学習指導要領の細目

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http://www.w3.org/2000/01/rdf-schema#Class
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It represents course of study item class.URIs for the resources are represented as the following forms:
https://w3id.org/jp-cos/Course Of Study Code
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https://w3id.org/jp-cos/学習指導要領コード
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Course Of Study Item
学習指導要領の細目

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第1章 総  則
第1 幼稚園教育の基本
 幼児期の教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり,幼稚園教育は,学校教育法に規定する目的及び目標を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする。  このため教師は,幼児との信頼関係を十分に築き,幼児が身近な環境に主体的に関わり,環...
1 幼児は安定した情緒の下で自己を十分に発揮することにより発達に必要な体験を得ていくものであることを考慮して,幼児の主体的な活動を促し,幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること。
2 幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して,遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。
3 幼児の発達は,心身の諸側面が相互に関連し合い,多様な経過をたどって成し遂げられていくものであること,また,幼児の生活経験がそれぞれ異なることなどを考慮して,幼児一人一人の特性に応じ,発達の課題に即した指導を行うようにすること。
 その際,教師は,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとの関わりが重要であることを踏まえ,教材を工夫し,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,幼児一人一人の...
第2 幼稚園教育において育みたい資質・能力及び「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」
1 幼稚園においては,生きる力の基礎を育むため,この章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏まえ,次に掲げる資質・能力を一体的に育むよう努めるものとする。
(1) 豊かな体験を通じて,感じたり,気付いたり,分かったり,できるようになったりする「知識及び技能の基礎」
(2) 気付いたことや,できるようになったことなどを使い,考えたり,試したり,工夫したり,表現したりする「思考力,判断力,表現力等の基礎」
(3) 心情,意欲,態度が育つ中で,よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力,人間性等」
2 1に示す資質・能力は,第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体によって育むものである。
3 次に示す「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は,第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の幼稚園修了時の具体的な姿であり,教師が指導を行う際に考慮するものである。
(1) 健康な心と体  幼稚園生活の中で,充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ,見通しをもって行動し,自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。
(2) 自立心  身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で,しなければならないことを自覚し,自分の力で行うために考えたり,工夫したりしながら,諦めずにやり遂げることで達成感を味わい,自信をもって行動するようになる。
(3) 協同性  友達と関わる中で,互いの思いや考えなどを共有し,共通の目的の実現に向けて,考えたり,工夫したり,協力したりし,充実感をもってやり遂げるようになる。
(4) 道徳性・規範意識の芽生え  友達と様々な体験を重ねる中で,してよいことや悪いことが分かり,自分の行動を振り返ったり,友達の気持ちに共感したりし,相手の立場に立って行動するようになる。また,きまりを守る必要性が分かり,自分の気持ちを調整し,友達と折り合いを付けながら,きまりを...
(5) 社会生活との関わり  家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに,地域の身近な人と触れ合う中で,人との様々な関わり方に気付き,相手の気持ちを考えて関わり,自分が役に立つ喜びを感じ,地域に親しみをもつようになる。また,幼稚園内外の様々な環境に関わる中で,遊びや生活に必要な情...
(6) 思考力の芽生え  身近な事象に積極的に関わる中で,物の性質や仕組みなどを感じ取ったり,気付いたりし,考えたり,予想したり,工夫したりするなど,多様な関わりを楽しむようになる。また,友達の様々な考えに触れる中で,自分と異なる考えがあることに気付き,自ら判断したり,考え直したり...
(7) 自然との関わり・生命尊重  自然に触れて感動する体験を通して,自然の変化などを感じ取り,好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら,身近な事象への関心が高まるとともに,自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。また,身近な動植物に心を動かされる中で,生命の不思議さや尊さ...
(8) 数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚  遊びや生活の中で,数量や図形,標識や文字などに親しむ体験を重ねたり,標識や文字の役割に気付いたりし,自らの必要感に基づきこれらを活用し,興味や関心,感覚をもつようになる。
(9) 言葉による伝え合い  先生や友達と心を通わせる中で,絵本や物語などに親しみながら,豊かな言葉や表現を身に付け,経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり,相手の話を注意して聞いたりし,言葉による伝え合いを楽しむようになる。
(10) 豊かな感性と表現  心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で,様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き,感じたことや考えたことを自分で表現したり,友達同士で表現する過程を楽しんだりし,表現する喜びを味わい,意欲をもつようになる。
第3 教育課程の役割と編成等
1 教育課程の役割  各幼稚園においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの幼稚園教育要領の示すところに従い,創意工夫を生かし,幼児の心身の発達と幼稚園及び地域の実態に即応した適切な教育課程を編成するものとする。  また,各幼稚園においては,6に示す全体的な計画にも留意...
2 各幼稚園の教育目標と教育課程の編成  教育課程の編成に当たっては,幼稚園教育において育みたい資質・能力を踏まえつつ,各幼稚園の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。
3 教育課程の編成上の基本的事項
(1) 幼稚園生活の全体を通して第2章に示すねらいが総合的に達成されるよう,教育課程に係る教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織するものとする。この場合においては,特に,自我が芽生え,他者の存在を意識し,自己を抑制しようとする気持ちが生まれる幼...
(2) 幼稚園の毎学年の教育課程に係る教育週数は,特別の事情のある場合を除き,39週を下ってはならない。
(3) 幼稚園の1日の教育課程に係る教育時間は,4時間を標準とする。ただし,幼児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮するものとする。
4 教育課程の編成上の留意事項  教育課程の編成に当たっては,次の事項に留意するものとする。
(1) 幼児の生活は,入園当初の一人一人の遊びや教師との触れ合いを通して幼稚園生活に親しみ,安定していく時期から,他の幼児との関わりの中で幼児の主体的な活動が深まり,幼児が互いに必要な存在であることを認識するようになり,やがて幼児同士や学級全体で目的をもって協同して幼稚園生活を展開...
(2) 入園当初,特に,3歳児の入園については,家庭との連携を緊密にし,生活のリズムや安全面に十分配慮すること。また,満3歳児については,学年の途中から入園することを考慮し,幼児が安心して幼稚園生活を過ごすことができるよう配慮すること。
(3) 幼稚園生活が幼児にとって安全なものとなるよう,教職員による協力体制の下,幼児の主体的な活動を大切にしつつ,園庭や園舎などの環境の配慮や指導の工夫を行うこと。
5 小学校教育との接続に当たっての留意事項
(1) 幼稚園においては,幼稚園教育が,小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し,幼児期にふさわしい生活を通して,創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培うようにするものとする。
(2) 幼稚園教育において育まれた資質・能力を踏まえ,小学校教育が円滑に行われるよう,小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会などを設け,「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を共有するなど連携を図り,幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続を図るよう努めるものとする。
6 全体的な計画の作成  各幼稚園においては,教育課程を中心に,第3章に示す教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画,学校保健計画,学校安全計画などとを関連させ,一体的に教育活動が展開されるよう全体的な計画を作成するものとする。
第4 指導計画の作成と幼児理解に基づいた評価
1 指導計画の考え方  幼稚園教育は,幼児が自ら意欲をもって環境と関わることによりつくり出される具体的な活動を通して,その目標の達成を図るものである。  幼稚園においてはこのことを踏まえ,幼児期にふさわしい生活が展開され,適切な指導が行われるよう,それぞれの幼稚園の教育課程に基づき...
2 指導計画の作成上の基本的事項
(1) 指導計画は,幼児の発達に即して一人一人の幼児が幼児期にふさわしい生活を展開し,必要な体験を得られるようにするために,具体的に作成するものとする。
(2) 指導計画の作成に当たっては,次に示すところにより,具体的なねらい及び内容を明確に設定し,適切な環境を構成することなどにより活動が選択・展開されるようにするものとする。
ア 具体的なねらい及び内容は,幼稚園生活における幼児の発達の過程を見通し,幼児の生活の連続性,季節の変化などを考慮して,幼児の興味や関心,発達の実情などに応じて設定すること。
イ 環境は,具体的なねらいを達成するために適切なものとなるように構成し,幼児が自らその環境に関わることにより様々な活動を展開しつつ必要な体験を得られるようにすること。その際,幼児の生活する姿や発想を大切にし,常にその環境が適切なものとなるようにすること。
ウ 幼児の行う具体的な活動は,生活の流れの中で様々に変化するものであることに留意し,幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展開していくことができるよう必要な援助をすること。
 その際,幼児の実態及び幼児を取り巻く状況の変化などに即して指導の過程についての評価を適切に行い,常に指導計画の改善を図るものとする。
3 指導計画の作成上の留意事項  指導計画の作成に当たっては,次の事項に留意するものとする。
(1) 長期的に発達を見通した年,学期,月などにわたる長期の指導計画やこれとの関連を保ちながらより具体的な幼児の生活に即した週,日などの短期の指導計画を作成し,適切な指導が行われるようにすること。特に,週,日などの短期の指導計画については,幼児の生活のリズムに配慮し,幼児の意識や興...
(2) 幼児が様々な人やものとの関わりを通して,多様な体験をし,心身の調和のとれた発達を促すようにしていくこと。その際,幼児の発達に即して主体的・対話的で深い学びが実現するようにするとともに,心を動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し,一つ一つの体験が相互に結び付き,幼稚園...
(3) 言語に関する能力の発達と思考力等の発達が関連していることを踏まえ,幼稚園生活全体を通して,幼児の発達を踏まえた言語環境を整え,言語活動の充実を図ること。
(4) 幼児が次の活動への期待や意欲をもつことができるよう,幼児の実態を踏まえながら,教師や他の幼児と共に遊びや生活の中で見通しをもったり,振り返ったりするよう工夫すること。
(5) 行事の指導に当たっては,幼稚園生活の自然の流れの中で生活に変化や潤いを与え,幼児が主体的に楽しく活動できるようにすること。なお,それぞれの行事についてはその教育的価値を十分検討し,適切なものを精選し,幼児の負担にならないようにすること。
(6) 幼児期は直接的な体験が重要であることを踏まえ,視聴覚教材やコンピュータなど情報機器を活用する際には,幼稚園生活では得難い体験を補完するなど,幼児の体験との関連を考慮すること。
(7) 幼児の主体的な活動を促すためには,教師が多様な関わりをもつことが重要であることを踏まえ,教師は,理解者,共同作業者など様々な役割を果たし,幼児の発達に必要な豊かな体験が得られるよう,活動の場面に応じて,適切な指導を行うようにすること。
(8) 幼児の行う活動は,個人,グループ,学級全体などで多様に展開されるものであることを踏まえ,幼稚園全体の教師による協力体制を作りながら,一人一人の幼児が興味や欲求を十分に満足させるよう適切な援助を行うようにすること。
4 幼児理解に基づいた評価の実施  幼児一人一人の発達の理解に基づいた評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 指導の過程を振り返りながら幼児の理解を進め,幼児一人一人のよさや可能性などを把握し,指導の改善に生かすようにすること。その際,他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではないことに留意すること。
(2) 評価の妥当性や信頼性が高められるよう創意工夫を行い,組織的かつ計画的な取組を推進するとともに,次年度又は小学校等にその内容が適切に引き継がれるようにすること。
第5 特別な配慮を必要とする幼児への指導
1 障害のある幼児などへの指導  障害のある幼児などへの指導に当たっては,集団の中で生活することを通して全体的な発達を促していくことに配慮し,特別支援学校などの助言又は援助を活用しつつ,個々の幼児の障害の状態などに応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。...
2 海外から帰国した幼児や生活に必要な日本語の習得に困難のある幼児の幼稚園生活への適応  海外から帰国した幼児や生活に必要な日本語の習得に困難のある幼児については,安心して自己を発揮できるよう配慮するなど個々の幼児の実態に応じ,指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものと...
第6 幼稚園運営上の留意事項
1 各幼稚園においては,園長の方針の下に,園務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ,相互に連携しながら,教育課程や指導の改善を図るものとする。また,各幼稚園が行う学校評価については,教育課程の編成,実施,改善が教育活動や幼稚園運営の中核となることを踏まえ,カリキュラム・マネジ...
2 幼児の生活は,家庭を基盤として地域社会を通じて次第に広がりをもつものであることに留意し,家庭との連携を十分に図るなど,幼稚園における生活が家庭や地域社会と連続性を保ちつつ展開されるようにするものとする。その際,地域の自然,高齢者や異年齢の子供などを含む人材,行事や公共施設などの...
3 地域や幼稚園の実態等により,幼稚園間に加え,保育所,幼保連携型認定こども園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るものとする。特に,幼稚園教育と小学校教育の円滑な接続のため,幼稚園の幼児と小学校の児童との交流の機会を積極的に設けるようにするものとす...
第7 教育課程に係る教育時間終了後等に行う教育活動など
 幼稚園は,第3章に示す教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動について,学校教育法に規定する目的及び目標並びにこの章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏まえ実施するものとする。また,幼稚園の目的の達成に資するため,幼児の生活全体が豊かなものとなるよう家庭や地域における幼児期の教...
第2章 ねらい及び内容
 この章に示すねらいは,幼稚園教育において育みたい資質・能力を幼児の生活する姿から捉えたものであり,内容は,ねらいを達成するために指導する事項である。各領域は,これらを幼児の発達の側面から,心身の健康に関する領域「健康」,人との関わりに関する領域「人間関係」,身近な環境との関わりに...
健 康 〔健康な心と体を育て,自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。〕
1 ねらい
(1) 明るく伸び伸びと行動し,充実感を味わう。
(2) 自分の体を十分に動かし,進んで運動しようとする。
(3) 健康,安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け,見通しをもって行動する。
2 内容
(1) 先生や友達と触れ合い,安定感をもって行動する。
(2) いろいろな遊びの中で十分に体を動かす。
(3) 進んで戸外で遊ぶ。
(4) 様々な活動に親しみ,楽しんで取り組む。
(5) 先生や友達と食べることを楽しみ,食べ物への興味や関心をもつ。
(6) 健康な生活のリズムを身に付ける。
(7) 身の回りを清潔にし,衣服の着脱,食事,排泄(せつ)などの生活に必要な活動を自分でする。
(8) 幼稚園における生活の仕方を知り,自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する。
(9) 自分の健康に関心をもち,病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
(10) 危険な場所,危険な遊び方,災害時などの行動の仕方が分かり,安全に気を付けて行動する。
3 内容の取扱い  上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 心と体の健康は,相互に密接な関連があるものであることを踏まえ,幼児が教師や他の幼児との温かい触れ合いの中で自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として,しなやかな心と体の発達を促すこと。特に,十分に体を動かす気持ちよさを体験し,自ら体を動かそうとする意欲が育つようにする...
(2) 様々な遊びの中で,幼児が興味や関心,能力に応じて全身を使って活動することにより,体を動かす楽しさを味わい,自分の体を大切にしようとする気持ちが育つようにすること。その際,多様な動きを経験する中で,体の動きを調整するようにすること。
(3) 自然の中で伸び伸びと体を動かして遊ぶことにより,体の諸機能の発達が促されることに留意し,幼児の興味や関心が戸外にも向くようにすること。その際,幼児の動線に配慮した園庭や遊具の配置などを工夫すること。
(4) 健康な心と体を育てるためには食育を通じた望ましい食習慣の形成が大切であることを踏まえ,幼児の食生活の実情に配慮し,和やかな雰囲気の中で教師や他の幼児と食べる喜びや楽しさを味わったり,様々な食べ物への興味や関心をもったりするなどし,食の大切さに気付き,進んで食べようとする気持...
(5) 基本的な生活習慣の形成に当たっては,家庭での生活経験に配慮し,幼児の自立心を育て,幼児が他の幼児と関わりながら主体的な活動を展開する中で,生活に必要な習慣を身に付け,次第に見通しをもって行動できるようにすること。
(6) 安全に関する指導に当たっては,情緒の安定を図り,遊びを通して安全についての構えを身に付け,危険な場所や事物などが分かり,安全についての理解を深めるようにすること。また,交通安全の習慣を身に付けるようにするとともに,避難訓練などを通して,災害などの緊急時に適切な行動がとれるよ...
人間関係 〔他の人々と親しみ,支え合って生活するために,自立心を育て,人と関わる力を養う。〕
1 ねらい
(1) 幼稚園生活を楽しみ,自分の力で行動することの充実感を味わう。
(2) 身近な人と親しみ,関わりを深め,工夫したり,協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい,愛情や信頼感をもつ。
(3) 社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける。
2 内容
(1) 先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
(2) 自分で考え,自分で行動する。
(3) 自分でできることは自分でする。
(4) いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
(5) 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う。
(6) 自分の思ったことを相手に伝え,相手の思っていることに気付く。
(7) 友達のよさに気付き,一緒に活動する楽しさを味わう。
(8) 友達と楽しく活動する中で,共通の目的を見いだし,工夫したり,協力したりなどする。
(9) よいことや悪いことがあることに気付き,考えながら行動する。
(10) 友達との関わりを深め,思いやりをもつ。
(11) 友達と楽しく生活する中できまりの大切さに気付き,守ろうとする。
(12) 共同の遊具や用具を大切にし,皆で使う。
(13) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。
3 内容の取扱い  上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 教師との信頼関係に支えられて自分自身の生活を確立していくことが人と関わる基盤となることを考慮し,幼児が自ら周囲に働き掛けることにより多様な感情を体験し,試行錯誤しながら諦めずにやり遂げることの達成感や,前向きな見通しをもって自分の力で行うことの充実感を味わうことができるよう...
(2) 一人一人を生かした集団を形成しながら人と関わる力を育てていくようにすること。その際,集団の生活の中で,幼児が自己を発揮し,教師や他の幼児に認められる体験をし,自分のよさや特徴に気付き,自信をもって行動できるようにすること。
(3) 幼児が互いに関わりを深め,協同して遊ぶようになるため,自ら行動する力を育てるようにするとともに,他の幼児と試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを味わうことができるようにすること。
(4) 道徳性の芽生えを培うに当たっては,基本的な生活習慣の形成を図るとともに,幼児が他の幼児との関わりの中で他人の存在に気付き,相手を尊重する気持ちをもって行動できるようにし,また,自然や身近な動植物に親しむことなどを通して豊かな心情が育つようにすること。特に,人に対する信頼感や...
(5) 集団の生活を通して,幼児が人との関わりを深め,規範意識の芽生えが培われることを考慮し,幼児が教師との信頼関係に支えられて自己を発揮する中で,互いに思いを主張し,折り合いを付ける体験をし,きまりの必要性などに気付き,自分の気持ちを調整する力が育つようにすること。
(6) 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人と触れ合い,自分の感情や意志を表現しながら共に楽しみ,共感し合う体験を通して,これらの人々などに親しみをもち,人と関わることの楽しさや人の役に立つ喜びを味わうことができるようにすること。また,生活を通して親や祖...
環 境 〔周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり,それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。〕
1 ねらい
(1) 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。
(2) 身近な環境に自分から関わり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようとする。
(3) 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。
2 内容
(1) 自然に触れて生活し,その大きさ,美しさ,不思議さなどに気付く。
(2) 生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
(3) 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
(4) 自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。
(5) 身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする。
(6) 日常生活の中で,我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。
(7) 身近な物を大切にする。
(8) 身近な物や遊具に興味をもって関わり,自分なりに比べたり,関連付けたりしながら考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。
(9) 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
(10) 日常生活の中で簡単な標識や文字などに関心をもつ。
(11) 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
(12) 幼稚園内外の行事において国旗に親しむ。
3 内容の取扱い  上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 幼児が,遊びの中で周囲の環境と関わり,次第に周囲の世界に好奇心を抱き,その意味や操作の仕方に関心をもち,物事の法則性に気付き,自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。また,他の幼児の考えなどに触れて新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい,自分の考えをよ...
(2) 幼児期において自然のもつ意味は大きく,自然の大きさ,美しさ,不思議さなどに直接触れる体験を通して,幼児の心が安らぎ,豊かな感情,好奇心,思考力,表現力の基礎が培われることを踏まえ,幼児が自然との関わりを深めることができるよう工夫すること。
(3) 身近な事象や動植物に対する感動を伝え合い,共感し合うことなどを通して自分から関わろうとする意欲を育てるとともに,様々な関わり方を通してそれらに対する親しみや畏敬の念,生命を大切にする気持ち,公共心,探究心などが養われるようにすること。
(4) 文化や伝統に親しむ際には,正月や節句など我が国の伝統的な行事,国歌,唱歌,わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり,異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて,社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。
(5) 数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし,数量や文字などに関する興味や関心,感覚が養われるようにすること。
言 葉 〔経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し,相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て,言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。〕
1 ねらい
(1) 自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう。
(2) 人の言葉や話などをよく聞き,自分の経験したことや考えたことを話し,伝え合う喜びを味わう。
(3) 日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに,絵本や物語などに親しみ,言葉に対する感覚を豊かにし,先生や友達と心を通わせる。
2 内容
(1) 先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち,親しみをもって聞いたり,話したりする。
(2) したり,見たり,聞いたり,感じたり,考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
(3) したいこと,してほしいことを言葉で表現したり,分からないことを尋ねたりする。
(4) 人の話を注意して聞き,相手に分かるように話す。
(5) 生活の中で必要な言葉が分かり,使う。
(6) 親しみをもって日常の挨拶をする。
(7) 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
(8) いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
(9) 絵本や物語などに親しみ,興味をもって聞き,想像をする楽しさを味わう。
(10) 日常生活の中で,文字などで伝える楽しさを味わう。
3 内容の取扱い  上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 言葉は,身近な人に親しみをもって接し,自分の感情や意志などを伝え,それに相手が応答し,その言葉を聞くことを通して次第に獲得されていくものであることを考慮して,幼児が教師や他の幼児と関わることにより心を動かされるような体験をし,言葉を交わす喜びを味わえるようにすること。
(2) 幼児が自分の思いを言葉で伝えるとともに,教師や他の幼児などの話を興味をもって注意して聞くことを通して次第に話を理解するようになっていき,言葉による伝え合いができるようにすること。
(3) 絵本や物語などで,その内容と自分の経験とを結び付けたり,想像を巡らせたりするなど,楽しみを十分に味わうことによって,次第に豊かなイメージをもち,言葉に対する感覚が養われるようにすること。
(4) 幼児が生活の中で,言葉の響きやリズム,新しい言葉や表現などに触れ,これらを使う楽しさを味わえるようにすること。その際,絵本や物語に親しんだり,言葉遊びなどをしたりすることを通して,言葉が豊かになるようにすること。
(5) 幼児が日常生活の中で,文字などを使いながら思ったことや考えたことを伝える喜びや楽しさを味わい,文字に対する興味や関心をもつようにすること。
表現 〔感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して,豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする。〕
1 ねらい
(1) いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
(2) 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
(3) 生活の中でイメージを豊かにし,様々な表現を楽しむ。
2 内容
(1) 生活の中で様々な音,形,色,手触り,動きなどに気付いたり,感じたりするなどして楽しむ。
(2) 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする。
(3) 様々な出来事の中で,感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
(4) 感じたこと,考えたことなどを音や動きなどで表現したり,自由にかいたり,つくったりなどする。
(5) いろいろな素材に親しみ,工夫して遊ぶ。
(6) 音楽に親しみ,歌を歌ったり,簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
(7) かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりなどする。
(8) 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり,演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。
3 内容の取扱い  上記の取扱いに当たっては,次の事項に留意する必要がある。
(1) 豊かな感性は,身近な環境と十分に関わる中で美しいもの,優れたもの,心を動かす出来事などに出会い,そこから得た感動を他の幼児や教師と共有し,様々に表現することなどを通して養われるようにすること。その際,風の音や雨の音,身近にある草や花の形や色など自然の中にある音,形,色などに...
(2) 幼児の自己表現は素朴な形で行われることが多いので,教師はそのような表現を受容し,幼児自身の表現しようとする意欲を受け止めて,幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむことができるようにすること。
(3) 生活経験や発達に応じ,自ら様々な表現を楽しみ,表現する意欲を十分に発揮させることができるように,遊具や用具などを整えたり,様々な素材や表現の仕方に親しんだり,他の幼児の表現に触れられるよう配慮したりし,表現する過程を大切にして自己表現を楽しめるように工夫すること。
第3章 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項
1 地域の実態や保護者の要請により,教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動については,幼児の心身の負担に配慮するものとする。また,次の点にも留意するものとする。
(1) 教育課程に基づく活動を考慮し,幼児期にふさわしい無理のないものとなるようにすること。その際,教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図るようにすること。
(2) 家庭や地域での幼児の生活も考慮し,教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動の計画を作成するようにすること。その際,地域の人々と連携するなど,地域の様々な資源を活用しつつ,多様な体験ができるようにすること。
(3) 家庭との緊密な連携を図るようにすること。その際,情報交換の機会を設けたりするなど,保護者が,幼稚園と共に幼児を育てるという意識が高まるようにすること。
(4) 地域の実態や保護者の事情とともに幼児の生活のリズムを踏まえつつ,例えば実施日数や時間などについて,弾力的な運用に配慮すること。
(5) 適切な責任体制と指導体制を整備した上で行うようにすること。
2 幼稚園の運営に当たっては,子育ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放して,園内体制の整備や関係機関との連携及び協力に配慮しつつ,幼児期の教育に関する相談に応じたり,情報を提供したり,幼児と保護者との登園を受け入れたり,保護者同士の交流の機会を提供したりするなど,幼...
第1章 総則
第1 中学校教育の基本と教育課程の役割
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものと...
2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。
(1) 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動な...
(2) 道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵《かん》養を目指した教育の充実に努めること。  学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はもとより,各教科,総合...
(3) 学校における体育・健康に関する指導を,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身...
3 2の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される生徒に,生きる力を育むことを目指すに当たっては,学校教育全体並びに各教科,道徳科,総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,第2の3の(2)のア...
(1) 知識及び技能が習得されるようにすること。
(2) 思考力,判断力,表現力等を育成すること。
(3) 学びに向かう力,人間性等を涵養すること。
4 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことな...
第2 教育課程の編成
1 各学校の教育目標と教育課程の編成  教育課程の編成に当たっては,学校教育全体や各教科等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際,第4章...
2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成
(1) 各学校においては,生徒の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(2) 各学校においては,生徒や学校,地域の実態及び生徒の発達の段階を考慮し,豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を,教科等横断的な視点で育成していくことができるよう,各学校の特色を生かした教育課程の編成を...
3 教育課程の編成における共通的事項
(1) 内容等の取扱い
ア 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。
イ 学校において特に必要がある場合には,第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,全ての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,こ...
ウ 第2章以下に示す各教科,道徳科及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
エ 学校において2以上の学年の生徒で編制する学級について特に必要がある場合には,各教科の目標の達成に支障のない範囲内で,各教科の目標及び内容について学年別の順序によらないことができる。
オ 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を考慮して,生徒の特性等に応じた多様な学習活動が行えるよう,第2章に示す各教科や,特に必要な教科を,選択教科として開設し生徒に履修させることができる。その場合にあっては,全ての生徒に指導すべき内容との関連を図りつつ,選択教科の授業時数及び...
カ 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の内容は,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容とし,その実施に当たっては,第6に示す道徳教育に関する配慮事項を踏まえるものとする。
(2) 授業時数等の取扱い
ア 各教科等の授業は,年間35週以上にわたって行うよう計画し,週当たりの授業時数が生徒の負担過重にならないようにするものとする。ただし,各教科等や学習活動の特質に応じ効果的な場合には,夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含め,これらの授業を特定の期間に行うこと...
イ 特別活動の授業のうち,生徒会活動及び学校行事については,それらの内容に応じ,年間,学期ごと,月ごとなどに適切な授業時数を充てるものとする。
ウ 各学校の時間割については,次の事項を踏まえ適切に編成するものとする。
(ア) 各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の年間授業時数を確保しつつ,生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めること。
(イ) 各教科等の特質に応じ,10分から15分程度の短い時間を活用して特定の教科等の指導を行う場合において,当該教科等を担当する教師が,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した中で,その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任を持って行う体制が整備されているときは,その時...
(ウ) 給食,休憩などの時間については,各学校において工夫を加え,適切に定めること。
(エ) 各学校において,生徒や学校,地域の実態,各教科等や学習活動の特質等に応じて,創意工夫を生かした時間割を弾力的に編成できること。
エ 総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
(3) 指導計画の作成等に当たっての配慮事項  各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
ア 各教科等の指導内容については,(1)のアを踏まえつつ,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して資質・能力を育む効果的な指導ができるようにすること。
イ 各教科等及び各学年相互間の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
4 学校段階間の接続  教育課程の編成に当たっては,次の事項に配慮しながら,学校段階間の接続を図るものとする。
(1) 小学校学習指導要領を踏まえ,小学校教育までの学習の成果が中学校教育に円滑に接続され,義務教育段階の終わりまでに育成することを目指す資質・能力を,生徒が確実に身に付けることができるよう工夫すること。特に,義務教育学校,小学校連携型中学校及び小学校併設型中学校においては,義務教...
(2) 高等学校学習指導要領を踏まえ,高等学校教育及びその後の教育との円滑な接続が可能となるよう工夫すること。特に,中等教育学校,連携型中学校及び併設型中学校においては,中等教育6年間を見通した計画的かつ継続的な教育課程を編成すること。
第3 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善  各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。  特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,判断力,表現力等や学びに...
(2) 第2の2の(1)に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要な言語環境を整えるとともに,国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて,生徒の言語活動を充実すること。あわせて,(7)に示すとおり読書活動を充実すること。
(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用...
(4) 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れるように工夫すること。
(5) 生徒が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよう,各教科等の特質に応じた体験活動を重視し,家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
(6) 生徒が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなど,生徒の興味・関心を生かした自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
(7) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに,生徒の自主的,自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また,地域の図書館や博物館,美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資料を活用した情報の収...
2 学習評価の充実  学習評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し,学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また,各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して,学習の過程や成果を評価し,指導の改善や...
(2) 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,組織的かつ計画的な取組を推進するとともに,学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。
第4 生徒の発達の支援
1 生徒の発達を支える指導の充実  教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学習や生活の基盤として,教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよい人間関係を育てるため,日頃から学級経営の充実を図ること。また,主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと,個々の生徒の多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリング...
(2) 生徒が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校生活を送る中で,現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう,生徒理解を深め,学習指導と関連付けながら,生徒指導の充実を図ること。
(3) 生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択するこ...
(4) 生徒が,基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に身に付けることができるよう,生徒や学校の実態に応じ,個別学習やグループ別学習,繰り返し学習,学習内容の習熟の程度に応じた学習,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り...
2 特別な配慮を必要とする生徒への指導
(1) 障害のある生徒などへの指導
ア 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
イ 特別支援学級において実施する特別の教育課程については,次のとおり編成するものとする。
(ア) 障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るため,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第7章に示す自立活動を取り入れること。
(イ) 生徒の障害の程度や学級の実態等を考慮の上,各教科の目標や内容を下学年の教科の目標や内容に替えたり,各教科を,知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなどして,実態に応じた教育課程を編成すること。
ウ 障害のある生徒に対して,通級による指導を行い,特別の教育課程を編成する場合には,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第7章に示す自立活動の内容を参考とし,具体的な目標や内容を定め,指導を行うものとする。その際,効果的な指導が行われるよう,各教科等と通級による指導との関連を図る...
エ 障害のある生徒などについては,家庭,地域及び医療や福祉,保健,労働等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で生徒への教育的支援を行うために,個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに,各教科等の指導に当たって,個々の生徒の実態を的確に把握し,個別の指導計画...
(2) 海外から帰国した生徒などの学校生活への適応や,日本語の習得に困難のある生徒に対する日本語指導
ア 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うものとする。
イ 日本語の習得に困難のある生徒については,個々の生徒の実態に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。特に,通級による日本語指導については,教師間の連携に努め,指導についての計画を個別に作成することなどにより,効果的な指導に努めるものとする。
(3) 不登校生徒への配慮
ア 不登校生徒については,保護者や関係機関と連携を図り,心理や福祉の専門家の助言又は援助を得ながら,社会的自立を目指す観点から,個々の生徒の実態に応じた情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
イ 相当の期間中学校を欠席し引き続き欠席すると認められる生徒を対象として,文部科学大臣が認める特別の教育課程を編成する場合には,生徒の実態に配慮した教育課程を編成するとともに,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫改善に努めるものとする。
(4) 学齢を経過した者への配慮
ア 夜間その他の特別の時間に授業を行う課程において学齢を経過した者を対象として特別の教育課程を編成する場合には,学齢を経過した者の年齢,経験又は勤労状況その他の実情を踏まえ,中学校教育の目的及び目標並びに第2章以下に示す各教科等の目標に照らして,中学校教育を通じて育成を目指す資質・...
イ 学齢を経過した者を教育する場合には,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫改善に努めるものとする。
第5 学校運営上の留意事項
1 教育課程の改善と学校評価,教育課程外の活動との連携等
ア 各学校においては,校長の方針の下に,校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ,相互に連携しながら,各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行うよう努めるものとする。また,各学校が行う学校評価については,教育課程の編成,実施,改善が教育活動や学校運営の中核となるこ...
イ 教育課程の編成及び実施に当たっては,学校保健計画,学校安全計画,食に関する指導の全体計画,いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針など,各分野における学校の全体計画等と関連付けながら,効果的な指導が行われるように留意するものとする。
ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に,生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一...
2 家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携  教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 学校がその目的を達成するため,学校や地域の実態等に応じ,教育活動の実施に必要な人的又は物的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整えるなど,家庭や地域社会との連携及び協働を深めること。また,高齢者や異年齢の子供など,地域における世代を越えた交流の機会を設けること。
イ 他の中学校や,幼稚園,認定こども園,保育所,小学校,高等学校,特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け,共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むよう努めること。
第6 道徳教育に関する配慮事項  道徳教育を進めるに当たっては,道徳教育の特質を踏まえ,前項までに示す事項に加え,次の事項に配慮するものとする。
1 各学校においては,第1の2の(2)に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(以下「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,生徒や...
2 各学校においては,生徒の発達の段階や特性等を踏まえ,指導内容の重点化を図ること。その際,小学校における道徳教育の指導内容を更に発展させ,自立心や自律性を高め,規律ある生活をすること,生命を尊重する心や自らの弱さを克服して気高く生きようとする心を育てること,法やきまりの意義に関す...
3 学校や学級内の人間関係や環境を整えるとともに,職場体験活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導内容が,生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるよう留意する...
4 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
第2章 各教科
第1節 国語
第1 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2) 社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
(3) 言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり理解したりすることができるようにする。
(2) 筋道立てて考える力や豊かに感じたり想像したりする力を養い,日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを確かなものにすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値に気付くとともに,進んで読書をし,我が国の言語文化を大切にして,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音声の働きや仕組みについて,理解を深めること。 
イ 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち300字程度から400字程度までの漢字を読むこと。また,学年別漢字配当表の漢字のうち900字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
ウ 事象や行為,心情を表す語句の量を増すとともに,語句の辞書的な意味と文脈上の意味との関係に注意して話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
エ 単語の類別について理解するとともに,指示する語句と接続する語句の役割について理解を深めること。
オ 比喩,反復,倒置,体言止めなどの表現の技法を理解し使うこと。
(2) 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 原因と結果,意見と根拠など情報と情報との関係について理解すること。
イ 比較や分類,関係付けなどの情報の整理の仕方,引用の仕方や出典の示し方について理解を深め,それらを使うこと。
(3) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音読に必要な文語のきまりや訓読の仕方を知り,古文や漢文を音読し,古典特有のリズムを通して,古典の世界に親しむこと。
イ 古典には様々な種類の作品があることを知ること。
ウ 共通語と方言の果たす役割について理解すること。
エ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア) 字形を整え,文字の大きさ,配列などについて理解して,楷書で書くこと。
(イ) 漢字の行書の基礎的な書き方を理解して,身近な文字を行書で書くこと。
オ 読書が,知識や情報を得たり,自分の考えを広げたりすることに役立つことを理解すること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,日常生活の中から話題を決め,集めた材料を整理し,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の考えや根拠が明確になるように,話の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見との関係などに注意して,話の構成を考えること。
ウ 相手の反応を踏まえながら,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。
エ 必要に応じて記録したり質問したりしながら話の内容を捉え,共通点や相違点などを踏まえて,自分の考えをまとめること。
オ 話題や展開を捉えながら話し合い,互いの発言を結び付けて考えをまとめること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 紹介や報告など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問したり意見などを述べたりする活動。
イ 互いの考えを伝えるなどして,少人数で話し合う活動。 
B 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,日常生活の中から題材を決め,集めた材料を整理し,伝えたいことを明確にすること。
イ 書く内容の中心が明確になるように,段落の役割などを意識して文章の構成や展開を考えること。
ウ 根拠を明確にしながら,自分の考えが伝わる文章になるように工夫すること。
エ 読み手の立場に立って,表記や語句の用法,叙述の仕方などを確かめて,文章を整えること。
オ 根拠の明確さなどについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改善点を見いだすこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 本や資料から文章や図表などを引用して説明したり記録したりするなど,事実やそれを基に考えたことを書く活動。
イ 行事の案内や報告の文章を書くなど,伝えるべきことを整理して書く活動。
ウ 詩を創作したり随筆を書いたりするなど,感じたことや考えたことを書く活動。
C 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の中心的な部分と付加的な部分,事実と意見との関係などについて叙述を基に捉え,要旨を把握すること。
イ 場面の展開や登場人物の相互関係,心情の変化などについて,描写を基に捉えること。
ウ 目的に応じて必要な情報に着目して要約したり,場面と場面,場面と描写などを結び付けたりして,内容を解釈すること。
エ 文章の構成や展開,表現の効果について,根拠を明確にして考えること。
オ 文章を読んで理解したことに基づいて,自分の考えを確かなものにすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 説明や記録などの文章を読み,理解したことや考えたことを報告したり文章にまとめたりする活動。
イ 小説や随筆などを読み,考えたことなどを記録したり伝え合ったりする活動。
ウ 学校図書館などを利用し,多様な情報を得て,考えたことなどを報告したり資料にまとめたりする活動。
〔第2学年〕
1 目標
(1) 社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり理解したりすることができるようにする。
(2) 論理的に考える力や共感したり想像したりする力を養い,社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を生活に役立て,我が国の言語文化を大切にして,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,相手の行動を促す働きがあることに気付くこと。
イ 話し言葉と書き言葉の特徴について理解すること。
ウ 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち350字程度から450字程度までの漢字を読むこと。また,学年別漢字配当表に示されている漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
エ 抽象的な概念を表す語句の量を増すとともに,類義語と対義語,同音異義語や多義的な意味を表す語句などについて理解し,話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
オ 単語の活用,助詞や助動詞などの働き,文の成分の順序や照応など文の構成について理解するとともに,話や文章の構成や展開について理解を深めること。 
カ 敬語の働きについて理解し,話や文章の中で使うこと。
(2) 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 意見と根拠,具体と抽象など情報と情報との関係について理解すること。
イ 情報と情報との関係の様々な表し方を理解し使うこと。 
(3) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 作品の特徴を生かして朗読するなどして,古典の世界に親しむこと。
イ 現代語訳や語注などを手掛かりに作品を読むことを通して,古典に表れたものの見方や考え方を知ること。
ウ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア) 漢字の行書とそれに調和した仮名の書き方を理解して,読みやすく速く書くこと。
(イ) 目的や必要に応じて,楷書又は行書を選んで書くこと。
エ 本や文章などには,様々な立場や考え方が書かれていることを知り,自分の考えを広げたり深めたりする読書に生かすこと。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,異なる立場や考えを想定しながら集めた材料を整理し,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の立場や考えが明確になるように,根拠の適切さや論理の展開などに注意して,話の構成を工夫すること。
ウ 資料や機器を用いるなどして,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。
エ 論理の展開などに注意して聞き,話し手の考えと比較しながら,自分の考えをまとめること。
オ 互いの立場や考えを尊重しながら話し合い,結論を導くために考えをまとめること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 説明や提案など伝えたいことを話したり,それらを聞いて質問や助言などをしたりする活動。
イ それぞれの立場から考えを伝えるなどして,議論や討論をする活動。
B 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,社会生活の中から題材を決め,多様な方法で集めた材料を整理し,伝えたいことを明確にすること。
イ 伝えたいことが分かりやすく伝わるように,段落相互の関係などを明確にし,文章の構成や展開を工夫すること。
ウ 根拠の適切さを考えて説明や具体例を加えたり,表現の効果を考えて描写したりするなど,自分の考えが伝わる文章になるように工夫すること。
エ 読み手の立場に立って,表現の効果などを確かめて,文章を整えること。
オ 表現の工夫とその効果などについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改善点を見いだすこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 多様な考えができる事柄について意見を述べるなど,自分の考えを書く活動。
イ 社会生活に必要な手紙や電子メールを書くなど,伝えたいことを相手や媒体を考慮して書く活動。
ウ 短歌や俳句,物語を創作するなど,感じたことや想像したことを書く活動。
C 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章全体と部分との関係に注意しながら,主張と例示との関係や登場人物の設定の仕方などを捉えること。
イ 目的に応じて複数の情報を整理しながら適切な情報を得たり,登場人物の言動の意味などについて考えたりして,内容を解釈すること。
ウ 文章と図表などを結び付け,その関係を踏まえて内容を解釈すること。
エ 観点を明確にして文章を比較するなどし,文章の構成や論理の展開,表現の効果について考えること。
オ 文章を読んで理解したことや考えたことを知識や経験と結び付け,自分の考えを広げたり深めたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 報告や解説などの文章を読み,理解したことや考えたことを説明したり文章にまとめたりする活動。
イ 詩歌や小説などを読み,引用して解説したり,考えたことなどを伝え合ったりする活動。
ウ 本や新聞,インターネットなどから集めた情報を活用し,出典を明らかにしながら,考えたことなどを説明したり提案したりする活動。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に親しんだり理解したりすることができるようにする。
(2) 論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を養い,社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値を認識するとともに,読書を通して自己を向上させ,我が国の言語文化に関わり,思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。また,学年別漢字配当表に示されている漢字について,文や文章の中で使い慣れること。
イ 理解したり表現したりするために必要な語句の量を増し,慣用句や四字熟語などについて理解を深め,話や文章の中で使うとともに,和語,漢語,外来語などを使い分けることを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
ウ 話や文章の種類とその特徴について理解を深めること。
エ 敬語などの相手や場に応じた言葉遣いを理解し,適切に使うこと。
(2) 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 具体と抽象など情報と情報との関係について理解を深めること。
イ 情報の信頼性の確かめ方を理解し使うこと。
(3) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 歴史的背景などに注意して古典を読むことを通して,その世界に親しむこと。
イ 長く親しまれている言葉や古典の一節を引用するなどして使うこと。
ウ 時間の経過による言葉の変化や世代による言葉の違いについて理解すること。
エ 書写に関する次の事項を理解し使うこと。
(ア) 身の回りの多様な表現を通して文字文化の豊かさに触れ,効果的に文字を書くこと。
オ 自分の生き方や社会との関わり方を支える読書の意義と効用について理解すること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場面に応じて,社会生活の中から話題を決め,多様な考えを想定しながら材料を整理し,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の立場や考えを明確にし,相手を説得できるように論理の展開などを考えて,話の構成を工夫すること。
ウ 場の状況に応じて言葉を選ぶなど,自分の考えが分かりやすく伝わるように表現を工夫すること。
エ 話の展開を予測しながら聞き,聞き取った内容や表現の仕方を評価して,自分の考えを広げたり深めたりすること。
オ 進行の仕方を工夫したり互いの発言を生かしたりしながら話し合い,合意形成に向けて考えを広げたり深めたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 提案や主張など自分の考えを話したり,それらを聞いて質問したり評価などを述べたりする活動。
イ 互いの考えを生かしながら議論や討論をする活動。
B 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,社会生活の中から題材を決め,集めた材料の客観性や信頼性を確認し,伝えたいことを明確にすること。
イ 文章の種類を選択し,多様な読み手を説得できるように論理の展開などを考えて,文章の構成を工夫すること。
ウ 表現の仕方を考えたり資料を適切に引用したりするなど,自分の考えが分かりやすく伝わる文章になるように工夫すること。
エ 目的や意図に応じた表現になっているかなどを確かめて,文章全体を整えること。
オ 論理の展開などについて,読み手からの助言などを踏まえ,自分の文章のよい点や改善点を見いだすこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 関心のある事柄について批評するなど,自分の考えを書く活動。
イ 情報を編集して文章にまとめるなど,伝えたいことを整理して書く活動。
C 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,論理や物語の展開の仕方などを捉えること。
イ 文章を批判的に読みながら,文章に表れているものの見方や考え方について考えること。
ウ 文章の構成や論理の展開,表現の仕方について評価すること。
エ 文章を読んで考えを広げたり深めたりして,人間,社会,自然などについて,自分の意見をもつこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 論説や報道などの文章を比較するなどして読み,理解したことや考えたことについて討論したり文章にまとめたりする活動。
イ 詩歌や小説などを読み,批評したり,考えたことなどを伝え合ったりする活動。
ウ 実用的な文章を読み,実生活への生かし方を考える活動。 
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,言葉の特徴や使い方などを理解し自分の思いや考えを深める学習の充実を図ること。
(2) 第2の各学年の内容の指導については,必要に応じて当該学年の前後の学年で取り上げることもできること。
(3) 第2の各学年の内容の〔知識及び技能〕に示す事項については,〔思考力,判断力,表現力等〕に示す事項の指導を通して指導することを基本とし,必要に応じて,特定の事項だけを取り上げて指導したり,それらをまとめて指導したりするなど,指導の効果を高めるよう工夫すること。
(4) 第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」に関する指導については,第1学年及び第2学年では年間15~25単位時間程度,第3学年では年間10~20単位時間程度を配当すること。その際,音声言語のための教材を積極的に活用するなどして,指導の効果を高...
(5) 第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「B書くこと」に関する指導については,第1学年及び第2学年では年間30~40単位時間程度,第3学年では年間20~30単位時間程度を配当すること。その際,実際に文章を書く活動を重視すること。
(6) 第2の第1学年及び第3学年の内容の〔知識及び技能〕の(3)のオ,第2学年の内容の〔知識及び技能〕の(3)のエ,各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」に関する指導については,様々な文章を読んで,自分の表現に役立てられるようにするとともに,他教科等における読...
(7) 言語能力の向上を図る観点から,外国語科など他教科等との関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。
(8) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(9) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 〔知識及び技能〕に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。
ア 日常の言語活動を振り返ることなどを通して,生徒が,実際に話したり聞いたり書いたり読んだりする場面を意識できるよう指導を工夫すること。
イ 漢字の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア) 他教科等の学習において必要となる漢字については,当該教科等と関連付けて指導するなど,その確実な定着が図られるよう工夫すること。
ウ 書写の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。
(ア) 文字を正しく整えて速く書くことができるようにするとともに,書写の能力を学習や生活に役立てる態度を育てるよう配慮すること。
(イ) 硬筆を使用する書写の指導は各学年で行うこと。
(ウ) 毛筆を使用する書写の指導は各学年で行い,硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導すること。
(エ) 書写の指導に配当する授業時数は,第1学年及び第2学年では年間20単位時間程度,第3学年では年間10単位時間程度とすること。
(2) 第2の内容の指導に当たっては,生徒がコンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
(3) 第2の内容の指導に当たっては,学校図書館などを目的をもって計画的に利用しその機能の活用を図るようにすること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 教材は,第2の各学年の目標及び内容に示す資質・能力を偏りなく養うことや読書に親しむ態度を育成することをねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の 「A話すこと・聞くこと」,「...
(2) 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
ア 国語に対する認識を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
イ 伝え合う力,思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにするのに役立つこと。 
ウ 公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
エ 科学的,論理的に物事を捉え考察し,視野を広げるのに役立つこと。
オ 人生について考えを深め,豊かな人間性を養い,たくましく生きる意志を育てるのに役立つこと。
カ 人間,社会,自然などについての考えを深めるのに役立つこと。
キ 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
ク 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
(3) 第2の各学年の内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」の教材については,各学年で説明的な文章や文学的な文章などの文章形態を調和的に取り扱うこと。また,説明的な文章については,適宜,図表や写真などを含むものを取り上げること。
(4) 我が国の言語文化に親しむことができるよう,近代以降の代表的な作家の作品を,いずれかの学年で取り上げること。
(5) 古典に関する教材については,古典の原文に加え,古典の現代語訳,古典について解説した文章などを取り上げること。
第2節 社会
第1 目標 社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1) 我が国の国土と歴史,現代の政治,経済,国際関係等に関して理解するとともに,調査や諸資料から様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり,社会に見られる課題の解決に向けて選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
(3) 社会的事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵《かん》養される我が国の国土や歴史に対する愛情,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,他国や他国の文化を尊重す...
第2 各分野の目標及び内容
〔地理的分野〕
1 目標 社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1) 我が国の国土及び世界の諸地域に関して,地域の諸事象や地域的特色を理解するとともに,調査や諸資料から地理に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 地理に関わる事象の意味や意義,特色や相互の関連を,位置や分布,場所,人間と自然環境との相互依存関係,空間的相互依存作用,地域などに着目して,多面的・多角的に考察したり,地理的な課題の解決に向けて公正に選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議論し...
(3) 日本や世界の地域に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵《かん》養される我が国の国土に対する愛情,世界の諸地域の多様な生活文化を尊重しようとすることの大切...
