることを理解する。
(3) 道具や機械, 材料の扱い方などが分かり , 安全や衛生に気を付けながら作業や実習をする。
(4) 自分の役割を理解し, 他の者と協力して作業や実習をする。
(5) 産業現場等における実習を通して, いろいろな職業や職業生活, 進路に関心をもつ。
(6) 家族がそれぞれの役割を分担していることを理解し, 楽しい家庭づくりをするために協力する。
(7) 家庭生活に必要な衣服とその着方, 食事や調理, 住まいや暮らし方などに関する基礎的な知識と技能を身に付ける。
(8) 職業生活や家庭生活で使われるコンピュータ等の情報機器の初歩的な扱いに慣れる。
(9) 家庭生活における余暇の過ごし方が分かる。
[外国語]
1 目標 外国語に親しみ, 簡単な表現を通して, 外国語や外国への関心を育てる。
2 内容
英語
(1) 身近な生活の中で見聞きする英語に興味や関心をもつ。
(2) 簡単な英語を使って表現する。
その他の外国語 その他の外国語の内容については, 英語に準ずるものとする。
第2 指導計画の作成と各教科全体及び各教科の内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 個々の生徒の知的障害の状態や経験等を考慮しながら, 実際に指導する内容を選定し, 配列して, 具体的に指導内容を設定するものとする。
2 個々の生徒の実態に即して,生活に結び付いた効果的な指導を行うとともに,生徒が見通しをもって, 意欲的に学習活動に取り組むことができるよう配慮するものとする。
3 生徒の実態に即して学習環境を整えるなど, 安全に留意するものとする。
4 家庭等との連携を図り, 生徒が学習の成果を実際の生活に生かすことができるよう配慮するものとする。
5 生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,教材・教具や補助用具などを工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し, 指導の効果を高めるようにするものとする。
第3章 特別の教科 道徳 小学部又は中学部の道徳科の目標,内容及び指導計画の作成と内容の取扱いに ついては,それぞれ小学校学習指導要領第3章又は中学校学習指導要領第3章に示すものに準ずるほか,次に示すところによるものとする。
1 児童又は生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服して,強く生きようとする意欲を高め, 明るい生活態度を養うとともに, 健全な人生観の育成を図る必要があること。
2 各教科,外国語活動,総合的な学習の時間, 特別活動及び自立活動との関連を密にしながら,経験の拡充を図り, 豊かな道徳的心情を育て, 広い視野に立って道徳的判断や行動ができるように指導する必要があること。
3 知的障害者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校において, 内容の指導に当たっては, 個々の児童又は生徒の知的障害の状態や経験等に応じて, 適切に指導の重点を定め,指導内容を具体化し, 体験的な活動を取り入れるなどの工夫を行うこと。
第4章 外国語活動 小学部における外国語活動の目標,内容及び指導計画の作成と内容の取扱いについては,小学校学習指導要領第4章に示すものに準ずるほか, 次の事項に配慮するものとする。
1 児童の障害の状態等に応じて,指導内容を適切に精選するとともに,その重点の置き方等を工夫すること。
2 指導に当たっては, 自立活動における指導との密接な関連を保ち, 学習効果を一層高めるようにすること。
第5章 総合的な学習の時間 小学部又は中学部における総合的な学習の時間の目標,各学校において定める目標及び内容並びに指導計画の作成と内容の取扱いについては, それぞれ小学校学習指導要領第5章又は中学校学習指導要領第4章に示すものに準ずるほか, 次に示すところによるものとする。
1 児童又は生徒の障害の状態や発達の段階等を十分考慮し, 学習活動が効果的に行われるよう配慮すること。
2 体験活動に当たっては,安全と保健に留意するとともに,学習活動に応じて,小学校の児童又は中学校の生徒などと交流及び共同学習を行うよう配慮すること。
第6章 特別活動 小学部又は中学部の特別活動の目標, 各活動 ・ 学校行事の目標及び内容並びに指導計画の作成と内容の取扱いについては, それぞれ小学校学習指導要領第6章又は中学校学習指導要領第5章に示すものに準ずるほか, 次に示すところによるものとする。
1 学級活動においては, 適宜他の学級や学年と合併するなどして, 少人数からくる種々の制約を解消し, 活発な集団活動が行われるようにする必要があること。
2 児童又は生徒の経験を広めて積極的な態度を養い,社会性や豊かな人間性をはぐくむために,集団活動を通して小学校の児童又は中学校の生徒などと交流及び共同学習を行ったり, 地域の人々などと活動を共にしたりする機会を積極的に設ける必要があること。 その際, 児童又は生徒の障害の状態や...
3 知的障害者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校において, 内容の指導に当たっては, 個々の児童又は生徒の知的障害の状態や経験等に応じて, 適切に指導の重点を定め,具体的に指導する必要があること。
第7章 自立活動
第1 目標 個々の児童又は生徒が自立を目指し, 障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識, 技能, 態度及び習慣を養い, もって心身の調和的発達の基盤を培う。
第2 内容
1 健康の保持
(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
(4)健康状態の維持・改善に関すること。
2 心理的な安定
(1) 情緒の安定に関すること。
(2) 状況の理解と変化への対応に関すること。
(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。
3 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4)集団への参加の基礎に関すること。
4 環境の把握
(1) 保有する感覚の活用に関すること。
(2)感覚や認知の特性への対応に関すること。
(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。
(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。
5 身体の動き
(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
(4) 身体の移動能力に関すること。
(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。
6 コミュニケーション
(1)コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
(2) 言語の受容と表出に関すること。
(3) 言語の形成と活用に関すること。
(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 自立活動の指導に当たっては, 個々の児童又は生徒の障害の状態や発達の段階等の的確な把握に基づき, 指導の目標及び指導内容を明確にし, 個別の指導計画を作成するものとする。 その際,第2に示す内容の中からそれぞれに必要とする項目を選定し, それらを相互に関連付け,具体的に指導...
2 個別の指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 個々の児童又は生徒について, 障害の状態, 発達や経験の程度, 興味・関心, 生活や学習環境などの実態を的確に把握すること。
(2) 実態把握に基づき, 長期的及び短期的な観点から指導の目標を設定し, それらを達成するために必要な指導内容を段階的に取り上げること。
(3) 具体的に指導内容を設定する際には, 以下の点を考慮すること。
ア 児童又は生徒が興味をもって主体的に取り組み, 成就感を味わうとともに自己を肯定的にとらえることができるような指導内容を取り上げること。
イ 児童又は生徒が,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服しようとする意欲を高めることができるような指導内容を重点的に取り上げること。
ウ 個々の児童又は生徒の発達の進んでいる側面を更に伸ばすことによって, 遅れている側面を補うことができるような指導内容も取り上げること。
エ 個々の児童又は生徒が,活動しやすいように自ら環境を整えたり,必要に応じて周囲の人に支援を求めたりすることができるような指導内容も計画的に取り上げること。
(4) 児童又は生徒の学習の状況や結果を適切に評価し, 個別の指導計画や具体的な指導の改善に生かすよう努めること。
3 指導計画の作成に当たっては,各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動の指導と密接な関連を保つようにし,計画的,組織的に指導が行われるようにするものとする。
4 個々の児童又は生徒の実態に応じた具体的な指導方法を創意工夫し, 意欲的な活動を促すようにするものとする。
5 重複障害者のうち自立活動を主として指導を行うものについては, 全人的な発達を促すために必要な基本的な指導内容を, 個々の児童又は生徒の実態に応じて設定し, 系統的な指導が展開できるようにするものとする。
6 自立活動の時間における指導は, 専門的な知識や技能を有する教師を中心として, 全教師の協力の下に効果的に行われるようにするものとする。
7 児童又は生徒の障害の状態により,必要に応じて,専門の医師及びその他の専門家の指導・助言を求めるなどして, 適切な指導ができるようにするものとする。
第1章 総則
第1節 教育目標 高等部における教育については,学校教育法第72条に定める目的を実現するために,生徒の障害の状態及び特性等を十分考慮して, 次に掲げる目標の達成に努めなければならない。
1 学校教育法第51条に規定する高等学校教育の目標
2 生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識, 技能,態度及び習慣を養うこと。
第2節 教育課程の編成
第1款 一般方針
1 各学校においては, 教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い, 生徒の人間として調和のとれた育成を目指し, その障害の状態, 発達の段階及び特性等,地域や学校の実態並びに学科の特色を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる...
2 学校における道徳教育は, 生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達の段階にあることを考慮し人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより, その充実を図るものとし, 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自...
3 学校における体育・健康に関する指導は,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。 特に, 学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導, 安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については, 保健体育科の時間はもとより, ...
4 学校における自立活動の指導は, 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し, 自立し社会参加する資質を養うため, 学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。 特に,自立活動の時間における指導は, 各教科に属する科目, 総合的な学習の時間及び特別活動 (知的障害者...
5 学校においては, 生徒の障害の状態, 地域や学校の実態等に応じて, 就業やボランティアにかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし, 勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ, 望ましい勤労観, 職業観の育成や社会奉仕の精神の涵養に資するものとする。
第2款 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科・科目等の履修等
第1 各教科・科目及び単位数等
1 卒業までに履修させる単位数等 各学校においては, 卒業までに履修させる下記2から5までに示す各教科に属する科目及びその単位数, 総合的な学習の時間の単位数, 特別活動及びその授業時数並びに自立活動の授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科に属する科目 (以下...
2 各学科に共通する各教科・科目及び標準単位数 各学校においては, 教育課程の編成に当たって, 次の表に掲げる各教科・科目及びそれぞれの標準単位数を踏まえ, 生徒に履修させる各教科・科目及びそれらの単位数について適切に定めるものとする。 ただし, 生徒の実態等を考慮し, 特に必...
【摘要】教科等(科目:標準単位数) 国語(国語総合:4,国語表現:3,現代文A:2,現代文B:4,古典A:2,古典B:4) 地理歴史(世界史A:2,世界史B:4,日本史A:2,日本史B:4,地理A:2,地理B:4) 公民(現代社会:2,倫理:2,政治・経済:2) 数学(数学Ⅰ:3,...
3 主として専門学科において開設される各教科・科目 各学校においては, 教育課程の編成に当たって, 視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の(1)及び(2), 聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の(1)及び(3), 肢...
(1)   視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
農業(農業と環境,課題研究,総合実習,農業情報処理,作物,野菜,果樹,草花,畜産,農業経営,農業機械,食品製造,食品化学,微生物利用,植物バイオテクノロジー,動物バイオテクノロジー,農業経済,食品流通,森林科学,森林経営,林産物利用,農業土木設計,農業土木施工,水循環,造園計画,造...
工業(工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業数理基礎,情報技術基礎,材料技術基礎,生産システム技術,工業技術英語,工業管理技術,環境工学基礎,機械工作,機械設計,原動機,電子機械,電子機械応用, 自動車工学, 自動車整備,電気基礎,電気機器,電力技術,電子技術,電子回路,電子...
商業(ビジネス基礎, 課題研究, 総合実践, ビジネス実務, マーケティング, 商品開発, 広告と販売促進, ビジネス経済, ビジネス経済応用, 経済活動と法, 簿記, 財務会計Ⅰ,財務会計Ⅱ,原価計算,管理会計,情報処理, ビジネス情報,電子商取引,プログラミング, ビジネ...
水産(水産海洋基礎,課題研究,総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作,電気理論,移動体通信工学, 海洋通信技術,資源増殖,海洋生物,海洋環境,小型船舶,食品製造,食品管理,水産流通,ダイビング,マリンスポーツ)
家庭(生活産業基礎, 課題研究, 生活産業情報, 消費生活, 子どもの発達と保育, 子ども文化,生活と福祉,リビングデザイン,服飾文化,ファッション造形基礎, ファッション造形, ファッションデザイン,服飾手芸, フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品,食品衛生,公衆衛生)
看護(基礎看護, 人体と看護, 疾病と看護, 生活と看護, 成人看護, 老年看護, 精神看護,在宅看護,母性看護,小児看護,看護の統合と実践,看護臨地実習,看護情報活用)
情報(情報産業と社会, 課題研究, 情報の表現と管理, 情報と問題解決, 情報テクノロジー, アルゴリズムとプログラム, ネットワークシステム, データベース, 情報システム実習,情報メディア,情報デザイン,表現メディアの編集と表現,情報コンテンツ実習)
福祉(社会福祉基礎, 介護福祉基礎, コミュニケーション技術, 生活支援技術, 介護過程,介護総合演習,介護実習, こころとからだの理解,福祉情報活用)
理数(理数数学Ⅰ, 理数数学Ⅱ, 理数数学特論, 理数物理, 理数化学, 理数生物, 理数地学,課題研究)
体育(スポーツ概論, スポーツⅠ, スポーツⅡ, スポーツⅢ, スポーツⅣ, スポーツⅤ,スポーツⅥ,スポーツ総合演習)
音楽(音楽理論,音楽史,演奏研究, ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,鑑賞研究)
美術(美術概論,美術史,素描,構成,絵画,版画,彫刻, ビジュアルデザイン, クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環境造形,鑑賞研究)
英語(総合英語,英語理解,英語表現,異文化理解,時事英語)
(2)   視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
保健理療(医療と社会, 人体の構造と機能, 疾病の成り立ちと予防, 生活と疾病, 基礎保健理療,臨床保健理療,地域保健理療と保健理療経営,保健理療基礎実習,保健理療臨床実習,保健理療情報活用,課題研究)
(3) 聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
印刷(印刷概論, 写真製版, 印刷機械・材料, 印刷デザイン, 写真化学・光学, 文書処理・管理,印刷情報技術基礎,画像技術,印刷総合実習,課題研究)
理容・美容(理容・美容関係法規, 衛生管理, 理容・美容保健, 理容・美容の物理・化学, 理容・美容文化論,理容・美容技術理論,理容・美容運営管理,理容実習,美容実習,理容・美容情報活用,課題研究)
クリーニング(クリーニング関係法規, 公衆衛生, クリーニング理論, 繊維, クリーニング機器・装置, クリーニング実習,課題研究)
4 学校設定科目 学校においては, 地域, 学校及び生徒の実態, 学科の特色等に応じ, 特色ある教育課程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科について,これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」 という。) を設けることができる。 この場合において, 学校設定...
5 学校設定教科
(1)学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう, 上記2及び3の表に掲げる教科以外の教科 (以下この項及び第5款第1の2において「学校設定教科」 という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。 この場合において, 学...
(2)学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。 この科目の目標, 内容, 単位数等を各学校において定めるに当たっては, 産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ, 社会に積極的に寄与し, 生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度...
ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観, 職業観の育成
イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成
第2 各教科・科目の履修等
1 各学科に共通する必履修教科・科目及び総合的な学習の時間
(1)すべての生徒に履修させる各教科・科目 (以下「必履修教科・科目」 という。)は次のとおりとし, その単位数は, この款の第1の2に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。 ただし, 生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し, 特に必要がある場合には,「国語総合」に...
ア 国語のうち「国語総合」
イ 地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」,「日本史B」, 「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
ウ 公民のうち「現代社会」又は「倫理」・「政治・経済」
エ 数学のうち「数学Ⅰ」
オ 理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目 (うち1科目は「科学と人間生活」 とする。)又は「物理基礎」, 「化学基礎」, 「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから3科目
カ 保健体育のうち「体育」及び「保健」
キ 芸術のうち「音楽Ⅰ」, 「美術Ⅰ」, 「工芸Ⅰ」及び「書道Ⅰ」のうちから1科目
ク 外国語のうち「コミュニケーション英語Ⅰ」 (英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。)
ケ 家庭のうち「家庭基礎」, 「家庭総合」及び「生活デザイン」のうちから1科目
コ 情報のうち「社会と情報」及び「情報の科学」のうちから1科目
(2)総合的な学習の時間については,すべての生徒に履修させるものとし,その単位数は,各学校において, 学校や生徒の実態に応じて適切に定めるものとする。
2 専門学科における各教科・科目の履修 専門学科における各教科・科目の履修については, 上記1のほか次のとおりとする。
(1) 専門学科においては, 専門教科・科目 (第2款第1の3の表に掲げる各教科・科目, 同表に掲げる教科に属する学校設定科目及び専門教育に関する学校設定教科に関する科目をいう。 以下同じ。) について, すべての生徒に履修させる単位数は, 25単位を下らないこと。 ただし,各学科...
(2)専門教科・科目の履修によって,上記1の必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目の履修をもって,必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。
(3)職業教育を主とする学科においては,総合的な学習の時間の履修により,農業,工業,商業,水産,家庭,情報,保健理療,印刷,理容・美容若しくはクリーニングの各教科に属する「課題研究」,「看護臨地実習」又は「介護総合演習」(以下この項において「課題研究等」という。) の履修と同様の成...
第3 各教科・科目, 総合的な学習の時間, 特別活動及び自立活動の授業時数等
1 各教科・科目,ホームルーム活動及び自立活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には, 各教科・科目及び自立活動の授業を特定の学期又は特定の期間 (夏季, 冬季, 学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。) に行うことができる。
2 週当たりの授業時数は,30単位時間を標準とする。ただし,特に必要がある場合には, これを増加することができる。
3 ホームルーム活動の授業時数については, 原則として, 年間35単位時間以上とするものとする。
4 生徒会活動及び学校行事については, 学校や生徒の実態に応じて, それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。
5 各学年における自立活動の時間に充てる授業時数は, 生徒の障害の状態に応じて, 適切に定めるものとする。
6 各教科・科目,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動(以下「各教科・科目等」 という。) のそれぞれの授業の1単位時間は, 各学校において, 各教科・科目等の授業時数を確保しつつ, 生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。 なお, 10 分間程...
7 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては, 総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第3款 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等の履修等
第1 各教科等の履修
1 卒業までに履修させる各教科等 各学校においては,卒業までに履修させる下記2から4までに示す各教科及びその授業時数,道徳及び総合的な学習の時間の授業時数, 特別活動及びその授業時数並びに自立活動の授業時数に関する事項を定めるものとする。
2 各学科に共通する各教科等
(1)国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,職業及び家庭の各教科,道徳,総合的な学習の時間, 特別活動並びに自立活動については, 特に示す場合を除き, すべての生徒に履修させるものとする。
(2) 外国語及び情報の各教科については, 学校や生徒の実態を考慮し, 必要に応じて設けることができる。
3 主として専門学科において開設される各教科
(1)専門学科においては,上記2のほか,家政,農業,工業,流通・サービス若しくは福祉の各教科又は下記4に規定する学校設定教科のうち専門教育に関するもの (以下「専門教科」という。) のうち, いずれか1以上履修させるものとする。
(2) 専門教科の履修によって, 上記2の(1)のすべての生徒に履修させる各教科の履修と同様の成果が期待できる場合においては, その専門教科の履修をもって, すべての生徒に履修させる各教科の履修に替えることができる。
4 学校設定教科 学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう, 第2章第2節第1款及び第2款に掲げる教科以外の教科 (以下この項において「学校設定教科」 という。)を設けることができる。 この場合において,学校設定教科の名称...
第2 各教科, 道徳, 総合的な学習の時間, 特別活動及び自立活動の授業時数等
1 各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動(以下「各教科等」 という。ただし, この項及び8において, 特別活動についてはホームルーム活動に限る。) の総授業時数は, 各学年とも1,050単位時間 (1単位時間は, 50分として計算するものとする。 3におい...
2 各教科,道徳,ホームルーム活動及び自立活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には, 各教科, 道徳及び自立活動の授業を特定の学期又は特定の期間 (夏季, 冬季, 学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。) に行う ことができる。
3 専門学科においては,専門教科について,すべての生徒に履修させる授業時数は,875単位時間を下らないものとする。
4 ホームルーム活動の授業時数については, 原則として, 年間35単位時間以上とするものとする。
5 生徒会活動及び学校行事については, 学校や生徒の実態に応じて, それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。
6 総合的な学習の時間に充てる授業時数は,各学校において,学校や生徒の実態に応じて,適切に定めるものとする。
7 各学年における自立活動の時間に充てる授業時数は, 生徒の障害の状態に応じて, 適切に定めるものとする。
8 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,生徒の実態及び各教科等の特質を考慮して適切に定めるものとする。 なお, 10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において, 当該教科を担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任...
9 総合的な学習の時間における学習活動により, 特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
第4款 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項
1 選択履修の趣旨を生かした適切な教育課程編成 教育課程の編成に当たっては, 生徒の障害の状態, 特性及び進路等に応じた適切な各教科 ・科目 (知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科。 この款及び第6款において同じ。)の履修ができるようにし, この...
2 各教科・科目等の内容等の取扱い
(1) 学校においては, 第2章以下に示していない事項を加えて指導することができる。 また,第2章第1節第2款において準ずるものとしている高等学校学習指導要領第2章及び第3章並びに同節第3款から第9款までに示す各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は, 当該科目を履...
(2) 第2章以下に示す各教科・科目, 特別活動及び自立活動の内容に掲げる事項の順序は, 特に示す場合を除き, 指導の順序を示すものではないので, 学校においては, その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
(3) 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒を教育する特別支援学校においては, あらかじめ計画して, 各教科・科目の内容及び総合的な学習の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して指導することができる。
(4) 学校においては, 特に必要がある場合には, 第2章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で, 各教科・科目及び各段階の内容に関する事項について, 基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。
(5) 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校において, 各教科の指導に当たっては, 各教科の各段階に示す内容を基に, 生徒の知的障害の状態や経験等に応じて, 具体的に指導内容を設定するものとする。 また, 各教科, 道徳, 特別活動及び自立活動の全部又は一部を合わせて...
3 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
(1) 各教科に属する科目相互や他の教科に属する科目との関連 (知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科相互の関連) を図り, 発展的, 系統的な指導ができるようにすること。
(2) 各教科・科目の指導内容については, 各事項のまとめ方及び重点の置き方に適切な工夫を加えて, 効果的な指導ができるようにすること。
(3) 各教科・科目等 (知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科等。 5の(3), (7)及び(11)において同じ。) の指導に当たっては, 個々の生徒の実態を的確に把握し, 個別の指導計画を作成する こ と。 また, 個別の指導計画に基づいて行われた...
(4) 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては, 学校や生徒の実態等に応じ, 必要がある場合には, 例えば次のような工夫を行い, 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るようにすること。
ア 各教科・科目の指導に当たり, 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けること。
イ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図りながら, 必履修教科・科目の内容を十分に習得させることができるよう, その単位数を標準単位数の標準の限度を超えて増加して配当すること。
ウ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることを目標とした学校設定科目等を履修させた後に,必履修教科・科目を履修させるようにすること。
(5) 全教師が協力して道徳教育を展開するため, 第1款の2に示す道徳教育の目標を踏まえ,指導の方針や重点を明確にして, 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について, その全体計画を作成すること。
(6) 学校がその目的を達成するため, 地域や学校の実態等に応じ, 家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。 また, 学校相互の連携や交流を図ることにも努めること。 特に, 生徒の経験を広めて積極的な態度を養い, 社会性や豊かな人間性をはぐくむために, ...
4 職業教育に関して配慮すべき事項
(1)普通科においては,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し,必要に応じて,適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。
(2) 職業教育を主とする専門学科においては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 職業に関する各教科・科目については, 実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。
イ 生徒の実態を考慮し, 職業に関する各教科・科目の履修を容易にするため特別な配慮が必要な場合には, 各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し, その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように取り扱い,また,主として実験・実習によって指導するなどの工夫...
(3)学校においては,キャリア教育を推進するために,地域や学校の実態,生徒の特性,進路等を考慮し, 地域及び産業界や労働等の業務を行う関係機関との連携を図り, 産業現場等における長期間の実習を取り入れるなど就業体験の機会を積極的に設けるとともに, 地域や産業界等の人々の協力を積極的...
(4)職業に関する各教科・科目については,次の事項に配慮するものとする。
ア 職業に関する各教科・科目については, 就業体験をもって実習に替えることができること。この場合,就業体験は,その各教科・科目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画されるものであることを要すること。
イ 農業,水産及び家庭に関する各教科・科目の指導に当たっては,ホームプロジェクトなどの活動を活用して, 学習の効果を上げるよう留意すること。 この場合, ホームプロジェクトについては, 適切な授業時数をこれに充てることができること。
5 教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項 以上のほか, 次の事項について配慮するものとする。
(1) 学校の教育活動全体を通じて, 個に応じた指導を充実するため, 個別の指導計画に基づき指導方法や指導体制の工夫改善に努めること。 その際, 生徒の障害の状態や学習の進度等を考慮して,個別指導を重視するとともに,授業形態や集団の構成の工夫,それぞれの教師の専門性を生かした協力的...
(2) 複数の種類の障害を併せ有する生徒 (以下 「重複障害者」 という。) については, 専門的な知識や技能を有する教師間の協力の下に指導を行ったり , 必要に応じて専門の医師及びその他の専門家の指導・助言を求めたりするなどして,学習効果を一層高めるようにすること。
(3) 各教科・科目等の指導に当たっては, 生徒の思考力, 判断力, 表現力等をはぐくむ観点から,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動を重視するとともに,言語に対する関心や理解を深め, 言語に関する能力の育成を図る上で必要な言語環境を整え, 生徒の言語活動を充実すること...
(4) 生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるよう,学校の教育活動全体を通じ, ガイダンスの機能の充実を図ること。
(5) 教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生徒理解を深め, 生徒が主体的に判断, 行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう, 生徒指導の充実を図ること。
(6) 生徒が自己の在り方生き方を考え, 主体的に進路を選択することができるよう, 校内の組織体制を整備し, 教師間の相互の連携を図りながら, 学校の教育活動全体を通じ, 計画的,組織的な進路指導を行い, キャリア教育を推進すること。その際,家庭及び地域や福祉,労働等の業務を行う関...
(7) 各教科・科目等の指導に当たっては, 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるようにすること。
(8)学習の遅れがちな生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い, 生徒の実態に応じ, 例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど, 指導内容や指導方法を工夫すること。
(9)海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなど適切な指導を行うこと。
(10) 障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して, 教員を派遣して教育を行う場合については, 障害の状態や学習環境等に応じて, 指導方法や指導体制を工夫し, 学習活動が効果的に行われるようにすること。
(11) 各教科・科目等の指導に当たっては, 生徒が情報モラルを身に付け, コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ実践的, 主体的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに, これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用...
(12) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り, 生徒の主体的, 意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
(13)生徒のよい点や可能性,進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し, 指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。
(14)実験・実習に当たっては,特に安全と保健に留意すること。
(15) 学校医等との連絡を密にし,生徒の障害の状態に応じた保健及び安全に十分留意すること。
(16)家庭及び地域や医療,福祉,保健,労働等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で生徒への教育的支援を行うために, 個別の教育支援計画を作成すること。
(17) 生徒の自主的, 自発的な参加により行われる部活動については, スポーツや文化及び科学等に親しませ, 学習意欲の向上や責任感, 連帯感の涵養等に資するものであり, 学校教育の一環として, 教育課程との関連が図られるよう留意すること。 その際, 地域や学校の実態に応じ, 地...
(18) 高等学校等の要請により, 障害のある生徒又は当該生徒の教育を担当する教師等に対して必要な助言又は援助を行ったり, 地域の実態や家庭の要請等により保護者等に対して教育相談を行ったりするなど, 各学校の教師の専門性や施設・設備を生かした地域における特別支援教育のセンターとして...
第5款 単位の修得及び卒業の認定
第1 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒を教育する特別支援学校
1 各教科・科目及び総合的な学習の時間の単位の修得の認定
(1) 学校においては, 生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し, その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には, その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(2) 学校においては, 生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な学習の時間を履修し, その成果が第4章に定める目標からみて満足できると認められる場合には, 総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(3) 学校においては, 生徒が1科目又は総合的な学習の時間を2以上の学年にわたって履修したときは, 各学年ごとにその各教科・科目又は総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定することを原則とする。 また, 単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。
2 卒業までに修得させる単位数 学校においては, 卒業までに修得させる単位数を定め,校長は,当該単位数を修得した者で,特別活動及び自立活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。この場合, 卒業までに修得させる単...
3 各学年の課程の修了の認定 学校においては, 各学年の課程の修了の認定については, 単位制が併用されていることを踏まえ, 弾力的に行うよう配慮するものとする。
第2 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校 学校においては, 卒業までに履修させる各教科, 道徳, 総合的な学習の時間, 特別活動及び自立活動のそれぞれの授業時数を定めるものとする。校長は,各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動を履修した者で,その...
第6款 重複障害者等に関する教育課程の取扱い
1 生徒の障害の状態により特に必要がある場合には, 次に示すところによるものとする。
(1) 各教科・科目の目標及び内容の一部を取り扱わないことができること。
(2)高等部の各教科・科目の目標及び内容の一部を, 当該各教科・科目に相当する中学部又は小学部の各教科の目標及び内容に関する事項の一部によって, 替えることができること。
(3) 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の外国語科に属する科目については, 小学部・中学部学習指導要領に示す外国語活動の目標及び内容の一部を取り入れることができること。
2 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校に就学する生徒のうち,知的障害を併せ有する者については,次に示すところによるものとする。
(1)各教科・科目又は各教科・科目の目標及び内容の一部を, 当該各教科・科目に相当する第2章第2節第1款及び第2款に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科又は各教科の目標及び内容の一部によって, 替えることができること。 この場合,各教科・科目に替えて履修し...
(2) 生徒の障害の状態により特に必要がある場合には, 第1章第2節第3款に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等の履修等によることができること。
(3) 校長は, 上記2の(2)により, 第1章第2節第3款に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等を履修した者で, その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとすること。
3 重複障害者のうち,障害の状態により特に必要がある場合には,次に示すところによるものとする。
(1) 各教科・科目若しくは特別活動 (知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科,道徳若しくは特別活動)の目標及び内容の一部又は各教科・科目若しくは総合的な学習の時間に替えて, 自立活動を主として指導を行うことができること。 この場合, 実情に応じた授...
(2) 校長は, 各教科, 科目若しくは特別活動 (知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては, 各教科, 道徳若しくは特別活動) の目標及び内容の一部又は各教科,科目若しくは総合的な学習の時間に替えて自立活動を主として履修した者で, その成果がそれらの目標からみ...
4 障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して, 教員を派遣して教育を行う場合については, 次に示すところによるものとする。
(1) 上記1, 2の(1)若しくは(2)又は3の(1)に示すところによることができること。
(2) 特に必要がある場合には, 実情に応じた授業時数を適切に定めること。
(3) 校長は,生徒の学習の成果に基づき,高等部の全課程の修了を認定することができること。
5 療養中の生徒及び障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒について, 各教科・科目の一部を通信により教育を行う場合の1単位当たりの添削指導及び面接指導の回数等 (知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては, 通信により教育を行うこととなった各教科の一部...
第7款 専攻科
1 視覚障害者又は聴覚障害者である生徒に対する教育を行 う 特別支援学校の専攻科における教科及び科目のうち標準的なものは, 次の表に掲げるとおりである。 視覚障害者又は聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては, 必要がある場合には同表に掲げる教科について, ...
視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校_保健理療(医療と社会, 人体の構造と機能, 疾病の成り立ちと予防,生活と疾病,基礎保健理療,臨床保健理療,地域保健理療と保健理療経営, 保健理療基礎実習,保健理療臨床実習,保健理療情報活用,課題研究)
視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校_理療(医療と社会, 人体の構造と機能, 疾病の成り立ちと予防,生活と疾病,基礎理療学,臨床理療学,地域理療と理療経営,理療基礎実習,理療臨床実習,理療情報活用,課題研究)
視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校_理学療法(人体の構造と機能, 疾病と障害, 保健・医療・福祉とリハビリテーション,基礎理学療法学,理学療法評価学,理学療法治療学,地域理学療法学,臨床実習,理学療法情報活用,課題研究)
聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校_理容・美容(理容・美容関係法規, 衛生管理, 理容・美容保健, 理容・美容の物理・化学,理容・美容文化論,理容・美容技術理論,理容・美容運営管理,理容実習, 美容実習,理容・美容情報活用,課題研究)
聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校_歯科技工(歯科技工関係法規,歯科技工学概論,歯科理工学,歯の解剖学,顎口腔機能学,有床義歯技工学,歯冠修復技工学,矯正歯科技工学,小児歯科技工学,歯科技工実習,歯科技工情報活用,課題研究
2 視覚障害者又は聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,必要がある場合には上記1の表に掲げる教科及び科目以外の教科及び科目を設けることができる。
第2章 各教科
第1節 視覚障害者, 聴覚障害者, 肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
第1款 各教科の目標及び各科目の目標と内容 各教科の目標及び各科目の目標と内容については, 当該各教科及び各科目に対応する高等学校学習指導要領第2章及び第3章に示す各教科の目標及び各科目の目標と内容に準ずるほか, 視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校については第3款か...
第2款 各科目に関する指導計画の作成と内容の取扱い 各科目に関する指導計画の作成と内容の取扱いについては, 高等学校学習指導要領第2章及び第3章に示すものに準ずるほか, 視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校については第3款から第5款まで, 聴覚障害者である生徒に対する...
1 視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
(1) 生徒の視覚障害の状態等に応じて, 点字又は普通の文字による的確な理解と適切な表現の能力を一層養うこと。なお,点字を常用して学習する生徒に対しても,漢字・漢語の意味や構成等についての理解を一層促すため, 適切な指導が行われるようにすること。
(2) 視覚的なイメージを伴わないと理解が困難な事柄については, 言葉の意味や用法の指導等を行い,理解を促すようにすること。
(3)生徒の視覚障害の状態等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどして指導すること。
(4)触覚教材,拡大教材,音声教材等の活用を図るとともに,生徒が視覚補助具やコンピュータ等の情報機器などの活用を通して, 容易に情報の収集や処理ができるようにするなど, 生徒の視覚障害の状態等を考慮した指導方法を工夫すること。
(5) 生徒が空間や時間の概念を活用して場の状況や活動の過程等を的確に把握できるよう配慮し, 見通しをもって積極的な学習活動を展開できるようにすること。
2 聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
(1)生徒の興味・関心を生かして,積極的な言語活動を促すとともに,抽象的,論理的な思考力の伸長に努めること。
(2) 生徒の言語力等に応じて, 適切な読書習慣や書いて表現する力の育成を図り, 主体的に情報を獲得し,適切に選択・活用する態度を養うようにすること。
(3)生徒の聴覚障害の状態等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどして指導すること。
(4) 補聴器等の利用により, 生徒の保有する聴覚を最大限に活用し, 効果的な学習活動が展開できるようにすること。
(5)視覚的に情報を獲得しやすい教材・教具やその活用方法等を工夫するとともに, コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し, 指導の効果を高めるようにすること。
(6)生徒の聴覚障害の状態等に応じ,音声,文字,手話等のコミュニケーション手段を適切に活用して, 意思の相互伝達が正確かつ効率的に行われるようにすること。
3 肢体不自由者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
(1) 体験的な活動を広げて表現する意欲を高めるとともに, 生徒の言語活動や身体の動きの状態に応じて, 考えたことや感じたことを表現する力の伸長に努めること。
(2) 生徒の身体の動きの状態や生活経験の程度等を考慮して, 基礎的・基本的な事項に重点を置くなど指導内容を適切に精選するとともに,発展的,系統的な指導ができるようにすること。
(3) 身体の動きやコミュニケーション等に関する内容の指導に当たっては, 特に自立活動における指導との密接な関連を保ち, 学習効果を一層高めるようにすること。
(4) 生徒の学習時の姿勢や認知の特性等に応じて, 指導方法を工夫すること。
(5) 生徒の身体の動きや意思の表出の状態等に応じて, 適切な補助用具や補助的手段を工夫するとともに, コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにすること。
4 病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
(1)生徒の授業時数の制約や病気の状態等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項に重点を置くとともに,各教科・科目等相互の関連を図ったり,指導内容の連続性に配慮した工夫を行ったりして, 発展的, 系統的な学習活動が展開できるようにすること。
(2) 健康状態の改善等に関する内容の指導に当たっては, 特に自立活動における指導との密接な関連を保ち, 学習効果を一層高めるようにすること。
(3) 体験的な活動を伴う内容の指導に当たっては, 生徒の病気の状態や学習環境に応じて指導方法を工夫し, 効果的な学習活動が展開できるようにすること。
(4)生徒の身体活動の制限の状態等に応じて,教材・教具や補助用具などを工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し, 指導の効果を高めるようにすること。
(5) 生徒の病気の状態等を考慮し, 学習活動が負担過重とならないようにすること。
第3款 保健理療
第1 目標 あん摩・マッサージ・指圧に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ, 保健理療の本質と社会的な意義を理解させるとともに, 国民の健康の保持増進に寄与する能力と態度を育てる。
第2 各科目
[医療と社会]
1 目標 医学,医療及びあん摩・マッサージ・指圧の歴史,医療制度と関係法規に関する基礎的な知識を習得させるとともに, あん摩・マッサージ・指圧に従事する者の倫理について理解させ,施術者として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1)医学,医療及び保健理療の歴史
ア 西洋における医学,医療
イ 日本, 中国,韓国等における医学,医療
(2) 医療制度の現状と課題
ア 医学の分野
イ 医療と社会
ウ 医療従事者
エ 医療機関
オ 医療行政
(3) 保健理療の現状と課題
ア 現代の東洋医学
イ 保健理療の概念
ウ 諸外国の保健理療
エ 保健理療の課題
(4) あん摩・マッサージ・指圧従事者の倫理
ア 医療と倫理 
イ 保健理療と倫理
(5)あん摩マッサージ指圧師, はり師, きゅう師等に関する法律
ア 法令の沿革
イ 法令の主な内容
(6)関係法規の概要
ア 医事関係法規
イ その他の関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, あん摩・マッサージ・指圧の医療における位置付けについて,十分理解を促すよう取り扱うこと。
イ 内容の(3)及び(4)については, 「地域保健理療と保健理療経営」 との関連を考慮して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 現代の医療制度の現状とその当面する課題の概要を理解させること。 特に, 代替医療が注目されていることと保健理療の果たす役割についても理解させること。
イ 内容の(3)のアについては, あん摩・マッサージ・指圧のみならず,湯液,鍼灸の概要も扱うこと。
ウ 内容の(3)のウについては, あん摩・マッサージ・指圧のアジアを中心とした諸外国における現状の概要を扱うこと。
エ 内容の(4)については, 国民の健康の保持増進に寄与する観点から, あん摩・マッサージ・指圧従事者の心構えや倫理観,患者の権利,守秘義務等について,十分な理解を促すよう具体的に指導すること。
オ 内容の(6)のアについては, 「医療法」, 「医師法」等の概要を,イについては, 「高齢者の医療の確保に関する法律」, 「介護保険法」 等の概要を扱うこと。
[人体の構造と機能]
1 目標 あん摩・マッサージ・指圧に必要な人体諸器官の形態と構造及び機能を相互に関連付けて理解させ, これを施術に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)解剖学及び生理学の基礎
ア 人体の構成
イ 細胞
ウ 組織
エ 器官と器官系
(2)人体の系統別構造・機能及び生体の観察
ア 運動器系
イ 消化器系
ウ 呼吸器系
エ 泌尿・生殖器系
オ 内分泌と代謝
カ 循環器系
キ 神経系
ク 感覚器系
(3)生体機能の協調
ア 身体の運動
イ 全身的協調
ウ 生体の防御機構
3 内容の取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,人体についての理解が,知識に偏ることがないよう実験・実習を取り入れるようにすること。
イ 内容の(2)については, 標本, 模型などを有効に活用して, 指導の効果を高めるよう配慮すること。