2 内容
A 世界と日本の地域構成
(1) 地域構成 次の①と②の地域構成を取り上げ,位置や分布などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 世界の地域構成
② 日本の地域構成
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 緯度と経度,大陸と海洋の分布,主な国々の名称と位置などを基に,世界の地域構成を大観し理解すること。
(イ) 我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の範囲や変化とその特色などを基に,日本の地域構成を大観し理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 世界の地域構成の特色を,大陸と海洋の分布や主な国の位置,緯度や経度などに着目して多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 日本の地域構成の特色を,周辺の海洋の広がりや国土を構成する島々の位置などに着目して多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 世界の様々な地域
(1) 世界各地の人々の生活と環境 場所や人間と自然環境との相互依存関係などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 人々の生活は,その生活が営まれる場所の自然及び社会的条件から影響を受けたり,その場所の自然及び社会的条件に影響を与えたりすることを理解すること。
(イ) 世界各地における人々の生活やその変容を基に,世界の人々の生活や環境の多様性を理解すること。その際,世界の主な宗教の分布についても理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 世界各地における人々の生活の特色やその変容の理由を,その生活が営まれる場所の自然及び社会的条件などに着目して多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 世界の諸地域 次の①から⑥までの各州を取り上げ,空間的相互依存作用や地域などに着目して,主題を設けて課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① アジア
② ヨーロッパ
③ アフリカ
④ 北アメリカ
⑤ 南アメリカ
⑥ オセアニア
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界各地で顕在化している地球的課題は,それが見られる地域の地域的特色の影響を受けて,現れ方が異なることを理解すること。
(イ) ①から⑥までの世界の各州に暮らす人々の生活を基に,各州の地域的特色を大観し理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) ①から⑥までの世界の各州において,地域で見られる地球的課題の要因や影響を,州という地域の広がりや地域内の結び付きなどに着目して,それらの地域的特色と関連付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 日本の様々な地域
(1) 地域調査の手法 場所などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 観察や野外調査,文献調査を行う際の視点や方法,地理的なまとめ方の基礎を理解すること。
(イ) 地形図や主題図の読図,目的や用途に適した地図の作成などの地理的な技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 地域調査において,対象となる場所の特徴などに着目して,適切な主題や調査,まとめとなるように,調査の手法やその結果を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 日本の地域的特色と地域区分 次の①から④までの項目を取り上げ,分布や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 自然環境
② 人口
③ 資源・エネルギーと産業
④ 交通・通信
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 日本の地形や気候の特色,海洋に囲まれた日本の国土の特色,自然災害と防災への取組などを基に,日本の自然環境に関する特色を理解すること。
(イ) 少子高齢化の課題,国内の人口分布や過疎・過密問題などを基に,日本の人口に関する特色を理解すること。
(ウ) 日本の資源・エネルギー利用の現状,国内の産業の動向,環境やエネルギーに関する課題などを基に,日本の資源・エネルギーと産業に関する特色を理解すること。
(エ) 国内や日本と世界との交通・通信網の整備状況,これを活用した陸上,海上輸送などの物流や人の往来などを基に,国内各地の結び付きや日本と世界との結び付きの特色を理解すること。
(オ) ①から④までの項目に基づく地域区分を踏まえ,我が国の国土の特色を大観し理解すること。
(カ) 日本や国内地域に関する各種の主題図や資料を基に,地域区分をする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) ①から④までの項目について,それぞれの地域区分を,地域の共通点や差異,分布などに着目して,多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 日本の地域的特色を,①から④までの項目に基づく地域区分などに着目して,それらを関連付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3) 日本の諸地域 次の①から⑤までの考察の仕方を基にして,空間的相互依存作用や地域などに着目して,主題を設けて課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 自然環境を中核とした考察の仕方
② 人口や都市・村落を中核とした考察の仕方
③ 産業を中核とした考察の仕方
④ 交通や通信を中核とした考察の仕方
⑤ その他の事象を中核とした考察の仕方
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 幾つかに区分した日本のそれぞれの地域について,その地域的特色や地域の課題を理解すること。
(イ) ①から⑤までの考察の仕方で取り上げた特色ある事象と,それに関連する他の事象や,そこで生ずる課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 日本の諸地域において,それぞれ①から⑤までで扱う中核となる事象の成立条件を,地域の広がりや地域内の結び付き,人々の対応などに着目して,他の事象やそこで生ずる課題と有機的に関連付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
(4) 地域の在り方 空間的相互依存作用や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 地域の実態や課題解決のための取組を理解すること。
(イ) 地域的な課題の解決に向けて考察,構想したことを適切に説明,議論しまとめる手法について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 地域の在り方を,地域の結び付きや地域の変容,持続可能性などに着目し,そこで見られる地理的な課題について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容のA,B及びCについては,この順序で取り扱うものとし,既習の学習成果を生かすこと。
(2) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 世界や日本の場所や地域の特色には,一般的共通性と地方的特殊性があり,また,地域に見られる諸事象は,その地域の規模の違いによって現れ方が異なることに留意すること。
イ 地図の読図や作図,景観写真の読み取り,地域に関する情報の収集や処理などの地理的技能を身に付けるに当たっては,系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用すること。
ウ 学習で取り上げる地域や国については,各項目間の調整を図り,一部の地域に偏ることのないようにすること。
エ 地域の特色や変化を捉えるに当たっては,歴史的分野との連携を踏まえ,歴史的背景に留意して地域的特色を追究するよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
オ 地域的特色を追究する過程で生物や地学的な事象などを取り上げる際には,地域的特色を捉える上で必要な範囲にとどめること。
(3) 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア) 日本の地域構成を扱う際には,都道府県の名称と位置のほかに都道府県庁所在地名も取り上げること。
(イ) 「領域の範囲や変化とその特色」については,我が国の海洋国家としての特色を取り上げるとともに,竹島や北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題も取り上げるようにすること。その際,尖閣諸島については我が国の固有の領土であり,領土問題は存在しないことも扱...
(ウ) 地球儀や地図を積極的に活用し,学習全体を通して,大まかに世界地図や日本地図を描けるようにすること。
(4) 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,世界各地の人々の生活の特色やその変容の理由と,その生活が営まれる場所の自然及び社会的条件との関係を考察するに当たって,衣食住の特色や,生活と宗教との関わりなどを取り上げるようにすること。
イ (2)については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア) 州ごとに設ける主題については,各州に暮らす人々の生活の様子を的確に把握できる事象を取り上げるとともに,そこで特徴的に見られる地球的課題と関連付けて取り上げること。
(イ) 取り上げる地球的課題については,地域間の共通性に気付き,我が国の国土の認識を深め,持続可能な社会づくりを考える上で効果的であるという観点から設定すること。また,州ごとに異なるものとなるようにすること。
(5) 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア) 地域調査に当たっては,対象地域は学校周辺とし,主題は学校所在地の事情を踏まえて,防災,人口の偏在,産業の変容,交通の発達などの事象から適切に設定し,観察や調査を指導計画に位置付けて実施すること。なお,学習の効果を高めることができる場合には,内容のCの(3)の中の学校所在地を...
(イ) 様々な資料を的確に読み取ったり,地図を有効に活用して事象を説明したりするなどの作業的な学習活動を取り入れること。また,課題の追究に当たり,例えば,防災に関わり危険を予測したり,人口の偏在に関わり人口動態を推測したりする際には,縮尺の大きな地図や統計その他の資料を含む地理空間...
イ (2)については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア) ①から④までで示した日本の地域的特色については,系統的に理解を深めるための基本的な事柄で構成すること。
(イ) 地域区分に際しては,日本の地域的特色を見いだしやすくなるようにそれぞれ適切な数で区分すること。
ウ (3)については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア) 日本の諸地域については,国内を幾つかの地域に区分して取り上げることとし,その地域区分は,指導の観点や学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること。
(イ) 学習する地域ごとに①から⑤までの考察の仕方を一つ選択することとし,①から④までの考察の仕方は,少なくとも一度は取り扱うこと。また,⑤の考察の仕方は,様々な事象や事柄の中から,取り上げる地域に応じた適切なものを適宜設定すること。
(ウ) 地域の考察に当たっては,そこに暮らす人々の生活・文化,地域の伝統や歴史的な背景,地域の持続可能な社会づくりを踏まえた視点に留意すること。
エ (4)については,次のとおり取り扱うものとする。
(ア) 取り上げる地域や課題については,各学校において具体的に地域の在り方を考察できるような,適切な規模の地域や適切な課題を取り上げること。
(イ) 学習の効果を高めることができる場合には,内容のCの(1)の学習や,Cの(3)の中の学校所在地を含む地域の学習と結び付けて扱うことができること。
(ウ) 考察,構想,表現する際には,学習対象の地域と類似の課題が見られる他の地域と比較したり,関連付けたりするなど,具体的に学習を進めること。
(エ) 観察や調査の結果をまとめる際には,地図や諸資料を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,意見交換したりするなどの学習活動を充実させること。
〔歴史的分野〕
1 目標 社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1) 我が国の歴史の大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解するとともに,諸資料から歴史に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 歴史に関わる事象の意味や意義,伝統と文化の特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関連や現在とのつながりなどに着目して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題を把握し複数の立場や意見を踏まえて公正に選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に...
(3) 歴史に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵《かん》養される我が国の歴史に対する愛情,国民としての自覚,国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽...
2 内容
A 歴史との対話
(1) 私たちと歴史 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 年代の表し方や時代区分の意味や意義についての基本的な内容を理解すること。
(イ) 資料から歴史に関わる情報を読み取ったり,年表などにまとめたりするなどの技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 時期や年代,推移,現在の私たちとのつながりなどに着目して,小学校での学習を踏まえて歴史上の人物や文化財,出来事などから適切なものを取り上げ,時代区分との関わりなどについて考察し表現すること。
(2) 身近な地域の歴史 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 自らが生活する地域や受け継がれてきた伝統や文化への関心をもって,具体的な事柄との関わりの中で,地域の歴史について調べたり,収集した情報を年表などにまとめたりするなどの技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 比較や関連,時代的な背景や地域的な環境,歴史と私たちとのつながりなどに着目して,地域に残る文化財や諸資料を活用して,身近な地域の歴史的な特徴を多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 近世までの日本とアジア
(1) 古代までの日本 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界の古代文明や宗教のおこり 世界の古代文明や宗教のおこりを基に,世界の各地で文明が築かれたことを理解すること。
(イ) 日本列島における国家形成 日本列島における農耕の広まりと生活の変化や当時の人々の信仰,大和朝廷(大和政権)による統一の様子と東アジアとの関わりなどを基に,東アジアの文明の影響を受けながら我が国で国家が形成されていったことを理解すること。
(ウ) 律令《りつりょう》国家の形成 律令《りつりょう》国家の確立に至るまでの過程,摂関政治などを基に,東アジアの文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ,その後,天皇や貴族による政治が展開したことを理解すること。
(エ) 古代の文化と東アジアとの関わり 仏教の伝来とその影響,仮名文字の成立などを基に,国際的な要素をもった文化が栄え,それらを基礎としながら文化の国風化が進んだことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 古代文明や宗教が起こった場所や環境,農耕の広まりや生産技術の発展,東アジアとの接触や交流と政治や文化の変化などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの(ア)から(エ)までについて古代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 古代までの日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 中世の日本 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 武家政治の成立とユーラシアの交流 鎌倉幕府の成立,元寇《げんこう》(モンゴル帝国の襲来)などを基に,武士が台頭して主従の結び付きや武力を背景とした武家政権が成立し,その支配が広まったこと,モンゴルの襲来(元寇《げんこう》)がユーラシアの変化の中で起こったことを理解すること。...
(イ) 武家政治の展開と東アジアの動き 南北朝の争乱と室町幕府,日明《にちみん》貿易,琉球《りゅうきゅう》の国際的な役割などを基に,武家政治の展開とともに,東アジア世界との密接な関わりが見られたことを理解すること。
(ウ) 民衆の成長と新たな文化の形成 農業など諸産業の発達,畿内を中心とした都市や農村における自治的な仕組みの成立,武士や民衆などの多様な文化の形成,応仁《おうにん》の乱後の社会的な変動などを基に,民衆の成長を背景とした社会や文化が生まれたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 武士の政治への進出と展開,東アジアにおける交流,農業や商工業の発達などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの(ア)から(ウ)までについて中世の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 中世の日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3) 近世の日本 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界の動きと統一事業 ヨーロッパ人来航の背景とその影響,織田《おだ》・豊臣《とよとみ》による統一事業とその当時の対外関係,武将や豪商などの生活文化の展開などを基に,近世社会の基礎がつくられたことを理解すること。
(イ) 江戸幕府の成立と対外関係 江戸幕府の成立と大名統制,身分制と農村の様子,鎖国などの幕府の対外政策と対外関係などを基に,幕府と藩による支配が確立したことを理解すること。
(ウ) 産業の発達と町人文化 産業や交通の発達,教育の普及と文化の広がりなどを基に,町人文化が都市を中心に形成されたことや,各地方の生活文化が生まれたことを理解すること。
(エ) 幕府の政治の展開 社会の変動や欧米諸国の接近,幕府の政治改革,新しい学問・思想の動きなどを基に,幕府の政治が次第に行き詰まりをみせたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 交易の広がりとその影響,統一政権の諸政策の目的,産業の発達と文化の担い手の変化,社会の変化と幕府の政策の変化などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの(ア)から(エ)までについて近世の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 近世の日本を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 近現代の日本と世界
(1) 近代の日本と世界 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 欧米における近代社会の成立とアジア諸国の動き 欧米諸国における産業革命や市民革命,アジア諸国の動きなどを基に,欧米諸国が近代社会を成立させてアジアへ進出したことを理解すること。
(イ) 明治維新と近代国家の形成 開国とその影響,富国強兵・殖産興業政策,文明開化の風潮などを基に,明治維新によって近代国家の基礎が整えられて,人々の生活が大きく変化したことを理解すること。
(ウ) 議会政治の始まりと国際社会との関わり 自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,日清《にっしん》・日露戦争,条約改正などを基に,立憲制の国家が成立して議会政治が始まるとともに,我が国の国際的な地位が向上したことを理解すること。
(エ) 近代産業の発展と近代文化の形成 我が国の産業革命,この時期の国民生活の変化,学問・教育・科学・芸術の発展などを基に,我が国で近代産業が発展し,近代文化が形成されたことを理解すること。
(オ) 第一次世界大戦前後の国際情勢と大衆の出現 第一次世界大戦の背景とその影響,民族運動の高まりと国際協調の動き,我が国の国民の政治的自覚の高まりと文化の大衆化などを基に,第一次世界大戦前後の国際情勢及び我が国の動きと,大戦後に国際平和への努力がなされたことを理解すること。
(カ) 第二次世界大戦と人類への惨禍 経済の世界的な混乱と社会問題の発生,昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が国の政治・外交の動き,中国などアジア諸国との関係,欧米諸国の動き,戦時下の国民の生活などを基に,軍部の台頭から戦争までの経過と,大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理...
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 工業化の進展と政治や社会の変化,明治政府の諸改革の目的,議会政治や外交の展開,近代化がもたらした文化への影響,経済の変化の政治への影響,戦争に向かう時期の社会や生活の変化,世界の動きと我が国との関連などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの(ア)から(カ)までにつ...
(イ) 近代の日本と世界を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 現代の日本と世界 課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導すること。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 日本の民主化と冷戦下の国際社会 冷戦,我が国の民主化と再建の過程,国際社会への復帰などを基に,第二次世界大戦後の諸改革の特色や世界の動きの中で新しい日本の建設が進められたことを理解すること。
(イ) 日本の経済の発展とグローバル化する世界 高度経済成長,国際社会との関わり,冷戦の終結などを基に,我が国の経済や科学技術の発展によって国民の生活が向上し,国際社会において我が国の役割が大きくなってきたことを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 諸改革の展開と国際社会の変化,政治の展開と国民生活の変化などに着目して,事象を相互に関連付けるなどして,アの(ア)及び(イ)について現代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 現代の日本と世界を大観して,時代の特色を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(ウ) これまでの学習を踏まえ,歴史と私たちとのつながり,現在と未来の日本や世界の在り方について,課題意識をもって多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の発達の段階を考慮して,各時代の特色や時代の転換に関係する基礎的・基本的な歴史に関わる事象を重点的に選んで指導内容を構成すること。
イ 調査や諸資料から歴史に関わる事象についての様々な情報を効果的に収集し,読み取り,まとめる技能を身に付ける学習を重視すること。その際,年表を活用した読み取りやまとめ,文献,図版などの多様な資料,地図などの活用を十分に行うこと。
ウ 歴史に関わる事象の意味・意義や特色,事象間の関連を説明したり,課題を設けて追究したり,意見交換したりするなどの学習を重視して,思考力,判断力,表現力等を養うとともに,学習内容の確かな理解と定着を図ること。
エ 各時代の文化については,代表的な事例を取り上げてその特色を考察させるようにすること。
オ 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ,我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深く関わっていることを考察させるようにすること。その際,歴史に見られる文化や生活の多様性に気付かせること。
カ 国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産について,生徒の興味・関心を育てる指導に努めるとともに,それらの時代的背景や地域性などと関連付けて考察させるようにすること。その際,身近な地域の歴史上の人物と文化遺産を取り上げることにも留...
キ 歴史に関わる事象の指導に当たっては,地理的分野との連携を踏まえ,地理的条件にも着目して取り扱うよう工夫するとともに,公民的分野との関連にも配慮すること。
ク 日本人の生活や生活に根ざした文化については,政治の動き,社会の動き,各地域の地理的条件,身近な地域の歴史とも関連付けて指導したり,民俗学や考古学などの成果の活用や博物館,郷土資料館などの施設を見学・調査したりするなど具体的に学ぶことを通して理解させるように工夫すること。
(2) 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,中学校の歴史学習の導入として実施することを原則とすること。小学校での学習を踏まえ,扱う内容や活動を工夫すること。「課題を追究したり解決したりする活動」については,内容のB以下の学習と関わらせて,歴史を追究するために,課題意識をもって学ぶことを促す適切な学習活動...
イ (2)については,内容のB以下の学習と関わらせて計画的に実施し,地域の特性に応じた時代を取り上げるようにするとともに,人々の生活や生活に根ざした伝統や文化に着目した取扱いを工夫すること。その際,博物館,郷土資料館などの地域の施設の活用や地域の人々の協力も考慮すること。
(3) 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のアの(ア)の「世界の古代文明」については,人類の出現にも触れ,中国の文明をはじめとして諸文明の特徴を取り扱い,生活技術の発達,文字の使用,国家のおこりと発展などの共通する特徴に気付かせるようにすること。また,ギリシャ・ローマの文明について,政治制度など民主政治の来歴の観...
イ (2)のアの(ア)の「ユーラシアの変化」については,モンゴル帝国の拡大によるユーラシアの結び付きについて気付かせること。(2)のアの(イ)の「琉球《りゅうきゅう》の国際的な役割」については,琉球《りゅうきゅう》の文化についても触れること。(2)のアの(ウ)の「武士や民衆などの多...
ウ (3)のアの(ア)の「ヨーロッパ人来航の背景」については,新航路の開拓を中心に取り扱い,その背景となるアジアの交易の状況やムスリム商人などの役割と世界の結び付きに気付かせること。また,宗教改革についても触れること。「織田《おだ》・豊臣《とよとみ》による統一事業」については,検地...
(4) 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のアの(ア)の「市民革命」については,政治体制の変化や人権思想の発達や広がり,現代の政治とのつながりなどと関連付けて,アメリカの独立,フランス革命などを扱うこと。「アジア諸国の動き」については,欧米諸国の進出に対するアジア諸国の対応と変容という観点から,代表的な事例を取り...
イ (2)のアの(ア)の「我が国の民主化と再建の過程」については,国民が苦難を乗り越えて新しい日本の建設に努力したことに気付かせるようにすること。その際,男女普通選挙の確立,日本国憲法の制定などを取り扱うこと。(2)のアの(イ)については,沖縄返還,日中国交正常化,石油危機などの節...
〔公民的分野〕
1 目標 現代社会の見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1) 個人の尊厳と人権の尊重の意義,特に自由・権利と責任・義務との関係を広い視野から正しく認識し,民主主義,民主政治の意義,国民の生活の向上と経済活動との関わり,現代の社会生活及び国際関係などについて,個人と社会との関わりを中心に理解を深めるとともに,諸資料から現代の社会的事象に...
(2) 社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を現代の社会生活と関連付けて多面的・多角的に考察したり,現代社会に見られる課題について公正に判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
(3) 現代の社会的事象について,現代社会に見られる課題の解決を視野に主体的に社会に関わろうとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵《かん》養される,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,各国が相互に主権を尊重し,各国民が協力し...
2 内容
A 私たちと現代社会
(1) 私たちが生きる現代社会と文化の特色 位置や空間的な広がり,推移や変化などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 現代日本の特色として少子高齢化,情報化,グローバル化などが見られることについて理解すること。
(イ) 現代社会における文化の意義や影響について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 少子高齢化,情報化,グローバル化などが現在と将来の政治,経済,国際関係に与える影響について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 文化の継承と創造の意義について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 現代社会を捉える枠組み 対立と合意,効率と公正などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 現代社会の見方・考え方の基礎となる枠組みとして,対立と合意,効率と公正などについて理解すること。
(イ) 人間は本来社会的存在であることを基に,個人の尊厳と両性の本質的平等,契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 社会生活における物事の決定の仕方,契約を通した個人と社会との関係,きまりの役割について多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 私たちと経済
(1) 市場の働きと経済 対立と合意,効率と公正,分業と交換,希少性などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 身近な消費生活を中心に経済活動の意義について理解すること。
(イ) 市場経済の基本的な考え方について理解すること。その際,市場における価格の決まり方や資源の配分について理解すること。
(ウ) 現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解すること。
(エ) 勤労の権利と義務,労働組合の意義及び労働基準法の精神について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 個人や企業の経済活動における役割と責任について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 社会生活における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 国民の生活と政府の役割 対立と合意,効率と公正,分業と交換,希少性などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 社会資本の整備,公害の防止など環境の保全,少子高齢社会における社会保障の充実・安定化,消費者の保護について,それらの意義を理解すること。
(イ) 財政及び租税の意義,国民の納税の義務について理解すること。
イ 国民の生活と福祉の向上を図ることに向けて,次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 市場の働きに委ねることが難しい諸問題に関して,国や地方公共団体が果たす役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(イ) 財政及び租税の役割について多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 私たちと政治
(1) 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 対立と合意,効率と公正,個人の尊重と法の支配,民主主義などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 人間の尊重についての考え方を,基本的人権を中心に深め,法の意義を理解すること。
(イ) 民主的な社会生活を営むためには,法に基づく政治が大切であることを理解すること。
(ウ) 日本国憲法が基本的人権の尊重,国民主権及び平和主義を基本的原則としていることについて理解すること。
(エ) 日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 民主政治と政治参加 対立と合意,効率と公正,個人の尊重と法の支配,民主主義などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みのあらましや政党の役割を理解すること。
(イ) 議会制民主主義の意義,多数決の原理とその運用の在り方について理解すること。
(ウ) 国民の権利を守り,社会の秩序を維持するために,法に基づく公正な裁判の保障があることについて理解すること。
(エ) 地方自治の基本的な考え方について理解すること。その際,地方公共団体の政治の仕組み,住民の権利や義務について理解すること。
イ 地方自治や我が国の民主政治の発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の基礎を育成することに向けて,次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 民主政治の推進と,公正な世論の形成や選挙など国民の政治参加との関連について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
D 私たちと国際社会の諸課題
(1) 世界平和と人類の福祉の増大 対立と合意,効率と公正,協調,持続可能性などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界平和の実現と人類の福祉の増大のためには,国際協調の観点から,国家間の相互の主権の尊重と協力,各国民の相互理解と協力及び国際連合をはじめとする国際機構などの役割が大切であることを理解すること。その際,領土(領海,領空を含む。),国家主権,国際連合の働きなど基本的な事項につ...
(イ) 地球環境,資源・エネルギー,貧困などの課題の解決のために経済的,技術的な協力などが大切であることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 日本国憲法の平和主義を基に,我が国の安全と防衛,国際貢献を含む国際社会における我が国の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(2) よりよい社会を目指して 持続可能な社会を形成することに向けて,社会的な見方・考え方を働かせ,課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を多面的・多角的に考察,構想し,自分の考えを説明,論述すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
ア 地理的分野及び歴史的分野の学習の成果を活用するとともに,これらの分野で育成された資質・能力が,更に高まり発展するようにすること。また,社会的事象は相互に関連し合っていることに留意し,特定の内容に偏ることなく,分野全体として見通しをもったまとまりのある学習が展開できるようにするこ...
イ 生徒が内容の基本的な意味を理解できるように配慮し,現代社会の見方・考え方を働かせ,日常の社会生活と関連付けながら具体的事例を通して,政治や経済などに関わる制度や仕組みの意義や働きについて理解を深め,多面的・多角的に考察,構想し,表現できるようにすること。
ウ 分野全体を通して,課題の解決に向けて習得した知識を活用して,事実を基に多面的・多角的に考察,構想したことを説明したり,論拠を基に自分の意見を説明,論述させたりすることにより,思考力,判断力,表現力等を養うこと。また,考察,構想させる場合には,資料を読み取らせて解釈させたり,議論...
エ 合意形成や社会参画を視野に入れながら,取り上げた課題について構想したことを,妥当性や効果,実現可能性などを踏まえて表現できるよう指導すること。
オ 分野の内容に関係する専門家や関係諸機関などと円滑な連携・協働を図り,社会との関わりを意識した課題を追究したり解決したりする活動を充実させること。
(2) 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 「情報化」については,人工知能の急速な進化などによる産業や社会の構造的な変化などと関連付けたり,災害時における防災情報の発信・活用などの具体的事例を取り上げたりすること。アの(イ)の「現代社会における文化の意義と影響」については,科学,芸術,宗教などを取り上げ,社会生活との...
(イ) イの(イ)の「文化の継承と創造の意義」については,我が国の伝統と文化などを取り扱うこと。
イ (1)及び(2)については公民的分野の導入部として位置付け,(1),(2)の順で行うものとし,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
(3) 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) アの(イ)の「市場における価格の決まり方や資源の配分」については,個人や企業の経済活動が様々な条件の中での選択を通して行われていることや,市場における取引が貨幣を通して行われていることなどを取り上げること。
(イ) イの(ア)の「個人や企業の経済活動における役割と責任」については,起業について触れるとともに,経済活動や起業などを支える金融などの働きについて取り扱うこと。イの(イ)の「社会生活における職業の意義と役割及び雇用と労働条件の改善」については,仕事と生活の調和という観点から労働...
イ (2)については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) アの(ア)の「消費者の保護」については,消費者の自立の支援なども含めた消費者行政を取り扱うこと。
(イ) イの(イ)の「財政及び租税の役割」については,財源の確保と配分という観点から,財政の現状や少子高齢社会など現代社会の特色を踏まえて財政の持続可能性と関連付けて考察し,表現させること。
(4) 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (2)のアの(ウ)の「法に基づく公正な裁判の保障」に関連させて,裁判員制度についても触れること。
(5) 内容のDについては,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) アの(ア)の「国家間の相互の主権の尊重と協力」との関連で,国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることの理解を通して,それらを尊重する態度を養うように配慮すること。また,「領土(領海,領空を含む。),国家主権」については関連させて取り扱い,我が...
(イ) イの(ア)の「国際社会における我が国の役割」に関連させて,核兵器などの脅威に触れ,戦争を防止し,世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育成するように配慮すること。また,国際社会における文化や宗教の多様性について取り上げること。
イ (2)については,身近な地域や我が国の取組との関連性に着目させ,世界的な視野と地域的な視点に立って探究させること。また,社会科のまとめとして位置付け,適切かつ十分な授業時数を配当すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,分野の特質に応じた見方・考え方を働かせ,社会的事象の意味や意義などを考察し,概念などに関する知識を獲得したり,社会との関わりを意識...
(2) 小学校社会科の内容との関連及び各分野相互の有機的な関連を図るとともに,地理的分野及び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して,全体として教科の目標が達成できるようにする必要があること。
(3) 各分野の履修については,第1,第2学年を通じて地理的分野及び歴史的分野を並行して学習させることを原則とし,第3学年において歴史的分野及び公民的分野を学習させること。各分野に配当する授業時数は,地理的分野115単位時間,歴史的分野135単位時間,公民的分野100単位時間とする...
(4) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(5) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,社会科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 社会的な見方・考え方を働かせることをより一層重視する観点に立って,社会的事象の意味や意義,事象の特色や事象間の関連,社会に見られる課題などについて,考察したことや選択・判断したことを論理的に説明したり,立場や根拠を明確にして議論したりするなどの言語活動に関わる学習を一層重視...
(2) 情報の収集,処理や発表などに当たっては,学校図書館や地域の公共施設などを活用するとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用し,指導に生かすことで,生徒が主体的に調べ分かろうとして学習に取り組めるようにすること。その際,課題の追究や解決の見通しを...
(3) 調査や諸資料から,社会的事象に関する様々な情報を効果的に収集し,読み取り,まとめる技能を身に付ける学習活動を重視するとともに,作業的で具体的な体験を伴う学習の充実を図るようにすること。その際,地図や年表を読んだり作成したり,現代社会の諸課題を捉え,多面的・多角的に考察,構想...
(4) 社会的事象については,生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示するよう配慮し,多様な見解のある事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,有益適切な教材に基づいて指導するとともに,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いにより,生...
3 第2の内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第3節 数学
第1 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 数量や図形などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 数学を活用して事象を論理的に考察する力,数量や図形などの性質を見いだし統合的・発展的に考察する力,数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養う。
(3) 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 正の数と負の数,文字を用いた式と一元一次方程式,平面図形と空間図形,比例と反比例,データの分布と確率などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数理的に捉えたり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 数の範囲を拡張し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則などを考察したりする力,図形の構成要素や構成の仕方に着目し,図形の性質や関係を直観的に捉え論理的に考察する力,数量の変化や対応に着目して関数関係を見いだし,その特徴を表,式,グラフなどで考察する...
(3) 数学的活動の楽しさや数学のよさに気付いて粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,問題解決の過程を振り返って検討しようとする態度,多面的に捉え考えようとする態度を養う。
2 内容
A 数と式
(1) 正の数と負の数について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。
(イ) 正の数と負の数の四則計算をすること。
(ウ) 具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 算数で学習した数の四則計算と関連付けて,正の数と負の数の四則計算の方法を考察し表現すること。
(イ) 正の数と負の数を具体的な場面で活用すること。
(2) 文字を用いた式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 文字を用いることの必要性と意味を理解すること。
(イ) 文字を用いた式における乗法と除法の表し方を知ること。
(ウ) 簡単な一次式の加法と減法の計算をすること。
(エ) 数量の関係や法則などを文字を用いた式に表すことができることを理解し,式を用いて表したり読み取ったりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 具体的な場面と関連付けて,一次式の加法と減法の計算の方法を考察し表現すること。
(3) 一元一次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 方程式の必要性と意味及び方程式の中の文字や解の意味を理解すること。
(イ) 簡単な一元一次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 等式の性質を基にして,一元一次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ) 一元一次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
自然数
素数
符号
絶対値
係数
移項
B 図形
(1) 平面図形について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 角の二等分線,線分の垂直二等分線,垂線などの基本的な作図の方法を理解すること。
(イ) 平行移動,対称移動及び回転移動について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 図形の性質に着目し,基本的な作図の方法を考察し表現すること。
(イ) 図形の移動に着目し,二つの図形の関係について考察し表現すること。
(ウ) 基本的な作図や図形の移動を具体的な場面で活用すること。
(2) 空間図形について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 空間における直線や平面の位置関係を知ること。
(イ) 扇形の弧の長さと面積,基本的な柱体や体,球の表面積と体積を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 空間図形を直線や平面図形の運動によって構成されるものと捉えたり,空間図形を平面上に表現して平面上の表現から空間図形の性質を見いだしたりすること。
(イ) 立体図形の表面積や体積の求め方を考察し表現すること。
〔用語・記号〕
回転体
ねじれの位置
π
//
C 関数
(1) 比例,反比例について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 関数関係の意味を理解すること。
(イ) 比例,反比例について理解すること。
(ウ) 座標の意味を理解すること。
(エ) 比例,反比例を表,式,グラフなどに表すこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 比例,反比例として捉えられる二つの数量について,表,式,グラフなどを用いて調べ,それらの変化や対応の特徴を見いだすこと。
(イ) 比例,反比例を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
〔用語・記号〕
関数
変数
変域
D データの活用
(1) データの分布について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) ヒストグラムや相対度数などの必要性と意味を理解すること。
(イ) コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを表やグラフに整理すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 目的に応じてデータを収集して分析し,そのデータの分布の傾向を読み取り,批判的に考察し判断すること。
(2) 不確定な事象の起こりやすさについて,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 多数の観察や多数回の試行の結果を基にして,不確定な事象の起こりやすさの傾向を読み取り表現すること。
〔用語・記号〕
範囲
累積度数
〔数学的活動〕
(1) 「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解決の過程や結果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返って統合的・発展的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて筋道立てて説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と式」の(1)に関連して,自然数を素数の積として表すことを取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と式」の(1)のアとイの(ア)に関連して,数の集合と四則計算の可能性を取り扱うものとする。
(3) 内容の「A数と式」の(2)のアの(エ)に関連して,大小関係を不等式を用いて表すことを取り扱うものとする。
(4) 内容の「A数と式」の(3)のアの(イ)とイの(イ)に関連して,簡単な比例式を解くことを取り扱うものとする。
(5) 内容の「B図形」の(1)のイの(ウ)に関連して,円の接線はその接点を通る半径に垂直であることを取り扱うものとする。
(6) 内容の「B図形」の(2)のイの(ア)については,見取図や展開図,投影図を取り扱うものとする。
〔第2学年〕
1 目標
(1) 文字を用いた式と連立二元一次方程式,平面図形と数学的な推論,一次関数,データの分布と確率などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 文字を用いて数量の関係や法則などを考察する力,数学的な推論の過程に着目し,図形の性質や関係を論理的に考察し表現する力,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力,複数の集団のデータの分布に着目し,その傾向を比較して読み取り批判的に考察して判断した...
(3) 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,多様な考えを認め,よりよく問題解決しようとする態度を養う。
2 内容
A 数と式
(1) 文字を用いた式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 簡単な整式の加法と減法及び単項式の乗法と除法の計算をすること。
(イ) 具体的な事象の中の数量の関係を文字を用いた式で表したり,式の意味を読み取ったりすること。
(ウ) 文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明できることを理解すること。
(エ) 目的に応じて,簡単な式を変形すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 具体的な数の計算や既に学習した計算の方法と関連付けて,整式の加法と減法及び単項式の乗法と除法の計算の方法を考察し表現すること。
(イ) 文字を用いた式を具体的な場面で活用すること。
(2) 連立二元一次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 二元一次方程式とその解の意味を理解すること。
(イ) 連立二元一次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
(ウ) 簡単な連立二元一次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 一元一次方程式と関連付けて,連立二元一次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ) 連立二元一次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
同類項
B 図形
(1) 基本的な平面図形の性質について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 平行線や角の性質を理解すること。
(イ) 多角形の角についての性質が見いだせることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 基本的な平面図形の性質を見いだし,平行線や角の性質を基にしてそれらを確かめ説明すること。
(2) 図形の合同について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 平面図形の合同の意味及び三角形の合同条件について理解すること。
(イ) 証明の必要性と意味及びその方法について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 三角形の合同条件などを基にして三角形や平行四辺形の基本的な性質を論理的に確かめたり,証明を読んで新たな性質を見いだしたりすること。
(イ) 三角形や平行四辺形の基本的な性質などを具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
対頂角
内角
外角
定義
証明
反例
C 関数
(1) 一次関数について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 一次関数について理解すること。
(イ) 事象の中には一次関数として捉えられるものがあることを知ること。
(ウ) 二元一次方程式を関数を表す式とみること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 一次関数として捉えられる二つの数量について,変化や対応の特徴を見いだし,表,式,グラフを相互に関連付けて考察し表現すること。
(イ) 一次関数を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
〔用語・記号〕
変化の割合
傾き
D データの活用
(1) データの分布について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 四分位範囲や箱ひげ図の必要性と意味を理解すること。
(イ) コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを整理し箱ひげ図で表すこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布の傾向を比較して読み取り,批判的に考察し判断すること。
(2) 不確定な事象の起こりやすさについて,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 多数回の試行によって得られる確率と関連付けて,場合の数を基にして得られる確率の必要性と意味を理解すること。
(イ) 簡単な場合について確率を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 同様に確からしいことに着目し,場合の数を基にして得られる確率の求め方を考察し表現すること。
(イ) 確率を用いて不確定な事象を捉え考察し表現すること。
〔数学的活動〕
(1) 「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解決の過程や結果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から見通しをもって問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返って統合的・発展的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて論理的に説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「B図形」の(2)のイの(ア)に関連して,正方形,ひし形及び長方形が平行四辺形の特別な形であることを取り扱うものとする。
〔第3学年〕
1 目標
(1) 数の平方根,多項式と二次方程式,図形の相似,円周角と中心角の関係,三平方の定理,関数y=ax^2,標本調査などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 数の範囲に着目し,数の性質や計算について考察したり,文字を用いて数量の関係や法則などを考察したりする力,図形の構成要素の関係に着目し,図形の性質や計量について論理的に考察し表現する力,関数関係に着目し,その特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力,標本と母集団の関係...
(3) 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度,多様な考えを認め,よりよく問題解決しようとする態度を養う。
2 内容
A 数と式
(1) 正の数の平方根について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 数の平方根の必要性と意味を理解すること。
(イ) 数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。
(ウ) 具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 既に学習した計算の方法と関連付けて,数の平方根を含む式の計算の方法を考察し表現すること。
(イ) 数の平方根を具体的な場面で活用すること。
(2) 簡単な多項式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 単項式と多項式の乗法及び多項式を単項式で割る除法の計算をすること。
(イ) 簡単な一次式の乗法の計算及び次の公式を用いる簡単な式の展開や因数分解をすること。
(a+b)^2=a^2+2ab+b^2
(a−b)^2=a^2−2ab+b^2
(a+b)(a−b)=a^2−b^2
(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 既に学習した計算の方法と関連付けて,式の展開や因数分解をする方法を考察し表現すること。
(イ) 文字を用いた式で数量及び数量の関係を捉え説明すること。
(3) 二次方程式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。
(イ) 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くこと。
(ウ) 解の公式を知り,それを用いて二次方程式を解くこと。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 因数分解や平方根の考えを基にして,二次方程式を解く方法を考察し表現すること。
(イ) 二次方程式を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
根号
有理数
無理数
因数
B 図形
(1) 図形の相似について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 平面図形の相似の意味及び三角形の相似条件について理解すること。
(イ) 基本的な立体の相似の意味及び相似な図形の相似比と面積比や体積比との関係について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 三角形の相似条件などを基にして図形の基本的な性質を論理的に確かめること。
(イ) 平行線と線分の比についての性質を見いだし,それらを確かめること。
(ウ) 相似な図形の性質を具体的な場面で活用すること。
(2) 円周角と中心角の関係について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 円周角と中心角の関係の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 円周角と中心角の関係を見いだすこと。
(イ) 円周角と中心角の関係を具体的な場面で活用すること。
(3) 三平方の定理について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 三平方の定理の意味を理解し,それが証明できることを知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 三平方の定理を見いだすこと。
(イ) 三平方の定理を具体的な場面で活用すること。
〔用語・記号〕
C 関数
(1) 関数y=ax^2について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 関数y=ax^2について理解すること。
(イ) 事象の中には関数y=ax^2として捉えられるものがあることを知ること。
(ウ) いろいろな事象の中に,関数関係があることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 関数y=ax^2として捉えられる二つの数量について,変化や対応の特徴を見いだし,表,式,グラフを相互に関連付けて考察し表現すること。
(イ) 関数y=ax^2を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
D データの活用
(1) 標本調査について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 標本調査の必要性と意味を理解すること。
(イ) コンピュータなどの情報手段を用いるなどして無作為に標本を取り出し,整理すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 標本調査の方法や結果を批判的に考察し表現すること。
(イ) 簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向を推定し判断すること。
〔用語・記号〕
全数調査
〔数学的活動〕
(1) 「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「Dデータの活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組むものとする。
ア 日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学的に表現・処理し,問題を解決したり,解決の過程や結果を振り返って考察したりする活動
イ 数学の事象から見通しをもって問題を見いだし解決したり,解決の過程や結果を振り返って統合的・発展的に考察したりする活動
ウ 数学的な表現を用いて論理的に説明し伝え合う活動
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A数と式」の(1)などに関連して,誤差や近似値,a×10^nの形の表現を取り扱うものとする。
(2) 内容の「A数と式」の(3)については,実数の解をもつ二次方程式を取り扱うものとする。
(3) 内容の「A数と式」の(3)のアの(イ)とイの(ア)については,ax^2=b(a,bは有理数)の二次方程式及びx^2+px+q=0(p,qは整数)の二次方程式を取り扱うものとする。因数分解して解くことの指導においては,内容の「A数と式」の(2)のアの(イ)に示した公式を用いる...
(4) 内容の「B図形」の(2)に関連して,円周角の定理の逆を取り扱うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,数学的活動を通して,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,数学的な見方・考え方を働かせながら,日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学の問題を見いだし,問題を自立的,...
(2) 第2の各学年の目標の達成に支障のない範囲内で,当該学年の内容の一部を軽く取り扱い,それを後の学年で指導することができるものとすること。また,学年の目標を逸脱しない範囲内で,後の学年の内容の一部を加えて指導することもできるものとすること。
(3) 生徒の学習を確実なものにするために,新たな内容を指導する際には,既に指導した関連する内容を意図的に再度取り上げ,学び直しの機会を設定することに配慮すること。
(4) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(5) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,数学科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 思考力,判断力,表現力等を育成するため,各学年の内容の指導に当たっては,数学的な表現を用いて簡潔・明瞭・的確に表現したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりするなどの機会を設けること。
(2) 各領域の指導に当たっては,必要に応じ,そろばんや電卓,コンピュータ,情報通信ネットワークなどの情報手段を適切に活用し,学習の効果を高めること。
(3) 各領域の指導に当たっては,具体物を操作して考えたり,データを収集して整理したりするなどの具体的な体験を伴う学習を充実すること。
(4) 第2の各学年の内容に示す〔用語・記号〕は,当該学年で取り扱う内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり,その指導に当たっては,各学年の内容と密接に関連させて取り上げること。
3 数学的活動の取組においては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 数学的活動を楽しめるようにするとともに,数学を学習することの意義や数学の必要性などを実感する機会を設けること。
(2) 数学を活用して問題解決する方法を理解するとともに,自ら問題を見いだし,解決するための構想を立て,実践し,その過程や結果を評価・改善する機会を設けること。
(3) 各領域の指導に当たっては,観察や操作,実験などの活動を通して,数量や図形などの性質を見いだしたり,発展させたりする機会を設けること。
(4) 数学的活動の過程を振り返り,レポートにまとめ発表することなどを通して,その成果を共有する機会を設けること。
4 生徒の数学的活動への取組を促し思考力,判断力,表現力等の育成を図るため,各領域の内容を総合したり日常の事象や他教科等での学習に関連付けたりするなどして見いだした問題を解決する学習を課題学習と言い,この実施に当たっては各学年で指導計画に適切に位置付けるものとする。
第4節 理科
第1 目標 自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3) 自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
第2 各分野の目標及び内容  
〔第1分野〕
1 目標 物質やエネルギーに関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 物質やエネルギーに関する事物・現象についての観察,実験などを行い,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギー,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解するとともに,科学技術の発展と人間生活との関わりについて認識を深めるようにする。また,そ...
(2) 物質やエネルギーに関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。
(3) 物質やエネルギーに関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) 身近な物理現象 身近な物理現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 身近な物理現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 光と音
㋐ 光の反射・屈折 光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだして理解すること。
㋑ 凸レンズの働き 凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像のでき方との関係を見いだして理解すること。
㋒ 音の性質 音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだして理解すること。
(イ) 力の働き
㋐ 力の働き 物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだして理解するとともに,力は大きさと向きによって表されることを知ること。また,物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだして理...
イ 身近な物理現象について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,光の反射や屈折,凸レンズの働き,音の性質,力の働きの規則性や関係性を見いだして表現すること。
(2) 身の回りの物質 身の回りの物質についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 身の回りの物質の性質や変化に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 物質のすがた
㋐ 身の回りの物質とその性質 身の回りの物質の性質を様々な方法で調べる実験を行い,物質には密度や加熱したときの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだして理解するとともに,実験器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。
㋑ 気体の発生と性質 気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を理解するとともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。
(イ) 水溶液
㋐ 水溶液 水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けて理解すること。
(ウ) 状態変化
㋐ 状態変化と熱 物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いだして理解すること。
㋑ 物質の融点と沸点 物質は融点や沸点を境に状態が変化することを知るとともに,混合物を加熱する実験を行い,沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだして理解すること。
イ 身の回りの物質について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,物質の性質や状態変化における規則性を見いだして表現すること。
(3) 電流とその利用 電流とその利用についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 電流,磁界に関する事物・現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 電流
㋐ 回路と電流・電圧 回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を流れる電流や各部に加わる電圧についての規則性を見いだして理解すること。
㋑ 電流・電圧と抵抗 金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだして理解するとともに,金属線には電気抵抗があることを理解すること。
㋒ 電気とそのエネルギー 電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,熱や光などが取り出せること及び電力の違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだして理解すること。
㋓ 静電気と電流 異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流には関係があることを見いだして理解すること。
(イ) 電流と磁界
㋐ 電流がつくる磁界 磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,コイルの回りに磁界ができることを知ること。
㋑ 磁界中の電流が受ける力 磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くことを見いだして理解すること。
㋒ 電磁誘導と発電 磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流が得られることを見いだして理解するとともに,直流と交流の違いを理解すること。
イ 電流,磁界に関する現象について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,電流と電圧,電流の働き,静電気,電流と磁界の規則性や関係性を見いだして表現すること。
(4) 化学変化と原子・分子 化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 化学変化を原子や分子のモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 物質の成り立ち
㋐ 物質の分解 物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質は元の物質とは異なることを見いだして理解すること。
㋑ 原子・分子 物質は原子や分子からできていることを理解するとともに,物質を構成する原子の種類は記号で表されることを知ること。
(イ) 化学変化
㋐ 化学変化 2種類の物質を反応させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見いだして理解するとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の組成は化学式で表されること及び化学変化は化学反応式で表されることを理解すること。
㋑ 化学変化における酸化と還元 酸化や還元の実験を行い,酸化や還元は酸素が関係する反応であることを見いだして理解すること。
㋒ 化学変化と熱 化学変化によって熱を取り出す実験を行い,化学変化には熱の出入りが伴うことを見いだして理解すること。
(ウ) 化学変化と物質の質量
㋐ 化学変化と質量の保存 化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い,反応物の質量の総和と生成物の質量の総和が等しいことを見いだして理解すること。
㋑ 質量変化の規則性 化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の間には一定の関係があることを見いだして理解すること。
イ 化学変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,原子や分子と関連付けてその結果を分析して解釈し,化学変化における物質の変化やその量的な関係を見いだして表現すること。
(5) 運動とエネルギー 物体の運動とエネルギーについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 物体の運動とエネルギーを日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 力のつり合いと合成・分解
㋐ 水中の物体に働く力 水圧についての実験を行い,その結果を水の重さと関連付けて理解すること。また,水中にある物体には浮力が働くことを知ること。
㋑ 力の合成・分解 力の合成と分解についての実験を行い,合力や分力の規則性を理解すること。
(イ) 運動の規則性
㋐ 運動の速さと向き 物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知ること。
㋑ 力と運動 物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運動では運動の向きや時間の経過に伴って物体の速さが変わること及び力が働かない運動では物体は等速直線運動することを見いだして理解すること。
(ウ) 力学的エネルギー
㋐ 仕事とエネルギー 仕事に関する実験を行い,仕事と仕事率について理解すること。また,衝突の実験を行い,物体のもつ力学的エネルギーは物体が他の物体になしうる仕事で測れることを理解すること。
㋑ 力学的エネルギーの保存 力学的エネルギーに関する実験を行い,運動エネルギーと位置エネルギーが相互に移り変わることを見いだして理解するとともに,力学的エネルギーの総量が保存されることを理解すること。
イ 運動とエネルギーについて,見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,力のつり合い,合成や分解,物体の運動,力学的エネルギーの規則性や関係性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。
(6) 化学変化とイオン 化学変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 化学変化をイオンのモデルと関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 水溶液とイオン
㋐ 原子の成り立ちとイオン 水溶液に電圧をかけ電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものとがあることを見いだして理解すること。また,電解質水溶液に電圧をかけ電流を流す実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知るとともに,イオンの生成が原子の成り立ち...
㋑ 酸・アルカリ 酸とアルカリの性質を調べる実験を行い,酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオンと水酸化物イオンによることを知ること。
㋒ 中和と塩 中和反応の実験を行い,酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解すること。
(イ) 化学変化と電池
㋐ 金属イオン 金属を電解質水溶液に入れる実験を行い,金属によってイオンへのなりやすさが異なることを見いだして理解すること。
㋑ 化学変化と電池 電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電池の基本的な仕組みを理解するとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
イ 化学変化について,見通しをもって観察,実験などを行い,イオンと関連付けてその結果を分析して解釈し,化学変化における規則性や関係性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。
(7) 科学技術と人間 科学技術と人間との関わりについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) エネルギーと物質
㋐ エネルギーとエネルギー資源 様々なエネルギーとその変換に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では様々なエネルギーの変換を利用していることを見いだして理解すること。また,人間は,水力,火力,原子力,太陽光などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギー資源の有効...
㋑ 様々な物質とその利用 物質に関する観察,実験などを通して,日常生活や社会では,様々な物質が幅広く利用されていることを理解するとともに,物質の有効な利用が大切であることを認識すること。
㋒ 科学技術の発展 科学技術の発展の過程を知るとともに,科学技術が人間の生活を豊かで便利にしていることを認識すること。
(イ) 自然環境の保全と科学技術の利用
㋐ 自然環境の保全と科学技術の利用 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
イ 日常生活や社会で使われているエネルギーや物質について,見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈するとともに,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について,科学的に考察して判断すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までについては,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,3年間を通じて科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すものとする。
(2) 内容の(1)から(7)までのうち,(1)及び(2)は第1学年,(3)及び(4)は第2学年,(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(3) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,全反射も扱い,光の屈折では入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。また,白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることにも触れること。
イ アの(ア)の㋑については,物体の位置に対する像の位置や像の大きさの定性的な関係を調べること。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの(ア)の㋒については,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さにも触れること。
エ アの(イ)の㋐については,ばねに加える力の大きさとばねの伸びとの関係も扱うこと。また,重さと質量との違いにも触れること。力の単位としては「ニュートン」を用いること。
(4) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。
イ アの(ア)の㋑については,異なる方法を用いても同一の気体が得られることにも触れること。
ウ アの(イ)の㋐については,粒子のモデルと関連付けて扱い,質量パーセント濃度にも触れること。また,「溶解度」については,溶解度曲線にも触れること。
エ アの(ウ)の㋐については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。その際,粒子の運動にも触れること。
(5) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐の「回路」については,直列及び並列の回路を取り上げ,それぞれについて二つの抵抗のつなぎ方を中心に扱うこと。
イ アの(ア)の㋑の「電気抵抗」については,物質の種類によって抵抗の値が異なることを扱うこと。また,二つの抵抗をつなぐ場合の合成抵抗にも触れること。
ウ アの(ア)の㋒については,電力量も扱うこと。その際,熱量にも触れること。
エ アの(ア)の㋓については,電流が電子の流れに関係していることを扱うこと。また,真空放電と関連付けながら放射線の性質と利用にも触れること。
オ アの(イ)の㋑については,電流の向きや磁界の向きを変えたときに力の向きが変わることを扱うこと。
カ アの(イ)の㋒については,コイルや磁石を動かす向きを変えたときに電流の向きが変わることを扱うこと。
(6) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋑の「物質を構成する原子の種類」を元素ということにも触れること。また,「記号」については,元素記号で表されることにも触れ,基礎的なものを取り上げること。その際,周期表を用いて多くの種類が存在することにも触れること。
イ アの(イ)の㋐の「化学式」及び「化学反応式」については,簡単なものを扱うこと。
ウ アの(イ)の㋑の「酸化や還元」については,簡単なものを扱うこと。
(7) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,水中にある物体には,あらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。また,物体に働く水圧と浮力との定性的な関係にも触れること。
イ アの(イ)の㋐については,物体に力が働くとき反対向きにも力が働くことにも触れること。
ウ アの(イ)の㋑の「力が働く運動」のうち,落下運動については斜面に沿った運動を中心に扱うこと。その際,斜面の角度が90度になったときに自由落下になることにも触れること。「物体の速さが変わること」については,定性的に扱うこと。
エ アの(ウ)の㋐については,仕事の原理にも触れること。
オ アの(ウ)の㋑については,摩擦にも触れること。
(8) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐の「原子の成り立ち」については,原子が電子と原子核からできていることを扱うこと。その際,原子核が陽子と中性子でできていることや,同じ元素でも中性子の数が異なる原子があることにも触れること。また,「イオン」については,化学式で表されることにも触れること。
イ アの(ア)の㋑については,pHにも触れること。
ウ アの(ア)の㋒については,水に溶ける塩と水に溶けない塩があることにも触れること。
エ アの(イ)の㋐の「金属イオン」については,基礎的なものを扱うこと。
オ アの(イ)の㋑の「電池」については,電極で起こる反応をイオンのモデルと関連付けて扱うこと。その際,「電池の基本的な仕組み」については,ダニエル電池を取り上げること。また,日常生活や社会で利用されている代表的な電池にも触れること。
(9) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,熱の伝わり方,放射線にも触れること。また,「エネルギーの変換」については,その総量が保存されること及びエネルギーを利用する際の効率も扱うこと。
イ アの(ア)の㋑の「様々な物質」については,天然の物質や人工的につくられた物質のうち代表的なものを扱うこと。その際,プラスチックの性質にも触れること。
ウ アの(イ)の㋐については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第2分野の内容の(7)のアの(イ)の㋐及びイと関連付けて総合的に扱うこと。
〔第2分野〕
1 目標 生命や地球に関する事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 生命や地球に関する事物・現象についての観察,実験などを行い,生物の体のつくりと働き,生命の連続性,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 生命や地球に関する事物・現象に関わり,それらの中に問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し表現するなど,科学的に探究する活動を通して,多様性に気付くとともに規則性を見いだしたり課題を解決したりする力を養う。
(3) 生命や地球に関する事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度と,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) いろいろな生物とその共通点 身近な生物についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア いろいろな生物の共通点と相違点に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 生物の観察と分類の仕方
㋐ 生物の観察 校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付けること。
㋑ 生物の特徴と分類の仕方 いろいろな生物を比較して見いだした共通点や相違点を基にして分類できることを理解するとともに,分類の仕方の基礎を身に付けること。
(イ) 生物の体の共通点と相違点
㋐ 植物の体の共通点と相違点 身近な植物の外部形態の観察を行い,その観察記録などに基づいて,共通点や相違点があることを見いだして,植物の体の基本的なつくりを理解すること。また,その共通点や相違点に基づいて植物が分類できることを見いだして理解すること。
㋑ 動物の体の共通点と相違点 身近な動物の外部形態の観察を行い,その観察記録などに基づいて,共通点や相違点があることを見いだして,動物の体の基本的なつくりを理解すること。また,その共通点や相違点に基づいて動物が分類できることを見いだして理解すること。
イ 身近な生物についての観察,実験などを通して,いろいろな生物の共通点や相違点を見いだすとともに,生物を分類するための観点や基準を見いだして表現すること。
(2) 大地の成り立ちと変化 大地の成り立ちと変化についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 大地の成り立ちと変化を地表に見られる様々な事物・現象と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 身近な地形や地層,岩石の観察
㋐ 身近な地形や地層,岩石の観察 身近な地形や地層,岩石などの観察を通して,土地の成り立ちや広がり,構成物などについて理解するとともに,観察器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。
(イ) 地層の重なりと過去の様子
㋐ 地層の重なりと過去の様子 地層の様子やその構成物などから地層のでき方を考察し,重なり方や広がり方についての規則性を見いだして理解するとともに,地層とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と地質年代を推定できることを理解すること。
(ウ) 火山と地震
㋐ 火山活動と火成岩 火山の形,活動の様子及びその噴出物を調べ,それらを地下のマグマの性質と関連付けて理解するとともに,火山岩と深成岩の観察を行い,それらの組織の違いを成因と関連付けて理解すること。
㋑ 地震の伝わり方と地球内部の働き 地震の体験や記録を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に気付くとともに,地震の原因を地球内部の働きと関連付けて理解し,地震に伴う土地の変化の様子を理解すること。
(エ) 自然の恵みと火山災害・地震災害
㋐ 自然の恵みと火山災害・地震災害 自然がもたらす恵み及び火山災害と地震災害について調べ,これらを火山活動や地震発生の仕組みと関連付けて理解すること。
イ 大地の成り立ちと変化について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,地層の重なり方や広がり方の規則性,地下のマグマの性質と火山の形との関係性などを見いだして表現すること。
(3) 生物の体のつくりと働き 生物の体のつくりと働きについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生物の体のつくりと働きとの関係に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 生物と細胞
㋐ 生物と細胞 生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだして理解するとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付けること。
(イ) 植物の体のつくりと働き
㋐ 葉・茎・根のつくりと働き 植物の葉,茎,根のつくりについての観察を行い,それらのつくりと,光合成,呼吸,蒸散の働きに関する実験の結果とを関連付けて理解すること。
(ウ) 動物の体のつくりと働き
㋐ 生命を維持する働き 消化や呼吸についての観察,実験などを行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察,実験の結果などと関連付けて理解すること。また,不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解すること。
㋑ 刺激と反応 動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けて理解すること。
イ 身近な植物や動物の体のつくりと働きについて,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,生物の体のつくりと働きについての規則性や関係性を見いだして表現すること。
(4) 気象とその変化 身近な気象の観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 気象要素と天気の変化との関係に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 気象観測
㋐ 気象要素 気象要素として,気温,湿度,気圧,風向などを理解すること。また,気圧を取り上げ,圧力についての実験を行い,圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだして理解するとともに,大気圧の実験を行い,その結果を空気の重さと関連付けて理解すること。
㋑ 気象観測 校庭などで気象観測を継続的に行い,その観測記録などに基づいて,気温,湿度,気圧,風向などの変化と天気との関係を見いだして理解するとともに,観測方法や記録の仕方を身に付けること。
(イ) 天気の変化
㋐ 霧や雲の発生 霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び湿度の変化と関連付けて理解すること。
㋑ 前線の通過と天気の変化 前線の通過に伴う天気の変化の観測結果などに基づいて,その変化を暖気,寒気と関連付けて理解すること。
(ウ) 日本の気象
㋐ 日本の天気の特徴 天気図や気象衛星画像などから,日本の天気の特徴を気団と関連付けて理解すること。
㋑ 大気の動きと海洋の影響 気象衛星画像や調査記録などから,日本の気象を日本付近の大気の動きや海洋の影響に関連付けて理解すること。
(エ) 自然の恵みと気象災害
㋐ 自然の恵みと気象災害 気象現象がもたらす恵みと気象災害について調べ,これらを天気の変化や日本の気象と関連付けて理解すること。
イ 気象とその変化について,見通しをもって解決する方法を立案して観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,天気の変化や日本の気象についての規則性や関係性を見いだして表現すること。
(5) 生命の連続性 生命の連続性についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生命の連続性に関する事物・現象の特徴に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 生物の成長と殖え方
㋐ 細胞分裂と生物の成長 体細胞分裂の観察を行い,その順序性を見いだして理解するとともに,細胞の分裂と生物の成長とを関連付けて理解すること。
㋑ 生物の殖え方 生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだして理解するとともに,生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだして理解すること。
(イ) 遺伝の規則性と遺伝子
㋐ 遺伝の規則性と遺伝子 交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだして理解すること。
(ウ) 生物の種類の多様性と進化
㋐ 生物の種類の多様性と進化 現存の生物及び化石の比較などを通して,現存の多様な生物は過去の生物が長い時間の経過の中で変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けて理解すること。
イ 生命の連続性について,観察,実験などを行い,その結果や資料を分析して解釈し,生物の成長と殖え方,遺伝現象,生物の種類の多様性と進化についての特徴や規則性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。
(6) 地球と宇宙 身近な天体の観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 身近な天体とその運動に関する特徴に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 天体の動きと地球の自転・公転
㋐ 日周運動と自転 天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けて理解すること。
㋑ 年周運動と公転 星座の年周運動や太陽の南中高度の変化などの観察を行い,その観察記録を地球の公転や地軸の傾きと関連付けて理解すること。
(イ) 太陽系と恒星
㋐ 太陽の様子 太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだして理解すること。
㋑ 惑星と恒星 観測資料などを基に,惑星と恒星などの特徴を見いだして理解するとともに,太陽系の構造について理解すること。
㋒ 月や金星の運動と見え方 月の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,月の公転と見え方を関連付けて理解すること。また,金星の観測資料などを基に,金星の公転と見え方を関連付けて理解すること。
イ 地球と宇宙について,天体の観察,実験などを行い,その結果や資料を分析して解釈し,天体の運動と見え方についての特徴や規則性を見いだして表現すること。また,探究の過程を振り返ること。
(7) 自然と人間 自然環境を調べる観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,自然環境を調べる観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 生物と環境
㋐ 自然界のつり合い 微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けて理解するとともに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだして理解すること。
㋑ 自然環境の調査と環境保全 身近な自然環境について調べ,様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解するとともに,自然環境を保全することの重要性を認識すること。
㋒ 地域の自然災害 地域の自然災害について,総合的に調べ,自然と人間との関わり方について認識すること。
(イ) 自然環境の保全と科学技術の利用
㋐ 自然環境の保全と科学技術の利用 自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察することを通して,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
イ 身近な自然環境や地域の自然災害などを調べる観察,実験などを行い,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について,科学的に考察して判断すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までについては,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,3年間を通じて科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すものとする。
(2) 内容の(1)から(7)までのうち,(1)及び(2)は第1学年,(3)及び(4)は第2学年,(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(3) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,身近な生物の観察を扱うが,ルーペや双眼実体顕微鏡などを用いて,外見から観察できる体のつくりを中心に扱うこと。
イ アの(イ)の㋐については,花のつくりを中心に扱い,種子植物が被子植物と裸子植物に分類できることを扱うこと。その際,胚《はい》珠が種子になることにも触れること。また,被子植物が単子葉類と双子葉類に分類できることについては,葉のつくりを中心に扱うこと。なお,種子をつくらない植物が胞...
ウ アの(イ)の㋑については,脊椎動物と無脊椎動物の違いを中心に扱うこと。脊椎動物については,ヒトや魚を例に,体のつくりの共通点としての背骨の存在について扱うこと。また,体の表面の様子や呼吸の仕方などの特徴を基準として分類できることを扱うこと。無脊椎動物については,節足動物や軟体動...
(4) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐の「身近な地形や地層,岩石などの観察」については,学校内外の地形や地層,岩石などを観察する活動とすること。
イ アの(イ)の㋐については,地層を形成している代表的な堆積岩も取り上げること。「地層」については,断層,褶《しゅう》曲にも触れること。「化石」については,示相化石及び示準化石を取り上げること。「地質年代」の区分は,古生代,中生代,新生代を取り上げること。
ウ アの(ウ)の㋐の「火山」については,粘性と関係付けながら代表的な火山を扱うこと。「マグマの性質」については,粘性を扱うこと。「火山岩」及び「深成岩」については,代表的な岩石を扱うこと。また,代表的な造岩鉱物も扱うこと。
エ アの(ウ)の㋑については,地震の現象面を中心に扱い,初期微動継続時間と震源までの距離との定性的な関係にも触れること。また,「地球内部の働き」については,日本付近のプレートの動きを中心に扱い,地球規模でのプレートの動きにも触れること。その際,津波発生の仕組みについても触れること。...
オ アの(エ)の㋐の「火山災害と地震災害」については,記録や資料などを用いて調べること。
(5) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,植物と動物の細胞のつくりの共通点と相違点について触れること。また,細胞の呼吸及び単細胞生物の存在にも触れること。
イ アの(イ)の㋐については,光合成における葉緑体の働きにも触れること。また,葉,茎,根の働きを相互に関連付けて扱うこと。
ウ アの(ウ)の㋐については,各器官の働きを中心に扱うこと。「消化」については,代表的な消化酵素の働きを扱うこと。また,摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になることにも触れること。血液の循環に関連して,血液成分の働き,腎臓や肝臓の働きにも触れること。
エ アの(ウ)の㋑については,各器官の働きを中心に扱うこと。
(6) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐の「大気圧」については,空気中にある物体にはあらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。
イ アの(イ)の㋐については,気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結に関わりがあることを扱うこと。また,水の循環にも触れること。
ウ アの(イ)の㋑については,風の吹き方にも触れること。
エ アの(ウ)の㋑については,地球を取り巻く大気の動きにも触れること。また,地球の大きさや大気の厚さにも触れること。
オ アの(エ)の㋐の「気象災害」については,記録や資料などを用いて調べること。
(7) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,染色体が複製されることにも触れること。
イ アの(ア)の㋑については,有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱うこと。「無性生殖」については,単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れること。
ウ アの(イ)の㋐については,分離の法則を扱うこと。また,遺伝子の本体がDNAであることにも触れること。
エ アの(ウ)の㋐については,進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について扱うこと。その際,生物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れること。また,遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることにも触れること。
(8) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋑の「太陽の南中高度の変化」については,季節による昼夜の長さや気温の変化にも触れること。
イ アの(イ)の㋐の「太陽の特徴」については,形,大きさ,表面の様子などを扱うこと。その際,太陽から放出された多量の光などのエネルギーによる地表への影響にも触れること。
ウ アの(イ)の㋑の「惑星」については,大きさ,大気組成,表面温度,衛星の存在などを取り上げること。その際,地球には生命を支える条件が備わっていることにも触れること。「恒星」については,自ら光を放つことや太陽もその一つであることも扱うこと。その際,恒星の集団としての銀河系の存在にも...
エ アの(イ)の㋒の「月の公転と見え方」については,月の運動と満ち欠けを扱うこと。その際,日食や月食にも触れること。また,「金星の公転と見え方」については,金星の運動と満ち欠けや見かけの大きさを扱うこと。
(9) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の㋐については,生態系における生産者と消費者との関係を扱うこと。また,分解者の働きについても扱うこと。その際,土壌動物にも触れること。
イ アの(ア)の㋑については,生物や大気,水などの自然環境を直接調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。また,気候変動や外来生物にも触れること。
ウ アの(ア)の㋒については,地域の自然災害を調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。
エ アの(イ)の㋐については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第1分野の内容の(7)のアの(イ)の㋐及びイと関連付けて総合的に扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,理科の学習過程の特質を踏まえ,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実を...
(2) 各学年においては,年間を通じて,各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際,各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方・考え方を総合的に働かせ,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を養うことができるようにすること。
(3) 学校や生徒の実態に応じ,十分な観察や実験の時間,課題解決のために探究する時間などを設けるようにすること。その際,問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などが充実するようにする...
(4) 日常生活や他教科等との関連を図ること。
(5) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(6) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,野外観察を重視するとともに,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象についての基本的な概念の形成及び科学的に探究する力と態度の育成が段階的に無理なく行えるようにすること。
(2) 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養うようにすること。
(3) 1の(3)の学習活動を通して,言語活動が充実するようにすること。
(4) 各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するようにすること。
(5) 指導に当たっては,生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるよう工夫すること。
(6) 原理や法則の理解を深めるためのものづくりを,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(7) 継続的な観察や季節を変えての定点観測を,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(8) 観察,実験,野外観察などの体験的な学習活動の充実に配慮すること。また,環境整備に十分配慮すること。
(9) 博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るようにすること。
(10) 科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れること。また,理科で学習することが様々な職業などと関係していることにも触れること。
3 観察,実験,野外観察の指導に当たっては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮するものとする。
第5節 音楽
第1 目標 表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,音楽的な見方・考え方を働かせ,生活や社会の中の音や音楽,音楽文化と豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 曲想と音楽の構造や背景などとの関わり及び音楽の多様性について理解するとともに,創意工夫を生かした音楽表現をするために必要な技能を身に付けるようにする。
(2) 音楽表現を創意工夫することや,音楽のよさや美しさを味わって聴くことができるようにする。
(3) 音楽活動の楽しさを体験することを通して,音楽を愛好する心情を育むとともに,音楽に対する感性を豊かにし,音楽に親しんでいく態度を養い,豊かな情操を培う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 曲想と音楽の構造などとの関わり及び音楽の多様性について理解するとともに,創意工夫を生かした音楽表現をするために必要な歌唱,器楽,創作の技能を身に付けるようにする。
(2) 音楽表現を創意工夫することや,音楽を自分なりに評価しながらよさや美しさを味わって聴くことができるようにする。
(3) 主体的・協働的に表現及び鑑賞の学習に取り組み,音楽活動の楽しさを体験することを通して,音楽文化に親しむとともに,音楽によって生活を明るく豊かなものにしていく態度を養う。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 歌唱表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,歌唱表現を創意工夫すること。
イ 次の(ア)及び(イ)について理解すること。
(ア) 曲想と音楽の構造や歌詞の内容との関わり
(イ) 声の音色や響き及び言葉の特性と曲種に応じた発声との関わり
ウ 次の(ア)及び(イ)の技能を身に付けること。
(ア) 創意工夫を生かした表現で歌うために必要な発声,言葉の発音,身体の使い方などの技能
(イ) 創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の声などを聴きながら他者と合わせて歌う技能
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 器楽表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,器楽表現を創意工夫すること。
イ 次の(ア)及び(イ)について理解すること。
(ア) 曲想と音楽の構造との関わり
(イ) 楽器の音色や響きと奏法との関わり
ウ 次の(ア)及び(イ)の技能を身に付けること。
(ア) 創意工夫を生かした表現で演奏するために必要な奏法,身体の使い方などの技能
(イ) 創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の音などを聴きながら他者と合わせて演奏する技能
(3) 創作の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 創作表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,創作表現を創意工夫すること。
イ 次の(ア)及び(イ)について,表したいイメージと関わらせて理解すること。
(ア) 音のつながり方の特徴
(イ) 音素材の特徴及び音の重なり方や反復,変化,対照などの構成上の特徴
ウ 創意工夫を生かした表現で旋律や音楽をつくるために必要な,課題や条件に沿った音の選択や組合せなどの技能を身に付けること。
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 鑑賞に関わる知識を得たり生かしたりしながら,次の(ア)から(ウ)までについて自分なりに考え,音楽のよさや美しさを味わって聴くこと。
(ア) 曲や演奏に対する評価とその根拠
(イ) 生活や社会における音楽の意味や役割
(ウ) 音楽表現の共通性や固有性
イ 次の(ア)から(ウ)までについて理解すること。
(ア) 曲想と音楽の構造との関わり
(イ) 音楽の特徴とその背景となる文化や歴史,他の芸術との関わり
(ウ) 我が国や郷土の伝統音楽及びアジア地域の諸民族の音楽の特徴と,その特徴から生まれる音楽の多様性
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受しながら,知覚したことと感受したこととの関わりについて考えること。
イ 音楽を形づくっている要素及びそれらに関わる用語や記号などについて,音楽における働きと関わらせて理解すること。
〔第2学年及び第3学年〕
1 目標
(1) 曲想と音楽の構造や背景などとの関わり及び音楽の多様性について理解するとともに,創意工夫を生かした音楽表現をするために必要な歌唱,器楽,創作の技能を身に付けるようにする。
(2) 曲にふさわしい音楽表現を創意工夫することや,音楽を評価しながらよさや美しさを味わって聴くことができるようにする。
(3) 主体的・協働的に表現及び鑑賞の学習に取り組み,音楽活動の楽しさを体験することを通して,音楽文化に親しむとともに,音楽によって生活を明るく豊かなものにし,音楽に親しんでいく態度を養う。
2 内容
A 表現
(1) 歌唱の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 歌唱表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,曲にふさわしい歌唱表現を創意工夫すること。
イ 次の(ア)及び(イ)について理解すること。
(ア) 曲想と音楽の構造や歌詞の内容及び曲の背景との関わり
(イ) 声の音色や響き及び言葉の特性と曲種に応じた発声との関わり
ウ 次の(ア)及び(イ)の技能を身に付けること。
(ア) 創意工夫を生かした表現で歌うために必要な発声,言葉の発音,身体の使い方などの技能
(イ) 創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の声などを聴きながら他者と合わせて歌う技能
(2) 器楽の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 器楽表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,曲にふさわしい器楽表現を創意工夫すること。
イ 次の(ア)及び(イ)について理解すること。
(ア) 曲想と音楽の構造や曲の背景との関わり
(イ) 楽器の音色や響きと奏法との関わり
ウ 次の(ア)及び(イ)の技能を身に付けること。
(ア) 創意工夫を生かした表現で演奏するために必要な奏法,身体の使い方などの技能
(イ) 創意工夫を生かし,全体の響きや各声部の音などを聴きながら他者と合わせて演奏する技能
(3) 創作の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 創作表現に関わる知識や技能を得たり生かしたりしながら,まとまりのある創作表現を創意工夫すること。
イ 次の(ア)及び(イ)について,表したいイメージと関わらせて理解すること。
(ア) 音階や言葉などの特徴及び音のつながり方の特徴
(イ) 音素材の特徴及び音の重なり方や反復,変化,対照などの構成上の特徴
ウ 創意工夫を生かした表現で旋律や音楽をつくるために必要な,課題や条件に沿った音の選択や組合せなどの技能を身に付けること。
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 鑑賞に関わる知識を得たり生かしたりしながら,次の(ア)から(ウ)までについて考え,音楽のよさや美しさを味わって聴くこと。
(ア) 曲や演奏に対する評価とその根拠
(イ) 生活や社会における音楽の意味や役割
(ウ) 音楽表現の共通性や固有性
イ 次の(ア)から(ウ)までについて理解すること。
(ア) 曲想と音楽の構造との関わり
(イ) 音楽の特徴とその背景となる文化や歴史,他の芸術との関わり
(ウ) 我が国や郷土の伝統音楽及び諸外国の様々な音楽の特徴と,その特徴から生まれる音楽の多様性
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し,それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受しながら,知覚したことと感受したこととの関わりについて考えること。
イ 音楽を形づくっている要素及びそれらに関わる用語や記号などについて,音楽における働きと関わらせて理解すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,音楽的な見方・考え方を働かせ,他者と協働しながら,音楽表現を生み出したり音楽を聴いてそのよさや美しさなどを見いだしたりするなど,思...
(2) 第2の各学年の内容の「A表現」の(1),(2)及び(3)の指導については,ア,イ及びウの各事項を,「B鑑賞」の(1)の指導については,ア及びイの各事項を適切に関連させて指導すること。
(3) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は,表現及び鑑賞の学習において共通に必要となる資質・能力であり,「A表現」及び「B鑑賞」の指導と併せて,十分な指導が行われるよう工夫すること。
(4) 第2の各学年の内容の「A表現」の(1),(2)及び(3)並びに「B鑑賞」の(1)の指導については,それぞれ特定の活動のみに偏らないようにするとともに,必要に応じて,〔共通事項〕を要として各領域や分野の関連を図るようにすること。
(5) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(6) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,音楽科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年の「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 音楽活動を通して,それぞれの教材等に応じ,音や音楽が生活に果たす役割を考えさせるなどして,生徒が音や音楽と生活や社会との関わりを実感できるよう指導を工夫すること。なお,適宜,自然音や環境音などについても取り扱い,音環境への関心を高めることができるよう指導を工夫すること。
イ 音楽によって喚起された自己のイメージや感情,音楽表現に対する思いや意図,音楽に対する評価などを伝え合い共感するなど,音や音楽及び言葉によるコミュニケーションを図り,音楽科の特質に応じた言語活動を適切に位置付けられるよう指導を工夫すること。
ウ 知覚したことと感受したこととの関わりを基に音楽の特徴を捉えたり,思考,判断の過程や結果を表したり,それらについて他者と共有,共感したりする際には,適宜,体を動かす活動も取り入れるようにすること。
エ 生徒が様々な感覚を関連付けて音楽への理解を深めたり,主体的に学習に取り組んだりすることができるようにするため,コンピュータや教育機器を効果的に活用できるよう指導を工夫すること。
オ 生徒が学校内及び公共施設などの学校外における音楽活動とのつながりを意識できるようにするなど,生徒や学校,地域の実態に応じ,生活や社会の中の音や音楽,音楽文化と主体的に関わっていくことができるよう配慮すること。
カ 自己や他者の著作物及びそれらの著作者の創造性を尊重する態度の形成を図るとともに,必要に応じて,音楽に関する知的財産権について触れるようにすること。また,こうした態度の形成が,音楽文化の継承,発展,創造を支えていることへの理解につながるよう配慮すること。
(2) 各学年の「A表現」の(1)の歌唱の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 歌唱教材は,次に示すものを取り扱うこと。
(ア) 我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに照らして適切で,生徒にとって親しみがもてたり意欲が高められたり,生活や社会において音楽が果たしている役割が感じ取れたりできるもの。
(イ) 民謡,長唄などの我が国の伝統的な歌唱のうち,生徒や学校,地域の実態を考慮して,伝統的な声や歌い方の特徴を感じ取れるもの。なお,これらを取り扱う際は,その表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わい,愛着をもつことができるよう工夫すること。
(ウ) 我が国で長く歌われ親しまれている歌曲のうち,我が国の自然や四季の美しさを感じ取れるもの又は我が国の文化や日本語のもつ美しさを味わえるもの。なお,各学年において,以下の共通教材の中から1曲以上を含めること。
「赤とんぼ」  三木露風《みきろふう》作詞 山田耕筰《やまだこうさく》作曲
「荒城の月」  土井晩翠《どいばんすい》作詞 滝廉太郎《たきれんたろう》作曲
「早春賦」   吉丸一昌《よしまるかずまさ》作詞 中田章《なかだあきら》作曲
「夏の思い出」 江間章子《えましょうこ》作詞 中田喜直《なかだよしなお》作曲
「花」     武島羽衣《たけしまはごろも》作詞 滝廉太郎《たきれんたろう》作曲
「花の街」   江間章子《えましょうこ》作詞 團伊玖磨《だんいくま》作曲
「浜辺の歌」  林古溪《はやしこけい》作詞 成田為三《なりたためぞう》作曲
イ 変声期及び変声前後の声の変化について気付かせ,変声期の生徒を含む全ての生徒の心理的な面についても配慮するとともに,変声期の生徒については適切な声域と声量によって歌わせるようにすること。
ウ 相対的な音程感覚などを育てるために,適宜,移動ド唱法を用いること。
(3) 各学年の「A表現」の(2)の器楽の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 器楽教材は,次に示すものを取り扱うこと。
(ア) 我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに照らして適切で,生徒にとって親しみがもてたり意欲が高められたり,生活や社会において音楽が果たしている役割が感じ取れたりできるもの。
イ 生徒や学校,地域の実態などを考慮した上で,指導上の必要に応じて和楽器,弦楽器,管楽器,打楽器,鍵盤楽器,電子楽器及び世界の諸民族の楽器を適宜用いること。なお,3学年間を通じて1種類以上の和楽器を取り扱い,その表現活動を通して,生徒が我が国や郷土の伝統音楽のよさを味わい,愛着をも...
(4) 歌唱及び器楽の指導における合わせて歌ったり演奏したりする表現形態では,他者と共に一つの音楽表現をつくる過程を大切にするとともに,生徒一人一人が,担当する声部の役割と全体の響きについて考え,主体的に創意工夫できるよう指導を工夫すること。
(5) 読譜の指導に当たっては,小学校における学習を踏まえ,♯や♭の調号としての意味を理解させるとともに,3学年間を通じて,1♯,1♭程度をもった調号の楽譜の視唱や視奏に慣れさせるようにすること。
(6) 我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導に当たっては,言葉と音楽との関係,姿勢や身体の使い方についても配慮するとともに,適宜,口唱歌《くちしようが》を用いること。
(7) 各学年の「A表現」の(3)の創作の指導に当たっては,即興的に音を出しながら音のつながり方を試すなど,音を音楽へと構成していく体験を重視すること。その際,理論に偏らないようにするとともに,必要に応じて作品を記録する方法を工夫させること。
(8) 各学年の「B鑑賞」の指導に当たっては,次のとおり取り扱うこと。
ア 鑑賞教材は,我が国や郷土の伝統音楽を含む我が国及び諸外国の様々な音楽のうち,指導のねらいに照らして適切なものを取り扱うこと。
イ 第1学年では言葉で説明したり,第2学年及び第3学年では批評したりする活動を取り入れ,曲や演奏に対する評価やその根拠を明らかにできるよう指導を工夫すること。
(9) 各学年の〔共通事項〕に示す「音楽を形づくっている要素」については,指導のねらいに応じて,音色,リズム,速度,旋律,テクスチュア,強弱,形式,構成などから,適切に選択したり関連付けたりして指導すること。
(10) 各学年の〔共通事項〕の(1)のイに示す「用語や記号など」については,小学校学習指導要領第2章第6節音楽の第3の2の(9)に示すものに加え,生徒の学習状況を考慮して,次に示すものを音楽における働きと関わらせて理解し,活用できるよう取り扱うこと。
拍子
間《ま》
序破急
フレーズ
音階
調
和音
動機
アンダンテ
モデラート
アレグロ
リタルダンド
ア・テンポ
アッチェレランド
レガート
ピアニッシモ
フォルティッシモ
ディミヌエンド
ダ・カーポ
ダル・セーニョ
フェルマータ
テヌート
三連符
二分休符
全休符
十六分休符
第6節 美術
第1 目標 表現及び鑑賞の幅広い活動を通して,造形的な見方・考え方を働かせ,生活や社会の中の美術や美術文化と豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 対象や事象を捉える造形的な視点について理解するとともに,表現方法を創意工夫し,創造的に表すことができるようにする。
(2) 造形的なよさや美しさ,表現の意図と工夫,美術の働きなどについて考え,主題を生み出し豊かに発想し構想を練ったり,美術や美術文化に対する見方や感じ方を深めたりすることができるようにする。
(3) 美術の創造活動の喜びを味わい,美術を愛好する心情を育み,感性を豊かにし,心豊かな生活を創造していく態度を養い,豊かな情操を培う。
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1) 対象や事象を捉える造形的な視点について理解するとともに,意図に応じて表現方法を工夫して表すことができるようにする。
(2) 自然の造形や美術作品などの造形的なよさや美しさ,表現の意図と工夫,機能性と美しさとの調和,美術の働きなどについて考え,主題を生み出し豊かに発想し構想を練ったり,美術や美術文化に対する見方や感じ方を広げたりすることができるようにする。
(3) 楽しく美術の活動に取り組み創造活動の喜びを味わい,美術を愛好する心情を培い,心豊かな生活を創造していく態度を養う。
2 内容
A 表現
(1) 表現の活動を通して,次のとおり発想や構想に関する資質・能力を育成する。
ア 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 対象や事象を見つめ感じ取った形や色彩の特徴や美しさ,想像したことなどを基に主題を生み出し,全体と部分との関係などを考え,創造的な構成を工夫し,心豊かに表現する構想を練ること。
イ 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 構成や装飾の目的や条件などを基に,対象の特徴や用いる場面などから主題を生み出し,美的感覚を働かせて調和のとれた美しさなどを考え,表現の構想を練ること。
(イ) 伝える目的や条件などを基に,伝える相手や内容などから主題を生み出し,分かりやすさと美しさなどとの調和を考え,表現の構想を練ること。
(ウ) 使う目的や条件などを基に,使用する者の気持ち,材料などから主題を生み出し,使いやすさや機能と美しさなどとの調和を考え,表現の構想を練ること。
(2) 表現の活動を通して,次のとおり技能に関する資質・能力を育成する。
ア 発想や構想をしたことなどを基に,表現する活動を通して,技能に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 材料や用具の生かし方などを身に付け,意図に応じて工夫して表すこと。
(イ) 材料や用具の特性などから制作の順序などを考えながら,見通しをもって表すこと。
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次のとおり鑑賞に関する資質・能力を育成する。
ア 美術作品などの見方や感じ方を広げる活動を通して,鑑賞に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 造形的なよさや美しさを感じ取り,作者の心情や表現の意図と工夫などについて考えるなどして,見方や感じ方を広げること。
(イ) 目的や機能との調和のとれた美しさなどを感じ取り,作者の心情や表現の意図と工夫などについて考えるなどして,見方や感じ方を広げること。
イ 生活の中の美術の働きや美術文化についての見方や感じ方を広げる活動を通して,鑑賞に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 身の回りにある自然物や人工物の形や色彩,材料などの造形的な美しさなどを感じ取り,生活を美しく豊かにする美術の働きについて考えるなどして,見方や感じ方を広げること。
(イ) 身近な地域や日本及び諸外国の文化遺産などのよさや美しさなどを感じ取り,美術文化について考えるなどして,見方や感じ方を広げること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらが感情にもたらす効果などを理解すること。
イ 造形的な特徴などを基に,全体のイメージや作風などで捉えることを理解すること。
3 内容の取扱い
(1) 第1学年では,内容に示す各事項の定着を図ることを基本とし,一年間で全ての内容が学習できるように一題材に充てる時間数などについて十分検討すること。
(2) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,発想や構想に関する資質・能力や鑑賞に関する資質・能力を育成する観点から,〔共通事項〕に示す事項を視点に,アイデアスケッチで構想を練ったり,言葉で考えを整理したりすることや,作品などについて説明し合うなどして対象の見方や感じ方を広げ...
〔第2学年及び第3学年〕
1 目標
(1) 対象や事象を捉える造形的な視点について理解するとともに,意図に応じて自分の表現方法を追求し,創造的に表すことができるようにする。
(2) 自然の造形や美術作品などの造形的なよさや美しさ,表現の意図と創造的な工夫,機能性と洗練された美しさとの調和,美術の働きなどについて独創的・総合的に考え,主題を生み出し豊かに発想し構想を練ったり,美術や美術文化に対する見方や感じ方を深めたりすることができるようにする。
(3) 主体的に美術の活動に取り組み創造活動の喜びを味わい,美術を愛好する心情を深め,心豊かな生活を創造していく態度を養う。
2 内容
A 表現
(1) 表現の活動を通して,次のとおり発想や構想に関する資質・能力を育成する。
ア 感じ取ったことや考えたことなどを基に,絵や彫刻などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 対象や事象を深く見つめ感じ取ったことや考えたこと,夢,想像や感情などの心の世界などを基に主題を生み出し,単純化や省略,強調,材料の組合せなどを考え,創造的な構成を工夫し,心豊かに表現する構想を練ること。
イ 伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 構成や装飾の目的や条件などを基に,用いる場面や環境,社会との関わりなどから主題を生み出し,美的感覚を働かせて調和のとれた洗練された美しさなどを総合的に考え,表現の構想を練ること。
(イ) 伝える目的や条件などを基に,伝える相手や内容,社会との関わりなどから主題を生み出し,伝達の効果と美しさなどとの調和を総合的に考え,表現の構想を練ること。
(ウ) 使う目的や条件などを基に,使用する者の立場,社会との関わり,機知やユーモアなどから主題を生み出し,使いやすさや機能と美しさなどとの調和を総合的に考え,表現の構想を練ること。
(2) 表現の活動を通して,次のとおり技能に関する資質・能力を育成する。
ア 発想や構想をしたことなどを基に,表現する活動を通して,技能に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 材料や用具の特性を生かし,意図に応じて自分の表現方法を追求して創造的に表すこと。
(イ) 材料や用具,表現方法の特性などから制作の順序などを総合的に考えながら,見通しをもって表すこと。
B 鑑賞
(1) 鑑賞の活動を通して,次のとおり鑑賞に関する資質・能力を育成する。
ア 美術作品などの見方や感じ方を深める活動を通して,鑑賞に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 造形的なよさや美しさを感じ取り,作者の心情や表現の意図と創造的な工夫などについて考えるなどして,美意識を高め,見方や感じ方を深めること。
(イ) 目的や機能との調和のとれた洗練された美しさなどを感じ取り,作者の心情や表現の意図と創造的な工夫などについて考えるなどして,美意識を高め,見方や感じ方を深めること。
イ 生活や社会の中の美術の働きや美術文化についての見方や感じ方を深める活動を通して,鑑賞に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(ア) 身近な環境の中に見られる造形的な美しさなどを感じ取り,安らぎや自然との共生などの視点から生活や社会を美しく豊かにする美術の働きについて考えるなどして,見方や感じ方を深めること。
(イ) 日本の美術作品や受け継がれてきた表現の特質などから,伝統や文化のよさや美しさを感じ取り愛情を深めるとともに,諸外国の美術や文化との相違点や共通点に気付き,美術を通した国際理解や美術文化の継承と創造について考えるなどして,見方や感じ方を深めること。
〔共通事項〕
(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらが感情にもたらす効果などを理解すること。
イ 造形的な特徴などを基に,全体のイメージや作風などで捉えることを理解すること。
3 内容の取扱い
(1) 第2学年及び第3学年では,第1学年において身に付けた資質・能力を柔軟に活用して,表現及び鑑賞に関する資質・能力をより豊かに高めることを基本とし,第2学年と第3学年の発達の特性を考慮して内容の選択や一題材に充てる時間数などについて十分検討すること。
(2) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,発想や構想に関する資質・能力や鑑賞に関する資質・能力を育成する観点から,〔共通事項〕に示す事項を視点に,アイデアスケッチで構想を練ったり,言葉で考えを整理したりすることや,作品などに対する自分の価値意識をもって批評し合うなどして対...
(3) 「B鑑賞」のイの(イ)の指導に当たっては,日本の美術の概括的な変遷などを捉えることを通して,各時代における作品の特質,人々の感じ方や考え方,願いなどを感じ取ることができるよう配慮すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,造形的な見方・考え方を働かせ,表現及び鑑賞に関する資質・能力を相互に関連させた学習の充実を図ること。
(2) 第2の各学年の内容の「A表現」及び「B鑑賞」の指導については相互に関連を図り,特に発想や構想に関する資質・能力と鑑賞に関する資質・能力とを総合的に働かせて学習が深められるようにすること。
(3) 第2の各学年の内容の〔共通事項〕は,表現及び鑑賞の学習において共通に必要となる資質・能力であり,「A表現」及び「B鑑賞」の指導と併せて,十分な指導が行われるよう工夫すること。
(4) 第2の各学年の内容の「A表現」については,(1)のア及びイと,(2)は原則として関連付けて行い,(1)のア及びイそれぞれにおいて描く活動とつくる活動のいずれも経験させるようにすること。その際,第2学年及び第3学年の各学年においては,(1)のア及びイそれぞれにおいて,描く活動...
(5) 第2の内容の「B鑑賞」の指導については,各学年とも,各事項において育成を目指す資質・能力の定着が図られるよう,適切かつ十分な授業時数を確保すること。
(6) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(7) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,美術科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 〔共通事項〕の指導に当たっては,生徒が造形を豊かに捉える多様な視点をもてるように,以下の内容について配慮すること。
ア 〔共通事項〕のアの指導に当たっては,造形の要素などに着目して,次の事項を実感的に理解できるようにすること。
(ア) 色彩の色味や明るさ,鮮やかさを捉えること。
(イ) 材料の性質や質感を捉えること。
(ウ) 形や色彩,材料,光などから感じる優しさや楽しさ,寂しさなどを捉えること。
(エ) 形や色彩などの組合せによる構成の美しさを捉えること。
(オ) 余白や空間の効果,立体感や遠近感,量感や動勢などを捉えること。
イ 〔共通事項〕のイの指導に当たっては,全体のイメージや作風などに着目して,次の事項を実感的に理解できるようにすること。
(ア) 造形的な特徴などを基に,見立てたり,心情などと関連付けたりして全体のイメージで捉えること。
(イ) 造形的な特徴などを基に,作風や様式などの文化的な視点で捉えること。
(2) 各学年の「A表現」の指導に当たっては,主題を生み出すことから表現の確認及び完成に至る全過程を通して,生徒が夢と目標をもち,自分のよさを発見し喜びをもって自己実現を果たしていく態度の形成を図るようにすること。
(3) 各学年の「A表現」の指導に当たっては,生徒の学習経験や資質・能力,発達の特性等の実態を踏まえ,生徒が自分の表現意図に合う表現形式や技法,材料などを選択し創意工夫して表現できるように,次の事項に配慮すること。
ア 見る力や感じ取る力,考える力,描く力などを育成するために,スケッチの学習を効果的に取り入れるようにすること。
イ 美術の表現の可能性を広げるために,写真・ビデオ・コンピュータ等の映像メディアの積極的な活用を図るようにすること。
ウ 日本及び諸外国の作品の独特な表現形式,漫画やイラストレーション,図などの多様な表現方法を活用できるようにすること。
エ 表現の材料や題材などについては,地域の身近なものや伝統的なものも取り上げるようにすること。
(4) 各活動において,互いのよさや個性などを認め尊重し合うようにすること。
(5) 互いの個性を生かし合い協力して創造する喜びを味わわせるため,適切な機会を選び共同で行う創造活動を経験させること。
(6) 各学年の「B鑑賞」の題材については,国内外の児童生徒の作品,我が国を含むアジアの文化遺産についても取り上げるとともに,美術館や博物館等と連携を図ったり,それらの施設や文化財などを積極的に活用したりするようにすること。
(7) 創造することの価値を捉え,自己や他者の作品などに表れている創造性を尊重する態度の形成を図るとともに,必要に応じて,美術に関する知的財産権や肖像権などについて触れるようにすること。また,こうした態度の形成が,美術文化の継承,発展,創造を支えていることへの理解につながるよう配慮...
3 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導などを徹底するものとする。
4 学校における鑑賞のための環境づくりをするに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒が造形的な視点を豊かにもつことができるよう,生徒や学校の実態に応じて,学校図書館等における鑑賞用図書,映像資料等の活用を図ること。
(2) 生徒が鑑賞に親しむことができるよう,校内の適切な場所に鑑賞作品などを展示するとともに,学校や地域の実態に応じて,校外においても生徒作品などの展示の機会を設けるなどすること。
第7節 保健体育
第1 目標 体育や保健の見方・考え方を働かせ,課題を発見し,合理的な解決に向けた学習過程を通して,心と体を一体として捉え,生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 各種の運動の特性に応じた技能等及び個人生活における健康・安全について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 運動や健康についての自他の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝える力を養う。
(3) 生涯にわたって運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,明るく豊かな生活を営む態度を養う。
第2 各学年の目標及び内容
〔体育分野 第1学年及び第2学年〕
1 目標
(1) 運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わい,運動を豊かに実践することができるようにするため,運動,体力の必要性について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 運動についての自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝える力を養う。
(3) 運動における競争や協働の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の役割を果たす,一人一人の違いを認めようとするなどの意欲を育てるとともに,健康・安全に留意し,自己の最善を尽くして運動をする態度を養う。
2 内容
A 体つくり運動 体つくり運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,体つくり運動の意義と行い方,体の動きを高める方法などを理解し,目的に適した運動を身に付け,組み合わせること。
ア 体ほぐしの運動では,手軽な運動を行い,心と体との関係や心身の状態に気付き,仲間と積極的に関わり合うこと。
イ 体の動きを高める運動では,ねらいに応じて,体の柔らかさ,巧みな動き,力強い動き,動きを持続する能力を高めるための運動を行うとともに,それらを組み合わせること。
(2) 自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3) 体つくり運動に積極的に取り組むとともに,仲間の学習を援助しようとすること,一人一人の違いに応じた動きなどを認めようとすること,話合いに参加しようとすることなどや,健康・安全に気を配ること。
B 器械運動 器械運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,器械運動の特性や成り立ち,技の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,技をよりよく行うこと。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを組み合わせること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを組み合わせること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを組み合わせること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと。
(2) 技などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 器械運動に積極的に取り組むとともに,よい演技を認めようとすること,仲間の学習を援助しようとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,健康・安全に気を配ること。
C 陸上競技 陸上競技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,陸上競技の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,基本的な動きや効率のよい動きを身に付けること。
ア 短距離走・リレーでは,滑らかな動きで速く走ることやバトンの受渡しでタイミングを合わせること,長距離走では,ペースを守って走ること,ハードル走では,リズミカルな走りから滑らかにハードルを越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から素早く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズミカルな助走から力強く踏み切って大きな動作で跳ぶこと。
(2) 動きなどの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 陸上競技に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,健康・安全に気を配ること。
D 水泳 水泳について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,水泳の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,泳法を身に付けること。
ア クロールでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり速く泳ぐこと。
イ 平泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり長く泳ぐこと。
ウ 背泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足の動き,呼吸のバランスをとり泳ぐこと。
(2) 泳法などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 水泳に積極的に取り組むとともに,勝敗などを認め,ルールやマナーを守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,水泳の事故防止に関する心得を遵守するなど健康・安全に気を配ること。
E 球技 球技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,球技の特性や成り立ち,技術の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,基本的な技能や仲間と連携した動きでゲームを展開すること。
ア ゴール型では,ボール操作と空間に走り込むなどの動きによってゴール前での攻防をすること。
イ ネット型では,ボールや用具の操作と定位置に戻るなどの動きによって空いた場所をめぐる攻防をすること。
ウ ベースボール型では,基本的なバット操作と走塁での攻撃,ボール操作と定位置での守備などによって攻防をすること。
(2) 攻防などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3) 球技に積極的に取り組むとともに,フェアなプレイを守ろうとすること,作戦などについての話合いに参加しようとすること,一人一人の違いに応じたプレイなどを認めようとすること,仲間の学習を援助しようとすることなどや,健康・安全に気を配ること。
F 武道 武道について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,武道の特性や成り立ち,伝統的な考え方,技の名称や行い方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,基本動作や基本となる技を用いて簡易な攻防を展開すること。
ア 柔道では,相手の動きに応じた基本動作や基本となる技を用いて,投げたり抑えたりするなどの簡易な攻防をすること。
イ 剣道では,相手の動きに応じた基本動作や基本となる技を用いて,打ったり受けたりするなどの簡易な攻防をすること。
ウ 相撲では,相手の動きに応じた基本動作や基本となる技を用いて,押したり寄ったりするなどの簡易な攻防をすること。
(2) 攻防などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 武道に積極的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を守ろうとすること,分担した役割を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや,禁じ技を用いないなど健康・安全に気を配ること。
G ダンス ダンスについて,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,感じを込めて踊ったりみんなで踊ったりする楽しさや喜びを味わい,ダンスの特性や由来,表現の仕方,その運動に関連して高まる体力などを理解するとともに,イメージを捉えた表現や踊りを通した交流をすること。
ア 創作ダンスでは,多様なテーマから表したいイメージを捉え,動きに変化を付けて即興的に表現したり,変化のあるひとまとまりの表現にしたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,日本の民踊《よう》や外国の踊りから,それらの踊り方の特徴を捉え,音楽に合わせて特徴的なステップや動きで踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴を捉え,変化のある動きを組み合わせて,リズムに乗って全身で踊ること。
(2) 表現などの自己の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3) ダンスに積極的に取り組むとともに,仲間の学習を援助しようとすること,交流などの話合いに参加しようとすること,一人一人の違いに応じた表現や役割を認めようとすることなどや,健康・安全に気を配ること。
H 体育理論
(1) 運動やスポーツが多様であることについて,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 運動やスポーツが多様であることについて理解すること。
(ア) 運動やスポーツは,体を動かしたり健康を維持したりするなどの必要性及び競い合うことや課題を達成することなどの楽しさから生みだされ発展してきたこと。
(イ) 運動やスポーツには,行うこと,見ること,支えること及び知ることなどの多様な関わり方があること。
(ウ) 世代や機会に応じて,生涯にわたって運動やスポーツを楽しむためには,自己に適した多様な楽しみ方を見付けたり,工夫したりすることが大切であること。
イ 運動やスポーツが多様であることについて,自己の課題を発見し,よりよい解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝えること。
ウ 運動やスポーツが多様であることについての学習に積極的に取り組むこと。
(2) 運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方について理解すること。
(ア) 運動やスポーツは,身体の発達やその機能の維持,体力の向上などの効果や自信の獲得,ストレスの解消などの心理的効果及びルールやマナーについて合意したり,適切な人間関係を築いたりするなどの社会性を高める効果が期待できること。
(イ) 運動やスポーツには,特有の技術があり,その学び方には,運動の課題を合理的に解決するための一定の方法があること。
(ウ) 運動やスポーツを行う際は,その特性や目的,発達の段階や体調などを踏まえて運動を選ぶなど,健康・安全に留意する必要があること。
イ 運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方について,自己の課題を発見し,よりよい解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝えること。
ウ 運動やスポーツの意義や効果と学び方や安全な行い方についての学習に積極的に取り組むこと。
〔体育分野 第3学年〕
1 目標
(1) 運動の合理的な実践を通して,運動の楽しさや喜びを味わい,生涯にわたって運動を豊かに実践することができるようにするため,運動,体力の必要性について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 運動についての自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて思考し判断するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝える力を養う。
(3) 運動における競争や協働の経験を通して,公正に取り組む,互いに協力する,自己の責任を果たす,参画する,一人一人の違いを大切にしようとするなどの意欲を育てるとともに,健康・安全を確保して,生涯にわたって運動に親しむ態度を養う。
2 内容
A 体つくり運動 体つくり運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動を通して,体を動かす楽しさや心地よさを味わい,運動を継続する意義,体の構造,運動の原則などを理解するとともに,健康の保持増進や体力の向上を目指し,目的に適した運動の計画を立て取り組むこと。
ア 体ほぐしの運動では,手軽な運動を行い,心と体は互いに影響し変化することや心身の状態に気付き,仲間と自主的に関わり合うこと。
イ 実生活に生かす運動の計画では,ねらいに応じて,健康の保持増進や調和のとれた体力の向上を図るための運動の計画を立て取り組むこと。
(2) 自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3) 体つくり運動に自主的に取り組むとともに,互いに助け合い教え合おうとすること,一人一人の違いに応じた動きなどを大切にしようとすること,話合いに貢献しようとすることなどや,健康・安全を確保すること。
B 器械運動 器械運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,技ができる楽しさや喜びを味わい,技の名称や行い方,運動観察の方法,体力の高め方などを理解するとともに,自己に適した技で演技すること。
ア マット運動では,回転系や巧技系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを構成し演技すること。
イ 鉄棒運動では,支持系や懸垂系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを構成し演技すること。
ウ 平均台運動では,体操系やバランス系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと及びそれらを構成し演技すること。
エ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技を滑らかに安定して行うこと,条件を変えた技や発展技を行うこと。
(2) 技などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 器械運動に自主的に取り組むとともに,よい演技を讃《たた》えようとすること,互いに助け合い教え合おうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようとすることなどや,健康・安全を確保すること。
C 陸上競技 陸上競技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解するとともに,各種目特有の技能を身に付けること。
ア 短距離走・リレーでは,中間走へのつなぎを滑らかにして速く走ることやバトンの受渡しで次走者のスピードを十分高めること,長距離走では,自己に適したペースを維持して走ること,ハードル走では,スピードを維持した走りからハードルを低く越すこと。
イ 走り幅跳びでは,スピードに乗った助走から力強く踏み切って跳ぶこと,走り高跳びでは,リズミカルな助走から力強く踏み切り滑らかな空間動作で跳ぶこと。
(2) 動きなどの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 陸上競技に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようとすることなどや,健康・安全を確保すること。
D 水泳 水泳について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,記録の向上や競争の楽しさや喜びを味わい,技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解するとともに,効率的に泳ぐこと。
ア クロールでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
イ 平泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで長く泳いだり速く泳いだりすること。
ウ 背泳ぎでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
エ バタフライでは,手と足の動き,呼吸のバランスを保ち,安定したペースで泳ぐこと。
オ 複数の泳法で泳ぐこと,又はリレーをすること。
(2) 泳法などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 水泳に自主的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,ルールやマナーを大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようとすることなどや,水泳の事故防止に関する心得を遵守するなど健康・安全を確保すること。
E 球技 球技について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,技術の名称や行い方,体力の高め方,運動観察の方法などを理解するとともに,作戦に応じた技能で仲間と連携しゲームを展開すること。
ア ゴール型では,安定したボール操作と空間を作りだすなどの動きによってゴール前への侵入などから攻防をすること。
イ ネット型では,役割に応じたボール操作や安定した用具の操作と連携した動きによって空いた場所をめぐる攻防をすること。
ウ ベースボール型では,安定したバット操作と走塁での攻撃,ボール操作と連携した守備などによって攻防をすること。
(2) 攻防などの自己やチームの課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3) 球技に自主的に取り組むとともに,フェアなプレイを大切にしようとすること,作戦などについての話合いに貢献しようとすること,一人一人の違いに応じたプレイなどを大切にしようとすること,互いに助け合い教え合おうとすることなどや,健康・安全を確保すること。
F 武道 武道について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,技を高め勝敗を競う楽しさや喜びを味わい,伝統的な考え方,技の名称や見取り稽古の仕方,体力の高め方などを理解するとともに,基本動作や基本となる技を用いて攻防を展開すること。
ア 柔道では,相手の動きの変化に応じた基本動作や基本となる技,連絡技を用いて,相手を崩して投げたり,抑えたりするなどの攻防をすること。
イ 剣道では,相手の動きの変化に応じた基本動作や基本となる技を用いて,相手の構えを崩し,しかけたり応じたりするなどの攻防をすること。
ウ 相撲では,相手の動きの変化に応じた基本動作や基本となる技を用いて,相手を崩し,投げたりいなしたりするなどの攻防をすること。
(2) 攻防などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己の考えたことを他者に伝えること。
(3) 武道に自主的に取り組むとともに,相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を大切にしようとすること,自己の責任を果たそうとすること,一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようとすることなどや,健康・安全を確保すること。
G ダンス ダンスについて,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 次の運動について,感じを込めて踊ったり,みんなで自由に踊ったりする楽しさや喜びを味わい,ダンスの名称や用語,踊りの特徴と表現の仕方,交流や発表の仕方,運動観察の方法,体力の高め方などを理解するとともに,イメージを深めた表現や踊りを通した交流や発表をすること。
ア 創作ダンスでは,表したいテーマにふさわしいイメージを捉え,個や群で,緩急強弱のある動きや空間の使い方で変化を付けて即興的に表現したり,簡単な作品にまとめたりして踊ること。
イ フォークダンスでは,日本の民踊《よう》や外国の踊りから,それらの踊り方の特徴を捉え,音楽に合わせて特徴的なステップや動きと組み方で踊ること。
ウ 現代的なリズムのダンスでは,リズムの特徴を捉え,変化とまとまりを付けて,リズムに乗って全身で踊ること。
(2) 表現などの自己や仲間の課題を発見し,合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫するとともに,自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。
(3) ダンスに自主的に取り組むとともに,互いに助け合い教え合おうとすること,作品や発表などの話合いに貢献しようとすること,一人一人の違いに応じた表現や役割を大切にしようとすることなどや,健康・安全を確保すること。
H 体育理論
(1) 文化としてのスポーツの意義について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文化としてのスポーツの意義について理解すること。
(ア) スポーツは,文化的な生活を営みよりよく生きていくために重要であること。
(イ) オリンピックやパラリンピック及び国際的なスポーツ大会などは,国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていること。
(ウ) スポーツは,民族や国,人種や性,障害の違いなどを超えて人々を結び付けていること。
イ 文化としてのスポーツの意義について,自己の課題を発見し,よりよい解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝えること。
ウ 文化としてのスポーツの意義についての学習に自主的に取り組むこと。
〔内容の取扱い〕
(1) 内容の各領域については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 第1学年及び第2学年においては,「A体つくり運動」から「H体育理論」までについては,全ての生徒に履修させること。その際,「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,2学年間にわたって履修させること。
イ 第3学年においては,「A体つくり運動」及び「H体育理論」については,全ての生徒に履修させること。「B器械運動」,「C陸上競技」,「D水泳」及び「Gダンス」についてはいずれかから一以上を,「E球技」及び「F武道」についてはいずれか一以上をそれぞれ選択して履修できるようにすること。...