ウ 内容の(3)については, 「疾病の成り立ちと予防」 との関連を考慮して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては, この科目の導入として, 人体の構成と働き, 発生と成長の概要を扱うこと。イからエまでについては,それぞれの構造と機能の基礎的な内容を扱うこと。
イ 内容の(2)については, あん摩・マッサージ・指圧施術と関連の深いア,カ及びキについて,基本的な事項に重点を置いて扱うこと。
[疾病の成り立ちと予防]
1 目標 あん摩・マッサージ・指圧に必要な健康の保持増進, 疾病の成り立ちと予防に関する基礎的な知識を習得させ, これを施術に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)衛生・公衆衛生の概要
ア 衛生・公衆衛生の意義
イ 衛生・公衆衛生の歴史
(2) 健康の保持増進と生活
ア 健康の概念
イ 健康の管理
ウ 食生活と健康
(3) 生活環境と公害
ア 環境と健康
イ 地域の環境衛生
ウ 衣服と住居
エ 公害
(4)産業衛生,精神衛生及び母子衛生
ア 産業衛生
イ 精神衛生
ウ 母子衛生
(5)生活習慣病
ア 生活習慣病とその対策
(6)感染症
ア 感染症とその対策
(7)消毒
ア 消毒法の一般
イ 消毒の種類と方法
ウ 消毒法の応用
(8)疫学
ア 疫学の意義
イ 疫学の現状
(9)衛生統計
ア 衛生統計の一般
イ 主な衛生統計
(10)疾病の一般
ア 疾病の概念
イ 疾病の分類
ウ 疾病と症状
エ 疾病の経過,予後及び転帰
(11)疾病の原因
ア 病因の意義
イ 病因の分類
ウ 加齢と老化
(12)各病変の大要
ア 循環障害
イ 退行性病変
ウ 進行性病変
エ 炎症
オ 腫瘍
カ 免疫の異常とアレルギー
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(7)については, 「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」 との関連を図りながら,実践的に扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 特に, 生活習慣病と関連付けて扱うこと。
イ 内容の(5)及び(6)については, 代表的な疾患を取り上げ, その発生に関する危険因子からの回避に重点を置いて扱うこと。
ウ 内容の(8)及び(9)については, 具体的な事例を中心に扱うこと。
エ 内容の(10)については, 半健康状態及び東洋医学の未病の概念を取り入れながら指導すること。
[生活と疾病]
1 目標 臨床医学やリハビリテーションに関する基礎的な知識を習得させるとともに, 疾病と日常生活とのかかわりを理解させ, 施術を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 診察と治療の一般
ア 診察法の一般
イ 診察法の種類
ウ 検査法の概要
エ 治療法の一般
オ 治療法の種類
カ 物理療法
キ 臨床心理
(2)主な症状の診察法
ア 頭痛
イ 肩こり
ウ 肩関節痛
エ 頸肩腕痛
オ 腰痛
カ 腰下肢痛
キ 膝痛
ク 高血圧と低血圧
ケ 筋疲労
コ その他の症状
(3)系統別疾患の概要
ア 運動器疾患
イ 神経系疾患
ウ 呼吸器疾患
エ 血液・循環器疾患
オ 消化器疾患
カ 内分泌・代謝疾患及びビタミン欠乏症
キ 泌尿・生殖器疾患
ク 感染症
ケ その他の疾患
(4) リハビリテーションの一般
ア リハビリテーションの概念と歴史
イ 医学的リハビリテーションとリハビリテーション医学
ウ 診察,評価,治療計画と記録
エ 運動学の基礎
(5) 主な疾患のリハビリテーション
ア 整形外科疾患
イ 関節リウマチ
ウ 片麻痺
エ 脳性麻痺
オ 脊髄損傷
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 予防医学, 治療医学及びリハビリテーション医学という現代医学の体系を踏まえて取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, あん摩・マッサージ・指圧と直接かかわりの深い事項に重点を置き,実習との関連を考慮して指導すること。ウについては,医学的な知識として,検査方法やデータの意味等についての概要を理解させるようにすること。 オについては, 代表的な治療法の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については, 各症状の病態生理と鑑別診断の概要を扱い, あん摩・マッサージ・指圧施術を行うことの適否の判断に生かすことができるようにすること。
ウ 内容の(3)については, 現代医学の立場から各系統別疾患の概要を扱い, それぞれの代表的な疾患の原因, 症状及び治療法の基礎的な知識を習得できるようにすること。
エ 内容の(4)については, チーム医療としてのリハビリテーションの基本的な事項について症例紹介やリハビリテーション施設の見学等を取り入れて指導すること。
オ 内容の(5)については, 地域医療や在宅ケアの実情を考慮し, 保健理療と直接かかわりの深いア及びウに重点を置いて扱うこと。
[基礎保健理療]
1 目標 東洋医学の概念, あん摩・マッサージ・指圧施術の意義及び治効理論について理解させ, 施術を効果的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)東洋医学の基礎
ア 東洋医学の意義と特色
イ 陰陽五行論
ウ 臓腑経絡論
エ 気血,営衛,津液
オ 病因
カ 証
(2) 東洋医学の診断と治療
ア 診断
イ 治療
(3)経絡と経穴
ア 臓腑経絡とその流注
イ 主な経穴
(4)経絡,経穴と現代医学
ア 経絡,経穴の現代医学的研究
イ 関連する反応点,反応帯
(5)あん摩・マッサージ・指圧施術の概要
ア あん摩
イ マッサージ
ウ 指圧
(6)あん摩・マッサージ・指圧施術の治効理論と関連学説
ア 刺激の伝達
イ 身体組織・器官への影響
ウ 生体反応と治効メカニズム
エ 関連学説
3 内容の取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,あん摩・マッサージ・指圧に関する研究の成果を踏まえて取り扱い,保健理療に対する研究的な態度を培うようにすること。
イ 内容の(1)から(4)までについては, あん摩・マッサージ・指圧施術との関連を重視して扱うこと。
ウ 内容の(6)については,内容の(4)や研究の成果を総合し,あん摩・マッサージ・指圧の臨床効果という観点から指導すること。 また, 「人体の構造と機能」 との関連を考慮して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては, 切診に重点を置き, 実習を取り入れて指導すること。
イ 内容の(3)のイについては, あん摩・マッサージ・指圧の臨床でよく活用される経穴に重点を置いて指導すること。
ウ 内容の(5)については,基本手技を取り上げ,その特徴を理解させるとともに,臨床においてあん摩・マッサージ・指圧施術を行うことの適否についても指導すること。 また,諸外国における徒手による施術法の概要についても扱うこと。
エ 内容の(6)のアからウまでについては, 特に, 運動器疾患や内臓器疾患に対する刺激の作用や生体反応の医学的意味と臨床への応用という観点から扱うこと。
[臨床保健理療]
1 目標 診察に基づいて, あん摩・マッサージ・指圧施術の適否を判断し, 施術を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)臨床保健理療の基礎
ア 臨床保健理療の意義と役割
イ 施術対象者の心理と施術者の対応
(2)東洋医学における診断,治療の原則
ア 診察
イ 施術計画
ウ 施術原則
エ 記録
(3)健康とあん摩・マッサージ・指圧施術
ア 健康観と疾病観
イ 健康の保持増進のためのあん摩・マッサージ・指圧施術
ウ 生活習慣病予防のためのあん摩・マッサージ・指圧施術
エ その他の健康療法
(4)主な症状のあん摩・マッサージ・指圧施術
ア 頭痛
イ 肩こり
ウ 肩関節痛
エ 頸肩腕痛
オ 腰痛
カ 腰下肢痛
キ 膝痛
ク 高血圧と低血圧
ケ 筋疲労
コ その他の症状
(5)主な疾患のあん摩・マッサージ・指圧施術
ア 筋筋膜炎,腱鞘炎
イ 捻挫,脱臼,骨折
ウ 関節リウマチ
エ 片麻痺
オ その他の疾患
(6) 高齢者に対するあん摩・マッサージ・指圧施術
ア 高齢者の心身機能の特徴
イ 高齢者の主な症状に対するあん摩・マッサージ・指圧施術
ウ 要介護・要支援高齢者に対するあん摩・マッサージ・指圧施術
(7)スポーツ領域におけるあん摩・マッサージ・指圧施術
ア スポーツ障害・外傷の一般
イ スポーツ障害・外傷の予防と管理
ウ 主なスポーツ障害・外傷のあん摩・マッサージ・指圧施術
(8)産業衛生におけるあん摩・マッサージ・指圧施術
ア 仕事と健康
イ 事業所内あん摩・マッサージ・指圧従事者の業務と役割
ウ 主な職業起因性症状のあん摩・マッサージ・指圧施術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 東洋医学と現代医学の知識と技術を総合した臨床概念が養われるよう内容相互の関連に留意して指導すること。
イ 指導に当たっては, 「保健理療基礎実習」 における実技実習との関連を考慮すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては, 施術対象者との信頼関係を確立する上で必要な臨床心理の基礎及び面接技法の基本を理解できるよう扱うこと。
イ 内容の(3)については, 東洋医学における未病の考え方を踏まえて扱うこと。
ウ 内容の(4)及び(5)については, 「生活と疾病」 で取り上げる症状や疾患と関連付けて指導するとともに,健康指導,生活指導及び応急処置の方法の概要も含めて扱うこと。
エ 内容の(6)のウについては, 特に, 脳卒中モデル及び廃用症候群モデルのケアについて扱うこと。
オ 内容の(7)のウについては, テーピングの基本についても扱うこと。
[地域保健理療と保健理療経営]
1 目標 現代社会におけるあん摩・マッサージ・指圧の役割及び高齢社会における医療と福祉の在り方を理解させると ともに, 保健理療経営の実際的な知識を習得させる。
2 内容
(1) 保健理療と社会
ア あん摩・マッサージ・指圧の業務と開業
イ あん摩・マッサージ・指圧と医療・福祉制度
ウ 諸外国における徒手による施術
(2)高齢社会の現状と課題
ア 高齢社会の現状と課題への対応
イ 高齢者介護と社会保障制度
(3)あん摩・マッサージ・指圧と経営
ア 経営の一般
イ 施術所の開設準備と諸制度
ウ 経営の管理と運営
エ 経営の展開と実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「医療と社会」 との関連に留意するとともに,体験的な学習や問題解決的な学習を取り入れるよう配慮すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のウについては, 諸外国における徒手による施術やそれに関連する制度の現状を紹介し, 保健理療の発展の可能性を考察できるようにすること。
イ 内容の(3)については, 経営の実際の基本的な事項を扱うこと。
[保健理療基礎実習]
1 目標 あん摩・マッサージ・指圧に関する実際的な知識と基礎的な技術を習得させ, 施術を適切かつ効果的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)あん摩・マッサージ・指圧施術への導入
ア 施術室の管理と清潔保持の実際
イ 施術上の注意
(2)あん摩・マッサージ・指圧基礎実技実習
ア あん摩の基本手技と身体各部の施術
イ マッサージの基本手技と身体各部の施術
ウ 指圧の基本手技と身体各部の施術
(3)あん摩・マッサージ・指圧応用実技実習
ア 評価と理学的検査の実際
イ 運動療法の応用
ウ 物理療法の応用
(4)あん摩・マッサージ・指圧総合実技実習
ア 総合実技の基礎
イ 主要症状・疾患に対する総合実技実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「生活と疾病」, 「基礎保健理療」及び「臨床保健理療」 との関連を重視し, 現代医学と東洋医学の両面から, 病状を総合的に把握して, 実際的な施術ができるようにすること。
イ 内容の(1)については, この科目全体を通して習慣化されるよう取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 消毒法の実際に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(2)については, 運動法の基本等についても扱うこと。
ウ 内容の(3)のア及びイについては, 片麻痺の評価及び機能回復訓練の基本を含めて扱うこと。
エ 内容の(4)のイについては,臨床実習への導入として位置付け, 「臨床保健理療」の内容の(4)及び(5)で取り上げる症状や疾患に対する施術の実際を扱うこと。
[保健理療臨床実習]
1 目標 あん摩 ・ マッサージ ・ 指圧に関する知識と技術を総合的に習得させ, 施術を適切かつ効果的に行う実践的能力と態度を育てる。
2 内容
(1)校内実習
ア 施術者と施術対象
イ 施術の実際
ウ カルテの記載と管理
エ 症例検討
オ 模擬患者との面接実習
(2)校外実習
ア 校外実習の目的
イ 校外実習の実際
ウ 経営の実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,治療技術的な側面のみならず,インフォームド・コンセントや患者の秘密保持, カルテ等の適切な管理方法などあん摩・マッサージ・指圧従事者としての倫理観や職業観を培うことに配慮すること。 また, 模擬患者との面接実習については, 患者の立場に立った施術を行うための...
イ 地域の保健・医療・福祉機関との連携を図りながら,実際的に理解できるように指導すること。
ウ 校内実習と校外実習の履修学年や授業時数の配当については,生徒の実態や実習・見学施設の状況等により弾力的に取り扱うこと。
エ 内容の(2)については, あん摩・マッサージ・指圧の実践に適した施設等を選定し, 当該施設等との十分な連絡調整を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 生徒の臨床実習の習熟の程度に応じて適切な症例を選択するとともに, きめ細かな指導を行うことができるよう指導体制等に配慮すること。
イ 内容の(2)のイについては, 多様なあん摩・マッサージ・指圧関連業務を理解するための施設見学や生徒の進路希望に対応した実習ができるように計画すること。ウについては,施術所経営に関する実際的な基礎的知識が養われるように, 臨床経験の豊富な人の話や施術所見学, 模擬経営実習など...
[保健理療情報活用]
1 目標 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに, 情報の活用に関する知識と技術を習得させ, 保健理療の分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報機器と情報の活用
ア 生活と情報の活用
イ 情報機器の活用分野
ウ 情報通信ネットワーク
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報の価値とモラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 保健理療と情報機器の活用
ア 保健理療における情報機器活用の目的と意義
イ 個人情報の管理
ウ 保健理療の現場における情報システム
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 保健理療に関する題材やデータなどを用いた実習を通して, 保健理療の分野において情報を主体的に活用できるように指導すること。また,他の保健理療に関する各科目と関連付けて指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 情報化の進展が生活や社会に及ぼす影響, 情報の意義や役割及び情報機器の活用分野の概要を扱うとともに, 情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理,分析及び発信について体験的に扱うこと。また,ネット犯罪など利用上のリスクについても触れること。
イ 内容の(2)については, 個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護, 収集した情報の管理, 発信する情報に対する責任など情報モラル及び情報通信ネッ トワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 保健理療の現場における情報の意義や役割, コンピュータや医療用電子機器の活用の概要について扱うこと。アについては,医療用電子機器など測定機器の使用について扱うこと。 イについては, 保健理療の現場における個人情報の管理の実際と重要性について扱うこ...
[課題研究]
1 目標 保健理療に関する課題を設定し, その課題の解決を図る学習を通して, 専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1)調査,研究,実験
(2)職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)及び(2)の中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。 なお, 課題は内容の(1)及び(2)にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
(2) 「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」の指導に当たっては,生徒が常に達成感と新たな技術習得への意欲をもって学習できるように, 指導内容の構成や指導方法の工夫に十分留意すること。
(3) 「課題研究」については,年間指導計画に定めるところに従い,必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(4) 臨床実習の指導に当たっては, あん摩・マッサージ・指圧施術の対象となる代表的な症状や疾患について確実に施術ができるようにするため, 個々の生徒の実態に応じた指導計画の作成に配慮すること。
2 内容の取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」については,対象となる人々の人格を尊重する態度を育てるとともに, 実習における安全と規律に留意すること。
(2) 各科目の指導に当たっては, コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り, 学習の効果を高めるようにすること。
(3) 地域やあん摩・マッサージ・指圧に関する施術所等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに, 社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
3 実験・実習を行うに当たっては, 関連する法規等に従い, 施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第4款 理療
第1 目標 はり, きゅう, あん摩・マッサージ・指圧に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,理療の本質と社会的な意義を理解させるとともに, 国民の健康の保持増進及び疾病の治療に寄与する能力と態度を育てる。
第2 各科目
[医療と社会]
1 目標 医学, 医療及び理療の歴史, 医療制度と関係法規に関する基礎的な知識を習得させるとともに, 理療従事者の倫理について理解させ, 施術者として必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1)医学,医療及び理療の歴史
ア 西洋における医学,医療
イ 日本, 中国,韓国等における医学,医療
(2) 医療制度の現状と課題
ア 医学の分野
イ 医療と社会
ウ 医療従事者
エ 医療機関
オ 医療行政
(3) 理療の現状と課題
ア 現代の東洋医学
イ 理療の概念
ウ 諸外国の理療
エ 理療の課題
(4)理療従事者の倫理
ア 医療と倫理
イ 理療と倫理
(5)あん摩マッサージ指圧師, はり師, きゅう師等に関する法律
ア 法令の沿革
イ 法令の主な内容
(6)関係法規の概要
ア 医事関係法規
イ その他の関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 理療の医療における位置付けについて, 十分理解を促すよう, 理療以外の他の医学の歴史や現状, 諸外国における理療の現状などを踏まえて取り扱うこと。
イ 内容の(3)及び(4)については, 「地域理療と理療経営」 との関連を考慮して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については,基礎医学,臨床医学等について,身近な事例を取り上げながら,現代の医療制度の現状とその当面する課題を具体的に理解できるようにすること。
イ 内容の(3)のアについては,湯液,鍼灸, あん摩・マッサージ・指圧等の現代における意義と役割を扱うこと。 特に, 代替医療が注目されていることと理療の果たす役割についても理解できるよ うにすること。
ウ 内容の(3)のウについては,鍼灸, あん摩・マッサージ・指圧のアジアを中心とした諸外国における現状も取り扱い, 日本における理療の役割について理解を促すよう具体的に指導すること。
エ 内容の(4)については, 国民の健康の保持増進及び疾病の治療に寄与する観点から, 理療従事者の心構えや倫理観, 患者の権利, 守秘義務等について, 十分な理解を促すよう具体的に指導すること。
オ 内容の(6)のアについては, 「医療法」, 「医師法」等の概要を,イについては, 「高齢者の医療の確保に関する法律」, 「介護保険法」 等の概要を扱うこと。
[人体の構造と機能]
1 目標 理療に必要な人体諸器官の形態と構造及び機能を相互に関連付けて理解させ, これを施術に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)解剖学の基礎
ア 人体の構成
イ 細胞
ウ 組織
エ 器官と器官系
オ 人体の発生
(2) 人体の系統別構造及び生体の観察
ア 運動器系
イ 消化器系
ウ 呼吸器系
エ 泌尿・生殖器系
オ 内分泌系
カ 循環器系
キ 神経系
ク 感覚器系
ケ 主な部位の局所解剖
(3)生理学の基礎
ア 生理機能の概要
イ 生体の物理化学的基礎
ウ 細胞の興奮性
(4)人体の機能
ア 筋肉の働き
イ 循環と呼吸
ウ 消化と吸収
エ 排泄
オ 代謝と体温
カ 内分泌
キ 生殖と成長
ク 神経の働き
ケ 感覚
(5)生体機能の協調
ア 身体の運動
イ 全身的協調
ウ 生体の防御機構
3 内容の取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,人体についての理解が,知識に偏ることがないよう実験・実習を取り入れるようにすること。
イ 内容の(2)については, 標本, 模型などを有効に活用して, 指導の効果を高めるよう配慮すること。
ウ 内容の(5)については, 「疾病の成り立ちと予防」 との関連を考慮して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 理療施術と関連の深いア, カ及びキに重点を置いて扱うこと。 ケについては, 理療施術と関連の深い部位を中心に指導すること。 特に, リスク管理の上で必要な部位に重点を置いて扱うこと。
[疾病の成り立ちと予防]
1 目標 健康の保持増進, 疾病の成り立ちと予防に関する基礎的な知識を習得させ, これを施術に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)衛生学・公衆衛生学の概要
ア 衛生学・公衆衛生学の意義
イ 衛生学・公衆衛生学の歴史
(2) 健康の保持増進と生活
ア 健康の概念
イ 健康の管理
ウ 食生活と健康
(3) 生活環境と公害
ア 環境と健康
イ 地域の環境衛生
ウ 衣服と住居
エ 公害
(4)産業衛生,精神衛生及び母子衛生
ア 産業衛生
イ 精神衛生
ウ 母子衛生
(5)生活習慣病
ア 生活習慣病の概念
イ 生活習慣病の発生要因
ウ 生活習慣病の予防対策
(6)感染症対策
ア 感染症の概念
イ 感染症の発生要因
ウ 感染症の予防対策
(7)消毒
ア 消毒法の一般
イ 消毒の種類と方法
ウ 消毒法の応用
(8)疫学
ア 疫学の意義
イ 疫学の現状
(9)衛生統計
ア 衛生統計の一般
イ 主な衛生統計
(10) 疾病の一般
ア 疾病の概念
イ 疾病の分類
ウ 疾病と症状
エ 疾病の経過,予後及び転帰
(11) 疾病の原因
ア 病因の意義
イ 病因の分類
ウ 加齢と老化
(12) 各病変の大要
ア 循環障害
イ 退行性病変
ウ 進行性病変
エ 炎症
オ 腫瘍
カ 免疫の異常とアレルギー
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(7)については, 「理療基礎実習」及び「理療臨床実習」 との関連を図りながら,実践的に扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 特に, 生活習慣病と関連付けて扱うこと。
イ 内容の(5)及び(6)については, 代表的な疾患を取り上げ, その発生に関する危険因子からの回避に重点を置いて扱うこと。 また, 生活習慣病や感染症に関する最新の情報も扱うこと。
ウ 内容の(6)のウについては, 免疫学についても扱うこと。
エ 内容の(10)については, 半健康状態及び東洋医学の未病の概念を取り入れながら指導すること。
[生活と疾病]
1 目標 臨床医学やリハビリテーションに関する基礎的な知識を習得させるとともに, 疾病と日常生活とのかかわりを理解させ, 施術を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)診察法
ア 診断の意義
イ 診察法の基礎
ウ 検査法
(2)主な症状の診察法
ア 頭痛
イ 肩こり
ウ 肩関節痛
エ 頸肩腕痛
オ 腰痛
カ 腰下肢痛
キ 膝痛
ク 高血圧と低血圧
ケ 筋疲労
コ その他の症状
(3)治療法
ア 治療法の基礎
イ 治療法の実際
(4)臨床心理
ア 臨床心理の一般
イ 心理療法の概要
(5)系統別疾患
ア 運動器疾患
イ 神経系疾患
ウ 呼吸器疾患
エ 血液・循環器疾患
オ 消化器疾患
カ 内分泌・代謝疾患及びビタミン欠乏症
キ 泌尿・生殖器疾患
ク 感染症
ケ その他の疾患
(6) リハビリテーションの一般
ア リハビリテーションの概念と歴史
イ 医学的リハビリテーションとリハビリテーション医学
ウ 診察,評価,治療計画と記録
エ 運動学の基礎
(7) 主な疾患のリハビリテーション
ア 整形外科疾患
イ 関節リウマチ
ウ 片麻痺
エ 脳性麻痺
オ 脊髄損傷
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 予防医学, 治療医学及びリハビリテーション医学という現代医学の体系を踏まえて取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 理療と直接かかわりの深い事項に重点を置き, 実習との関連を考慮して指導すること。ウについては,医学的な知識として,検査方法やデータの意味等を理解させるようにすること。
イ 内容の(2)については,各症状の病態生理と鑑別診断を扱い,理療施術を行うことの適否の判断に生かすことができるようにすること。
ウ 内容の(3)のイについては, 代表的な治療法と適応疾患を中心に扱うこと。