(2) 内容の「A体つくり運動」から「H体育理論」までに示す事項については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 「A体つくり運動」の(1)のアの運動については,「B器械運動」から「Gダンス」までにおいても関連を図って指導することができるとともに,心の健康など保健分野との関連を図って指導すること。また,「A体つくり運動」の(1)のイの運動については,第1学年及び第2学年においては,動きを持...
イ 「B器械運動」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からアを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからエまでの中から選択して履修できるようにすること。
ウ 「C陸上競技」の(1)の運動については,ア及びイに示すそれぞれの運動の中から選択して履修できるようにすること。
エ 「D水泳」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからエまでの中からア又はイのいずれかを含む二を選択して履修できるようにすること。第3学年においては,アからオまでの中から選択して履修できるようにすること。なお,学校や地域の実態に応じて,安全を確保するための泳...
オ 「E球技」の(1)の運動については,第1学年及び第2学年においては,アからウまでを全ての生徒に履修させること。第3学年においては,アからウまでの中から二を選択して履修できるようにすること。また,アについては,バスケットボール,ハンドボール,サッカーの中から,イについては,バレー...
カ 「F武道」については,柔道,剣道,相撲,空手道,なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法,銃剣道などを通して,我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること。また,(1)の運動については,アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。なお,学校や地域の実...
キ 「Gダンス」の(1)の運動については,アからウまでの中から選択して履修できるようにすること。なお,学校や地域の実態に応じて,その他のダンスについても履修させることができること。
ク 第1学年及び第2学年の内容の「H体育理論」については,(1)は第1学年,(2)は第2学年で取り上げること。
(3) 内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域及び運動の選択並びにその指導に当たっては,学校や地域の実態及び生徒の特性等を考慮するものとする。また,第3学年の領域の選択に当たっては,安全を十分に確保した上で,生徒が自由に選択して履修することができるよう配慮すること。その...
(4) 自然との関わりの深いスキー,スケートや水辺活動などの指導については,学校や地域の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとする。
(5) 集合,整頓,列の増減,方向変換などの行動の仕方を身に付け,能率的で安全な集団としての行動ができるようにするための指導については,内容の「A体つくり運動」から「Gダンス」までの領域において適切に行うものとする。
〔保健分野〕
1 目標
(1) 個人生活における健康・安全について理解するとともに,基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 健康についての自他の課題を発見し,よりよい解決に向けて思考し判断するとともに,他者に伝える力を養う。
(3) 生涯を通じて心身の健康の保持増進を目指し,明るく豊かな生活を営む態度を養う。
2 内容
(1) 健康な生活と疾病の予防について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 健康な生活と疾病の予防について理解を深めること。
(ア) 健康は,主体と環境の相互作用の下に成り立っていること。また,疾病は,主体の要因と環境の要因が関わり合って発生すること。
(イ) 健康の保持増進には,年齢,生活環境等に応じた運動,食事,休養及び睡眠の調和のとれた生活を続ける必要があること。
(ウ) 生活習慣病などは,運動不足,食事の量や質の偏り,休養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れが主な要因となって起こること。また,生活習慣病などの多くは,適切な運動,食事,休養及び睡眠の調和のとれた生活を実践することによって予防できること。
(エ) 喫煙,飲酒,薬物乱用などの行為は,心身に様々な影響を与え,健康を損なう原因となること。また,これらの行為には,個人の心理状態や人間関係,社会環境が影響することから,それぞれの要因に適切に対処する必要があること。
(オ) 感染症は,病原体が主な要因となって発生すること。また,感染症の多くは,発生源をなくすこと,感染経路を遮断すること,主体の抵抗力を高めることによって予防できること。
(カ) 健康の保持増進や疾病の予防のためには,個人や社会の取組が重要であり,保健・医療機関を有効に利用することが必要であること。また,医薬品は,正しく使用すること。
イ 健康な生活と疾病の予防について,課題を発見し,その解決に向けて思考し判断するとともに,それらを表現すること。
(2) 心身の機能の発達と心の健康について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 心身の機能の発達と心の健康について理解を深めるとともに,ストレスへの対処をすること。
(ア) 身体には,多くの器官が発育し,それに伴い,様々な機能が発達する時期があること。また,発育・発達の時期やその程度には,個人差があること。
(イ) 思春期には,内分泌の働きによって生殖に関わる機能が成熟すること。また,成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となること。
(ウ) 知的機能,情意機能,社会性などの精神機能は,生活経験などの影響を受けて発達すること。また,思春期においては,自己の認識が深まり,自己形成がなされること。
(エ) 精神と身体は,相互に影響を与え,関わっていること。欲求やストレスは,心身に影響を与えることがあること。また,心の健康を保つには,欲求やストレスに適切に対処する必要があること。
イ 心身の機能の発達と心の健康について,課題を発見し,その解決に向けて思考し判断するとともに,それらを表現すること。
(3) 傷害の防止について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 傷害の防止について理解を深めるとともに,応急手当をすること。 
(ア) 交通事故や自然災害などによる傷害は,人的要因や環境要因などが関わって発生すること。
(イ) 交通事故などによる傷害の多くは,安全な行動,環境の改善によって防止できること。
(ウ) 自然災害による傷害は,災害発生時だけでなく,二次災害によっても生じること。また,自然災害による傷害の多くは,災害に備えておくこと,安全に避難することによって防止できること。
(エ) 応急手当を適切に行うことによって,傷害の悪化を防止することができること。また,心肺蘇《そ》生法などを行うこと。
イ 傷害の防止について,危険の予測やその回避の方法を考え,それらを表現すること。
(4) 健康と環境について,課題を発見し,その解決を目指した活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 健康と環境について理解を深めること。
(ア) 身体には,環境に対してある程度まで適応能力があること。身体の適応能力を超えた環境は,健康に影響を及ぼすことがあること。また,快適で能率のよい生活を送るための温度,湿度や明るさには一定の範囲があること。 
(イ) 飲料水や空気は,健康と密接な関わりがあること。また,飲料水や空気を衛生的に保つには,基準に適合するよう管理する必要があること。
(ウ) 人間の生活によって生じた廃棄物は,環境の保全に十分配慮し,環境を汚染しないように衛生的に処理する必要があること。
イ 健康と環境に関する情報から課題を発見し,その解決に向けて思考し判断するとともに,それらを表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)のアの(ア)及び(イ)は第1学年,(1)のアの(ウ)及び(エ)は第2学年,(1)のアの(オ)及び(カ)は第3学年で取り扱うものとし,(1)のイは全ての学年で取り扱うものとする。内容の(2)は第1学年,(3)は第2学年,(4)は第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)のアについては,健康の保持増進と疾病の予防に加えて,疾病の回復についても取り扱うものとする。
(3) 内容の(1)のアの(イ)及び(ウ)については,食育の観点も踏まえつつ健康的な生活習慣の形成に結び付くように配慮するとともに,必要に応じて,コンピュータなどの情報機器の使用と健康との関わりについて取り扱うことにも配慮するものとする。また,がんについても取り扱うものとする。
(4) 内容の(1)のアの(エ)については,心身への急性影響及び依存性について取り扱うこと。また,薬物は,覚醒剤や大麻等を取り扱うものとする。
(5) 内容の(1)のアの(オ)については,後天性免疫不全症候群(エイズ)及び性感染症についても取り扱うものとする。
(6) 内容の(2)のアの(ア)については,呼吸器,循環器を中心に取り扱うものとする。
(7) 内容の(2)のアの(イ)については,妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から,受精・妊娠を取り扱うものとし,妊娠の経過は取り扱わないものとする。また,身体の機能の成熟とともに,性衝動が生じたり,異性への関心が高まったりすることなどから,異性の尊重,情報への適切...
(8) 内容の(2)のアの(エ)については,体育分野の内容の「A体つくり運動」の(1)のアの指導との関連を図って指導するものとする。
(9) 内容の(3)のアの(エ)については,包帯法,止血法など傷害時の応急手当も取り扱い,実習を行うものとする。また,効果的な指導を行うため,水泳など体育分野の内容との関連を図るものとする。
(10) 内容の(4)については,地域の実態に即して公害と健康との関係を取り扱うことにも配慮するものとする。また,生態系については,取り扱わないものとする。
(11) 保健分野の指導に際しては,自他の健康に関心をもてるようにし,健康に関する課題を解決する学習活動を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,体育や保健の見方・考え方を働かせながら,運動や健康についての自他の課題を発見し,その合理的な解決のための活動の充実を図ること。また...
(2) 授業時数の配当については,次のとおり扱うこと。
ア 保健分野の授業時数は,3学年間で48単位時間程度配当すること。
イ 保健分野の授業時数は,3学年間を通じて適切に配当し,各学年において効果的な学習が行われるよう考慮して配当すること。
ウ 体育分野の授業時数は,各学年にわたって適切に配当すること。その際,体育分野の内容の「A体つくり運動」については,各学年で7単位時間以上を,「H体育理論」については,各学年で3単位時間以上を配当すること。
エ 体育分野の内容の「B器械運動」から「Gダンス」までの領域の授業時数は,それらの内容の習熟を図ることができるよう考慮して配当すること。
(3) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(4) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,保健体育科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 体力や技能の程度,性別や障害の有無等に関わらず,運動の多様な楽しみ方を共有することができるよう留意すること。
(2) 言語能力を育成する言語活動を重視し,筋道を立てて練習や作戦について話し合う活動や,個人生活における健康の保持増進や回復について話し合う活動などを通して,コミュニケーション能力や論理的な思考力の育成を促し,自主的な学習活動の充実を図ること。
(3) 第2の内容の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用して,各分野の特質に応じた学習活動を行うよう工夫すること。
(4) 体育分野におけるスポーツとの多様な関わり方や保健分野の指導については,具体的な体験を伴う学習の工夫を行うよう留意すること。
(5) 生徒が学習内容を確実に身に付けることができるよう,学校や生徒の実態に応じ,学習内容の習熟の程度に応じた指導,個別指導との連携を踏まえた教師間の協力的な指導などを工夫改善し,個に応じた指導の充実が図られるよう留意すること。
(6) 第1章総則の第1の2の(3)に示す学校における体育・健康に関する指導の趣旨を生かし,特別活動,運動部の活動などとの関連を図り,日常生活における体育・健康に関する活動が適切かつ継続的に実践できるよう留意すること。なお,体力の測定については,計画的に実施し,運動の指導及び体力の...
(7) 体育分野と保健分野で示された内容については,相互の関連が図られるよう留意すること。
第8節 技術・家庭
第1 目標 生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ,生活や技術に関する実践的・体験的な活動を通して,よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 生活と技術についての基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。
(2) 生活や社会の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,表現するなど,課題を解決する力を養う。
(3) よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。
第2 各分野の目標及び内容  
〔技術分野〕
1 目標 技術の見方・考え方を働かせ,ものづくりなどの技術に関する実践的・体験的な活動を通して,技術によってよりよい生活や持続可能な社会を構築する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 生活や社会で利用されている材料,加工,生物育成,エネルギー変換及び情報の技術についての基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付け,技術と生活や社会,環境との関わりについて理解を深める。
(2) 生活や社会の中から技術に関わる問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,製作図等に表現し,試作等を通じて具体化し,実践を評価・改善するなど,課題を解決する力を養う。
(3) よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて,適切かつ誠実に技術を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。
2 内容
A 材料と加工の技術
(1) 生活や社会を支える材料と加工の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 材料や加工の特性等の原理・法則と,材料の製造・加工方法等の基礎的な技術の仕組みについて理解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
(2) 生活や社会における問題を,材料と加工の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 製作に必要な図をかき,安全・適切な製作や検査・点検等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,材料の選択や成形の方法等を構想して設計を具体化するとともに,製作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(3) これからの社会の発展と材料と加工の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。
B 生物育成の技術
(1) 生活や社会を支える生物育成の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 育成する生物の成長,生態の特性等の原理・法則と,育成環境の調節方法等の基礎的な技術の仕組みについて理解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
(2) 生活や社会における問題を,生物育成の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 安全・適切な栽培又は飼育,検査等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,育成環境の調節方法を構想して育成計画を立てるとともに,栽培又は飼育の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(3) これからの社会の発展と生物育成の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。
C エネルギー変換の技術
(1) 生活や社会を支えるエネルギー変換の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 電気,運動,熱の特性等の原理・法則と,エネルギーの変換や伝達等に関わる基礎的な技術の仕組み及び保守点検の必要性について理解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
(2) 生活や社会における問題を,エネルギー変換の技術によって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 安全・適切な製作,実装,点検及び調整等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,電気回路又は力学的な機構等を構想して設計を具体化するとともに,製作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(3) これからの社会の発展とエネルギー変換の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。
D 情報の技術
(1) 生活や社会を支える情報の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 情報の表現,記録,計算,通信の特性等の原理・法則と,情報のデジタル化や処理の自動化,システム化,情報セキュリティ等に関わる基礎的な技術の仕組み及び情報モラルの必要性について理解すること。
イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
(2) 生活や社会における問題を,ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 情報通信ネットワークの構成と,情報を利用するための基本的な仕組みを理解し,安全・適切なプログラムの制作,動作の確認及びデバッグ等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,使用するメディアを複合する方法とその効果的な利用方法等を構想して情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(3) 生活や社会における問題を,計測・制御のプログラミングによって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 計測・制御システムの仕組みを理解し,安全・適切なプログラムの制作,動作の確認及びデバッグ等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し,入出力されるデータの流れを元に計測・制御システムを構想して情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
(4) これからの社会の発展と情報の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の「A材料と加工の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,我が国の伝統的な技術についても扱い,緻密なものづくりの技などが我が国の伝統や文化を支えてきたことに気付かせること。
イ (2)の製作に必要な図については,主として等角図及び第三角法による図法を扱うこと。
(2) 内容の「B生物育成の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,作物の栽培,動物の飼育及び水産生物の栽培のいずれも扱うこと。
イ (2)については,地域固有の生態系に影響を及ぼすことのないよう留意するとともに,薬品を使用する場合には,使用上の基準及び注意事項を遵守させること。
(3) 内容の「Cエネルギー変換の技術」の(1)については,電気機器や屋内配線等の生活の中で使用する製品やシステムの安全な使用についても扱うものとする。
(4) 内容の「D情報の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)については,情報のデジタル化の方法と情報の量,著作権を含めた知的財産権,発信した情報に対する責任,及び社会におけるサイバーセキュリティが重要であることについても扱うこと。
イ (2)については,コンテンツに用いる各種メディアの基本的な特徴や,個人情報の保護の必要性についても扱うこと。
(5) 各内容における(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アで取り上げる原理や法則に関しては,関係する教科との連携を図ること。
イ イでは,社会からの要求,安全性,環境負荷や経済性などに着目し,技術が最適化されてきたことに気付かせること。
ウ 第1学年の最初に扱う内容では,3年間の技術分野の学習の見通しを立てさせるために,内容の「A材料と加工の技術」から「D情報の技術」までに示す技術について触れること。
(6) 各内容における(2)及び内容の「D情報の技術」の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イでは,各内容の(1)のイで気付かせた見方・考え方により問題を見いだして課題を設定し,自分なりの解決策を構想させること。
イ 知的財産を創造,保護及び活用しようとする態度,技術に関わる倫理観,並びに他者と協働して粘り強く物事を前に進める態度を養うことを目指すこと。
ウ 第3学年で取り上げる内容では,これまでの学習を踏まえた統合的な問題について扱うこと。
エ 製作・制作・育成場面で使用する工具・機器や材料等については,図画工作科等の学習経験を踏まえるとともに,安全や健康に十分に配慮して選択すること。
(7) 内容の「A材料と加工の技術」,「B生物育成の技術」,「Cエネルギー変換の技術」の(3)及び内容の「D情報の技術」の(4)については,技術が生活の向上や産業の継承と発展,資源やエネルギーの有効利用,自然環境の保全等に貢献していることについても扱うものとする。
〔家庭分野〕
1 目標 生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して,よりよい生活の実現に向けて,生活を工夫し創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 家族・家庭の機能について理解を深め,家族・家庭,衣食住,消費や環境などについて,生活の自立に必要な基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。
(2) 家族・家庭や地域における生活の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,考察したことを論理的に表現するなど,これからの生活を展望して課題を解決する力を養う。
(3) 自分と家族,家庭生活と地域との関わりを考え,家族や地域の人々と協働し,よりよい生活の実現に向けて,生活を工夫し創造しようとする実践的な態度を養う。
2 内容
A 家族・家庭生活 次の(1)から(4)までの項目について,課題をもって,家族や地域の人々と協力・協働し,よりよい家庭生活に向けて考え,工夫する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 自分の成長と家族・家庭生活
ア 自分の成長と家族や家庭生活との関わりが分かり,家族・家庭の基本的な機能について理解するとともに,家族や地域の人々と協力・協働して家庭生活を営む必要があることに気付くこと。
(2) 幼児の生活と家族
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 幼児の発達と生活の特徴が分かり,子供が育つ環境としての家族の役割について理解すること。
(イ) 幼児にとっての遊びの意義や幼児との関わり方について理解すること。
イ 幼児とのよりよい関わり方について考え,工夫すること。
(3) 家族・家庭や地域との関わり
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 家族の互いの立場や役割が分かり,協力することによって家族関係をよりよくできることについて理解すること。
(イ) 家庭生活は地域との相互の関わりで成り立っていることが分かり,高齢者など地域の人々と協働する必要があることや介護など高齢者との関わり方について理解すること。
イ 家族関係をよりよくする方法及び高齢者など地域の人々と関わり,協働する方法について考え,工夫すること。
(4) 家族・家庭生活についての課題と実践
ア 家族,幼児の生活又は地域の生活の中から問題を見いだして課題を設定し,その解決に向けてよりよい生活を考え,計画を立てて実践できること。
B 衣食住の生活 次の(1)から(7)までの項目について,課題をもって,健康・快適・安全で豊かな食生活,衣生活,住生活に向けて考え,工夫する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 食事の役割と中学生の栄養の特徴
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 生活の中で食事が果たす役割について理解すること。
(イ) 中学生に必要な栄養の特徴が分かり,健康によい食習慣について理解すること。
イ 健康によい食習慣について考え,工夫すること。
(2) 中学生に必要な栄養を満たす食事
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 栄養素の種類と働きが分かり,食品の栄養的な特質について理解すること。
(イ) 中学生の1日に必要な食品の種類と概量が分かり,1日分の献立作成の方法について理解すること。
イ 中学生の1日分の献立について考え,工夫すること。
(3) 日常食の調理と地域の食文化
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 日常生活と関連付け,用途に応じた食品の選択について理解し,適切にできること。
(イ) 食品や調理用具等の安全と衛生に留意した管理について理解し,適切にできること。
(ウ) 材料に適した加熱調理の仕方について理解し,基礎的な日常食の調理が適切にできること。
(エ) 地域の食文化について理解し,地域の食材を用いた和食の調理が適切にできること。
イ 日常の1食分の調理について,食品の選択や調理の仕方,調理計画を考え,工夫すること。
(4) 衣服の選択と手入れ
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 衣服と社会生活との関わりが分かり,目的に応じた着用,個性を生かす着用及び衣服の適切な選択について理解すること。
(イ) 衣服の計画的な活用の必要性,衣服の材料や状態に応じた日常着の手入れについて理解し,適切にできること。
イ 衣服の選択,材料や状態に応じた日常着の手入れの仕方を考え,工夫すること。
(5) 生活を豊かにするための布を用いた製作
ア 製作する物に適した材料や縫い方について理解し,用具を安全に取り扱い,製作が適切にできること。
イ 資源や環境に配慮し,生活を豊かにするために布を用いた物の製作計画を考え,製作を工夫すること。
(6) 住居の機能と安全な住まい方
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 家族の生活と住空間との関わりが分かり,住居の基本的な機能について理解すること。
(イ) 家庭内の事故の防ぎ方など家族の安全を考えた住空間の整え方について理解すること。
イ 家族の安全を考えた住空間の整え方について考え,工夫すること。
(7) 衣食住の生活についての課題と実践
ア 食生活,衣生活,住生活の中から問題を見いだして課題を設定し,その解決に向けてよりよい生活を考え,計画を立てて実践できること。
C 消費生活・環境 次の(1)から(3)までの項目について,課題をもって,持続可能な社会の構築に向けて考え,工夫する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 金銭の管理と購入
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 購入方法や支払い方法の特徴が分かり,計画的な金銭管理の必要性について理解すること。
(イ) 売買契約の仕組み,消費者被害の背景とその対応について理解し,物資・サービスの選択に必要な情報の収集・整理が適切にできること。
イ 物資・サービスの選択に必要な情報を活用して購入について考え,工夫すること。
(2) 消費者の権利と責任
ア 消費者の基本的な権利と責任,自分や家族の消費生活が環境や社会に及ぼす影響について理解すること。
イ 身近な消費生活について,自立した消費者としての責任ある消費行動を考え,工夫すること。
(3) 消費生活・環境についての課題と実践
ア 自分や家族の消費生活の中から問題を見いだして課題を設定し,その解決に向けて環境に配慮した消費生活を考え,計画を立てて実践できること。
3 内容の取扱い 
(1) 各内容については,生活の科学的な理解を深めるための実践的・体験的な活動を充実すること。
(2) 内容の「A家族・家庭生活」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)のアについては,家族・家庭の基本的な機能がAからCまでの各内容に関わっていることや,家族・家庭や地域における様々な問題について,協力・協働,健康・快適・安全,生活文化の継承,持続可能な社会の構築等を視点として考え,解決に向けて工夫することが大切であることに気付かせるように...
イ (1),(2)及び(3)については,相互に関連を図り,実習や観察,ロールプレイングなどの学習活動を中心とするよう留意すること。
ウ (2)については,幼稚園,保育所,認定こども園などの幼児の観察や幼児との触れ合いができるよう留意すること。アの(ア)については,幼児期における周囲との基本的な信頼関係や生活習慣の形成の重要性についても扱うこと。
エ (3)のアの(イ)については,高齢者の身体の特徴についても触れること。また,高齢者の介護の基礎に関する体験的な活動ができるよう留意すること。イについては,地域の活動や行事などを取り上げたり,他教科等における学習との関連を図ったりするよう配慮すること。
(3) 内容の「B衣食住の生活」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア 日本の伝統的な生活についても扱い,生活文化を継承する大切さに気付くことができるよう配慮すること。
イ (1)のアの(ア)については,食事を共にする意義や食文化を継承することについても扱うこと。
ウ (2)のアの(ア)については,水の働きや食物繊維についても触れること。
エ (3)のアの(ア)については,主として調理実習で用いる生鮮食品と加工食品の表示を扱うこと。(ウ)については,煮る,焼く,蒸す等を扱うこと。また,魚,肉,野菜を中心として扱い,基礎的な題材を取り上げること。(エ)については,だしを用いた煮物又は汁物を取り上げること。また,地域の伝...
オ 食に関する指導については,技術・家庭科の特質に応じて,食育の充実に資するよう配慮すること。
カ (4)のアの(ア)については,日本の伝統的な衣服である和服について触れること。また,和服の基本的な着装を扱うこともできること。さらに,既製服の表示と選択に当たっての留意事項を扱うこと。(イ)については,日常着の手入れは主として洗濯と補修を扱うこと。
キ (5)のアについては,衣服等の再利用の方法についても触れること。
ク (6)のアについては,簡単な図などによる住空間の構想を扱うこと。また,ア及びイについては,内容の「A家族・家庭生活」の(2)及び(3)との関連を図ること。さらに,アの(イ)及びイについては,自然災害に備えた住空間の整え方についても扱うこと。
(4) 内容の「C消費生活・環境」については,次のとおり取り扱うものとする。
ア (1)及び(2)については,内容の「A家族・家庭生活」又は「B衣食住の生活」の学習との関連を図り,実践的に学習できるようにすること。
イ (1)については,中学生の身近な消費行動と関連を図った物資・サービスや消費者被害を扱うこと。アの(ア)については,クレジットなどの三者間契約についても扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ,知識を相互に関連付けてより深く理解するとともに,生活や社会の中から問題を...
(2) 技術分野及び家庭分野の授業時数については,3学年間を見通した全体的な指導計画に基づき,いずれかの分野に偏ることなく配当して履修させること。その際,各学年において,技術分野及び家庭分野のいずれも履修させること。 家庭分野の内容の「A家族・家庭生活」の(4),「B衣食住の生活」...
(3) 技術分野の内容の「A材料と加工の技術」から「D情報の技術」まで,及び家庭分野の内容の「A家族・家庭生活」から「C消費生活・環境」までの各項目に配当する授業時数及び各項目の履修学年については,生徒や学校,地域の実態等に応じて,各学校において適切に定めること。その際,家庭分野の...
(4) 各項目及び各項目に示す事項については,相互に有機的な関連を図り,総合的に展開されるよう適切な題材を設定して計画を作成すること。その際,生徒や学校,地域の実態を的確に捉え,指導の効果を高めるようにすること。また,小学校における学習を踏まえるとともに,高等学校における学習を見据...
(5) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(6) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,技術・家庭科の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 指導に当たっては,衣食住やものづくりなどに関する実習等の結果を整理し考察する学習活動や,生活や社会における課題を解決するために言葉や図表,概念などを用いて考えたり,説明したりするなどの学習活動の充実を図ること。
(2) 指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用して,実習等における情報の収集・整理や,実践結果の発表などを行うことができるように工夫すること。
(3) 基礎的・基本的な知識及び技能を習得し,基本的な概念などの理解を深めるとともに,仕事の楽しさや完成の喜びを体得させるよう,実践的・体験的な活動を充実すること。また,生徒のキャリア発達を踏まえて学習内容と将来の職業の選択や生き方との関わりについても扱うこと。
(4) 資質・能力の育成を図り,一人一人の個性を生かし伸ばすよう,生徒の興味・関心を踏まえた学習課題の設定,技能の習得状況に応じた少人数指導や教材・教具の工夫など個に応じた指導の充実に努めること。
(5) 生徒が,学習した知識及び技能を生活に活用したり,生活や社会の変化に対応したりすることができるよう,生活や社会の中から問題を見いだして課題を設定し解決する学習活動を充実するとともに,家庭や地域社会,企業などとの連携を図るよう配慮すること。
3 実習の指導に当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整備するとともに,火気,用具,材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。 その際,技術分野においては,正しい機器の操作や作業環境の整備等について指導するとともに,適切な服...
第9節 外国語
第1 目標 外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 外国語の音声や語彙,表現,文法,言語の働きなどを理解するとともに,これらの知識を,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能を身に付けるようにする。
(2) コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,日常的な話題や社会的な話題について,外国語で簡単な情報や考えなどを理解したり,これらを活用して表現したり伝え合ったりすることができる力を養う。
(3) 外国語の背景にある文化に対する理解を深め,聞き手,読み手,話し手,書き手に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
第2 各言語の目標及び内容等
英語
1 目標 英語学習の特質を踏まえ,以下に示す,聞くこと,読むこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表],書くことの五つの領域別に設定する目標の実現を目指した指導を通して,第1の(1)及び(2)に示す資質・能力を一体的に育成するとともに,その過程を通して,第1の(3)に示す資質・能...
(1) 聞くこと
ア はっきりと話されれば,日常的な話題について,必要な情報を聞き取ることができるようにする。
イ はっきりと話されれば,日常的な話題について,話の概要を捉えることができるようにする。
ウ はっきりと話されれば,社会的な話題について,短い説明の要点を捉えることができるようにする。
(2) 読むこと
ア 日常的な話題について,簡単な語句や文で書かれたものから必要な情報を読み取ることができるようにする。
イ 日常的な話題について,簡単な語句や文で書かれた短い文章の概要を捉えることができるようにする。
ウ 社会的な話題について,簡単な語句や文で書かれた短い文章の要点を捉えることができるようにする。
(3) 話すこと[やり取り]
ア 関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて即興で伝え合うことができるようにする。
イ 日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどを整理し,簡単な語句や文を用いて伝えたり,相手からの質問に答えたりすることができるようにする。
ウ 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて,考えたことや感じたこと,その理由などを,簡単な語句や文を用いて述べ合うことができるようにする。
(4) 話すこと[発表]
ア 関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて即興で話すことができるようにする。
イ 日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどを整理し,簡単な語句や文を用いてまとまりのある内容を話すことができるようにする。
ウ 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて,考えたことや感じたこと,その理由などを,簡単な語句や文を用いて話すことができるようにする。
(5) 書くこと
ア 関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて正確に書くことができるようにする。
イ 日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどを整理し,簡単な語句や文を用いてまとまりのある文章を書くことができるようにする。
ウ 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて,考えたことや感じたこと,その理由などを,簡単な語句や文を用いて書くことができるようにする。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 英語の特徴やきまりに関する事項 実際に英語を用いた言語活動を通して,小学校学習指導要領第2章第10節外国語第2の2の(1)及び次に示す言語材料のうち,1に示す五つの領域別の目標を達成するのにふさわしいものについて理解するとともに,言語材料と言語活動とを効果的に関連付け,実際...
ア 音声 次に示す事項について取り扱うこと。
(ア) 現代の標準的な発音
(イ) 語と語の連結による音の変化
(ウ) 語や句,文における基本的な強勢
(エ) 文における基本的なイントネーション
(オ) 文における基本的な区切り
イ 符号 感嘆符,引用符などの符号
ウ 語,連語及び慣用表現
(ア) 1に示す五つの領域別の目標を達成するために必要となる,小学校で学習した語に1600~1800語程度の新語を加えた語
(イ) 連語のうち,活用頻度の高いもの
(ウ) 慣用表現のうち,活用頻度の高いもの
エ 文,文構造及び文法事項 小学校学習指導要領第2章第10節外国語第2の2の(1)のエ及び次に示す事項について,意味のある文脈でのコミュニケーションの中で繰り返し触れることを通して活用すること。
(ア) 文
a 重文,複文
b 疑問文のうち,助動詞(may,willなど)で始まるものやorを含むもの,疑問詞(which,whose)で始まるもの
c 感嘆文のうち基本的なもの
(イ) 文構造
a [主語+動詞+補語]のうち, 主語+be動詞以外の動詞+{名詞‖形容詞}  
b [主語+動詞+目的語]のうち,
(a) 主語+動詞+{動名詞‖to不定詞‖how(など)to不定詞}
(b) 主語+動詞+{thatで始まる節‖whatなどで始まる節}
c [主語+動詞+間接目的語+直接目的語]のうち,
(a) 主語+動詞+間接目的語+{名詞‖代名詞}
(b) 主語+動詞+間接目的語+how(など)to不定詞
(c) 主語+動詞+間接目的語+{thatで始まる節‖whatなどで始まる節}
d [主語+動詞+目的語+補語]のうち,
(a) 主語+動詞+目的語+{名詞‖形容詞}         
(b) 主語+動詞+目的語+原形不定詞
e その他
(a) There+be動詞+~
(b) It+be動詞+~(+for~)+to不定詞
(c) 主語+tell,wantなど+目的語+to不定詞
(d) 主語+be動詞+形容詞+thatで始まる節
(ウ) 文法事項
a 代名詞
(a) 人称や指示,疑問,数量を表すもの
(b) 関係代名詞のうち,主格のthat,which,who,目的格のthat,whichの制限的用法
b 接続詞
c 助動詞
d 前置詞
e 動詞の時制及び相など 現在形や過去形,現在進行形,過去進行形,現在完了形,現在完了進行形,助動詞などを用いた未来表現
f 形容詞や副詞を用いた比較表現
g to不定詞
h 動名詞
i 現在分詞や過去分詞の形容詞としての用法
j 受け身
k 仮定法のうち基本的なもの
〔思考力,判断力,表現力等〕
(2) 情報を整理しながら考えなどを形成し,英語で表現したり,伝え合ったりすることに関する事項 具体的な課題等を設定し,コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,情報を整理しながら考えなどを形成し,これらを論理的に表現することを通して,次の事項を身に付けることができるよ...
ア 日常的な話題や社会的な話題について,英語を聞いたり読んだりして必要な情報や考えなどを捉えること。
イ 日常的な話題や社会的な話題について,英語を聞いたり読んだりして得られた情報や表現を,選択したり抽出したりするなどして活用し,話したり書いたりして事実や自分の考え,気持ちなどを表現すること。
ウ 日常的な話題や社会的な話題について,伝える内容を整理し,英語で話したり書いたりして互いに事実や自分の考え,気持ちなどを伝え合うこと。
(3) 言語活動及び言語の働きに関する事項
① 言語活動に関する事項 (2)に示す事項については,(1)に示す事項を活用して,例えば次のような言語活動を通して指導する。
ア 小学校学習指導要領第2章第10節外国語の第2の2の(3)に示す言語活動のうち,小学校における学習内容の定着を図るために必要なもの。
イ 聞くこと
(ア) 日常的な話題について,自然な口調で話される英語を聞いて,話し手の意向を正確に把握する活動。
(イ) 店や公共交通機関などで用いられる簡単なアナウンスなどから,自分が必要とする情報を聞き取る活動。
(ウ) 友達からの招待など,身近な事柄に関する簡単なメッセージを聞いて,その内容を把握し,適切に応答する活動。
(エ) 友達や家族,学校生活などの日常的な話題や社会的な話題に関する会話や説明などを聞いて,概要や要点を把握する活動。また,その内容を英語で説明する活動。
ウ 読むこと
(ア) 書かれた内容や文章の構成を考えながら黙読したり,その内容を表現するよう音読したりする活動。
(イ) 日常的な話題について,簡単な表現が用いられている広告やパンフレット,予定表,手紙,電子メール,短い文章などから,自分が必要とする情報を読み取る活動。
(ウ) 簡単な語句や文で書かれた日常的な話題に関する短い説明やエッセイ,物語などを読んで概要を把握する活動。
(エ) 簡単な語句や文で書かれた社会的な話題に関する説明などを読んで,イラストや写真,図表なども参考にしながら,要点を把握する活動。また,その内容に対する賛否や自分の考えを述べる活動。
エ 話すこと[やり取り]
(ア) 関心のある事柄について,相手からの質問に対し,その場で適切に応答したり,関連する質問をしたりして,互いに会話を継続する活動。
(イ) 日常的な話題について,伝えようとする内容を整理し,自分で作成したメモなどを活用しながら相手と口頭で伝え合う活動。
(ウ) 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき,読み取ったことや感じたこと,考えたことなどを伝えた上で,相手からの質問に対して適切に応答したり自ら質問し返したりする活動。
オ 話すこと[発表]
(ア) 関心のある事柄について,その場で考えを整理して口頭で説明する活動。
(イ) 日常的な話題について,事実や自分の考え,気持ちなどをまとめ,簡単なスピーチをする活動。
(ウ) 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき,自分で作成したメモなどを活用しながら口頭で要約したり,自分の考えや気持ちなどを話したりする活動。
カ 書くこと
(ア) 趣味や好き嫌いなど,自分に関する基本的な情報を語句や文で書く活動。
(イ) 簡単な手紙や電子メールの形で自分の近況などを伝える活動。
(ウ) 日常的な話題について,簡単な語句や文を用いて,出来事などを説明するまとまりのある文章を書く活動。
(エ) 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき,自分の考えや気持ち,その理由などを書く活動。
② 言語の働きに関する事項 言語活動を行うに当たり,主として次に示すような言語の使用場面や言語の働きを取り上げるようにする。
ア 言語の使用場面の例
(ア) 生徒の身近な暮らしに関わる場面
・ 家庭での生活
・ 学校での学習や活動
・ 地域の行事
など
(イ) 特有の表現がよく使われる場面
・ 自己紹介
・ 買物
・ 食事
・ 道案内
・ 旅行
・ 電話での対応
・ 手紙や電子メールのやり取り 
など
イ 言語の働きの例
(ア) コミュニケーションを円滑にする
・ 話し掛ける
・ 相づちを打つ 
・ 聞き直す
・ 繰り返す 
など
(イ) 気持ちを伝える
・ 礼を言う
・ 苦情を言う
・ 褒める
・ 謝る
・ 歓迎する
など
(ウ) 事実・情報を伝える
・ 説明する
・ 報告する
・ 発表する
・ 描写する
など
(エ) 考えや意図を伝える
・ 申し出る   
・ 約束する
・ 意見を言う
・ 賛成する   
・ 反対する   
・ 承諾する
・ 断る    
・ 仮定する
など
(オ) 相手の行動を促す
・ 質問する
・ 依頼する
・ 招待する
・ 命令する
など
3 指導計画の作成と内容の取扱い
(1) 指導計画の作成に当たっては,小学校や高等学校における指導との接続に留意しながら,次の事項に配慮するものとする。
ア 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,具体的な課題等を設定し,生徒が外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせながら,コミュニケーションの目的や場面,状況な...
イ 学年ごとの目標を適切に定め,3学年間を通じて外国語科の目標の実現を図るようにすること。
ウ 実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなどの言語活動を行う際は,2の(1)に示す言語材料について理解したり練習したりするための指導を必要に応じて行うこと。また,小学校第3学年から第6学年までに扱った簡単な語句や基本的な表現などの学習内容を繰り返し指導し定着を図ること。...
エ 生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケーションの場面とするため,授業は英語で行うことを基本とする。その際,生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにすること。
オ 言語活動で扱う題材は,生徒の興味・関心に合ったものとし,国語科や理科,音楽科など,他の教科等で学習したことを活用したり,学校行事で扱う内容と関連付けたりするなどの工夫をすること。
カ 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
キ 指導計画の作成や授業の実施に当たっては,ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る等,指導体制の充実を図るとともに,指導方法の工夫を行うこと。
(2) 2の内容に示す事項については,次の事項に配慮するものとする。
ア 2の(1)に示す言語材料については,平易なものから難しいものへと段階的に指導すること。また,生徒の発達の段階に応じて,聞いたり読んだりすることを通して意味を理解できるように指導すべき事項と,話したり書いたりして表現できるように指導すべき事項とがあることに留意すること。
イ 音声指導に当たっては,日本語との違いに留意しながら,発音練習などを通して2の(1)のアに示す言語材料を継続して指導するとともに,音声指導の補助として,必要に応じて発音表記を用いて指導することもできることに留意すること。また,発音と綴《つづ》りとを関連付けて指導すること。
ウ 文字指導に当たっては,生徒の学習負担にも配慮しながら筆記体を指導することもできることに留意すること。
エ 文法事項の指導に当たっては,次の事項に留意すること。
(ア) 英語の特質を理解させるために,関連のある文法事項はまとめて整理するなど,効果的な指導ができるよう工夫すること。
(イ) 文法はコミュニケーションを支えるものであることを踏まえ,コミュニケーションの目的を達成する上での必要性や有用性を実感させた上でその知識を活用させたり,繰り返し使用することで当該文法事項の規則性や構造などについて気付きを促したりするなど,言語活動と効果的に関連付けて指導するこ...
(ウ) 用語や用法の区別などの指導が中心とならないよう配慮し,実際に活用できるようにするとともに,語順や修飾関係などにおける日本語との違いに留意して指導すること。
オ 辞書の使い方に慣れ,活用できるようにすること。
カ 身近で簡単な事柄について,友達に質問をしたり質問に答えたりする力を育成するため,ペア・ワーク,グループ・ワークなどの学習形態について適宜工夫すること。その際,他者とコミュニケーションを行うことに課題がある生徒については,個々の生徒の特性に応じて指導内容や指導方法を工夫すること。...
キ 生徒が身に付けるべき資質・能力や生徒の実態,教材の内容などに応じて,視聴覚教材やコンピュータ,情報通信ネットワーク,教育機器などを有効活用し,生徒の興味,関心をより高め,指導の効率化や言語活動の更なる充実を図るようにすること。
ク 各単元や各時間の指導に当たっては,コミュニケーションを行う目的,場面,状況などを明確に設定し,言語活動を通して育成すべき資質・能力を明確に示すことにより,生徒が学習の見通しを立てたり,振り返ったりすることができるようにすること。
(3) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 教材は,聞くこと,読むこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表],書くことなどのコミュニケーションを図る資質・能力を総合的に育成するため,1に示す五つの領域別の目標と2に示す内容との関係について,単元など内容や時間のまとまりごとに各教材の中で明確に示すとともに,実際の言語の使...
イ 英語を使用している人々を中心とする世界の人々や日本人の日常生活,風俗習慣,物語,地理,歴史,伝統文化,自然科学などに関するものの中から,生徒の発達の段階や興味・関心に即して適切な題材を効果的に取り上げるものとし,次の観点に配慮すること。
(ア) 多様な考え方に対する理解を深めさせ,公正な判断力を養い豊かな心情を育てるのに役立つこと。
(イ) 我が国の文化や,英語の背景にある文化に対する関心を高め,理解を深めようとする態度を養うのに役立つこと。
(ウ) 広い視野から国際理解を深め,国際社会と向き合うことが求められている我が国の一員としての自覚を高めるとともに,国際協調の精神を養うのに役立つこと。
その他の外国語
その他の外国語については,英語の1に示す五つの領域別の目標,2に示す内容及び3に示す指導計画の作成と内容の取扱いに準じて指導を行うものとする。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 外国語科においては,英語を履修させることを原則とすること。
2 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,外国語科の特質に応じて適切な指導をすること。
第3章 特別の教科 道徳
第1 目標 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,人間としての生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,...
第2 内容 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要である道徳科においては,以下に示す項目について扱う。
A 主として自分自身に関すること
[自主,自律,自由と責任]
自律の精神を重んじ,自主的に考え,判断し,誠実に実行してその結果に責任をもつこと。
[節度,節制]
望ましい生活習慣を身に付け,心身の健康の増進を図り,節度を守り節制に心掛け,安全で調和のある生活をすること。
[向上心,個性の伸長]
自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
[希望と勇気,克己と強い意志]
より高い目標を設定し,その達成を目指し,希望と勇気をもち,困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
[真理の探究,創造]
真実を大切にし,真理を探究して新しいものを生み出そうと努めること。
B 主として人との関わりに関すること
[思いやり,感謝]
思いやりの心をもって人と接するとともに,家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自分があることに感謝し,進んでそれに応え,人間愛の精神を深めること。
[礼儀]
礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとること。
[友情,信頼]
友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合うとともに,異性についての理解を深め,悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
[相互理解,寛容]
自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解し,寛容の心をもって謙虚に他に学び,自らを高めていくこと。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
[遵法精神,公徳心]
法やきまりの意義を理解し,それらを進んで守るとともに,そのよりよい在り方について考え,自他の権利を大切にし,義務を果たして,規律ある安定した社会の実現に努めること。
[公正,公平,社会正義]
正義と公正さを重んじ,誰に対しても公平に接し,差別や偏見のない社会の実現に努めること。
[社会参画,公共の精神]
社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め,公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。
[勤労]
勤労の尊さや意義を理解し,将来の生き方について考えを深め,勤労を通じて社会に貢献すること。
[家族愛,家庭生活の充実]
父母,祖父母を敬愛し,家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。
[よりよい学校生活,集団生活の充実]
教師や学校の人々を敬愛し,学級や学校の一員としての自覚をもち,協力し合ってよりよい校風をつくるとともに,様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責任を自覚して集団生活の充実に努めること。
[郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛する態度]
郷土の伝統と文化を大切にし,社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め,地域社会の一員としての自覚をもって郷土を愛し,進んで郷土の発展に努めること。
[我が国の伝統と文化の尊重,国を愛する態度]
優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに,日本人としての自覚をもって国を愛し,国家及び社会の形成者として,その発展に努めること。
[国際理解,国際貢献]
世界の中の日本人としての自覚をもち,他国を尊重し,国際的視野に立って,世界の平和と人類の発展に寄与すること。
D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
[生命の尊さ]
生命の尊さについて,その連続性や有限性なども含めて理解し,かけがえのない生命を尊重すること。
[自然愛護]
自然の崇高さを知り,自然環境を大切にすることの意義を理解し,進んで自然の愛護に努めること。
[感動,畏敬の念]
美しいものや気高いものに感動する心をもち,人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。
[よりよく生きる喜び]
人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生きようとする心があることを理解し,人間として生きることに喜びを見いだすこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 各学校においては,道徳教育の全体計画に基づき,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動との関連を考慮しながら,道徳科の年間指導計画を作成するものとする。なお,作成に当たっては,第2に示す内容項目について,各学年において全て取り上げることとする。その際,生徒や学校の実態に応じ,3学...