エ 内容の(5)については, 現代医学の立場から各疾患の原因, 症状及び治療法を中心に指導すること。なお,各症状に対する治療については,理療施術の有効性との関連を考慮し,理療と直接かかわりの深い事項に重点を置くとともに, 「臨床理療学」 と関連付けて扱うこと。
オ 内容の(6)については,チーム医療としてのリハビリテーションの過程を,症例紹介やリハビリテーション施設の見学等を取り入れて指導すること。
カ 内容の(7)については, 地域医療や在宅ケアの実情を考慮し, 理療と直接関わりの深いア及びウに重点を置いて扱うこと。
[基礎理療学]
1 目標 東洋医学の概念, 理療施術の意義及び治効理論について理解させ, 施術を効果的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)東洋医学の基礎
ア 東洋医学の意義と特色
イ 陰陽五行論
ウ 臓腑経絡論
エ 気血,営衛,津液
オ 病因
カ 証
(2) 東洋医学の診断と治療
ア 日本の伝統医学的診断と治療
イ 現代の中医学的診断と治療
(3)経絡と経穴
ア 臓腑経絡とその流注
イ 経穴
ウ その他の特定穴
(4)経絡,経穴と現代医学
ア 経絡,経穴の現代医学的研究
イ 関連する反応点,反応帯
(5)理療施術の概要
ア あん摩
イ マッサージ
ウ 指圧
エ はり
オ きゅう
カ 理療の臨床応用
(6) 理療施術の治効理論と関連学説
ア 刺激の伝達
イ 身体組織・器官への影響
ウ 生体反応と治効メカニズム
エ 関連学説
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 理療に関する研究の成果を踏まえて取り扱い, 理療に対する研究的な態度を培うようにすること。
イ 内容の(1)から(4)までについては, 理療施術との関連を重視して扱うこと。
ウ 内容の(6)については, 内容の(4)や研究の成果を総合し, 理療の臨床効果という観点から指導すること。 また, 「人体の構造と機能」 との関連を考慮して扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のアについては, 切診に重点を置き, 実習を取り入れて指導すること。
イ 内容の(5)については,基本手技を取り上げ,その特徴を理解させるとともに,臨床において理療施術を行うことの適否についても指導すること。 アからウまでについては, 諸外国における徒手による施術法についても扱うこと。 エについては, 特殊な鍼法も扱うこと。
ウ 内容の(6)のアからウまでについては, 特に, 運動器疾患や内臓器疾患に対する刺激の作用や生体反応の医学的意味と臨床への応用という観点から扱うこと。
[臨床理療学]
1 目標 診察に基づいて, 理療施術の適否を判断し, 施術を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)臨床理療学の基礎
ア 臨床理療学の意義と役割
イ 施術対象者の心理と施術者の対応
(2) 東洋医学における診断, 治療の原則
ア 診察
イ 施術計画
ウ 施術原則
エ 記録
(3) 健康と理療施術
ア 健康観と疾病観
イ 健康の保持増進のための理療施術
ウ 生活習慣病予防のための理療施術
エ その他の健康療法
(4)主な症状の理療施術
ア 頭痛
イ 肩こり
ウ 肩関節痛
エ 頸肩腕痛
オ 腰痛
カ 腰下肢痛
キ 膝痛
ク 高血圧と低血圧
ケ 筋疲労
コ その他の症状
(5)主な疾患の理療施術
ア 筋筋膜炎,腱鞘炎
イ 捻挫,脱臼,骨折
ウ 関節リウマチ
エ 片麻痺
オ 末梢神経麻痺
カ アレルギー疾患
キ 気管支喘息
ク 狭心症
ケ 糖尿病
コ その他の疾患
(6) 高齢者に対する理療施術
ア 高齢者の心身機能の特徴
イ 高齢者の主な症状に対する理療施術
ウ 要介護・要支援高齢者に対する理療施術
(7) スポーツ領域における理療施術
ア スポーツ障害・外傷の一般
イ スポーツ障害・外傷の予防と管理
ウ 主なスポーツ障害・外傷の理療施術
(8) 産業衛生における理療施術
ア 仕事と健康
イ 事業所内理療従事者の業務と役割
ウ 主な職業起因性症状の理療施術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 東洋医学と現代医学の知識と技術を総合した臨床概念が養われるよう内容相互の関連に留意して指導すること。
イ 指導に当たっては, 「理療基礎実習」 における実技実習との関連を考慮すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては, 施術対象者との信頼関係を確立する上で必要な臨床心理の基礎及び面接技法の基本を理解できるよう扱うこと。
イ 内容の(3)については, 東洋医学における未病の考え方を踏まえて扱うこと。
ウ 内容の(4)及び(5)については, 「生活と疾病」 で取り上げる症状や疾患と関連付けて指導するとともに,健康指導,生活指導及び応急処置の方法も含めて扱うこと。
エ 内容の(6)のウについては, 特に, 脳卒中モデル及び廃用症候群モデルのケアについて扱うこと。
オ 内容の(7)のウについては, テーピングの基本についても扱うこと。
[地域理療と理療経営]
1 目標 現代社会における理療の役割及び高齢社会における医療と福祉の在り方を理解させるとともに, 理療経営の実際的な知識を習得させる。
2 内容
(1)理療と社会
ア 理療の業務と開業
イ 理療と医療・福祉制度
ウ 諸外国における鍼灸,徒手による施術
(2)高齢社会の現状と課題
ア 高齢社会の現状と課題への対応
イ 高齢者介護と社会保障制度
(3) 理療と経営
ア 経営の一般
イ 施術所の開設準備と諸制度
ウ 経営の管理と運営
エ 経営の展開と実際
3 内容の取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「医療と社会」 との関連に留意するとともに,体験的な学習や問題解決的な学習を取り入れるよう配慮すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のウについては, 諸外国における鍼灸, 徒手による施術やそれに関連する制度の現状を紹介し, 理療の発展の可能性を考察できるよ うにすること。
イ 内容の(3)については, 経営の実際の基本的な事項を扱うこと。
[理療基礎実習]
1 目標 理療に関する実際的な知識と基礎的な技術を習得させ, 施術を適切かつ効果的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)理療施術への導入
ア 施術室の管理と清潔保持の実際
イ 施術上の注意
(2)あん摩・マッサージ・指圧基礎実技実習
ア あん摩の基本手技と身体各部の施術
イ マッサージの基本手技と身体各部の施術
ウ 指圧の基本手技と身体各部の施術
(3) はり基礎実技実習
ア 刺鍼の方法
イ 刺鍼の手技
ウ 特殊な鍼法
(4) きゅう基礎実技実習
ア きゅう施術の基礎
イ 各種の施灸法とその実際
(5)理療応用実技実習
ア 評価と理学的検査の実際
イ 運動療法の応用
ウ 物理療法の応用
(6)理療総合実技実習
ア 総合実技の基礎
イ 主要症状・疾患に対する総合実技実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「生活と疾病」, 「基礎理療学」及び「臨床理療学」 との関連を重視し, 現代医学と東洋医学の両面から, 病状を総合的に把握して, 実際的な施術ができるようにすること。
イ 内容の(1)については, この科目全体を通して習慣化されるよう取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 消毒法や滅菌法の実際に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(2)については, 運動法の基本等についても扱うこと。
ウ 内容の(3)のウについては, 小児鍼及び皮内鍼を中心に指導すること。
エ 内容の(4)については, 施灸の基本及び各種の施灸法を生徒の視覚障害の状態に応じて具体的に指導し, 臨床に生かすことができるようにすること。
オ 内容の(5)のア及びイについては, 片麻痺の評価及び機能回復訓練の基本を含めて扱うこと。
カ 内容の(6)のイについては,臨床実習への導入として位置付け, 「臨床理療学」の内容の(4)及び(5)で取り上げる症状や疾患に対する施術の実際を扱うこと。
[理療臨床実習]
1 目標 理療に関する知識と技術を総合的に習得させ, 施術を適切かつ効果的に行う実践的能力と態度を育てる。
2 内容
(1)校内実習
ア 施術者と施術対象
イ 施術の実際
ウ カルテの記載と管理
エ 症例検討
オ 模擬患者との面接実習
(2)校外実習
ア 校外実習の目的
イ 校外実習の実際
ウ 経営の実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,治療技術的な側面のみならず,インフォームド・コンセントや患者の秘密保持, カルテ等の適切な管理方法など, 理療従事者としての倫理観や職業観を培うことに配慮すること。 また, 模擬患者との面接実習については, 患者の立場に立った施術を行うための心構えや実践的な...
イ 地域の保健・医療・福祉機関との連携を図りながら,実際的に理解できるように指導すること。
ウ 校内実習と校外実習の履修学年や授業時数の配当については,生徒の実態や実習・見学施設の状況等により弾力的に取り扱うこと。
エ 内容の(2)については, 理療の実践に適した施設等を選定し, 当該施設等との十分な連絡調整を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 生徒の臨床実習の習熟の程度に応じて適切な症例を選択するとともに, きめ細かな指導を行うことができるよう指導体制等に配慮すること。
イ 内容の(2)のイについては, 多様な理療関連業務を理解するための施設見学や生徒の進路希望に対応した実習ができるように計画すること。 ウについては, 施術所経営に関する実際的な基礎的知識が養われるように,臨床経験の豊富な人の話や施術所見学,模擬経営実習などを通して, 具体的に...
[理療情報活用]
1 目標 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに, 情報の活用に関する知識と技術を習得させ, 理療の分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報機器と情報の活用
ア 生活と情報の活用
イ 情報機器の活用分野
ウ 情報通信ネットワーク
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報の価値とモラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 理療と情報機器の活用
ア 理療における情報機器活用の目的と意義
イ 個人情報の管理
ウ 理療の現場における情報システム
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 理療に関する題材やデータなどを用いた実習を通して, 理療の分野において情報を主体的に活用できるように指導すること。 また, 他の理療に関する各科目と関連付けて指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 情報化の進展が生活や社会に及ぼす影響, 情報の意義や役割及び情報機器の活用分野の概要を扱う とともに, 情報通信ネッ トワークを活用した情報の収集,処理,分析及び発信について体験的に扱うこと。また,ネット犯罪など利用上のリスクについても触れること。
イ 内容の(2)については, 個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護, 収集した情報の管理, 発信する情報に対する責任など情報モラル及び情報通信ネッ トワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 理療の現場における情報の意義や役割, コンピュータや医療用電子機器の活用の概要について扱うこと。 アについては, 医療用電子機器など測定機器の使用について扱うこと。 イについては, 理療の現場における個人情報の管理の実際と重要性について扱うこと。...
[課題研究]
1 目標 理療に関する課題を設定し, その課題の解決を図る学習を通して, 専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1)調査,研究,実験
(2)職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)及び(2)の中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。 なお, 課題は内容の(1)及び(2)にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
(2) 「理療基礎実習」及び「理療臨床実習」の指導に当たっては,生徒が常に達成感と新たな技術習得への意欲をもって学習できるように, 指導内容の構成や指導方法の工夫に十分留意すること。
(3) 臨床実習の指導に当たっては, 理療施術の対象となる代表的な症状や疾患について確実に施術ができるようにするため, 個々の生徒の実態に応じた指導計画の作成に配慮すること。
2 内容の取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 「理療基礎実習」及び「理療臨床実習」については,対象となる人々の人格を尊重する態度を育てるとともに, 実習における安全と規律に留意すること。
(2) 各科目の指導に当たっては, コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り, 学習の効果を高めるようにすること。
(3)地域や,はり, きゅう, あん摩・マッサージ・指圧に関する施術所等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに, 社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第5款 理学療法
第1 目標 理学療法に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ, 理学療法の本質と社会的な意義を理解させるとともに, リハビリテーションに寄与する能力と態度を育てる。
第2 各科目
[人体の構造と機能]
1 目標 理学療法に必要な人体の構造, 機能及び心身の発達を系統的に理解させ, 理学療法を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)人体の構造
ア 解剖学の基礎
イ 系統解剖
ウ 体表解剖
エ 機能解剖
オ 解剖学実習
(2)人体の機能
ア 生理学の基礎
イ 人体各器官の機能
ウ 運動生理学
エ 生理学実習
(3)人体の運動
ア 運動学の基礎
イ 身体の運動
ウ 運動学実習
(4)人間の発達
ア 人間発達の基礎
イ 各期における発達の特徴と評価
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 人体についての理解が,抽象的な概念の把握にとどまることのないようにするため,観察及び実験・実習を取り入れ,具体的,実際的に指導すること。
イ 指導に当たっては,人体の構造面と機能面を系統的に理解できるようにするため, これらの内容を相互に関連付けて取り扱うこと。 また, 理学療法において重要な運動機能面に重点を置いて取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,模型,標本の活用や実習,生体観察などを通して,人体の構造が実際的に理解できるようにすること。
イ 内容の(3)のウについては,上肢,下肢及び体幹の動き,各種の姿勢と日常生活における動作などの分析を扱うこと。
[疾病と障害]
1 目標 疾病と障害の成り立ち及び回復過程に関する知識を習得させ, 理学療法を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)病理学の概要
ア 病理学の基礎
イ 病因
ウ 病変
(2)内科疾患
ア 内科学の基礎
イ 主な内科疾患
(3)整形外科疾患
ア 整形外科学の基礎
イ 主な整形外科疾患
ウ スポーツ障害・外傷
(4)神経内科疾患
ア 神経内科学の基礎
イ 神経症候学
ウ 主な神経内科疾患
(5)精神科疾患
ア 精神医学の基礎
イ 主な精神科疾患
(6)小児科疾患
ア 小児科学の基礎
イ 主な小児科疾患
(7)高齢者の疾患
ア 老年医学の基礎
イ 主な高齢者の疾患
(8)臨床心理学
ア 臨床心理学の基礎
イ 臨床心理学の応用
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,内容相互に関連をもたせ,疾病,障害,診断,治療などを系統的に理解できるよう取り扱うこと。
イ 内容の(2)から(7)までについては, 理学療法と関係の深い代表的な疾患に重点を置いて扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 循環器系, 呼吸器系及び代謝系に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(3)については, 救急の一般や消毒法の概要についても扱うこと。
ウ 内容の(4)のイ及びウについては, 理学療法に関係の深い中枢神経疾患に重点を置いて扱うこと。
エ 内容の(7)のアについては, 嚥下の仕組みについても扱うこと。
オ 内容の(8)のイについては,患者の心理,臨床心理学的検査法,心理療法及びカウンセリングなどを扱うこと。
[保健・医療・福祉とリハビリテーション]
1 目標 保健・医療・福祉の体系及びリハビリテーションについて理解させ, 理学療法を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)保健・医療・福祉の体系
ア 保健・医療・福祉の概要
イ 各種の保健・医療・福祉制度
(2) リハビリテーション
ア リハビリテーションの概要
イ 主要疾患のリハビリテーション
3 内容の取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 内容が抽象的な概念の把握にとどまることのないよう症例紹介や保健・医療・福祉及びリハビリテーション施設の見学などを交えて取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,理学療法と関係の深い代表的な保健・医療・福祉制度の現状と課題について扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては,理学療法の対象となる代表的な疾患を取り上げ,その原因,症状, 経過及び予後並びにリハビリテーション治療の概要を扱うこと。
[基礎理学療法学]
1 目標 理学療法の概要を理解させ, 理学療法を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)理学療法の概要
ア 理学療法の基礎
イ 職業倫理と職場環境
ウ 理学療法研究法
エ 疾病・障害の予防に関する指導法
オ 健康増進に関する指導法
(2)関係法規
ア 理学療法士及び作業療法士法
イ その他の関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 症例を提示したり, 臨床現場及び福祉施設などの見学を交えたりすることによって,総合的,実際的に理解させるよう取り扱うこと。また,理学療法士と他の職種とのチーム医療の大切さについても触れること。
イ 内容の(1)については, 統計学, 教育学や情報科学などとの関連を図りながら指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては, 理学療法の医療における位置付け, 理学療法士の関連組織も含めて扱うこと。 イについては, リハビリテーションに寄与する観点から, 医療従事者としての心構えや倫理観について扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては, 「医師法」 などの概要を扱うこと。
[理学療法評価学]
1 目標 理学療法評価法に関する知識と技術を習得させ, 理学療法を効果的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)理学療法評価法
ア 理学療法評価法の基礎
イ 各種の理学療法評価法
ウ 理学療法評価法実習
(2)運動学的評価法
ア 運動学的評価法の基礎
イ 運動・動作の分析の方法
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 基礎的な実習を十分に行うとともに, 具体的な症例を取り上げること。 また, 機械・器具などを工夫して生徒の視覚障害の状態に応じた適切な指導ができるよう配慮すること。
イ 「理学療法治療学」及び「臨床実習」 との関連を図りながら,医学的な一般評価,心理学的評価や社会的評価も扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては,運動機能の評価に重点を置いて扱うこと。また, リスク管理としてのバイタルサインの評価の重要性について十分に指導すること。
イ 内容の(2)のイについては, 人体の運動に関する基礎的な知識を踏まえ, 各種の疾患や障害の運動学的評価と考察の方法, 治療計画への応用などを扱うこと。
[理学療法治療学]
1 目標 理学療法の治療に関する知識と技術を習得させ,理学療法を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)運動療法
ア 運動療法の基礎
イ 各種の運動療法
ウ 各障害に対する運動療法
エ 運動療法実習
(2)物理療法
ア 物理療法の基礎
イ 各種の物理療法
ウ 物理療法実習
(3)義肢装具
ア 義肢装具の基礎
イ 義肢
ウ 装具
エ 義肢装具の実習
(4) 日常生活活動
ア 日常生活活動の基礎
イ 日常生活活動の評価
ウ 日常生活活動の訓練及び指導法
(5)理学療法技術論
ア 理学療法技術論の基礎
イ 疾患別理学療法治療の方法
ウ 疾患別理学療法治療の実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,基礎実技の実習に重点を置いて実際的に理解させるとともに, リスク管理について取り扱うこと。
イ 内容の(4)については, 「地域理学療法学」 と関連付けながら指導内容が重複しないよう扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,疾病や障害に対する運動療法にとどまらず,スポーツ, レクリエーションなども扱うこと。
イ 内容の(5)については, 健康増進のための理学療法なども扱うこと。 また, 診療記録の仕方や管理なども扱うこと。
[地域理学療法学]
1 目標 地域理学療法に関する知識を習得させ, 理学療法を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)地域理学療法の概要
ア 地域理学療法の一般
イ 地域理学療法における理学療法士の役割
(2)地域理学療法各論
ア 地域理学療法における生活評価
イ 地域理学療法の実際
ウ 在宅ケアと生活指導
エ リハビリテーション関連機器
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 地域における理学療法を効果的に実践できるようにするため, 症例検討や在宅訪問などを取り入れて指導すること。
イ 指導に当たっては, 「保健・医療・福祉とリハビリテーション」 との関連を図り, 内容が重複しないよう配慮すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)のイについては,保健所,福祉施設等における理学療法を扱うこと。ウについては, 在宅ケア対象者の介護及び家族を含めた生活指導を中心に扱うこと。 その際, 施設等への通院・通所者の在宅ケア等についても扱うこと。
[臨床実習]
1 目標 理学療法に必要な知識と技術を総合的に習得させ, 理学療法を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 理学療法の見学実習
ア 医療機関の見学実習
イ その他の施設の見学実習
(2)理学療法の臨床実習
ア 症例観察と評価実習
イ 総合臨床実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 生徒が理学療法に対する興味・関心を高めることができるよう指導方法を工夫すること。
イ 内容の(2)については,各疾患や各障害に対して,偏りなく実習を行うことができるよう病院, 施設を選択し, 臨床実習指導者との密接な連携を図りながら扱うこと。
ウ 臨床実習に当たっては, リスク管理に留意するとともに,生徒の安全と健康管理にも十分留意すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のイについては, 地域における様々な施設での理学療法の実際を見学できるよう配慮して扱うこと。
イ 内容の(2)のイについては, 臨床に必要な症例報告の書き方や症例研究の方法などを含めて扱うこと。
[理学療法情報活用]
1 目標 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに, 情報の活用に関する知識と技術を習得させ, 理学療法の分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報機器と情報の活用
ア 生活と情報の活用
イ 情報機器の活用分野
ウ 情報通信ネットワーク
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報の価値とモラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 理学療法と情報機器の活用
ア 理学療法における情報機器活用の目的と意義
イ 個人情報の管理
ウ 理学療法の現場における情報システム
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 理学療法に関する題材やデータなどを用いた実習を通して, 理学療法の分野において情報を主体的に活用できるように指導すること。また,他の理学療法に関する各科目と関連付けて指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 情報化の進展が生活や社会に及ぼす影響, 情報の意義や役割及び情報機器の活用分野の概要を扱うとともに, 情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理,分析及び発信について体験的に扱うこと。また,ネット犯罪など利用上のリスクについても触れること。
イ 内容の(2)については, 個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護, 収集した情報の管理,発信する情報に対する責任など情報モラル及び情報通信ネットワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 理学療法の現場における情報の意義や役割, コンピュータや医療用電子機器の活用の概要について扱うこと。アについては,医療用電子機器など測定機器の使用について扱うこと。 イについては, 理学療法の現場における個人情報の管理の実際と重要性について扱うこ...
[課題研究]
1 目標 理学療法に関する課題を設定し, その課題の解決を図る学習を通して, 専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1)調査,研究,実験
(2)職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)及び(2)の中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。 なお, 課題は内容の(1)及び(2)にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
(2) 臨床実習を行うに当たっては, 実習施設との連絡調整の下に指導計画を綿密に作成するとともに, 生徒指導に十分留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 「基礎理学療法学」及び「理学療法治療学」の内容については,相互の密接な関連を図って取り扱うこと。
(2) 「理学療法治療学」及び「地域理学療法学」の内容は,作業療法との関連に留意して取り扱うこと。
(3) 各科目の指導に当たっては, コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り, 学習の効果を高めるようにすること。
(4) 地域や医療機関等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに, 社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第6款 印刷
第1 目標 印刷に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ, その社会的意義と役割を理解させるとともに, 情報化社会の一端を担う印刷技術の向上と発展を図る能力と実践的な態度を育てる。
第2 各科目
[印刷概論]
1 目標 印刷の原理や沿革と応用分野に関する基礎的な知識を習得させ, 印刷の文化的価値を認識させる。
2 内容
(1)沿革
ア 印刷の歴史
イ 印刷のディジタル化
(2)各種版式
ア 印刷の機能と方法
イ DTP
(3)製版及び印刷の概要
ア 製版方法
イ 写真製版
ウ 校正
エ CTP
(4)企画・編集
ア 印刷物の企画と設計
イ 原稿作成
ウ ディジタルデータ
(5)製本
ア 製本の基礎
イ 出版の実際
(6)印刷商品
ア 印刷商品の形態と機能
イ 電子出版
(7)印刷技術の利用
ア 産業分野での印刷
3 内容の取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 印刷に関する教科の基礎科目であることを踏まえ, 視聴覚教材・教具の活用及び産業現場の見学等により, 生徒の学習意欲の向上に努めること。
イ 内容の(5)については, 「印刷総合実習」 と関連させながら扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,時代の進展とともに,情報や伝達の手段が変化していくことを理解させ, 印刷の文化的な役割の担い手としての態度の育成に努めること。
イ 内容の(3)については, 製版及び印刷の作業手順, コンピュータを利用した印刷物の製作等について触れること。
ウ 内容の(6)については, 印刷商品の生産流通, 消費などの生活環境の変化についてその概要を扱うこと。
エ 内容の(7)については, 生徒の実態に応じて, 特殊印刷や高品位印刷などについて触れること。
[写真製版]
1 目標 写真及びコンピュータを応用した製版及び印刷の技術に関する基礎的な知識を習得させ, これを印刷に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)写真製版の概要
ア 製版カメラの機能と操作
イ モノクロ製版とカラー製版
ウ コンピュータ製版
(2)平版製版
ア 平版製版の種類
イ 製版工程と製版材料
(3)凸版製版
ア 凸版製版の種類
イ 製版工程と製版材料
(4)凹版製版
ア 凹版製版の種類
イ 製版工程と製版材料
(5)電子製版
ア スキャナの機能
イ 色分解と色再現
(6)その他の製版
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「印刷概論」, 「写真化学・光学」, 「画像技術」及び「印刷総合実習」と関連させながら取り扱い, 写真製版の基礎的な知識や技術の習得を促すよう留意すること。
イ 内容の(5)については, スキャナによる電子製版に関して, 「印刷総合実習」 と関連させながら扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, コンピュータを活用し, イメージセッタにより製版する方法について具体的に扱うこと。
イ 内容の(2)については, 生徒の実態に応じて, オフセット印刷における最新の技術について触れること。
ウ 内容の(6)については, 写真製版を応用した技術やCTP, DTP等の製版方法に触れること。
[印刷機械・材料]
1 目標 製版及び印刷に用いられる機械 ・器具及び材料等に関する基礎的な知識を習得させ, その適切な選択と使用及び保守・管理を行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 各種印刷機械の構造と分類
ア 構造と機能
イ コンピュータと印刷関連機器
(2) 製本機械, 紙器加工機械及びその他の製版印刷機器類
ア 製本機械
イ 紙器加工機械
ウ 製版印刷機
エ オンデマンドプリンタ
(3)印刷用紙
ア 製紙工程
イ 紙の種類,特性,規格
(4)印刷用インキ類
(5)印刷写真用材料・薬品
ア 写真感光材料
イ 現像処理材料
ウ 製版印刷材料
エ 磁気記録材料
(6) その他の製版印刷用材料
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
イ 内容の(6)については, 材料相互の関連を考えさせながら, 製版印刷用材料を活用する能力の育成に努めること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については,各種機械・機器の扱い方,整備,保守等について具体的に扱うこと。
イ 内容の(3)については, 紙とインキのトラブルやその対応策に触れること。
ウ 内容の(4)については, 印刷用のインキの組成と特徴について具体的に扱うこと。
エ 内容の(5)については,それぞれの材料に関して,その特徴や用途を重点的に扱うこと。
オ 内容の(3), (4), (5)及び(6)については, 自然及び環境保護等について触れること。
[印刷デザイン]
1 目標 グラフィックデザイン分野における図案・製図に関する基礎的な知識と技術を習得させ, これを印刷に応用する能力と感性を養う。
2 内容
(1)色の体系
ア 色の三属性
イ 感情効果
ウ 配色
エ 混色と知覚
(2) フィニッシュワークの基礎
(3)構成の原理
ア ハーモニー
イ バランス
ウ リズム
(4) レタリング
ア 書体の役割
イ 文字の基本と書き方
ウ バランス
(5)ポスター
ア 伝達の内容
イ 造形的な表現
(6) コンピュータによる画像構成
ア コンピュータグラフィックスの意義と技法
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 特に生徒の感性を養い, 芸術性を考慮した表現ができるよう留意すること。
イ 内容の(1)及び(2)については,実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
ウ 内容の(3)については, 平面構成を中心に, デザイン制作に役立つよう指導すること。
エ 内容の(4)から(6)までについては, 具体的な資料の活用や作品の鑑賞などを通して, 生徒が意欲的に作品制作を行うことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, ポスターカラー, カラーインキ, 色紙など多様な種類の材料の使用に留意すること。
イ 内容の(2)については, 生徒の実態に応じて, 製図機器が適切に使用できるようにすること。
ウ 内容の(4)については, 生徒の実態に応じて, レタリングの活用の実際についても触れること。
[写真化学・光学]
1 目標 一般写真の化学及び光学に関する基礎的な知識を習得させ, これを印刷に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)光及び色彩
ア 光学的な理論と実験
イ 色彩理論
(2)カメラ原理
ア カメラの構造
イ カメラの選択と使用,管理
(3)一般写真用感光材料
ア 各種感光物質
イ 光化学反応
(4)現像処理
ア 各種薬品の性質と使用法
イ 現像液の調合
(5)製版用光源
ア 特性
イ 使用と管理
(6)製版カメラ
ア 構造と特性
イ 操作と管理
(7)製版用感光材料
ア 特性
イ 使用と管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習,観察等を通して,一般写真の化学及び光学に関する基礎的な知識や技術が習得されるよう留意すること。
イ 内容の(3)については, カラー写真に関して, 「写真製版」 と関連させながら扱うこと。
ウ 内容の(5)及び(7)については, 各種製版用光源の特性と使用感光材料の性質とを関連させながら扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)については, 各種感光物質の組成や光化学反応の理論等の概要を扱うこと。
イ 内容の(6)については,内容の(2)との関連を図り,製版カメラの構造,特性等を重点的に扱うこと。
[文書処理・管理]
1 目標 文書処理・ 管理に関する知識と技術を習得させ, これを印刷に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)各種文書
ア 種類と形態
(2)文書構成
ア 構成要素の配置
イ 文書作成の要領
(3) コンピュータの活用
ア コンピュータの機能
イ 応用文書の作成
(4)機器の管理
ア 使用機器の管理
イ 周辺装置の管理
(5) 文書の整理と保管
ア 文書情報の活用
イ 機密保持
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, コンピュータの操作に習熟するとともに, 文書の作成や管理についての実践的な態度の育成や能力の向上に留意すること。
イ 内容の(1)から(3)までについては, 相互に関連付けながら指導し, コンピュータを使用して, 適切に文書が作成できるようにすること。
ウ 内容の(5)については, 情報の活用や整理方法及び機密保持などの観点から, 文書管理の意義が理解できるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(5)については, 文書ファイリングの必要性と方法, 各種記憶媒体による文書管理や文書交換の概要を扱うこと。
[印刷情報技術基礎]
1 目標 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに, 情報の活用に関する知識と技術を習得させ, 印刷の分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報社会と情報機器
ア 情報社会
イ 情報機器の活用分野
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報の価値とモラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 情報機器と情報通信ネットワーク
ア 情報機器の仕組み
イ プログラミング
ウ 情報機器の活用
エ 情報通信ネットワークの仕組み
(4) 印刷と情報機器の活用
ア 印刷における情報機器の活用の目的と意義
イ 印刷における情報機器の活用の実際
ウ 個人情報の管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 情報機器を印刷に応用するための基礎的な知識と技術の習得を図ること。また,実習を通して,実践的・体験的に理解させるよう留意すること。
イ 印刷に関する題材やデータなどを用いた実習を通して, 印刷の分野において情報を主体的に活用できるように指導すること。 また, 他の印刷に関する各科目と関連付けて指導すること。
ウ 内容の(4)については, 「画像技術」及び「印刷総合実習」 と関連させながら扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 情報化の進展が生活や社会に及ぼす影響, 情報の意義や役割及び情報機器の活用分野の概要を扱うこと。
イ 内容の(2)については, 個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護, 収集した情報の管理, 発信する情報に対する責任など情報モラル及び情報通信ネッ トワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)のイについては, 基本的な各種プログラム言語の機能とその利用方法について扱うこと。ウについては,生徒の実態に応じてアプリケーションソフトウェアを選択し,その基本操作を扱うこと。 エについては, 情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理及び発信について体験的...
エ 内容の(4)については, 生徒の実態に応じて, 印刷に関する分野における最新の情報機器の活用についても触れること。
[画像技術]
1 目標 コンピュータを利用した画像技術に関する知識と技術を習得させ, 印刷の技術革新に対応できる能力と態度を育てる。
2 内容
(1)画像技術の基礎
ア 文字と画像
イ 2進法
ウ 加法混色,減法混色
(2) 画像の記憶と再現
ア 文字や画像と電気信号
イ ビットの意味
(3) コンピュータによる画像処理
ア 文字や図形の処理
イ スキャナの原理
(4)画像の伝送
ア 画像伝送の原理
イ 伝送法
ウ 圧縮技術とインフラストラクチャー
(5) 印刷における画像技術
ア 文字と画像の処理システム
イ トータルスキャナシステム
ウ 入力機器と出力機器
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「印刷概論」, 「印刷機械・材料」, 「印刷情報技術基礎」及び「印刷総合実習」 と関連させながら, コンピュータを活用し画像処理の基礎的な知識と技術を習得させること。 また, 産業現場の見学や実習等指導方法の工夫に努めること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 文字と画像をコンピュータ上で扱う際の基礎的な知識と技術印刷における画像処理に必要な加法混色及び減法混色の概要について扱うこと。
イ 内容の(3)については, 各種機器を活用したコンピュータにおける画像表現の概要について扱うこと。
ウ 内容の(4)については, ファクシミリ等のアナログ伝送の原理, データのディジタル伝送の原理等, 画像伝送の基礎的な内容を扱うこと。
エ 内容の(5)については, 生徒の実態に応じて, DTP等の文字と画像の処理システムについて扱うこと。
[印刷総合実習]
1 目標 印刷に関する知識と技術を総合的に習得させ, これを実際の印刷において活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)組版実習
ア 文字組版実習
イ 電子組版実習
ウ 作図作業実習
(2)製版実習
ア 平版実習
イ 写真製版実習
ウ 刷版製版実習
(3)印刷実習
ア オフセット印刷実習
イ 凸版印刷実習
ウ グラビア印刷実習
エ 孔版印刷実習
オ 特殊印刷実習
(4)文書処理実習
(5)情報技術実習
ア プログラミング実習
イ 制御,通信に関する実習
ウ 印刷の応用に関する実習
(6)画像技術実習
ア カラースキャナに関する実習
イ 色再現に関する実習
(7) その他印刷に関する実習
ア 製本や加工に関する実習
イ コンピュータによる製版印刷に関する実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 他の印刷に関する科目との関連を図り, 企画から納品までの流れを総合的に理解できるよう留意すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 写真製版やコンピュータによる製版に重点を置いて行うこと。
イ 内容の(3)については,平版印刷のうちオフセット印刷を中心に行うこと。
ウ 内容の(4)については,文書の作成,受信,発信,整理,保管等文書処理に関する課題を設定した実習を中心に行うこと。
エ 内容の(6)については,電子的に色分解する技術と知識を養うとともに,適切なカラー原稿の見方や各種色再現について扱う こ と。
[課題研究]
1 目標 印刷に関する課題を設定し, その課題の解決を図る学習を通して, 専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1)調査,研究,実験
(2)作品製作
(3) 産業現場等における実習
(4)職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。 なお, 課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
(2) 指導に当たっては, 職業人としての心構えや倫理観の育成に留意すること。
(3) 「課題研究」については,年間指導計画に定めるところに従い,必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(4) 地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに, 社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 内容の取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の内容については, 技術革新の進展に対応し, 新技術を導入することが大切であるが, 生徒の実態に応じて, 適切な指導内容の精選に努めること。
(2) 各科目の指導に当たっては, コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り, 学習の効果を高めるようにすること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意すること。 また, 廃液処理の指導を徹底し, 自然環境の保護に十分留意するものとする。
第7款 理容・美容
第1 目標 理容・美容に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ, その社会的意義と役割を理解させるとともに,理容・美容を通して,公衆衛生の向上に寄与する能力と態度を育てる。
第2 各科目
[理容・美容関係法規]
1 目標 理容・美容に関する法規及び制度について理解させ, 理容・美容業を適切に行うために必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1)衛生行政
ア 衛生行政の仕組みと意義
イ 保健所の組織と活動
(2)理容師法及び美容師法
ア 沿革と目的
イ 理容師及び美容師の資格
ウ 理容所及び美容所の開設
エ 罰則規定
(3)関係法規
ア 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律
イ 消費者保護関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については, 理容所や美容所, 保健所の見学等を通して, 理容師や美容師の役割や理容・美容業の意義についての自覚を促すようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,衛生行政の組織のうち,特に,理容・美容業と関係の深い保健所の組織と活動を重点的に扱うこと。
イ 内容の(2)については, 特に理容師や美容師の業務上の遵守事項等について扱うこと。
ウ 内容の(3)については,理容・美容の業務との関連を図り,関係法規の概要について扱うこと。
[衛生管理]
1 目標 環境衛生の意義と目的について理解させるとともに, 感染症の予防, 消毒法に関する知識と技術を総合的に習得させ, 理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)公衆衛生概説
ア 公衆衛生の意義と歴史
イ 保健所と理容・美容業
(2)環境衛生
ア 環境衛生概論
イ 環境衛生各論
ウ 理容所及び美容所における環境衛生
(3)感染症
ア 感染症の種類と発生原因
イ 感染症の予防
ウ 理容・美容と感染症
(4)衛生管理技術
ア 消毒の意義と目的
イ 消毒法の種類
ウ 消毒法の実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「理容・美容保健」 と関連させながら,理容・美容業における衛生措置の実際的な知識と技術の習得を図る こ と。
イ 内容の(4)については,器具の消毒が,理容・美容の業務を衛生的に行う上で,特に重要なものであることから, 実験・実習を通して, その意義を理解させ, 消毒に関して必要な適切な技術等の習得に努めること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,公衆衛生と理容・美容業との結び付き,理容師や美容師の責務,保健所の業務等を重点的に扱う こ と。
イ 内容の(2)については, 環境と健康, 衣食住の衛生, 廃棄物処理と環境保全等を重点的に扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 感染症の種類等, 理容・美容と関係の深い事項を重点的に扱うこと。
エ 内容の(4)については, 消毒器具の取扱い, 消毒薬の保管方法等の概要を扱うこと。
[理容・美容保健]
1 目標 人体, 皮膚及び皮膚付属器官の構造と機能に関する科学的, 系統的な知識を総合的に習得させ, 理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 人体の構造と機能
ア 人体の構造
イ 人体の調整機能
ウ 骨格,筋
エ 循環,呼吸
オ 消化,排泄
カ 神経と感覚器
(2) 皮膚及び皮膚付属器官の構造と機能
ア 構造
イ 生理作用
(3)皮膚及び皮膚付属器官の疾患
ア 皮膚に影響を及ぼす因子
イ 保護と手入れ
ウ 疾患
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 各種の模型や標本の活用, ビデオ教材等の工夫によって, 専門的な知識の習得を図ること。
イ 内容の(2)及び(3)については, 「理容・美容の物理・化学」や「衛生管理」 と関連させながら, 皮膚疾患とその感染経路, 病原菌と消毒法及び予防法に関する的確な知識と技術を習得させること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 人体の構造と機能に関する基礎的な内容を, 各器官の疾病と保健に関連させながら扱うこと。
イ 内容の(2)については, 皮膚及び皮膚付属器官の構造や生理作用の概要を指導するとともに, 特に, 毛髪の保健衛生については重点的に扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 皮膚及び皮膚付属器官に影響を与える因子, その性状に合っ保護と手入れの方法等を重点的に指導すること。
[理容・美容の物理・化学]
1 目標 理容・美容器具や香粧品等に関する科学的知識を習得させ, 理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)理容・美容に関する物理
ア 力,熱,光
イ 理容・美容と機械・器具
(2) 香粧品に関する化学
ア 物質の構造
イ 化学反応と化合物
ウ 水と金属
エ 香粧品概論
オ 香粧品の種類と原料
カ 基礎香粧品の使用目的と取扱い
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習や観察を重視するとともに, 「理容・美容保健」, 「理容実習」及び「美容実習」 と関連させながら, 実際的な知識の習得を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 熱伝導, 光, 電磁気など理容・美容にかかわりのある物理の基本的な原理と機械・器具の構造や機能を関連させながら,その操作方法について扱うこと。
イ 内容の(2)については,溶液の性質,香粧品の原料,洗浄剤の種類等,香粧品に関する化学及び化粧品の成分の変更等の概要を扱うこと。
[理容・美容文化論]
1 目標 理容・美容の業務を行うために必要な美的感覚を身に付けるとともに, 豊かな表現力と鑑賞力を養う。
2 内容
(1)理容・美容文化史
ア 理容・美容の変遷
イ 流行の影響
(2)理容・美容デザイン
ア 造形の意義と応用
イ 色彩の意義と応用
(3)服飾
ア 服飾の歴史
イ 理容・美容業と服飾
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 美的感覚, 表現力, 鑑賞力を養うために, 芸術科等と関連させながら指導すること。 また, 生徒の興味・関心に即して, 見学の機会を設けるなどして, ファッションを概括的に取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,時代や地域を象徴するファッションを基に,その特徴や時代背景等について扱うこと。
イ 内容の(2)については,色彩や造形の原理等,基礎的な内容を中心に,理容・美容と関連させながら扱うこと。
ウ 内容の(3)については,時代や地域を象徴する服飾を基に,その特徴や機能, ファッション性等の概要を扱うこと。
[理容・美容技術理論]
1 目標 理容・美容に関する基礎的な知識と技術を総合的に習得させ,理容・美容を衛生的,能率的に実践する態度と習慣を養うとともに, これを適切に行う能力を育てる。
2 内容
(1)基礎技術
ア 理容・美容技術の意義
イ 理容・美容技術と人体各部の名称
ウ 作業姿勢
(2)器具類の取扱い
ア 種類と使用目的
イ 形態と機能
ウ 選定法と手入れ
エ 理容所と美容所の設備・備品
(3)頭部技術
ア ヘアデザインとカッティング
イ シャンプー技術とリンシング
ウ 頭部マッサージとヘアトリートメント
エ ヘアセッティングの種類と特徴
(4)理容の顔面技術
ア シェービング
イ 顔面処置技術
(5)特殊技術
ア 染毛技術
イ 美顔術
(6)美容の和装技術
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「理容実習」及び「美容実習」 と関連させて取り扱うこと。また,理容所や美容所の施設等とその業務の見学や器具, 用具類の操作等を通して, 具体的に知識と技術を習得させること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 実際の業務において必要とされる理容師や美容師としての心構えや倫理観,衛生措置等の概要を扱うこと。
イ 内容の(3)については, 基礎となるヘアデザインを中心に, 各種頭部技術の概要について扱うこと。
ウ 内容の(5)については, 染毛技術における薬剤の取扱いに重点を置いて扱うこと。
エ 内容の(6)については, 日本髪の由来や名称及びその特徴, 着付け技術等に重点を置いて扱うこと。
[理容・美容運営管理]
1 目標 理容・美容業にかかわる運営管理の基本的事項及び適切な接客方法を習得させ, 理容・美容を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)マーケティング
ア マーケティングの概要
イ 理容・美容業とマーケティング
(2)経営管理
ア 企業と経営
イ 理容・美容業と経理
(3)労務管理
ア 労務管理の概要
イ 社会保障制度
ウ 作業管理と健康管理
(4)接客法
ア 接客法の基本
イ 事故及びトラブルの処理
3 内容の取扱い
(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,経営管理や労務管理の理論的,技術的な学習にとどまることなく,理容・美容の業務に関する職業観の育成に努めること。
イ 内容の(4)については, 「理容実習」及び「美容実習」 と関連させながら指導すること。また, 理容所や美容所の施設等における実習等を通して, 実践的な態度と能力を育てること。なお,接客法の指導に当たっては,個々の生徒のコミュニケーション手段の特性に合わせて, 的確な接客法...