2 第2の内容の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学級担任の教師が行うことを原則とするが,校長や教頭などの参加,他の教師との協力的な指導などについて工夫し,道徳教育推進教師を中心とした指導体制を充実すること。
(2) 道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たすことができるよう,計画的・発展的な指導を行うこと。特に,各教科,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育としては取り扱う機会が十分でない内容項目に関わる指導を補うことや,生徒や学校の実態等を踏まえて...
(3) 生徒が自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること。その際,道徳性を養うことの意義について,生徒自らが考え,理解し,主体的に学習に取り組むことができるようにすること。また,発達の段階を考慮し,人間と...
(4) 生徒が多様な感じ方や考え方に接する中で,考えを深め,判断し,表現する力などを育むことができるよう,自分の考えを基に討論したり書いたりするなどの言語活動を充実すること。その際,様々な価値観について多面的・多角的な視点から振り返って考える機会を設けるとともに,生徒が多様な見方や...
(5) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,指導のねらいに即して,問題解決的な学習,道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど,指導方法を工夫すること。その際,それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また,特別活動等における多様な...
(6) 生徒の発達の段階や特性等を考慮し,第2に示す内容との関連を踏まえつつ,情報モラルに関する指導を充実すること。また,例えば,科学技術の発展と生命倫理との関係や社会の持続可能な発展などの現代的な課題の取扱いにも留意し,身近な社会的課題を自分との関係において考え,その解決に向けて...
(7) 道徳科の授業を公開したり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに家庭や地域の人々,各分野の専門家等の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。
3 教材については,次の事項に留意するものとする。
(1) 生徒の発達の段階や特性,地域の実情等を考慮し,多様な教材の活用に努めること。特に,生命の尊厳,社会参画,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応等の現代的な課題などを題材とし,生徒が問題意識をもって多面的・多角的に考えたり,感動を覚えたりするような充実した教材...
(2) 教材については,教育基本法や学校教育法その他の法令に従い,次の観点に照らし適切と判断されるものであること。
ア 生徒の発達の段階に即し,ねらいを達成するのにふさわしいものであること。
イ 人間尊重の精神にかなうものであって,悩みや葛藤等の心の揺れ,人間関係の理解等の課題も含め,生徒が深く考えることができ,人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるものであること。
ウ 多様な見方や考え方のできる事柄を取り扱う場合には,特定の見方や考え方に偏った取扱いがなされていないものであること。
4 生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。ただし,数値などによる評価は行わないものとする。
第4章 総合的な学習の時間
第1 目標 探究的な見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 探究的な学習の過程において,課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け,課題に関わる概念を形成し,探究的な学習のよさを理解するようにする。
(2) 実社会や実生活の中から問いを見いだし,自分で課題を立て,情報を集め,整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする。
(3) 探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,積極的に社会に参画しようとする態度を養う。
第2 各学校において定める目標及び内容
1 目標 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の目標を定める。
2 内容 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合的な学習の時間の内容を定める。
3 各学校において定める目標及び内容の取扱い 各学校において定める目標及び内容の設定に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学校において定める目標については,各学校における教育目標を踏まえ,総合的な学習の時間を通して育成を目指す資質・能力を示すこと。
(2) 各学校において定める目標及び内容については,他教科等の目標及び内容との違いに留意しつつ,他教科等で育成を目指す資質・能力との関連を重視すること。
(3) 各学校において定める目標及び内容については,日常生活や社会との関わりを重視すること。
(4) 各学校において定める内容については,目標を実現するにふさわしい探究課題,探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力を示すこと。
(5) 目標を実現するにふさわしい探究課題については,学校の実態に応じて,例えば,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題,地域や学校の特色に応じた課題,生徒の興味・関心に基づく課題,職業や自己の将来に関する課題などを踏まえて設定すること。...
(6) 探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力については,次の事項に配慮すること。
ア 知識及び技能については,他教科等及び総合的な学習の時間で習得する知識及び技能が相互に関連付けられ,社会の中で生きて働くものとして形成されるようにすること。
イ 思考力,判断力,表現力等については,課題の設定,情報の収集,整理・分析,まとめ・表現などの探究的な学習の過程において発揮され,未知の状況において活用できるものとして身に付けられるようにすること。
ウ 学びに向かう力,人間性等については,自分自身に関すること及び他者や社会との関わりに関することの両方の視点を踏まえること。
(7) 目標を実現するにふさわしい探究課題及び探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力については,教科等を越えた全ての学習の基盤となる資質・能力が育まれ,活用されるものとなるよう配慮すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い 
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,生徒や学校,地域の実態等に応じて,生徒が探究的な見方・考え方を働かせ,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習や生徒の興味・...
(2) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。その際,小学校における総合的な学習の時間の取組を踏まえること。
(3) 他教科等及び総合的な学習の時間で身に付けた資質・能力を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。その際,言語能力,情報活用能力など全ての学習の基盤となる資質・能力を重視すること。
(4) 他教科等の目標及び内容との違いに留意しつつ,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえた適切な学習活動を行うこと。
(5) 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めること。
(6) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(7) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,総合的な学習の時間の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第2の各学校において定める目標及び内容に基づき,生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行うこと。
(2) 探究的な学習の過程においては,他者と協働して課題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。その際,例えば,比較する,分類する,関連付けるなどの考えるための技法が活用されるようにすること。
(3) 探究的な学習の過程においては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切かつ効果的に活用して,情報を収集・整理・発信するなどの学習活動が行われるよう工夫すること。その際,情報や情報手段を主体的に選択し活用できるよう配慮すること。
(4) 自然体験や職場体験活動,ボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。
(5) 体験活動については,第1の目標並びに第2の各学校において定める目標及び内容を踏まえ,探究的な学習の過程に適切に位置付けること。
(6) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ,全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。
(7) 学校図書館の活用,他の学校との連携,公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などの工夫を行うこと。
(8) 職業や自己の将来に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通して,自己を理解し,将来の生き方を考えるなどの学習活動が行われるようにすること。
第5章 特別活動     
第1 目標 集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主的,実践的に取り組み,互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して,次のとおり資質・能力を育成することを目指す。
(1) 多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となることについて理解し,行動の仕方を身に付けるようにする。
(2) 集団や自己の生活,人間関係の課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成を図ったり,意思決定したりすることができるようにする。
(3) 自主的,実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして,集団や社会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに,人間としての生き方についての考えを深め,自己実現を図ろうとする態度を養う。
第2 各活動・学校行事の目標及び内容
〔学級活動〕
1 目標 学級や学校での生活をよりよくするための課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成し,役割を分担して協力して実践したり,学級での話合いを生かして自己の課題の解決及び将来の生き方を描くために意思決定して実践したりすることに,自主的,実践的に取り組むことを通して,第1の目...
2 内容 1の資質・能力を育成するため,全ての学年において,次の各活動を通して,それぞれの活動の意義及び活動を行う上で必要となることについて理解し,主体的に考えて実践できるよう指導する。
(1) 学級や学校における生活づくりへの参画
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決 学級や学校における生活をよりよくするための課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成を図り,実践すること。
イ 学級内の組織づくりや役割の自覚 学級生活の充実や向上のため,生徒が主体的に組織をつくり,役割を自覚しながら仕事を分担して,協力し合い実践すること。
ウ 学校における多様な集団の生活の向上 生徒会など学級の枠を超えた多様な集団における活動や学校行事を通して学校生活の向上を図るため,学級としての提案や取組を話し合って決めること。
(2) 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全
ア 自他の個性の理解と尊重,よりよい人間関係の形成 自他の個性を理解して尊重し,互いのよさや可能性を発揮しながらよりよい集団生活をつくること。
イ 男女相互の理解と協力 男女相互について理解するとともに,共に協力し尊重し合い,充実した生活づくりに参画すること。
ウ 思春期の不安や悩みの解決,性的な発達への対応 心や体に関する正しい理解を基に,適切な行動をとり,悩みや不安に向き合い乗り越えようとすること。
エ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成 節度ある生活を送るなど現在及び生涯にわたって心身の健康を保持増進することや,事件や事故,災害等から身を守り安全に行動すること。
オ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成 給食の時間を中心としながら,成長や健康管理を意識するなど,望ましい食習慣の形成を図るとともに,食事を通して人間関係をよりよくすること。
(3) 一人一人のキャリア形成と自己実現
ア 社会生活,職業生活との接続を踏まえた主体的な学習態度の形成と学校図書館等の活用 現在及び将来の学習と自己実現とのつながりを考えたり,自主的に学習する場としての学校図書館等を活用したりしながら,学ぶことと働くことの意義を意識して学習の見通しを立て,振り返ること。
イ 社会参画意識の醸成や勤労観・職業観の形成 社会の一員としての自覚や責任を持ち,社会生活を営む上で必要なマナーやルール,働くことや社会に貢献することについて考えて行動すること。
ウ 主体的な進路の選択と将来設計 目標をもって,生き方や進路に関する適切な情報を収集・整理し,自己の個性や興味・関心と照らして考えること。
3 内容の取扱い
(1) 2の(1)の指導に当たっては,集団としての意見をまとめる話合い活動など小学校からの積み重ねや経験を生かし,それらを発展させることができるよう工夫すること。
(2) 2の(3)の指導に当たっては,学校,家庭及び地域における学習や生活の見通しを立て,学んだことを振り返りながら,新たな学習や生活への意欲につなげたり,将来の生き方を考えたりする活動を行うこと。その際,生徒が活動を記録し蓄積する教材等を活用すること。
〔生徒会活動〕
1 目標 異年齢の生徒同士で協力し,学校生活の充実と向上を図るための諸問題の解決に向けて,計画を立て役割を分担し,協力して運営することに自主的,実践的に取り組むことを通して,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。
2 内容 1の資質・能力を育成するため,学校の全生徒をもって組織する生徒会において,次の各活動を通して,それぞれの活動の意義及び活動を行う上で必要となることについて理解し,主体的に考えて実践できるよう指導する。
(1) 生徒会の組織づくりと生徒会活動の計画や運営 生徒が主体的に組織をつくり,役割を分担し,計画を立て,学校生活の課題を見いだし解決するために話し合い,合意形成を図り実践すること。
(2) 学校行事への協力 学校行事の特質に応じて,生徒会の組織を活用して,計画の一部を担当したり,運営に主体的に協力したりすること。
(3) ボランティア活動などの社会参画 地域や社会の課題を見いだし,具体的な対策を考え,実践し,地域や社会に参画できるようにすること。
〔学校行事〕
1 目標 全校又は学年の生徒で協力し,よりよい学校生活を築くための体験的な活動を通して,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養いながら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。
2 内容 1の資質・能力を育成するため,全ての学年において,全校又は学年を単位として,次の各行事において,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うことを通して,それぞれの学校行事の意義及び活動を行う上で必要となることについて理解し,主体的に考えて実...
(1) 儀式的行事 学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるようにすること。
(2) 文化的行事 平素の学習活動の成果を発表し,自己の向上の意欲を一層高めたり,文化や芸術に親しんだりするようにすること。
(3) 健康安全・体育的行事 心身の健全な発達や健康の保持増進,事件や事故,災害等から身を守る安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵《かん》養,体力の向上などに資するようにすること。
(4) 旅行・集団宿泊的行事 平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすること。
(5) 勤労生産・奉仕的行事 勤労の尊さや生産の喜びを体得し,職場体験活動などの勤労観・職業観に関わる啓発的な体験が得られるようにするとともに,共に助け合って生きることの喜びを体得し,ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるようにすること。
3 内容の取扱い
(1) 生徒や学校,生徒の実態に応じて,2に示す行事の種類ごとに,行事及びその内容を重点化するとともに,各行事の趣旨を生かした上で,行事間の関連や統合を図るなど精選して実施すること。また,実施に当たっては,自然体験や社会体験などの体験活動を充実するとともに,体験活動を通して気付いた...
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 特別活動の各活動及び学校行事を見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,よりよい人間関係の形成,よりよい集団生活の構築や社会への参画及び自己実現に資するよう,生徒が集団や社会の形成者としての見方・考え方...
(2) 各学校においては特別活動の全体計画や各活動及び学校行事の年間指導計画を作成すること。その際,学校の創意工夫を生かし,学級や学校,地域の実態,生徒の発達の段階などを考慮するとともに,第2に示す内容相互及び各教科,道徳科,総合的な学習の時間などの指導との関連を図り,生徒による自...
(3) 学級活動における生徒の自発的,自治的な活動を中心として,各活動と学校行事を相互に関連付けながら,個々の生徒についての理解を深め,教師と生徒,生徒相互の信頼関係を育み,学級経営の充実を図ること。その際,特に,いじめの未然防止等を含めた生徒指導との関連を図るようにすること。
(4) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(5) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳の第2に示す内容について,特別活動の特質に応じて適切な指導をすること。
2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学級活動及び生徒会活動の指導については,指導内容の特質に応じて,教師の適切な指導の下に,生徒の自発的,自治的な活動が効果的に展開されるようにすること。その際,よりよい生活を築くために自分たちできまりをつくって守る活動などを充実するよう工夫すること。
(2) 生徒及び学校の実態並びに第1章総則の第6の2に示す道徳教育の重点などを踏まえ,各学年において取り上げる指導内容の重点化を図るとともに,必要に応じて,内容間の関連や統合を図ったり,他の内容を加えたりすることができること。
(3) 学校生活への適応や人間関係の形成,進路の選択などについては,主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと,個々の生徒の多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリング(教育相談を含む。)の双方の趣旨を踏まえて指導を行うこと。特に入学当初...
(4) 異年齢集団による交流を重視するとともに,幼児,高齢者,障害のある人々などとの交流や対話,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を通して,協働することや,他者の役に立ったり社会に貢献したりすることの喜びを得られる活動を充実すること。
3 入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。
第1章 総則
第1款 高等学校教育の基本と教育課程の役割
1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の心身の発達の段階や特性等,課程や学科の特色及び学校や地域の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成する...
2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3款の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,次の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。
(1) 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動な...
(2) 道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵(かん)養を目指した教育の充実に努めること。 学校における道徳教育は,人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことによりその充実を図るものとし,各教科に属する科目(以下「各...
(3) 学校における体育・健康に関する指導を,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身...
3 2の(1)から(3)までに掲げる事項の実現を図り,豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される生徒に,生きる力を育むことを目指すに当たっては,学校教育全体及び各教科・科目等の指導を通してどのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら,教育活動の充実を図...
(1) 知識及び技能が習得されるようにすること。
(2) 思考力,判断力,表現力等を育成すること。
(3) 学びに向かう力,人間性等を涵(かん)養すること。
4 学校においては,地域や学校の実態等に応じて,就業やボランティアに関わる体験的な学習の指導を適切に行うようにし,勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神の涵(かん)養に資するものとする。
5 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことな...
第2款 教育課程の編成
1 各学校の教育目標と教育課程の編成 教育課程の編成に当たっては,学校教育全体や各教科・科目等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際,第...
2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成
(1) 各学校においては,生徒の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科・科目等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(2) 各学校においては,生徒や学校,地域の実態及び生徒の発達の段階を考慮し,豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を,教科等横断的な視点で育成していくことができるよう,各学校の特色を生かした教育課程の編成を...
3 教育課程の編成における共通的事項
(1) 各教科・科目及び単位数等
ア 卒業までに履修させる単位数等 各学校においては,卒業までに履修させるイからオまでに示す各教科・科目及びその単位数,総合的な探究の時間の単位数並びに特別活動及びその授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科・科目及び総合的な探究の時間の単位数の計は,(2)のア,イ及...
イ 各学科に共通する各教科・科目及び総合的な探究の時間並びに標準単位数 各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる各教科・科目及び総合的な探究の時間並びにそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及び総合的な探究の時間並びにそれらの単位数について適切...
【摘要】教科等(科目:標準単位数) 国語(現代の国語:2,言語文化:2,論理国語:4,文学国語:4,国語表現:4,古典探究:4) 地理歴史(地理総合:2,地理探究:3,歴史総合:2,日本史探究:3,世界史探究:3) 公民(公共:2,倫理:2,政治・経済:2) 数学(数学Ⅰ:3,数学...
ウ 主として専門学科において開設される各教科・科目 各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる主として専門学科(専門教育を主とする学科をいう。以下同じ。)において開設される各教科・科目及び設置者の定めるそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及びそ...
農業(農業と環境,課題研究,総合実習,農業と情報,作物,野菜,果樹,草花,畜産,栽培と環境,飼育と環境,農業経営,農業機械,植物バイオテクノロジー,食品製造,食品化学,食品微生物,食品流通,森林科学,森林経営,林産物利用,農業土木設計,農業土木施工,水循環,造園計画,造園施工管理,...
工業(工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業情報数理,工業材料技術,工業技術英語,工業管理技術,工業環境技術,機械工作,機械設計,原動機,電子機械,生産技術,自動車工学,自動車整備,船舶工学,電気回路,電気機器,電力技術,電子技術,電子回路,電子計測制御,通信技術,プログラミング...
商業(ビジネス基礎,課題研究,総合実践,ビジネス・コミュニケーション,マーケティング,商品開発と流通,観光ビジネス,ビジネス・マネジメント,グローバル経済,ビジネス法規,簿記,財務会計Ⅰ,財務会計Ⅱ,原価計算,管理会計,情報処理,ソフトウェア活用,プログラミング,ネットワーク活用,...
水産(水産海洋基礎,課題研究,総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作,電気理論,移動体通信工学,海洋通信技術,資源増殖,海洋生物,海洋環境,小型船舶,食品製造,食品管理,水産流通,ダイビング,マリンスポーツ)
家庭(生活産業基礎,課題研究,生活産業情報,消費生活,保育基礎,保育実践,生活と福祉,住生活デザイン,服飾文化,ファッション造形基礎,ファッション造形,ファッションデザイン,服飾手芸,フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品,食品衛生,公衆衛生,総合調理実習)
看護(基礎看護,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと回復の促進,健康支援と社会保障制度,成人看護,老年看護,小児看護,母性看護,精神看護,在宅看護,看護の統合と実践,看護臨地実習,看護情報)
情報(情報産業と社会,課題研究,情報の表現と管理,情報テクノロジー,情報セキュリティ,情報システムのプログラミング,ネットワークシステム,データベース,情報デザイン,コンテンツの制作と発信,メディアとサービス,情報実習)
福祉(社会福祉基礎,介護福祉基礎,コミュニケーション技術,生活支援技術,介護過程,介護総合演習,介護実習,こころとからだの理解,福祉情報)
理数(理数数学Ⅰ,理数数学Ⅱ,理数数学特論,理数物理,理数化学,理数生物,理数地学)
体育(スポーツ概論,スポーツⅠ,スポーツⅡ,スポーツⅢ,スポーツⅣ,スポーツⅤ,スポーツⅥ,スポーツ総合演習)
音楽(音楽理論,音楽史,演奏研究,ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,鑑賞研究)
美術(美術概論,美術史,鑑賞研究,素描,構成,絵画,版画,彫刻,ビジュアルデザイン,クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環境造形)
英語(総合英語Ⅰ,総合英語Ⅱ,総合英語Ⅲ,ディベート・ディスカッションⅠ,ディベート・ディスカッションⅡ,エッセイライティングⅠ,エッセイライティングⅡ)
エ 学校設定科目 学校においては,生徒や学校,地域の実態及び学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,イ及びウの表に掲げる教科について,これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」という。)を設けることができる。この場合において,学校設定科目の名称,目標,内容,...
オ 学校設定教科
(ア) 学校においては,生徒や学校,地域の実態及び学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,イ及びウの表に掲げる教科以外の教科(以下「学校設定教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において,学校設定教科及び当該教科に関する科目の名称,目...
(イ) 学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標,内容,単位数等を各学校において定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとと...
㋐社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観,職業観の育成
㋑我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
㋒自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成
(2) 各教科・科目の履修等
ア 各学科に共通する必履修教科・科目及び総合的な探究の時間
(ア) 全ての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,(1)のイに標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,「数学Ⅰ」及び「英語コミュニケーショ...
㋐国語のうち「現代の国語」及び「言語文化」
㋑地理歴史のうち「地理総合」及び「歴史総合」
㋒公民のうち「公共」
㋓数学のうち「数学Ⅰ」
㋔理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目(うち1科目は「科学と人間生活」とする。)又は「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから3科目
㋕保健体育のうち「体育」及び「保健」
㋖芸術のうち「音楽Ⅰ」,「美術Ⅰ」,「工芸Ⅰ」及び「書道Ⅰ」のうちから1科目
㋗外国語のうち「英語コミュニケーションⅠ」(英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。)
㋘家庭のうち「家庭基礎」及び「家庭総合」のうちから1科目
㋙情報のうち「情報Ⅰ」
(イ) 総合的な探究の時間については,全ての生徒に履修させるものとし,その単位数は,(1)のイに標準単位数として示された単位数の下限を下らないものとする。ただし,特に必要がある場合には,その単位数を2単位とすることができる。
(ウ) 外国の高等学校に留学していた生徒について,外国の高等学校における履修により,必履修教科・科目又は総合的な探究の時間の履修と同様の成果が認められる場合においては,外国の高等学校における履修をもって相当する必履修教科・科目又は総合的な探究の時間の履修の一部又は全部に替えることが...
イ 専門学科における各教科・科目の履修 専門学科における各教科・科目の履修については,アのほか次のとおりとする。
(ア) 専門学科においては,専門教科・科目((1)のウの表に掲げる各教科・科目,同表に掲げる教科に属する学校設定科目及び専門教育に関する学校設定教科に関する科目をいう。以下同じ。)について,全ての生徒に履修させる単位数は,25単位を下らないこと。ただし,商業に関する学科においては,...
(イ) 専門教科・科目の履修によって,アの必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目の履修をもって,必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。
(ウ) 職業教育を主とする専門学科においては,総合的な探究の時間の履修により,農業,工業,商業,水産,家庭若しくは情報の各教科の「課題研究」,看護の「看護臨地実習」又は福祉の「介護総合演習」(以下「課題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な探究の時...
ウ 総合学科における各教科・科目の履修等 総合学科における各教科・科目の履修等については,アのほか次のとおりとする。
(ア) 総合学科においては,(1)のオの(イ)に掲げる「産業社会と人間」を全ての生徒に原則として入学年次に履修させるものとし,標準単位数は2~4単位とすること。
(イ) 総合学科においては,学年による教育課程の区分を設けない課程(以下「単位制による課程」という。)とすることを原則とするとともに,「産業社会と人間」及び専門教科・科目を合わせて25単位以上設け,生徒が多様な各教科・科目から主体的に選択履修できるようにすること。その際,生徒が選択...
(3) 各教科・科目等の授業時数等
ア 全日制の課程における各教科・科目及びホームルーム活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科・科目の授業を特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。)に行うことができる。
イ 全日制の課程における週当たりの授業時数は,30単位時間を標準とする。ただし,必要がある場合には,これを増加することができる。
ウ 定時制の課程における授業日数の季節的配分又は週若しくは1日当たりの授業時数については,生徒の勤労状況と地域の諸事情等を考慮して,適切に定めるものとする。
エ ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間以上とするものとする。
オ 生徒会活動及び学校行事については,学校の実態に応じて,それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。
カ 定時制の課程において,特別の事情がある場合には,ホームルーム活動の授業時数の一部を減じ,又はホームルーム活動及び生徒会活動の内容の一部を行わないものとすることができる。
キ 各教科・科目等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科・科目等の授業時数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。
ク 各教科・科目等の特質に応じ,10分から15分程度の短い時間を活用して特定の各教科・科目等の指導を行う場合において,当該各教科・科目等を担当する教師が単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した中で,その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されてい...
ケ 総合的な探究の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な探究の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。
コ 理数の「理数探究基礎」又は「理数探究」の履修により,総合的な探究の時間の履修と同様の成果が期待できる場合においては,「理数探究基礎」又は「理数探究」の履修をもって総合的な探究の時間の履修の一部又は全部に替えることができる。
(4) 選択履修の趣旨を生かした適切な教育課程の編成 教育課程の編成に当たっては,生徒の特性,進路等に応じた適切な各教科・科目の履修ができるようにし,このため,多様な各教科・科目を設け生徒が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また,教育課程の類型を設け,そのいずれ...
(5) 各教科・科目等の内容等の取扱い
ア 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することができる。また,第2章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,当該科目を履修する全ての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において必要がある場合には,この事項...
イ 第2章以下に示す各教科・科目及び特別活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
ウ 学校においては,あらかじめ計画して,各教科・科目の内容及び総合的な探究の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して指導することができる。
エ 学校においては,特に必要がある場合には,第2章及び第3章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で,各教科・科目の内容に関する事項について,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。
(6) 指導計画の作成に当たって配慮すべき事項 各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。
ア 各教科・科目等の指導内容については,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,第3款の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して資質・能力を育む効果的な指導ができるようにすること。
イ 各教科・科目等について相互の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。
(7) キャリア教育及び職業教育に関して配慮すべき事項
ア 学校においては,第5款の1に示すキャリア教育及び職業教育を推進するために,生徒の特性や進路,学校や地域の実態等を考慮し,地域や産業界等との連携を図り,産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験活動の機会を積極的に設けるとともに,地域や産業界等の人々の協力を積極的に...
イ 普通科においては,生徒の特性や進路,学校や地域の実態等を考慮し,必要に応じて,適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。
ウ 職業教育を主とする専門学科においては,次の事項に配慮するものとする。
(ア) 職業に関する各教科・科目については,実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。
(イ) 生徒の実態を考慮し,職業に関する各教科・科目の履修を容易にするため特別な配慮が必要な場合には,各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し,その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように取り扱い,また,主として実験・実習によって指導するなどの工夫をこら...
エ 職業に関する各教科・科目については,次の事項に配慮するものとする。
(ア) 職業に関する各教科・科目については,就業体験活動をもって実習に替えることができること。この場合,就業体験活動は,その各教科・科目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画し,評価されるものであることを要すること。
(イ) 農業,水産及び家庭に関する各教科・科目の指導に当たっては,ホームプロジェクト並びに学校家庭クラブ及び学校農業クラブなどの活動を活用して,学習の効果を上げるよう留意すること。この場合,ホームプロジェクトについては,その各教科・科目の授業時数の10分の2以内をこれに充てることが...
(ウ) 定時制及び通信制の課程において,職業に関する各教科・科目を履修する生徒が,現にその各教科・科目と密接な関係を有する職業(家事を含む。)に従事している場合で,その職業における実務等が,その各教科・科目の一部を履修した場合と同様の成果があると認められるときは,その実務等をもって...
4 学校段階等間の接続 教育課程の編成に当たっては,次の事項に配慮しながら,学校段階等間の接続を図るものとする。
(1) 現行の中学校学習指導要領を踏まえ,中学校教育までの学習の成果が高等学校教育に円滑に接続され,高等学校教育段階の終わりまでに育成することを目指す資質・能力を,生徒が確実に身に付けることができるよう工夫すること。特に,中等教育学校,連携型高等学校及び併設型高等学校においては,中...
(2) 生徒や学校の実態等に応じ,必要がある場合には,例えば次のような工夫を行い,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るようにすること。
ア 各教科・科目の指導に当たり,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けること。
イ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図りながら,必履修教科・科目の内容を十分に習得させることができるよう,その単位数を標準単位数の標準の限度を超えて増加して配当すること。
ウ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることを目標とした学校設定科目等を履修させた後に,必履修教科・科目を履修させるようにすること。
(3) 大学や専門学校等における教育や社会的・職業的自立,生涯にわたる学習のために,高等学校卒業以降の教育や職業との円滑な接続が図られるよう,関連する教育機関や企業等との連携により,卒業後の進路に求められる資質・能力を着実に育成することができるよう工夫すること。
5 通信制の課程における教育課程の特例 通信制の課程における教育課程については,1から4まで(3の(3),(4)並びに(7)のエの(ア)及び(イ)を除く。)並びに第1款及び第3款から第7款までに定めるところによるほか,次に定めるところによる。
(1) 各教科・科目の添削指導の回数及び面接指導の単位時間(1単位時間は,50分として計算するものとする。以下同じ。)数の標準は,1単位につき次の表のとおりとする。
国語,地理歴史,公民及び数学に属する科目(添削指導3回,面接指導1(単位時間)) 理科に属する科目(添削指導3回,面接指導4(単位時間)) 保健体育に属する科目のうち「体育」(添削指導1回,面接指導5(単位時間)) 保健体育に属する科目のうち「保健」(添削指導3回,面接指導1(単位...
(2) 学校設定教科に関する科目のうち専門教科・科目以外のものの添削指導の回数及び面接指導の単位時間数については,1単位につき,それぞれ1回以上及び1単位時間以上を確保した上で,各学校が適切に定めるものとする。
(3) 理数に属する科目及び総合的な探究の時間の添削指導の回数及び面接指導の単位時間数については,1単位につき,それぞれ1回以上及び1単位時間以上を確保した上で,各学校において,学習活動に応じ適切に定めるものとする。
(4) 各学校における面接指導の1回あたりの時間は,各学校において,(1)から(3)までの標準を踏まえ,各教科・科目及び総合的な探究の時間の面接指導の単位時間数を確保しつつ,生徒の実態並びに各教科・科目及び総合的な探究の時間の特質を考慮して適切に定めるものとする。
(5) 学校が,その指導計画に,各教科・科目又は特別活動について体系的に行われるラジオ放送,テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習を計画的かつ継続的に取り入れた場合で,生徒がこれらの方法により学習し,報告課題の作成等により,その成果が満足できると認められるときは,その生...
(6) 特別活動については,ホームルーム活動を含めて,各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導するものとする。なお,特別の事情がある場合には,ホームルーム活動及び生徒会活動の内容の一部を行わないものとすることができる。
第3款 教育課程の実施と学習評価
1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善 各教科・科目等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1款の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。 特に,各教科・科目等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,判断力,表現力等や...
(2) 第2款の2の(1)に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要な言語環境を整えるとともに,国語科を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて,生徒の言語活動を充実すること。あわせて,(6)に示すとおり読書活動を充実すること。
(3) 第2款の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活...
(4) 生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れるように工夫すること。
(5) 生徒が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよう,各教科・科目等の特質に応じた体験活動を重視し,家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
(6) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに,生徒の自主的,自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また,地域の図書館や博物館,美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資料を活用した情報の収...
2 学習評価の充実 学習評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し,学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また,各教科・科目等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して,学習の過程や成果を評価し,指導の...
(2) 創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,組織的かつ計画的な取組を推進するとともに,学年や学校段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。
第4款 単位の修得及び卒業の認定
1 各教科・科目及び総合的な探究の時間の単位の修得の認定
(1) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(2) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な探究の時間を履修し,その成果が第4章の第2の1に基づき定められる目標からみて満足できると認められる場合には,総合的な探究の時間について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
(3) 学校においては,生徒が1科目又は総合的な探究の時間を2以上の年次にわたって履修したときは,各年次ごとにその各教科・科目又は総合的な探究の時間について履修した単位を修得したことを認定することを原則とする。また,単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。
2 卒業までに修得させる単位数 学校においては,卒業までに修得させる単位数を定め,校長は,当該単位数を修得した者で,特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて,高等学校の全課程の修了を認定するものとする。この場合,卒業までに修得させる単位数は,74単位以上と...
3 各学年の課程の修了の認定 学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする。
第5款 生徒の発達の支援
1 生徒の発達を支える指導の充実 教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 学習や生活の基盤として,教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよい人間関係を育てるため,日頃からホームルーム経営の充実を図ること。また,主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと,個々の生徒の多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウン...
(2) 生徒が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校生活を送る中で,現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう,生徒理解を深め,学習指導と関連付けながら,生徒指導の充実を図ること。
(3) 生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路...
(4) 学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸長を図ること。また,生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるようにすること。
(5) 生徒が,基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に身に付けることができるよう,生徒や学校の実態に応じ,個別学習やグループ別学習,繰り返し学習,学習内容の習熟の程度に応じた学習,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り...
(6) 学習の遅れがちな生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い,生徒の実態に応じ,例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど,指導内容や指導方法を工夫すること。
2 特別な配慮を必要とする生徒への指導
(1) 障害のある生徒などへの指導
ア 障害のある生徒などについては,特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
イ 障害のある生徒に対して,学校教育法施行規則第140条の規定に基づき,特別の教育課程を編成し,障害に応じた特別の指導(以下「通級による指導」という。)を行う場合には,学校教育法施行規則第129条の規定により定める現行の特別支援学校高等部学習指導要領第6章に示す自立活動の内容を参考...
(ア) 学校においては,生徒が学校の定める個別の指導計画に従って通級による指導を履修し,その成果が個別に設定された指導目標からみて満足できると認められる場合には,当該学校の単位を修得したことを認定しなければならない。
(イ) 学校においては,生徒が通級による指導を2以上の年次にわたって履修したときは,各年次ごとに当該学校の単位を修得したことを認定することを原則とする。ただし,年度途中から通級による指導を開始するなど,特定の年度における授業時数が,1単位として計算する標準の単位時間に満たない場合は...
ウ 障害のある生徒などについては,家庭,地域及び医療や福祉,保健,労働等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で生徒への教育的支援を行うために,個別の教育支援計画を作成し活用することに努めるとともに,各教科・科目等の指導に当たって,個々の生徒の実態を的確に把握し,個別の指...
(2) 海外から帰国した生徒などの学校生活への適応や,日本語の習得に困難のある生徒に対する日本語指導
ア 海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うものとする。
イ 日本語の習得に困難のある生徒については,個々の生徒の実態に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。
(3) 不登校生徒への配慮
ア 不登校生徒については,保護者や関係機関と連携を図り,心理や福祉の専門家の助言又は援助を得ながら,社会的自立を目指す観点から,個々の生徒の実態に応じた情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
イ 相当の期間高等学校を欠席し引き続き欠席すると認められる生徒等を対象として,文部科学大臣が認める特別の教育課程を編成する場合には,生徒の実態に配慮した教育課程を編成するとともに,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫改善に努めるものとする。
第6款 学校運営上の留意事項
1 教育課程の改善と学校評価,教育課程外の活動との連携等
ア 各学校においては,校長の方針の下に,校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ,相互に連携しながら,各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行うよう努めるものとする。また,各学校が行う学校評価については,教育課程の編成,実施,改善が教育活動や学校運営の中核となるこ...
イ 教育課程の編成及び実施に当たっては,学校保健計画,学校安全計画,食に関する指導の全体計画,いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針など,各分野における学校の全体計画等と関連付けながら,効果的な指導が行われるように留意するものとする。
ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に,生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵(かん)養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校...
2 家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携 教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 学校がその目的を達成するため,学校や地域の実態等に応じ,教育活動の実施に必要な人的又は物的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整えるなど,家庭や地域社会との連携及び協働を深めること。また,高齢者や異年齢の子供など,地域における世代を越えた交流の機会を設けること。
イ 他の高等学校や,幼稚園,認定こども園,保育所,小学校,中学校,特別支援学校及び大学などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け,共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること。
第7款 道徳教育に関する配慮事項 道徳教育を進めるに当たっては,道徳教育の特質を踏まえ,第6款までに示す事項に加え,次の事項に配慮するものとする。
1 各学校においては,第1款の2の(2)に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,生徒や学...
2 道徳教育を進めるに当たっては,中学校までの特別の教科である道徳の学習等を通じて深めた,主として自分自身,人との関わり,集団や社会との関わり,生命や自然,崇高なものとの関わりに関する道徳的諸価値についての理解を基にしながら,様々な体験や思索の機会等を通して,人間としての在り方生き...
3 学校やホームルーム内の人間関係や環境を整えるとともに,就業体験活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導が,生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるように留...
4 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深めること。
第2章 各学科に共通する各教科
第1節 国語
第1款 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 生涯にわたる社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2) 生涯にわたる社会生活における他者との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を伸ばす。
(3) 言葉のもつ価値への認識を深めるとともに,言語感覚を磨き,我が国の言語文化の担い手としての自覚をもち,生涯にわたり国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 現代の国語
1 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 実社会に必要な国語の知識や技能を身に付けるようにする。
(2) 論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばし,他者との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって読書に親しみ自己を向上させ,我が国の言語文化の担い手としての自覚をもち,言葉を通して他者や社会に関わろうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,認識や思考を支える働きがあることを理解すること。
イ 話し言葉と書き言葉の特徴や役割,表現の特色を踏まえ,正確さ,分かりやすさ,適切さ,敬意と親しさなどに配慮した表現や言葉遣いについて理解し,使うこと。
ウ 常用漢字の読みに慣れ,主な常用漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
エ 実社会において理解したり表現したりするために必要な語句の量を増すとともに,語句や語彙の構造や特色,用法及び表記の仕方などを理解し,話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
オ 文,話,文章の効果的な組立て方や接続の仕方について理解すること。
カ 比喩,例示,言い換えなどの修辞や,直接的な述べ方や婉(えん)曲的な述べ方について理解し使うこと。
(2) 話や文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 主張と論拠など情報と情報との関係について理解すること。
イ 個別の情報と一般化された情報との関係について理解すること。
ウ 推論の仕方を理解し使うこと。
エ 情報の妥当性や信頼性の吟味の仕方について理解を深め使うこと。
オ 引用の仕方や出典の示し方,それらの必要性について理解を深め使うこと。
(3) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 実社会との関わりを考えるための読書の意義と効用について理解を深めること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場に応じて,実社会の中から適切な話題を決め,様々な観点から情報を収集,整理して,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の考えが的確に伝わるよう,自分の立場や考えを明確にするとともに,相手の反応を予想して論理の展開を考えるなど,話の構成や展開を工夫すること。
ウ 話し言葉の特徴を踏まえて話したり,場の状況に応じて資料や機器を効果的に用いたりするなど,相手の理解が得られるように表現を工夫すること。
エ 論理の展開を予想しながら聞き,話の内容や構成,論理の展開,表現の仕方を評価するとともに,聞き取った情報を整理して自分の考えを広げたり深めたりすること。
オ 論点を共有し,考えを広げたり深めたりしながら,話合いの目的,種類,状況に応じて,表現や進行など話合いの仕方や結論の出し方を工夫すること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 自分の考えについてスピーチをしたり,それを聞いて,同意したり,質問したり,論拠を示して反論したりする活動。
イ 報告や連絡,案内などのために,資料に基づいて必要な事柄を話したり,それらを聞いて,質問したり批評したりする活動。
ウ 話合いの目的に応じて結論を得たり,多様な考えを引き出したりするための議論や討論を,他の議論や討論の記録などを参考にしながら行う活動。
エ 集めた情報を資料にまとめ,聴衆に対して発表する活動。
B 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,実社会の中から適切な題材を決め,集めた情報の妥当性や信頼性を吟味して,伝えたいことを明確にすること。
イ 読み手の理解が得られるよう,論理の展開,情報の分量や重要度などを考えて,文章の構成や展開を工夫すること。
ウ 自分の考えや事柄が的確に伝わるよう,根拠の示し方や説明の仕方を考えるとともに,文章の種類や,文体,語句などの表現の仕方を工夫すること。
エ 目的や意図に応じて書かれているかなどを確かめて,文章全体を整えたり,読み手からの助言などを踏まえて,自分の文章の特長や課題を捉え直したりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 論理的な文章や実用的な文章を読み,本文や資料を引用しながら,自分の意見や考えを論述する活動。
イ 読み手が必要とする情報に応じて手順書や紹介文などを書いたり,書式を踏まえて案内文や通知文などを書いたりする活動。
ウ 調べたことを整理して,報告書や説明資料などにまとめる活動。
C 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,内容や構成,論理の展開などについて叙述を基に的確に捉え,要旨や要点を把握すること。
イ 目的に応じて,文章や図表などに含まれている情報を相互に関係付けながら,内容や書き手の意図を解釈したり,文章の構成や論理の展開などについて評価したりするとともに,自分の考えを深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 論理的な文章や実用的な文章を読み,その内容や形式について,引用や要約などをしながら論述したり批評したりする活動。
イ 異なる形式で書かれた複数の文章や,図表等を伴う文章を読み,理解したことや解釈したことをまとめて発表したり,他の形式の文章に書き換えたりする活動。
3 内容の取扱い
(1) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕における授業時数については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A話すこと・聞くこと」に関する指導については,20~30単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
イ 「B書くこと」に関する指導については,30~40単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
ウ 「C読むこと」に関する指導については,10~20単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
(2) 内容の〔知識及び技能〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア (1)のウの指導については,「言語文化」の内容の〔知識及び技能〕の(1)のイの指導との関連を図り,計画的に指導すること。
(3) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A話すこと・聞くこと」に関する指導については,必要に応じて,口語のきまり,敬語の用法などを扱うこと。
イ 「B書くこと」に関する指導については,中学校国語科の書写との関連を図り,効果的に文字を書く機会を設けること。
(4) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「C読むこと」の教材は,現代の社会生活に必要とされる論理的な文章及び実用的な文章とすること。
イ 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」,「B書くこと」及び「C読むこと」のそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
ウ 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
(ア) 言語文化に対する関心や理解を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
(イ) 日常の言葉遣いなど言語生活に関心をもち,伝え合う力を高めるのに役立つこと。
(ウ) 思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨くのに役立つこと。
(エ) 情報を活用して,公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
(オ) 科学的,論理的に物事を捉え考察し,視野を広げるのに役立つこと。
(カ) 生活や人生について考えを深め,人間性を豊かにし,たくましく生きる意志を培うのに役立つこと。
(キ) 人間,社会,自然などに広く目を向け,考えを深めるのに役立つこと。
(ク) 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を高めるのに役立つこと。
第2 言語文化
1 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 生涯にわたる社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に対する理解を深めることができるようにする。
(2) 論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばし,他者との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって読書に親しみ自己を向上させ,我が国の言語文化の担い手としての自覚をもち,言葉を通して他者や社会に関わろうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,文化の継承,発展,創造を支える働きがあることを理解すること。
イ 常用漢字の読みに慣れ,主な常用漢字を書き,文や文章の中で使うこと。
ウ 我が国の言語文化に特徴的な語句の量を増し,それらの文化的背景について理解を深め,文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
エ 文章の意味は,文脈の中で形成されることを理解すること。
オ 本歌取りや見立てなどの我が国の言語文化に特徴的な表現の技法とその効果について理解すること。
(2) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 我が国の言語文化の特質や我が国の文化と外国の文化との関係について理解すること。
イ 古典の世界に親しむために,作品や文章の歴史的・文化的背景などを理解すること。
ウ 古典の世界に親しむために,古典を読むために必要な文語のきまりや訓読のきまり,古典特有の表現などについて理解すること。
エ 時間の経過や地域の文化的特徴などによる文字や言葉の変化について理解を深め,古典の言葉と現代の言葉とのつながりについて理解すること。
オ 言文一致体や和漢混交文など歴史的な文体の変化について理解を深めること。
カ 我が国の言語文化への理解につながる読書の意義と効用について理解を深めること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 自分の知識や体験の中から適切な題材を決め,集めた材料のよさや味わいを吟味して,表現したいことを明確にすること。
イ 自分の体験や思いが効果的に伝わるよう,文章の種類,構成,展開や,文体,描写,語句などの表現の仕方を工夫すること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 本歌取りや折句などを用いて,感じたことや発見したことを短歌や俳句で表したり,伝統行事や風物詩などの文化に関する題材を選んで,随筆などを書いたりする活動。
B 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,内容や構成,展開などについて叙述を基に的確に捉えること。
イ 作品や文章に表れているものの見方,感じ方,考え方を捉え,内容を解釈すること。
ウ 文章の構成や展開,表現の仕方,表現の特色について評価すること。
エ 作品や文章の成立した背景や他の作品などとの関係を踏まえ,内容の解釈を深めること。
オ 作品の内容や解釈を踏まえ,自分のものの見方,感じ方,考え方を深め,我が国の言語文化について自分の考えをもつこと。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 我が国の伝統や文化について書かれた解説や評論,随筆などを読み,我が国の言語文化について論述したり発表したりする活動。
イ 作品の内容や形式について,批評したり討論したりする活動。
ウ 異なる時代に成立した随筆や小説,物語などを読み比べ,それらを比較して論じたり批評したりする活動。
エ 和歌や俳句などを読み,書き換えたり外国語に訳したりすることなどを通して互いの解釈の違いについて話し合ったり,テーマを立ててまとめたりする活動。
オ 古典から受け継がれてきた詩歌や芸能の題材,内容,表現の技法などについて調べ,その成果を発表したり文章にまとめたりする活動。
3 内容の取扱い
(1) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕における授業時数については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A書くこと」に関する指導については,5~10単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
イ 「B読むこと」の古典に関する指導については,40~45単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導するとともに,古典における古文と漢文の割合は,一方に偏らないようにすること。その際,古典について解説した近代以降の文章などを活用するなどして,我が国の言語文化への理解を深めるよう指...
ウ 「B読むこと」の近代以降の文章に関する指導については,20単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。その際,我が国の伝統と文化に関する近代以降の論理的な文章や古典に関連する近代以降の文学的な文章を活用するなどして,我が国の言語文化への理解を深めるよう指導を工夫するこ...
(2) 内容の〔知識及び技能〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア (1)のイの指導については,「現代の国語」の内容の〔知識及び技能〕の(1)のウの指導との関連を図り,計画的に指導すること。
イ (2)のウの指導については,〔思考力,判断力,表現力等〕の「B読むこと」の指導に即して行うこと。
(3) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A書くこと」に関する指導については,中学校国語科の書写との関連を図り,効果的に文字を書く機会を設けること。
イ 「B読むこと」に関する指導については,文章を読み深めるため,音読,朗読,暗唱などを取り入れること。
(4) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「B読むこと」の教材は,古典及び近代以降の文章とし,日本漢文,近代以降の文語文や漢詩文などを含めるとともに,我が国の言語文化への理解を深める学習に資するよう,我が国の伝統と文化や古典に関連する近代以降の文章を取り上げること。また,必要に応じて...