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,マーケティング理論の概要,理容業界や美容業界の現状等を,具体的な事例を基に指導すること。
イ 内容の(2)については, 経営管理や事務にかかわる基本的な理論と事例について扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 労務管理の目的や範囲について関係法規と関連させながら扱うこと。
エ 内容の(4)については,社会生活におけるエチケットの必要性に触れるとともに,実習を通して,接客の意義,接客用語等を重点的に扱うこと。
[理容実習]
1 目標 理容に関する技術を総合的に習得させ, 理容を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)基礎技術実習
ア 実習の心構え
イ 作業位置と姿勢
ウ 施設の衛生管理
(2)器具の取扱い実習
ア 管理方法と消毒方法
イ 基本操作
(3)頭部技術実習
ア スタンダードヘアにおけるカッティング技法の実習
イ デザインヘアにおけるカッティング技法の実習
ウ ヘアセッティング技法の実習
エ シャンプー技術の実習
オ 理容マッサージ技法の実習
(4)顔面技術実習
ア シェービング技術の実習
イ 顔面処置技術の実習
(5)特殊技術実習
ア 染毛技術の実習
イ フェイスマッサージ及びトリートメント技術の実習
(6)総合実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「理容・美容技術理論」 と関連させながら,理容師としての専門的な技術の習得を図ること。
イ 器具,用具類の基本操作の指導に当たっては,安全で確実な操作の習得を優先するとともに, けが等の応急処置の方法にも触れること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 実習を行う際の一般的な留意事項や衛生上の留意事項について扱うこと。
イ 内容の(2)については,刃物類の安全性に留意して扱うとともに,刃物類,櫛,ブラシ類の消毒方法や研磨方法等を重点的に扱うこと。
ウ 内容の(3)については, カッティングの準備から事後処置までの順序や各種技法の特徴等を中心に, 頭部処置の実際を扱うこと。
エ 内容の(4)については, フェイスシェービング及びネックシェービングの準備から事後処置までの順序や技法等を中心に, 顔面処置の実際を扱うこと。
オ 内容の(5)については, 各種染毛剤の取扱い, パッチテストの方法等を扱うこと。
[美容実習]
1 目標 美容に関する技術を総合的に習得させ, 美容を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)基礎技術実習
ア 実習の心構え
イ 作業位置と姿勢
ウ 施設の衛生管理
(2)器具の取扱い実習
ア 管理方法と消毒方法
イ 基本操作
(3)頭部技術実習
ア トリートメント技術の実習
イ シャンプー技術の実習
ウ カッティング技法の実習
エ パーマネント技法の実習
オ ヘアセッティング技法の実習
(4)特殊技術実習
ア 染毛技術の実習
イ 美顔術とボディケア技術の実習
ウ 化粧技法の実習
エ マニキュアとペディキュア技術の実習
(5)和装技術実習
ア 日本髪
イ 着付け技術の実習
(6)総合実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「理容・美容技術理論」 と関連させながら,美容師としての専門的な技術の習得を図ること。
イ 器具,用具類の基本操作の指導に当たっては,安全で確実な操作の習得を優先するとともに, けが等の応急処置の方法にも触れること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 実習を行う際の一般的な留意事項や衛生上の留意事項について扱うこと。
イ 内容の(2)については,刃物類の安全性に留意して扱うとともに,刃物類,櫛,ブラシ類の消毒方法等を重点的に扱うこと。
ウ 内容の(3)については,特にカッティング,カーリング及びワインディングについて基本的な技術の習得を図ること。
エ 内容の(4)については,各種染毛剤の取扱い,パッチテストの方法,マッサージの基本手技等を扱うこと。
オ 内容の(5)については, 伝統的なヘアスタイルの重要性に触れ, 着付け技術の基礎的な内容の習得を図ること。
カ 内容の(6)については,頭部技術実習や特殊技術実習等を組み合わせることにより,総合的に美容技術を扱うこと。
[理容・美容情報活用]
1 目標 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに, 情報の活用に関する知識と技術を習得させ, 理容・美容の分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報機器と情報の活用
ア 生活と情報の活用
イ 情報機器の活用分野
ウ 情報通信ネットワーク
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報の価値とモラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3)理容・美容と情報機器の活用
ア 理容・美容における情報機器活用の目的と意義
イ 個人情報の管理
ウ 理容・美容における情報機器活用の実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 理容・美容に関する題材やデータなどを用いた実習を通して, 理容・美容の分野において情報を主体的に活用できるように指導すること。 また, 他の理容・美容に関する各科目と関連付けて指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 情報化の進展が生活や社会に及ぼす影響, 情報の意義や役割及び情報機器の活用分野の概要を扱うとともに, 情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理,分析及び発信について体験的に扱うこと。
イ 内容の(2)については, 個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護, 収集した情報の管理, 発信する情報に対する責任など情報モラル及び情報通信ネッ トワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 理容・美容業務において, 現在用いられているデータ処理や経営管理, 顧客管理等の情報機器の活用について扱うこと。
[課題研究]
1 目標 理容又は美容に関する課題を設定し, その課題の解決を図る学習を通して, 専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1)調査,研究,実験
(2)作品製作
(3) 産業現場等における実習
(4)職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。 なお, 課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒が取得しようとする資格の種類に応じて, 各科目の内容を選択して指導すること。
(2)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
(3) 「課題研究」については,年間指導計画に定めるところに従い,必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(4) 地域や理容所, 美容所等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに, 社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 各科目の指導に当たっては, コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り, 学習の効果を高めるよう配慮するものとする。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意すること。 また, 廃液処理の指導を徹底し, 自然環境の保護に十分留意するものとする。
第8款 クリーニング
第1 目標 クリーニングに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ, その社会的意義と役割を理解させるとともに, クリーニングを通して公衆衛生の向上に寄与する能力と態度を育てる。
第2 各科目
[クリーニング関係法規]
1 目標 クリーニングに関する法規について理解させ, ク リーニング業を適切に行うために必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1)法制概要
ア 法の意義と役割
イ 衛生法規の概要
ウ 衛生行政の仕組みと意義
(2)クリーニング業法
ア 沿革と目的
イ クリーニング師の免許等
ウ 細則
(3)関係法規
ア 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
イ 水質汚濁防止法
ウ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
エ 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(3)については, クリーニング業の関係法規及び従事者の健康保持, 公害防止などに関し, 事例を基に具体的に扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 法の役割と運用, 衛生行政の仕組みなどについて, クリーニング業と関連させながら理解させること。
イ 内容の(2)については,クリーニング業の社会的意義,営業者や従事者としての心構え,倫理観及び遵守事項に触れること。
ウ 内容の(3)については, ドライクリーニング溶剤の有害性, 排水と環境汚染の関係, 従事者の健康管理等の概要を扱うこと。
[公衆衛生]
1 目標 公衆衛生に関する知識を習得させ, クリーニングを衛生的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)公衆衛生の概要
ア 公衆衛生の意義
イ 公衆衛生の歩みと課題
(2)環境衛生
ア 生物と環境
イ 生活の変化と環境の変化
ウ 自然環境と社会環境
エ 環境衛生活動
(3)予防衛生
ア 疾病の予防
イ 母子保健
ウ 老人保健
エ 精神保健
(4)感染症
ア 感染症と社会生活
イ 種類と発生要因
ウ 予防接種
(5)消毒
ア 消毒の意義と定義
イ 消毒の種類と方法
ウ クリーニング業と消毒の必要性
(6)環境への配慮
ア 公害の種類と環境保全
イ クリーニング業と環境汚染対策
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 人と環境とのかかわり, 科学技術の発展と環境汚染, 環境保全の必要性などについて, 事例を取り上げて具体的に指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 水, 空気, 日光や衣食住などへの関心を深め, 公害や環境汚染と環境衛生活動とのかかわりについて理解させること。
イ 内容の(3)及び(4)については,医学の進歩と高齢化の進展,疾病予防等の学習を踏まえ,感染症とクリーニングとのかかわりについて具体的に扱うこと。
ウ 内容の(5)については, 「クリーニング業法」 に基づく被洗物の区分, 消毒法と各種消毒薬の取扱い, 従事者の業務停止等を取り上げること。
エ 内容の(6)については, クリーニング業務に必要な環境汚染対策を重点的に指導すること。
[クリーニング理論]
1 目標 クリーニングを科学的に行うために必要な知識を習得させ, これを実際に応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)衣服と汚れ
ア クリーニングの歴史と目的
イ 着衣の目的
ウ 汚れの種類
エ 汚れの付着機構
(2)クリーニングの科学
ア クリーニングの三要素
イ 洗浄作用のメカニズム
(3) 水と洗浄作用
ア 硬水と軟水
イ 硬水の欠点と軟化法
(4)界面活性剤
ア 界面活性剤の構造と性質
イ ビルダーの働きと種類
ウ 補助剤の種類と働き
(5) 洗剤と溶剤
ア 洗剤と溶剤の違い
イ 洗剤と溶剤の働き
(6)ランドリー
ア ランドリーとウェットクリーニング
イ 被洗物と洗濯方式
ウ ランドリーの工程
(7)ウェットクリーニング
ア 被洗物
イ 洗剤と洗濯方法
(8) ドライクリーニング
ア 溶剤と洗剤
イ 工程と洗浄方式
ウ 溶剤管理と清浄方法
(9)特殊加工としみ抜き
ア 各種加工の目的と種類
イ しみ抜きの用具と機器
ウ しみの分類と判別
エ しみ抜きの方法
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を中心として取り扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 着衣に伴う汚れの種類や性質など, 内容の(4)については, 界面活性剤の種類等に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(6)については, ランドリーの特徴と適する被洗物,工程に沿った洗剤濃度や洗濯時間等に重点を置いて扱うこと。
ウ 内容の(8)については, ドライクリーニングの特徴, 有機溶剤の取扱いと人体に及ぼす影響, 廃棄物の処理等に重点を置いて扱うこと。
エ 内容の(9)については, しみ抜きに関する知識, 薬品の取扱いと管理, 被洗物の損傷等について扱うこと。
[繊維]
1 目標 繊維製品に関する知識を習得させ, これをクリーニングに応用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1)繊維の種類
ア 繊維素材による分類
(2) 繊維の性質と判別
ア 各種繊維の性質
イ 各種繊維の判別
(3) 織物と編み物
ア 織物の組織と性質
イ 編み物の組織と性質
ウ 不織布など
(4)繊維の各種加工
(5) 付属品や飾りのクリーニングと取扱い
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)及び(4)については,各種繊維の特徴,判別方法及び加工等について実験・実習を通して理解させるよう留意すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(2)については, 各種繊維の用途や取扱い, 内容の(3)については, 織物と編み物のそれぞれの用途や取扱い, 不織布, 人工皮革等に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(4)については,防水,防虫加工方法等,内容の(5)については,ボタンや飾り等の破損や熔解防止の方法について扱うこと。
[クリーニング機器・装置]
1 目標 クリーニング機器や装置に関する知識と技術を習得させ, クリーニングを適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) ランドリー機器・装置の構造と操作
ア 洗濯機と脱水機
イ 糊煮器と湯沸器
ウ 乾燥機
エ ブラッシング器具
(2) ドライクリーニング機器・装置の構造と操作
ア 洗濯機と脱水機
イ 清浄装置
(3) 各種プレス機の構造と操作
ア ワイシャツプレス機類
イ ズボンプレス機類
ウ シーツローラー
(4) しみ抜き機器
ア 蒸気しみ抜き器
イ 超音波しみ抜き器
ウ ジェットスポッター
(5)ボイラー
ア ボイラーの構造
イ ボイラー用水の管理
(6)機器・装置の安全な操作と事故・危険防止
ア 蒸気バルブ
イ 電源とモーター
ウ 事故・危険防止
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(4)については, 各種しみ抜き機器及び道具類の取扱いに関して, 実技や実習を中心として指導すること。
イ 内容の(6)については, 機器・装置の安全な操作, 点検及び事故・危険防止に関する事項を関連させながら扱うようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 基本的な構造, 原理及び機能とその保守管理について, 安全な操作と事故・危険防止の観点から重点的に扱うこと。
[クリーニング実習]
1 目標 洗濯, 乾燥, 仕上げ等のクリーニングに関する実際的な知識と技術を総合的に習得させ, クリーニングを適切かつ効率的に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)ランドリー
ア 洗濯物の受付と仕分け
イ ランドリーの実際
ウ 被洗物の種類別乾燥方法
(2)ウェットクリーニング
ア ウェットクリーニングの実際
イ ドライクリーニングした被洗物の取扱い
ウ カーペット
(3) ドライクリーニング
ア ドライクリーニングの実際
イ 溶剤の管理と清浄方法
ウ 有機溶剤と廃棄物
(4)仕上げ
ア ハンドアイロン仕上げ
イ シーツローラー仕上げとたたみ方
ウ 各種プレス機による仕上げと手直し
(5) しみ抜き
ア しみの判別と使用薬品
イ しみ抜きの実際
ウ 薬品の取扱いと管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, クリーニング工場等の産業現場における見学や実習を通して, 機器・装置が適切に扱えるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(3)までについては, それぞれの被洗物に適した洗濯方法と工程等に重点を置いて指導すること。 特に, 内容の(3)については, 溶剤の管理と清浄方法に留意して扱うこと。
イ 内容の(5)については, 薬品の取扱い等を具体的に指導すること。
[課題研究]
1 目標 クリーニングに関する課題を設定し, その課題の解決を図る学習を通して, 専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1)調査,研究,実験
(2) 産業現場等における実習
(3)職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(3)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。 なお, 課題は内容の(1)から(3)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
(2) 「課題研究」については,年間指導計画に定めるところに従い,必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(3) 地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 内容の取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の指導に当たっては, 各種化学繊維, 仕上げ機器等の発達を考慮して, 科学的な知識と実際的な技術の習得について, 特に留意すること。
(2) 各科目の指導に当たっては, コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り, 学習の効果を高めるようにすること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意すること。 また, 廃液処理の指導を徹底し, 自然環境の保護に十分留意するものとする。
第9款 歯科技工
第1 目標 歯科技工に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ, その社会的意義と役割を理解させるとともに, 歯科医療の発展に寄与する能力と態度を育てる。
第2 各科目
[歯科技工関係法規]
1 目標 歯科技工に関する法規について理解させ, 歯科技工の業務を適切に行うために必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1)法制概要
ア 法の概念と体系
(2)衛生行政の組織
ア 衛生行政の仕組みと意義
イ 衛生行政の財政と活動
(3)歯科技工士法総論
ア 歯科技工士免許と業務
イ 歯科技工所
ウ 罰則規定と附則等
(4)関係法規
ア 歯科医師法
イ 歯科衛生士法
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(3)については,内容の(4)との関連を図り,歯科技工士法における基本用語の的確な理解を促すとともに, 罰則規定や諸届についての理解を深めるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2) については, 法制の仕組み及び国や都道府県の衛生行政の概要について扱うこと。
イ 内容の(3)については, 「歯科技工士法」の概要,歯科技工士免許の要件,歯科技工の業務等を総合的に理解させるとともに, 職業人としての心構えや倫理観にも触れるようにすること。
ウ 内容の(4)については, 各医療従事者の業務内容等について歯科技工とのかかわりに重点を置いて指導すること。
[歯科技工学概論]
1 目標 歯科技工及び口腔の機能と疾患の概要について理解させ, 歯科技工に必要な能力と態度を育てる。
2 内容
(1)歯科技工総論
ア 歯科医療及び歯科技工の意義
イ 歯科技工士の倫理
ウ 歯科技工の沿革
エ ロ腔の構造と機能
オ 歯科及び口腔の疾患
(2)歯科技工管理
ア 歯科技工業務の運営と管理
イ 作業環境と衛生
ウ 歯科技工士の健康管理
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については,歯科技工の概要を理解させるとともに医療従事者としての自覚を養うように努めること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 歯科技工に必要な基礎的事項に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(2)については, 歯科技工業務の特徴を理解させ, その責務等を重点的に扱うこと。
[歯科理工学]
1 目標 歯科技工に必要な歯科材料, 機械・器具及び歯科鋳造に関する基礎的な知識と技術を習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)歯科理工学概論
ア 歯科理工の目的と意義
イ 歯科材料の性質
(2)歯科技工材料
ア 金属材料
イ 高分子材料
ウ 無機材料
(3)歯科技工用機器
ア 切削機器
イ 研磨機器
ウ 歯科技工関連機器
(4)歯科鋳造
ア 歯科鋳造概説
イ 歯科鋳造用材料と器具
ウ 鋳造体の精度と適合
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては,実験・実習を中心とすること。
イ 内容の(4)については, 「歯科技工実習」 と関連させて扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,歯科材料の物理的,化学的性質,歯科材料と人体との関連,歯科材料の接着, 歯科材料規格等の基礎的な内容について扱うこと。
イ 内容の(2)及び(3)については, 相互に関連させて扱い, 実際的な知識と技術の習得を図ること。
ウ 内容の(4)については, 歯科鋳造の目的と意義, その概要について扱うこと。
[歯の解剖学]
1 目標 歯の解剖に関する基礎的な知識と技術を習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 口腔解剖
ア 口腔周囲の骨と筋
イ 顎関節と口腔
(2)歯の解剖
ア 歯の概説
イ 永久歯と乳歯
ウ 歯周組織
エ 歯列弓と上下顎の位置関係
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 「顎口腔機能学」 との関連を図り,歯の解剖について総合的に理解させるよう留意すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 口腔及び口腔周囲の概要について扱うこと。
イ 内容の(2)については, 天然歯の観察により, 歯の形態や歯群, 歯の消化器系器官としての意義等を扱うこと。
[顎口腔機能学]
1 目標 顎口腔系器官の機能と形態を理解させるとともに, 咬合器の取扱い方を習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 顎口腔機能学概論
ア 顎口腔系の機能, 形態及びその維持
(2) 下顎運動と咬合
ア 下顎位と下顎運動
イ 咬合に関する指標等
ウ 咬合様式
(3)咬合器の取扱い
ア 咬合器の機能と分類
イ 平均値咬合器
ウ 半調節性咬合器
エ 全調節性咬合器
(4)義歯及び修復物の咬合
ア 修復物の咬合
イ 部分床義歯と全部床義歯
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(3)までについては, 有床義歯技工実習及び歯冠修復技工実習よりも先行して履修できるようにすること。
イ 内容の(4)については, 「有床義歯技工学」及び「歯冠修復技工学」 と関連させながら扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 顎口腔系器官の機能を, その形態と関連させながら扱うこと。
イ 内容の(2)については, 各種の咬合様式等に関して, 歯の接触関係を中心に扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 平均値咬合器と半調節性咬合器の取扱い方に重点を置いて指導し, 全調節性咬合器については, その概略を理解させることにとどめること。
[有床義歯技工学]
1 目標 有床義歯技工に関する基礎的な知識と技術を習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)全部床義歯技工学
ア 全部床義歯の目的,分類,構成
イ 全部床義歯技工の基礎知識
ウ 全部床義歯の製作
(2)部分床義歯技工学
ア 部分床義歯の目的,分類,構成
イ 部分床義歯技工の基礎知識
ウ 部分床義歯の製作
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 有床義歯については, 「歯の解剖学」及び「顎口腔機能学」 との関連を図り,症例実習を中心にして基礎的な技術の習得を図ること。
イ 有床義歯の製作の指導に当たっては, 機能的回復と審美的回復に必要な知識の習得と態度の形成に努めるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 顎口腔を取り巻く骨, 筋肉などの形態的特徴や機能的特徴について, 咬合器と関連させながら扱うこと。
イ 内容の(2)については, 残存歯との調和に配慮した人工歯排列及び咬合調整に重点を置いて扱うこと。
[歯冠修復技工学]
1 目標 歯冠修復技工に関する基礎的な知識と技術を習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)歯冠修復技工学概論
ア 歯冠修復技工の目的と意義
イ 印象採得と作業模型
ウ 咬合採得と咬合器
(2) インレー
ア インレーの特徴
イ 窩洞形態と構成
ウ インレーの製作法
(3)被覆冠
ア 一部被覆冠と全部被覆冠
イ 全部鋳造冠の製作法
ウ 前装鋳造冠の製作法
(4)歯冠継続歯
ア 歯冠継続歯の特徴
(5)架工義歯(橋義歯)
ア 架工義歯の特徴
イ 支台装置の種類と要件
ウ 橋体の種類と特徴
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 「歯の解剖学」, 「顎口腔機能学」及び「有床義歯技工学」 と関連させながら指導すること。
イ 内容の(1)については, 内容の(2)から(5)までとの関連を図り, 歯冠修復技工の意義と目的について理解させること。
ウ 内容の(3)のイについては, 歯冠修復技工学の中心となる分野であることから, 他の分野と関連させながら, 的確な理解を深めるよう留意すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア (2)から(5)のうち, (2)及び(3)を中心に扱い, それぞれの意義と製作順序に重点を置いて扱うこと。
[矯正歯科技工学]
1 目標 矯正歯科技工に関する基礎的な知識と技術を習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)矯正歯科技工学概論
(2) 正常咬合と不正咬合
(3) 矯正装置と保定装置
(4)矯正用模型
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 「歯の解剖学」及び「小児歯科技工学」 との関連を図り,矯正歯科技工の理論に基づいた基本的な技術の習得を促すよう留意すること。
イ 指導に当たっては, 矯正歯科治療の考え方に基づき, 矯正装置の役割や製作方法を理解させるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 矯正歯科治療の目的や進め方と関連させて扱うこと。
イ 内容の(3)については, 基本的な矯正装置と保定装置を取り上げ, その構成や機能, 材料の特性等を中心に扱うこと。
[小児歯科技工学]
1 目標 小児歯科技工に関する基礎的な知識と技術を習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)小児歯科技工学概論
ア 歯,顎,顔面の成長発育
イ 乳歯列期と混合歯列期
(2)乳歯の歯冠修復
ア 成形充填
イ 被覆冠
(3)咬合誘導装置
ア 保隙装置
イ スペースリゲイナー
ウ 口腔習癖除去装置
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 「歯の解剖学」 との関連を図り,小児の成長発育に留意しながら,修復物,咬合誘導装置等の製作にかかわる基礎的な知識と技術の習得を促すこ と。
イ 内容の(1)については, 内容の(2)及び(3)との関連を図り, 小児歯科技工の意義と目的を理解させること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,小児の成長発育に伴う歯, 顎等の変化に重点を置いて扱うこと。
イ 内容の(3)については, 乳歯の早期喪失等による症例の技工物を取り上げるなどして,基本的な製作方法の習得を図ること。
[歯科技工実習]
1 目標 歯科技工に関する実際的な知識と技術を総合的に習得させ, 歯科技工を適切に行う能力と態度を育てる。
2 内容
(1)有床義歯技工実習
(2)歯冠修復及び架工義歯(橋義歯)技工実習
(3)歯型彫刻技工実習
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 指導に当たっては, 実験・実習を中心にして使用機械及び器具の理解を深め, 基礎的な知識と技術を総合的に習得させるよう留意すること。 また, 安全管理や保健管理にかかわる知識の習得と態度の形成に努めること。
イ 臨床的模型上での実習を行うなど, 多種多様な模型の活用を図り, 適切な知識や技術の習得を促すこと。また, 「歯の解剖学」, 「有床義歯技工学」及び「歯冠修復技工学」 と関連させながら,生徒の実態に応じて適切に指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 臨床的模型を使用した全部床義歯の製作, 内容の(2)については,鋳造冠のワックスアップの反復練習, 内容の(3)については, 石膏, ワックス及びレジンを使用した歯型彫刻に重点を置いて指導すること。
[歯科技工情報活用]
1 目標 社会における情報化の進展と情報の意義や役割を理解させるとともに, 情報の活用に関する知識と技術を習得させ, 歯科技工の分野で情報及び情報手段を主体的に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
(1) 情報機器と情報の活用
ア 生活と情報の活用
イ 情報機器の活用分野
ウ 情報通信ネットワーク
(2) 情報モラルとセキュリティ
ア 情報の価値とモラル
イ 情報のセキュリティ管理
(3) 歯科技工と情報機器の活用
ア 歯科技工における情報機器活用の目的と意義
イ 個人情報の管理
ウ 歯科技工における情報機器活用の実際
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 歯科技工に関する題材やデータなどを用いた実習を通して, 歯科技工の分野において情報を主体的に活用できるように指導すること。また,他の歯科技工に関する各科目と関連付けて指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については, 次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については, 情報化の進展が生活や社会に及ぼす影響, 情報の意義や役割及び情報機器の活用分野の概要を扱うとともに, 情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理,分析及び発信について体験的に扱うこと。
イ 内容の(2)については, 個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護, 収集した情報の管理, 発信する情報に対する責任など情報モラル及び情報通信ネッ トワークシステムにおけるセキュリティ管理の重要性について扱うこと。
ウ 内容の(3)については, 歯科技工業務において, 現在用いられているデータ処理や経営管理等の情報機器の活用について扱うこと。
[課題研究]
1 目標 歯科技工に関する課題を設定し, その課題の解決を図る学習を通して, 専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決の能力や自発的,創造的な学習態度を育てる。
2 内容
(1)調査,研究,実験
(2)作品製作
(3) 医療現場等における実習
(4)職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,内容の(1)から(4)までの中から個人又はグループで適切な課題を設定させること。 なお, 課題は内容の(1)から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。
第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。
(2) 地域や歯科技工所等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験を積極的に取り入れるとともに, 社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
2 内容の取扱いに当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の指導に当たっては, 各種歯科材料, 歯科技工用機械等の発達を考慮して, 科学的知識と技術の習得について, 特に留意すること。
(2) 各科目の指導に当たっては, コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り, 学習の効果を高めるようにすること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
第2節 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校
第1款 各学科に共通する各教科の目標及び内容
[国語]
1 目標 生活に必要な国語についての理解を深め, 伝え合う力を高めるとともに, それらを適切に活用する能力と態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1)話の内容の要点を落とさないように聞き取る。
(2) 目的や場に応じて要点を落とさないように話す。
(3) いろいろな語句, 文及び文章を正しく読み, 内容を読み取る。
(4) 手紙や日記などを目的に応じて正しく書く。
○2段階
(1) 話し手の意図や気持ちを考えながら, 話の内容を適切に聞き取る。
(2) 自分の立場や意図をはっきりさせながら,相手や目的,場に応じて適切に話す。
(3) 目的や意図などに応じて文章の概要や要点などを適切に読み取る。
(4) 相手や目的に応じていろいろな文章を適切に書く。
[社会]
1 目標 社会の様子, 働きや移り変わりについての関心と理解を一層深め, 社会生活に必要な能力と態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1) 相手や自分の立場を理解し, 互いに協力して役割や責任を果たす。
(2)社会や国にはいろいろなきまりがあることを知り, それらを適切に守る。
(3) 生活に関係の深い公共施設や公共物などの働きを理解し, それらを適切に利用する。
(4)政治,経済,文化などの社会的事象や情報メディアなどに興味や関心をもち,生産,消費などの経済活動に関する基本的な事柄を理解する。
(5) 我が国のいろいろな地域の自然や生活の様子を理解し, 社会の変化や伝統に関心をもつ。
(6) 外国の自然や人々の生活の様子, 世界の出来事に関心をもつ。
○2段階
(1) 個人と社会の関係が分かり, 社会の一員としての自覚をもつ。
(2) 社会の慣習, 生活に関係の深い法や制度を知り, 必要に応じて生活に生かす。
(3) 公共施設や公共物などの働きについての理解を深め, それらを適切に利用する。
(4)政治,経済,文化などの社会的事象や情報メディアなどに興味や関心を深め,生産,消費などの経済活動に関する事柄を理解する。
(5) 地図や各種の資料などを活用し, 我が国のいろいろな地域の自然や生活の様子, 社会の変化や伝統を知る。
(6) 各種の資料を活用し, 外国の自然や人々の生活の様子, 世界の出来事について知る。
[数学]
1 目標 生活に必要な数量や図形などに関する理解を深め, それらを活用する能力と態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1) 日常生活に必要な数量の処理や計算をする。
(2)長さ・重さなどの単位の関係が分かり,測定する。
(3) 図形を正しく作図したり, 表やグラフを工夫して作ったりする。
(4)金銭や時計・暦などの正しい使い方が分かる。
○2段階
(1) 生活に必要な数量の処理や計算をする。
(2)長さ・重さ・量などの測定方法を理解し,活用する。
(3) 様々な図形, 表やグラフを理解し, 工夫して使う。
(4) 生活に必要な金銭や時計・暦などを工夫して使う。
[理科]
1 目標 自然の仕組みや働きなどについての理解を深め,科学的な見方や考え方を養うとともに, 自然を大切にする態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1)人の体の主なつくりや働きを理解する。
(2) 生物の特徴, その成長や活動の様子について理解し, 生命の大切なことを知る。
(3) 生活に関係のある物質の性質や機械・器具の構造及び働きについて理解し, 適切に取り扱う。
(4) 自然の事物・現象についての初歩的な理解を図るとともに, 自然と生活との関係を理解する。
○2段階
(1)人の体の主なつくりや働きについての理解を深めるとともに,人の成長や環境とのかかわりについて関心をもつ。
(2) 生物とそれを取り巻く自然環境についての理解を深め, 生命の大切なことを知る。
(3) 様々な物質の性質や機械・器具の種類, 構造及び働きについて理解し, 適切に取り扱う。
(4) 自然の事物・現象についての理解を図るとともに, 自然と生活との関係について理解を深める。
[音楽]
1 目標 表現及び鑑賞の能力を伸ばし,音楽活動への意欲を高めるとともに,生活を明るく楽しいものにする態度と習慣を育てる。
2 内容
○1段階
(1) いろいろな音楽をその美しさなどを感じ取りながら鑑賞する。
(2) 音楽を聴いて曲の特徴などを感じ取り, 創造的に身体の動きで表現したりする。
(3) 打楽器や旋律楽器などに親しみ, その演奏の仕方に慣れ, 気持ちを込めて合奏や独奏をする。
(4)歌詞の内容を感じ取って,独唱,斉唱,簡単な合唱などをする。
○2段階
(1) いろいろな音楽をその美しさなどを味わいながら鑑賞する。
(2) 音楽を聴いて感じたイメージを創造的に身体表現する。
(3) 打楽器, 旋律楽器などの演奏の仕方に慣れ, 楽器の特色や音色を生かしながら合奏や独奏をする。
(4) 独唱, 斉唱, 二部合唱, オペレッタなどによる表現に慣れ, 歌詞の内容や曲想などを味わいながら歌う。
[美術]
1 目標 造形活動によって, 表現及び鑑賞の能力を高め, 豊かな情操を養う。
2 内容
○1段階
(1) 経験や想像をもとに創造的に絵をかいたり, 作品をつくったり, それらを飾ったりする。
(2) いろいろな材料の性質や用具などの扱い方を理解し, 工夫して使う。
(3) 自然や優れた造形品を鑑賞し, その美しさなどを味わう。
○2段階
(1)経験や想像をもとに,様々な技法などを用いて,創造的に絵をかいたり,作品をつくったり, それらを飾ったりする。
(2) いろいろな材料の性質や用具などの扱い方を理解し, 適切に使う。
(3) 自然や優れた造形品を鑑賞し,美しさなどを味わうとともに,地域の伝統工芸品に関心をもつ。
[保健体育]
1 目標 適切な運動の経験や健康・安全についての理解を通して,心身の調和的発達を図り,明るく豊かな生活を営む態度と習慣を育てる。
2 内容
○1段階
(1)体つくり運動,いろいろなスポーツ,ダンスなどの運動をする。
(2) きまりやいろいろなスポーツのルールなどを守り, 友達と協力して安全に運動をする。
(3)心身の発育・発達に関心をもち,生活に必要な健康・安全に関する事柄を理解する。
○2段階
(1)体つくり運動,いろいろなスポーツ,ダンスなどの運動を通して,体力や技能を高める。
(2) きまりやいろいろなスポーツのルールなどを守り, 友達と協力し, 進んで安全に運動をする。
(3) 心身の発育・発達に応じた適切な行動や生活に必要な健康・安全に関する事柄の理解を深める。
[職業]
1 目標 勤労の意義について理解するとともに,職業生活に必要な能力を高め,実践的な態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1)働くことの意義を理解し, 作業や実習に取り組み, 働く喜びを味わう。
(2)道具や機械の操作に慣れるとともに, 材料や製品の扱い方を身に付け, 安全や衛生に気を付けながら作業や実習をする。
(3) 自分の分担に責任をもち, 他の者と協力して作業や実習をする。
(4) 適切な進路選択のために, いろいろな職業や職業生活について知る。
(5) 産業現場等における実習を通して, 実際的な職業生活を経験する。
(6) 職業生活に必要な健康管理や余暇の有効な過ごし方が分かる。
(7) 職場で使われる機械やコンピュータ等の情報機器などの簡単な操作をする。
○2段階
(1)働くことの意義について理解を深め, 積極的に作業や実習に取り組み, 職場に必要な態度を身に付ける。
(2) いろいろな道具や機械の仕組み, 操作などを理解し, 材料や製品の管理を適切に行い, 安全や衛生に気を付けながら正確に効率よく作業や実習をする。
(3) 作業の工程全体を理解し, 自分の分担に責任をもち,他の者と協力して作業や実習をする。
(4) 職業生活に必要な実際的な知識を深める。
(5) 産業現場等における実習を通して, 職業生活に必要な事柄を理解する。
(6) 職業生活に必要な健康管理や余暇の計画的な過ごし方についての理解を深める。
(7) 職場で使われる機械やコンピュータ等の情報機器などの操作をする。
[家庭]
1 目標 明るく豊かな家庭生活を営む上に必要な能力を高め, 実践的な態度を育てる。
2 内容
○1段階
(1) 家族がそれぞれの役割を果たしていることを理解し, 楽しい家庭づくりのための自分の役割を果たす。
(2) 家庭生活における計画的な消費や余暇の有効な過ごし方が分かる。
(3) 家庭生活で使用する道具や器具などの正しい使い方が分かり, 安全や衛生に気を付けながら実習をする。
(4)被服,食物,住居などに関する実習を通して,実際的な知識と技能を習得する。
(5) 保育や家庭看護などに関心をもつ。
○2段階
(1) 家庭の機能や家族の役割を理解し, 楽しい家庭づく りのために積極的に役割を果たす。
(2) 家庭生活における計画的な消費や余暇の有効な過ごし方について理解を深める。
(3) 家庭生活で使用する道具や器具を効率的に使用し, 安全や衛生に気を付けながら実習をする。
(4)被服,食物,住居などに関する実習を通して,健康で安全な生活に必要な実際的な知識と技能を習得する。
(5) 保育や家庭看護などに関する基礎的な知識と技能を習得する。
[外国語]
1 目標 外国語でコミュニケーションを図る基礎的な能力や態度を育てるとともに, 外国語や外国への関心を深める。
2 内容
英語
○1段階
(1)簡単な英語を使って表現したり,やりとりしたりする。
(2)簡単な語,句,文に興味や関心をもつ。
(3)日常生活の中で見聞きする語や句の意味を知る。
○2段階
(1) 初歩的な英語を使って簡単な会話をする。
(2)簡単な語,句,文を書いたり読んだりする。
(3)簡単な語,句,文の意味を知る。
その他の外国語 その他の外国語の内容については,英語に準ずるものとする。
[情報]
1 目標 コンピュータ等の情報機器の操作の習得を図り, 生活に必要な情報を適切に活用する基礎的な能力や態度を育てる
2 内容
○1段階
(1) 日常生活の中で情報やコンピュータ等の情報機器が果たしている役割に関心をもつ。
(2) コンピュータ等の情報機器に関心をもち, 簡単な操作をする。
(3) 各種のソフトウェアに関心をもち, 実習をする。
(4) コンピュータ等の情報機器を利用した情報の収集, 処理及び発信に関心をもつ。
(5) 情報の取扱いに関するきまりやマナーがあることを知る。
○2段階
(1) 生活の中で情報やコンピュータ等の情報機器が果たしている役割を知り, それらの活用に関心をもつ。
(2) コンピュータ等の情報機器の扱い方が分かり, 操作する。
(3) 各種のソフトウェアの操作に慣れ, 実習をする。
(4) コンピュータ等の情報機器を利用した情報の収集, 処理及び発信の方法が分かり, 実際に活用する。
(5) 情報の取扱いに関するきまりやマナーを理解し, それらを守って実習する。
第2款 主として専門学科において開設される各教科の目標及び内容
[家政]
1 目標 家庭に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り, 生活に関連する職業の意義と役割の理解を深めるとともに, 生活に関連する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内容
(1)生活に関連する職業についての興味・関心を深め,意欲的に実習をする。
(2) 生活に関連する職業において必要な基礎的 ・ 基本的な知識と技術を習得する。
(3) 生活に関連する職業で使用する各種の器具や機械, コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し, 安全や衛生に気を付けながら実習をする。
(4) 次に示すような家庭に関する分野に必要な知識と技術を習得し, 実際に活用する。
・被服の製作
・クリーニング
・手芸
・調理,製菓,食品
・住居の管理,インテリア
・保育,家庭看護
[農業]
1 目標 農業に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り, 農業の意義と役割の理解を深めるとともに, 農業に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内容
(1)農業についての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
(2) 農業に関する基礎的 ・ 基本的な知識と技術を習得する。
(3) 農機具や簡単な機械, コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し, 安全や衛生に気を付けながら実習をする。
(4) 次に示すような農業に関する分野に必要な知識と技術を習得し, 実際に活用する。
・作物,野菜及び果樹の栽培
・草花の栽培,花壇の管理
・家畜の飼育
・食品加工
[工業]
1 目標 工業に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り, 工業の意義と役割の理解を深めるとともに, 工業に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内容
(1)工業についての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
(2) 工業に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
(3) 各種の工具や機械, コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し, 安全や衛生に気を付けながら実習をする。
(4) 次に示すような工業に関する分野に必要な知識と技術を習得し, 実際に活用する。
・木材,金属,セラミック,紙,布,皮革などの製品の製造
・印刷
[流通・サービス]
1 目標 流通やサービスに関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り, それらの意義と役割の理解を深めるとともに, 流通やサービスに関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内容
(1)流通やサービスについての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
(2) 流通やサービスに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
(3)事務機器,機械や道具, コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し, 安全や衛生に気を付けながら実習をする。
(4) 次に示すような流通やサービスに関する分野に必要な知識と技術を習得し, 実際に活用する。
・商品管理
・販売
・清掃
・事務
[福祉]
1 目標 社会福祉に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り, 社会福祉の意義と役割の理解を深めるとともに, 社会福祉に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内容
(1)社会福祉についての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
(2) 社会福祉に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
(3) 福祉機器や用具, コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し, 安全や衛生に気を付けながら実習をする。
(4) 次に示すような社会福祉に関する必要な分野の知識と技術を習得し, 実際に活用する。
・家事援助
・介護
第3款 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,個々の生徒の知的障害の状態や経験等を考慮しながら,実際に指導する内容を選定し, 配列して, 具体的に指導内容を設定するものとする。
2 個々の生徒の実態に即して,生活に結び付いた効果的な指導を行うとともに,生徒が見通しをもって, 意欲的に学習活動に取り組むことができるよう配慮するものとする。
3 「職業」及び「家庭」の指導計画の作成に当たっては,職業生活,家庭生活に必要な実際的な知識, 技能及び態度の形成に重点を置いた指導が行われるよう配慮するものとする。
4 「家政」, 「農業」, 「工業」, 「流通・サービス」及び「福祉」の内容の取扱いについては,それぞれの教科の内容の(4)は, 地域や学校の実態などを考慮して適切な内容を選択し, 重点的に取り扱うものとする。
5 生徒の実態に即して学習環境を整えるなど, 安全に留意するものとする。
6 実習を行うに当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し, 安全と衛生に十分留意するものとする。
7 家庭等との連携を図り, 生徒が学習の成果を生かすことができるよう配慮するものとする。
8 生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,教材・教具や補助用具などを工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し, 指導の効果を高めるようにするものとする。
第3章 道徳(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校)
第1款 目標及び内容 道徳の目標及び内容については, 小学部及び中学部における 目標及び内容を基盤と し, さ らに,青年期の特性を考慮して, 健全な社会生活を営む上に必要な道徳性を一層高めることに努めるものとする。
第2款 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,生徒,学校及び地域の実態を十分考慮し, 中学部における道徳との関連を図り, 計画的に指導がなされるよう工夫するものとする。
2 内容の指導に当たっては, 個々の生徒の知的障害の状態や経験等に応じて, 適切に指導の重点を定め, 指導内容を具体化し, 体験的な活動を取り入れるなどの工夫を行うものとする。
3 道徳教育を進めるに当たっては, 学校や学級内の人間関係及び環境を整えるとともに, 学校の道徳教育の指導内容が生徒の日常生活に生かされるようにするものとする。 また, 保護者や地域の人々の積極的な参加や協力を得るなど相互の連携を図るよう配慮するものとする。
第4章 総合的な学習の時間 総合的な学習の時間の目標, 各学校において定める 目標及び内容並びに指導計画の作成と 内容の取扱いについては, 高等学校学習指導要領第4章に示すものに準ずるほか, 次に示すところによるものとする。
1 生徒の障害の状態や発達の段階等を十分考慮し, 学習活動が効果的に行われるよう配慮すること。
2 体験活動に当たっては,安全と保健に留意するとともに,学習活動に応じて,高等学校の生徒などと交流及び共同学習を行うよう配慮すること。
第5章 特別活動 特別活動の目標, 各活動 ・ 学校行事の目標及び内容並びに指導計画の作成と内容の取扱いについては, 高等学校学習指導要領第5章に示すものに準ずるほか, 次に示すところによるものとする。
1 指導計画の作成に当たっては, 生徒の少人数からくる種々の制約を解消し, 積極的な集団活動が行われるよう配慮する必要があること。
2 生徒の経験を広めて積極的な態度を養い, 社会性や豊かな人間性をはぐくむために, 集団活動を通して高等学校の生徒などと交流及び共同学習を行ったり, 地域の人々などと活動を共にしたりする機会を積極的に設ける必要があること。 その際, 生徒の障害の状態や特性等を考慮して, 活動の...