イ 古典の教材については,表記を工夫し,注釈,傍注,解説,現代語訳などを適切に用い,特に漢文については訓点を付け,必要に応じて書き下し文を用いるなど理解しやすいようにすること。
ウ 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A書くこと」及び「B読むこと」のそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
エ 教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
(ア) 言語文化に対する関心や理解を深め,国語を尊重する態度を育てるのに役立つこと。
(イ) 日常の言葉遣いなど言語生活に関心をもち,伝え合う力を高めるのに役立つこと。
(ウ) 思考力や想像力を伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨くのに役立つこと。
(エ) 情報を活用して,公正かつ適切に判断する能力や創造的精神を養うのに役立つこと。
(オ) 生活や人生について考えを深め,人間性を豊かにし,たくましく生きる意志を培うのに役立つこと。
(カ) 人間,社会,自然などに広く目を向け,考えを深めるのに役立つこと。
(キ) 我が国の伝統と文化に対する関心や理解を深め,それらを尊重する態度を育てるのに役立つこと。
(ク) 広い視野から国際理解を深め,日本人としての自覚をもち,国際協調の精神を高めるのに役立つこと。
オ 古典の教材は,次のような観点に配慮して取り上げること。
(ア) 伝統的な言語文化への理解を深め,古典を進んで学習する意欲や態度を養うのに役立つこと。
(イ) 人間,社会,自然などに対する様々な時代の人々のものの見方,感じ方,考え方について理解を深めるのに役立つこと。
(ウ) 様々な時代の人々の生き方や自分の生き方について考えたり,我が国の伝統と文化について理解を深めたりするのに役立つこと。
(エ) 古典を読むのに必要な知識を身に付けるのに役立つこと。
(オ) 現代の国語について考えたり,言語感覚を豊かにしたりするのに役立つこと。
(カ) 中国など外国の文化との関係について理解を深めるのに役立つこと。
第3 論理国語
1 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 実社会に必要な国語の知識や技能を身に付けるようにする。
(2) 論理的,批判的に考える力を伸ばすとともに,創造的に考える力を養い,他者との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって読書に親しみ自己を向上させ,我が国の言語文化の担い手としての自覚を深め,言葉を通して他者や社会に関わろうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,言葉そのものを認識したり説明したりすることを可能にする働きがあることを理解すること。
イ 論証したり学術的な学習の基礎を学んだりするために必要な語句の量を増し,文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
ウ 文や文章の効果的な組立て方や接続の仕方について理解を深めること。
エ 文章の種類に基づく効果的な段落の構造や論の形式など,文章の構成や展開の仕方について理解を深めること。
(2) 文章に含まれている情報の扱い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 主張とその前提や反証など情報と情報との関係について理解を深めること。
イ 情報を重要度や抽象度などによって階層化して整理する方法について理解を深め使うこと。
ウ 推論の仕方について理解を深め使うこと。
(3) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 新たな考えの構築に資する読書の意義と効用について理解を深めること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 実社会や学術的な学習の基礎に関する事柄について,書き手の立場や論点などの様々な観点から情報を収集,整理して,目的や意図に応じた適切な題材を決めること。
イ 情報の妥当性や信頼性を吟味しながら,自分の立場や論点を明確にして,主張を支える適切な根拠をそろえること。
ウ 立場の異なる読み手を説得するために,批判的に読まれることを想定して,効果的な文章の構成や論理の展開を工夫すること。
エ 多面的・多角的な視点から自分の考えを見直したり,根拠や論拠の吟味を重ねたりして,主張を明確にすること。
オ 個々の文の表現の仕方や段落の構造を吟味するなど,文章全体の論理の明晰(せき)さを確かめ,自分の主張が的確に伝わる文章になるよう工夫すること。
カ 文章の構成や展開,表現の仕方などについて,自分の主張が的確に伝わるように書かれているかなどを吟味して,文章全体を整えたり,読み手からの助言などを踏まえて,自分の文章の特長や課題を捉え直したりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 特定の資料について,様々な観点から概要などをまとめる活動。
イ 設定した題材について,分析した内容を報告文などにまとめたり,仮説を立てて考察した内容を意見文などにまとめたりする活動。
ウ 社会的な話題について書かれた論説文やその関連資料を参考にして,自分の考えを短い論文にまとめ,批評し合う活動。
エ 設定した題材について多様な資料を集め,調べたことを整理して,様々な観点から自分の意見や考えを論述する活動。
B 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,内容や構成,論理の展開などを的確に捉え,論点を明確にしながら要旨を把握すること。
イ 文章の種類を踏まえて,資料との関係を把握し,内容や構成を的確に捉えること。
ウ 主張を支える根拠や結論を導く論拠を批判的に検討し,文章や資料の妥当性や信頼性を吟味して内容を解釈すること。
エ 文章の構成や論理の展開,表現の仕方について,書き手の意図との関係において多面的・多角的な視点から評価すること。
オ 関連する文章や資料を基に,書き手の立場や目的を考えながら,内容の解釈を深めること。
カ 人間,社会,自然などについて,文章の内容や解釈を多様な論点や異なる価値観と結び付けて,新たな観点から自分の考えを深めること。
キ 設定した題材に関連する複数の文章や資料を基に,必要な情報を関係付けて自分の考えを広げたり深めたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 論理的な文章や実用的な文章を読み,その内容や形式について,批評したり討論したりする活動。
イ 社会的な話題について書かれた論説文やその関連資料を読み,それらの内容を基に,自分の考えを論述したり討論したりする活動。
ウ 学術的な学習の基礎に関する事柄について書かれた短い論文を読み,自分の考えを論述したり発表したりする活動。
エ 同じ事柄について異なる論点をもつ複数の文章を読み比べ,それらを比較して論じたり批評したりする活動。
オ 関心をもった事柄について様々な資料を調べ,その成果を発表したり報告書や短い論文などにまとめたりする活動。
3 内容の取扱い
(1) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕における授業時数については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A書くこと」に関する指導については,50~60単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
イ 「B読むこと」に関する指導については,80~90単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
(2) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「B読むこと」に関する指導については,必要に応じて,近代以降の文章の変遷を扱うこと。
(3) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「B読むこと」の教材は,近代以降の論理的な文章及び現代の社会生活に必要とされる実用的な文章とすること。また,必要に応じて,翻訳の文章や古典における論理的な文章などを用いることができること。
イ 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A書くこと」及び「B読むこと」のそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
第4 文学国語
1 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 生涯にわたる社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の言語文化に対する理解を深めることができるようにする。
(2) 深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばすとともに,創造的に考える力を養い,他者との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって読書に親しみ自己を向上させ,我が国の言語文化の担い手としての自覚を深め,言葉を通して他者や社会に関わろうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,想像や心情を豊かにする働きがあることを理解すること。
イ 情景の豊かさや心情の機微を表す語句の量を増し,文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
ウ 文学的な文章やそれに関する文章の種類や特徴などについて理解を深めること。
エ 文学的な文章における文体の特徴や修辞などの表現の技法について,体系的に理解し使うこと。
(2) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文学的な文章を読むことを通して,我が国の言語文化の特質について理解を深めること。
イ 人間,社会,自然などに対するものの見方,感じ方,考え方を豊かにする読書の意義と効用について理解を深めること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文学的な文章を書くために,選んだ題材に応じて情報を収集,整理して,表現したいことを明確にすること。
イ 読み手の関心が得られるよう,文章の構成や展開を工夫すること。
ウ 文体の特徴や修辞の働きなどを考慮して,読み手を引き付ける独創的な文章になるよう工夫すること。
エ 文章の構成や展開,表現の仕方などについて,伝えたいことや感じてもらいたいことが伝わるように書かれているかなどを吟味して,文章全体を整えたり,読み手からの助言などを踏まえて,自分の文章の特長や課題を捉え直したりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 自由に発想したり評論を参考にしたりして,小説や詩歌などを創作し,批評し合う活動。
イ 登場人物の心情や情景の描写を,文体や表現の技法等に注意して書き換え,その際に工夫したことなどを話し合ったり,文章にまとめたりする活動。
ウ 古典を題材として小説を書くなど,翻案作品を創作する活動。
エ グループで同じ題材を書き継いで一つの作品をつくるなど,共同で作品制作に取り組む活動。
B 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,内容や構成,展開,描写の仕方などを的確に捉えること。
イ 語り手の視点や場面の設定の仕方,表現の特色について評価することを通して,内容を解釈すること。
ウ 他の作品と比較するなどして,文体の特徴や効果について考察すること。
エ 文章の構成や展開,表現の仕方を踏まえ,解釈の多様性について考察すること。
オ 作品に表れているものの見方,感じ方,考え方を捉えるとともに,作品が成立した背景や他の作品などとの関係を踏まえ,作品の解釈を深めること。
カ 作品の内容や解釈を踏まえ,人間,社会,自然などに対するものの見方,感じ方,考え方を深めること。
キ 設定した題材に関連する複数の作品などを基に,自分のものの見方,感じ方,考え方を深めること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 作品の内容や形式について,書評を書いたり,自分の解釈や見解を基に議論したりする活動。
イ 作品の内容や形式に対する評価について,評論や解説を参考にしながら,論述したり討論したりする活動。
ウ 小説を,脚本や絵本などの他の形式の作品に書き換える活動。
エ 演劇や映画の作品と基になった作品とを比較して,批評文や紹介文などをまとめる活動。
オ テーマを立てて詩文を集め,アンソロジーを作成して発表し合い,互いに批評する活動。
カ 作品に関連のある事柄について様々な資料を調べ,その成果を発表したり短い論文などにまとめたりする活動。
3 内容の取扱い
(1) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕における授業時数については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A書くこと」に関する指導については,30~40単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
イ 「B読むこと」に関する指導については,100~110単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
(2) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「B読むこと」に関する指導については,必要に応じて,文学の変遷を扱うこと。
(3) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「B読むこと」の教材は,近代以降の文学的な文章とすること。また,必要に応じて,翻訳の文章,古典における文学的な文章,近代以降の文語文,演劇や映画の作品及び文学などについての評論文などを用いることができること。
イ 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A書くこと」及び「B読むこと」のそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
第5 国語表現
1 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 実社会に必要な国語の知識や技能を身に付けるようにする。
(2) 論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばし,実社会における他者との多様な関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって読書に親しみ自己を向上させ,我が国の言語文化の担い手としての自覚を深め,言葉を通して他者や社会に関わろうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 言葉には,自己と他者の相互理解を深める働きがあることを理解すること。
イ 話し言葉と書き言葉の特徴や役割,表現の特色について理解を深め,伝え合う目的や場面,相手,手段に応じた適切な表現や言葉遣いを理解し,使い分けること。
ウ 自分の思いや考えを多彩に表現するために必要な語句の量を増し,話や文章の中で使うことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
エ 実用的な文章などの種類や特徴,構成や展開の仕方などについて理解を深めること。
オ 省略や反復などの表現の技法について理解を深め使うこと。
(2) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 自分の思いや考えを伝える際の言語表現を豊かにする読書の意義と効用について理解を深めること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 話すこと・聞くこと
(1) 話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や場に応じて,実社会の問題や自分に関わる事柄の中から話題を決め,他者との多様な交流を想定しながら情報を収集,整理して,伝え合う内容を検討すること。
イ 自分の主張の合理性が伝わるよう,適切な根拠を効果的に用いるとともに,相手の反論を想定して論理の展開を考えるなど,話の構成や展開を工夫すること。
ウ 自分の思いや考えが伝わるよう,具体例を効果的に配置するなど,話の構成や展開を工夫すること。
エ 相手の反応に応じて言葉を選んだり,場の状況に応じて資料や機器を効果的に用いたりするなど,相手の同意や共感が得られるように表現を工夫すること。
オ 論点を明確にして自分の考えと比較しながら聞き,話の内容や構成,論理の展開,表現の仕方を評価するとともに,聞き取った情報を吟味して自分の考えを広げたり深めたりすること。
カ 視点を明確にして聞きながら,話の内容に対する共感を伝えたり,相手の思いや考えを引き出したりする工夫をして,自分の思いや考えを広げたり深めたりすること。
キ 互いの主張や論拠を吟味したり,話合いの進行や展開を助けたりするために発言を工夫するなど,考えを広げたり深めたりしながら,話合いの仕方や結論の出し方を工夫すること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 聴衆に対してスピーチをしたり,面接の場で自分のことを伝えたり,それらを聞いて批評したりする活動。
イ 他者に連絡したり,紹介や依頼などをするために話をしたり,それらを聞いて批評したりする活動。
ウ 異なる世代の人や初対面の人にインタビューをしたり,報道や記録の映像などを見たり聞いたりしたことをまとめて,発表する活動。
エ 話合いの目的に応じて結論を得たり,多様な考えを引き出したりするための議論や討論を行い,その記録を基に話合いの仕方や結論の出し方について批評する活動。
オ 設定した題材について調べたことを,図表や画像なども用いながら発表資料にまとめ,聴衆に対して説明する活動。
B 書くこと
(1) 書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 目的や意図に応じて,実社会の問題や自分に関わる事柄の中から適切な題材を決め,情報の組合せなどを工夫して,伝えたいことを明確にすること。
イ 読み手の同意が得られるよう,適切な根拠を効果的に用いるとともに,反論などを想定して論理の展開を考えるなど,文章の構成や展開を工夫すること。
ウ 読み手の共感が得られるよう,適切な具体例を効果的に配置するなど,文章の構成や展開を工夫すること。
エ 自分の考えを明確にし,根拠となる情報を基に的確に説明するなど,表現の仕方を工夫すること。
オ 自分の思いや考えを明確にし,事象を的確に描写したり説明したりするなど,表現の仕方を工夫すること。
カ 読み手に対して自分の思いや考えが効果的に伝わるように書かれているかなどを吟味して,文章全体を整えたり,読み手からの助言などを踏まえて,自分の文章の特長や課題を捉え直したりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 社会的な話題や自己の将来などを題材に,自分の思いや考えについて,文章の種類を選んで書く活動。
イ 文章と図表や画像などを関係付けながら,企画書や報告書などを作成する活動。
ウ 説明書や報告書の内容を,目的や読み手に応じて再構成し,広報資料などの別の形式に書き換える活動。
エ 紹介,連絡,依頼などの実務的な手紙や電子メールを書く活動。
オ 設定した題材について多様な資料を集め,調べたことを整理したり話し合ったりして,自分や集団の意見を提案書などにまとめる活動。
カ 異なる世代の人や初対面の人にインタビューをするなどして聞いたことを,報告書などにまとめる活動。
3 内容の取扱い
(1) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕における授業時数については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A話すこと・聞くこと」に関する指導については,40~50単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
イ 「B書くこと」に関する指導については,90~100単位時間程度を配当するものとし,計画的に指導すること。
(2) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 「A話すこと・聞くこと」に関する指導については,必要に応じて,発声や発音の仕方,話す速度などを扱うこと。
イ 「B書くこと」に関する指導については,必要に応じて,文章の形式などを扱うこと。
(3) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」の教材は,必要に応じて,音声や画像の資料などを用いることができること。
イ 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」及び「B書くこと」のそれぞれの(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
第6 古典探究
1 目標 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 生涯にわたる社会生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに,我が国の伝統的な言語文化に対する理解を深めることができるようにする。
(2) 論理的に考える力や深く共感したり豊かに想像したりする力を伸ばし,古典などを通した先人のものの見方,感じ方,考え方との関わりの中で伝え合う力を高め,自分の思いや考えを広げたり深めたりすることができるようにする。
(3) 言葉がもつ価値への認識を深めるとともに,生涯にわたって古典に親しみ自己を向上させ,我が国の言語文化の担い手としての自覚を深め,言葉を通して他者や社会に関わろうとする態度を養う。
2 内容
〔知識及び技能〕
(1) 言葉の特徴や使い方に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 古典に用いられている語句の意味や用法を理解し,古典を読むために必要な語句の量を増すことを通して,語感を磨き語彙を豊かにすること。
イ 古典の作品や文章の種類とその特徴について理解を深めること。
ウ 古典の文の成分の順序や照応,文章の構成や展開の仕方について理解を深めること。
エ 古典の作品や文章に表れている,言葉の響きやリズム,修辞などの表現の特色について理解を深めること。
(2) 我が国の言語文化に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 古典などを読むことを通して,我が国の文化の特質や,我が国の文化と中国など外国の文化との関係について理解を深めること。
イ 古典を読むために必要な文語のきまりや訓読のきまりについて理解を深めること。
ウ 時間の経過による言葉の変化や,古典が現代の言葉の成り立ちにもたらした影響について理解を深めること。
エ 先人のものの見方,感じ方,考え方に親しみ,自分のものの見方,感じ方,考え方を豊かにする読書の意義と効用について理解を深めること。
〔思考力,判断力,表現力等〕
A 読むこと
(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の種類を踏まえて,構成や展開などを的確に捉えること。
イ 文章の種類を踏まえて,古典特有の表現に注意して内容を的確に捉えること。
ウ 必要に応じて書き手の考えや目的,意図を捉えて内容を解釈するとともに,文章の構成や展開,表現の特色について評価すること。
エ 作品の成立した背景や他の作品などとの関係を踏まえながら古典などを読み,その内容の解釈を深め,作品の価値について考察すること。
オ 古典の作品や文章について,内容や解釈を自分の知見と結び付け,考えを広げたり深めたりすること。
カ 古典の作品や文章などに表れているものの見方,感じ方,考え方を踏まえ,人間,社会,自然などに対する自分の考えを広げたり深めたりすること。
キ 関心をもった事柄に関連する様々な古典の作品や文章などを基に,自分のものの見方,感じ方,考え方を深めること。
ク 古典の作品や文章を多面的・多角的な視点から評価することを通して,我が国の言語文化について自分の考えを広げたり深めたりすること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 古典の作品や文章を読み,その内容や形式などに関して興味をもったことや疑問に感じたことについて,調べて発表したり議論したりする活動。
イ 同じ題材を取り上げた複数の古典の作品や文章を読み比べ,思想や感情などの共通点や相違点について論述したり発表したりする活動。
ウ 古典を読み,その語彙や表現の技法などを参考にして,和歌や俳諧,漢詩を創作したり,体験したことや感じたことを文語で書いたりする活動。
エ 古典の作品について,その内容の解釈を踏まえて朗読する活動。
オ 古典の作品に関連のある事柄について様々な資料を調べ,その成果を発表したり報告書などにまとめたりする活動。
カ 古典の言葉を現代の言葉と比較し,その変遷について社会的背景と関連付けながら古典などを読み,分かったことや考えたことを短い論文などにまとめる活動。
キ 往来物や漢文の名句・名言などを読み,社会生活に役立つ知識の文例を集め,それらの現代における意義や価値などについて随筆などにまとめる活動。
3 内容の取扱い
(1) 内容の〔知識及び技能〕に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア (2)のイの指導については,〔思考力,判断力,表現力等〕の「A読むこと」の指導に即して行い,必要に応じてある程度まとまった学習もできるようにすること。
(2) 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A読むこと」に関する指導については,次の事項に配慮するものとする。
ア 古文及び漢文の両方を取り上げるものとし,一方に偏らないようにすること。
イ 古典を読み深めるため,音読,朗読,暗唱などを取り入れること。
ウ 必要に応じて,古典の変遷を扱うこと。
(3) 教材については,次の事項に留意するものとする。
ア 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A読むこと」の教材は,古典としての古文及び漢文とし,日本漢文を含めるとともに,論理的に考える力を伸ばすよう,古典における論理的な文章を取り上げること。また,必要に応じて,近代以降の文語文や漢詩文,古典についての評論文などを用いることができる...
イ 内容の〔思考力,判断力,表現力等〕の「A読むこと」の(2)に掲げる言語活動が十分行われるよう教材を選定すること。
ウ 教材は,言語文化の変遷について理解を深める学習に資するよう,文章の種類,長短や難易などに配慮して適当な部分を取り上げること。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,言葉の特徴や使い方などを理解し自分の思いや考えを深める学習の充実を図ること。
(2) 「論理国語」,「文学国語」,「国語表現」及び「古典探究」の各科目については,原則として,「現代の国語」及び「言語文化」を履修した後に履修させること。
(3) 各科目の内容の〔知識及び技能〕に示す事項については,〔思考力,判断力,表現力等〕に示す事項の指導を通して指導することを基本とすること。
(4) 「現代の国語」及び「言語文化」の指導については,中学校国語科との関連を十分に考慮すること。
(5) 言語能力の向上を図る観点から,外国語科など他教科等との関連を積極的に図り,指導の効果を高めるようにすること。
(6) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の内容の〔知識及び技能〕に示す事項については,日常の言語活動を振り返ることなどを通して,生徒が,実際に話したり聞いたり書いたり読んだりする場面を意識できるよう指導を工夫すること。
(2) 生徒の読書意欲を喚起し,読書の幅を一層広げ,読書の習慣を養うとともに,文字・活字文化に対する理解が深まるようにすること。
(3) 生徒がコンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。
(4) 学校図書館などを目的をもって計画的に利用しその機能の活用を図るようにすること。
3 教材については,各科目の3に示す事項のほか,次の事項に留意するものとする。
(1) 教材は,各科目の内容の〔知識及び技能〕及び〔思考力,判断力,表現力等〕に示す資質・能力を偏りなく養うことや読書に親しむ態度を育成することをねらいとし,生徒の発達の段階に即して適切な話題や題材を精選して調和的に取り上げること。また,必要に応じて音声言語や画像による教材を用い,...
(2) 「論理国語」及び「国語表現」は,「現代の国語」の3の(4)のウに示す事項について,「文学国語」は「言語文化」の3の(4)のエに示す事項について,「古典探究」は「言語文化」の3の(4)のイ及びオに示す事項について留意すること。
第2節 地 理 歴 史
第1款 目標 社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 現代世界の地域的特色と日本及び世界の歴史の展開に関して理解するとともに,調査や諸資料から様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 地理や歴史に関わる事象の意味や意義,特色や相互の関連を,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,社会に見られる課題の解決に向けて構想したりする力や,考察,構想したことを効果的に説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
(3) 地理や歴史に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される日本国民としての自覚,我が国の国土や歴史に対する愛情,他国や他国の文化を尊重することの大切さについての自覚な...
第2款 各 科 目
第1 地理総合
1 目標 社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 地理に関わる諸事象に関して,世界の生活文化の多様性や,防災,地域や地球的課題への取組などを理解するとともに,地図や地理情報システムなどを用いて,調査や諸資料から地理に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 地理に関わる事象の意味や意義,特色や相互の関連を,位置や分布,場所,人間と自然環境との相互依存関係,空間的相互依存作用,地域などに着目して,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,地理的な課題の解決に向けて構想したりする力や,考察,構想したことを効果的に説明したり,そ...
(3) 地理に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される日本国民としての自覚,我が国の国土に対する愛情,世界の諸地域の多様な生活文化を尊重しようとする...
2 内容
A 地図や地理情報システムで捉える現代世界
(1) 地図や地理情報システムと現代世界 位置や分布などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 現代世界の地域構成を示した様々な地図の読図などを基に,方位や時差,日本の位置と領域,国内や国家間の結び付きなどについて理解すること。
(イ) 日常生活の中で見られる様々な地図の読図などを基に,地図や地理情報システムの役割や有用性などについて理解すること。
(ウ) 現代世界の様々な地理情報について,地図や地理情報システムなどを用いて,その情報を収集し,読み取り,まとめる基礎的・基本的な技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 現代世界の地域構成について,位置や範囲などに着目して,主題を設定し,世界的視野から見た日本の位置,国内や国家間の結び付きなどを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 地図や地理情報システムについて,位置や範囲,縮尺などに着目して,目的や用途,内容,適切な活用の仕方などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 国際理解と国際協力
(1) 生活文化の多様性と国際理解 場所や人間と自然環境との相互依存関係などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界の人々の特色ある生活文化を基に,人々の生活文化が地理的環境から影響を受けたり,影響を与えたりして多様性をもつことや,地理的環境の変化によって変容することなどについて理解すること。
(イ) 世界の人々の特色ある生活文化を基に,自他の文化を尊重し国際理解を図ることの重要性などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 世界の人々の生活文化について,その生活文化が見られる場所の特徴や自然及び社会的条件との関わりなどに着目して,主題を設定し,多様性や変容の要因などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 地球的課題と国際協力 空間的相互依存作用や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界各地で見られる地球環境問題,資源・エネルギー問題,人口・食料問題及び居住・都市問題などを基に,地球的課題の各地で共通する傾向性や課題相互の関連性などについて大観し理解すること。
(イ) 世界各地で見られる地球環境問題,資源・エネルギー問題,人口・食料問題及び居住・都市問題などを基に,地球的課題の解決には持続可能な社会の実現を目指した各国の取組や国際協力が必要であることなどについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 世界各地で見られる地球環境問題,資源・エネルギー問題,人口・食料問題及び居住・都市問題などの地球的課題について,地域の結び付きや持続可能な社会づくりなどに着目して,主題を設定し,現状や要因,解決の方向性などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 持続可能な地域づくりと私たち
(1) 自然環境と防災 人間と自然環境との相互依存関係や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 我が国をはじめ世界で見られる自然災害や生徒の生活圏で見られる自然災害を基に,地域の自然環境の特色と自然災害への備えや対応との関わりとともに,自然災害の規模や頻度,地域性を踏まえた備えや対応の重要性などについて理解すること。
(イ) 様々な自然災害に対応したハザードマップや新旧地形図をはじめとする各種の地理情報について,その情報を収集し,読み取り,まとめる地理的技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 地域性を踏まえた防災について,自然及び社会的条件との関わり,地域の共通点や差異,持続可能な地域づくりなどに着目して,主題を設定し,自然災害への備えや対応などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 生活圏の調査と地域の展望 空間的相互依存作用や地域などに着目して,課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 生活圏の調査を基に,地理的な課題の解決に向けた取組や探究する手法などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 生活圏の地理的な課題について,生活圏内や生活圏外との結び付き,地域の成り立ちや変容,持続可能な地域づくりなどに着目して,主題を設定し,課題解決に求められる取組などを多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校社会科との関連を図るとともに,1の目標に即して基本的な事柄を基に指導内容を構成すること。
イ 地図の読図や作図,衛星画像や空中写真,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用するとともに,地図や統計などの地理情報の収集・分析には,地理情報システムや情報通信ネットワークなどの活用...
ウ 地図の読図や作図などを主とした作業的で具体的な体験を伴う学習を取り入れるとともに,各項目を関連付けて地理的技能が身に付くよう工夫すること。また,地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,討論したりするなどの活動を充実させること。
エ 学習過程では取り扱う内容の歴史的背景を踏まえることとし,政治的,経済的,生物的,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは空間的な傾向性や諸地域の特色を理解するのに必要な程度とすること。
オ 調査の実施や諸資料の収集に当たっては,専門家や関係諸機関などと円滑に連携・協働するなどして,社会との関わりを意識した活動を重視すること。
カ 各項目の内容に応じて日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察するようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) (1)については,次のとおり取り扱うこと。 「現代世界の地域構成を示した様々な地図の読図」については,様々な地図の読図によって現代世界を地理的な視点から概観するとともに,球面上の世界の捉え方にも習熟するよう工夫すること。「日本の位置と領域」については,世界的視野から日本の位...
イ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) (1)については,次のとおり取り扱うこと。 「世界の人々の特色ある生活文化」については,「地理的環境から影響を受けたり,影響を与えたりして多様性をもつこと」や,「地理的環境の変化によって変容すること」などを理解するために,世界の人々の多様な生活文化の中から地理的環境との関わ...
(イ) (2)については,次のとおり取り扱うこと。 ここで取り上げる地球的課題については,国際連合における持続可能な開発のための取組などを参考に,「地球的課題の各地で共通する傾向性や課題相互の関連性」などを理解するために,世界各地で見られる様々な地球的課題の中から,ふさわしい特色あ...
ウ 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) (1)については,次のとおり取り扱うこと。 日本は変化に富んだ地形や気候をもち,様々な自然災害が多発することから,早くから自然災害への対応に努めてきたことなどを,具体例を通して取り扱うこと。その際,地形図やハザードマップなどの主題図の読図など,日常生活と結び付いた地理的技能...
(イ) (2)については,次のとおり取り扱うこと。 「生活圏の調査」については,その指導に当たって,これまでの学習成果を活用しながら,生徒の特性や学校所在地の事情などを考慮して,地域調査を実施し,生徒が適切にその方法を身に付けるよう工夫すること。
第2 地理探究
1 目標 社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 地理に関わる諸事象に関して,世界の空間的な諸事象の規則性,傾向性や,世界の諸地域の地域的特色や課題などを理解するとともに,地図や地理情報システムなどを用いて,調査や諸資料から地理に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 地理に関わる事象の意味や意義,特色や相互の関連を,位置や分布,場所,人間と自然環境との相互依存関係,空間的相互依存作用,地域などに着目して,系統地理的,地誌的に,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,地理的な課題の解決に向けて構想したりする力や,考察,構想したことを...
(3) 地理に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に探究しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される日本国民としての自覚,我が国の国土に対する愛情,世界の諸地域の多様な生活文化を尊重しようとすることの...
2 内容
A 現代世界の系統地理的考察
(1) 自然環境 場所や人間と自然環境との相互依存関係などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 地形,気候,生態系などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,地球環境問題の現状や要因,解決に向けた取組などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 地形,気候,生態系などに関わる諸事象について,場所の特徴や自然及び社会的条件との関わりなどに着目して,主題を設定し,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 資源,産業 場所や空間的相互依存作用などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 資源・エネルギーや農業,工業などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,資源・エネルギー,食料問題の現状や要因,解決に向けた取組などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 資源・エネルギーや農業,工業などに関わる諸事象について,場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して,主題を設定し,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3) 交通・通信,観光 場所や空間的相互依存作用などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 交通・通信網と物流や人の移動に関する運輸,観光などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,交通・通信,観光に関わる問題の現状や要因,解決に向けた取組などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 交通・通信網と物流や人の移動に関する運輸,観光などに関わる諸事象について,場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して,主題を設定し,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(4) 人口,都市・村落 場所や空間的相互依存作用などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 人口,都市・村落などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,人口,居住・都市問題の現状や要因,解決に向けた取組などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 人口,都市・村落などに関わる諸事象について,場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して,主題を設定し,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(5) 生活文化,民族・宗教 場所や空間的相互依存作用などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 生活文化,民族・宗教などに関わる諸事象を基に,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,民族,領土問題の現状や要因,解決に向けた取組などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 生活文化,民族・宗教などに関わる諸事象について,場所の特徴や場所の結び付きなどに着目して,主題を設定し,それらの事象の空間的な規則性,傾向性や,関連する地球的課題の要因や動向などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 現代世界の地誌的考察
(1) 現代世界の地域区分 位置や分布,地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 世界や世界の諸地域に関する各種の主題図や資料を基に,世界を幾つかの地域に区分する方法や地域の概念,地域区分の意義などについて理解すること。
(イ) 世界や世界の諸地域について,各種の主題図や資料を踏まえて地域区分をする地理的技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 世界や世界の諸地域の地域区分について,地域の共通点や差異,分布などに着目して,主題を設定し,地域の捉え方などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 現代世界の諸地域 空間的相互依存作用や地域などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 幾つかの地域に区分した現代世界の諸地域を基に,諸地域に見られる地域的特色や地球的課題などについて理解すること。
(イ) 幾つかの地域に区分した現代世界の諸地域を基に,地域の結び付き,構造や変容などを地誌的に考察する方法などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 現代世界の諸地域について,地域の結び付き,構造や変容などに着目して,主題を設定し,地域的特色や地球的課題などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 現代世界におけるこれからの日本の国土像
(1) 持続可能な国土像の探究 空間的相互依存作用や地域などに着目して,課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 現代世界におけるこれからの日本の国土像の探究を基に,我が国が抱える地理的な諸課題の解決の方向性や将来の国土の在り方などを構想することの重要性や,探究する手法などについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 現代世界におけるこれからの日本の国土像について,地域の結び付き,構造や変容,持続可能な社会づくりなどに着目して,主題を設定し,我が国が抱える地理的な諸課題の解決の方向性や将来の国土の在り方などを多面的・多角的に探究し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 1の目標に即して基本的な事柄を基に指導内容を構成すること。
イ 地図の読図や作図,衛星画像や空中写真,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。その際,教科用図書「地図」を十分に活用するとともに,地図や統計などの地理情報の収集・分析には,「地理総合」における学習の成果を生かし,地理情報...
ウ 地図を有効に活用して事象を説明したり,自分の解釈を加えて論述したり,討論したりするなどの活動を充実させること。
エ 学習過程では取り扱う内容の歴史的背景を踏まえることとし,政治的,経済的,生物的,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは空間的な傾向性や諸地域の特色を理解するのに必要な程度とすること。
オ 調査の実施や諸資料の収集に当たっては,専門家や関係諸機関などと円滑に連携・協働するなどして,社会との関わりを意識した活動を重視すること。
カ 内容のA及びBについては,各項目の内容に応じて日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察するようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとすること。 分析,考察の過程を重視し,現代世界を系統地理的に捉える視点や考察方法が身に付くよう工夫すること。
(ア) (1)については,次のとおり取り扱うこと。 ここで取り上げる自然環境については,「地理総合」の内容のCの(1)の自然環境と防災における学習を踏まえた取扱いに留意すること。
(イ) (2)については,次のとおり取り扱うこと。 「資源・エネルギーや農業,工業などに関わる諸事象」については,技術革新などによって新たに資源やエネルギーの利用が可能になったり,新たな産業が生まれたり成長したりすることから,社会の動向を踏まえて取り上げる事象を工夫すること。
(ウ) (3)については,次のとおり取り扱うこと。 「交通・通信網と物流や人の移動に関する運輸」に関わる諸事象については,道路や線路,港湾,空港,通信施設などの施設とともに,自動車や鉄道,船舶や航空機といった交通機関や通信手段を介した貿易や情報通信ネットワークなどの結び付きなどに関...
(エ) (4)については,次のとおり取り扱うこと。 「人口,都市・村落などに関わる諸事象」については,国や地方公共団体の取組とも深く関わることから,中学校社会科公民的分野及び高等学校公民科などとの関連を踏まえた取扱いに留意すること。
(オ) (5)については,次のとおり取り扱うこと。 ここで取り上げる生活文化については,「地理総合」の内容のBの(1)の生活文化の多様性と国際理解における学習を踏まえて取り上げる事象を工夫すること。 「領土問題の現状や要因,解決に向けた取組」については,それを扱う際に日本の領土問題...
イ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) (1)については,次のとおり取り扱うこと。 現代世界が自然,政治,経済,文化などの指標によって様々に地域区分できることに着目し,それらを比較対照することによって,地域の概念,地域区分の意義などを理解するようにすること。
(イ) (2)については,次のとおり取り扱うこと。 ここで取り上げる地域は,中学校社会科地理的分野の「世界の諸地域」の学習における主に州を単位とする取り上げ方とは異なり,(1)で学習した地域区分を踏まえるとともに,様々な規模の地域を世界全体から偏りなく取り上げるようにすること。また...
ウ 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) (1)については,次のとおり取り扱うこと。 この科目のまとめとして位置付けること。 「我が国が抱える地理的な諸課題の解決の方向性や将来の国土の在り方」については,国際連合における持続可能な開発のための取組などを参考に,生徒の興味・関心などを踏まえて適切な事例を選定し,学習で...
第3 歴史総合
1 目標 社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 近現代の歴史の変化に関わる諸事象について,世界とその中の日本を広く相互的な視野から捉え,現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を理解するとともに,諸資料から歴史に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 近現代の歴史の変化に関わる事象の意味や意義,特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関連や現在とのつながりなどに着目して,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題を把握し解決を視野に入れて構想したりする力や,考察,構想したことを効果的に説明したり,...
(3) 近現代の歴史の変化に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に追究,解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される日本国民としての自覚,我が国の歴史に対する愛情,他国や他国の文化を尊重することの大切さについて...
2 内容
A 歴史の扉
(1) 歴史と私たち 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 私たちの生活や身近な地域などに見られる諸事象を基に,それらが日本や日本周辺の地域及び世界の歴史とつながっていることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 近代化,国際秩序の変化や大衆化,グローバル化などの歴史の変化と関わらせて,アで取り上げる諸事象と日本や日本周辺の地域及び世界の歴史との関連性について考察し,表現すること。
(2) 歴史の特質と資料 日本や世界の様々な地域の人々の歴史的な営みの痕跡や記録である遺物,文書,図像などの資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 資料に基づいて歴史が叙述されていることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 複数の資料の関係や異同に着目して,資料から読み取った情報の意味や意義,特色などを考察し,表現すること。
B 近代化と私たち
(1) 近代化への問い 交通と貿易,産業と人口,権利意識と政治参加や国民の義務,学校教育,労働と家族,移民などに関する資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 資料から情報を読み取ったりまとめたりする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 近代化に伴う生活や社会の変容について考察し,問いを表現すること。
(2) 結び付く世界と日本の開国 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 18世紀のアジアや日本における生産と流通,アジア各地域間やアジア諸国と欧米諸国の貿易などを基に,18世紀のアジアの経済と社会を理解すること。
(イ) 産業革命と交通・通信手段の革新,中国の開港と日本の開国などを基に,工業化と世界市場の形成を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 18世紀のアジア諸国の経済が欧米諸国に与えた影響などに着目して,主題を設定し,アジア諸国とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,18世紀のアジア諸国における経済活動の特徴,アジア各地域間の関係,アジア諸国と欧米諸国との関係などを多面的・多角的に...
(イ) 産業革命の影響,中国の開港と日本の開国の背景とその影響などに着目して,主題を設定し,アジア諸国とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,アジア諸国と欧米諸国との関係の変容などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3) 国民国家と明治維新 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 18世紀後半以降の欧米の市民革命や国民統合の動向,日本の明治維新や大日本帝国憲法の制定などを基に,立憲体制と国民国家の形成を理解すること。
(イ) 列強の進出と植民地の形成,日(にっ)清(しん)・日露戦争などを基に,列強の帝国主義政策とアジア諸国の変容を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 国民国家の形成の背景や影響などに着目して,主題を設定し,アジア諸国とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,政治変革の特徴,国民国家の特徴や社会の変容などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 帝国主義政策の背景,帝国主義政策がアジア・アフリカに与えた影響などに着目して,主題を設定し,アジア諸国とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,帝国主義政策の特徴,列強間の関係の変容などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(4) 近代化と現代的な諸課題 内容のA及びBの(1)から(3)までの学習などを基に,自由・制限,平等・格差,開発・保全,統合・分化,対立・協調などの観点から主題を設定し,諸資料を活用して,追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 現代的な諸課題の形成に関わる近代化の歴史を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 事象の背景や原因,結果や影響などに着目して,アジア諸国とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,主題について多面的・多角的に考察し,表現すること。
C 国際秩序の変化や大衆化と私たち
(1) 国際秩序の変化や大衆化への問い 国際関係の緊密化,アメリカ合衆国とソヴィエト連邦の台頭,植民地の独立,大衆の政治的・経済的・社会的地位の変化,生活様式の変化などに関する資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 資料から情報を読み取ったりまとめたりする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 国際秩序の変化や大衆化に伴う生活や社会の変容について考察し,問いを表現すること。
(2) 第一次世界大戦と大衆社会 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 第一次世界大戦の展開,日本やアジアの経済成長,ソヴィエト連邦の成立とアメリカ合衆国の台頭,ナショナリズムの動向と国際連盟の成立などを基に,総力戦と第一次世界大戦後の国際協調体制を理解すること。
(イ) 大衆の政治参加と女性の地位向上,大正デモクラシーと政党政治,大量消費社会と大衆文化,教育の普及とマスメディアの発達などを基に,大衆社会の形成と社会運動の広がりを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 第一次世界大戦の推移と第一次世界大戦が大戦後の世界に与えた影響,日本の参戦の背景と影響などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,関連付けたりするなどして,第一次世界大戦の性格と惨禍,日本とアジア及び太平洋地域の関係や国際協調体制の特徴などを多面...
(イ) 第一次世界大戦前後の社会の変化などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,関連付けたりするなどして,第一次世界大戦後の社会の変容と社会運動との関連などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3) 経済危機と第二次世界大戦 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界恐慌,ファシズムの伸張,日本の対外政策などを基に,国際協調体制の動揺を理解すること。
(イ) 第二次世界大戦の展開,国際連合と国際経済体制,冷戦の始まりとアジア諸国の動向,戦後改革と日本国憲法の制定,平和条約と日本の独立の回復などを基に,第二次世界大戦後の国際秩序と日本の国際社会への復帰を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 経済危機の背景と影響,国際秩序や政治体制の変化などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,各国の世界恐慌への対応の特徴,国際協調体制の動揺の要因などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 第二次世界大戦の推移と第二次世界大戦が大戦後の世界に与えた影響,第二次世界大戦後の国際秩序の形成が社会に及ぼした影響などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,第二次世界大戦の性格と惨禍,第二次世界大戦下の社会状況...
(4) 国際秩序の変化や大衆化と現代的な諸課題 内容のA及びCの(1)から(3)までの学習などを基に,自由・制限,平等・格差,開発・保全,統合・分化,対立・協調などの観点から主題を設定し,諸資料を活用して,追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指...
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 現代的な諸課題の形成に関わる国際秩序の変化や大衆化の歴史を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 事象の背景や原因,結果や影響などに着目して,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,主題について多面的・多角的に考察し表現すること。
D グローバル化と私たち
(1) グローバル化への問い 冷戦と国際関係,人と資本の移動,高度情報通信,食料と人口,資源・エネルギーと地球環境,感染症,多様な人々の共存などに関する資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 資料から情報を読み取ったりまとめたりする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) グローバル化に伴う生活や社会の変容について考察し,問いを表現すること。
(2) 冷戦と世界経済 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 脱植民地化とアジア・アフリカ諸国,冷戦下の地域紛争,先進国の政治の動向,軍備拡張や核兵器の管理などを基に,国際政治の変容を理解すること。
(イ) 西ヨーロッパや東南アジアの地域連携,計画経済とその波及,日本の高度経済成長などを基に,世界経済の拡大と経済成長下の日本の社会を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 地域紛争の背景や影響,冷戦が各国の政治に及ぼした影響などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,地域紛争と冷戦の関係,第三世界の国々の経済政策の特徴,欧米やソヴィエト連邦の政策転換の要因などを多面的・多角的に考察し...
(イ) 冷戦が各国経済に及ぼした影響,地域連携の背景と影響,日本の高度経済成長の背景と影響などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,冷戦下の世界経済や地域連携の特徴,経済成長による生活や社会の変容などを多面的・多角的に考...
(3) 世界秩序の変容と日本 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 石油危機,アジアの諸地域の経済発展,市場開放と経済の自由化,情報通信技術の発展などを基に,市場経済の変容と課題を理解すること。
(イ) 冷戦の終結,民主化の進展,地域統合の拡大と変容,地域紛争の拡散とそれへの対応などを基に,冷戦終結後の国際政治の変容と課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) アジアの諸地域の経済発展の背景,経済の自由化や技術革新の影響,資源・エネルギーと地球環境問題が世界経済に及ぼした影響などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,市場経済のグローバル化の特徴と日本の役割などを多面的・...
(イ) 冷戦の変容と終結の背景,民主化や地域統合の背景と影響,地域紛争の拡散の背景と影響などに着目して,主題を設定し,日本とその他の国や地域の動向を比較したり,相互に関連付けたりするなどして,冷戦終結後の国際政治の特徴と日本の役割などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(4) 現代的な諸課題の形成と展望 内容のA,B及びC並びにDの(1)から(3)までの学習などを基に,持続可能な社会の実現を視野に入れ,主題を設定し,諸資料を活用し探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 歴史的経緯を踏まえて,現代的な諸課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 事象の背景や原因,結果や影響などに着目して,日本とその他の国や地域の動向を比較し相互に関連付けたり,現代的な諸課題を展望したりするなどして,主題について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア この科目では,中学校までの学習との連続性に留意して諸事象を取り上げることにより,生徒が興味・関心をもって近現代の歴史を学習できるよう指導を工夫すること。その際,近現代の歴史の変化を大観して理解し,考察,表現できるようにすることに指導の重点を置き,個別の事象のみの理解にとどまるこ...
イ 歴史に関わる諸事象については,地理的条件と関連付けて扱うとともに,特定の時間やその推移及び特定の空間やその広がりの中で生起することを踏まえ,時間的・空間的な比較や関連付けなどにより捉えられるよう指導を工夫すること。
ウ 近現代の歴史と現代的な諸課題との関わりを考察する際には,政治,経済,社会,文化,宗教,生活などの観点から諸事象を取り上げ,近現代の歴史を多面的・多角的に考察できるようにすること。また,過去の視点のみで一面的に現在を捉えたり,現在の視点のみで一面的に過去を捉えたりすることがないよ...
エ 年表や地図,その他の資料を積極的に活用し,文化遺産,博物館や公文書館,その他の資料館などを調査・見学したりするなど,具体的に学ぶよう指導を工夫すること。その際,歴史に関わる諸資料を整理・保存することの意味や意義に気付くようにすること。また,科目の内容に関係する専門家や関係諸機関...
オ 活用する資料の選択に際しては,生徒の興味・関心,学校や地域の実態などに十分配慮して行うこと。
カ 指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成すること。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争や紛争などを防止し,平和で民主的な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識するよう指導を工...
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のA,B,C及びDについては,この順序で取り扱うものとし,A,B及びC並びにDの(1)から(3)までの学習をすることにより,Dの(4)の学習が充実するように年間指導計画を作成すること。
イ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとすること。 この科目の導入として位置付け,(1),(2)の順で取り扱うこと。また,中学校社会科の学習の成果を踏まえ,より発展的に学習できるよう留意するとともに,B,C及びDの学習の基盤を養うよう指導を工夫すること。 (1)については,...
ウ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (1)については,中学校までの学習及びAの学習を踏まえ,学習内容への課題意識をもたせるとともに,(2),(3)及び(4)の学習内容を見通して指導すること。 (2)のアについては,日本の美術などのアジアの文物が欧米諸国に与え...
ウ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (1)については,中学校までの学習及びAの学習を踏まえ,学習内容への課題意識をもたせるとともに,(2),(3)及び(4)の学習内容を見通して指導すること。 (2)のアについては,日本の美術などのアジアの文物が欧米諸国に与え...
オ 内容のDについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (1)については,中学校までの学習並びにA,B及びCの学習を踏まえ,学習内容への課題意識をもたせるとともに,(2)及び(3)の学習内容を見通して指導すること。 (2)については,アジア・アフリカ諸国が国際関係の変化に主体的...
第4 日本史探究
1 目標 社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 我が国の歴史の展開に関わる諸事象について,地理的条件や世界の歴史と関連付けながら総合的に捉えて理解するとともに,諸資料から我が国の歴史に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 我が国の歴史の展開に関わる事象の意味や意義,伝統と文化の特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関連や現在とのつながりなどに着目して,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題を把握し解決を視野に入れて構想したりする力や,考察,構想したことを効果的に...
(3) 我が国の歴史の展開に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に探究しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される日本国民としての自覚,我が国の歴史に対する愛情,他国や他国の文化を尊重することの大切さについての自覚...
2 内容
A 原始・古代の日本と東アジア
(1) 黎(れい)明期の日本列島と歴史的環境 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 旧石器文化から縄文文化への変化,弥生(やよい)文化の成立などを基に,黎(れい)明期の日本列島の歴史的環境と文化の形成,原始社会の特色を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 自然環境と人間の生活との関わり,中国大陸・朝鮮半島などアジア及び太平洋地域との関係,狩猟採集社会から農耕社会への変化などに着目して,環境への適応と文化の形成について,多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 黎(れい)明期の日本列島の変化に着目して,原始社会の特色について多面的・多角的に考察し,時代を通観する問いを表現すること。
(2) 歴史資料と原始・古代の展望 諸資料を活用し,(1)で表現した時代を通観する問いを踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 原始・古代の特色を示す適切な歴史資料を基に,資料から歴史に関わる情報を収集し,読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 歴史資料の特性を踏まえ,資料を通して読み取れる情報から,原始・古代の特色について多面的・多角的に考察し,仮説を表現すること。
(3) 古代の国家・社会の展開と画期(歴史の解釈,説明,論述) 諸資料を活用し,(2)で表現した仮説を踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 国家の形成と古墳文化,律(りつ)令(りょう)体制の成立過程と諸文化の形成などを基に,原始から古代の政治・社会や文化の特色を理解すること。
(イ) 貴族政治の展開,平安期の文化,地方支配の変化や武士の出現などを基に,律(りつ)令(りょう)体制の再編と変容,古代の社会と文化の変容を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 中国大陸・朝鮮半島との関係,隋(ずい)・唐など中国王朝との関係と政治や文化への影響などに着目して,主題を設定し,小国の形成と連合,古代の国家の形成の過程について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを根拠を示して表現...
(イ) 地方の諸勢力の成長と影響,東アジアとの関係の変化,社会の変化と文化との関係などに着目して,主題を設定し,古代の国家・社会の変容について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを根拠を示して表現すること。
B 中世の日本と世界
(1) 中世への転換と歴史的環境 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 貴族政治の変容と武士の政治進出,土地支配の変容などを基に,古代から中世への時代の転換を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 権力の主体の変化,東アジアとの関わりなどに着目して,古代から中世の国家・社会の変容を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 時代の転換に着目して,中世の特色について多面的・多角的に考察し,時代を通観する問いを表現すること。
(2) 歴史資料と中世の展望 諸資料を活用し,(1)で表現した時代を通観する問いを踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 中世の特色を示す適切な歴史資料を基に,資料から歴史に関わる情報を収集し,読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 歴史資料の特性を踏まえ,資料を通して読み取れる情報から,中世の特色について多面的・多角的に考察し,仮説を表現すること。
(3) 中世の国家・社会の展開と画期(歴史の解釈,説明,論述) 諸資料を活用し,(2)で表現した仮説を踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 武家政権の成立と展開,産業の発達,宗教や文化の展開などを基に,武家政権の伸張,社会や文化の特色を理解すること。
(イ) 武家政権の変容,日明(にちみん)貿易の展開と琉(りゅう)球(きゅう)王国の成立,村落や都市の自立,多様な文化の形成や融合などを基に,地域権力の成長,社会の変容と文化の特色を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 公武関係の変化,宋(そう)・元(モンゴル帝国)などユーラシアとの交流と経済や文化への影響などに着目して,主題を設定し,中世の国家・社会の展開について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを根拠を示して表現すること。
(イ) 社会や経済の変化とその影響,東アジアの国際情勢の変化とその影響,地域の多様性,社会の変化と文化との関係などに着目して,主題を設定し,中世の国家・社会の変容について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを根拠を示して表...
C 近世の日本と世界
(1) 近世への転換と歴史的環境 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 織豊政権の政治・経済政策,貿易や対外関係などを基に,中世から近世への時代の転換を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 村落や都市の支配の変化,アジア各地やヨーロッパ諸国との交流の影響などに着目して,中世から近世の国家・社会の変容を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 時代の転換に着目して,近世の特色について多面的・多角的に考察し,時代を通観する問いを表現すること。
(2) 歴史資料と近世の展望 諸資料を活用し,(1)で表現した時代を通観する問いを踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 近世の特色を示す適切な歴史資料を基に,資料から歴史に関わる情報を収集し,読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 歴史資料の特性を踏まえ,資料を通して読み取れる情報から,近世の特色について多面的・多角的に考察し,仮説を表現すること。
(3) 近世の国家・社会の展開と画期(歴史の解釈,説明,論述) 諸資料を活用し,(2)で表現した仮説を踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 法や制度による支配秩序の形成と身分制,貿易の統制と対外関係,技術の向上と開発の進展,学問・文化の発展などを基に,幕藩体制の確立,近世の社会と文化の特色を理解すること。
(イ) 産業の発達,飢(き)饉(きん)や一(いっ)揆(き)の発生,幕府政治の動揺と諸藩の動向,学問・思想の展開,庶民の生活と文化などを基に,幕藩体制の変容,近世の庶民の生活と文化の特色,近代化の基盤の形成を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 織豊政権との類似と相違,アジアの国際情勢の変化,交通・流通の発達,都市の発達と文化の担い手との関係などに着目して,主題を設定し,近世の国家・社会の展開について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを根拠を示して表現す...
(イ) 社会・経済の仕組みの変化,幕府や諸藩の政策の変化,国際情勢の変化と影響,政治・経済と文化との関係などに着目して,主題を設定し,近世の国家・社会の変容について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを根拠を示して表現する...
D 近現代の地域・日本と世界
(1) 近代への転換と歴史的環境 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 対外政策の変容と開国,幕藩体制の崩壊と新政権の成立などを基に,近世から近代への時代の転換を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 欧米諸国の進出によるアジア諸国の変化,政治・経済の変化と思想への影響などに着目して,近世から近代の国家・社会の変容を多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 時代の転換に着目して,近代の特色について多面的・多角的に考察し,時代を通観する問いを表現すること。
(2) 歴史資料と近代の展望 諸資料を活用し,(1)で表現した時代を通観する問いを踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 近代の特色を示す適切な歴史資料を基に,資料から歴史に関わる情報を収集し,読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 歴史資料の特性を踏まえ,資料から読み取れる情報から,近代の特色について多面的・多角的に考察し,仮説を表現すること。
(3) 近現代の地域・日本と世界の画期と構造 諸資料を活用し,(2)で表現した仮説を踏まえ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 明治維新,自由民権運動,大日本帝国憲法の制定,条約改正,日(にっ)清(しん)・日露戦争,第一次世界大戦,社会運動の動向,政党政治などを基に,立憲体制への移行,国民国家の形成,アジアや欧米諸国との関係の変容を理解すること。
(イ) 文明開化の風潮,産業革命の展開,交通の整備と産業構造の変容,学問の発展や教育制度の拡充,社会問題の発生などを基に,産業の発展の経緯と近代の文化の特色,大衆社会の形成を理解すること。
(ウ) 恐慌と国際関係,軍部の台頭と対外政策,戦時体制の強化と第二次世界大戦の展開などを基に,第二次世界大戦に至る過程及び大戦中の政治・社会,国民生活の変容を理解すること。
(エ) 占領政策と諸改革,日本国憲法の成立,平和条約と独立の回復,戦後の経済復興,アジア諸国との関係,高度経済成長,社会・経済・情報の国際化などを基に,我が国の再出発及びその後の政治・経済や対外関係,現代の政治や社会の枠組み,国民生活の変容を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) アジアや欧米諸国との関係,地域社会の変化,戦争が及ぼした影響などに着目して,主題を設定し,近代の政治の展開と国際的地位の確立,第一次世界大戦前後の対外政策や国内経済,国民の政治参加の拡大について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈...
(イ) 欧米の思想・文化の影響,産業の発達の背景と影響,地域社会における労働や生活の変化,教育の普及とその影響などに着目して,主題を設定し,日本の工業化の進展,近代の文化の形成について,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを...
(ウ) 国際社会やアジア近隣諸国との関係,政治・経済体制の変化,戦争の推移と国民生活への影響などに着目して,主題を設定し,第二次世界大戦と日本の動向の関わりについて,事象の意味や意義,関係性などを多面的・多角的に考察し,歴史に関わる諸事象の解釈や歴史の画期などを根拠を示して表現する...
(エ) 第二次世界大戦前後の政治や社会の類似と相違,冷戦の影響,グローバル化の進展の影響,国民の生活や地域社会の変化などに着目して,主題を設定し,戦前と戦後の国家・社会の変容,戦後政治の展開,日本経済の発展,第二次世界大戦後の国際社会における我が国の役割について,事象の意味や意義,...
(オ) 日本と世界の相互の関わり,地域社会の変化,(ア)から(エ)までの学習で見いだした画期などに着目して,事象の意味や意義,関係性などを構造的に整理して多面的・多角的に考察し,我が国の近現代を通した歴史の画期を見いだし,根拠を示して表現すること。
(4) 現代の日本の課題の探究 次の①から③までについて,内容のA,B及びC並びにDの(1)から(3)までの学習を踏まえ,持続可能な社会の実現を視野に入れ,地域社会や身の回りの事象と関連させて主題を設定し,諸資料を活用して探究する活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることが...
① 社会や集団と個人
② 世界の中の日本
③ 伝統や文化の継承と創造
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 歴史的経緯を踏まえて,現代の日本の課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 歴史の画期,地域社会の諸相と日本や世界との歴史的な関係,それ以前の時代からの継続や変化などに着目して,現代の日本の課題の形成に関わる歴史について,多面的・多角的に考察,構想して表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 我が国の歴史と文化について各時代の国際環境や地理的条件などと関連付け,世界の中の日本という視点から考察できるよう指導を工夫すること。
イ この科目では,中学校までの学習や「歴史総合」の学習との連続性に留意して諸事象を取り上げることにより,生徒が興味・関心をもって我が国の歴史の展開を学習できるよう工夫すること。その際,我が国の歴史を大観して理解し,考察,表現できるようにすることに指導の重点を置き,個別の事象のみの理...
ウ 年表や地図,その他の資料を積極的に活用し,地域の文化遺産,博物館や公文書館,その他の資料館などを調査・見学したりするなど,具体的に学ぶよう指導を工夫すること。その際,歴史に関わる諸資料を整理・保存することの意味や意義,文化財保護の重要性に気付くようにすること。また,科目の内容に...
エ 活用する資料の選択に際しては,生徒の興味・関心,学校や地域の実態などに十分配慮して行うこと。
オ 近現代史の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成すること。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争や紛争などを防止し,平和で民主的な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識するよ...
カ 近現代史の指導に当たっては,「歴史総合」の学習の成果を踏まえ,より発展的に学習できるよう留意すること。
キ 文化に関する指導に当たっては,各時代の文化とそれを生み出した時代的背景との関連,外来の文化などとの接触や交流による文化の変容や発展の過程などに着目させ,我が国の伝統と文化の特色とそれを形成した様々な要因を総合的に考察できるよう指導を工夫すること。衣食住や風習・信仰などの生活文化...
ク 地域社会の歴史と文化について扱うようにするとともに,祖先が地域社会の向上と文化の創造や発展に努力したことを具体的に理解させ,それらを尊重する態度を育てるようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のA,B,C及びDは,この順序で扱うこと。また,「歴史総合」で学習した歴史の学び方を活用すること。
イ 内容のA,B,C及びDのそれぞれの(1)については,対外的な環境の変化や国内の諸状況の変化などを扱い,時代の転換を理解できるようすること。それぞれの(1)のイの(イ)については,アの理解に加え,中学校社会科歴史的分野における学習の成果を活用するなどして,対象となる時代の特色を考...
ウ 内容のA,B,C及びDのそれぞれの(2)については,政治や経済,社会,生活や文化,国際環境など,各時代の特色を生徒が読み取ることができる複数の適切な資料を活用し,それぞれの(1)で表現した問いを踏まえ,中学校社会科歴史的分野における学習の成果を活用するなどして,対象となる時代の...
エ 内容のA,B,C及びDのそれぞれの(3)については,それぞれの(2)で表現した仮説を踏まえて主題を設定すること。その際,資料を活用し,事象の意味や意義,事象相互の関係性などを考察できるよう指導を工夫すること。また,根拠や論理を踏まえ,筋道を立てて説明するなどの学習から,歴史に関...
オ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (1),(2)及び(3)については,遺構や遺物,編纂(さん)された歴史書,公(く)家(げ)の日記などの資料や,それらを基に作成された資料などから適切なものを取り上げること。
カ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (1),(2)及び(3)については,武家,公(く)家(げ),幕府や寺社の記録,絵画などの資料や,それらを基に作成された資料などから適切なものを取り上げること。(3)のアの(イ)については,公(く)家(げ)や武家,庶民などの...
キ 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (1),(2)及び(3)については,幕府や藩の法令,地域に残る村方(地(じ)方(かた))・町方文書,浮世絵などの絵画や出版物などの資料や,それらを基に作成された資料などから適切なものを取り上げること。(3)のアの(ア)につ...
ク 内容のDについては,次のとおり取り扱うものとすること。 (1),(2)及び(3)については,日記,書簡,自伝,公文書,新聞,統計,写真,地図,映像や音声,生活用品の変遷などの資料や,それらを基に作成された資料などから適切なものを取り上げること。(3)のアの(ア)については,明治...
第5 世界史探究
1 目標 社会的事象の歴史的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 世界の歴史の大きな枠組みと展開に関わる諸事象について,地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解するとともに,諸資料から世界の歴史に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 世界の歴史の大きな枠組みと展開に関わる事象の意味や意義,特色などを,時期や年代,推移,比較,相互の関連や現代世界とのつながりなどに着目して,概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,歴史に見られる課題を把握し解決を視野に入れて構想したりする力や,考察,構想したことを効果...
(3) 世界の歴史の大きな枠組みと展開に関わる諸事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に探究しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される日本国民としての自覚,我が国の歴史に対する愛情,他国や他国の文化を尊重することの大切さに...
2 内容
A 世界史へのまなざし
(1) 地球環境から見る人類の歴史 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 人類の誕生と地球規模での拡散・移動を基に,人類の歴史と地球環境との関わりを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 諸事象を捉えるための時間の尺度や,諸事象の空間的な広がりに着目し,主題を設定し,地球の歴史における人類の歴史の位置と人類の特性を考察し,表現すること。
(2) 日常生活から見る世界の歴史 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 衣食住,家族,教育,余暇などの身の回りの諸事象を基に,私たちの日常生活が世界の歴史とつながっていることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 諸事象の来歴や変化に着目して,主題を設定し,身の回りの諸事象と世界の歴史との関連性を考察し,表現すること。
B 諸地域の歴史的特質の形成
(1) 諸地域の歴史的特質への問い 生業,身分・階級,王権,宗教,文化・思想などに関する資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 資料から情報を読み取ったりまとめたりする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 文明の形成に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連などに着目し,諸地域の歴史的特質を読み解く観点について考察し,問いを表現すること。
(2) 古代文明の歴史的特質 諸資料を活用し,(1)で考察した観点を踏まえた問いを基に,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) オリエント文明,インダス文明,中華文明などを基に,古代文明の歴史的特質を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 古代文明に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連などに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,自然環境と生活や文化との関連性,農耕・牧畜の意義などを多面的・多角的に考察し,表現すること。
(3) 諸地域の歴史的特質 諸資料を活用し,(1)で考察した観点を踏まえた問いを基に,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 秦(しん)・漢と遊牧国家,唐と近隣諸国の動向などを基に,東アジアと中央ユーラシアの歴史的特質を理解すること。
(イ) 仏教の成立とヒンドゥー教,南アジアと東南アジアの諸国家などを基に,南アジアと東南アジアの歴史的特質を理解すること。
(ウ) 西アジアと地中海周辺の諸国家,キリスト教とイスラームの成立とそれらを基盤とした国家の形成などを基に,西アジアと地中海周辺の歴史的特質を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 東アジアと中央ユーラシアの歴史に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互の関わりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,唐の統治体制と社会や文化の特色,唐と近隣諸国との関係,遊牧民の社会の特徴と周辺諸地域との関係などを...
(イ) 南アジアと東南アジアの歴史に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互の関わりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,南アジアと東南アジアにおける宗教や文化の特色,東南アジアと周辺諸地域との関係などを多面的・多角的に考察...
(ウ) 西アジアと地中海周辺の歴史に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互の関わりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,西アジアと地中海周辺の諸国家の社会や文化の特色,キリスト教とイスラームを基盤とした国家の特徴などを多面...
C 諸地域の交流・再編
(1) 諸地域の交流・再編への問い 交易の拡大,都市の発達,国家体制の変化,宗教や科学・技術及び文化・思想の伝播(ぱ)などに関する資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 資料から情報を読み取ったりまとめたりする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 諸地域の交流・再編に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,諸地域の交流・再編を読み解く観点について考察し,問いを表現すること。
(2) 結び付くユーラシアと諸地域 諸資料を活用し,(1)で考察した観点を踏まえた問いを基に,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 西アジア社会の動向とアフリカ・アジアへのイスラームの伝播(ぱ),ヨーロッパ封建社会とその展開,宋(そう)の社会とモンゴル帝国の拡大などを基に,海域と内陸にわたる諸地域の交流の広がりを構造的に理解すること。
(イ) アジア海域での交易の興隆,明(みん)と日本・朝鮮の動向,スペインとポルトガルの活動などを基に,諸地域の交易の進展とヨーロッパの進出を構造的に理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 諸地域の交流の広がりに関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,諸地域へのイスラームの拡大の要因,ヨーロッパの社会や文化の特色,中国社会の特徴やモンゴル帝国が果たした役割...
(イ) 諸地域の交易とヨーロッパの進出に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,アジア海域での交易の特徴,ユーラシアとアメリカ大陸間の交易の特徴とアメリカ大陸の変容などを多面的...
(3) アジア諸地域とヨーロッパの再編 諸資料を活用し,(1)で考察した観点を踏まえた問いを基に,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 西アジアや南アジアの諸帝国,清(しん)と日本・朝鮮などの動向を基に,アジア諸地域の特質を構造的に理解すること。
(イ) 宗教改革とヨーロッパ諸国の抗争,大西洋三角貿易の展開,科学革命と啓蒙(もう)思想などを基に,主権国家体制の形成と地球規模での交易の拡大を構造的に理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) アジア諸地域の動向に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,諸帝国の統治の特徴,アジア諸地域の経済と社会や文化の特色,日本の対外関係の特徴などを多面的・多角的に考察し,表現...
(イ) ヨーロッパ諸地域の動向に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,宗教改革の意義,大西洋両岸諸地域の経済的連関の特徴,主権国家の特徴と経済活動との関連,ヨーロッパの社会や...
D 諸地域の結合・変容
(1) 諸地域の結合・変容への問い 人々の国際的な移動,自由貿易の広がり,マスメディアの発達,国際規範の変容,科学・技術の発達,文化・思想の展開などに関する資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような技能を身に付けること。
(ア) 資料から情報を読み取ったりまとめたりする技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 諸地域の結合・変容に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,諸地域の結合・変容を読み解く観点について考察し,問いを表現すること。
(2) 世界市場の形成と諸地域の結合 諸資料を活用し,(1)で考察した観点を踏まえた問いを基に,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 産業革命と環大西洋革命,自由主義とナショナリズム,南北戦争の展開などを基に,国民国家と近代民主主義社会の形成を構造的に理解すること。
(イ) 国際的な分業体制と労働力の移動,イギリスを中心とした自由貿易体制,アジア諸国の植民地化と諸改革などを基に,世界市場の形成とアジア諸国の変容を構造的に理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 大西洋両岸諸地域の動向に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,産業革命や環大西洋革命の意味や意義,自由主義とナショナリズムの特徴,南北アメリカ大陸の変容などを多面的・...
(イ) 世界市場の形成とアジア諸国の動向に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,労働力の移動を促す要因,イギリスの覇権の特徴,アジア諸国の変容の地域的な特徴などを多面的・多角...
(3) 帝国主義とナショナリズムの高揚 諸資料を活用し,(1)で考察した観点を踏まえた問いを基に,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 第二次産業革命と帝国主義諸国の抗争,アジア諸国の変革などを基に,世界分割の進展とナショナリズムの高まりを構造的に理解すること。
(イ) 第一次世界大戦とロシア革命,ヴェルサイユ・ワシントン体制の形成,アメリカ合衆国の台頭,アジア・アフリカの動向とナショナリズムなどを基に,第一次世界大戦の展開と諸地域の変容を構造的に理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 列強の対外進出とアジア・アフリカの動向に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,世界経済の構造的な変化,列強の帝国主義政策の共通点と相違点,アジア諸国のナショナリズムの...
(イ) 第一次世界大戦と大戦後の諸地域の動向に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,第一次世界大戦後の国際協調主義の性格,アメリカ合衆国の台頭の要因,アジア・アフリカのナショ...
(4) 第二次世界大戦と諸地域の変容 諸資料を活用し,(1)で考察した観点を踏まえた問いを基に,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 世界恐慌とファシズムの動向,ヴェルサイユ・ワシントン体制の動揺などを基に,国際関係の緊張と対立を構造的に理解すること。
(イ) 第二次世界大戦の展開と大戦後の国際秩序,冷戦とアジア諸国の独立の始まりなどを基に,第二次世界大戦の展開と諸地域の変容を構造的に理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 世界恐慌と国際協調体制の動揺に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,世界恐慌に対する諸国家の対応策の共通点と相違点,ファシズムの特徴,第二次世界大戦に向かう国際関係の...
(イ) 第二次世界大戦と大戦後の諸地域の動向に関わる諸事象の背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,第二次世界大戦中の連合国による戦後構想と大戦後の国際秩序との関連,アジア諸国の独立の地域的...
E 地球世界の課題
(1) 国際機構の形成と平和への模索 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 集団安全保障と冷戦の展開,アジア・アフリカ諸国の独立と地域連携の動き,平和共存と多極化の進展,冷戦の終結と地域紛争の頻発などを基に,紛争解決の取組と課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 国際機構の形成と紛争に関わる諸事象の歴史的背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,国際連盟と国際連合との共通点と相違点,冷戦下の紛争解決と冷戦後の紛争解決との共通点と相違点,紛争と経...
(2) 経済のグローバル化と格差の是正 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 先進国の経済成長と南北問題,アメリカ合衆国の覇権の動揺,資源ナショナリズムの動きと産業構造の転換,アジア・ラテンアメリカ諸国の経済成長と南南問題,経済のグローバル化などを基に,格差是正の取組と課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 国際競争の展開と経済格差に関わる諸事象の歴史的背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,先進国による経済援助や経済の成長が見られた地域の特徴,諸地域間の経済格差や各国内の経済格差の特徴...
(3) 科学技術の高度化と知識基盤社会 諸資料を活用し,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 原子力の利用や宇宙探査などの科学技術,医療技術・バイオテクノロジーと生命倫理,人工知能と労働の在り方の変容,情報通信技術の発達と知識の普及などを基に,知識基盤社会の展開と課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 科学技術の高度化と知識基盤社会に関わる諸事象の歴史的背景や原因,結果や影響,事象相互の関連などに着目し,主題を設定し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,現代の科学技術や文化の歴史的な特色,第二次世界大戦後の科学技術の高度化と政治・経済・社会の変化との関連性などを多...
(4) 地球世界の課題の探究 次の①から③までについて,内容のA,B,C及びD並びにEの(1)から(3)までの学習を基に,持続可能な社会の実現を視野に入れ,主題を設定し,諸資料を活用し探究する活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。
① 紛争解決や共生
② 経済格差の是正や経済発展
③ 科学技術の発展や文化の変容
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 歴史的経緯を踏まえて,地球世界の課題を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 地球世界の課題の形成に関わる諸事象の歴史的背景や原因,結果や影響,事象相互の関連,諸地域相互のつながりなどに着目し,諸資料を比較したり関連付けたりして読み解き,地球世界の課題の形成に関わる世界の歴史について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア この科目では,中学校までの学習や「歴史総合」の学習との連続性に留意して諸事象を取り上げることにより,生徒が興味・関心をもって世界の歴史を学習できるよう指導を工夫すること。その際,世界の歴史の大きな枠組みと展開を構造的に理解し,考察,表現できるようにすることに指導の重点を置き,個...
イ 歴史に関わる諸事象については,地理的条件と関連付けて扱うとともに,特定の時間やその推移及び特定の空間やその広がりの中で生起することを踏まえ,時間的・空間的な比較や関連付けなどにより捉えられるよう指導を工夫すること。
ウ 年表や地図,その他の資料を積極的に活用し,文化遺産,博物館やその他の資料館などの施設を調査・見学するなど,具体的に学ぶよう指導を工夫すること。その際,歴史に関わる諸資料を整理・保存することの意味や意義に気付くようにすること。また,科目の内容に関係する専門家や関係諸機関などとの円...
エ 活用する資料の選択に際しては,生徒の興味・関心,学校や地域の実態などに十分配慮して行うこと。
オ 近現代史の指導に当たっては,客観的かつ公正な資料に基づいて,事実の正確な理解に導くとともに,多面的・多角的に考察し公正に判断する能力を育成すること。その際,核兵器などの脅威に着目させ,戦争や紛争などを防止し,平和で民主的な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識するよ...
カ 近現代史の指導に当たっては,「歴史総合」の学習の成果を踏まえ,より発展的に学習できるよう留意すること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のA,B,C,D及びEについては,この順序で取り扱うものとし,A,B,C及びD並びにEの(1)から(3)までの学習をすることにより,Eの(4)の学習が充実するように年間指導計画を作成すること。また,「歴史総合」で学習した歴史の学び方を活用すること。
イ 内容のAについては,この科目の導入としての位置付けを踏まえ,生徒が現在と異なる過去や現在につながる過去に触れ,世界史学習の意味や意義に気付くようにすること。 (1)については,地球,生命,人類の誕生などの歴史は,それぞれ異なる時間の尺度をもっていることに触れること。 (2)につ...
ウ 内容のBについては,自然環境と人類との活動の関わりの中で,歴史的に形成された諸地域の生活,社会,文化,宗教の多様性に気付くようにすること。また,遺物や碑文,歴史書,年表や地図などの資料から適切なものを取り上げること。 (1)については,生徒の学習意欲を喚起する具体的な事例を取り...
エ 内容のCについては,諸地域の交流の広がりとともに再編が進む中で,地球規模で諸地域がつながり始めたことに気付くようにすること。また,日本の動向も視野に入れて,日本と他の国々との比較や関係についても触れること。なお,遺物や碑文,旅行記や歴史書,年表や地図などの資料から適切なものを取...
オ 内容のDについては,諸地域の結合の進展とともに変容が進む中で,地球規模で諸地域のつながりが広まり始めたことに気付くようにすること。また,日本の動向も視野に入れて,日本と他の国々との比較や関係についても触れること。なお,公文書や手紙・日記,歴史書,芸術作品や風刺画,写真や映像,統...
カ 内容のEについては,この科目の学習全体を視野に入れた(4)の主題を探究する活動が充実するよう(1),(2)及び(3)の主題を設定し,多元的な相互依存関係を深める現代世界の特質を考察できるよう指導を工夫すること。 (1)については,平和で民主的な世界を目指す多様な行動主体に気付く...
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,科目の特質に応じた見方・考え方を働かせ,社会的事象の意味や意義などを考察し,概念などに関する知識を獲得したり,社会との関わりを意識...
(2) 地理歴史科の目標を達成するため,公民科などとの関連を図るとともに,地理歴史科に属する科目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに指導が偏らないようにすること。
(3) 各科目の履修については,全ての生徒に履修させる科目である「地理総合」を履修した後に選択科目である「地理探究」を,同じく全ての生徒に履修させる科目である「歴史総合」を履修した後に選択科目である「日本史探究」,「世界史探究」を履修できるという,この教科の基本的な構造に留意し,各...
(4) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 社会的な見方・考え方を働かせることをより一層重視する観点に立って,社会的事象の意味や意義,事象の特色や事象間の関連,社会に見られる課題などについて,考察したことや構想したことを論理的に説明したり,立場や根拠を明確にして議論したりするなどの言語活動に関わる学習を一層重視するこ...
(2) 調査や諸資料から,社会的事象に関する様々な情報を効果的に収集し,読み取り,まとめる技能を身に付ける学習活動を重視するとともに,作業的で具体的な体験を伴う学習の充実を図るようにすること。その際,地図や年表を読んだり作成したり,現代社会の諸課題を捉え,多面的・多角的に考察,構想...
(3) 社会的事象については,生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示するよう配慮し,多様な見解のある事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,有益適切な教材に基づいて指導するとともに,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いにより,生...
(4) 情報の収集,処理や発表などに当たっては,学校図書館や地域の公共施設などを活用するとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用し,指導に生かすことで,生徒が主体的に学習に取り組めるようにすること。その際,課題の追究や解決の見通しをもって生徒が主体的...
3 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第3節 公   民
第1款 目標 社会的な見方・考え方を働かせ,現代の諸課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 選択・判断の手掛かりとなる概念や理論及び倫理,政治,経済などに関わる現代の諸課題について理解するとともに,諸資料から様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 現代の諸課題について,事実を基に概念などを活用して多面的・多角的に考察したり,解決に向けて公正に判断したりする力や,合意形成や社会参画を視野に入れながら構想したことを議論する力を養う。
(3) よりよい社会の実現を視野に,現代の諸課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,人間としての在り方生き方についての自覚や,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,各国が相互に主権を尊重...
第2款 各 科 目
第1 公 共
1 目標 人間と社会の在り方についての見方・考え方を働かせ,現代の諸課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 現代の諸課題を捉え考察し,選択・判断するための手掛かりとなる概念や理論について理解するとともに,諸資料から,倫理的主体などとして活動するために必要となる情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 現実社会の諸課題の解決に向けて,選択・判断の手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を活用して,事実を基に多面的・多角的に考察し公正に判断する力や,合意形成や社会参画を視野に入れながら構想したことを議論する力を養う。
(3) よりよい社会の実現を視野に,現代の諸課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,現代社会に生きる人間としての在り方生き方についての自覚や,公共的な空間に生き国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を...
2 内容
A 公共の扉
(1) 公共的な空間を作る私たち 公共的な空間と人間との関わり,個人の尊厳と自主・自律,人間と社会の多様性と共通性などに着目して,社会に参画する自立した主体とは何かを問い,現代社会に生きる人間としての在り方生き方を探求する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。...
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 自らの体験などを振り返ることを通して,自らを成長させる人間としての在り方生き方について理解すること。
(イ) 人間は,個人として相互に尊重されるべき存在であるとともに,対話を通して互いの様々な立場を理解し高め合うことのできる社会的な存在であること,伝統や文化,先人の取組や知恵に触れたりすることなどを通して,自らの価値観を形成するとともに他者の価値観を尊重することができるようになる存...
(ウ) 自分自身が,自主的によりよい公共的な空間を作り出していこうとする自立した主体になることが,自らのキャリア形成とともによりよい社会の形成に結び付くことについて理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 社会に参画する自立した主体とは,孤立して生きるのではなく,地域社会などの様々な集団の一員として生き,他者との協働により当事者として国家・社会などの公共的な空間を作る存在であることについて多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 公共的な空間における人間としての在り方生き方 主体的に社会に参画し,他者と協働することに向けて,幸福,正義,公正などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 選択・判断の手掛かりとして,行為の結果である個人や社会全体の幸福を重視する考え方や,行為の動機となる公正などの義務を重視する考え方などについて理解すること。
(イ) 現代の諸課題について自らも他者も共に納得できる解決方法を見いだすことに向け,(ア)に示す考え方を活用することを通して,行為者自身の人間としての在り方生き方について探求することが,よりよく生きていく上で重要であることについて理解すること。
(ウ) 人間としての在り方生き方に関わる諸資料から,よりよく生きる行為者として活動するために必要な情報を収集し,読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 倫理的価値の判断において,行為の結果である個人や社会全体の幸福を重視する考え方と,行為の動機となる公正などの義務を重視する考え方などを活用し,自らも他者も共に納得できる解決方法を見いだすことに向け,思考実験など概念的な枠組みを用いて考察する活動を通して,人間としての在り方生...
(3) 公共的な空間における基本的原理 自主的によりよい公共的な空間を作り出していこうとする自立した主体となることに向けて,幸福,正義,公正などに着目して,課題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 各人の意見や利害を公平・公正に調整することなどを通して,人間の尊厳と平等,協働の利益と社会の安定性の確保を共に図ることが,公共的な空間を作る上で必要であることについて理解すること。
(イ) 人間の尊厳と平等,個人の尊重,民主主義,法の支配,自由・権利と責任・義務など,公共的な空間における基本的原理について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 公共的な空間における基本的原理について,思考実験など概念的な枠組みを用いて考察する活動を通して,個人と社会との関わりにおいて多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち 自立した主体としてよりよい社会の形成に参画することに向けて,現実社会の諸課題に関わる具体的な主題を設定し,幸福,正義,公正などに着目して,他者と協働して主題を追究したり解決したりする活動を通して,次の事項を身に付けることがで...
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 法や規範の意義及び役割,多様な契約及び消費者の権利と責任,司法参加の意義などに関わる現実社会の事柄や課題を基に,憲法の下,適正な手続きに則(のっと)り,法や規範に基づいて各人の意見や利害を公平・公正に調整し,個人や社会の紛争を調停,解決することなどを通して,権利や自由が保障...
(イ) 政治参加と公正な世論の形成,地方自治,国家主権,領土(領海,領空を含む。),我が国の安全保障と防衛,国際貢献を含む国際社会における我が国の役割などに関わる現実社会の事柄や課題を基に,よりよい社会は,憲法の下,個人が議論に参加し,意見や利害の対立状況を調整して合意を形成するこ...
(ウ) 職業選択,雇用と労働問題,財政及び租税の役割,少子高齢社会における社会保障の充実・安定化,市場経済の機能と限界,金融の働き,経済のグローバル化と相互依存関係の深まり(国際社会における貧困や格差の問題を含む。)などに関わる現実社会の事柄や課題を基に,公正かつ自由な経済活動を行...
(エ) 現実社会の諸課題に関わる諸資料から,自立した主体として活動するために必要な情報を適切かつ効果的に収集し,読み取り,まとめる技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) アの(ア)から(ウ)までの事項について,法,政治及び経済などの側面を関連させ,自立した主体として解決が求められる具体的な主題を設定し,合意形成や社会参画を視野に入れながら,その主題の解決に向けて事実を基に協働して考察したり構想したりしたことを,論拠をもって表現すること。
C 持続可能な社会づくりの主体となる私たち 持続可能な地域,国家・社会及び国際社会づくりに向けた役割を担う,公共の精神をもった自立した主体となることに向けて,幸福,正義,公正などに着目して,現代の諸課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 地域の創造,よりよい国家・社会の構築及び平和で安定した国際社会の形成へ主体的に参画し,共に生きる社会を築くという観点から課題を見いだし,その課題の解決に向けて事実を基に協働して考察,構想し,妥当性や効果,実現可能性などを指標にして,論拠を基に自分の考えを説明,論述すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のA,B及びCについては,この順序で取り扱うものとし,既習の学習の成果を生かすこと。
イ 中学校社会科及び特別の教科である道徳,高等学校公民科に属する他の科目,この章に示す地理歴史科,家庭科及び情報科並びに特別活動などとの関連を図るとともに,項目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに指導が偏らないようにすること。
(2) 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 第1章第1款の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,この科目の特質に応じて適切な指導をすること。
(3) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア この科目の内容の特質に応じ,学習のねらいを明確にした上でそれぞれ関係する専門家や関係諸機関などとの連携・協働を積極的に図り,社会との関わりを意識した主題を追究したり解決したりする活動の充実を図るようにすること。また,生徒が他者と共に生きる自らの生き方に関わって主体的・対話的に考...
イ この科目においては,教科目標の実現を見通した上で,キャリア教育の充実の観点から,特別活動などと連携し,自立した主体として社会に参画する力を育む中核的機能を担うことが求められることに留意すること。
ウ 生徒が内容の基本的な意味を理解できるように配慮し,小・中学校社会科などで鍛えられた見方・考え方に加え,人間と社会の在り方についての見方・考え方を働かせ,現実社会の諸課題と関連付けながら具体的事例を通して社会的事象等についての理解を深め,多面的・多角的に考察,構想し,表現できるよ...
エ 科目全体を通して,選択・判断の手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を活用して,事実を基に多面的・多角的に考察し公正に判断する力を養うとともに,考察,構想したことを説明したり,論拠を基に自分の意見を説明,論述させたりすることにより,思考力,判断力,表現力等を養うこ...
オ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) この科目の導入として位置付け,(1),(2),(3)の順序で取り扱うものとし,B及びCの学習の基盤を養うよう指導すること。その際,Aに示した事項については,B以降の学習においても,それらを踏まえて学習が行われるよう特に留意すること。
(イ) Aに示したそれぞれの事項を適切に身に付けることができるよう,指導のねらいを明確にした上で,今まで受け継がれてきた我が国の文化的蓄積を含む古今東西の先人の取組,知恵などにも触れること。
(ウ) (1)については,アの(ア)から(ウ)までのそれぞれの事項との関連において,学校や地域などにおける生徒の自発的,自治的な活動やBで扱う現実社会の事柄や課題に関わる具体的な場面に触れ,生徒の学習意欲を喚起することができるよう工夫すること。その際,公共的な空間に生きる人間は,様...
(エ) (2)については,指導のねらいを明確にした上で,環境保護,生命倫理などの課題を扱うこと。その際,Cで探究する課題との関わりに留意して課題を取り上げるようにすること。
(オ) (3)については,指導のねらいを明確にした上で,日本国憲法との関わりに留意して指導すること。「人間の尊厳と平等,個人の尊重」については,男女が共同して社会に参画することの重要性についても触れること。
カ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) アの(ア)から(ウ)までのそれぞれの事項は学習の順序を示すものではなく,イの(ア)において設定する主題については,生徒の理解のしやすさに応じ,学習意欲を喚起することができるよう創意工夫した適切な順序で指導すること。
(イ) 小学校及び中学校で習得した知識などを基盤に,Aで身に付けた選択・判断の手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を活用して,現実社会の諸課題に関わり設定した主題について,個人を起点に他者と協働して多面的・多角的に考察,構想するとともに,協働の必要な理由,協働を可能...
(ウ) 生徒や学校,地域の実態などに応じて,アの(ア)から(ウ)までのそれぞれの事項において主題を設定すること。その際,主題に関わる基本的人権の保障に関連付けて取り扱ったり,自立した主体となる個人を支える家族・家庭や地域などにあるコミュニティに着目して,世代間の協力,協働や,自助,...
(エ) アの(ア)の「法や規範の意義及び役割」については,法や道徳などの社会規範がそれぞれの役割を有していることや,法の役割の限界についても扱うこと。「多様な契約及び消費者の権利と責任」については,私法に関する基本的な考え方についても扱うこと。「司法参加の意義」については,裁判員制...
(オ) アの(イ)の「政治参加と公正な世論の形成,地方自治」については関連させて取り扱い,地方自治や我が国の民主政治の発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の涵(かん)養に向けて,民主政治の推進における選挙の意義について指導すること。「国家主権,領土(領海,領空を含む。)...
(カ) アの(ウ)の「職業選択」については,産業構造の変化やその中での起業についての理解を深めることができるようにすること。「雇用と労働問題」については,仕事と生活の調和という観点から労働保護立法についても扱うこと。「財政及び租税の役割,少子高齢社会における社会保障の充実・安定化」...
(キ) アの(エ)については,(ア)から(ウ)までのそれぞれの事項と関連させて取り扱い,情報に関する責任や,利便性及び安全性を多面的・多角的に考察していくことを通して,情報モラルを含む情報の妥当性や信頼性を踏まえた公正な判断力を身に付けることができるよう指導すること。その際,防災情...
キ 内容のCについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) この科目のまとめとして位置付け,社会的な見方・考え方を総合的に働かせ,Aで身に付けた選択・判断の手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理などを活用するとともに,A及びBで扱った課題などへの関心を一層高めるよう指導すること。また,個人を起点として,自立,協働の観点...
(イ) 課題の探究に当たっては,法,政治及び経済などの個々の制度にとどまらず,各領域を横断して総合的に探究できるよう指導すること。
第2 倫 理
1 目標 人間としての在り方生き方についての見方・考え方を働かせ,現代の諸課題を追究したり解決に向けて構想したりする活動を通して,広い視野に立ち,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念に基づいて,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な...
(1) 古今東西の幅広い知的蓄積を通して,現代の諸課題を捉え,より深く思索するための手掛かりとなる概念や理論について理解するとともに,諸資料から,人間としての在り方生き方に関わる情報を調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 自立した人間として他者と共によりよく生きる自己の生き方についてより深く思索する力や,現代の倫理的諸課題を解決するために倫理に関する概念や理論などを活用して,論理的に思考し,思索を深め,説明したり対話したりする力を養う。
(3) 人間としての在り方生き方に関わる事象や課題について主体的に追究したり,他者と共によりよく生きる自己を形成しようとしたりする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察やより深い思索を通して涵(かん)養される,現代社会に生きる人間としての在り方生き方についての自覚を深める。
2 内容
A 現代に生きる自己の課題と人間としての在り方生き方
(1) 人間としての在り方生き方の自覚 人間の存在や価値に関わる基本的な課題について思索する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 個性,感情,認知,発達などに着目して,豊かな自己形成に向けて,他者と共によりよく生きる自己の生き方についての思索を深めるための手掛かりとなる様々な人間の心の在り方について理解すること。
(イ) 幸福,愛,徳などに着目して,人間としての在り方生き方について思索するための手掛かりとなる様々な人生観について理解すること。その際,人生における宗教や芸術のもつ意義についても理解すること。
(ウ) 善,正義,義務などに着目して,社会の在り方と人間としての在り方生き方について思索するための手掛かりとなる様々な倫理観について理解すること。
(エ) 真理,存在などに着目して,世界と人間の在り方について思索するための手掛かりとなる様々な世界観について理解すること。
(オ) 古今東西の先哲の思想に関する原典の日本語訳などの諸資料から,人間としての在り方生き方に関わる情報を読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 自己の生き方を見つめ直し,自らの体験や悩みを振り返り,他者,集団や社会,生命や自然などとの関わりにも着目して自己の課題を捉え,その課題を現代の倫理的課題と結び付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 古今東西の先哲の考え方を手掛かりとして,より広い視野から人間としての在り方生き方について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(2) 国際社会に生きる日本人としての自覚 日本人としての在り方生き方について思索する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 古来の日本人の心情と考え方や日本の先哲の思想に着目して,我が国の風土や伝統,外来思想の受容などを基に,国際社会に生きる日本人としての在り方生き方について思索するための手掛かりとなる日本人に見られる人間観,自然観,宗教観などの特質について,自己との関わりにおいて理解すること。...
(イ) 古来の日本人の心情と考え方や日本の先哲の思想に関する原典や原典の口語訳などの諸資料から,日本人としての在り方生き方に関わる情報を読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 古来の日本人の考え方や日本の先哲の考え方を手掛かりとして,国際社会に主体的に生きる日本人としての在り方生き方について多面的・多角的に考察し,表現すること。
B 現代の諸課題と倫理
(1) 自然や科学技術に関わる諸課題と倫理 自然や科学技術との関わりにおいて,人間としての在り方生き方についての見方・考え方を働かせ,他者と対話しながら,現代の諸課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生命,自然,科学技術などと人間との関わりについて倫理的課題を見いだし,その解決に向けて倫理に関する概念や理論などを手掛かりとして多面的・多角的に考察し,公正に判断して構想し,自分の考えを説明,論述すること。
(2) 社会と文化に関わる諸課題と倫理 様々な他者との協働,共生に向けて,人間としての在り方生き方についての見方・考え方を働かせ,他者と対話しながら,現代の諸課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 福祉,文化と宗教,平和などについて倫理的課題を見いだし,その解決に向けて倫理に関する概念や理論などを手掛かりとして多面的・多角的に考察し,公正に判断して構想し,自分の考えを説明,論述すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のA及びBについては,この順序で取り扱うものとし,既習の学習の成果を生かすこと。
イ 中学校社会科及び特別の教科である道徳,高等学校公民科に属する他の科目,この章に示す地理歴史科,家庭科及び情報科並びに特別活動などとの関連を図るとともに,項目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに指導が偏らないようにすること。
(2) 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
 ア 第1章第1款の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,この科目の特質に応じて適切な指導をすること。
(3) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 倫理的諸価値に関する古今東西の先哲の思想を取り上げるに当たっては,原典の日本語訳,口語訳なども活用し,内容と関連が深く生徒の発達や学習の段階に適した代表的な先哲の言説などを扱うこと。また,生徒自らが人生観,世界観などを確立するための手掛かりを得ることができるよう学習指導の展開を...
イ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 小学校及び中学校で習得した概念などに関する知識などを基に,「公共」で身に付けた選択・判断の手掛かりとなる考え方を活用し,哲学に関わる対話的な手法などを取り入れた活動を通して,生徒自らが,より深く思索するための概念や理論を理解できるようにし,Bの学習の基盤を養うよう指導するこ...
(イ) (1)のアの(ア)については,青年期の課題を踏まえ,人格,感情,認知,発達についての心理学の考え方についても触れること。
(ウ) (1)のアの(イ)については,人間の尊厳と生命への畏敬,自己実現と幸福などについて,古代ギリシアから近代までの思想,キリスト教,イスラーム,仏教,儒教などの基本的な考え方を代表する先哲の思想,芸術家とその作品を,倫理的な観点を明確にして取り上げること。
(エ) (1)のアの(ウ)については,民主社会における人間の在り方,社会参加と奉仕などについて,倫理的な観点を明確にして取り上げること。
(オ) (1)のアの(エ)については,自然と人間との関わり,世界を捉える知の在り方などについて,倫理的な観点を明確にして取り上げること。
(カ) (1)のアの(オ)については,古今東西の代表的な先哲の思想を取り上げ,人間をどのように捉え,どのように生きることを指し示しているかについて,自己の課題と結び付けて思索するために必要な技能を身に付けることができるよう指導すること。
(キ) (2)のアの(ア)については,古来の日本人の心情と考え方や代表的な日本の先哲の思想を手掛かりにして,自己の課題として学習し,国際社会に生きる日本人としての自覚を深めるよう指導すること。その際,伝統的な芸術作品,茶道や華道などの芸道などを取り上げ,理解を深めることができるよう...
(ク) (2)のアの(イ)については,古来の日本人の心情と考え方や代表的な日本の先哲の思想を取り上げ,それらが日本人の思想形成にどのような影響を及ぼしているかについて思索するために必要な技能を身に付けることができるよう指導すること。
ウ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) 小学校及び中学校で習得した概念などに関する知識などや,「公共」及びAで身に付けた選択・判断の手掛かりとなる先哲の思想などを基に,人間としての在り方生き方についての見方・考え方を働かせ,現実社会の倫理的諸課題について探究することができるよう指導すること。また,科目のまとめとし...
(イ) 生徒や学校,地域の実態などに応じて課題を選択し,主体的に探究する学習を行うことができるよう工夫すること。その際,哲学に関わる対話的な手法などを取り入れた活動を通して,人格の完成に向けて自己の生き方の確立を促し,他者と共に生きる主体を育むよう指導すること。
(ウ) (1)のアの「生命」については,生命科学や医療技術の発達を踏まえ,生命の誕生,老いや病,生と死の問題などを通して,生きることの意義について思索できるようにすること。「自然」については,人間の生命が自然の生態系の中で,植物や他の動物との相互依存関係において維持されており,調和...
(エ) (2)のアの「福祉」については,多様性を前提として,協働,ケア,共生といった倫理的な視点から福祉の問題を取り上げること。「文化と宗教」については,文化や宗教が過去を継承する人類の知的遺産であることを踏まえ,それらを尊重し,異なる文化や宗教をもつ人々を理解し,共生に向けて思索...
第3 政治・経済
1 目標 社会の在り方についての見方・考え方を働かせ,現代の諸課題を追究したり解決に向けて構想したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の有為な形成者に必要な公民としての資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 社会の在り方に関わる現実社会の諸課題の解決に向けて探究するための手掛かりとなる概念や理論などについて理解するとともに,諸資料から,社会の在り方に関わる情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2) 国家及び社会の形成者として必要な選択・判断の基準となる考え方や政治・経済に関する概念や理論などを活用して,現実社会に見られる複雑な課題を把握し,説明するとともに,身に付けた判断基準を根拠に構想する力や,構想したことの妥当性や効果,実現可能性などを指標にして議論し公正に判断し...
(3) よりよい社会の実現のために現実社会の諸課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,我が国及び国際社会において国家及び社会の形成に,より積極的な役...
2 内容
A 現代日本における政治・経済の諸課題
(1) 現代日本の政治・経済 個人の尊厳と基本的人権の尊重,対立,協調,効率,公正などに着目して,現代の諸課題を追究したり解決に向けて構想したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 政治と法の意義と機能,基本的人権の保障と法の支配,権利と義務との関係,議会制民主主義,地方自治について,現実社会の諸事象を通して理解を深めること。
(イ) 経済活動と市場,経済主体と経済循環,国民経済の大きさと経済成長,物価と景気変動,財政の働きと仕組み及び租税などの意義,金融の働きと仕組みについて,現実社会の諸事象を通して理解を深めること。
(ウ) 現代日本の政治・経済に関する諸資料から,課題の解決に向けて考察,構想する際に必要な情報を適切かつ効果的に収集し,読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 民主政治の本質を基に,日本国憲法と現代政治の在り方との関連について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 政党政治や選挙などの観点から,望ましい政治の在り方及び主権者としての政治参加の在り方について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(ウ) 経済活動と福祉の向上との関連について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(エ) 市場経済の機能と限界,持続可能な財政及び租税の在り方,金融を通した経済活動の活性化について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(2) 現代日本における政治・経済の諸課題の探究 社会的な見方・考え方を総合的に働かせ,他者と協働して持続可能な社会の形成が求められる現代日本社会の諸課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 少子高齢社会における社会保障の充実・安定化,地域社会の自立と政府,多様な働き方・生き方を可能にする社会,産業構造の変化と起業,歳入・歳出両面での財政健全化,食料の安定供給の確保と持続可能な農業構造の実現,防災と安全・安心な社会の実現などについて,取り上げた課題の解決に向けて政治...
B グローバル化する国際社会の諸課題
(1) 現代の国際政治・経済 国際平和と人類の福祉に寄与しようとする自覚を深めることに向けて,個人の尊厳と基本的人権の尊重,対立,協調,効率,公正などに着目して,現代の諸課題を追究したり解決に向けて構想したりする活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 国際社会の変遷,人権,国家主権,領土(領海,領空を含む。)などに関する国際法の意義,国際連合をはじめとする国際機構の役割,我が国の安全保障と防衛,国際貢献について,現実社会の諸事象を通して理解を深めること。
(イ) 貿易の現状と意義,為替相場の変動,国民経済と国際収支,国際協調の必要性や国際経済機関の役割について,現実社会の諸事象を通して理解を深めること。
(ウ) 現代の国際政治・経済に関する諸資料から,課題の解決に向けて考察,構想する際に必要な情報を適切かつ効果的に収集し,読み取る技能を身に付けること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 国際社会の特質や国際紛争の諸要因を基に,国際法の果たす役割について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(イ) 国際平和と人類の福祉に寄与する日本の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(ウ) 相互依存関係が深まる国際経済の特質について多面的・多角的に考察し,表現すること。
(エ) 国際経済において果たすことが求められる日本の役割について多面的・多角的に考察,構想し,表現すること。
(2) グローバル化する国際社会の諸課題の探究 社会的な見方・考え方を総合的に働かせ,他者と協働して持続可能な社会の形成が求められる国際社会の諸課題を探究する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア グローバル化に伴う人々の生活や社会の変容,地球環境と資源・エネルギー問題,国際経済格差の是正と国際協力,イノベーションと成長市場,人種・民族問題や地域紛争の解決に向けた国際社会の取組,持続可能な国際社会づくりなどについて,取り上げた課題の解決に向けて政治と経済とを関連させて多面...
3 内容の取扱い
(1) 内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
ア 公民科に属する他の科目,この章に示す地理歴史科,家庭科及び情報科などとの関連を図るとともに,項目相互の関連に留意しながら,全体としてのまとまりを工夫し,特定の事項だけに指導が偏らないようにすること。
(2) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア この科目の内容の特質に応じ,学習のねらいを明確にした上でそれぞれ関係する専門家や関係諸機関などとの連携・協働を積極的に図り,社会との関わりを意識した課題を追究したり解決に向けて構想したりする活動の充実を図るようにすること。
イ 内容のA及びBについては,次の事項に留意すること。
(ア) A及びBのそれぞれの(2)においては,小学校及び中学校で習得した概念などに関する知識や,「公共」で身に付けた選択・判断の手掛かりとなる考え方などを基に,それぞれの(1)における学習の成果を生かし,政治及び経済の基本的な概念や理論などの理解の上に立って,理論と現実の相互関連を...
ウ 内容のAについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) (1)においては,日本の政治・経済の現状について触れること。
(イ) (1)のアの(ア)については,日本国憲法における基本的人権の尊重,国民主権,天皇の地位と役割,国会,内閣,裁判所などの政治機構に関する小・中学校社会科及び「公共」の学習との関連性に留意して指導すること。
(ウ) (1)のアの(ア)の「政治と法の意義と機能,基本的人権の保障と法の支配,権利と義務との関係」については関連させて取り扱うこと。その際,裁判員制度を扱うこと。また,私法に関する基本的な考え方についても理解を深めることができるよう指導すること。
(エ) (1)のアの(イ)については,分業と交換,希少性などに関する小・中学校社会科及び「公共」の学習との関連性に留意して指導すること。また,事項の全体を通して日本経済のグローバル化をはじめとする経済生活の変化,現代経済の仕組みや機能について扱うとともに,その特質を捉え,経済につい...
(オ) (1)のイの(ア)の「民主政治の本質」については,世界の主な政治体制と関連させて取り扱うこと。
(カ) (1)のイの(イ)の「望ましい政治の在り方及び主権者としての政治参加の在り方」については,(1)のイの(ア)の「現代政治の在り方」との関連性に留意して,世論の形成などについて具体的な事例を取り上げて扱い,主権者としての政治に対する関心を高め,主体的に社会に参画する意欲をもた...
(キ) (1)のイの(エ)の「市場経済の機能と限界」については,市場経済の効率性とともに,市場の失敗の補完の観点から,公害防止と環境保全,消費者に関する問題も扱うこと。また,「金融を通した経済活動の活性化」については,金融に関する技術変革と企業経営に関する金融の役割にも触れること。...
(ク) (2)における課題の探究に当たっては,日本社会の動向に着目したり,国内の諸地域や諸外国における取組などを参考にしたりできるよう指導すること。「産業構造の変化と起業」を取り上げる際には,中小企業の在り方についても触れるよう指導すること。
エ 内容のBについては,次のとおり取り扱うものとすること。
(ア) (1)においては,国際政治及び国際経済の現状についても扱うこと。
(イ) (1)のアの(ア)の「国家主権,領土(領海,領空を含む。)などに関する国際法の意義,国際連合をはじめとする国際機構の役割」については関連させて取り扱い,我が国が,固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していることや,尖閣諸島...
(ウ) (1)のイの(ア)の「国際紛争の諸要因」については,多様な角度から考察させるとともに,軍縮や核兵器廃絶などに関する国際的な取組についても扱うこと。
(エ) (2)における課題の探究に当たっては,国際社会の動向に着目したり,諸外国における取組などを参考にしたりできるよう指導すること。その際,文化や宗教の多様性を踏まえるとともに,国際連合における持続可能な開発のための取組についても扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,科目の特質に応じた見方・考え方を働かせ,社会的事象等の意味や意義などを考察し,概念などに関する知識を獲得したり,社会との関わりを意...
(2) 各科目の履修については,全ての生徒に履修させる科目である「公共」を履修した後に選択科目である「倫理」及び「政治・経済」を履修できるという,この教科の基本的な構造に留意し,各学校で創意工夫して適切な指導計画を作成すること。その際,「公共」は,原則として入学年次及びその次の年次...
(3) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 社会的な見方・考え方を働かせることをより一層重視する観点に立って,社会的事象等の意味や意義,事象の特色や事象間の関連,現実社会に見られる課題などについて,考察したことや構想したことを論理的に説明したり,立場や根拠を明確にして議論したりするなどの言語活動に関わる学習を一層重視...
(2) 諸資料から,社会的事象等に関する様々な情報を効果的に収集し,読み取り,まとめる技能を身に付ける学習活動を重視するとともに,具体的な体験を伴う学習の充実を図るようにすること。その際,現代の諸課題を捉え,多面的・多角的に考察,構想するに当たっては,関連する各種の統計,年鑑,白書...
(3) 社会的事象等については,生徒の考えが深まるよう様々な見解を提示するよう配慮し,多様な見解のある事柄,未確定な事柄を取り上げる場合には,有益適切な教材に基づいて指導するとともに,特定の事柄を強調し過ぎたり,一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなどの偏った取扱いにより,...
(4) 情報の収集,処理や発表などに当たっては,学校図書館や地域の公共施設などを活用するとともに,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用し,指導に生かすことで,生徒が主体的に学習に取り組めるようにすること。その際,課題の追究や解決の見通しをもって生徒が主体的...
3 内容の指導に当たっては,教育基本法第14条及び第15条の規定に基づき,適切に行うよう特に慎重に配慮して,政治及び宗教に関する教育を行うものとする。
第4節 数   学
第1款 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 数学における基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 数学を活用して事象を論理的に考察する力,事象の本質や他の事象との関係を認識し統合的・発展的に考察する力,数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養う。
(3) 数学のよさを認識し積極的に数学を活用しようとする態度,粘り強く考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度,問題解決の過程を振り返って考察を深めたり,評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。
第2款 各 科 目
第1 数学Ⅰ
1 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 数と式,図形と計量,二次関数及びデータの分析についての基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 命題の条件や結論に着目し,数や式を多面的にみたり目的に応じて適切に変形したりする力,図形の構成要素間の関係に着目し,図形の性質や計量について論理的に考察し表現する力,関数関係に着目し,事象を的確に表現してその特徴を表,式,グラフを相互に関連付けて考察する力,社会の事象などか...