3 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校において,内容の指導に当たっては,個々の生徒の知的障害の状態や経験等に応じて, 適切に指導の重点を定め, 具体的に指導する必要があること。
第6章 自立活動
第1款 目標 個々の生徒が自立を目指し, 障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善 ・ 克服するために必要な知識, 技能, 態度及び習慣を養い, もって心身の調和的発達の基盤を培う。
第2款 内容
1 健康の保持
(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
(4)健康状態の維持・改善に関すること。
2 心理的な安定
(1) 情緒の安定に関すること。
(2) 状況の理解と変化への対応に関すること。
(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。
3 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4)集団への参加の基礎に関すること。
4 環境の把握
(1) 保有する感覚の活用に関すること。
(2)感覚や認知の特性への対応に関すること。
(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。
(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。
5 身体の動き
(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
(4) 身体の移動能力に関すること。
(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。
6 コミュニケーション
(1)コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
(2) 言語の受容と表出に関すること。
(3) 言語の形成と活用に関すること。
(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。
第3款 指導計画の作成と内容の取扱い
1 自立活動の指導に当たっては, 個々の生徒の障害の状態や発達の段階等の的確な把握に基づき, 指導の目標及び指導内容を明確にし, 個別の指導計画を作成するものとする。 その際, 第2款に示す内容の中からそれぞれに必要とする項目を選定し,それらを相互に関連付け,具体的に指導内容を...
2 個別の指導計画の作成に当たっては, 次の事項に配慮するものとする。
(1)個々の生徒について,障害の状態,発達や経験の程度,興味・関心,生活や学習環境などの実態を的確に把握すること。
(2) 実態把握に基づき, 長期的及び短期的な観点から指導の目標を設定し, それらを達成するために必要な指導内容を段階的に取り上げること。
(3) 具体的に指導内容を設定する際には, 以下の点を考慮すること。
ア 生徒が興味をもって主体的に取り組み, 成就感を味わうとともに自己を肯定的にとらえることができるような指導内容を取り上げること。
イ 生徒が,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服しようとする意欲を高めることができるような指導内容を重点的に取り上げること。
ウ 個々の生徒の発達の進んでいる側面を更に伸ばすことによって, 遅れている側面を補うことができるような指導内容も取り上げること。
エ 個々の生徒が,活動しやすいように自ら環境を整えたり,必要に応じて周囲の人に支援を求めたりすることができるような指導内容も計画的に取り上げること。
(4) 生徒の学習の状況や結果を適切に評価し, 個別の指導計画や具体的な指導の改善に生かすよう努めること。
3 指導計画の作成に当たっては,各教科・科目,総合的な学習の時間及び特別活動(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては, 各教科, 道徳, 総合的な学習の時間及び特別活動)の指導と密接な関連を保つようにし,計画的,組織的に指導が行われるようにするものとする。...
4 個々の生徒の実態に応じた具体的な指導方法を創意工夫し, 意欲的な活動を促すようにするものとする。
5 重複障害者のうち自立活動を主として指導を行うものについては, 全人的な発達を促すために必要な基本的な指導内容を, 個々の生徒の実態に応じて設定し, 系統的な指導が展開できるようにするものとする。
6 自立活動の時間における指導は, 専門的な知識や技能を有する教師を中心として, 全教師の協力の下に効果的に行われるようにするものとする。
7 生徒の障害の状態により,必要に応じて,専門の医師及びその他の専門家の指導・助言を求めるなどして, 適切な指導ができるようにするものとする。
2 学校における道徳教育は,道徳の時間を要《かなめ》として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。 道徳教育は,教育基本...
1 第2章以下に示す各教科,道徳,外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,すべての児童に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,...
3 第2章以下に示す各教科,道徳,外国語活動及び特別活動並びに各学年の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
5 学校において2以上の学年の児童で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科,道徳及び外国語活動の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科,道徳及び外国語活動の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。
1 各教科,道徳,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,1及び3において,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。)の授業は,年間35週(第1学年については34週)以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が児童の...
2 以上のほか,次の事項に配慮するものとする。
(7) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,算数科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,生活科の特質に応じて適切な指導をすること。
(5) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
(6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,図画工作科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。
(5) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
第3章 道   徳
第1 目標  道徳教育の目標は,第1章総則の第1の2に示すところにより,学校の教育活動全体を通じて,道徳的な心情,判断力,実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。  道徳の時間においては,以上の道徳教育の目標に基づき,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における道...
第2 内容  道徳の時間を要《かなめ》として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,次のとおりとする。
〔第1学年及び第2学年〕
1 主として自分自身に関すること。
(1) 健康や安全に気を付け,物や金銭を大切にし,身の回りを整え,わがままをしないで,規則正しい生活をする。
(2) 自分がやらなければならない勉強や仕事は,しっかりと行う。
(3) よいことと悪いことの区別をし,よいと思うことを進んで行う。
(4) うそをついたりごまかしをしたりしないで,素直に伸び伸びと生活する。
2 主として他の人とのかかわりに関すること。
(1) 気持ちのよいあいさつ,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接する。
(2) 幼い人や高齢者など身近にいる人に温かい心で接し,親切にする。
(3) 友達と仲よくし,助け合う。
(4) 日ごろ世話になっている人々に感謝する。
3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
(1) 生きることを喜び,生命を大切にする心をもつ。
(2) 身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接する。
(3) 美しいものに触れ,すがすがしい心をもつ。
4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
(1) 約束やきまりを守り,みんなが使う物を大切にする。
(2) 働くことのよさを感じて,みんなのために働く。
(3) 父母,祖父母を敬愛し,進んで家の手伝いなどをして,家族の役に立つ喜びを知る。
(4) 先生を敬愛し,学校の人々に親しんで,学級や学校の生活を楽しくする。
(5) 郷土の文化や生活に親しみ,愛着をもつ。
〔第3学年及び第4学年〕
1 主として自分自身に関すること。
(1) 自分でできることは自分でやり,よく考えて行動し,節度のある生活をする。
(2) 自分でやろうと決めたことは,粘り強くやり遂げる。
(3) 正しいと判断したことは,勇気をもって行う。
(4) 過ちは素直に改め,正直に明るい心で元気よく生活する。
(5) 自分の特徴に気付き,よい所を伸ばす。
2 主として他の人とのかかわりに関すること。
(1) 礼儀の大切さを知り,だれに対しても真心をもって接する。
(2) 相手のことを思いやり,進んで親切にする。
(3) 友達と互いに理解し,信頼し,助け合う。
(4) 生活を支えている人々や高齢者に,尊敬と感謝の気持ちをもって接する。
3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
(1) 生命の尊さを感じ取り,生命あるものを大切にする。
(2) 自然のすばらしさや不思議さに感動し,自然や動植物を大切にする。
(3) 美しいものや気高いものに感動する心をもつ。
4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
(1) 約束や社会のきまりを守り,公徳心をもつ。
(2) 働くことの大切さを知り,進んでみんなのために働く。
(3) 父母,祖父母を敬愛し,家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくる。
(4) 先生や学校の人々を敬愛し,みんなで協力し合って楽しい学級をつくる。
(5) 郷土の伝統と文化を大切にし,郷土を愛する心をもつ。
(6) 我が国の伝統と文化に親しみ,国を愛する心をもつとともに,外国の人々や文化に関心をもつ。
〔第5学年及び第6学年〕
1 主として自分自身に関すること。
(1) 生活習慣の大切さを知り,自分の生活を見直し,節度を守り節制に心掛ける。
(2) より高い目標を立て,希望と勇気をもってくじけないで努力する。
(3) 自由を大切にし,自律的で責任のある行動をする。
(4) 誠実に,明るい心で楽しく生活する。
(5) 真理を大切にし,進んで新しいものを求め,工夫して生活をよりよくする。
(6) 自分の特徴を知って,悪い所を改めよい所を積極的に伸ばす。
2 主として他の人とのかかわりに関すること。
(1) 時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接する。
(2) だれに対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にする。
(3) 互いに信頼し,学び合って友情を深め,男女仲よく協力し助け合う。
(4) 謙虚な心をもち,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にする。
(5) 日々の生活が人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それにこたえる。
3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
(1) 生命がかけがえのないものであることを知り,自他の生命を尊重する。
(2) 自然の偉大さを知り,自然環境を大切にする。
(3) 美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏《い》敬の念をもつ。
4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
(1) 公徳心をもって法やきまりを守り,自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。
(2) だれに対しても差別をすることや偏見をもつことなく公正,公平にし,正義の実現に努める。
(3) 身近な集団に進んで参加し,自分の役割を自覚し,協力して主体的に責任を果たす。
(4) 働くことの意義を理解し,社会に奉仕する喜びを知って公共のために役に立つことをする。
(5) 父母,祖父母を敬愛し,家族の幸せを求めて,進んで役に立つことをする。
(6) 先生や学校の人々への敬愛を深め,みんなで協力し合いよりよい校風をつくる。
(7) 郷土や我が国の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,郷土や国を愛する心をもつ。
(8) 外国の人々や文化を大切にする心をもち,日本人としての自覚をもって世界の人々と親善に努める。
1 各学校においては,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開するため,次に示すところにより,道徳教育の全体計画と道徳の時間の年間指導計画を作成するものとする。
(1) 道徳教育の全体計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,児童,学校及び地域の実態を考慮して,学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえた各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並び...
(2) 道徳の時間の年間指導計画の作成に当たっては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら,計画的,発展的に授業がなされるよう工夫すること。その際,第2に示す各学年段階ごとの内容項目について,児童や学校の実態に応じ,2学...
(3) 各学校においては,各学年を通じて自立心や自律性,自他の生命を尊重する心を育てることに配慮するとともに,児童の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。特に低学年ではあいさつなどの基本的な生活習慣,社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはなら...
 2 第2に示す道徳の内容は,児童が自ら道徳性をはぐくむためのものであり,道徳の時間はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動においてもそれぞれの特質に応じた適切な指導を行うものとする。その際,児童自らが成長を実感でき,これからの課題や目標が見付けられるよう工夫...
3 道徳の時間における指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2) 集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動などの体験活動を生かすなど,児童の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。
(3) 先人の伝記,自然,伝統と文化,スポーツなどを題材とし,児童が感動を覚えるような魅力的な教材の開発や活用を通して,児童の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。
(4) 自分の考えを基に,書いたり話し合ったりするなどの表現する機会を充実し,自分とは異なる考えに接する中で,自分の考えを深め,自らの成長を実感できるよう工夫すること。
(5) 児童の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえ,情報モラルに関する指導に留意すること。
4 道徳教育を進めるに当たっては,学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,学校の道徳教育の指導内容が児童の日常生活に生かされるようにする必要がある。また,道徳の時間の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに,保護者や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするな...
5 児童の道徳性については,常にその実態を把握して指導に生かすよう努める必要がある。ただし,道徳の時間に関して数値などによる評価は行わないものとする。
(7) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,外国語活動の特質に応じて適切な指導をすること。
(6) 各教科,道徳,外国語活動及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
(7) 各教科,道徳,外国語活動及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(9) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
(1) 特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学級や学校の実態や児童の発達の段階などを考慮し,児童による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳,外国語活動及び総合的な学習の時間などの指導との...
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
(2) 〔学級活動〕については,学級,学校及び児童の実態,学級集団の育成上の課題や発達の課題及び第3章道徳の第3の1の(3)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年段階において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりす...
2 学校における道徳教育は,道徳の時間を要《かなめ》として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて,生徒の発達の段階を考慮して,適切な指導を行わなければならない。道徳教育は,教育基本法及び学校教育...
1 第2章以下に示す各教科,道徳及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,すべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には...
3 第2章以下に示す各教科,道徳及び特別活動並びに各学年,各分野又は各言語の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
1 各教科,道徳,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,1及び3において,特別活動については学級活動(学校給食に係るものを除く。)に限る。)の授業は,年間35週以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が生徒の負担過重にならないようにするものとする。...
2 以上のほか,次の事項に配慮するものとする。
(ア) 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち250字程度から300字程度までの漢字を読むこと。
(ア) 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち300字程度から350字程度までの漢字を読むこと。
(6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
(3) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,数学科の特質に応じて適切な指導をすること。
(6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
(5) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,美術科の特質に応じて適切な指導をすること。
(3) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,保健体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,技術・家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。
3 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,外国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
第3章 道   徳
第1 目標  道徳教育の目標は,第1章総則の第1の2に示すところにより,学校の教育活動全体を通じて,道徳的な心情,判断力,実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。  道徳の時間においては,以上の道徳教育の目標に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密...
第2 内容  道徳の時間を要(かなめ)として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,次のとおりとする。
1 主として自分自身に関すること。
(1) 望ましい生活習慣を身に付け,心身の健康の増進を図り,節度を守り節制に心掛け調和のある生活をする。
(2) より高い目標を目指し,希望と勇気をもって着実にやり抜く強い意志をもつ。
(3) 自律の精神を重んじ,自主的に考え,誠実に実行してその結果に責任をもつ。
(4) 真理を愛し,真実を求め,理想の実現を目指して自己の人生を切りいていく。
(5) 自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求する。
2 主として他の人とのかかわりに関すること。
(1) 礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとる。
(2) 温かい人間愛の精神を深め,他の人々に対し思いやりの心をもつ。
(3) 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合う。
(4) 男女は,互いに異性についての正しい理解を深め,相手の人格を尊重する。
(5) それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解して,寛容の心をもち謙虚に他に学ぶ。
(6) 多くの人々の善意や支えにより,日々の生活や現在の自分があることに感謝し,それにこたえる。
3 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること。
(1) 生命の尊さを理解し,かけがえのない自他の生命を尊重する。
(2) 自然を愛護し,美しいものに感動する豊かな心をもち,人間の力を超えたものに対する敬の念を深める。
(3) 人間には弱さや醜さを克服する強さや気高さがあることを信じて,人間として生きることに喜びを見いだすように努める。
4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
(1) 法やきまりの意義を理解し,遵守するとともに,自他の権利を重んじ義務を確実に果たして,社会の秩序と規律を高めるように努める。
(2) 公徳心及び社会連帯の自覚を高め,よりよい社会の実現に努める。
(3) 正義を重んじ,だれに対しても公正,公平にし,差別や偏見のない社会の実現に努める。
(4) 自己が属する様々な集団の意義についての理解を深め,役割と責任を自覚し集団生活の向上に努める。
(5) 勤労の尊さや意義を理解し,奉仕の精神をもって,公共の福祉と社会の発展に努める。
(6) 父母,祖父母に敬愛の念を深め,家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築く。
(7) 学級や学校の一員としての自覚をもち,教師や学校の人々に敬愛の念を深め,協力してよりよい校風を樹立する。
(8) 地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し,社会に尽くした先人や高齢者に尊敬と感謝の念を深め,郷土の発展に努める。
(9) 日本人としての自覚をもって国を愛し,国家の発展に努めるとともに,優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献する。
(10) 世界の中の日本人としての自覚をもち,国際的視野に立って,世界の平和と人類の幸福に貢献する。
1 各学校においては,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開するため,次に示すところにより,道徳教育の全体計画と道徳の時間の年間指導計画を作成するものとする。 
(1) 道徳教育の全体計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,生徒,学校及び地域の実態を考慮して,学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえた各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域...
(2) 道徳の時間の年間指導計画の作成に当たっては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら,計画的,発展的に授業がなされるよう工夫すること。その際,第2に示す各内容項目の指導の充実を図る中で,生徒や学校の実態に応じ,3学年間を見通し...
(3) 各学校においては,生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。特に,自他の生命を尊重し,規律ある生活ができ,自分の将来を考え,法やきまりの意義の理解を深め,主体的に社会の形成に参画し,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けるようにすることなどに配慮し...
2 第2に示す道徳の内容は,生徒が自ら道徳性をはぐくむためのものであり,道徳の時間はもとより,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動においてもそれぞれの特質に応じた適切な指導を行うものとする。その際,生徒自らが成長を実感でき,これからの課題や目標が見付けられるよう工夫する必要がある...
3 道徳の時間における指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学級担任の教師が行うことを原則とするが,校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2) 職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動などの体験活動を生かすなど,生徒の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。
(3) 先人の伝記,自然,伝統と文化,スポーツなどを題材とし,生徒が感動を覚えるような魅力的な教材の開発や活用を通して,生徒の発達の段階や特性等を考慮した創意工夫ある指導を行うこと。
(4) 自分の考えを基に,書いたり討論したりするなどの表現する機会を充実し,自分とは異なる考えに接する中で,自分の考えを深め,自らの成長を実感できるよう工夫すること。
(5) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す道徳の内容との関連を踏まえて,情報モラルに関する指導に留意すること。
4 道徳教育を進めるに当たっては,学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,学校の道徳教育の指導内容が生徒の日常生活に生かされるようにする必要がある。また,道徳の時間の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに,保護者や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするな...
5 生徒の道徳性については,常にその実態を把握して指導に生かすよう努める必要がある。ただし,道徳の時間に関して数値などによる評価は行わないものとする。
(6) 各教科,道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。
(7) 各教科,道徳及び特別活動の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(9) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
(1)特別活動の全体計画や各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっては,学校の創意工夫を生かすとともに,学校の実態や生徒の発達の段階などを考慮し,生徒による自主的,実践的な活動が助長されるようにすること。また,各教科,道徳及び総合的な学習の時間などの指導との関連を図るとともに,...
(4) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
(2) 〔学級活動〕については,学校,生徒の実態及び第3章道徳の第3の1の(3)に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。また,個々の生徒についての理...
2 学校における道徳教育は, 道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間はもとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動のそれぞれの特質に応じて, 児童又は生徒の発達の段階を考慮して, 適切な指導を行わなければならない。 道...
4 学校における自立活動の指導は, 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し, 自立し社会参加する資質を養うため, 学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。 特に,自立活動の時間における指導は,各教科,道徳,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動と密接な関連...
1 第2章以下に示す各教科,道徳,外国語活動,特別活動及び自立活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き, いずれの学校においても取り扱わなければならない。
2 学校において特に必要がある場合には, 第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。 また, 第2章第1節第1款及び同章第2節第1款において準ずるものとしている 小学校学習指導要領第2章及び中学校学習指導要領第2章に示す各教科の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度...
3 第2章以下に示す各教科,道徳,外国語活動,特別活動及び自立活動並びに各学年,各分野又は各言語の内容に掲げる事項の順序は, 特に示す場合を除き, 指導の順序を示すものではないので, 学校においては, その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
6 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部においては, 国語, 社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育及び職業・家庭の各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動については, 特に示す場合を除き, すべての生徒に履修させるものとする。また,外国語...
7 知的障害者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校において, 各教科の指導に当たっては, 各教科 (小学部においては各教科の各段階。 以下この項において同じ。) に示す内容を基に, 児童又は生徒の知的障害の状態や経験等に応じて, 具体的に指導内容を設定するものとする...
1 小学部又は中学部の各学年における第2章以下に示す各教科 (知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の中学部において, 外国語科を設ける場合を含む。 以下同じ。), 道徳, 外国語活動, 総合的な学習の時間, 特別活動 (学級活動 (学校給食に係るものを除く。)に限...
2 以上のほか, 次の事項に配慮するものとする。
(2) 各教科の各学年の目標及び内容の全部又は一部を, 当該学年の前各学年の目標及び内容の全部又は一部によって, 替えることができること。
(3)中学部の各教科の目標及び内容に関する事項の全部又は一部を, 当該各教科に相当する小学部の各教科の目標及び内容に関する事項の全部又は一部によって, 替えることができること。
3 重複障害者のうち,障害の状態により特に必要がある場合には,各教科,道徳,外国語活動若しくは特別活動の目標及び内容に関する事項の一部又は各教科, 外国語活動若しくは総合的な学習の時間に替えて, 自立活動を主として指導を行うことができるものとする。
第3章 道徳 小学部又は中学部の道徳の目標, 内容及び指導計画の作成と内容の取扱いについては, それぞれ小学校学習指導要領第3章又は中学校学習指導要領第3章に示すものに準ずるほか, 次に示すところによるものとする。
3 指導計画の作成に当たっては,各教科,道徳,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動の指導と密接な関連を保つようにし, 計画的, 組織的に指導が行われるようにするものとする。
小学校学習指導要領 2008年3月 告示
中学校学習指導要領 2008年3月 告示
高等学校学習指導要領 2009年3月 告示
幼稚園教育要領 2008年3月 告示
特別支援学校幼稚部教育要領 2009年3月 告示
特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 2009年3月 告示
特別支援学校高等部学習指導要領 2009年3月 告示
小学校学習指導要領 2008年3月 告示
小学校学習指導要領 2015年3月 一部改正
中学校学習指導要領 2008年3月 告示
中学校学習指導要領 2010年11月 一部改正
中学校学習指導要領 2015年3月 一部改正
高等学校学習指導要領 2009年3月 告示
幼稚園教育要領 2008年3月 告示
特別支援学校幼稚部教育要領 2009年3月 告示
特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 2009年3月 告示
特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 2015年3月 一部改正
特別支援学校高等部学習指導要領 2009年3月 告示