(3) 数学のよさを認識し数学を活用しようとする態度,粘り強く考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度,問題解決の過程を振り返って考察を深めたり,評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。
2 内容
(1) 数と式 数と式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 数を実数まで拡張する意義を理解し,簡単な無理数の四則計算をすること。
(イ) 集合と命題に関する基本的な概念を理解すること。
(ウ) 二次の乗法公式及び因数分解の公式の理解を深めること。
(エ) 不等式の解の意味や不等式の性質について理解し,一次不等式の解を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 集合の考えを用いて論理的に考察し,簡単な命題を証明すること。
(イ) 問題を解決する際に,既に学習した計算の方法と関連付けて,式を多面的に捉えたり目的に応じて適切に変形したりすること。
(ウ) 不等式の性質を基に一次不等式を解く方法を考察すること。
(エ) 日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,一次不等式を問題解決に活用すること。
(2) 図形と計量 図形と計量について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 鋭角の三角比の意味と相互関係について理解すること。
(イ) 三角比を鈍角まで拡張する意義を理解し,鋭角の三角比の値を用いて鈍角の三角比の値を求める方法を理解すること。
(ウ) 正弦定理や余弦定理について三角形の決定条件や三平方の定理と関連付けて理解し,三角形の辺の長さや角の大きさなどを求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 図形の構成要素間の関係を三角比を用いて表現するとともに,定理や公式として導くこと。
(イ) 図形の構成要素間の関係に着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
[用語・記号]
正弦
sin
余弦
cos
正接
tan
(3) 二次関数 二次関数について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 二次関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること。
(イ) 二次関数の最大値や最小値を求めること。
(ウ) 二次方程式の解と二次関数のグラフとの関係について理解すること。また,二次不等式の解と二次関数のグラフとの関係について理解し,二次関数のグラフを用いて二次不等式の解を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 二次関数の式とグラフとの関係について,コンピュータなどの情報機器を用いてグラフをかくなどして多面的に考察すること。
(イ) 二つの数量の関係に着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
(4) データの分析 データの分析について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 分散,標準偏差,散布図及び相関係数の意味やその用い方を理解すること。
(イ) コンピュータなどの情報機器を用いるなどして,データを表やグラフに整理したり,分散や標準偏差などの基本的な統計量を求めたりすること。
(ウ) 具体的な事象において仮説検定の考え方を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) データの散らばり具合や傾向を数値化する方法を考察すること。
(イ) 目的に応じて複数の種類のデータを収集し,適切な統計量やグラフ,手法などを選択して分析を行い,データの傾向を把握して事象の特徴を表現すること。
(ウ) 不確実な事象の起こりやすさに着目し,主張の妥当性について,実験などを通して判断したり,批判的に考察したりすること。
[用語・記号] 
外れ値
〔課題学習〕 (1)から(4)までの内容又はそれらを相互に関連付けた内容を生活と関連付けたり発展させたりするなどした課題を設け,生徒の主体的な学習を促し,数学のよさを認識させ,学習意欲を含めた数学的に考える資質・能力を高めるようにする。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(4)までについては,中学校数学科との関連を十分に考慮するものとする。
(2) 内容の(1)のアの(ア)については,分数が有限小数や循環小数で表される仕組みを扱うものとする。
(3) 内容の(2)のアの(イ)については,関連して0°,90°,180°の三角比を扱うものとする。
(4) 課題学習については,それぞれの内容との関連を踏まえ,学習効果を高めるよう指導計画に適切に位置付けるものとする。
第2 数学Ⅱ
1 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) いろいろな式,図形と方程式,指数関数・対数関数,三角関数及び微分・積分の考えについての基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 数の範囲や式の性質に着目し,等式や不等式が成り立つことなどについて論理的に考察する力,座標平面上の図形について構成要素間の関係に着目し,方程式を用いて図形を簡潔・明瞭・的確に表現したり,図形の性質を論理的に考察したりする力,関数関係に着目し,事象を的確に表現してその特徴を数...
(3) 数学のよさを認識し数学を活用しようとする態度,粘り強く柔軟に考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度,問題解決の過程を振り返って考察を深めたり,評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。
2 内容
(1) いろいろな式 いろいろな式について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 三次の乗法公式及び因数分解の公式を理解し,それらを用いて式の展開や因数分解をすること。
(イ) 多項式の除法や分数式の四則計算の方法について理解し,簡単な場合について計算をすること。
(ウ) 数を複素数まで拡張する意義を理解し,複素数の四則計算をすること。
(エ) 二次方程式の解の種類の判別及び解と係数の関係について理解すること。
(オ) 因数定理について理解し,簡単な高次方程式について因数定理などを用いてその解を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 式の計算の方法を既に学習した数や式の計算と関連付け多面的に考察すること。
(イ) 実数の性質や等式の性質,不等式の性質などを基に,等式や不等式が成り立つことを論理的に考察し,証明すること。
(ウ) 日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,方程式を問題解決に活用すること。
[用語・記号]
二項定理
虚数
i
(2) 図形と方程式 図形と方程式について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 座標を用いて,平面上の線分を内分する点,外分する点の位置や二点間の距離を表すこと。
(イ) 座標平面上の直線や円を方程式で表すこと。
(ウ) 軌跡について理解し,簡単な場合について軌跡を求めること。
(エ) 簡単な場合について,不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 座標平面上の図形について構成要素間の関係に着目し,それを方程式を用いて表現し,図形の性質や位置関係について考察すること。
(イ) 数量と図形との関係などに着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,コンピュータなどの情報機器を用いて軌跡や不等式の表す領域を座標平面上に表すなどして,問題解決に活用したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
(3) 指数関数・対数関数 指数関数及び対数関数について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 指数を正の整数から有理数へ拡張する意義を理解し,指数法則を用いて数や式の計算をすること。
(イ) 指数関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること。
(ウ) 対数の意味とその基本的な性質について理解し,簡単な対数の計算をすること。
(エ) 対数関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 指数と対数を相互に関連付けて考察すること。
(イ) 指数関数及び対数関数の式とグラフの関係について,多面的に考察すること。
(ウ) 二つの数量の関係に着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
[用語・記号]
累乗根
logax
常用対数
(4) 三角関数 三角関数について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 角の概念を一般角まで拡張する意義や弧度法による角度の表し方について理解すること。
(イ) 三角関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること。
(ウ) 三角関数の相互関係などの基本的な性質を理解すること。
(エ) 三角関数の加法定理や2倍角の公式,三角関数の合成について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 三角関数に関する様々な性質について考察するとともに,三角関数の加法定理から新たな性質を導くこと。
(イ) 三角関数の式とグラフの関係について多面的に考察すること。
(ウ) 二つの数量の関係に着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
(5) 微分・積分の考え 微分と積分の考えについて,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 微分係数や導関数の意味について理解し,関数の定数倍,和及び差の導関数を求めること。
(イ) 導関数を用いて関数の値の増減や極大・極小を調べ,グラフの概形をかく方法を理解すること。
(ウ) 不定積分及び定積分の意味について理解し,関数の定数倍,和及び差の不定積分や定積分の値を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 関数とその導関数との関係について考察すること。
(イ) 関数の局所的な変化に着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
(ウ) 微分と積分の関係に着目し,積分の考えを用いて直線や関数のグラフで囲まれた図形の面積を求める方法について考察すること。
[用語・記号]
極限値
lim
〔課題学習〕 (1)から(5)までの内容又はそれらを相互に関連付けた内容を生活と関連付けたり発展させたりするなどした課題を設け,生徒の主体的な学習を促し,数学のよさを認識させ,学習意欲を含めた数学的に考える資質・能力を高めるようにする。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(5)のアの(ア)については,三次までの関数を中心に扱い,アの(ウ)については,二次までの関数を中心に扱うものとする。また,微分係数や導関数を求める際に必要となる極限については,直観的に理解させるよう扱うものとする。
(2) 課題学習については,それぞれの内容との関連を踏まえ,学習効果を高めるよう指導計画に適切に位置付けるものとする。
第3 数学Ⅲ
1 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 極限,微分法及び積分法についての概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 数列や関数の値の変化に着目し,極限について考察したり,関数関係をより深く捉えて事象を的確に表現し,数学的に考察したりする力,いろいろな関数の局所的な性質や大域的な性質に着目し,事象を数学的に考察したり,問題解決の過程や結果を振り返って統合的・発展的に考察したりする力を養う。...
(3) 数学のよさを認識し積極的に数学を活用しようとする態度,粘り強く柔軟に考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度,問題解決の過程を振り返って考察を深めたり,評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。
2 内容
(1) 極限 数列及び関数の値の極限について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 数列の極限について理解し,数列{rn}の極限などを基に簡単な数列の極限を求めること。
(イ) 無限級数の収束,発散について理解し,無限等比級数などの簡単な無限級数の和を求めること。
(ウ) 簡単な分数関数と無理関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること。
(エ) 合成関数や逆関数の意味を理解し,簡単な場合についてそれらを求めること。
(オ) 関数の値の極限について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 式を多面的に捉えたり目的に応じて適切に変形したりして,極限を求める方法を考察すること。
(イ) 既に学習した関数の性質と関連付けて,簡単な分数関数と無理関数のグラフの特徴を多面的に考察すること。
(ウ) 数列や関数の値の極限に着目し,事象を数学的に捉え,コンピュータなどの情報機器を用いて極限を調べるなどして,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
[用語・記号]
(2) 微分法 微分法について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 微分可能性,関数の積及び商の導関数について理解し,関数の和,差,積及び商の導関数を求めること。
(イ) 合成関数の導関数について理解し,それを求めること。
(ウ) 三角関数,指数関数及び対数関数の導関数について理解し,それらを求めること。
(エ) 導関数を用いて,いろいろな曲線の接線の方程式を求めたり,いろいろな関数の値の増減,極大・極小,グラフの凹凸などを調べグラフの概形をかいたりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 導関数の定義に基づき,三角関数,指数関数及び対数関数の導関数を考察すること。
(イ) 関数の連続性と微分可能性,関数とその導関数や第二次導関数の関係について考察すること。
(ウ) 関数の局所的な変化や大域的な変化に着目し,事象を数学的に捉え,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
[用語・記号]
自然対数
e
変曲点
(3) 積分法 積分法について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 不定積分及び定積分の基本的な性質についての理解を深め,それらを用いて不定積分や定積分を求めること。
(イ) 置換積分法及び部分積分法について理解し,簡単な場合について,それらを用いて不定積分や定積分を求めること。
(ウ) 定積分を利用して,いろいろな曲線で囲まれた図形の面積や立体の体積及び曲線の長さなどを求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 関数の式を多面的にみたり目的に応じて適切に変形したりして,いろいろな関数の不定積分や定積分を求める方法について考察すること。
(イ) 極限や定積分の考えを基に,立体の体積や曲線の長さなどを求める方法について考察すること。
(ウ) 微分と積分との関係に着目し,事象を数学的に捉え,問題を解決したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
〔課題学習〕 (1)から(3)までの内容又はそれらを相互に関連付けた内容を生活と関連付けたり発展させたりするなどした課題を設け,生徒の主体的な学習を促し,数学のよさを認識させ,学習意欲を含めた数学的に考える資質・能力を高めるようにする。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(2)のイの(ウ)については,関連して直線上の点の運動や平面上の点の運動の速度及び加速度を扱うものとする。
(2) 内容の(3)のアの(イ)については,置換積分法はax+b=t,x=asinθと置き換えるものを中心に扱うものとする。また,部分積分法は,簡単な関数について1回の適用で結果が得られるものを中心に扱うものとする。
(3) 課題学習については,それぞれの内容との関連を踏まえ,学習効果を高めるよう指導計画に適切に位置付けるものとする。
第4 数学A
1 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 図形の性質,場合の数と確率についての基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,数学と人間の活動の関係について認識を深め,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 図形の構成要素間の関係などに着目し,図形の性質を見いだし,論理的に考察する力,不確実な事象に着目し,確率の性質などに基づいて事象の起こりやすさを判断する力,数学と人間の活動との関わりに着目し,事象に数学の構造を見いだし,数理的に考察する力を養う。
(3) 数学のよさを認識し数学を活用しようとする態度,粘り強く考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度,問題解決の過程を振り返って考察を深めたり,評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。
2 内容
(1) 図形の性質 図形の性質について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 三角形に関する基本的な性質について理解すること。
(イ) 円に関する基本的な性質について理解すること。
(ウ) 空間図形に関する基本的な性質について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 図形の構成要素間の関係や既に学習した図形の性質に着目し,図形の新たな性質を見いだし,その性質について論理的に考察したり説明したりすること。
(イ) コンピュータなどの情報機器を用いて図形を表すなどして,図形の性質や作図について統合的・発展的に考察すること。
(2) 場合の数と確率 場合の数と確率について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 集合の要素の個数に関する基本的な関係や和の法則,積の法則などの数え上げの原則について理解すること。
(イ) 具体的な事象を基に順列及び組合せの意味を理解し,順列の総数や組合せの総数を求めること。
(ウ) 確率の意味や基本的な法則についての理解を深め,それらを用いて事象の確率や期待値を求めること。
(エ) 独立な試行の意味を理解し,独立な試行の確率を求めること。
(オ) 条件付き確率の意味を理解し,簡単な場合について条件付き確率を求めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 事象の構造などに着目し,場合の数を求める方法を多面的に考察すること。
(イ) 確率の性質や法則に着目し,確率を求める方法を多面的に考察すること。
(ウ) 確率の性質などに基づいて事象の起こりやすさを判断したり,期待値を意思決定に活用したりすること。
[用語・記号] 
nPr
nCr
階乗
n!
排反
(3) 数学と人間の活動 数学と人間の活動について,数学的活動を通して,それらを数理的に考察することの有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 数量や図形に関する概念などと人間の活動との関わりについて理解すること。
(イ) 数学史的な話題,数理的なゲームやパズルなどを通して,数学と文化との関わりについての理解を深めること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 数量や図形に関する概念などを,関心に基づいて発展させ考察すること。
(イ) パズルなどに数学的な要素を見いだし,目的に応じて数学を活用して考察すること。
3 内容の取扱い
(1) この科目は,内容の(1)から(3)までの中から適宜選択させるものとする。
(2) 内容の(2)のアの(ウ)及び(オ)並びにイの(イ)の確率については,論理的な確率及び頻度確率を扱うものとする。
(3) 内容の(3)の指導に当たっては,数学的活動を一層重視し,生徒の関心や多様な考えを生かした学習が行われるよう配慮するものとする。
(4) 内容の(3)のアでは,整数の約数や倍数,ユークリッドの互除法や二進法,平面や空間において点の位置を表す座標の考え方などについても扱うものとする。
第5 数学B
1 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 数列,統計的な推測についての基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,数学と社会生活との関わりについて認識を深め,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 離散的な変化の規則性に着目し,事象を数学的に表現し考察する力,確率分布や標本分布の性質に着目し,母集団の傾向を推測し判断したり,標本調査の方法や結果を批判的に考察したりする力,日常の事象や社会の事象を数学化し,問題を解決したり,解決の過程や結果を振り返って考察したりする力を...
(3) 数学のよさを認識し数学を活用しようとする態度,粘り強く柔軟に考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度,問題解決の過程を振り返って考察を深めたり,評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。
2 内容
(1) 数列 数列について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 等差数列と等比数列について理解し,それらの一般項や和を求めること。
(イ) いろいろな数列の一般項や和を求める方法について理解すること。
(ウ) 漸化式について理解し,事象の変化を漸化式で表したり,簡単な漸化式で表された数列の一般項を求めたりすること。
(エ) 数学的帰納法について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 事象から離散的な変化を見いだし,それらの変化の規則性を数学的に表現し考察すること。
(イ) 事象の再帰的な関係に着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,数列の考えを問題解決に活用すること。
(ウ) 自然数の性質などを見いだし,それらを数学的帰納法を用いて証明するとともに,他の証明方法と比較し多面的に考察すること。
[用語・記号]
(2) 統計的な推測 統計的な推測について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 標本調査の考え方について理解を深めること。
(イ) 確率変数と確率分布について理解すること。
(ウ) 二項分布と正規分布の性質や特徴について理解すること。
(エ) 正規分布を用いた区間推定及び仮説検定の方法を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 確率分布や標本分布の特徴を,確率変数の平均,分散,標準偏差などを用いて考察すること。
(イ) 目的に応じて標本調査を設計し,収集したデータを基にコンピュータなどの情報機器を用いて処理するなどして,母集団の特徴や傾向を推測し判断するとともに,標本調査の方法や結果を批判的に考察すること。
[用語・記号]
信頼区間
有意水準
(3) 数学と社会生活 数学と社会生活について,数学的活動を通して,それらを数理的に考察することの有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 社会生活などにおける問題を,数学を活用して解決する意義について理解すること。
(イ) 日常の事象や社会の事象などを数学化し,数理的に問題を解決する方法を知ること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 日常の事象や社会の事象において,数・量・形やそれらの関係に着目し,理想化したり単純化したりして,問題を数学的に表現すること。
(イ) 数学化した問題の特徴を見いだし,解決すること。
(ウ) 問題解決の過程や結果の妥当性について批判的に考察すること。
(エ) 解決過程を振り返り,そこで用いた方法を一般化して,他の事象に活用すること。
3 内容の取扱い
(1) この科目は,内容の(1)から(3)までの中から適宜選択させるものとする。
(2) 内容の(3)の指導に当たっては,数学的活動を一層重視し,生徒の関心や多様な考えを生かした学習が行われるよう配慮するものとする。
(3) 内容の(3)のアの(イ)については,散布図に表したデータを関数とみなして処理することも扱うものとする。
第6 数学C
1 目標 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) ベクトル,平面上の曲線と複素数平面についての基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに,数学的な表現の工夫について認識を深め,事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。
(2) 大きさと向きをもった量に着目し,演算法則やその図形的な意味を考察する力,図形や図形の構造に着目し,それらの性質を統合的・発展的に考察する力,数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養う。
(3) 数学のよさを認識し数学を活用しようとする態度,粘り強く柔軟に考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度,問題解決の過程を振り返って考察を深めたり,評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。
2 内容
(1) ベクトル ベクトルについて,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 平面上のベクトルの意味,相等,和,差,実数倍,位置ベクトル,ベクトルの成分表示について理解すること。
(イ) ベクトルの内積及びその基本的な性質について理解すること。
(ウ) 座標及びベクトルの考えが平面から空間に拡張できることを理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 実数などの演算の法則と関連付けて,ベクトルの演算法則を考察すること。
(イ) ベクトルやその内積の基本的な性質などを用いて,平面図形や空間図形の性質を見いだしたり,多面的に考察したりすること。
(ウ) 数量や図形及びそれらの関係に着目し,日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,ベクトルやその内積の考えを問題解決に活用すること。
(2) 平面上の曲線と複素数平面 平面上の曲線と複素数平面について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 放物線,楕(だ)円,双曲線が二次式で表されること及びそれらの二次曲線の基本的な性質について理解すること。
(イ) 曲線の媒介変数表示について理解すること。
(ウ) 極座標の意味及び曲線が極方程式で表されることについて理解すること。
(エ) 複素数平面と複素数の極形式,複素数の実数倍,和,差,積及び商の図形的な意味を理解すること。
(オ) ド・モアブルの定理について理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 放物線,楕(だ)円,双曲線を相互に関連付けて捉え,考察すること。
(イ) 複素数平面における図形の移動などと関連付けて,複素数の演算や累乗根などの意味を考察すること。
(ウ) 日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え,コンピュータなどの情報機器を用いて曲線を表すなどして,媒介変数や極座標及び複素数平面の考えを問題解決に活用したり,解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。
[用語・記号]
焦点
準線
(3) 数学的な表現の工夫 数学的な表現の工夫について,数学的活動を通して,その有用性を認識するとともに,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 日常の事象や社会の事象などを,図,表,統計グラフなどを用いて工夫して表現することの意義を理解すること。
(イ) 日常の事象や社会の事象などを,離散グラフや行列を用いて工夫して表現することの意義を理解すること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 図,表,統計グラフ,離散グラフ及び行列などを用いて,日常の事象や社会の事象などを数学的に表現し,考察すること。
3 内容の取扱い
(1) この科目は,内容の(1)から(3)までの中から適宜選択させるものとする。
(2) 内容の(3)の指導に当たっては,数学的活動を一層重視し,生徒の関心や多様な考えを生かした学習が行われるよう配慮するものとする。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,数学的活動を通して,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,数学的な見方・考え方を働かせながら,日常の事象や社会の事象を数理的に捉え,数学の問題を見いだし,問題を自立的,...
(2) 「数学Ⅱ」,「数学Ⅲ」を履修させる場合は,「数学Ⅰ」,「数学Ⅱ」,「数学Ⅲ」の順に履修させることを原則とすること。
(3) 「数学A」については,「数学Ⅰ」と並行してあるいは「数学Ⅰ」を履修した後に履修させ,「数学B」及び「数学C」については,「数学Ⅰ」を履修した後に履修させることを原則とすること。
(4) 各科目を履修させるに当たっては,当該科目や数学科に属する他の科目の内容及び理科,家庭科,情報科,この章に示す理数科等の内容を踏まえ,相互の関連を図るとともに,学習内容の系統性に留意すること。
(5) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各科目の指導に当たっては,思考力,判断力,表現力等を育成するため,数学的な表現を用いて簡潔・明瞭・的確に表現したり,数学的な表現を解釈したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりするなどの機会を設けること。
(2) 各科目の指導に当たっては,必要に応じて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるようにすること。
(3) 各科目の内容の[用語・記号]は,当該科目で扱う内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり,内容と密接に関連させて扱うこと。
3 各科目の指導に当たっては,数学を学習する意義などを実感できるよう工夫するとともに,次のような数学的活動に取り組むものとする。
(1) 日常の事象や社会の事象などを数理的に捉え,数学的に表現・処理して問題を解決し,解決の過程や結果を振り返って考察する活動。
(2) 数学の事象から自ら問題を見いだし解決して,解決の過程や結果を振り返って統合的・発展的に考察する活動。
(3) 自らの考えを数学的に表現して説明したり,議論したりする活動。
第5節 理科
第1款 目標 自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3) 自然の事物・現象に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 科学と人間生活
1 目標 自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 自然と人間生活との関わり及び科学技術と人間生活との関わりについての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,人間生活と関連付けて科学的に探究する力を養う。
(3) 自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養うとともに,科学に対する興味・関心を高める。
2 内容
(1) 科学技術の発展 科学技術の発展について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 科学技術の発展が今日の人間生活に対してどのように貢献してきたかについて理解すること。
イ 科学技術の発展と人間生活との関わりについて科学的に考察し表現すること。
(2) 人間生活の中の科学 身近な自然の事物・現象及び日常生活や社会の中で利用されている科学技術を取り上げ,それらについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 光や熱の科学,物質の科学,生命の科学,宇宙や地球の科学と人間生活との関わりについて認識を深めるとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 光や熱の科学
㋐ 光の性質とその利用 光に関する観察,実験などを行い,光を中心とした電磁波の性質とその利用について,日常生活と関連付けて理解すること。
㋑ 熱の性質とその利用 熱に関する観察,実験などを行い,熱の性質,エネルギーの変換と保存及び有効利用について,日常生活と関連付けて理解すること。
(イ) 物質の科学
㋐ 材料とその再利用 身近な材料に関する観察,実験などを行い,金属やプラスチックの種類,性質及び用途と資源の再利用について,日常生活と関連付けて理解すること。
㋑ 衣料と食品 衣料と食品に関する観察,実験などを行い,身近な衣料材料の性質や用途,食品中の主な成分の性質について,日常生活と関連付けて理解すること。
(ウ) 生命の科学
㋐ ヒトの生命現象 ヒトの生命現象に関する観察,実験などを行い,ヒトの生命現象を人間生活と関連付けて理解すること。
㋑ 微生物とその利用 微生物に関する観察,実験などを行い,微生物の働きを人間生活と関連付けて理解すること。
(エ) 宇宙や地球の科学
㋐ 太陽と地球 天体に関する観察,実験などを行い,太陽などの身近に見られる天体の運動や太陽の放射エネルギーについて,人間生活と関連付けて理解すること。
㋑ 自然景観と自然災害 自然景観と自然災害に関する観察,実験などを行い,身近な自然景観の成り立ちと自然災害について,人間生活と関連付けて理解すること。
イ 光や熱の科学,物質の科学,生命の科学,宇宙や地球の科学について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,人間生活と関連付けて,科学的に考察し表現すること。
(3) これからの科学と人間生活 自然と人間生活との関わり及び科学技術と人間生活との関わりについての学習を踏まえて,課題を設定し探究することで,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア これからの科学と人間生活との関わり方について認識を深めること。
イ これからの科学と人間生活との関わり方について科学的に考察し表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに,科学と人間生活との関わりについて理解させ,観察,実験などを中心に扱い,自然や科学技術に対する興味・関心を高めるようにすること。
イ この科目で育成を目指す資質・能力を育むため,観察,実験などを行い,探究の過程を踏まえた学習活動を行うようにすること。その際,学習内容の特質に応じて,課題の把握,課題の追究,課題の解決における探究の方法を習得させるようにすること。
ウ 内容の(1)については,この科目の導入として位置付け,身近な事例を基に科学技術に対する興味・関心を高めるよう展開すること。
エ 内容の(2)のアの(ア)から(エ)までについては,生徒の実態等を考慮し,それぞれ㋐又は㋑のいずれかを選択して扱うこと。
オ 内容の(3)については,(2)の学習を踏まえ,課題を設定し考察させ,報告書を作成させたり発表を行う機会を設けたりすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については,身近な科学技術の例を取り上げ,その変遷と人間生活の変化との関わりを扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)の㋐については,光の波としての分類や性質を扱うこと。「電磁波の利用」については,電波やX線にも触れること。㋑については,熱量の保存,仕事や電流による熱の発生,エネルギーの変換を扱うこと。「エネルギーの変換と保存」については,熱機関に関する歴史的な事項や熱...
ウ 内容の(3)については,(2)で学習した内容を踏まえ,生徒の興味・関心等に応じて,自然や科学技術に関連した課題を設定し考察させること。
第2 物理基礎
1 目標 物体の運動と様々なエネルギーに関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,物体の運動と様々なエネルギーを科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 日常生活や社会との関連を図りながら,物体の運動と様々なエネルギーについて理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3) 物体の運動と様々なエネルギーに主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
2 内容
(1) 物体の運動とエネルギー 日常に起こる物体の運動についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 物体の運動とエネルギーを日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 運動の表し方
㋐ 物理量の測定と扱い方 身近な物理現象について,物理量の測定と表し方,分析の手法を理解すること。
㋑ 運動の表し方 物体の運動の表し方について,直線運動を中心に理解すること。
㋒ 直線運動の加速度 速度が変化する物体の直線運動に関する実験などを行い,速度と時間との関係を見いだして理解するとともに,物体が直線運動する場合の加速度を理解すること。
(イ) 様々な力とその働き
㋐ 様々な力 物体に様々な力が働くことを理解すること。
㋑ 力のつり合い 物体に働く力のつり合いを理解すること。
㋒ 運動の法則 物体に一定の力を加え続けたときの運動に関する実験などを行い,物体の質量,物体に働く力,物体に生じる加速度の関係を見いだして理解するとともに,運動の三法則を理解すること。
㋓ 物体の落下運動 物体が落下する際の運動の特徴及び物体に働く力と運動との関係について理解すること。
(ウ) 力学的エネルギー
㋐ 運動エネルギーと位置エネルギー 運動エネルギーと位置エネルギーについて,仕事と関連付けて理解すること。
㋑ 力学的エネルギーの保存 力学的エネルギーに関する実験などを行い,力学的エネルギー保存の法則を仕事と関連付けて理解すること。
イ 物体の運動とエネルギーについて,観察,実験などを通して探究し,運動の表し方,様々な力とその働き,力学的エネルギーにおける規則性や関係性を見いだして表現すること。
(2) 様々な物理現象とエネルギーの利用 様々な物理現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 様々な物理現象とエネルギーの利用を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 波
㋐ 波の性質 波の性質について,直線状に伝わる場合を中心に理解すること。
㋑ 音と振動 気柱の共鳴に関する実験などを行い,気柱の共鳴と音源の振動数を関連付けて理解すること。また,弦の振動,音波の性質を理解すること。
(イ) 熱
㋐ 熱と温度 熱と温度について,原子や分子の熱運動の観点から理解すること。
㋑ 熱の利用 熱に関する実験などを行い,熱の移動及び熱と仕事の変換について理解すること。
(ウ) 電気
㋐ 物質と電気抵抗 電気抵抗に関する実験などを行い,同じ物質からなる導体でも長さや断面積によって電気抵抗が異なることを見いだして理解すること。また,物質によって抵抗率が異なることを理解すること。
㋑ 電気の利用 発電,送電及び電気の利用について,基本的な仕組みを理解すること。
(エ) エネルギーとその利用
㋐ エネルギーとその利用 人類が利用可能な水力,化石燃料,原子力,太陽光などを源とするエネルギーの特性や利用などについて,物理学的な観点から理解すること。
(オ) 物理学が拓(ひら)く世界
㋐ 物理学が拓(ひら)く世界 この科目で学んだ事柄が,日常生活や社会を支えている科学技術と結び付いていることを理解すること。
イ 様々な物理現象とエネルギーの利用について,観察,実験などを通して探究し,波,熱,電気,エネルギーとその利用における規則性や関係性を見いだして表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)及び(2)については,中学校理科との関連を考慮し,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,この科目の学習を通して,科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すこと。
イ この科目で育成を目指す資質・能力を育むため,観察,実験などを行い,探究の過程を踏まえた学習活動を行うようにすること。その際,学習内容の特質に応じて,情報の収集,仮説の設定,実験の計画,実験による検証,実験データの分析・解釈,法則性の導出などの探究の方法を習得させるようにするとと...
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)の㋐については,この科目の学習全体に通じる手法などを扱うこと。 (イ)の㋐については,摩擦力,弾性力,圧力及び浮力を扱うこと。また,空間を隔てて働く力にも定性的に触れること。㋑については,平面内で働く力のつり合いを中心に扱うこと。㋒については,直線運動を...
イ 内容の(2)のアの(ア)の㋐については,作図を用いる方法を中心に扱うこと。また,定在波も扱い,縦波や横波にも触れること。㋑については,波の反射,共振,うなりなどを扱うこと。 (イ)の㋐については,熱現象を微視的に捉え,原子や分子の熱運動と温度との関係を定性的に扱うこと。また,内...
第3 物 理
1 目標 物理的な事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,物理的な事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 物理学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3) 物理的な事物・現象に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
2 内容
(1) 様々な運動 物体の運動についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 様々な運動について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 平面内の運動と剛体のつり合い
㋐ 曲線運動の速度と加速度 平面内を運動する物体の運動について理解すること。
㋑ 放物運動 水平投射及び斜方投射された物体の運動を直線運動と関連付けて理解すること。
㋒ 剛体のつり合い 大きさのある物体のつり合いに関する実験などを行い,剛体のつり合う条件を見いだして理解すること。
(イ) 運動量
㋐ 運動量と力積 運動量と力積との関係について理解すること。
㋑ 運動量の保存 物体の衝突や分裂に関する実験などを行い,運動量保存の法則を理解すること。
㋒ 衝突と力学的エネルギー 衝突における力学的エネルギーの変化について理解すること。
(ウ) 円運動と単振動
㋐ 円運動 円運動をする物体の様子を表す方法やその物体に働く力などについて理解すること。
㋑ 単振動 振り子に関する実験などを行い,単振動の規則性を見いだして理解するとともに,単振動をする物体の様子を表す方法やその物体に働く力などについて理解すること。
(エ) 万有引力
㋐ 惑星の運動 惑星の観測資料に基づいて,惑星の運動に関する法則を理解すること。
㋑ 万有引力 万有引力の法則及び万有引力による物体の運動について理解すること。
(オ) 気体分子の運動
㋐ 気体分子の運動と圧力 気体分子の運動と圧力との関係について理解すること。
㋑ 気体の内部エネルギー 気体の内部エネルギーについて,気体分子の運動と関連付けて理解すること。
㋒ 気体の状態変化 気体の状態変化に関する実験などを行い,熱,仕事及び内部エネルギーの関係を理解すること。
イ 様々な物体の運動について,観察,実験などを通して探究し,平面内の運動と剛体のつり合い,運動量,円運動と単振動,万有引力,気体分子の運動における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(2) 波 水面波,音,光などの波動現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 波について,日常生活や社会と関連付けて,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 波の伝わり方
㋐ 波の伝わり方とその表し方 波の伝わり方とその表し方について理解すること。
㋑ 波の干渉と回折 波の干渉と回折について理解すること。
(イ) 音
㋐ 音の干渉と回折 音の干渉と回折について理解すること。
㋑ 音のドップラー効果 音のドップラー効果について理解すること。
(ウ) 光
㋐ 光の伝わり方 光の伝わり方について理解すること。
㋑ 光の回折と干渉 光の回折と干渉に関する実験などを行い,光の回折と干渉を光波の性質と関連付けて理解すること。
イ 波について,観察,実験などを通して探究し,波の伝わり方,音,光における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(3) 電気と磁気 電気や磁気に関する現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 電気や磁気について,日常生活や社会と関連付けて,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 電気と電流
㋐ 電荷と電界 電荷が相互に及ぼし合う力を理解すること。また,電界の表し方を理解すること。
㋑ 電界と電位 電界と電位との関係を静電気力による位置エネルギーと関連付けて理解すること。
㋒ 電気容量 コンデンサーの性質を理解するとともに,電気容量を電界や電位差と関連付けて理解すること。
㋓ 電気回路 電気回路に関する実験などを行い,電気回路における基本的な法則を理解すること。
(イ) 電流と磁界
㋐ 電流による磁界 電流がつくる磁界の様子を理解すること。
㋑ 電流が磁界から受ける力 電流が磁界から受ける力について理解すること。
㋒ 電磁誘導 電磁誘導に関する実験などを行い,磁束の変化と誘導起電力の向きや大きさとの関係を見いだして理解するとともに,電磁誘導の法則を理解すること。また,交流の発生について理解すること。
㋓ 電磁波 電磁波の性質とその利用を理解すること。
イ 電気や磁気について,観察,実験などを通して探究し,電気と電流,電流と磁界における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(4) 原子 電子,原子及び原子核に関する現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 原子について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 電子と光
㋐ 電子 電子の電荷と質量について理解すること。
㋑ 粒子性と波動性 電子や光の粒子性と波動性について理解すること。
(イ) 原子と原子核
㋐ 原子とスペクトル 原子の構造及びスペクトルと電子のエネルギー準位との関係について理解すること。
㋑ 原子核 原子核の構成,原子核の崩壊及び核反応について理解すること。
㋒ 素粒子 素粒子の存在について知ること。
(ウ) 物理学が築く未来
㋐ 物理学が築く未来 物理学の成果が様々な分野で利用され,未来を築く新しい科学技術の基盤となっていることを理解すること。
イ 原子について,観察,実験などを通して探究し,電子と光,原子と原子核における規則性や関係性を見いだして表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(4)までについては,「物理基礎」との関連を考慮し,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,この科目の学習を通して,科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すこと。
イ この科目で育成を目指す資質・能力を育むため,「物理基礎」の3の(1)のイと同様に取り扱うとともに,この科目の学習を通して,探究の全ての学習過程を経験できるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)の㋐については,物体の平面内の運動を表す変位,速度及び加速度はベクトルで表されることを扱うこと。㋑については,物体の水平投射や斜方投射における速度,加速度,重力の働きなどを扱うこと。また,空気の抵抗がある場合の落下運動にも触れること。㋒については,力のモ...
イ 内容の(2)のアの(ア)の㋐については,ホイヘンスの原理,水面波の反射や屈折及び波の式を扱うこと。㋑については,水面波を扱うこと。 (イ)の㋑については,観測者と音源が同一直線上を動く場合を中心に扱うこと。 (ウ)の㋐については,光の速さ,波長,反射,屈折,分散,偏光などを扱い...
ウ 内容の(3)のアの(ア)の㋐については,静電誘導も扱うこと。㋒については,コンデンサーの接続にも触れること。㋓については,抵抗率の温度変化,内部抵抗も扱うこと。また,半導体にも触れること。 (イ)の㋐については,直線電流と円電流がつくる磁界を中心に扱うこと。㋑については,ローレ...
エ 内容の(4)のアの(ア)の㋐については,電子に関する歴史的な実験にも触れること。㋑については,光電効果,電子線回折などを扱い,X線にも触れること。 (イ)の㋐については,水素原子の構造を中心にスペクトルと関連させて扱うこと。㋑については,質量とエネルギーの等価性にも触れること。...
第4 化学基礎
1 目標 物質とその変化に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,物質とその変化を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 日常生活や社会との関連を図りながら,物質とその変化について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3) 物質とその変化に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
2 内容
(1) 化学と人間生活 化学と人間生活との関わりについての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 化学と人間生活について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 化学と物質
㋐ 化学の特徴 日常生活や社会を支える身近な物質の性質を調べる活動を通して,物質を対象とする科学である化学の特徴について理解すること。
㋑ 物質の分離・精製 物質の分離や精製の実験などを行い,実験における基本操作と物質を探究する方法を身に付けること。
㋒ 単体と化合物 元素を確認する実験などを行い,単体,化合物について理解すること。
㋓ 熱運動と物質の三態 粒子の熱運動と温度との関係,粒子の熱運動と物質の三態変化との関係について理解すること。
イ 身近な物質や元素について,観察,実験などを通して探究し,科学的に考察し,表現すること。
(2) 物質の構成 物質の構成について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 物質の構成粒子について,次のことを理解すること。また,物質と化学結合についての観察,実験などを通して,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 物質の構成粒子
㋐ 原子の構造 原子の構造及び陽子,中性子,電子の性質を理解すること。
㋑ 電子配置と周期表 元素の周期律及び原子の電子配置と周期表の族や周期との関係について理解すること。
(イ) 物質と化学結合
㋐ イオンとイオン結合 イオンの生成を電子配置と関連付けて理解すること。また,イオン結合及びイオン結合でできた物質の性質を理解すること。
㋑ 分子と共有結合 共有結合を電子配置と関連付けて理解すること。また,分子からなる物質の性質を理解すること。
㋒ 金属と金属結合 金属の性質及び金属結合を理解すること。
イ 物質の構成について,観察,実験などを通して探究し,物質の構成における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(3) 物質の変化とその利用 物質の変化とその利用についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 物質量と化学反応式,化学反応,化学が拓(ひら)く世界について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 物質量と化学反応式
㋐ 物質量 物質量と粒子数,質量,気体の体積との関係について理解すること。
㋑ 化学反応式 化学反応に関する実験などを行い,化学反応式が化学反応に関与する物質とその量的関係を表すことを見いだして理解すること。
(イ) 化学反応
㋐ 酸・塩基と中和 酸や塩基に関する実験などを行い,酸と塩基の性質及び中和反応に関与する物質の量的関係を理解すること。
㋑ 酸化と還元 酸化と還元が電子の授受によることを理解すること。
(ウ) 化学が拓(ひら)く世界
㋐ 化学が拓(ひら)く世界 この科目で学んだ事柄が,日常生活や社会を支えている科学技術と結び付いていることを理解すること。
イ 物質の変化とその利用について,観察,実験などを通して探究し,物質の変化における規則性や関係性を見いだして表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(3)までについては,中学校理科との関連を考慮し,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,この科目の学習を通して,科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すこと。
イ この科目で育成を目指す資質・能力を育むため,観察,実験などを行い,探究の過程を踏まえた学習活動を行うようにすること。その際,学習内容の特質に応じて,情報の収集,仮説の設定,実験の計画,実験による検証,実験データの分析・解釈などの探究の方法を習得させるようにするとともに,報告書な...
ウ 内容の(1)については,この科目の導入として位置付けること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)の㋑については,ろ過,蒸留,抽出,再結晶及びクロマトグラフィーを扱うこと。㋒については,炎色反応や沈殿反応を扱うこと。㋓については,物理変化と化学変化の違いにも触れること。
イ 内容の(2)のアの(ア)の㋐については,原子番号,質量数及び同位体を扱うこと。その際,放射性同位体とその利用にも触れること。㋑の「原子の電子配置」については,代表的な典型元素を扱うこと。「元素の周期律」については,イオン化エネルギーの変化にも触れること。 (イ)の㋐については,...
ウ 内容の(3)のアの(ア)の㋐については,モル質量や溶液のモル濃度も扱うこと。 (イ)の㋐については,酸や塩基の強弱と電離度の大小との関係も扱うこと。「酸と塩基」については,水素イオン濃度とpHとの関係にも触れること。「中和反応」については,生成する塩の性質にも触れること。㋑につ...
第5 化 学
1 目標 化学的な事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,化学的な事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 化学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3) 化学的な事物・現象に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
2 内容
(1) 物質の状態と平衡 物質の状態と平衡についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 物質の状態とその変化,溶液と平衡について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 物質の状態とその変化
㋐ 状態変化 物質の沸点,融点を分子間力や化学結合と関連付けて理解すること。また,状態変化に伴うエネルギーの出入り及び状態間の平衡と温度や圧力との関係について理解すること。
㋑ 気体の性質 気体の体積と圧力や温度との関係を理解すること。
㋒ 固体の構造 結晶格子の概念及び結晶の構造を理解すること。
(イ) 溶液と平衡
㋐ 溶解平衡 溶解の仕組みを理解すること。また,溶解度を溶解平衡と関連付けて理解すること。
㋑ 溶液とその性質 溶液とその性質に関する実験などを行い,身近な現象を通して溶媒と溶液の性質の違いを理解すること。
イ 物質の状態と平衡について,観察,実験などを通して探究し,物質の状態とその変化,溶液と平衡における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(2) 物質の変化と平衡 物質の変化と平衡についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 化学反応とエネルギー,化学反応と化学平衡について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 化学反応とエネルギー
㋐ 化学反応と熱・光 化学反応と熱や光に関する実験などを行い,化学反応における熱及び光の発生や吸収は,反応の前後における物質のもつ化学エネルギーの差から生じることを理解すること。
㋑ 電池 電気エネルギーを取り出す電池の仕組みを酸化還元反応と関連付けて理解すること。
㋒ 電気分解 外部から加えた電気エネルギーによって電気分解が起こることを,酸化還元反応と関連付けて理解すること。また,その反応に関与した物質の変化量と電気量との関係を理解すること。
(イ) 化学反応と化学平衡
㋐ 反応速度 反応速度の表し方及び反応速度に影響を与える要因を理解すること。
㋑ 化学平衡とその移動 可逆反応,化学平衡及び化学平衡の移動を理解すること。
㋒ 電離平衡 水のイオン積,pH 及び弱酸や弱塩基の電離平衡について理解すること。
イ 物質の変化と平衡について,観察,実験などを通して探究し,化学反応とエネルギー,化学反応と化学平衡における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(3) 無機物質の性質 無機物質の性質についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 無機物質について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 無機物質
㋐ 典型元素 典型元素に関する実験などを行い,典型元素の性質が周期表に基づいて整理できることを理解すること。
㋑ 遷移元素 遷移元素の単体と化合物の性質を理解すること。
イ 無機物質について,観察,実験などを通して探究し,典型元素,遷移元素の性質における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(4) 有機化合物の性質 有機化合物の性質についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 有機化合物,高分子化合物について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 有機化合物
㋐ 炭化水素 脂肪族炭化水素の性質や反応を構造と関連付けて理解すること。
㋑ 官能基をもつ化合物 官能基をもつ脂肪族化合物に関する実験などを行い,その構造,性質及び反応について理解すること。
㋒ 芳香族化合物 芳香族化合物の構造,性質及び反応について理解すること。
(イ) 高分子化合物
㋐ 合成高分子化合物 合成高分子化合物の構造,性質及び合成について理解すること。
㋑ 天然高分子化合物 天然高分子化合物の構造や性質について理解すること。
イ 有機化合物,高分子化合物について,観察,実験などを通して探究し,有機化合物,高分子化合物の性質における規則性や関係性を見いだして表現すること。
(5) 化学が果たす役割 化学が果たす役割について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 化学が果たす役割を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解すること。
(ア) 人間生活の中の化学
㋐ 様々な物質と人間生活 化学が果たしてきた役割として,無機物質,有機化合物及び高分子化合物がそれぞれの特徴を生かして人間生活の中で利用されていることを理解すること。
㋑ 化学が築く未来 化学の成果が様々な分野で利用され,未来を築く新しい科学技術の基盤となっていることを理解すること。
イ 人間生活の中の化学について,これからの社会における化学が果たす役割を科学的に考察し,表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(5)までについては,「化学基礎」との関連を考慮し,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,この科目の学習を通して,科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すこと。
イ この科目で育成を目指す資質・能力を育むため,「化学基礎」の3の(1)のイと同様に取り扱うとともに,この科目の学習を通して,探究の全ての学習過程を経験できるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)の㋐については,融解熱や蒸発熱を扱うこと。「状態間の平衡」については,気液平衡や蒸気圧を扱うこと。㋑については,ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を扱うこと。その際,分子量測定にも触れること。また,混合気体,分圧の法則及び実在気体も扱うこと。気...
イ 内容の(2)のアの(ア)の㋐については,ヘスの法則を扱うこと。また,結合エネルギーにも触れるとともに,吸熱反応が自発的に進む要因にも定性的に触れること。㋑については,日常生活や社会で利用されている代表的な実用電池を扱うこと。㋒については,水溶液の電気分解を中心に扱うこと。 (イ...
ウ 内容の(3)のアの(ア)の㋐については,性質が類似する同族元素の単体や化合物を中心に扱うこと。㋑については,クロム,マンガン,鉄,銅,亜鉛及び銀を扱うこと。
エ 内容の(4)のアの(ア)の㋑については,アルコール,エーテル,アルデヒド,ケトン,カルボン酸及びエステルを取り上げ,それらの性質は炭素骨格及び官能基により特徴付けられることを扱うこと。また,鏡像異性体にも触れること。㋒については,芳香族炭化水素,フェノール類,芳香族カルボン酸及...
オ 内容の(5)のアの(ア)の㋐については,人間生活に利用されている代表的な物質を扱うこと。㋑については,化学の発展と科学技術の進展に対する興味を喚起するような成果を取り上げること。
第6 生物基礎
1 目標 生物や生物現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,生物や生物現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 日常生活や社会との関連を図りながら,生物や生物現象について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
(2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3) 生物や生物現象に主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度と,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を養う。
2 内容
(1) 生物の特徴 生物の特徴についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生物の特徴について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 生物の特徴
㋐ 生物の共通性と多様性 様々な生物の比較に基づいて,生物は多様でありながら共通性をもっていることを見いだして理解すること。また,生物の共通性と起源の共有を関連付けて理解すること。
㋑ 生物とエネルギー 生物とエネルギーに関する資料に基づいて,生命活動にエネルギーが必要であることを理解すること。また,光合成や呼吸などの代謝とATPを関連付けて理解すること。
(イ) 遺伝子とその働き
㋐ 遺伝情報とDNA DNAの構造に関する資料に基づいて,遺伝情報を担う物質としてのDNAの特徴を見いだして理解するとともに,塩基の相補性とDNAの複製を関連付けて理解すること。
㋑ 遺伝情報とタンパク質の合成 遺伝情報の発現に関する資料に基づいて,DNAの塩基配列とタンパク質のアミノ酸配列との関係を見いだして理解すること。
イ 生物の特徴について,観察,実験などを通して探究し,多様な生物がもつ共通の特徴を見いだして表現すること。
(2) ヒトの体の調節 ヒトの体の調節についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア ヒトの体の調節について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などの技能を身に付けること。
(ア) 神経系と内分泌系による調節
㋐ 情報の伝達 体の調節に関する観察,実験などを行い,体内での情報の伝達が体の調節に関係していることを見いだして理解すること。
㋑ 体内環境の維持の仕組み 体内環境の維持の仕組みに関する資料に基づいて,体内環境の維持とホルモンの働きとの関係を見いだして理解すること。また,体内環境の維持を自律神経と関連付けて理解すること。
(イ) 免疫
㋐ 免疫の働き 免疫に関する資料に基づいて,異物を排除する防御機構が備わっていることを見いだして理解すること。
イ ヒトの体の調節について,観察,実験などを通して探究し,神経系と内分泌系による調節及び免疫などの特徴を見いだして表現すること。
(3) 生物の多様性と生態系 生物の多様性と生態系についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 生物の多様性と生態系について,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。また,生態系の保全の重要性について認識すること。
(ア) 植生と遷移
㋐ 植生と遷移 植生の遷移に関する資料に基づいて,遷移の要因を見いだして理解すること。また,植生の遷移をバイオームと関連付けて理解すること。
(イ) 生態系とその保全
㋐ 生態系と生物の多様性 生態系と生物の多様性に関する観察,実験などを行い,生態系における生物の種多様性を見いだして理解すること。また,生物の種多様性と生物間の関係性とを関連付けて理解すること。
㋑ 生態系のバランスと保全 生態系のバランスに関する資料に基づいて,生態系のバランスと人為的攪(かく)乱を関連付けて理解すること。また,生態系の保全の重要性を認識すること。
イ 生物の多様性と生態系について,観察,実験などを通して探究し,生態系における,生物の多様性及び生物と環境との関係性を見いだして表現すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)から(3)までについては,中学校理科との関連を考慮し,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,この科目の学習を通して,科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すこと。
イ この科目で育成を目指す資質・能力を育むため,観察,実験などを行い,探究の過程を踏まえた学習活動を行うようにすること。その際,学習内容の特質に応じて,問題を見いだすための観察,情報の収集,仮説の設定,実験の計画,実験による検証,調査,データの分析・解釈,推論などの探究の方法を習得...
ウ 内容の(1)のアの(ア)の㋐については,この科目の導入として位置付けること。
エ この科目で扱う用語については,用語の意味を単純に数多く理解させることに指導の重点を置くのではなく,主要な概念を理解させるための指導において重要となる200語程度から250語程度までの重要用語を中心に,その用語に関わる概念を,思考力を発揮しながら理解させるよう指導すること。なお,...
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)の㋐については,生物は進化の過程で共通性を保ちながら多様化してきたことを扱うこと。その際,原核生物と真核生物に触れること。㋑については,呼吸と光合成の概要を扱うこと。その際,ミトコンドリアと葉緑体,酵素の触媒作用や基質特異性,ATPの役割にも触れること。...
イ 内容の(2)のアの(ア)の㋐については,体内環境の変化に応じた体の調節に神経系と内分泌系が関わっていることを取り上げること。また,中枢神経系に